星の海へ   作:ステルス兄貴

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二百五十二話 再会 そのⅡ

 

 

銀河系で起きている異変調査のために地球を出航した出たヤマトとまほろば。

 

しかし、両艦はガルマン・ガミラス本星にて近くの宙域で起きた恒星同士の衝突で生じた衝撃波に巻き込まれた。

 

衝撃波から離脱するために座標設定なしワープを行い衝撃波から逃れる事に成功したものの、離れ離れになってしまった。

 

ヤマトと離れてしまったまほろばは、地球、ガルマン・ガミラスが把握していない未知の宙域まで来てしまい、エンジンにも大きな被害を受けてしまい航行不能となってしまう。

 

更にまほろばに備蓄されている修理用備品が不足しており、危機的状況だった。

 

一方、ミッドチルダ周辺では次元震が大小規模で頻発に起きていた。

 

管理局はその調査に乗り出し、クロノが艦長を務めるガイアもその調査に乗り出した。

 

しかし、ガイアもヤマト、まほろば同様、突如出現した次元震から逃れるために次元跳躍を行い、管理局がまだ把握していなかった宙域‥ディンギル星系へとやって来た。

 

その星系でガイアは水没している惑星‥ディンギルを発見し、水害にあっている原住民の救助を行うも救助できたのは少年一人でその代償はあまりにも大きかった。

 

ディンギル星系で、少年と同じ民族が居ないか調査を行っている最中、ガイアはディンギル宇宙艦隊から警告無しにハイパー放射ミサイルの攻撃を受ける。

 

ミッドチルダの人間は基本、地球人とほぼ変わらないので、艦内にこれまで遭遇した事の無い放射物質をまき散らされ、宇宙服を着ていない乗員はバタバタとその放射物質の影響で斃れて行く。

 

宇宙服を着ても仮死状態となる強力なモノで、ガイアはディンギル星系第九惑星へと墜落するが、運よく自動運航装置が働き、ガイアは自動でミッドチルダを目指すが、次元跳躍をした後、航行不能となっているまほろばと衝突した。

 

ガイアが行方不明になっている事を察したリンディは、はやてが艦長を務めるジャガーノートにガイアの捜索を命じた。

 

ジャガーノートがガイアの捜索を行っている最中、まほろばの乗員はガイア乗員の救助を行い、宇宙服を着ていた乗員たちはまほろばに収容されて治療を受けた。

 

その中にはガイア副長のフェイトの姿があり、目を覚ましたフェイトはギンガ、ティアナと再会することになる。

 

そして、ガイアを捜索していたジャガーノートは、そのガイアからの通信を受信し、現場へと向かう。

 

そこで、はやてはフェイト同様にギンガとティアナに再会を果たす。

 

まほろばが航行不能となっている現状、フェイトから管理局の助力の提案を受けて、まほろばの艦長室にて、状況確認と今後の話し合いが行われようとしていた。

 

「では、早速‥‥」

 

ギンガが今後について話そうとした時、

 

「あっ、ちょう待ってギンガ」

 

はやてが止めた。

 

「はい?何です?」

 

「これからの件について話さなあかんのは分かっとるけど、その前にどうしても気になる事があるんや」

 

「は、はぁ‥‥」

 

「ギンガ、あの事件からどうやって生き残って、どういう経緯で防衛軍の軍人‥まほろばの艦長になったんや?」

 

フェイトとティアナはギンガがあの事件からどんな経緯があったのかは知っていたが、はやてとクロノは知らない。

 

「えっ?ああ‥‥それについてはちょっと長くなるんですけど‥‥」

 

「あぁ~確かに‥‥」

 

ミッドチルダへの帰還後、ギンガがどんな生活を送っていたのかを知らないが、ギンガがヤマト世界の地球に次元漂流してからまほろばの艦長に就任するまでの話をするには長い。

 

「はやてとクロノには私の方から話しておくから、私がミッドチルダに戻った後について聞いても良いかな?」

 

フェイトもギンガとティアナがあれからどんな生活を送ったのか知りたかった。

 

「分かりました。フェイトさんがミッドチルダに戻った後‥‥」

 

はやてとクロノには中途半端な形になるが、ギンガはフェイトがミッドチルダに戻った後の出来事を軍事機密に当たらない範囲で話した。

 

「そんな事が‥‥」

 

「何や、ゲンヤさんもスバルもギンガの事を知っとたんか‥‥人が悪い」

 

ゲンヤは既に管理局を退官しているので、はやてはゲンヤの事を『ナカジマ三佐』ではなく『ゲンヤさん』と呼んでいた。

 

そして、そのゲンヤとスバルはミッドチルダでもギンガの生存を知っている数少ない人物であった。

 

「ごめんね、はやて。でも、ギンガが生きていることはなるべくミッドの人には知られたくはなかったから‥‥」

 

はやてはフェイトがミッドチルダに戻ってから直ぐにギンガが生きている事をゲンヤとスバルにギンガからの手紙を渡す事で知らせたが、自分には一切その知らせがなかった事に疎外感を覚える。

 

そんなはやてに対してフェイトがギンガの生存を大々的に話せなかった事を話す。

 

(もう一つの地球でギンガは、エリート街道を歩んでいるんやな‥‥)

 

(しかも結婚して子持ち‥‥)

 

(ティアナも同じ‥‥やっぱり、もう一つの地球の方が恵まれているんかな?)

 

ギンガの体験談を聞いて、はやては今のギンガが恵まれている環境なのかと思った。

 

「それで、ギンガはどうして、今回遭難することになったんや?」

 

はやてがギンガにまほろばが此処で航行不能になった原因を訊ねる。

 

「実は今、私たちが住んで居る太陽系‥‥銀河系で大きな異変が起きて‥‥」

 

ギンガは三度目になるが、はやてに自分たちが住む銀河系に起きた異変を話す。

 

「そ、そんな事が‥‥」

 

ギンガから聞いた銀河系で起きている異変を聞いて、はやては顔を引き攣らせる。

 

「もしかして、ミッド周辺で頻繁に起きている次元震もギンガたちが住んで居る銀河系の異変に関係しているのかもしれへんな‥‥」

 

ギンガの話を聞いて、銀河系で起きている銀河交叉とミッドチルダ周辺で頻繫に起きている次元震が、何かしらの関係があると仮説をたてるはやて。

 

「銀河交叉はいずれにしても収束するでしょうから、はやてさんの言う通り、銀河交叉がミッドチルダで起きている次元震と関係しているとしたら‥‥」

 

「次元震も収束する‥か‥‥」

 

次元震は人工的に起こされているような形跡はないので、時間が経てば収まるだろう。

 

それよりも問題としては24時間おきに150光年ワープしてミッドチルダへと近づいて来る水惑星の方だ。

 

「それで、はやて。さっき、ギンガにも伝えたんだけど、まほろばが今、航行不能だから、近くの管理世界まで曳航してそこで修理をしてみたらって提案したんだけど‥‥」

 

「ああ、うん。でも、それって大丈夫なんか?」

 

はやてもまほろばが航行不能で管理局のお膝元に行けばどうなるかなんて簡単に想像が出来た。

 

「うん。だから、管理局がまほろばに手を出さない様に、リンディ義母から釘をさしてもらおうと思って‥私、はやて、クロノから言えばリンディ義母さんも分かってくれる筈だよ」

 

「せやな。まほろばに手を出せば、それは防衛軍との戦争を意味するしな‥‥」

 

(そこまで恐れられているんだ‥‥)

 

はやてたちの言葉を聞いて防衛軍が畏怖の対象になっている事を知ったギンガ。

 

はやて、フェイト、クロノはリンディの覚えが良いので、三人がまほろばの現状と手出し無用のお達しを出してもらえれば、まほろばの安全と地球連邦政府・防衛軍と波風を立てることなく済むので、管理局としてもその方が助かるに違いない。

 

そこで、早速はやてはガイア発見の報告を踏まえてリンディに連絡を入れた。

 

幸い此処でディンギル星系ではないので、この宙域からミッドチルダまで通信は数日の間もなく、直ぐに送受信が出来た。

 

 

ミッドチルダ 地上本部ビルの一角 “海”分室

 

「総合統括官、ジャガーノートの八神艦長より通信が入っております」

 

オペレーターがリンディにはやてから通信が入った事を報告する。

 

「繋いで頂戴」

 

「了解」

 

オペレーターが機器を操作すると、リンディのデスクの上にあったモニターにはやての姿が映る。

 

「はやてさん、ガイアは見つかったの?」

 

『はい。見つけました。艦長、副長、ともに無事でしたが、何者かによって攻撃を受けたみたいで乗員に何名かの殉職者を出したみたいです』

 

はやてからガイアで殉職者を出した件を聞きリンディは神妙な顔つきとなる。

 

「何者か‥‥?」

 

『はい。ハラオウン艦長、副長からは警告無しにいきなり攻撃を受けたみたいです』

 

「管理局の艦を警告無しにいきなり攻撃して来たと言う事は、その艦隊は海賊やテロリストなの?」

 

『その点はこの後で映像解析をします』

 

「そう、分かったわ」

 

『それと、ガイアの捜索を行っている最中、ガイアと共にもう一つの地球に所属する戦艦を発見しました』

 

「もう一つの地球の戦艦ですって!?」

 

リンディも当然これまでの騒動で地球連邦・地球防衛軍の事は知っている。

 

そして、その性能もだ。

 

「それで、何て言う艦が居たの?」

 

『まほろばです。ガイアも最初、まほろばが救助したみたいです』

 

「そうなの?でも、どうして防衛軍の戦艦がそこに?」

 

『どうやら地球連邦がある銀河系で異変が起きたみたいで、その調査に出ていたみたいです』

 

「ミッド周辺で次元震が起きている様にそっちの世界でも異変が起きているのね」

 

『それで、なんですが、リンディさん一つ問題?がありまして‥‥』

 

「ん?なにかあったの?」

 

『実は、まほろばがエンジントラブルがありまして、航行不能の状態なんです』

 

「航行不能?」

 

『はい。なので、まほろばを近くの管理世界に曳航して修理を行いたいのです』

 

「まほろばを管理世界に?」

 

『はい。そこで、リンディさんからまほろばに手出し無用の命令を出してもらいたいんです』

 

「私に?」

 

『はい。まほろばが航行不能と言う事は拿捕しやすい状況下と言う事です。ですが、まほろばを拿捕するような事があれば防衛軍が管理局の行いを許す訳がありません。それにまほろばは当時、執務官だったフェイトちゃんを救助し、今回もガイアを救助した恩人です。そんな艦を拿捕するなんて人として間違っています』

 

「そうね。分かったわ」

 

リンディとしても管理局がMS機関を手に入れたとしても地球連邦の艦の性能を知るためにデータは欲しい。

 

しかし、はやての言う通りまほろばを拿捕すれば、防衛軍を敵に回す事くらい理解できる。

 

なので、リンディは、はやての言うようにまほろばの安全を保障する保証書を発行した。

 

『ありがとうございます。リンディさん』

 

「いいえ、まほろばにはクロノ、フェイトが助けられたんですもの。これくらいはね‥‥」

 

『それとリンディさん、例の水世界について何か分かりましたか?』

 

「実はさっき、スクライア君に連絡をとってみて、それらしき文献に心当たりがあるみたいなのだけれど、まだ全ての文章が解読できていないみたいなの」

 

『解読‥ですか?』

 

「ええ、何処かの古民族が例の水世界についての文章を古代文字で残していたみたいで、スクライア君と勤め先の大学の教授が今、優先的にその文章の解読をしているわ。解読出来たら、はやてさんの下にも教えるわね」

 

『分かりました』

 

リンディとの通信を終えてはやてはギンガに管理局から発行された保証書を渡す。

 

「管理局はこれで、まほろばには手は出さんけど‥‥」

 

「分かっています。こちらも管理局の艦には手を出しません」

 

やがて、ガイアの乗員たちも次々と目を覚ますと、クロノとフェイトが説明をする。

 

そして、ジャガーノートとガイアがまほろばの曳航準備を行う。

 

「大丈夫ですかね?管理局を信じて‥‥」

 

まほろばの中には保証書を得たとは言え、管理局に対して不信感が拭えない者も居た。

 

「とは言え、現状管理局の協力がなければ、まほろばは動く事も出来ない。此処は管理局を信じなければ、地球に戻れない」

 

ギンガとティアナがそこは諭した。

 

「でも、管理局製の部品で直せるんですか?」

 

メイリンが不安そうに訊ねる。

 

所属する組織が異なるので、その組織が採用し、使用している部品が防衛軍所属のまほろばでも使えるのかと言う疑問がある。

 

もしも、管理局製の部品が使えなければ、どの道まほろばは直らない。

 

「いや、そうとも限らないぞ」

 

メイリンの不安をアルバートが払拭する。

 

「管理局艦の調査に行った技術班の結果では、エンジン部に至っては防衛軍の艦と似たような部品が使用されていたことから代用は可能だ」

 

「そうなんですか?よかった」

 

技師長であるアルバートからのお墨付きをもらいメイリンはホッとする。

 

いや、メイリンだけでなく、艦橋に居たメンバー全員が同じ気持ちだっただろう。

 

そして、まほろばはジャガーノートとガイアの二隻の手によって曳航された。

 

まほろばが曳航されたのは第61管理世界スプールスであった。

 

この世界は機動六課発足前のキャロが自然保護隊で過ごしていた世界であり、自然豊かで希少生物の楽園でもあるので、そうした生物学上の理由から開発は抑えられていたが、“海”による次元航行艦の建艦拡大の余波を受けてこの世界でも造艦ドック、修繕ドックが建設され、管理局が決めた自然保護区を除く土地は次々と開発されていった。

 

当時、その開発案が出た時、現地の自然保護隊員たちは当然その開発案に反対した。

 

開発の影響による自然破壊と生態系の影響を懸念したのだ。

 

しかし、“海”にしてみれば、スプールスの自然がいくら破壊されようが、現住生物が絶滅しようが関係なく、最低限人類が住める環境があれば良いわけであって、重要なのは自然や現住生物よりも次元航行艦を建造し、戦力を蓄える事の方が重要であった。

 

リンディからの通達はスプールスの支部にも連絡が伝わっており、まほろばの受け入れはすんなりといった。

 

「キャロの話では、スプールスは自然豊かな世界って聞いていたけど‥‥」

 

今回、初めてスプールスへとやって来たフェイトは、以前キャロから聞いていた世界観と全く異なるスプールスの現状にギャップを覚える。

 

大気はよどみ、都市部の開発は今も行われており、森林が重機によってなぎ倒され、港湾地区周辺の海水は濁っている。

 

「管理局が推し進めた開発計画で、スプールスの自然環境は大きく変化してしまったらしい‥‥湖は枯れるか水質が汚染され、大地も酸性雨による森林減少で砂漠化が進んでいると聞く。そんな中でも開発計画はまだ続いている」

 

クロノがスプールスの変貌理由をフェイトに教える。

 

「でも、此処は本来、自然保護世界でしょう?それがどうしてこんな事に‥‥」

 

自然保護世界は文字通り自然豊かな世界の自然と現住生物の保護を目的とした世界であり、本来は人の手、人が入植する事さえ、憚れる世界の筈だ。

 

「管理局‥“海”の強引な強兵政策のせいだろう。管理世界全てに次元航行艦の造艦所を建設して、次元航行艦を増やし、管理局の戦力を増強する狙いだ。いくら魔法があり、強力なMS機関があると言っても次元航行艦は一朝一夕では作れない。だからこそ、管理局は造艦所の数を増やして次元航行艦の数を増やそうとした。その結果がこれだ」

 

「‥‥」

 

「正直、此処は空気が悪い。本来ならば寄りたくもない世界ではあるが、せめてまほろばの修理が終わるまでは近くで見守るつもりだ」

 

「えっ?どうして?」

 

「いくら総合統括の保証書があるとは言え、絶対にまほろばにちょっかいをかけないとは言い切れない。何かしらの事態が起きないように近くで監視する必要があるだろう?」

 

「た、確かに‥‥でもまさか、まほろばではなく同僚の方を監視するとはね‥‥」

 

監視対象がまほろばではなく、同じ管理局員の方を監視するとは‥‥自分たちが所属する組織が信頼できないとはまったく笑えない。

 

「はやての方にも伝えておくよ」

 

「ああ、そうしてくれ」

 

フェイトは、はやてに同僚がまほろばにちょっかいを出さないように監視する旨を伝える。

 

『なるほど、クロノ君の言う事も尤もやな、分かった。こっちでもバカがギンガたちにいちゃもんをつけないか監視しとくわ』

 

まほろばが停泊した両脇にガイア、ジャガーノートが停泊し、管理局側からみるとガイアとジャガーノートがまほろばを監視しているかのような構図であるが、実際は管理局からまほろばを守っていた。

 

ドックへと入ると早速、管理局から提供された修理用部品とドックでまほろばの技術班は艦の修理に取り掛かる。

 

「技師長の言う通り、多少構造の違いはあるが、管理局から支給された部品でも何とか直りそうだな」

 

「でも、部品の構造が、以前、ガルマン・ガミラスから提供のあったボラー連邦の規格に似ているな‥‥」

 

「管理局とボラー連邦が協力体制にあると?」

 

「いや、それならこれまでの戦闘で管理局の艦が姿を見せないのはおかしい」

 

「管理局でも波動エンジンに似ているエンジンを使っているみたいだし、やはり何処か似るものなのだろう」

 

修理をしながら管理局の部品とボラー連邦で使用されている部品が似ている件について、エンジンが似ているので、使用する部品も自然と似るのだろうと思い、深くは考えずに修理を進めるまほろばの乗員たち。

 

当然彼らは管理局の艦が元ボラー連邦の技術士官の手によって設計されたとは思いもよらなかった。

 

修理が進む中、戦闘班は甲板上で歩哨を行い、生活班も厨房や艦内の設備点検を行う。

 

機関部も技術班と共にエンジンの修理を行い、ギンガも元はまほろばの通信長だったので、メイリンと共に通信設備の点検をする。

 

ティアナとうららはまほろばの火器管制システムのチェックを行っている。

 

まほろばで艦の修理が行われている中、フェイトとクロノはジャガーノートに赴き、フェイトがはやてとクロノに機動六課稼働直前に起きたギンガの次元漂流事件とその後についてを語っていた。

 

「今から見せる映像は、公式ではもう一つの地球に充満しているAMAの影響でバルディッシュに記録されていない‥って事になっているからクロノもはやても絶対に他の人に口外しないでね」

 

「了解や」

 

「分かった」

 

ギンガが巻き込まれた次元震は一種のワームホールであり、ギンガはミッドチルダ近海からヤマト世界の火星まで一気に次元漂流してしまった。

 

その次元漂流していたギンガを助けたのが、後々にギンガの旦那となる良馬だった。

 

ギンガが次元漂流したヤマト世界の地球は当時、ガミラスと言う星間国家と戦争をしていた。

 

いや、これは戦争と言うよりもガミラスの一方的なワンサイドゲームであった。

 

冥王星から放たれる遊星爆弾で地球の海は枯れ果て、カラカラの放射能が充満する星となり、人類をはじめとする生物は地下へと逃げ込む。

 

しかし、その地下にも放射能がじわじわと迫り、2200年には人類は絶滅すると推定された。

 

(話には聞いていたが、実際に映像を見ると、当時の地球の惨状は地獄の様だな)

 

(ギンガが次元漂流した地球の歴史は私やなのはちゃんが産まれた地球とは違うけど、地球があんな星になるのはやっぱり辛いわ‥‥)

 

クロノもはやても赤く痛々しい地球の姿に胸を打たれる。

 

(それにしてもこんな世界にギンガは一人、次元漂流していたんやな‥‥)

 

まさに孤立無援状態のギンガにはやては同情する。

 

防衛軍がガミラスとの戦いで壊滅してしまい、地球人類は絶滅を待つしかなかった‥‥と、思われたが、救いの手がイスカンダルから齎される。

 

イスカンダルにある放射能除去装置があれば、地球に充満する放射能を除去することが出来る。

 

その為の波動エンジンの設計図が地球へと送られ、地球で初めて波動エンジンを搭載した宇宙戦艦ヤマトはイスカンダルへと旅立って行った。

 

それから一年半後、地球はイスカンダルから齎された放射能除去装置の手によって、救われ、地球本土を復興させ、その勢いを太陽系内惑星へと押し広げた。

 

(僅か一年ちょっとで絶滅寸前だった所を此処まで復興し、成長したとは‥‥)

 

管理局もボラー連邦への武力制裁の失敗後から今は復興し成長したが、その復興スピードは地球の方が早い印象を受ける。

 

ヤマトがイスカンダルに向かっている最中、地球に居るギンガは防衛軍士官学校へ入学を決めて、無事に編入試験を突破して士官学校へと入校し、防衛軍軍人を目指していた。

 

ギンガが士官学校を卒業し、最初の勤務地がまほろばの通信長でそこからしばらくまほろばの通信長任務をこなした。

 

その間も地球は彗星帝国、暗黒星団帝国に狙われ、暗黒星団帝国との戦いでは、地球は一時同帝国の占領下になるほどの被害を受けた。

 

地球が占領されて、重核子爆弾によって地球人類全てが人質にされながらも地球人類は諦めず、地球本土では占領軍相手にパルチザン活動を行い、宇宙でもヤマトを中心とした地球艦隊が広大な宇宙から暗黒星団帝国の本星を見つけ出し、重核子爆弾からの脅威を取り去った。

 

暗黒星団帝国側から見れば、地球のパルチザンたちは悪であるが、地球側から見れば、暗黒星団帝国が悪になる。

 

戦争に置いてはそれぞれがそれぞれの正義を掲げて戦い、負けた方が悪となる。

 

ヴィヴィオ、フェイト、ティアナたちに管理局が謳う正義が果たしてこの世の全ての正義なのかを疑問視するきっかけとなる出来事であった。

 

もう一つの地球が辿った戦いの歴史を見たクロノとはやてもそう感じ始める。

 

暗黒星団帝国との戦いの後、フェイトはヴィヴィオと共にミッドチルダへと戻ったので、その後のギンガの暮らしは先ほどざっとではあるが、ギンガ自身が語っていた。

 

「私らが機動六課でスカリエッティ相手にヒィヒィ言っていた時、ギンガはそれよりも、もっと過酷な環境に居たんやな‥‥」

 

「うん。私も向こうの世界でギンガに会って聞いた時は、ギンガの苦労は勿論のこと、精神的疲労も凄かったと思う」

 

「せやな、何しろギンガはもう一つの地球じゃあ、孤立無援やったからな‥‥」

 

はやても自分の両親が死去してから九歳の誕生日に闇の書が稼働するまで、車椅子生活で独り孤独な生活をした時があったが、周囲に知人が誰も居らず、しかも住んで居る世界があと一年で滅んでしまうかもしれない状況では、ギンガの方が圧倒的に厳しい。

 

「そんな環境下の中で今のギンガは結婚して、子供も居る‥‥幸せになっても良いと思うよ」

 

ギンガがもう一つの地球で経験した境遇を思うと今のギンガが地位と家庭を築いているのは彼女の運も関係しているが、ギンガ自身の努力と精神力の強さが成し得た賜物なのだろう。

 

「あっ、そこや!!」

 

「ん?」

 

「どこ?」

 

「ギンガとティアナ、結婚して子供が居るんやろう?」

 

「うん。本人たちが言っていたし‥‥」

 

「二人の子供ってどんな子なんやろう?」

 

「そう言えば、写真や画像とか見せて貰ってないな‥‥結婚は兎も角、子供が居るって言うのが嘘‥‥いや、真面目なあの二人が嘘なんて言う訳がないか‥‥」

 

「フェイトちゃんもギンガとティアナの子供たち‥‥ちょっと気にならへん?」

 

はやてのこの言葉にフェイトもギンガとティアナの子供がどんな子なのか気になり始めた。

 

「確かに気になるけど、ギンガとティアナが子供の写真か画像を持っているかな?」

 

「ん?僕は持っているぞ、家族写真」

 

フェイトは二人が自分の子供の写真・画像を肌身離さず持っているのか気になった。

 

すると、クロノは妻であるエイミィと子供たちの写真を持っていると言う。

 

「船乗りは一度出航すると何ヶ月も戻れない。当然、家族とも会えないから、こうして家族写真は持ち歩く。月村艦長も多分持っているんじゃないか?」

 

「「‥‥」」

 

クロノが家族写真を身に着けている訳を話すとはやてとフェイトは何とも言えない表情でクロノを見る。

 

「ん?二人とも、どうしたんだい?」

 

「い、いや‥‥」

 

「クロノ君、それってあれか?結婚していない私たちへの当てつけか?」

 

はやてがジト目でクロノに訊ねる。

 

「いや、はやてにはシグナムたちが居るじゃないか」

 

「それで、どうする?ギンガとティアナに聞いてみる?」

 

「せやな。特にギンガの場合、ゲンヤさんにとっては孫にあたる子やしな」

 

はやての言う通り、ギンガの子供はゲンヤにとっては孫、スバルたちには姪っ子にあたる子なので、写真・画像がコピーできるならば、コピーして渡したいと思っていた。

 

(ギンガ、ティアナ)

 

二人が今、まほろばで何をしているのか分からないので、はやては二人に念話を送ってみた。

 

(ん?はやてさん?)

 

(なんでしょう?)

 

すると二人は、はやての念話に答えてくれた。

 

(あんな、時間がある時でええんやけど、二人の子供の写真見せてもらってもええかな?)

 

(えっ?)

 

(子供の写真ですか?)

 

(うん。特にギンガの方は、ゲンヤさんには孫、スバルには姪か甥にあたる子やろう?写真か画像をコピーできるんやったら、渡してあげたいし‥‥)

 

(分かりました)

 

(では、お昼ごろ、はやてさんの艦に行きますね)

 

(ありがとな、二人とも)

 

「はやて、ギンガ、とティアナ何だって?」

 

「ええって、お昼ごろにこっちに来てくれるみたいや」

 

「そう‥楽しみだな。ギンガとティアナの子供‥どんな子なんだろう?」

 

写真か画像とは言え、フェイトはギンガ、ティアナの子供がどんな子なのか気になったので、見るのが楽しみであった。

 

それかから昼時‥‥

 

「あれ?艦長、副長、どちらへ?」

 

「此処は管理局の勢力下なので、あまり外を出歩くと危険ではありませんか?」

 

「ちょっと、八神艦長に今回の件でお礼を言いにね」

 

「は、はぁ‥‥気をつけてください」

 

「大丈夫よ。少なくとも今回、まほろばを曳航した管理局の艦の艦長さんたちはね」

 

ギンガは本来の目的と共に、こうしてまほろばをドックに曳航し、修理に必要な部品を提供してくれた事を含めジャガーノートに赴く理由を乗員に伝え、ティアナと共にはやてたちが待つジャガーノートへと向かった。

 

「「失礼します」」

 

ジャガーノートのタラップの出入り口にはフェイトが二人を出迎えて、艦長室まで案内した。

 

「いらっしゃい、ギンガ、ティアナ」

 

艦長室では、部屋の主であるはやてが二人を出迎える。

 

「早速なんやけど、二人の子供の写真か画像見せてもらってええか?」

 

「ええ、どうぞ」

 

二人はデバイスに記録されていた画像ライブラリーを開く。

 

「結構、記録しているんだね‥‥」

 

フェイトはその画像ライブラリーにあるフォルダの数を見て若干顔を引き攣らせる。

 

「ん?結婚式‥‥結婚式の画像もあるんか?」

 

はやては数あるフォルダの中から二人の結婚式のフォルダを見つける。

 

「はい」

 

「大切な思い出なので‥‥」

 

「‥‥そっちも見せてもらってええ?」

 

「ええ‥‥」

 

「いいですよ」

 

二人はまず、順番的に子供よりも結婚式の方が先だと思い、まずは結婚式の画像をはやてたちに見せる。

 

「ティアナのウェディングドレス姿なかなか似合っているよ」

 

「あ、ありがとうございます」

 

「隣の男の人がティアナの旦那さんか‥‥」

 

「はい」

 

(へぇ~なかなかの男前やん)

 

はやてはティアナの旦那である北野の姿を見て、なかなかの男だと思った。

 

「ん?ギンガはウェディングドレスじゃないけど、これも花嫁衣装なの?」

 

ミッドチルダでも結婚式の花嫁の衣装はウェディングドレスなのだか、ギンガはウェディングドレスとは異なる衣装を身に纏っていた。

 

「ああ、ギンガは白無垢の和装で式を挙げたんやな」

 

「えっ?これも花嫁衣装なの?」

 

「せや、日本式の花嫁衣装みたいなモンやな。しかし、珍しいな」

 

「はい。旦那さんの実家では海鳴の地元の神社での結婚と決まっていたので‥‥」

 

「ふーん‥‥ん?ギンガ。ギンガ以外にも白無垢姿の女の人が居るんやけど、別の結婚式の花嫁さんなんか?」

 

「いえ、その人も私の旦那さんのもう一人の奥さんですよ」

 

「はぁ!?もう一人の奥さん!?」

 

「えっ?ギンガの旦那さん‥‥月村艦長って奥さんが二人居るの?」

 

「ええ‥私たちが結婚式を挙げる少し前に、人口減少の歯止め対策として一夫二妻制が採用されたんです」

 

「一夫二妻‥‥」

 

未来の地球で採用された夫婦の人数が改訂された法律を聞いて驚くフェイトとはやて。

 

「ティアナの旦那さんもティアナ以外の奥さんが居るの?」

 

一夫二妻制が採用されたのであるならば、ティアナの夫にもティアナ以外、もう一人奥さんがいるのかを訊ねるフェイト。

 

「いえ、家は一夫一妻ですよ。もっとも哲さんはもう一人の奥さんを迎える権利がありますが、今の所、予定は無いみたいですが‥‥人口減少とは言え、絶対に二人の奥さんを娶らなければならない訳ではありませんし‥‥」

 

「そ、そうなんだ‥‥」

 

「ギンガたちの居る地球は随分と思い切った政策をするんやな」

 

「まぁ、ガミラス、彗星帝国、暗黒星団帝国との戦争で地球の人口は随分と減ってしまいましたからね‥‥」

 

「‥‥ねぇ、ギンガ」

 

「はい?」

 

「月村艦長のもう一人の奥さん、何だかイスカンダルのスターシア陛下に似ている様な気がするんだけど‥‥」

 

「ええ、良馬さん‥私の旦那さんのもう一人の奥さんは、イスカンダルのスターシア陛下の娘さんですよ」

 

「えっ!?スターシア陛下の娘さん!?でも、あの時、出会った娘さんたちはまだ赤ん坊だったよね?」

 

フェイトとティアナが救助された際に行われた第二次イスカンダル遠征の時に出会った古代守とスターシアの双子の娘、サーシアとユリーシャはまだ赤ん坊だった。

 

あれから何年かが経ったが、それでも画像の様な大人の女性に成長するには時期が合わない。

 

「はい。でも、イスカンダル人の成長速度は特殊なんです」

 

「特殊?」

 

「ええ、イスカンダル人は赤ん坊の時間が物凄く短くて、一気にある程度の年齢相まで成長して、その後は地球やミッドの人と同じ成長速度になるんです」

 

「へぇ~変わった体質なんだね」

 

「それで、こっちが妊娠した時の画像です」

 

ギンガとティアナが結婚後、妊娠している時の画像を表示する。

 

二人とも下腹部が大きく膨れており、お腹の中に新たな命を宿している証拠だ。

 

妊娠の次は出産直後の画像となる。

 

産まれたばかりの我が子を抱くギンガとティアナの周囲には家族が新たな家族の誕生を祝福しているかのように満面の笑みを浮かべており、ギンガとティアナも出産で体力を使い果たしたにもかかわらず、家族と同じく笑みを浮かべている。

 

その後は我が子の成長日記となっており、徐々に大きくなっていく子供たち。

 

「ティアナの息子君はきっと将来イケメンになりそうやな」

 

「分かります?そうなんですよ、目は哲さんに似ているでしょう?哲さんもイケメンで‥‥」

 

と、はやてがティアナの子供の将来について呟くとティアナは目を輝かせて自分の息子の可愛さと旦那である北野の惚気話を始める。

 

それもかなり饒舌に‥‥

 

はやてとフェイトにしてみれば、ティアナの知らない一面を垣間見た。

 

「うん。その気持ち、分かるな‥エイミィも近所のママ友さんたちに子供たちの自慢をしていたからな‥‥」

 

クロノは子供を持つ親としてティアナの気持ちが理解できた。

 

「それで、ギンガの子は‥ギンガそっくりやな」

 

「はい。髪の毛の色は良馬さん譲りの黒髪ですが、容姿は私に似ていると思っています」

 

(ギンガもティアナもええなぁ~‥‥)

 

(子育ての大変さもあっただろうけど、それを差し引いてもギンガもティアナも幸せそう‥‥)

 

結婚から妊娠、出産、子育て中のギンガ、ティアナの画像を見て改めて現状のギンガとティアナを羨むはやてとフェイトであった。

 

一通り、画像を見た後、ギンガはゲンヤとスバルに渡す為の画像データをコピーしてはやてに渡す。

 

「ティアナもスバルに現状を教えるために渡す?」

 

「そうですね。お願いします」

 

 

フェイトがティアナに今の自分の事を知らせるためにスバル宛てに画像を渡すが訊ねると、ティアナはフェイトにギンガと同じ様に地球に残ってからの画像データをコピーしてフェイトに渡した。

 

「はやてさん、父さんとスバルは元気ですか?」

 

画像データを渡している時にギンガは、はやてにミッドチルダに居るゲンヤとスバルの様子を訊ねる。

 

「元気やで、ゲンヤさんは管理局を定年で退官したけど、コミュニティーセンターに行って色んな習い事をやって第二の人生を楽しんどるし、スバルも特別救助隊のエースとして活躍中や‥何年か前には結構大きな事件を解決しとるし」

 

「そうですか‥‥二人が元気なら良かったです、もう会う事もないかもしれませんし‥‥」

 

ギンガとしては自分の娘をゲンヤとスバルに会わせたいと思いつつも地球連邦政府とミッドチルダが交流をもっていない以上、それは難しいと理解している。

 

しかし、今回予期せずにこうしてはやてたちに再会して今の自分の現状を画像とは言え、スバルたちに教えることが出来たのは幸いだと思った。

 

同僚を失い傷心のユーノ、そんな彼の身を案じたなのはの今後の進展について

  • 付き合っちゃえ
  • お友達のままで
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