水惑星アクエリアスが接近しつつあるミッドチルダでは、管理局がミッドチルダに住む全住民に対してアクエリアスの接近と共に全住民を避難させる旨をミッドチルダ全域に通達をした。
その結果、ミッドチルダの住民たちの間には困惑と不安が広がり、それはミッドチルダ全体へと広がり、あちこちでパニックが起こる事となった。
住民の避難計画を進めている中で、リンディはアクエリアスが24時間おきに150光年もの距離を移動しているこの現象は自然に移動している訳でもミッドチルダ近海で頻発している次元震が影響している訳でもなく、人為的なモノだと判断した。
リンディのその推測を聞いたはやてはその推測に賛同する。
そして、アクエリアスをミッドチルダに近づけているのはボラー連邦の仕業ではないかとリンディは予測するが、はやてはそれについてはまだ証拠が掴めていないので、これがボラー連邦の仕業であると言い切れなかった。
混乱しつつもミッドチルダに住む住民たちの避難活動が始まった頃、ミッドチルダにアクエリアス以外に新たな脅威が迫りつつあった。
管理局が第九無人世界と定め、かつてJS事件の主犯であるジェイル・スカリエッティが収容されていた刑務所があるグリューエン。
そのグリューエンの近くにはアステロイドが存在しており、そのアステロイドの中に潜む巨大な物があった。
それは、ザール率いるミッドチルダ閉塞を任務とするディンギル軍の侵攻艦隊であった。
ウルクを出撃後、ワープを重ねて第九無人世界グリューエン近海まで進出していたのだ。
「参謀」
「はっ」
「ちょうどうまい具合の宙域に小惑星帯があったものだな」
「おっしゃる通りです。幸先のいい事ですな」
「うむ‥これならば、敵のレーダーにも索敵にも引っ掛かるまい‥だが、此処に来るまでに敵のレーダーや監視衛星に発見された事も考慮しなければならないな」
「はい」
「もしも、敵が我々の存在を探知したとなると、今頃連中は躍起になって我々を捜していると言う事か‥‥」
「恐らくは‥‥」
「まぁ、そこまで深刻に思う事でもあるまい。まもなく、我々は作戦を実行するのだ。そうなれば、否が応でも敵に我々の存在は発見されるのだかららな」
「はい。そうですね」
「各艦の発進状況はどうか?」
艦隊旗艦である移動要塞母艦では収容している戦闘艦の発進準備が行われていた。
「上甲板の戦艦部隊燃料補給完了」
「右舷係留中の空母部隊、艦載機部隊全機補給完了」
「艦内収容中の水雷艇母艦群、全艦発進準備完了」
「左舷係留中、高速戦艦部隊燃料補給完了」
「殿下、全艦出撃準備完了しました。いつでも出撃出来ます」
移動要塞母艦の艦橋ではザールが次々とあがる報告に耳を傾けていた。
「うむ」
(いよいよ、始まるな‥‥)
(この戦いこそ、我らがディンギルの未来に関わる重要な戦いだ)
(大総統の命を受けてのこの作戦、失敗は決して許されない)
(ミッドチルダがどれほどの戦力を有しているのかは不明であるが、恐るるに足らない存在に違いない)
自身が指揮する艦隊を見て、ザールは既にミッドチルダを征服したつもりでいた。
「殿下、ウルクのルガール大総統より通信が入っております」
「うむ、繋げ」
「了解」
移動要塞母艦の艦橋にあるモニターには自身の父親であり、ディンギル帝国大神官大総統であるルガールの姿が映し出される。
「ルガール将軍、そちらの様子はどうだ?」
「はっ、ご報告いたします」
ルガールに問われ、ザールはキッと姿勢を正す。
いくら親子の仲とは言え、今は公人として接しているので、その辺りはしっかりとしていなければ、部下たちに示しがつかず、何よりもディンギル帝国大神官大総統としての父親の威厳にも関わる。
「大総統、我々はミッドチルダの近くまで敵の妨害なく進出し、これより制圧作戦に着手いたします」
『うむ、よろしい』
ルガールは頷き、ウルク側の状況をザールに伝える。
『我がウルクとアクエリアスは既に六回のワープを終え、ミッドチルダから約二千百光年の位置にある。これで行程の三分の一を踏破した。ミッドチルダ水没まであと十四日だ。ルガール将軍、直ちに閉塞作戦を実行せよ。よいか?ミッドチルダから一人たりとも逃してはならんぞ』
「承知しました。私も前線へ向かい陣頭指揮を執りたいと思います」
「うむ。将軍たちの勇敢なる将兵たちに神々の栄光と加護があらんことを‥‥」
ルガールは励ましの言葉と共にパネルから姿を消した。
「参謀、作戦開始だ。私もガルンボルストに乗艦し、指揮を執る」
「承知しました」
ザールと参謀は移動要塞母艦の艦橋から、戦艦ガルンボルストへと移乗する。
「全艦、出撃!!」
移動要塞母艦からは戦艦ガルンボルストを旗艦とする戦闘艦隊は旗艦ガルンボルスト以下、カリグラ級高機動巡洋戦艦を主力とした戦艦八隻、左翼側に別動隊として水雷艇母艦三隻、更に別動隊に空母六隻が移動要塞母艦から出撃した。
都市衛星ウルク 大総統府
「大総統、ルガール殿下の制圧艦隊は作戦を開始、次々と出撃しました」
「うむ」
オペレーターからザールたちの作戦始動の報告を受け、ルガールは大総統府から宙を見上げる。
そこには、青々とした水惑星アクエリアスが浮かんでいる。
(すべて順調に進んでおるな‥‥)
ルガールはアクエリアスを見上げながら後ろ手に手を組んで自らが立案した作戦に思いを寄せる。
(この世は強き者が栄えるために存在するのだ。弱きミッドチルダの民は滅ぼされて当然なのだ‥‥弱き者は存在する価値はない。ならば、この私が引導を渡してやる!!)
(そして、強きディンギルの民はミッドチルダの民を滅ぼした後、その地にて新たな帝国を建国するのだ!!この世で最も強い帝国を!!)
(ミッドチルダの民を排除し、移住可能になるまでどれくらいの日数が必要だろうか?)
ルガールは既にミッドチルダの民を水没させて絶滅させた未来まで見通していた。
彼にとって、ミッドチルダの抵抗‥‥管理局など例えディンギルの全戦力が整っていない状態でも勝てると思っていた。
ディンギルの‥‥自身の未来を想像し、ルガールはくっ、くっ、くっ、と口角を僅かに上げて笑う。
(アクエリアス‥‥我らが故郷を水没させた罪深き星よ‥‥今度は我らが新たなる故郷を得るために利用させてもらうぞ‥‥)
アクエリアスを見つめる彼の眼はつり上がり、その眼には狂気の光をおびていた。
他人には決して見せない表情だった。
第61管理世界 スプールス 管理局次元航行艦ドック
アクエリアス、そしてミッドチルダを狙うディンギル軍が襲来しようとしている中、まほろばが停泊しているスプールスでは、はやてがガイアを襲撃して来た敵対勢力の解析を行おうとしていた。
ガイアもディンギル軍からの攻撃で被害を受けていたので、まほろば同様、スプールスで修理を受けていた。
修理の他にクロノはディンギル軍の攻撃で殉職した乗員、負傷し乗員のリスト作成などの処理に追われていた。
修理作業の指揮は、ドックの作業長に任せ、副長のフェイトはサーチャーを使用してのまほろば周辺の監視を行っていた。
そんな中、はやてがクロノにディンギル星系でガイアが突如、攻撃を受けた件にいて訊ねて来た。
「えっ?あの時の状況?」
『せや、一応管理局の艦に対して無警告でいきなり攻撃を仕掛けてきたんや。またいつ敵対して来るか分からへん相手や。そこで、相手の正体を突き止める必要があると思うんやけど‥‥それともう一つ、実は今、ミッドである問題が起きているんや』
「ある問題?」
『うん。詳しい事はそっちに行ってから伝えるから、襲撃された時の記録映像を用意しておいてや』
「分かった」
ディンギル星系での襲撃時の映像解析を行うクロノたち。
はやてとフェイトもその場に立ち会った。
「それで、ミッドで起きている問題って一体何なんだい?はやて」
「えっ?ミッドで起きている問題?どういう事?はやて」
「まずはそっちを話すな」
はやてはクロノとフェイトに今、ミッドチルダで起きている問題‥‥水惑星アクエリアスがミッドチルダに接近している問題を二人に伝えた。
「そんな事がミッドに!?」
「大変じゃない!!」
クロノもフェイトもミッドチルダの置かれた現状を聞き、驚愕する。
二人にとってはまさに寝耳に水だったのだ。
「まぁ、その点はミッドのリンディさんに任せてあるから大丈夫だと思うけど‥‥」
「それで、はやて。ミッドを水没から救う手立てはもうないのか?」
クロノがはやてにミッドチルダを救う方法がもうないのかを問うと、
「‥残念やけど、もう何もかもが手遅れで‥‥」
「「‥‥」」
ミッドチルダを水没から救う方法が無く、一時的とはいえミッドチルダから脱出しなければならない事に二人は意気消沈する。
「まさか、あの水世界が‥‥」
「でも、あの世界がミッドに来るまで六千年はかかる筈だぞ」
「それについてはもしかしたら、関連があるかもしれへん事態があるから後で話すわ」
「それで、避難活動はもう進められているのか?」
「うん。民間の船舶会社から次元航行船を徴用してミッドの住人たちを避難させる活動を始めたみたいや‥‥」
「それで、間に合うの?」
「管理局はギリギリ間に合うって言うとるけど‥‥」
避難はまだ完了しておらず、これから始まるのだ。
アクエリアスがミッドチルダを水没させるまでに住民たち全てが避難できる確証がなく、更にミッドチルダにはなのはやヴィヴィオ、リンディと大切な人たちが居るのだから不安になるのは当然だった。
「それで、本来なら六千年かかる筈の水世界がどうしてこんな短期間でミッドに迫っているのか、その原因は分かっているんだろう?」
「詳細はまだ不明やけど、例の水世界は24時間おきに150光年の距離を縮めているんや」
「24時間おきに150光年の距離を縮めている!?」
「そんな事ありえるの!?」
「普通ならありえへん。それにここ最近、ミッド周辺で起きている次元震の影響とも思えへん」
「次元震の影響ではない?」
「うん。それに無人の世界が24時間おきに決まったルーティンみたいに150光年の距離を縮めて来るなんて事もありえへん」
「って事は‥‥」
「ああ、誰かが人為的にこの水世界をミッドに近づけているっちゅうことや‥‥しかもそれは一介の海賊やテロリストの仕業やない‥‥もっと大きな組織‥どこかの国家と見た方がええやろう」
「どこかの国家‥‥うーん‥‥」
「リンディさんはボラー連邦の仕業やないかと思うとるみたいや」
「ボラー連邦!?」
「確かにボラー連邦ならば、管理局に‥‥ミッドに報復をやりかねないな。彼らはブラックホールを生成することが出来る特殊な砲を作る事が出来るくらいの技術を有している。彼らの技術ならば、世界一つを移動させる技術を持っていてもおかしくはないな‥‥」
「あの時、水没した世界と同じ事がミッドでも起こるって言うの?」
「このままやとそうなるな」
「‥‥」
「あの水没した世界と同じ事がミッドチルダでも‥‥」
クロノはリンディと同じく、アクエリアスをミッドチルダに近づけているのはボラー連邦の仕業ではないかと思った。
そして、フェイトはディンギル星と同じ水害がミッドチルダでも起きる事に意気消沈する。
あの星の出来事はフェイトにとって大勢の仲間を失い、要救助者を一人しか助け出すことが出来なかった辛い出来事だった。
このままでは、あの時と同じ出来事がミッドチルダでも起こるかもしれない事にフェイトもクロノも表情が暗い。
「クロノ君たちが例の水世界を発見したのと、襲撃を受けた距離が近い事からもしかしてクロノ君を襲撃してきた犯人と水世界をミッドに近づけている犯人が同一かもしれへんで」
「なるほど」
はやてからミッドチルダの現状とガイアを攻撃してきた襲撃者が今回の騒動の関係者かもしれないと言う事で、クロノたちは早速襲撃を受けた時の映像解析を行う。
「これやな、ガイアがやれたミサイルは‥‥」
モニターにはガイアにハイパー放射ミサイルが突き刺さった時の映像が表示される。
ミサイルがガイアの装甲板に命中すると、弾頭部が装甲を高熱で溶かすかのようにして、ミサイルがガイアの内部へと入り込む。
すると、胴体部が縮んで起爆した。
「ああ。ドクターバンが言うにはこのミサイルがガイアに命中した直後に艦内の放射線の量が異常に増えたと言っていたな‥‥」
「うん。ガイアの救助を行ったまほろばでも艦内の放射線量が多くて一度、コスモクリーナーを使って艦内の空気清浄をしてから救助したってギンガが言っていた」
「となると、このミサイルは通常のミサイルと違って、艦内に放射性物質を送り込んで乗組員を殺傷する兵器って事やな」
「それで、このミサイルをガイア撃ち込んで来たのは‥‥」
フェイトは機器を操作してこのミサイルを撃ち込んで来た艦隊の姿を映そうとするが、
「あ、あれ?映像が‥‥」
モニターの映像をズームすると、映像がぼやける。
「ノイズフィルターをかけて最大望遠をしてこれか‥‥」
「これじゃあ、襲撃者の正体が分からへんな‥‥」
ミサイルの性能が分かっても肝心の襲撃者の姿が上手く映らないのでは、ボラー連邦の仕業なのか、それとも異なる勢力なのか確認できない。
「まほろばのコンピューターなら、解析できるかな?」
すると、フェイトはガイアがダメならば、まほろばならば、解析できるかもしれないと呟く。
「えっ?まほろば!?」
「まほろばに解析を依頼するんか?フェイトちゃん」
「うん。あくまでも解析をしてもらうだけだから、まほろばに手を出す訳でも、こちらが機密を教える訳ではない筈だし‥‥」
「うーん‥まぁ、ギリギリの許容範囲かな?」
いくら自分たちがギンガと顔馴染みとは言え、所属する組織が異なるので、親しき中にも礼儀ありなので、ガイアを襲撃した犯人の映像解析をしてもらえるか、また別の組織に所属するギンガにその映像を渡して大丈夫なのか?
そんな疑問が浮かぶが、フェイトとはやては許容範囲内なので問題はないと判断する。
「一先ず、まほろばの月村艦長に事情を説明して、解析をしてもらえるかを聞いてみよう」
クロノたちはガイアを襲撃してきた襲撃者の正体を探るためにまほろばの協力を得ようとするが、まずはまほろば艦長のギンガが協力を了承する事、
仮にギンガが協力を了承したところで、まほろばのコンピューターで解析が出来るかと言う疑問点が残った。
しかし、物事はやってみないと分からないので、一先ずギンガに協力を求める事から始める。
(ギンガ、ギンガ、ちょっとええか?)
はやてはギンガに再び念話を送る。
(はい?なんでしょう?管理局に何か動きがあったんですか?)
ギンガは、はやてから念話が来たので管理局がまほろばに対して何らかの動きをしてきたのかと思った。
(ちゃう、ちゃう、実はまほろばのコンピューターである映像を解析してもらいたいんや)
(ある映像?)
(ギンガは、クロノ君とフェイトちゃんの艦が何者かに襲撃された事は知っとるやろう?)
(ええ、初めて会った時、損傷箇所や艦内に放射性物質が充満していたので攻撃をうけたのだと判断出来ましたから‥‥)
(それで、その襲撃者を捉えた映像をまほろばのコンピューターで解析して欲しいんや。こっちのコンピューターでは限界があって鮮明に出来なかったんや)
(なるほど‥‥でも、良いんですか?それって管理局内の機密情報になりませんか?)
(私もクロノ君も襲撃者には心当たりがあるから、あくまでも確認作業って所で、そこまで機密性は高くないから大丈夫や)
(心当たりって、それはどこかの犯罪組織ですか?)
ギンガとしては自分がこの世界に来る切っ掛けとなったあの美術品窃盗団の事が脳裏を過った。
(いや、犯罪組織やない。もっと規模が大きな所や)
(犯罪組織よりも規模が大きいってもしかして何処かの星間国家なんですか?)
(せや‥ボラー連邦っちゅう星間国家や)
(ボラー連邦!?)
ギンガとしては、はやてからまさか聞き慣れた星間国家の名前が出て来た事に驚愕する。
(ん?なんや?ギンガは知っとるんか?)
(はい。ボラー連邦は地球連邦と敵対していた星間国家です)
(なんやて!?)
一方、はやての方もボラー連邦がギンガたちが居る地球と戦っていた事に驚愕する。
(でも、どうして管理局がボラー連邦と敵対しているんですか?)
ギンガは管理局とボラー連邦が敵対している事に驚くもその原因は不明なので、はやてにどういった経緯があって管理局とボラー連邦が敵対関係になったのか気になった。
少なくとも自分がまだ管理局に在籍している頃はボラー連邦なんて名前の星間国家は聞いたことがないので、自分がミッドチルダからもう一つ地球に次元漂流後に何かしらの事が起きて管理局とボラー連邦は敵対関係になった事は容易に想像がつく。
更にフェイトとティアナが自分同様、次元漂流した時、既に管理局とボラー連邦は敵対関係になっていたのかもしれないが、管理局員であるフェイトとティアナが次元漂流した身で防衛軍側に管理局の内情をベラベラと話す訳にもいかなかったので、黙っていたのかもしれないが、地球連邦がボラー連邦と敵対した時、ティアナはボラー連邦の宇宙艦船を見ても特にリアクションはしなかった点を見ても管理局がボラー連邦と敵対したのはフェイトとヴィヴィオがミッドチルダに帰還後かもしれないと思うギンガ。
(じ、実は‥‥)
はやては、ギンガに管理局がボラー連邦と敵対する経緯について話した。
そもそもの発端はボラー連邦の輸送船団を管理局の次元航行艦が強引に臨検した事だった。
その後、ボラー連邦は管理局への報復としてとある次元航行船を攻撃した。
次元航行船の襲撃を受けて、管理局はボラー連邦を危険世界と認定し、報復を兼ねての武力制裁を決めた。
当時の管理局の総戦力をつぎ込んだこの戦いは、管理局側の一方的な敗北で幕を下ろした。
この武力制裁失敗後、管理局はボラー連邦からの報復を恐れていたが、意外にもボラー連邦からの報復は今日まで行われていない。
(な、なんて言うか、まさか管理局がその‥‥此処まで‥‥)
ギンガは、はやてからの話にどうリアクションをとっていいのか分からない。
(まぁ、ギンガが何を言いたいのか分かっとる‥‥実際に私もこの話を聞いた時は呆れもしたわ‥‥管理局がいかに天狗になっとったのかを思い知らされた一件やったから‥‥)
(は、はぁ‥‥)
(それで、そっちの地球はどんな経緯でボラー連邦と敵対したんや?)
今度は、はやてはギンガに地球連邦とボラー連邦が敵対した経緯について訊ねる。
ギンガは、はやてにボラー連邦と敵対した件を話す。
地球がケンタウロス座アルファ星まで開拓したが、バジウド星系に点在していたボラー連邦派の星間国家がアルファ星に突如、攻撃を仕掛けて来た事を皮切りに、太陽で核融合異常増進現象が起きた際、地球が派遣した探査船団を襲撃して事で、地球連邦はボラー連邦を敵対国と認定した。
まほろばもボラー連邦の次元潜航艦隊からの攻撃を受けている。
尤もアルファ星を攻撃して来たのはボラー連邦から見捨てられたボローズたちの独断であるが、地球側はそんな事情を知る由も無く、結果的にボラー連邦とはガルマン・ガミラスとの同盟で敵対しているので、どの道ボラー連邦とは敵対することになっていたのだろう。
(決定的なのは、地球とガルマン・ガミラスとの同盟だと思います)
(ガルマン・ガミラス‥‥ん?ガルマン・ガミラス?ガミラス?)
(ああ、ガルマン・ガミラスはかつて地球と戦ったガミラスが新たに建国した星間国家です)
(はぁ!?かつて、地球を絶滅寸前まで追い込んだ星間国家と同盟を結んだんか!?)
(は、はい。ただ、同盟締結まで色々とありましたけど‥‥)
はやてとしたらそれは信じられなかった。
管理局に置き換えれば、管理局とボラー連邦が同盟を結ぶのと同じようなモノだからだ。
なのはがかつて敵対していたフェイトやヴィータと今では親友になっていたり、管理局からの司法取引を受けたスカリエッティのナンバーズメンバーがヴィヴィオと親しくなっているのと同じだが、これはあくまでも個人間であり、地球とガルマン・ガミラスは国家間であり規模が違いすぎる。
(まぁ、そんな事があって、地球とボラー連邦は敵対関係にあるんです。それで、フェイトさんたちの艦を襲ったのがボラー連邦の艦である可能性がある訳ですね?)
(そうや)
(分かりました。では、解析用のコンピューターを稼働させて待っています)
(ありがとな、ギンガ)
ギンガからの了承を得た事で、まほろばのコンピューターを使って画像解析をすることが可能性となったので、はやてたちは早速データを纏める。
一方、まほろばのコンピューターの使用許可を出したギンガは此処である疑問が浮かんだ。
(ん?あれ?でも、フェイトさんたちの艦から計測された放射性物質ってボラーチウムじゃ無かった筈‥‥)
フェイトたちの艦、ガイアがボラー連邦の宇宙艦船から攻撃を受けたのであるならば、艦内に残留していた放射性物質はボラーチウムでなければおかしい。
(もしかして、フェイトさんたちの艦を攻撃したのはボラー連邦の艦じゃない?)
此処に来てギンガはガイアを襲撃してきたのはボラー連邦の宇宙艦船ではないのではないかと言う疑問が浮かんだ。
しかし、技術は日々進化しているので、ボラー連邦が新兵器を使用している可能性もあるので、一先ずはやてから持ち込まれる映像データを待つ事にした。
まほろばの中央コンピューター室ではまほろばの艦長であるギンガ、技師長であるアルバート、そして管理局側からははやて、クロノ、フェイトがあつまり、ガイア襲撃犯の分析が行われた。
「ふむ、つまりこのミサイルを撃って来た艦隊の映像解析をすれば良いのだな?」
「はい。お願いします」
アルバートがはやてから受け取ったデータを基に解析を行いつつ、ウィルスチェックも行う。
やがて、ガイア同様ぼやけた画像データがモニターに表示される。
「やっぱり、まほろばのコンピューターでもダメか‥‥」
ぼやけた画像を見てクロノは残念そうに呟く。
「否、解析は此処からだ。このぼやけた画像に解析用のアルゴリズムを当てはめて再構築すれば‥‥」
アルバートがカタ、カタ、とキーボード操作を行うと、先ほどまでぼやけた画像が段々と鮮明になっていく。
やがて、鮮明拡大化した画像がモニターに映し出される。
「ん?これは‥‥」
「ボラー連邦の宇宙艦船ではない?」
モニターに映し出された宇宙艦船を見て、はやてもクロノもボラー連邦の宇宙艦船ではない事に気づく。
ボラー連邦の宇宙艦船は全体的に丸みを帯びている艦なのだが、モニターに映し出された宇宙艦船は、どれも角張っている。
それに武装に関してもボラー連邦の宇宙艦船は格納式なのに対して、モニターに映し出されている宇宙艦船はガトリング砲のような主砲を備えていた。
(やっぱり、ボラーの宇宙艦船じゃなかったか‥‥)
ボラーチウムの件もあり、新型艦と言えど、あまりにもボラー連邦らしくない艦影からギンガはガイアを襲撃して来たのはボラー連邦の宇宙艦船ではないと判断した。
「し、しかし、これがボラー連邦の新型艦と言う可能性も‥‥」
クロノはモニターに映し出された宇宙艦船がボラー連邦の新型艦ではないかと推測をたてるが、
「いえ、残念ながらその可能性は低いと思います」
そこをギンガが否定した。
「これまで私たちが遭遇して来たボラー連邦の宇宙艦船は全体的に丸みを帯びているのが特徴的で、主砲等の武装も殆どが艦内への格納式でした」
ギンガはクロノたちにこれまでのボラー連邦の宇宙艦船の画像を比較する様に表示した。
「た、確かに‥‥」
「決定的なのは、フェイトさんたちの艦に残っていた残留放射性物質です」
「放射性物質?」
「はい。フェイトさんたちの艦をボラー連邦の宇宙艦船が攻撃して来たのであるならば、残留放射性物質はボラーチウムと言う放射性物質の筈なんです。ですが、フェイトさんたちの艦に残っていた放射性物質は地球側がこれまで遭遇した事のない放射性物質でした」
「それについてだが、艦長」
ギンガが放射性物質について説明をしていると、アルバートが話に入って来る。
「映像を解析していると時に判明したのだが、あの時、管理局の艦に残っていた放射性物質はこのミサイルが原因だろう」
アルバートはハイパー放射ミサイルの拡大画像を見せる。
「このミサイルは危険だ。装甲板を突き破って艦内に放射性物質をまき散らして爆発する。まほろばが施している対放射能コーティングも気休め程度にしかならない」
「完全に防ぐことは出来ないと?」
「ええ、不可能です。なので、今後のこの様なミサイルを持った勢力と戦う事を想定し、防御策を検討して見た方が良いだろう」
「えっ?対策出来るんですか!?」
アルバートの言葉にフェイトはギョッとする。
「少々時間はかかるが不可能ではない」
「は、はぁ‥‥」
(まだ若いのに凄いなこの人‥‥ヤマトの真田さんも凄かったけど‥‥)
「クロノ君とフェイトちゃんの艦を襲撃したのがボラー連邦やないとすると‥‥」
「未知の勢力と言う事か‥‥」
「これが一介の海賊やテロリストならええんやけど‥‥」
「いえ、この動きからしてかなり訓練されているので、海賊やテロリストではなくどこかの星間国家と見た方がいいでしょう」
はやてとしては海賊やテロリストならば、遭遇地点であるディンギル星系に行かなければ良いだけの話だったが、ギンガはこの艦隊行動からどこかの星間国家に所属する宇宙軍と判断した。
「地球では、この勢力の情報はないの?」
「はい。私も今回、初めて見ました」
ガルマン・ガミラス、彗星帝国、暗黒星団帝国、ボラー連邦、これまで地球が装具して来た星団帝国とことなる星間国家の宇宙軍。
「領海侵犯でもしたんですか?」
「いや、分からない。いきなり警告無しで攻撃を仕掛けて来た」
「と、なるとかなり危険な連中ですね」
仮にガイアが領海侵犯をしてしまっても退避するよう警告は普通出す。
しかし、この連中は警告無しにガイアを発見と同時に攻撃を仕掛けて来た事になる。
ギンガはこの艦が狂暴な星間国家に所属するのだと思った。
「はやて、ガイアを攻撃して来たのが、ボラー連邦ではないとすると、あの水世界をミッドに近づけているのはこの勢力って事になるの?」
「っ!?ちょ、フェイトちゃん!!」
「あっ‥‥」
フェイトは念話ではなく、直接口にはやてに今、ミッドチルダに迫りつつある危機がボラー連邦の仕業ではないのかを問うと、はやては慌ててフェイトに声を上げる。
フェイトも『あっ、ヤバッ!!』と慌てて口を閉じる。
はやて、クロノ、ギンガと顔馴染みが居るので、つい念話で話すのではなく、口で言ってしまったのだ。
しかし、時すでに遅し‥ギンガはミッドチルダに何か危機が迫っている事を悟る。
ギンガは、確かに今は地球連邦‥防衛軍所属の軍人である。
だが、ミッドチルダには養父であるゲンヤと妹のスバルが住んで居る。
ギンガとしては気にならない訳がない。
「フェイトさん。今の話、どういう事ですか?ミッドで何か大変な事が起きているんですか?」
ギンガがフェイトに問い詰める。
「‥‥もう、フェイトちゃんが此処まで話してしまったから、話すけど、口外はせんでええな?そっちの技師長さんもええか?」
「はい」
「承知した」
「実は今、ミッドで‥‥」
はやては、今ミッドチルダに水惑星アクエリアスが接近している事、
あと二週間ほどでミッドチルダが水没する事、
ミッドチルダの水没は、もう防ぐ事が不可能であり、ミッドチルダでは既に避難船団が組織されており順序、ミッドチルダの住民たちを他の管理世界やコロニーへ避難する事、
「そんな事が今ミッドで‥‥」
(スバルと父さんは大丈夫かしら?)
ミッドチルダの現状を知り、ギンガとしてはミッドチルダに居る養父であるゲンヤと妹のスバルの事が心配で、ちゃんと避難する事が出来たのか聞きたかったが、この場にはアルバートが居るので聞くに聞けなかった。
「‥‥」
はやてもギンガがミッドチルダに居るゲンヤとスバルの事が心配である事を見抜いていた。
「解析ありがとな、このデータをミッドのリンディさんに渡しておくわ」
「うん。ありがとうはやて」
「頼んだ」
解析が出来たので、この場は解散となる。
クロノ、フェイト、アルバートがまほろばの中央コンピューター室を出て行くのを確認したはやては、
「なぁ、ギンガ」
「はい?」
「ミッドの‥‥スバルたちの事が気になるなら、モニター越しやけど、スバルとゲンヤさんと会ってみぃひん?」
「っ!?」
はやての提案にギンガはハッと息を吞む。
フェイトとヴィヴィオがミッドチルダに還る時、迎えに来たのは、はやての艦であったが、あの時、はやてはギンガがまほろばの通信長であった事を知らなかった。
仮に知っていたとしてもプロキオン恒星系からミッドチルダまでは距離があったので、通信が入るか分からない。
しかし、今は管理局が管理する世界に居る。
ミッドチルダまでは簡単に通信が届く。
はやての言う通り、モニター越しではあるが、ゲンヤとスバルと会う事が出来る。
はやてからミッドチルダの現状を聞き、ゲンヤとスバルの事が心配ではあるが‥‥
「‥‥」
ギンガは悩んだ末、
「すみません。はやてさん‥お気遣いは嬉しいのですが‥‥」
ゲンヤとスバルに会う事を止めた。
「えっ?どうして‥‥ゲンヤさんとスバルはギンガが生きている事を知っとるんやろう?」
「はい。だからこそ‥なんです」
「ん?」
「通信が盗聴されれば、私が生きている事が管理局にバレてしまいます。そうなれば、管理局にまほろばを拿捕する理由を与えてしまいます。それはまほろばの艦長として絶対に阻止しなければなりませんし、何よりミッドに居る父さんやスバルにも迷惑をかけてしまいますから‥‥」
ギンガだって例えモニター越しとは言え、ゲンヤとスバルに会いたいし、話もしたい。
お互いに積もる話もある。
だが、ほんの些細な隙を見せれば管理局は『これ幸い』にと、まほろばを拿捕する口実としてくるだろう。
それか、ギンガがゲンヤの娘である事を盾にゲンヤやスバルを人質にしてくる事も十分に考えられる。
「‥‥」
確かにギンガの言う事も尤もであり、はやてはそれ以上強くはギンガに勧めなかった。
今回は運命のいたずらか?奇跡的な偶然によりギンガは一時的に管理局の管理下に居る。
この機会を逃したら、ギンガに再び会えるのは一体何時になるのか?
いや、もう二度と会えない方が、可能性としては高い。
だからこそ、はやては長い間離れ離れになっているナカジマ家の親子たちを何とか再開させる機会を設けたいと思っていた。
第61管理世界、スプールスにてまほろばとガイアの修理が進み、
ミッドチルダでは住民たちの避難活動がいよいよ本格的に始まろうとしている中、アクエリアス以外の脅威がミッドチルダへ迫りつつあった‥‥
同僚を失い傷心のユーノ、そんな彼の身を案じたなのはの今後の進展について
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付き合っちゃえ
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お友達のままで