星の海へ   作:ステルス兄貴

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二百五十七話 牙を剝くディンギル軍

 

 

行方不明になったまほろばを探すためにケンタウロス座アルファ星から出航したヒューベリオンとヱクセリヲンは途中、バース星に立ち寄りヤマトから‥艦長の古代からまほろばが行方不明となった時の状況を聞き、直ぐにでも行方不明現場となったガルマン・ガミラス近海へと向かおうとした。

 

しかし、真田の助言を受け、船体に対放射線防御の特殊コーティングを施すために数日、バース星での待機をとらなければならなかった。

 

船体に特殊コーティングを施したヒューベリオン、ヱクセリヲン、そしてまほろば捜索に参加したヤマトはバース星を出航し、ガルマン・ガミラス近海を目指す。

 

その航海の最中、捜索隊はガルマン・ガミラスの残存艦隊と遭遇した。

 

しかもその残存艦隊を率いていたのは、ガルマン・ガミラス本星の崩壊で死亡したと思ったガルマン・ガミラスの国家元首であるデスラーであった。

 

彼は銀河交叉が起きる直前、ボラー連邦との前線視察へ出ており、ガルマン・ガミラスの崩壊に巻き込まれずに済んだ。

 

ガルマン・ガミラス残存艦隊は地球圏に向かう。

 

その残存艦隊の中でバーガーが艦長を務めるランダルミーデもまほろば捜索に参加した。

 

そして、目的地であるガルマン・ガミラス近海にやってきた捜索隊。

 

捜索隊が到着した時、恒星同士の衝突は既に収まり、静寂な宇宙空間が広がっていた。

 

ただ、太陽異常が起きた際、ガルマン・ガミラスに立ち寄った時と比べてアステロイドの数が多かった。

 

これは恒星同士の衝突によって生まれた惑星の慣れの果てであった。

 

バーガーたち、ガミラス出身者とすれば遠い先祖の星、第二の故郷となる星だったのが、突然現れたもう一つの銀河系の交叉によっていきなり崩壊してしまった。

 

ガルマン・ガミラスの生き残り‥特に元ガミラス人は再び居住するための星を見つけなければならない。

 

これから大変な中で、バーガーは態々まほろばの捜索に参加してくれたので、良馬としては彼の行為には感謝に堪えない。

 

現場に到着した捜索隊はまず、タイムレーダーでヤマト、まほろばが緊急ワープをした座標の特定を行う。

 

「まほろばの緊急ワープ地点、特定完了」

 

「よし、まほろばのワープ座標に向け、移動」

 

「了解」

 

まほろばのワープ地点まで移動すると、各々の艦は空間航跡トレース作業を行う。

 

「空間航跡トレース開始」

 

「了解」

 

ただ、まほろばがワープをした時、近くの空間で恒星同士の衝突が起こり、更にまほろば、ヤマトが緊急ワープした事で、星間物質が大量にばら撒かれる状態となり、そのため空間航跡の読み取りが難しく、判別に時間がかかる。

 

「艦長、この周囲の環境の影響かトレースには時間がかかりそうです」

 

「くっ、この環境下ではやむを得ないか‥‥」

 

どんなに作業を急がせてもトレースが出来る訳ではない。

 

此処は落ち着いてトレースが出来るまで待つしかなかった。

 

それでも、確実にまほろばを見つけるのはこの方法しかなく、良馬としてはこの時間さえ物凄く長く感じた。

 

 

銀河系の中心部で良馬たちがまほろばの捜索を行っている中、異世界ミッドチルダでは‥‥

 

第九無人世界グリューエン‥‥管理局は無人世界と定めているが、実際は刑務所が設置されている荒野の世界で、かつてJS事件の主犯であるジェイル・スカリエッティが収監されていた世界でもある。

 

そんな世界にも小さいながらも管理局の支部が刑務所と並列設置されていた。

 

スカリエッティが暗黒星団帝国の工作員によって脱獄されてから、グリューエン周辺では監視衛星が多数設置され、厳重な監視網が敷かれていた。

 

その監視衛星の一つがグリューエンに接近して来る艦影を捉えた。

 

ザール率いるミッドチルダ制圧艦隊はミッドチルダ閉塞に向かったが、グリューエン近くのアステロイドに潜んでいた移動要塞母艦を中心とする艦隊は橋頭堡を確保するためにグリューエンへと迫って来たのだ。

 

 

第九無人管理世界 グリューエン 管理局支部 管制室

 

「支部長、監視衛星A-10がこちらに接近して来る艦影を確認!!」

 

「味方識別信号は?」

 

「確認できません!!」

 

ミッドチルダが水没するので、民間の次元航行船も徴用して避難船団を組織している事はこの支部でも知らされていたが、第一次避難船団の目的地はこのグリューエンではないので、多数の船団が来る予定は無い。

 

管理局の次元航行艦だとしても味方識別信号は送ってくる筈だ。

 

しかし、接近中の艦隊からは味方識別信号が送られてこない。

 

となると、接近中の艦隊は敵であると言う事だ。

 

「至急警戒態勢!!警備艦艇を出撃させろ!!ミッドチルダにも緊急電!!」

 

支部全体に警報が鳴り響き、局員たちが慌ただしく駆け回る。

 

このグリューエンにも万が一を想定して次元航行艦が配備されていたのだが、その戦力は決して豊富と言う訳ではなく、警邏艦が五隻配備されているだけであった。

 

荒野だけで、あるのは刑務所と管理局の支部しかなく、主だった鉱石などの資源もない世界だったので、海賊やテロリストもこの世界をアジトになんてしようとも思っておらず、管理局側も囚人の警備だけを中心にしているだけだったので、外部からの攻撃を想定していなかったので、警邏艦五隻でも過剰戦力と評価する局員さえ居た。

 

多数も配備して万が一、囚人たちが暴動を起こせば乗っ取ってしまうと考えたからだ。

 

だが、今となって警邏艦を五隻しか配備していなかった事が裏目に出てしまった。

 

警邏艦は全艦が出撃して接近中の艦隊の正体を突き止めようとしていた。

 

「それにしても奴等、どこに潜んでいた?次元跳躍の形跡は?」

 

「ありません」

 

「奴等の侵攻方向は?」

 

「小惑星群の方向からです」

 

「それだ!!こいつ等は小惑星群の間に隠れていたんだ!!」

 

「隠れていた?と言う事は‥‥」

 

「我々に見つからない様にしていたと言う訳だ。そもそも味方識別信号にも反応がなかったからな。味方の警邏艦は?」

 

「まもなく接触します」

 

「‥‥」

 

支部長を含め、管制室に居た全員がモニターを凝視していた。

 

移動要塞母艦からはディンギル軍の大型戦闘機を出撃させていく。

 

「全機突撃!!」

 

「奴らの基地を叩き潰せ!!」

 

「前方に艦影を捕捉!!」

 

「警備艦か‥‥此奴らは第一飛行隊が相手をする。そのほかの飛行隊は惑星まで降下、敵基地を攻撃しろ!!」

 

『了解!!』

 

ディンギル軍の大型戦闘機飛行隊は、一部を管理局の警邏艦へ向け、その他の飛行隊はグリューエンの管理局支部へと向かった。

 

 

グリューエン支部所属 警邏艦 艦橋

 

「な、なんだ!?あれは!?」

 

「小さな‥飛行機?」

 

宇宙戦闘機なんて今回、初めて見た警邏艦の乗員たちは接近して来るディンギル軍の大型戦闘機飛行隊に困惑する。

 

接近して来る相手の行動が読めない事で、彼らは初動が遅れた。

 

ディンギル軍の大型戦闘機飛行隊は警邏艦に向かってミサイルを放って来る。

 

「高速飛来物、本艦に向け接近中!!」

 

「っ!?迎撃しろ!!」

 

警邏艦は迫りくるミサイルを搭載しているジャスティス・カノンで撃ち落そうとするもミサイルの数が多い。

 

ミサイルはハイパー放射ミサイルではなかったが、警邏艦の船体のあちこちに命中し、爆発が起きる。

 

「機関部に被弾!!」

 

「ジャスティス・カノン、動力停止!!発射不能!!」

 

「レーダー、通信アンテナ破損!!」

 

「バカなっ!?あんな蚊トンボのような奴らに‥‥」

 

警邏艦の艦長としては信じられなかった。

 

確かに数機の戦闘機が相手ならば、警邏艦の方が有利だっただろう。

 

だが、相手は複数の戦闘機で、管理局の艦には搭載されていないミサイルと言う遠隔の質量兵器を多数搭載している。

 

そのミサイルが雨の様に迫り、艦の各部に命中し、艦の機能が次々と失われていく。

 

反撃能力も航行能力、そして通信・探査能力も失われてしまった警邏艦はもはや射撃場の的であった。

 

警邏艦の一隻がディンギル軍の大型戦闘機飛行隊のミサイルによる集中攻撃を受け爆沈するのを皮切りに他の警邏艦も次々とミサイルの餌食となっていく。

 

「味方警邏艦全滅!!」

 

「小型戦闘艇らしき飛行物体が我が支部に接近中!!」

 

「なにっ!?」

 

「支部長。我が警邏艦を攻撃して来た事から、接近中の勢力が敵対勢力であるのは明白です!!」

 

「そんな事は分かっている!!通信士!!」

 

「は、はい」

 

「ミッドには緊急電を入れているのだろうな!?」

 

「はい。今やっております!!」

 

支部長はイライラした様子で管制室を歩き回る。

 

すると、爆発音と共に管制室が揺れた。

 

「どうした!?何があった!?」

 

支部長がオペレーターに訊ねる。

 

「やつらから攻撃を受けました!!」

 

「空戦魔導師を全て上げろ!!」

 

ディンギル軍の大型戦闘機を迎撃するために支部長は空戦魔導師に出撃を命じる。

 

その直後、再び爆音と衝撃で管制室が揺れる。

 

「くそっ、一体どこの誰なんだ?奴らは‥‥」

 

僻地と言え、管理局の施設に対して攻撃を仕掛けてくるのだから、敵であり犯罪集団である事は間違いないと判断するが、その正体が掴めない。

 

そもそもこれまで管理局に敵対して来た海賊やテロリストはあんな小型機なんて使用していなかった。

 

しかも数機ではなく、あんなにも多数の小型機を保有していると言う事は一介の海賊やテロリストではなく、どうみても国家規模である。

 

迎撃にあがった空戦魔導師たちも懸命に戦うが、バリアジャケットを身に纏い、シールド魔法を張っても高速で飛び回り、レーザーを連射して来る敵機相手に次々と肉片へと変わっていく。

 

「空戦魔導師隊、全滅!!」

 

「くっ、アインヘリアルがあれば、こんな事には‥‥」

 

支部長は劣勢な戦況に思わずつぶやく。

 

アインヘリアルはかつて“陸”の本部長を務めていたレジアス肝いりの魔道兵器であった。

 

しかし、“空”“海”にしれみれば、高額な予算をつぎ込んで開発された無用の長物と言われ、実際にJS事件の際、ナンバーズの手によって破壊されてしまった。

 

大した戦果も無かった事で、JS事件以降はアインヘリアルの開発・設置が永久凍結されてしまい、ミッドチルダで開発・設置されていない魔道兵器なので、当然ミッドチルダ以外の管理世界でも開発・設置されていない。

 

グリューエンの空を覆い尽くすディンギル軍の戦闘機群。

 

もしも、アインヘリアルがあれば多少なりとも敵にダメージを与える事が出来たのかもしれない。

 

圧倒的な数で迫るディンギル軍の戦闘機群は、まるで獲物に群がる猛禽の如く急降下爆撃を行い、急上昇で離脱していく。

 

地表に残るのは爆撃で出来たクレーターと破壊された管理局の施設の残骸のみだ。

 

抵抗する術も無く破壊されていく管理局の施設。

 

施設内も当然被害を受けていた。

 

「うわああっ!!」

 

「ぐわっ!!」

 

施設内に居た局員たちは爆破による衝撃で吹っ飛ぶ。

 

「おい、しっかりしろ!!医務官!!医務官は居ないのか!?」

 

血塗れで通路に倒れている同僚を抱き起して、医務官を叫ぶ局員。

 

「くそっ、此処は地獄だ‥‥」

 

周囲を見渡し地獄絵図のような光景に思わずつぶやく局員であったが、

 

ドカーン!!

 

ゴゴゴゴゴゴゴ‥‥

 

バラバラバラバラ‥‥

 

再び爆音と衝撃が起こり、天井から瓦礫が降り注いだ。

 

刑務所に収監されていた囚人たちは逃げる事も出来ずに牢の中で瓦礫の下敷きとなった。

 

第九無人管理世界グリューエンの管理局支部と刑務所は僅か三十分の空爆で完全に壊滅してしまった。

 

支部は爆発し、炎上してゆく。

 

支部と刑務所の崩壊を確認したディンギル軍の戦闘機群は悠々と帰還行動に入り始めた。

 

「基地があったからかなりの抵抗があると予想していたが、迎撃に出て来たのは駆逐艦クラスの艦が五隻とは、随分と貧弱な基地だったな」

 

操縦桿を握りながら移動要塞母艦へ戻るディンギル軍のパイロットは先ほど、攻撃を仕掛けたグリューエンの管理局支部の低守備力に半ば呆れていた。

 

「そうですね。対空砲や迎撃機の攻撃で攻撃機隊に多少の被害が出ると思っていましたが、味方の損害はゼロ。幸先が良いですね」

 

爆撃手もパイロットの言葉を聞いて頷きながら自軍の完勝とも言うべき初戦に思わず口元がにやける。

 

「だが、見たか?迎撃機の代わりにあそこの基地の人間が空を飛んできたのを‥‥」

 

「はい。ジェットパックのような機械で空を飛んできたのかと思いましたが、背中にはその様な機械は確認できませんでしたよね?」

 

「ああ。連中、一体どういった原理で空を飛んでいたのやら‥‥」

 

「ですが、いくら空を飛べたとしても所詮は生身の身体‥戦闘機の体当たりには敵わないでしょう」

 

「そうだな」

 

人間が機械も使わず空を飛んでいた事は驚きはしたが、宇宙さえも高速で飛べる航宙機相手に生身の状態で挑むのはあまりにも無謀過ぎた。

 

グリューエンの管理局支部、刑務所が突如攻撃を受けた知らせはミッドチルダにも知らされていた。

 

「総合統括官、第九無人管理世界の支部から緊急電が入っております!!」

 

「緊急電?」

 

「はい。音声のみですが、かなり現状は切羽詰まった様子です」

 

「スピーカーに繋いで頂戴」

 

「承知しました」

 

オペレーターが通信回路を開いてグリューエンにある支部からの音声通信をスピーカーに繋ぐ。

 

『こち‥ら‥‥グリューエン支部‥‥未知の‥‥せい‥‥りょく‥‥から、攻撃‥‥受けて‥‥至急‥‥救援‥‥ザーザー‥‥』

 

グリューエンにある支部から救援を求める内容の音声通信を受けてリンディは困惑する。

 

「グリューエン支部からの通信が途絶しました」

 

「どこの勢力なのか分からないの?」

 

「はい。突然の攻撃を受けたみたいです」

 

「確かグリューエンには警邏艦が五隻配備されていた筈だけど‥‥」

 

「支部が攻撃を受けたと言う事は、撃破されたものと思われますが‥‥」

 

「こんな時に‥‥」

 

「総合統括、コレは一体どういう事でしょう?」

 

「何者かがグリューエンに攻撃を仕掛けてきたとしか思えないけど、一体誰が‥‥」

 

「あそこは支部と刑務所しかない荒野が広がる世界で、資源も無く、戦略的になんの価値も無い世界ですが‥‥」

 

「海賊やテロリストの仕業‥じゃあなさそうね‥‥」

 

「総合統括官!!第八、第七管理世界の支部も攻撃を受けているとの報告があがっています!!」

 

「なっ!?」

 

別のオペレーターからの報告を聞いてリンディは絶句する。

 

「総合統括官、第八、第七管理世界を攻撃して来たのは第九無人管理世界を攻撃して来た勢力と同じ勢力と思われます」

 

「総合統括官、第九無人管理世界がやられたとしたら、同じ程度の攻撃力しかない第八、第七支部は‥‥」

 

「状況は?」

 

「そ、それが、どんな状況なのか確認する前に通信が途絶え、こちらから通信を送っても応答がなかったので、まるで分かりません」

 

「‥‥どうやら敵勢力は組織的に動いていると見て良いわね。しかもそれぞれ分散して別ルートで‥‥」

 

「空港に緊急電、避難計画は一時中止よ」

 

「えっ?ですが、総合統括官。今のうちに住民を避難させないとアクエリアスの接近前に住民の避難が間に合わなくなってしまいます。それに避難活動の停止なんて発表をしたら、また暴動が起きませんか?」

 

第一次避難船団における避難活動の際も次元航行船の発着場、地上本部ビルの前でも混乱が起きていた。

 

そんな中で管理局が一時とは言え、避難活動の停止何て発表をすれば、ミッドチルダのあちこちで暴動が起きる未来しか見えない。

 

「でも、次元の海を航行中に攻撃を受けでもしたら、避難船は非武装なのよ。今、避難活動をさせるのはあまりにも危険よ。もしも暴動が起きる様ならば、“陸”“海”“空”の局員を総動員してでも暴動を鎮圧して構わないわ」

 

「わ、分かりました。ですが、第一次避難船団は既に第六管理世界、アルザスに向かっております」

 

リンディの暴動鎮圧指示を聞き、オペレーターは思わず声が裏返りつつも先にミッドチルダを出航した第一次避難船団の状況をリンディに報告する。

 

「っ!?直ぐにミッドへ引き返すか、近くのコロニー、もしくは管理世界に向かうように通信を送って!!それとスー大将に出撃命令を出して!!第二管理世界より内側に敵を入れる訳にはいきません!!直ちに敵勢力を迎撃し排除するように伝えて!!」

 

「承知しました」

 

オペレーターはリンディの命令を直ちに実行に移し、スー大将率いる次元航行艦隊へ出撃を要請した。

 

「スー大将の艦隊が間に合ってくれればいいけど‥‥それにしてもアクエリアスの接近に呼応するかのように管理世界へ攻撃をしかけてきた謎の勢力‥‥ガイアを襲撃して来た謎の勢力と言い、何か関係があるのかしら?」

 

リンディは一連の出来事全てが、偶々偶然が重なったとは思えなかった。

 

「ハラオウン総合統括官、避難活動を一時停止するとは一体どういう事かね!?」

 

しばらくしてリンディが下した『避難活動を一時停止』の知らせを聞いた“海”の高官がリンディの下へやってきて真相を訊ねてきた。

 

「現在、第九、第八、第七管理世界が未知の勢力から攻撃を受けました。この勢力がミッドに迫って来るようでしたら、非武装の避難船団を次元の海へ出す訳にはいきません」

 

「だが、例の水世界は着々とミッドに近づいているのだろう?一分一秒でも無駄に出来ないこの状況下で避難活動を止める余裕はあるのかね?」

 

「今、スー大将率いる次元航行艦隊を派遣しました。スー大将に未知の勢力を排除してもらえれば、避難活動は再開できます」

 

「スー大将ならば‥‥」

 

「確かにあのスー大将が行くのであるならば‥‥」

 

既に未知の勢力に対してスー大将が対処にあたっている事を聞き、“海”の高官たちは納得した様子であった。

 

(とは言え、既に第九、第八、第七の支部が壊滅し、情報が足りなすぎる‥‥アクエリアスの接近まで時間がないのに‥‥)

 

“海”の高官はスー大将が未知の勢力に対して対処している事に納得していたが、リンディは不安が拭えなかった。

 

その頃、第六管理世界アルザスを目指していた第一次避難船団では‥‥

 

避難船は実に様々な次元航行船が使用されていた。

 

管理局が使用している輸送艦は勿論、管理局が徴用した民間船舶の客船、貨物船など大きさも船種も様々で船数もこれまでに見た事の無い数であった。

 

船内の様子も人々と荷物がぎっしりと詰まっており、座席は勿論の事、船室も家族だけではなく、詰められるだけ詰めたので相乗り状態となっている。

 

通路にも人々がすし詰め状態となっており、トイレに行くのも一苦労だ。

 

だが、客船やフェリーなどの人を乗せるために作られた船はまだましな方で、人を乗せる事を考慮されていない貨物船に割り当てられた人々に関しては、酷い有様であった。

 

貨物船の船倉には膝を抱え背中を丸めた人々が床に直座りとなり、ジッと押し黙って目的地に到着するのを待っている。

 

彼方此方では赤ん坊や子供が泣きだし、高齢者は身体の痛みを訴えている。

 

横になるスペースもないのだが、どうしようもない。

 

外は真空の宇宙空間なので、船外デッキに出る事も出来ない。

 

そんな劣悪な環境下でも自分たちが水没するミッドチルダからいの一番で脱出出来たと言う安堵感があるのも事実であった。

 

少し我慢すれば、水没の危機から逃れたのだから、安堵するのも頷ける。

 

勿論、避難船に乗っているミッドチルダの住民には未知の勢力が第九、第八、第七管理世界を攻撃した知らせを聞いていない。

 

今、そんな事を知らせたら人々は恐怖のあまりパニックを起こすかもしれない。

 

知らせを聞いたのは避難船を操船している乗員たちだけであった。

 

「船長、ミッドから緊急電が入りました」

 

「ん?」

 

避難船の船団長である次元航行船の通信士がミッドチルダからの緊急電が入った事を船長に報告すると共に通信文を手渡す。

 

「‥‥」

 

通信士から受け取った通信文に目を通す船長。

 

「船長、ミッドからは何と?」

 

船長と共にブリッジに居た航海士が通信文の内容を訊ねる。

 

「どうも、他の世界が未知の勢力からの攻撃を受けたらしい‥‥」

 

「えっ?未知の勢力から!?」

 

「ああ。それを受けて、ミッドからはミッドへ引き返すか、近くのコロニー、管理世界へ全速で寄港せよとの事だ」

 

「どうしますか?船長」

 

「アルザスとはもう目と鼻の先だ。このまま目的地であるアルザスへ向かうぞ。ただし、速度は上げろ。他船にも発光信号で知らせるのだ」

 

「ヨーソロー」

 

避難船団は速度を上げて目的地である第六管理世界アルザスを目指した。

 

もうすぐで目的地である第六管理世界アルザスに着こうとしている中でも人々は環境の劣悪さや長旅の疲れからか、人々は段々とイライラし始めて神経質になってきた。

 

「やれやれ、水没前にミッドから脱出は出来たのが良いが、一体いつまで避難生活が続くのやら」

 

「水が引いた後でもすぐには住めないだろうから、何年かはミッドには戻れないだろうな」

 

周囲の避難民たちはこれからの生活、いつになったらミッドチルダへ戻れるのかを話していた。

 

また別の席では、

 

「ねぇ、ママ。まだ着かないの?」

 

長い船旅に飽きたのか、小さな男の子が母親に訊ねる。

 

母親は荷物が入ったカバンを座席の横に置き、座席に座りながら文庫本を読んでいた。

 

「もうすぐよ。もう少しで着くから我慢してね」

 

母親は自分の子供の頭を優しく撫でる。

 

「パパはどうして一緒じゃないの?」

 

「パパは別の船に乗っているのよ」

 

この家族は乗船する避難船がバラバラとなってしまい、父親は別の船に乗船している。

 

「はぁ~‥‥運が悪かったわね。私たちは‥‥折角、第一次避難船のチケットが来たのに、離れ離れになるなんて‥‥」

 

母親は疲労によってほつれた髪を撫で上げ、ため息をつく。

 

「大丈夫だよ、坊や」

 

すると、母親の近くに居た男性が笑みを浮かべながら言う。

 

声をかけられたので男の子はその男性を見る。

 

「アルザスに着いたら、パパと会えるよ」

 

「ほんと?」

 

「ああ。パパが乗っている船もきっと隣に居る筈だから」

 

男性は男の子の不安を取り除こうと声をかけたのだが、男の子は俯き、

 

「‥‥でもボク、本当はミッドに居たかった。友達とも別れちゃったし‥‥」

 

「こ、こら、そんな事は言わないの!!」

 

「やだ!!ボク、お家に帰りたい!!ママ、お家に帰ろうよ!!」

 

「いいかげんにしなさい!!わがままばかり言わないで!!」

 

「うわぁーん!!ママのバカぁ!!」

 

男の子は癇癪を起して座席から飛び降りると何処かに向かって走り出した。

 

「ちょ、ちょっと待ちなさい!!」

 

母親は自分の子供を引き留めようとするも男の子は止まらない。

 

追いかけようとするも周囲には大勢の人が居て子供を追いかけることが出来なかった。

 

一方、癇癪を起した男の子は船内を走っていたのだが、ある男の前で止まり、目を丸くしてその男を見る。

 

眼前の男はトランクを大事そうに抱えて座席に座っているのだが、問題は男の服装だ。

 

その男は何故かパンツ一枚なのだ。

 

男の子からの奇異の視線に気づいた男は、

 

「な、なんだ!?坊主、あっちに行け!!」

 

気まずくなったのか声を上げて男の子を追い払う。

 

しかし、男の子の方は、そんな男の言葉を無視して自身が抱いた疑問を口にする。

 

「ねぇ、おじさん。どうして裸なの?」

 

そう、この男は次元航行船発着場で一キロの手荷物を余分に通過させるために着ている衣服を代わりに脱いで避難船に乗船したあの男であった。

 

避難船に乗船した後も周囲の人々もその男を見ていた。

 

「おじさん、裸でいたら風邪ひいちゃうよ。ボク、ママにお風呂上りでよく言われているし」

 

「うるさい小僧だな‥‥あのめ、おじさんは裸でも風邪はひかないの。それに裸で居るのが好きなんだ。だから早くママの所にいきな‥‥へっ、へっ、へっくしょん!!」

 

「あっ、やっぱり、おじさん。風邪ひいたじゃない」

 

男の子の無邪気な指摘に周りの人たちは笑った。

 

面白いモノが見れた事で満足したのか、男の子は母親の下へ帰っていく。

 

裸の男は鼻をすすりながら再びトランクを大事そうに抱えた。

 

ミッドチルダから他の管理世界が未知の勢力から攻撃を受けた知らせを聞いて避難船団は速度をあげて目的地である第六管理世界アルザスを目指すが、そんな避難船団の前方に朧気なオレンジ色の光がいくつも出現した。

 

そのオレンジ色の光は陽炎のように揺らめいていたが、やがて実態を表した。

 

出現したのはザール率いるミッドチルダ制圧艦隊の本隊であった。

 

避難船団は運悪く目的地を目前にして遭遇してしまったのだ。

 

 

ディンギル軍 ミッドチルダ制圧艦隊 旗艦 ガルンボルスト 艦橋

 

「全艦、ワープアウト完了」

 

「殿下、別動隊から攻撃成功の連絡が入りました」

 

「うむ。初戦は順調だな。こちらも負けてはいられないな」

 

「殿下、本艦隊前方に船団らしき反応を発見いたしました」

 

観測員がザールに報告を入れる。

 

「モニターに出せ」

 

「了解」

 

ガルンボルストの艦橋にあるモニターには大小様々大きさと形の宇宙船団の映像が流れる。

 

「ふむ、見た所、戦闘能力がない宇宙船の様に見えるな」

 

「ええ、それにしても凄い数ですね」

 

「そうか、この船団はミッドチルダから脱出した奴等だな。だが、そうはいかんぞ‥‥ミッドチルダの人類は一匹たりとも宇宙には出さん!!一隻残らず撃滅しろ!!」

 

「はっ!!」

 

「別動隊の水雷戦隊に下令して水雷艇を出撃させますか?」

 

「非武装の船如きに貴重なハイパー放射ミサイルは勿体ない。我々だけで十分だ」

 

「承知しました」

 

ザールは宇宙にミッドチルダの住民たちを逃す訳にはいかないと判断し、相手が非武装の宇宙船でも容赦なく攻撃を仕掛けるために避難船団にまるで獲物を見つけた肉食獣の様に急接近していく。

 

攻撃能力が無い避難船団は赤子同然だった。

 

急接近してくるザール率いる艦隊の姿は客船型の次元航行船に乗っている住民たちからも確認が出来た。

 

「何だ?あれは?」

 

「どこの船だ?」

 

「見た事の無い形だぞ?」

 

「ま、まさか海賊か!?」

 

船団の進行方向に見た事のない艦が複数接近して来た事で住民たちは海賊が襲撃して来たのかと思った。

 

しかし、避難船のブリッジに居た乗員たちは前方の艦隊こそが第九、第八、第七管理世界を攻撃してきた未知の勢力だと判断した。

 

「船長、前方に艦影を確認!!」

 

「なにっ!?」

 

「海賊でしょうか?」

 

前方に出現した艦隊はどう見ても管理局の次元航行艦とは異なる艦影をしていたので、管理局からの援軍や護衛ではない事が窺える。

 

「い、いや違う‥‥海賊はあそこまで集団では襲ってこないし、何より船を同型でそろえるのは難しい筈だ」

 

「では、前方の艦隊は‥‥?」

 

「管理局から連絡があった未知の勢力かもしれん」

 

「ど、どうしますか?目的地のアルザスはもう目の前ですが‥‥?」

 

アルザスに向かうには前方の艦隊を突っ切る必要がある。

 

航海士はどうすべきか船長に訊ねる。

 

前方の艦隊が本当に第九、第八、第七管理世界を襲撃してきた勢力に所属する艦ならば、非武装の自分たちには対処しきれない。

 

速度に関しても恐らく相手の方が上だ。

 

このまま艦隊の真ん中を突っ切ってアルザスに向かうのはどう考えても不可能だ。

 

「は、反転だ!!全速でこの海域から逃げろ!!」

 

無駄に終わるかもしれないが、船長は少しでも生き残る可能性を信じてこの海域からの脱出を試みた。

 

「攻撃開始!!撃て!!女子供が居ようとも容赦なく全て撃沈しろ!!」

 

しかし、そんな避難船団に対してディンギル軍は容赦なく、そして無慈悲に攻撃を始める。

 

ディンギル軍の戦艦は地球の戦艦や管理局の次元航行艦の様に波動砲やアルカンシエルなどの決戦兵器は搭載されていないが、主兵装たるガトリング砲塔は速射性があり、それは彗星帝国の回転式砲塔以上の速射性であった。

 

ただでさえ、非武装で装甲に関しても戦闘艦と比べて薄い避難船団の船は数発被弾しただけで轟沈する。

 

「わああっー!!」

 

「キャーっ!!」

 

突如攻撃を受けた事で避難船に乗船している人々はパニックになるが、外は真空の宇宙空間なので、どうすることもできない。

 

破壊されていく避難船の中では人々は船が被弾した衝撃で床や壁に叩きつけられ、あちこちで悲鳴が上がる。

 

すし詰め状態となっている船では将棋倒しとなり、圧死する人も出ていたが、そんな船もディンギル軍の攻撃を受けて直ぐに爆沈する。

 

一方で、リンディの命令を受けたスー大将率いる艦隊は、避難船団からの緊急電を受け取っていた。

 

「スー司令官、避難船団が謎の勢力からの攻撃を受けているそうです!!」

 

「なにっ!?避難船団が!?現状は?」

 

「はっ、アルザス近海の海域のこの地点です!!」

 

「よしっ、全艦全速で現場に急行せよ!!ミッドにも緊急電を入れろ!!」

 

「は、はい」

 

スー艦隊は急ぎ、避難船団が攻撃を受けている現場に向かうと同時にミッドチルダにも連絡を入れた。

 

「総合統括官、大変です!!」

 

スー艦隊からの緊急電を受け取ったオペレーターは急ぎ、リンディの下に報告に向かった。

 

「どうしたの?そんなに慌てて」

 

「ひ、避難船団が襲撃を受けたようです!!」

 

「な、なんですって!?それで、被害は!?誰が襲撃をしてきたの!?海賊!?」

 

「いえ、海賊ではなく、どうやら第九、第八、第七管理世界を襲撃して来た同じ勢力みたいです」

 

「‥‥避難船団は引き返さなかったみたいね」

 

「はい。目的地のアルザスに近かったので、そのままアルザスに向かったのでしょう。現在、救援のためにスー大将の艦隊が全速で向かっているみたいですが‥‥」

 

「間に合いそうなの?」

 

「それは何とも言えません」

 

「‥‥」

 

スー艦隊が避難船団の救援に間に合ってくれればいいのだが、今のリンディにはそれを祈るしか出来なかった。

 

 

スー艦隊が到着する前に避難船団全てが撃破されるまで、ほんの十分とかからなかった。

 

「前方の船団の全滅を確認!!」

 

「こちらの被害は?」

 

「ありません」

 

「まぁ、当然の結果だな」

 

避難船団を全て撃破し、味方の被害ゼロの報告を聞いたザールはフッと笑みを零す。

 

するとガルンボルストの観測員が新たな反応を捕捉した。

 

「殿下、新たに宇宙船らしき反応を確認しました!!」

 

「またミッドチルダから逃げて来た連中の船か?」

 

「いえ、艦影と反応からみて戦闘艦の様です」

 

「ふっ、ようやく来たか‥‥別動隊の水雷戦隊へ水雷艇を出撃させろ。全艦、小ワープ準備」

 

ザールはスー艦隊を捕捉するも、自信満々の様子で命令を下す。

 

スー大将の方も避難船団を襲撃した敵勢力を確認した。

 

しかし、避難船団の姿は一隻も見当たらなかった。

 

「なっ、なんと‥避難船団は全滅か‥‥」

 

「何千万もの人々が乗っていたのに‥‥」

 

「くっ、仇を討つぞ!!全艦、ネオ・アルカンシェル発射用意!!」

 

避難船団が全滅した光景を見て、スー大将以下の管理局員は前方の敵勢力に対して怒りがこみ上げてくる。

 

スー艦隊は一気に敵勢力を一掃しようとネオ・アルカンシェルの一斉射で勝負をつけよとする。

 

「ネオ・アルカンシェル、発射!!」

 

スー艦隊は一斉にネオ・アルカンシェルを放つ。

 

すると、前方の敵勢力の艦全てがオレンジ色の光に包まれると消えてしまった。

 

「敵艦隊消失!!」

 

「ネオ・アルカンシェルは外れました!!」

 

「なにっ!?」

 

「敵艦隊は次元跳躍をした模様!!」

 

「しまった!!」

 

スー大将は唖然とする。

 

ふいにレーダー観測員が叫ぶ。

 

「左右両舷に敵艦隊出現!!」

 

「くそっ、なんという事だ‥‥全艦、近接戦闘用意!!」

 

ネオ・アルカンシェルを放った陣形から近接戦闘をとるための陣形変更を行っている間にもディンギル軍の水雷艇、ザールの戦艦部隊が左右両舷からスー艦隊へと迫る。

 

ザールは不敵な笑みを浮かべたままであった。

 

「突然、左右に現れたので、驚いただろう‥‥まさか奴らにあのような決戦兵器があったのは予想外だったが、当たらなければどうと言う事は無い。今度は此方の番だ」

 

多数の水雷艇は陣形を立て直しているスー艦隊に接近し、

 

「発射!!」

 

ハイパー放射ミサイルをスー艦隊に向けて放った。

 

「高速飛来物接近!!」

 

スー艦隊でもハイパー放射ミサイルの接近は探知で来た。

 

「回避しつつ攻撃!!」

 

迎撃を行うスー艦隊であったが、迎撃網を掻い潜ったハイパー放射ミサイルがスー艦隊の次元航行艦に命中する。

 

命中したハイパー放射ミサイルは直ぐに爆発はせず、装甲を溶かして、弾頭を艦内部へ挿入すると爆発。

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

「ぐわぁぁぁー!!」

 

艦内には人体に有害な放射線ガスが入り込み、乗員たちはバタバタと斃れる。

 

「い、一体何なんだ?あの兵器は‥‥」

 

スー大将を含め、各艦の艦長を含むスー艦隊の乗員たちは唖然とする。

 

ガイアの受けた教訓は全く活かされていなかった。

 

もっとも質量兵器の使用を禁止している管理局とすれば、未知の兵器に見えるのも無理はない。

 

陣形変更とハイパー放射ミサイルの回避行動ばかりに集中していたスー艦隊へ、ザールの戦艦部隊がガトリング砲で攻撃を仕掛けてくる。

 

数の上ではスー艦隊の方が上であったにもかかわらず、スー艦隊の次元航行艦は徐々に数を減らしていく。

 

スー隊長の艦もガトリング砲によって蜂の巣になる。

 

「ぐわっ!!」

 

被弾の衝撃で艦長席から放り出されるスー大将。

 

「ぐっ‥‥」

 

「て、提督‥‥ほ、本艦の戦闘能力は完全に失われました‥‥」

 

「我が艦隊も壊滅状態です‥‥」

 

「敵艦隊はミッド方面に進撃していきます」

 

「ミッドに至急警告を送れ‥特にあの凶悪な質量兵器についてだ」

 

「は、はい」

 

通信士がミッドチルダに警告文を送ろうとした時、スー大将が乗艦していた次元航行艦は爆発した。

 

ミッドチルダには避難船団、スー艦隊の壊滅した報告は届いたが、ハイパー放射ミサイルについての情報は届かなかった。

 

「ふっ、脆いモノだな。この分ならば、ミッドチルダ制圧も容易いぞ」

 

壊滅したスー艦隊の残骸を尻目にザールは艦隊をミッドチルダ方面に進撃していった。

 

同僚を失い傷心のユーノ、そんな彼の身を案じたなのはの今後の進展について

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