ミッドチルダがアクエリアス、ディンギル軍によって危機が迫っている時、銀河系中心部にあるガルマン・ガミラス本星は既に生命が存在しない死の星となっており、かつては軍事・科学技術大国として繁栄していた時があったことが信じられない程の荒廃ぶりとなっていた。
ガルマン・ガミラスがこのような星になってしまった原因‥‥
それは、敵対しているボラー連邦との星間戦争に敗北‥‥した訳ではない。
ガルマン・ガミラスが滅んだ原因‥‥それは異次元スリップによるもう一つの銀河がガルマン・ガミラスのある銀河系に交差した事による大異変が原因である。
その原因は、管理局の次元航行艦が行って来た次元跳躍が長年の積み重ねによって次元に大きな負荷をかけ、ついにそれが限界を迎え、宇宙のあちこちに次元震を生み出す結果となり、別次元に存在していた銀河系が次元震に巻き込まれ、ガルマン・ガミラスが存在する銀河系に現れて交差したのだ。
この次元の歪みの影響はミッドチルダ周辺でも起きてあちこちで大小規模の次元震が発生したのだ。
銀河系中心部にある星間国家にとって今回起きたこの大異変はまさに宇宙規模の大災害である。
しかし、地球のあるオリオン腕恒星系まではこの影響がなかったので、地球にはこの銀河交叉の異変による影響はなかった。
だが、地球側はその事実を知らず、影響がいずれは地球にも及ぼすのではないかと思い、防衛軍司令長官の藤堂は宇宙戦艦ヤマト、まほろばをまず異変の兆しが確認できた白鳥座方面へ調査のために派遣し、白鳥座における調査・解析の結果、銀河系中心部こそ、異変の発生地だと断定したヤマト、まほろばは銀河系中心部、ガルマン・ガミラス本星へと向かった。
そして、ガルマン・ガミラスに到着したヤマト、まほろばの乗員たちが見たのは荒廃したガルマン・ガミラス本星の姿だった。
調査に来たヤマト、まほろばが去った後、ガルマン・ガミラス本星周辺では恒星の衝突が何度か起き、荒廃していた大地は更に荒廃し、ガルマン・ガミラスの象徴でもあったデスラー・パレスは完全にへし折れ瓦礫の山と化していた。
そんな瓦礫の上を轟々と大きな音を立て強風が吹きつける。
そして、空からは何隻ものガルマン・ガミラスの宇宙艦船が降下して来た。
その艦隊旗艦、ノイ・デウスーラ二世から一隻の小型艇が発進し、荒廃し無人となったデスラー・パレスへと向かって行く。
(まさか、二度も母なる星を失うとはな‥‥)
(これまで多くの星を侵略し、死んで逝った者たちへの復讐の様だな)
小型艇に乗っていた男はフッと自嘲めいた笑みを浮かべる。
やがて男を乗せた小型艇はデスラー・パレス近くに着陸する。
小型艇からはタラップが降ろされ、ハッチが開くと小型艇から一人の男が荒廃したガルマン・ガミラスの地に降り立つ。
空しく吹く風に背中のマントが揺れる。
その男は瓦礫の上を慎重にデスラー・パレスに向かって歩んで行く。
そして、男の視線に地面に落ちているあるモノが映ると男は右手でソレを拾い上げる。
男が拾ったモノ‥‥それは、かろうじて瓦礫の山の下に落ちても強風に飛ばされなかった一輪の薔薇であった。
その薔薇は、古代がヤマトの甲板から弔いの為に献花した薔薇であった。
「洒落た事をする奴だ‥‥」
男は拾った薔薇をジッと見つめる。
薔薇を拾った男‥‥その正体は、ガルマン・ガミラスの国家元首であるアベルト・デスラーその人であった。
デスラーは死んでいなかった。
銀河交叉が起きる少し前、なかなか進まないボラー連邦との決戦に戦況視察として前線の視察へと向かってガルマン・ガミラス本星を留守にしていた為、ガルマン・ガミラス崩壊に巻き込まれなかった。
「古代、お前が私の居ない間、この廃墟となったデスラー・パレスに来た事は生き残っていた監視衛星の映像を見て知った。だが、私は死んではいない‥‥」
デスラーは薔薇の香りを嗅ぎ、左胸にさす。
そして、周囲を見渡す。
「見てくれ、古代。この酷い有様を‥‥このデスラー・パレスの姿を‥‥これがかつて栄華を誇った帝国の姿だ‥‥我が帝国もボラー連邦も共倒れだ‥‥ボラー連邦とは宇宙災害ではなく、我が帝国が引導を渡したかった‥‥」
塵を含む風が吹き、不気味な地鳴り地下から伝わってくる。
遠くでは何かが倒壊する音がした。
「ヤマトは地球に戻った頃か?そして、『デスラーは死んだ』と伝えられただろう‥‥」
地球圏には娘のジュラがガルマン・ガミラス大使として赴いている。
そして、『デスラー死す』の報は娘であり、大使であるジュラの耳にも入るに違いない。
「古代‥‥私は生き残っている者たちと共にお前に会いに行こう‥‥この花の礼を言わなければならない」
デスラーは空を見上げ、地球へ‥‥古代に会いに行く事を決意し、小型艇に乗り込む。
デスラーを乗せた小型艇はノイ・デウスーラ二世に着艦する。
「総統、全艦発進準備完了しました!!」
副官のタランがデスラーに報告を入れる。
「よし、全艦発進!!目標、地球!!」
ガルマン・ガミラス艦隊は艦首を反転して地球を目指して発進する。
「さらばだ、ガルマン・ガミラス‥‥我々民族の母なる星よ‥‥」
遠ざかって行くガルマン・ガミラス本星を見ながらデスラーはポツリと呟いた。
デスラー率いるガルマン・ガミラスの残存艦隊が地球を目指している頃、一足早く地球圏を目指しているヤマト。
銀河交叉の為、広範囲の通信障害の為、なかなか地球まで通信が入れられないので、通信可能宙域までまほろばを捜索しつつ向かっていた。
そして、バース星までくるとようやく地球との通信が可能となったので、古代は地球へ通信を入れた。
「長官、ヤマトは白鳥座、銀河系中心部からの調査を終え、バース星まで戻りました」
『うむ。それで早速報告を聞こう』
「はい。白鳥座方面で確認された異変は銀河系中心部で起こった異変でした。そして、銀河系中心部では‥‥」
古代は藤堂に銀河系中心部で起きている銀河交叉を報告する。
『銀河系中心部ではそのような事が‥‥』
「はい。ガルマン・ガミラス本星に立ち寄りましたが、かの帝国は見るも無残な廃墟となっておりました。生存者も確認できませんでした」
デスラーの予見通り、古代は藤堂にガルマン・ガミラスの状況を報告した。
『むぅ~‥まさか、ガルマン・ガミラスが‥‥となると、ボラー連邦も‥‥』
「確認は出来ておりませんが、ガルマン・ガミラスがあのような惨状ですと、ボラー連邦も恐らくは‥‥」
ガルマン・ガミラスがあの惨状なので、ガルマン・ガミラスと反対側にあったボラー連邦本星も同じような惨状に遭った事が推測される。
とは言え、ボラー連邦とは国交を結んでいる訳ではなく、ガルマン・ガミラスからの情報提供も無いので、ボラー連邦の状況がどうなっているのか確認出来ない。
『そうか‥‥』
地球としたら未確認とは言え、ボラー連邦が滅んだのであるならば、地球の脅威が去った事を意味する。
「それで、ガルマン・ガミラス付近で近くの恒星同士の衝突が起き、ヤマトとまほろばは緊急ワープで回避したのですが、その際まほろばと離れ離れになってしまったのですが、まほろばから連絡はありましたか?」
古代としてはまほろばが‥ギンガが既に地球に何らかの連絡を入れている事を期待した。
しかし、現実は非情であった。
『いや、まほろばからは何の連絡も入っていない』
「‥‥」
藤堂からの返答でまほろばが遭難している事が決定的となった。
「長官、となるとまほろばは‥‥」
『うむ、遭難‥と言う事だろう‥‥』
まほろばの遭難と言う事態に藤堂の表情が険しくなる。
『一先ず、まほろばの件は此方で検討する。ヤマトはそのままバース星で待機・補給と乗員の休養に務めよ』
「了解」
ヤマトは地球に報告を入れた後、バース星で待機を命じられた。
一方、古代との通信を終えた藤堂は『どうしたものか』と、頭を抱えつつも遭難しているのならば、一刻も早くまほろばを見つける必要があるので、藤堂はケンタウロス座アルファ星の駐屯基地へ通信をいれた。
ケンタウロス座アルファ星の防衛軍駐屯基地にはヱクセリヲン級戦艦が二隻駐屯しており、その内の一隻、ヒューベリオンの艦長はギンガの旦那である良馬が務めていた。
出撃も無く、アルファ星周辺でパトロールや演習を行っている状況であった。
しかし、これはアルファ星周辺が平和である証拠でもある。
そんな中、
「月村艦長。藤堂長官から映像通信が入っています」
基地内でオペレーターから呼ばれ、通信室で通信回路を開く。
『月村艦長、実はさっきヤマトの古代艦長から連絡があった』
「確か、ヤマトとまほろばは白鳥座方面で起きた異変の調査に向かった筈‥‥その異変について何か分かったのでしょうか?」
『白鳥座方面に大きな異変はなかった。異変があったのは銀河系中心部、核恒星系の辺りだ』
「核恒星系‥それって‥‥」
『うむ、ガルマン・ガミラス本星付近だ』
「‥‥それで、ガルマン・ガミラスは?どうなっているのですか?」
ガルマン・ガミラスは地球の同盟国であるが、良馬にとっては同盟関係だけでなく、ガルマン・ガミラスには友人であるフォムトやネレディアが居る。
彼らの安否も気になったのだ。
『古代艦長からの報告では、ガルマン・ガミラスは荒廃してもはや国家としての機能を失っているそうだ』
「‥‥」
藤堂からガルマン・ガミラスの惨状を聞いて良馬は神妙な面持ちとなる。
『月村艦長、古代艦長からの報告はそれだけではないのだ』
「と、申しますと?」
『‥‥ガルマン・ガミラスでの調査後に同惑星付近で恒星同士の衝突があり、ヤマトとまほろばは緊急ワープで避けたのだが‥‥』
藤堂は何だか言いにくそうに言葉を濁す。
「ヤマトとまほろばに何かあったのですか?」
藤堂の反応からヤマト、まほろばに何かしらのアクシデントが起こったのは容易に想像がついた。
『‥‥実はまほろばが行方不明になったようだ』
「なっ!?」
藤堂の言葉に良馬は思わず絶句する。
「ま、まほろばが‥‥ゆ、行方不明!?」
『ヤマトがワープアウトした周辺の宙域にまほろばの姿がなく、未だにまほろばからの連絡がない。この状況から古代艦長も私もまほろばが遭難したものと判断した』
「‥‥」
まほろばのおかれた状況を聞き、良馬は顔色を青くする。
「ちょ、長官‥‥」
『ん?』
「許可を貰えるならば、まほろば捜索の許可を戴けませんでしょうか?」
良馬は藤堂にまほろば捜索の許可を求めた。
『しかし、まほろばが何処で遭難しているのか分からんのだぞ?』
宇宙はあまりにも広大な空間だ。
まほろばがいくら超弩級戦艦とは言え、宇宙の大きさに比べると米粒どころか微生物‥原子よりも小さい。
そんな中からまほろば一隻を見つける事が出来るのだろうか?
可能性は零に近い。
捜索許可を求めた良馬自身もそれは当然理解している。
だが、例え零に近い可能性でも捜索をしなければ零のままで、まほろばは‥ギンガたちは見つからず、捜索をすれば例え零に近い可能性でも見つかる可能性もある。
だからこそ、良馬は藤堂にまほろば捜索の許可を求めたのだ。
藤堂もその点はちゃんと理解していた。
『‥‥よかろう。私もこのまま、まほろばを失うの実に惜しい』
なので、藤堂はまほろば捜索の許可を出してくれた。
「ありがとうございます!!長官!!」
藤堂は今回のまほろばの一件だけでなく、太陽異常の際に第二の地球探査任務の最中、ボラー連邦の攻撃を受けて遭難したと思われるヨーロッパ、アフリカの探査船団の捜索を事件後に行っている。
結果的に遭難したヨーロッパ、アフリカの探査船団は発見できなかった。
今回のまほろば捜索結果もそうなると思わるが、やはり人道上捜索をしないと言う選択肢はなかった。
良馬とすれば、妻が行方不明になっているのだから捜索しないなんて言う選択肢はなかった。
『まほろばの捜索にヒューベリオン一隻では心許ないだろう。ヱクセリヲンも連れて行くと良い‥それにバース星にはヤマトが待機している。途中、バース星に立ち寄り古代艦長から詳しい状況を聞くと良い。それでヤマトの古代艦長が、まほろばの捜索に参加すると言うのであるならば、ヤマトも参加させて構わない』
藤堂としては、古代の性格からまほろば捜索の許可が出たと知ったら、きっと古代も‥ヤマトもまほろばの捜索に参加すると思っていた。
「了解です」
まほろば捜索の許可を得た良馬は急ぎヒューベリオンの出航準備を行う。
「雪さん、今回はやや私情が含まれる任務ですが、まほろばの捜索に参加して頂いて感謝に堪えません」
良馬はヱクセリヲンの艦長の雪に感謝を伝えるために通信を送った。
『いえ、月村艦長の不安は理解できます。私もヤマトが行方不明になったら、捜索の許可がおりる前に捜索に出ていたでしょうから』
(雪さんならやりかねないな‥‥)
雪の古代に対する思いは良馬も知っている。
古代の為ならば雪は自身の命さえもかける程の人物だ。
良馬からの通信後、雪もヱクセリヲンの出航準備を行った。
やがて、ヱクセリヲン、ヒューベリオンの出航準備が整うと両艦はまずはヤマトが待機しているバース星を目指してアルファ星を出航して行った。
良馬にまほろばの遭難及び捜索の許可を出した藤堂は続いて、月面基地の山南に通信を入れた。
「山南司令、藤堂長官より、映像通信が入っております」
「うむ、モニターに繋いでくれ」
「了解」
月面基地所属のオペレーターが司令官の山南に防衛軍司令部の藤堂から通信が入った事を報告する。
オペレーターが機器を操作すると、モニターに藤堂の姿が映し出される。
「藤堂長官」
山南は藤堂に敬礼する。
『山南君、君も先日ヤマト、まほろばが白鳥座方面へ調査航海に出た事は知っていると思うが、そのヤマトから調査結果が報告された』
藤堂も山南に返礼しつつ、ヤマト、まほろばが調査航海に出た事、そのヤマトから調査結果の報告が来た事を山南に伝える。
「はい」
『それで、異変の原因は白鳥座方面ではなく、銀河系中心部で起きている事が確認された。そして、その異変にガルマン・ガミラスが巻き込まれたとの事だ』
「ガルマン・ガミラスが異変に!?‥‥それで、ガルマン・ガミラスの被害は!?」
山南もジュラやバレルたちガルマン・ガミラスの大使が本国と連絡がつかないと不安視していた。
それが、宇宙異変によるものだと判明した。
『ヤマトの古代艦長からの報告では、壊滅らしい‥‥生存者も確認出来ずとの事だ。恐らく国家元首であるデスラーも‥‥』
「‥‥」
デスラーが死んだとされれば宇宙各地の新ガルマン派の星間国家に少なからず混乱を生み出す結果となる。
彼一人の存在は宇宙の片隅とは言え、それくらい大きな影響力があると言う事だ。
『そこで、ジュラ大使とバレル大使には内密にガルマン・ガミラスの件を伝えてもらえないだろうか?』
「承知しました」
ジュラがデスラーの娘である事を山南は知っていた。
父親の死と母国の崩壊と言う辛い事実を伝えなければならないが、いずれは知る事となる事実だ。
それならば、そこしでも早い方が今後の国家運営について考える時間もあるだろう。
山南は直ぐに月面にあるガルマン・ガミラス在地球圏大使館に連絡をとった。
本国との連絡が取れない中で、突然の山南からのアポイントに当初、大使館の方は、遠回しで面会している暇はないと言う回答が来たが、ヤマトがガルマン・ガミラスの現状について報告があった事を伝えると、大使館は山南との面会することにした。
「急な面会の機会を頂きありがとうございます」
「それで、ガルマン・ガミラスの現状は?」
早速バレルが山南にガルマン・ガミラスの現状を訊ねる。
「ジュラ大使には辛い話になりますが‥‥」
山南はヤマトから送られて来たガルマン・ガミラスの現状を示す映像をジュラとバレルに見せた。
「っ!?」
「‥‥」
ガルマン・ガミラスの現状を見てバレルもジュラも絶句する。
「これは‥‥一体何が起きたと言うのです?まさか、ボラー連邦が!?」
「いえ、これは銀河系中心部で起きた銀河交叉の影響です」
「銀河交叉?」
「はい。どうも我々の住む銀河系に別次元からもう一つの銀河系が出現し、交叉をしたみたいです」
「そんな事が‥‥で、では、デスラー総統は‥‥」
「ヤマトからの報告では、生存者は発見できなかったとの事です」
「な、なんという事だ‥‥」
バレルは自分たちの指導者が亡くなったのだと判断して絶望感がにじみ出る。
しかし、デスラーの娘であるジュラは、
「いえ。父は生きています‥‥」
と、父であるデスラーの生存を信じていると言うか確信を抱いているように言い放つ。
「ジュラ様?」
「私には分かります。父は‥‥デスラーは生きていると‥‥」
ジュラの予感は母であるメラと同じ、ジレルの血がそう予感させているのだ。
「父の‥デスラーの生死を含めて、ガルマン・ガミラスの件については、こちらの判断で発表してもよろしいでしょうか?」
「勿論です」
ガルマン・ガミラスの壊滅は地球との今後の同盟関係、銀河系に点在する親ガルマン系の星間国家の政治にも影響があるので、発表時期を見定めなければならず、現時点で時期を決めて発表するのは地球ではなく、デスラーの娘であるジュラの役目であった。
山南はあくまでもジュラたちにガルマン・ガミラスの現状を伝えるためのメッセンジャーだったので、今後の方針はジュラたちに任せた。
その頃、ケンタウロス座アルファ星を出航して、一路ヤマトが待機しているバース星へ向かっているヒューベリオンとヱクセリヲンは少しでも早くバース星へ着くように連続ワープを繰り返してバース星へと向かっていた。
「‥‥」
ヒューベリオンの艦橋で、操舵桿を握る永倉はチラッと艦長席の良馬を見る。
(艦長、随分と落ち着いているな‥‥まほろばが行方不明になっているのに‥‥
(そして、そのまほろばの艦長が自分の奥さんなのに‥‥)
永倉が抱いた良馬の印象は、普段通りに見えた。
しかし、その裏で、
コッ、コッ、コッ、コッ、コッ‥‥
良馬は顔には出さないが、艦長席で見えない部分‥‥足をせわしなく揺らしていた。
良馬がギンガの事を心配していないなんてあり得ないことだ。
しかし、艦長たる者、部下に不安を与えぬ様に普段と同じ様に振舞っていたのだった。
良馬としては一刻も早くバース星に赴き、古代から事情を聞きたかった。
『こちら、バース星管制局。接近中の艦船へ、所属・艦名を述べ、当惑星への接近目的を述べよ』
ようやくバース星の管制宙域へ入ると、バース星から通信が入る。
「こちら、地球連邦所属。戦艦ヒューベリオン。艦船番号は‥‥来訪目的は、当惑星に待機中の宇宙戦艦ヤマトとの接触を求む」
良馬はバース星管制局へ所属と来訪目的を伝える。
雪もヒューベリオンと同じくバース星管制局へ所属と来訪目的を伝える。
『所属、艦船番号を確認。当惑星への着陸を許可する』
ヒューベリオン、ヱクセリヲン共にバース星に着陸する。
バース星到着後、良馬は直ぐにヤマトに‥古代に通信を入れた。
「古代艦長!!」
『わっ、つ、月村艦長?』
いきなり大声を上げながら通信を送って来た良馬に古代はタジタジだ。
「か、艦長、落ち着いてください!!」
そんな良馬を宥めたのは永倉である。
「これが落ち着いていられるか!!」
(やっぱり、艦長。奥さんのことで一杯、一杯だったんだ‥‥)
良馬の取り乱した様子を見て永倉は何だかホッとした。
「まほろばと離れ離れになった状況を詳しく教えてくれ!!」
『は、はい‥‥』
古代は改めて良馬にガルマン・ガミラスの付近での事を話した。
「座標指定なしの緊急ワープか‥‥」
「座標指定が分からないとなると、まほろばが何処でワープアウトしたのか見当もつきませんね」
古代からまほろばの行方不明状況を改めて聞くと広大な宇宙空間からまほろば一隻を見つけるのがどれほど困難であるかを思い知らされる。
「何とかまほろばを見つける方法はないものか‥‥」
『希望が無いわけではない』
「えっ?」
すると、真田がまほろばを見つける方法を示唆する。
「まほろばは見つかるって事ですか!?」
『確実ではないが、緊急ワープをしたとしてもそのワープの航跡は残っている可能性はある。なので、まほろばが緊急ワープした空間へ赴き、超空間の波動を探査してまほろばのワープの航跡を辿ることが出来れば‥‥』
「まほろばのワープアウト地点を掴める」
『うむ。その後は現地でまほろばを捜索する事になるだろうが、機関部にダメージを受けていれば、ワープアウト地点からそう遠くへは行っていない筈だ』
「なるほど‥‥分かりました。では、本艦は直ぐにガルマン・ガミラスへと向かいます」
まほろばを見つけ出せるかもしれない希望があった事から、良馬は居ても立っても居られなくなり、バース星に着いたばかりではあるが、直ぐにまほろばが緊急ワープを行ったガルマン・ガミラス近海へ向かおうとした。
『月村艦長、ちょっと落ち着け』
「落ち着いていられますか!!一刻も早く、まほろばを‥‥」
『だからこそだ!!』
「っ!?」
『ヤマトとまほろばは白鳥座方面の調査に向かう前に恒星の衝突によって発生する放射線に対策する為に対放射線防御用の特殊コーティングを施していた。今は、恒星同士の衝突が落ち着いているかもしれないが、放射線は残留している可能性は充分にある。お前さんを始めとしてヒューベリオン、ヱクセリヲンの乗員の安全を確保するのなら、まずはヒューベリオンとヱクセリヲンにこの特殊コーティングを施してからでないとガルマン・ガミラス近海へは行けないぞ』
真田からガルマン・ガミラス近海に残留している放射線に対する乗員たちの安全を確保した後でなければ出航は出来ない事を諭され冷静を取り戻す良馬。
「そ、そうですね‥‥それで、その特殊コーティング加工はどれくらいの時間がかかるのですか?」
『ヒューベリオンとヱクセリヲンの二隻にするから最短でも数日はかかるな』
「数日‥ですか‥‥分かりました。では、少しでも時間短縮の為、ヒューベリオンの技術班も総動員して作業を手伝います」
『分かった。早速作業を始めよう』
真田を中心にヤマト、ヒューベリオン、ヱクセリヲンの技術班員、そしてバース星のドックの作業員を総動員してヒューベリオン、ヱクセリヲンに対放射線防御の特殊コーティングを施す作業が行われた。
三日後、ようやくコーティング作業が終わり、ヒューベリオン、ヱクセリヲンをバース星を出航した。
そして、藤堂の予見通りまほろばの捜索には古代も‥ヤマトも参加する事となり、三隻の戦艦はバース星を出航した。
ガルマン・ガミラス近海を目指していると、レーダーが艦隊反応を捉えた。
「前方に艦隊反応!!」
「艦種は!?」
ボラー連邦がガルマン・ガミラスと共に銀河交叉によって滅びたかもしれないが、銀河系に点在している親ボラー連邦派の惑星、宇宙艦隊全てが滅んだとは言い切れない。
ボラー連邦本星自体がまだ未確認の為、ガルマン・ガミラスと異なりボラー連邦の本星は無事なのかもしれない。
良馬は急ぎ接近中の艦隊の所属確認を行わせる。
「‥‥ガルマン・ガミラス艦隊です」
「ガルマン・ガミラス‥‥残存艦隊か‥‥」
「ガルマン・ガミラス艦隊から広域通信です」
「繋いでくれ」
「了解」
通信長の武部が通信回路を開くとヒューベリオンの艦橋にあるモニターにはデスラーの姿が映し出される。
「デスラー!?生きていたのか!?」
デスラーの姿を見て一早くに反応したのは古代だった。
『ああ、ボラー連邦との前線視察に出かけていてな。銀河交叉を受けて再び母なる星を失ってしまった。しかし、ヤマトが来た事を廃墟に投じられていた花で知った。一言、礼を言いたくてな。それに娘にも‥ジュラにも心配をかけたからな』
「そうか‥きっとジュラさんも君の姿を見れば一安心するだろう」
『ところで、ヤマトはどうしてこの宙域に?』
「実は‥‥」
古代はデスラーに事情を話す。
『そうか‥地球の戦艦が‥‥』
「ああ、我々はこれからガルマン・ガミラス近海まで赴きそこから捜索に入る。デスラー、君は地球圏へ赴き、ジュラさんに無事であることを知らせてやってくれ」
『うむ。協力できずにすまない。それと同時に君の仲間が見つかる事を祈っているよ』
「ありがとう、デスラー」
デスラーとの交信を終え、ヤマト、ヒューベリオン、ヱクセリヲンはまほろばを捜索するためにガルマン・ガミラス近海へ向かい、デスラー率いるガルマン・ガミラス残存艦隊は地球圏に向けて出航しようとした時、
「総統、小官も地球艦の捜索に参加してもよろしいでしょうか?」
バーガーがデスラーにまほろばの捜索に協力の許可を求めて来た。
「行方不明になった地球の戦艦とは以前、作戦で共闘した経緯があります」
『そうか‥良かろう。ヤマトに協力してやれ』
「ありがとうございます。総統」
ランダルミーデは対放射線防御の特殊コーティングを施していないが、乗員であるバーガーたちは元々ガミラス人で、放射線に耐性のある種族なので特殊コーティングを施す必要はなかった。
『よぉ、ツキムラ。今回のまほろば捜索に、俺も行かせてもらうぜ』
バーガーはヒューベリオンに通信を入れ、自分もまほろば捜索に参加する旨を伝えた。
「フォムトも生きていたか」
『ああ。俺もネレディもボラーとの戦で本星に居なかったからな』
「そうか、良かった。そして、ありがとう」
『何、良いって事よ』
こうしてガルマン・ガミラスからはバーガーが乗艦するランダルミーデがまほろば捜索に参加する事となった。
まほろば捜索隊はバース星管制宙域を出ると、ガルマン・ガミラスへと向かった。
おまけ‥‥
ミッドチルダでは水惑星アクエリアスの接近、ガルマン・ガミラス、ボラー連邦では銀河交叉、そして防衛軍がまほろばの捜索を行っている中、異次元空間にあるかつて銀河系最強を誇ったシャルバート星では‥‥
「アハハ‥爺や!!こっち、こっち!!」
「シャルバート星の野山を駆け回る一人の少女が長老に笑みを浮かべながら手を振る。
「アゲハ様は元気な王女さまじゃ。ハハハ‥‥」
長老も笑みを浮かべながら彼女が此処まで元気に成長した事を嬉しく思う。
この野山を駆け回っている少女の名前はアゲハ‥‥シャルバート星の現女王であるルダと元ヤマト航空隊員、揚羽武との間に産まれた王女である。
ヤマトが太陽の核融合異常増進を食い止めるハイドロコスモジェン砲を受け取り、翌日には太陽系に戻る前日、ルダと揚羽は結ばれた。
しかし、住む星、互いの立場が違う事から揚羽がシャルバート星に残留、ルダが地球へ来訪‥は出来ず、離れ離れとなり、揚羽はその後の金星宙域で起きたボラー連邦との戦闘でコスモタイガー諸共敵要塞、ゼスパーゼのブラックホール砲へ特攻し、壮絶な戦死を遂げた。
揚羽自身、自分とルダとの間に子供が産まれた事を知らず戦死してしまい、アゲハも自分の父親が何処の誰なのかは母親のルダから聞かされていたが、遠い星に住む人なのだと教えられた。
もう二度と会う事は叶わないかもしれないが、ルダもアゲハもいつかは会えると信じていた。
それが例え生きている間ではなく、死した後、揚羽の魂と出会えると信じていたのだ。
一方、マゼラン星雲にあるイスカンダルでは‥‥
時系列は、時間を過去に戻す。
地球ではギンガ、ユリーシャが良馬の子供を身ごもった時、古代守、トチロー、サーシアと共にイスカンダルへ渡ったジェレミア・ゴットバルトこと、スカリエッティとロベル。
イスカンダルへ来たばかりの頃、スカリエッティはこれまで見た事の無い科学技術を目の当たりにして狂喜乱舞していた。
そして、トチローと共に彼のセカンドライフはイスカンダルの再建を行っていた。
そんなスカリエッティであるが、今彼は絶体絶命な危機に瀕していた。
それは、かつてJS事件の折、アジトで自分を逮捕しにきたフェイトと対峙した時以上のプレッシャーを覚える。
「ジェ~レ~ミ~ア~くぅ~ん」
「お、落ち着き給え‥ぼ、暴力では何も解決しないぞ‥‥」
彼の前には顔は笑っているのだが、蟀谷に青筋を立てた古代守の姿があった。
何故、守が此処までスカリエッティに対して静かな怒りを露にしているのか?
それは、サーシアにあった。
なんと、サーシアはスカリエッティの子を身ごもっていたのだ。
地球を暗黒星団帝国の魔の手から救うためにイカロスから二重銀河の中にある暗黒星団帝国の本星、デザリアム星へ向かっている中、サーシアは自身の叔父である古代を叔父ではなく、一人の男性として意識していた。
しかし、彼には雪が居り、サーシアは血縁的にも女性としてもどう頑張っても古代を振り向かせる事は不可能だと心の中で思っていた。
だからこそ、古代の為に役立てるのならばと捨て身の覚悟でデザリアム星に残り、敵の秘密を探っていた。
そんな中で出会ったのが、ジェレミア・ゴットバルトと名乗る胡散臭い男であった。
そして、彼の協力の下、生きて戻れるとは思っていなかった父と叔父の下へと帰ることが出来、父と父の親友、そしてデザリアム星で世話になった胡散臭い男とその助手と共に生まれ故郷であるイスカンダルへと戻った。
当初、サーシアはこの胡散臭い男がイスカンダルで何か悪巧みを企んでいるのかと思い、彼を監視する目的で、行動を共にしていた。
彼はイスカンダルの科学技術を目の当たりし、狂喜乱舞していたがその姿さえサーシアはドン引きしていた。
だが、彼はトチローと共に真剣にイスカンダルの再建に務めていた。
彼の助手であるロベルも当初はあまり表情を表に出す事もなく、黙々とジェレミアとトチローの仕事を手伝っていたのだが、ふと気づくとロベルはトチローと科学談議をする程、親密な中になっていた。
ジェレミアも真剣にイスカンダルの再建に取り組んでおり、その姿はかつてミッドチルダで大規模なテロ事件を起こした同一人物とは思えない姿であった。
管理局の陰の支配者ともいえる最高評議会から勝手に生み出され、彼らのスケープゴートとなり、違法行為をやらされる日々‥‥
管理局からの独立と解放のために彼は事件を起こした。
だが、彼は機動六課に敗北した。
そんな彼に対して管理局は司法取引を持ち掛けて来た。
管理局としては、確かにスカリエッティは違法行為にテロ事件を起こした凶悪な犯罪者だ。
しかし、彼の頭脳を手放すのは惜しいと管理局は判断したのだ。
とは言え、これまで管理局からスケープゴート扱いされ、凶悪犯の運命を背負わされた彼にとってその管理局に協力なんて真っ平御免だ。
第九世界の刑務所に収監されるも、管理局の次は暗黒星団帝国が彼の頭脳と技術を欲した。
彼としては管理局よりはマシだと思い、そのまま彼は暗黒星団帝国へとやって来た。
奇しくも暗黒星団帝国の技術を学ぶ機会となり、その技術も充分に学んだ時、ヤマトを中心とした地球艦隊がデザリアム星へとやって来た。
彼は助手のロベルと共にデザリアム星に潜入してきたサーシアと共にデザリアム星から脱出した。
そして、地球艦隊に保護され、もう一つ地球の存在を知るのだが、その地球にも自分の名前と同じ人物が存在するらしく、面倒事を避けるために彼はロベルと共に今度はイスカンダルへと渡った。
ミッドチルダでは常に地下のアジトに籠っている日々であったが、こうして様々な体験とこれまで見た事の無い科学技術に触れて、自分を縛るモノがなく真の自由を手に入れた。
その姿はサーシアにしてみれば大きな子供の様に見えた。
サーシアは監視目的であったのだが、そんな大きな子供みたいな彼のお世話をしている内に二人が男女の仲になってしまった。
「大事な娘を傷物にしたんだ‥‥その責任は当然とってくれるよね?ジェレミアくん?」
「あ、ああ‥勿論だとも‥‥」
管理局からの呪縛はとけたか、今度は家族と言う輪の中に入る事になった彼であるが、それは決してこれまでの呪縛とは異なる未知の体験でもあった。
ルダと揚羽武との娘であるアゲハのイメージCVは島本須美さんをイメージしております。
同僚を失い傷心のユーノ、そんな彼の身を案じたなのはの今後の進展について
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付き合っちゃえ
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お友達のままで