星の海へ   作:ステルス兄貴

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二百七十九話 邂逅

 

 

銀河交叉の影響で崩壊してしまったガルマン・ガミラス領、そしてボラー連邦領の調査と取り残された人々の人命救助へと赴いたヤマトとヒューベリオン。

 

ガルマン・ガミラス領内での活動中の最中でボラー連邦からの動きが全く見えなかった事から、地球防衛軍司令部はヤマト、ヒューベリオンにボラー連邦領内への調査を命じた。

 

ボラー連邦領内もガルマン・ガミラス領内同様、荒廃している光景が広がり、宇宙空間にはボラー連邦の艦船の残骸が漂う場面にも遭遇した。

 

そして、決定的だったのが、ボラー連邦の軍人であるニコラフ・ヴェンスキーとの出会いだった。

 

彼の口からボラー連邦本星での出来事が語られ、銀河交叉が起きた際、ボラー連邦側で何が起きたのかを把握できた。

 

ヴェンスキー司令の避難船団には安全な航路と避難できる惑星の座標を送り、地球にはボラー連邦の現状を送った。

 

『そうか、ボラー連邦も既に‥‥』

 

「はい。この証言はボラー連邦本星の軍人からの証言なので、信憑性は高いモノと思われます」

 

『うむ‥‥実は防衛会議でもその話題が上がっていてな』

 

「防衛会議でも?」

 

『ああ、科学局の新見君の見解ではボラーは辺境の惑星を見捨て中央のみの防御と復興を進めている説と本国を捨て、新天地を探索しているのではないかと言う説の二つを提唱した。今回の報告から、ボラー連邦は新天地を求めて宇宙に旅立ったと言う事になるな‥‥』

 

「はい。ヴェンスキー司令の話ではそうなりますね」

 

『しかし、ボラーの主力である避難船団の行方が分からないとなるとバジウド星系、ケンタウロス座アルファ星、そして太陽系の警戒態勢は引き上げなければならないな‥‥』

 

「はい」

 

『ヤマトとヒューベリオンは、引き続きボラー連邦領内の調査および生存者の救助任務を継続してくれ。ただし、警戒レベルは最大まで引き上げろ。新天地を求めて移動するボラーの主力艦隊、あるいははぐれた武装難民船団との接触は極力避けることだ。彼らが生存を賭けて狂乱状態に陥っている可能性も否定できん』

 

「はい、ヴェンスキー司令も同様の事を仰っていました。対象の動向には細心の注意を払います」

 

メインスクリーンから地球防衛軍司令部の映像が消え、再び無数の星々が輝く漆黒の宇宙が映し出された。

 

ヤマト、ヒューベリオンの第一艦橋には重苦しい沈黙が降りていた。

 

ガルマン・ガミラスだけでなく、かつて銀河を二分するほどの強大な勢力を誇ったボラー連邦までもが、故郷を失い宇宙を彷徨う流浪の民となってしまった。

 

その冷酷な現実は、乗組員たちの心に暗い影を落としていた。

 

 

ヒューベリオン 第一艦橋

 

「……新天地を求める巨大な武装船団か」

 

艦長席から、静かな、しかし確かな緊張を孕んだ良馬の声が漏れる。

 

もし、後がなくなり生き残りを賭けたボラーの主力艦隊が、豊かな資源と居住可能な環境を持つバジウド星系、太陽系やケンタウロス座アルファ星系に目を付けたとしたら‥‥

 

それは間違いなく、かつての戦乱を凌ぐ新たな悲劇の引き金となる。

 

平和的な対話が成立する保証など、どこにもなかった。

 

「各座、警戒態勢をフェイズ3へ移行。周辺宙域の索敵半径を最大まで広げろ。微弱な重力波の乱れや、ワープアウトの兆候も決して見逃すな」

 

「了解!!索敵半径、最大に設定します!!」

 

艦橋内に百合亜の緊迫した復唱が響き渡る。

 

ヤマトとヒューベリオンのメインエンジンが力強い鼓動を上げ、推進器が青白い光を放つ。

 

二隻の艦は、破壊されたボラー連邦の艦船の残骸が墓標のように漂う荒涼とした宙域をさらに深く、慎重に進んでいく。

 

その行く手に待ち受けているのが、救いを求める悲痛な声なのか?

 

それとも生き残りをかけた新たな敵の砲火なのか?

 

それはまだ、誰にも分からなかった。

 

 

一方、その頃、ミッドチルダでは‥‥

 

ミッドチルダ クラナガン 港湾地区 次元航行部隊専用軍港。

雲一つない青空の下、復興の槌音が響く都市を背景に、一隻の真新しい次元航行艦が巨体を横たえていた。

 

フェイトが艦長を務める次元航行艦、イゾルデ。

 

それが、フェイトに与えられた新たな「城」だった。

 

真新しい艦長服に身を包んだフェイトは、ブリッジの中央、艦長席の前に立っていた。

 

「機関、出力正常」

 

「次元コンパス、安定」

 

「各部署、出航準備完了」

 

機関長のコウラン、航海長のレイセンを始めとして、各部署からは乗員の配置が完了した報告が次々と上がってくる。

 

そしてイゾルデにて戦術長兼副長を務めるチンクが、フェイトに向けて敬礼をした。

 

「ハラオウン艦長。いつでもいけます」

 

「ありがとう」

 

フェイトは小さく息を吸い込んだ。

 

先日、はやてと飲んだシャンパンとワインの温かな記憶が蘇る。

 

(あんまり自分を追い込みすぎたらあかんで?)

 

親友の言葉が、緊張で強張りそうになる背中をそっと押してくれている気がした。

 

なのはは新しい人生の歩みを進め、はやてもまた自分の道を行く。

 

そして自分も今、新たな航海へ出るのだ。

 

遠く離れた別の宇宙で、ギンガやティアナ、そしてまだ見ぬ地球の艦長たちが命懸けで誰かを救っているように。

 

自分もこの艦で、多くの命を守り、導いていく。

 

フェイトは凛とした表情で前を見据え、張りのある声で命じた。

 

「次元航行艦イゾルデ、これより抜錨します。出航!!」

 

「「了解!!」」

 

ブリッジのクルーたちが一斉にコンソールを叩く。

 

黄金色の魔力光が艦体を包み込み、イゾルデはゆっくりと動き出す。

 

不安がないわけではない。これから先、どんな過酷な任務が待ち受けているかもわからない。

 

それでも、フェイトの心は晴れやかだった。

 

守るべき場所がある。信じてくれる仲間がいる。

 

若き艦長の新たな航海が、今、始まったのだった‥‥

 

フェイトが艦長として新たな門出を迎えている中、銀河系中心部では、ヤマトとヒューベリオンの人命救助作業は続いていた。

 

宇宙空間を航行していると、空間の歪みである重力震現象はちらほらと起きている。

 

「艦長! 前方宙域に大規模な重力震の兆候! これは‥‥今まで観測されたものとはケタ違いの規模です!」

 

レーダーコンソールに向かっていた百合亜の切羽詰まった声が第一艦橋の張り詰めた空気をさらに鋭く引き裂いた。

 

その時、ヤマトの古代艦長から通信が入る。

 

『月村艦長、この宙域の空間密度が急激に上昇している。どうやら、銀河交叉の影響で空間の歪みがボラー領内で臨界点に達しているようだ。いつでも脱出できるよう備えてくれ』

 

「了解、古代艦長。こちらも重力波の乱れを観測している。この危険宙域から直ちに離脱した方が良さそうだ。航海長、面舵一杯、機関最大!!」

 

「了解!!面舵一杯!!」

 

推進器が激しく唸りを上げ、ヒューベリオンの巨体が向きを変えようとする。しかし、宇宙規模の自然の猛威は、彼らの予測と艦の機動力を遥かに凌駕していた。

 

突如として、何もない宇宙空間がガラスのようにひび割れ、強烈な閃光とともに巨大な次元の渦――特大の重力震がその牙を剥いたのだ。

 

「艦長! 前方、および左右に高エネルギー反応! 空間が‥‥空間が割れます!!」

 

「何だと!?」

 

良馬の視界の先、漆黒の宇宙に眩い「亀裂」が走った。

 

それは鏡が割れるような音を立て巨大なワームホールへと急速に拡大していく。

 

「機関出力は最大か!?」

 

「はい!!もう一杯です!!」

 

「アフターバーナー全開!!機関出力を臨界まで上げろ!!何としてでも振り切るんだ!!」

 

「ダメです!! 強力な重力場に捕まりました! 振り切れません!」

 

『つ‥む‥‥艦‥長!! ヒュー‥‥リオン、最大‥‥で離脱しろ!!‥‥』

 

ヤマト‥古代からの通信もノイズが激しく、全てを聞き取る事は出来ず、やがてスピーカーからはノイズしか聞こえなくなる。

 

「ヤマトからの通信、途絶! 艦長、吸い込まれますッ!!」

 

ヤマトは波動エンジンの出力を最大にして後退を試みるが、ヒューベリオンはワームホールの発生源に近すぎた。

 

それに先日のボラー連邦の避難船団救助の際、機関に大きな負荷をかけているのも影響している。

 

「艦長!!舵が効きません!!」

 

「機関異常発生!!推進力の維持が出来ません!!機関出力低下!!」

 

機関長の中嶋麗羅がヒューベリオンの機関状況を叫びながら報告する。

 

「総員、衝撃に備えろ!!」

 

良馬が叫ぶと同時に、ヒューベリオンの巨体が光の渦の中に飲み込まれた。

 

 

ヤマト 第一艦橋

 

「ひゅ、ヒューベリオン、ロストしました‥‥」

 

「ヒューベリオンが‥‥」

 

「月村艦長‥‥」

 

ヤマトが伸ばした救助ワイヤー代わりの牽引ビームも届かず、白銀の艦影は一瞬で事象の地平線の彼方へと消え去り、宇宙は再び何事もなかったかのように静寂な空間へと戻る。

 

ただ、ヤマトの乗員たちは啞然としてヒューベリオンが消えた空間を見つめる事しかできなかった。

 

 

???

 

「新たなる出会いが起ころうとしている‥‥その出会いは運命を大きく変える出会いとなりそうね‥‥」

 

某惑星の某所にある室内で一人の女性が独り言のようにポツリと呟いた。

 

「司令、タビト星系周囲にホワイトホールの出現を確認!!重力レベル上昇!!」

 

何処かの惑星にある司令室でオペレーターがホワイトホールの出現を報告する。

 

「なにっ!?タビト星系の近くでホワイトホールだと‥‥!?」

 

「はい!!」

 

(あの時と同じ状況ではないか‥‥)

 

報告を受けた司令官は顔を引き攣らせる。

 

今から十年前、このタビト星系でホワイトホールが出現し、その中から一隻の宇宙戦艦が突如出現し、一人の殉職者を出した事件があったからだ。

 

「ホワイトホールの中から何か出て来る気配はないか?」

 

「‥‥今の所、ホワイトホールの中から何かが出現する気配はありません。ですが、このままですと、タビト星系近くの路線にも影響が出ます」

 

「タビト星系周辺を走行中の各路線に運航停止、近くの駅に緊急停車命令を出せ!!」

 

「了解」

 

「それと、空間鉄道警備隊スピカ小隊を出場させ、調査をさせろ!!」

 

「了解。スピカ小隊を現場へ出場させます」

 

出場命令を受け、とある惑星から宇宙の闇を切り裂くように、不可視の空間軌道レールの上を猛烈なスピードで疾走する列車があった。

 

空間鉄道警備隊(SDF)のスピカ小隊が搭乗する戦闘装甲列車フレイムスワローだ。

 

(本来ならば、シリウス小隊を向かわせたいところだが、今は出払ってしまっている。少々危険かもしれないが、スピカ小隊は情報戦のエキスパート‥‥彼女たちならば、何かつかめるかもしれない)

 

出動したフレイムスワローの光景を司令官はモニターでジッと見つめた。

 

 

フレイムスワロー 司令車両

 

「タビト星系、ポイント309へ到達。前方に大規模な重力異常、およびホワイトホールを確認!」

 

スピカ小隊のオペレーターである末浦愛が、緊迫した声を上げる。

 

 

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スピカ小隊を率いる隊長、ジュリア・F・レインハートは、指揮席からメインスクリーンに映し出される巨大な光の渦を鋭い眼差しで見据えていた。

 

 

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「各車輌、戦闘態勢を維持。十年前の二の舞にはさせないわよ。何が出てこようと、即座に対応できるように砲塔の照準をホワイトホールの中心に合わせなさい。それとスペース・イーグルの発進準備もね」

 

「了解!!主砲、目標へ指向します!!」

 

「艦載機隊発進準備にかかります」

 

ジュリアの脳裏には、司令部が懸念していた「十年前の事件」が過っていた。

 

突如出現した未知の宇宙戦艦によって引き起こされた悲劇。

 

同じ過ちを繰り返すわけにはいかない。

 

その時、ホワイトホールの輝きが急激に増大し、空間そのものが悲鳴を上げるような重力震がフレイムスワローを揺さぶった。

 

「っ!?来ます!! ホール内から超質量の物体が射出されます!!」

 

眩い閃光とともに、光の渦の中から「それ」は文字通り吐き出された。

 

「なっ……!」

スクリーンに映し出されたその威容に、スピカ小隊の隊員たちは息を呑んだ。

 

それは、彼女らが日常的に護衛しているような宇宙列車や、見慣れた形状の宇宙船ではなく、更に言えば十年前にこの宙域で出現した謎の宇宙戦艦とも異なる形状をしていた。

 

艦首には左右に大きな戦略砲の発射口らしき構造物があり船体の上下には四連装の砲塔が多数配置され、両舷にも三連装の砲塔に小さな口径の連装砲が左右に上下二基ずつあり、艦橋にはレーダーや通信アンテナらしき構造物がある。

 

圧倒的な質量と美しさを兼ね備えた超弩級宇宙戦艦がそこにあった。

 

「巨大戦艦……?」

 

スピカ小隊運行管理担当のパーシィ・シェリーは啞然としながらモニターに映る巨大戦艦を見つめる。

 

 

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「ホールアウトした戦艦の照合解析」

 

ジュリアは戦艦の所属を知るために銀河鉄道管理局のデータベースにある路線の惑星国家に所属する宇宙戦艦、これまで目撃された宇宙海賊の宇宙船との照合をさせる。

 

「銀河鉄道管理局のデータバンクに、あんな艦船の識別信号はありません!」

 

愛が、銀河鉄道管理局がこれまで遭遇して来た宇宙海賊、銀河鉄道の路線にある惑星国家に所属する宇宙艦船のデータから該当する艦を捜すが、どれもヒットしなかった。

 

「エネルギー反応、極めて強大! しかし、現在機関は停止、あるいはアイドリング状態と思われます!!艦体のあちこちから放電と微細なデブリを放出しています!!」

 

続いて出現した巨大戦艦の状態をジュリアに報告する。

 

「隊長、どうしますか?」

 

スピカ小隊戦闘パート担当のマギー・レッドフォードがジュリアに指示を仰ぐ。

 

 

【挿絵表示】

 

 

ジュリアは即座に決断を下す。

 

「攻撃の意思は確認できない‥それに、あの損傷具合……まるで嵐を抜けてきたような状態ね。警戒を怠らず、通信回線を開いて!! 相手の出方を見るわ。ただし、スペース・イーグル隊は発進させて、フレイムスワローの周囲で待機」

 

「「「了解!!」」」

 

十年前の記録では、当時出現してきた宇宙戦艦はいきなり艦載機を展開し、攻撃を仕掛けてくると同時に戦艦自体も発砲して、近くに事故で停車していた銀河鉄道707号を破壊し、707号の救助に赴いた当時のシリウス小隊のビッグワンにも攻撃を仕掛けて来た。

 

しかし、今自分たちの目の前で出現した巨大戦艦は艦載機を射出する様子もその強力な兵器を自分たちに向けて発砲する気配もない。

 

ただ、万が一の事態を考慮してジュリアはフレイムスワローに搭載されている艦載機隊を出撃させた。

 

 

一方、その頃、ホールアウトした超弩級の宇宙戦艦‥ヒューベリオンの第一艦橋では‥‥

 

ヒューベリオン 第一艦橋

 

特大のワームホールから強制的に吐き出されたヒューベリオンの第一艦橋では、アラートがけたたましく鳴り響いていた。

 

激しい眩暈と全身が押しつぶされるようなG圧。

 

一体どれだけの時間が経ったのか?

 

永遠にも思えるようなブラックアウトの後、ヒューベリオンは暗黒の宇宙へと「吐き出された。

 

「……うっ。各員、無事か!? 被害状況を報告しろ!」

 

良馬が艦長席からすぐさま声を張り上げる。

 

「主機関、一時的に出力が低下していますが、自力航行に支障ありません!」

 

「各ブロック、気密異常なし! 致命的な損傷や重傷者の報告はありません!」

 

乗員たちの報告を耳にしながら、良馬は最悪の事態を免れたことに安堵の息を吐きつつも、すぐさま次の指示を飛ばした。

 

「ヤマトは!? ヤマトの反応はどうなっている!?」

 

良馬は百合亜にヤマトの反応が周囲に無いか訊ねる。

 

「ヤマトの反応……識別信号はロスト」

 

「艦長、通信も繋がりません」

 

沙織が通信機に異常がある事を報告する。

 

「ヤマトとはぐれたか……現在位置は分かるか?」

 

「照合してみます」

 

百合亜がコンソールを凄まじい速度で叩き、周辺の星図データと艦のデータベースを照合していく。

 

やがて結果が出たのだが、その顔には深い困惑の色が浮かんでいた。

 

「銀河系内の基準星群、全て合致しません!!ボラー連邦領、ガルマン・ガミラス領はおろか、私たちが知る宇宙のどこにも‥‥」

 

「なにっ!?‥‥では、先日まほろばの捜索に出た宙域のデータと照合」

 

「はい」

 

「‥‥艦長、やはりこの宙域は先日のまほろばの捜索に来た宙域とも一致しません。ここは、未知の宙域です!」

 

「別宇宙に飛ばされたというのか……」

 

良馬が歯噛みしたその時、さらなる異常を知らせるアラートが鳴った。

「艦長、前方より接近する熱源反応あり!! こ、これはっ……!?」

 

「どうした!?」

 

「パネルに回します!!」

 

百合亜の動揺した声に良馬はメインスクリーンを見上げる。

 

光学カメラが捉えた映像がノイズ混じりに表示されると、そこには不可思議な光景が広がっていた。

 

「れ、列車?」

 

漆黒の宇宙空間‥レールも何もない宇宙空間に列車を模したような形状の宇宙船?がこちらに砲門を向けて停泊しているのだ。

 

しかもその周辺には防衛軍でも使用している艦載機に似た機体が数機展開している。

 

「光学兵器、および実弾兵器と思われる砲塔がこちらをロックオンしています! しかし、発砲の兆候はありません!」

 

ヤマトと共に数々の死線を潜り抜けてきた良馬にとっても、宇宙空間を走る「列車」の姿はあまりにも予想外だった。

 

しかし、相手が武装しており、かつこちらを武装で捕捉している以上、悠長に驚いている暇はない。

 

「武装の再起動は待て。こちらから敵対行動をとるな」

 

良馬は即座に状況を冷静に分析し、指示を飛ばす。

 

ボラー連邦領内での対応と同じ様に決して此方からの攻撃は許可しなかった。

 

「相手は未知の勢力だが、問答無用で発砲してこないということは、対話の余地があるということだ。通信回線を開け。全周波数帯、および全光学信号でこちらに敵意がないことを伝えろ」

 

「了解! 全チャンネル、オープンにします!」

 

通信が開かれた瞬間、ヒューベリオンのブリッジにノイズ混じりながらも凛とした女性の声が響き渡った。

 

『――こちら、銀河鉄道・空間鉄道警備隊スピカ小隊。所属不明の戦闘艦に告ぐ。貴艦は現在、タビト星系・銀河鉄道管理局の管轄宙域に侵入している』

 

「空間鉄道警備隊……?銀河鉄道だと?」

 

(銀河鉄道って、宮沢賢治の世界かよ‥‥)

 

良馬は聞いたこともない組織名に眉をひそめたが、すぐに艦長としての威儀を正し、マイクを握った。

「こちら、地球連邦所属・地球防衛軍戦艦ヒューベリオン。艦長の月村良馬だ。我々は重力震災害によるワームホールに巻き込まれ、意図せずこの宙域に転移してきた。我々に敵対の意思はない。繰り返す、我々に敵対の意思はない」

 

宇宙の迷子となった宇宙戦艦と星々の海を駆ける宇宙列車。

 

決して交わるはずのなかった二つの世界の軌道が、タビト星系の片隅で今、確かに交差したのだった。

 

ヒューベリオン‥良馬から通信を受けたジュリアは、

 

 

フレイムスワロー 指揮車両

 

『「こちら、地球連邦所属・地球防衛軍戦艦ヒューベリオン。艦長の月村良馬だ。我々は重力震災害によるワームホールに巻き込まれ、意図せずこの宙域に転移してきた。我々に敵意はない。繰り返す、我々に敵意はない」

 

通信機から響く、落ち着きがありながらも威厳に満ちた男性の声。

 

その言葉に、フレイムスワローの指揮席に座るジュリアは微かに眉を動かした。

 

「地球防衛軍?地球連邦?聞いた事の無い組織ね‥‥」

 

ジュリアの呟きに、マギーがコンソールから顔を上げる。

 

「隊長! 相手の艦、依然として武装の起動ジェネレーターはアイドリング状態です。こちらへのロックオンも、主砲の旋回も確認できません。本当に攻撃の意思はないようです!」

 

「……分かったわ。全車輌、主砲の照準を外してスタンバイ状態へ移行。スペース・イーグル隊は引き続き艦の周囲で警戒を継続」

 

「了解! 主砲、スタンバイ状態へ移行します」

 

ジュリアは一つ深呼吸をすると、通信用マイクへ向き直った。

 

十年前の悲劇‥‥突如現れた謎の戦艦によって引き起こされた悲劇が頭を過るが、目の前の巨大戦艦の艦長からは、狂気や敵意は感じられなかった。

 

「こちら、空間鉄道警備隊スピカ小隊隊長、ジュリア・F・レインハートです。月村艦長、貴艦の非敵対的意図、了解しました。状況把握と誤解を避けるため、メインモニターでの双方向の映像通信を提案します」

 

ジュリアは声のみの通信ではなく、映像通信での対話を提案した。

 

 

ヒューベリオン 第一艦橋

 

『こちら、空間鉄道警備隊スピカ小隊隊長、ジュリア・F・レインハートです。月村艦長、貴艦の非敵対的意図、了解しました。状況把握と誤解を避けるため、メインモニターでの双方向の映像通信を提案します』

 

「向こうは映像通信での対話を望んでいるみたいですが?」

 

「よし、回線を開け。メインスクリーンに回せ」

 

「了解。映像通信、繋ぎます!」

 

良馬の指示に従い、沙織が素早くコンソールを操作する。

 

ノイズが走り、メインスクリーンに映し出されていた「宇宙空間に静止する宇宙列車」の映像が切り替わった。

 

そこに映し出されたのは、機能的でありながらどこか古き良き時代の制服を思わせる軍装に身を包んだ、金髪の美しい女性将校――ジュリア・F・ラインハルトの姿だった。

 

その背後には、ヒューベリオンの艦橋とは全く異なる、しかし洗練された計器類が並ぶ列車型のブリッジと、忙しく立ち働くクルーたちの姿が見える。

 

(人間‥‥それに肌の色も地球人やミッドチルダの人間と全く変わらないな)

 

良馬は内心で安堵しつつ、居住まいを正して敬礼した。

 

「映像の接続を確認した。ラインハルト隊長、改めて名乗ろう、地球連邦所属・地球防衛軍戦艦ヒューベリオン艦長、月村良馬です」

 

『銀河鉄道・空間鉄道警備隊スピカ小隊、隊長のジュリア・F・レインハートです。月村艦長、こちらこそ、我々の通信に応じてくれたことに感謝致します』

 

(月村‥‥藤堂司令や村瀬、シリウス小隊の有紀と似たようなファミリーネームね‥‥

 

画面越しのジュリアもまた、隙のない流麗な動作で敬礼を返す。

 

彼女の鋭いブルーの瞳が、良馬、そしてその後ろに控えるヒューベリオンの乗員たちを観察しているのがわかった。

 

『月村艦長。単刀直入に伺います。貴艦は「ワームホールに巻き込まれた」と仰いましたが、それは先ほどこの宙域に出現したホワイトホールのことですね?』

 

「その通りです。我々は、別の宙域で起きた銀河交叉と呼ばれる宇宙で起きた災害調査と人命救助の任に就いていた。その最中、予測を遥かに超える特大の時空断層――そちらの言葉で言うホワイトホールに飲み込まれ、気がつけばこの宙域に放り出されていた」

 

良馬の理路整然とした説明に、ジュリアは手元のモニターに目を落とす。

 

ヒューベリオンが出現した際のエネルギー波形と、現在艦から漏れ出ている微弱な推進剤の異常値は、彼の言葉が嘘ではないことを証明していた。

 

『……信じましょう。貴艦の損傷状態と機関の出力低下のデータが、あなたの言葉を裏付けています。警戒態勢をとった非礼を詫びます、月村艦長』

 

「いえ、構いません。所属不明の武装艦が突如出現したのですから、そちらが警戒するのは当然の処置です。むしろ、問答無用で発砲せずにいてくれたことに感謝致します」

 

良馬の寛大な返答に、ジュリアの強張っていた表情が僅かに和らいだ。

 

『実を言いますと、十年前……このタビト星系で全く同じ現象が起きたのです。突如出現した未知の宇宙戦艦が、停車中だった銀河鉄道の列車と救助にきた列車を攻撃し、その戦艦を撃破するために一人の空間鉄道警備隊の隊長が殉職する事件がありました。我々が極度の警戒を敷いていたのはそのためです』

 

「そんな事が過去にこの宙域で‥‥」

 

良馬の顔に険しい色が浮かぶ。

 

未知の宇宙に飛ばされただけでなく、過去に似たような経緯で現れた艦がいきなり発砲を行っていたという事実‥‥

 

一歩間違えれば、ヒューベリオンも問答無用で敵と見なされ、交戦状態に陥っていたかもしれない。

 

『ですが、あなた方は違う。それが分かって安心しました』

 

ジュリアはそう言うと、少しだけ事務的な口調に戻った。

 

『月村艦長。現在貴艦が停泊している宙域は、銀河鉄道の主要幹線軌道上です。先ほどのホワイトホール出現の影響で一時的に運航を停止させていますが、間もなく各列車の運行が再開されます。その巨大な艦体が軌道上にあるのは非常に危険です』

 

「運航軌道?此処にレールが敷かれているのですか?」

 

『はい。不可視の空間軌道が存在しています。つきましては、貴艦の応急修理と事情聴取も兼ねて、近くにあるSDF(空間鉄道警備隊)のタビト分屯基地、あるいはタビト星の宇宙港まで当機フレイムスワローが先導・護衛を申し出たいのですが、いかがでしょうか?』

 

「‥‥」

 

良馬は数秒だけ沈黙し、機関長の中嶋麗羅に視線を送った。

 

麗羅は無言で頷き、「自力航行による追従は可能」というサインを送る。

 

ヤマトとはぐれ、右も左も分からない未知の宇宙。

 

まずは情報と、安全に艦を修復できる拠点が必要だった。

 

ジュリアからの申し出を断る理由は無い。

 

「レインハート隊長の提案に感謝します。我々はその申し出を有難く受け入れます。フレイムスワローの先導に従う」

 

『了解しました。これよりフレイムスワローは回頭し、タビト星系方面へ微速前進します。はぐれないよう、ついて来てください』

 

通信が切れ、メインスクリーンには再びフレイムスワローの姿が映し出された。

 

フレイムスワローの周囲を展開していたスペース・イーグル隊が列車の中に収容され、地上を走る列車と同じ様に動き出す。

 

しかも後部車両には宇宙船の様な噴射口は存在していない。

 

「か、艦長。本当に‥宇宙空間を列車が走っています」

 

百合亜が、信じられないものを見るような声で呟いた。

 

「ああ……我々の常識が通用する宇宙ではないということだ。だが、話が通じる人間がいるのは不幸中の幸いだったな」

 

良馬は小さく息を吐き、前を見据えた。

 

「航海長、フレイムスワローに追従。機関は、無理のない範囲で出力を維持しろ。これより本艦は、フレイムスワローの案内で未知の宙域を航行する」

 

「了解、前方フレイムスワローに追従します!」

 

次元の狭間に消えたヤマトの安否。

 

突如として迷い込んだ「銀河鉄道」が走る異宇宙。

 

交差するはずのなかった運命のレールが、今、全く新しい物語を紡ぎ始めようとしていた。

 

ジュリアはヒューベリオンを惑星タビトまで案内する間、銀河鉄道管理局に報告を挙げていた。

 

 

フレイムスワロー 司令車両

 

『そうか、十年前に出現した戦艦とは異なる戦艦か‥‥』

 

SDF司令官兼銀河鉄道管理局司令の藤堂平吾郎はどこかホッとしたような表情でジュリアからの報告を聞く。

 

「はい。彼らとは話が通じる相手で、問答無用の攻撃を仕掛けてくる気配はありませんでした。艦自体も所々に損傷箇所があるので、現在タビトまで先導しています」

 

『分かった。私から総司令に伝えておこう』

 

「お願いします」

 

良馬たちもジュリアが、話の分かる人と助かったと言う思いがあったが、ジュリアたちの方も良馬たちが話の分かる人で助かったと言う思いを抱いていた。

 

惑星タビトの空間鉄道警備隊の分屯基地にその傷ついた船体を横たえるヒューベリオン。

 

司令部から通達が来ているのか、分屯基地のSDF隊員たちがヒューベリオンに強襲を仕掛けてくる様子はなかった。

 

「鉄道警備隊って名前とあの宇宙列車から本当に戦闘艦ではなく、列車だけみたいですね」

 

分屯基地周辺にはフレイムスワローのような宇宙列車しか止まっておらず、自分たちが所属している防衛軍では戦闘艦ばかりで、民間の宇宙の移動手段でも宇宙列車なんて移動手段は存在していない。

 

「所属する組織、そして宇宙が異なれば宇宙空間の移動手段、防衛手段が異なるって事だろう‥‥時空管理局でも同じだ」

 

「そ、そうですね」

 

時空管理局も自分たちが使用するミサイルや砲弾を質量兵器と定義し、それらの兵器の使用を禁じ、地球では存在していない技術‥魔法と言う未知の技術を用いていた。

 

「事情を聞きたいって言っていましたけど、まさか領海侵犯で身柄を拘束する‥‥なんて事はないですよね?」

 

「それは分からない。だが、今の所は警備隊隊員の動きから見て、そのような命令が下っているような様子はないが‥‥」

 

「大丈夫だ。もし我々を捕縛するつもりなら、機関の出力が低下していたあの宇宙空間の時点で、強制的な臨検や拿捕を行っていた筈だろう?」

 

良馬は不安がる乗員たちを落ち着いた声で諭した。

 

相手が未知の組織とはいえ、彼らは「対話」を選び、傷ついたヒューベリオンを安全なドックへと導いてくれた。

 

その事実は、何よりも相手の理性と善意を示している。

 

「俺はこれより、SDFの責任者との面会に向かう。留守中の艦の指揮は航海長に任せる。機関部と技術科は引き続き艦の損傷箇所の特定と応急修理を、通信・情報科は、この宇宙の基礎物理データと星図の解析を急いでくれ」

 

「了解しました、艦長。お気をつけて」

第一艦橋の乗員たちに見送られながら、良馬は数名の護衛と共にヒューベリオンのタラップを降りた。

分屯基地のデッキには、既にジュリアと数名のSDF隊員が待機していた。

 

直接対面するジュリアは、モニター越しで見た時以上に凛とした佇まいであり、その洗練された隊員服から、彼女が幾多の修羅場を潜り抜けてきた優秀な指揮官であることが窺えた。

 

「歓迎しますわ、月村艦長。改めて空間鉄道警備隊スピカ小隊隊長、ジュリア・F・レインハートよ。そして、よくぞ私たちの宇宙へ」

 

ジュリアは右手を差し出した。

 

「地球防衛軍戦艦ヒューベリオン艦長、月村良馬です。此度の温情ある処置、ヒューベリオン乗組員一同を代表して心より感謝致します」

 

良馬はその手をしっかりと握り返した。

 

異なる宇宙、異なる常識を持つ者同士の、初めての友好的な接触だった。

 

 

タビト分屯基地内 会議室。

 

良馬はジュリア、そしてホログラム通信で繋がったSDF司令の藤堂平吾郎に対し、自分たちの置かれた状況を包み隠さず説明した。

 

 

【挿絵表示】

 

 

地球という惑星の存在、かつて宇宙を二分した巨大国家ガミラスとボラー連邦、そして、宇宙の構造そのものを破壊し引き裂く未曾有の災害『銀河交叉』について‥‥

 

『……なるほど‥異なる次元、異なる宇宙で起きた大規模な時空災害。その余波が生み出したワームホール……特大の次元断層に飲み込まれ、このタビト星系に弾き出された‥というわけか‥‥』

 

腕を組み、重々しい声で藤堂が頷く。

 

「はい。にわかには信じ難い話だとは思いますが、本艦のデータバンクにある星図と、そちらの宇宙の星図が全く符合しないことが、何よりの証拠です」

 

「銀河交叉……恐ろしい現象ね。もしその余波が、私たちの宇宙の空間軌道網にまで影響を及ぼしたら……」

 

ジュリアは背筋に冷たいものを感じながら呟いた。

 

銀河鉄道網は、この宇宙の物流と人々の生活を支える大動脈だ

 

それが時空の歪みによって寸断されれば、引き起こされる混乱は想像を絶する。

 

『月村艦長。君たちの事情はよく分かった』

 

藤堂は力強い眼差しで良馬を見据えた。

 

『我々、銀河鉄道管理局は、星々の海を行き交う全ての命の安全を守ることを是としている。不可抗力による事故で傷つき、見知らぬ宇宙に放り出された者たちを、無下に追い返すような真似はしない。ヒューベリオンの修理に必要な物資、技術的支援は我々が提供しよう』

 

「藤堂司令……感謝の言葉もありません。何から何まで、本当に……」

 

良馬は深く頭を下げた。

 

最悪の場合、未知の敵対勢力として攻撃されることも覚悟していただけに、彼らの寛大さは骨身に沁みた。

 

『ただし、君たちの持つ技術や武装は、我々の宇宙においても極めて強力で異質なものだ。修理が完了するまでの間、無断での武装の使用、および指定宙域外への移動は制限させてもらうが……よろしいかな?』

 

「当然の措置です。我々も、これ以上の混乱は望んでいません。そちらのルールには全面的に従います」

 

『よろしい。ジュリア君、彼らのサポートは引き続きスピカ小隊に任せる。何かあればすぐに報告を』

 

「了解しました、司令」

 

通信が切れ、会議室に少しだけ安堵の空気が流れた。

 

「ひとまずは安心、といったところね。月村艦長」

 

「ああ。君たちと出会えたのは、我々にとって最大の幸運だった。……しかし、問題はここからだ。艦が直ったとして、どうやって元の宇宙へ帰るのか……」

 

良馬の脳裏に、強引に引き離されてしまったヤマト、そして古代たちの顔が過る。

 

 

一方、その頃、

 

ヒューベリオンが消え去った元の宇宙、銀河系中心部。

 

宇宙戦艦ヤマトの第一艦橋には、重く、張り裂けそうなほどの悲痛な沈黙が満ちていた。

 

「……重力震の反応、完全に消失しました」

 

ヤマトのオペレーターである西条の震える声が響く。

 

メインスクリーンに映し出されているのは、何事もなかったかのように平穏を取り戻した漆黒の宇宙空間だけだった。

 

ヒューベリオンの姿は、どこにもない。

 

「ヒューベリオンの識別信号、全周波数帯で検索中……ダメです、反応ありません! ロストしました……!」

 

相原の報告が、最悪の事実を突きつける。

 

古代は艦長席の肘掛けを強く握りしめ、食いしばった歯の隙間から血が滲むほどに感情を押し殺していた。

 

「……古代。彼らの艦の設計思想と、月村艦長の判断力を信じろ。あの艦は、そう簡単に沈むようなヤワな造りはしていない」

 

真田が静かに、だが力強く語りかける。

 

「分かっています……。月村艦長なら、どんな過酷な状況でも必ず活路を見出しているはずだ」

 

古代は顔を上げ、スクリーンに広がる星の海を睨みつけた。

 

「地球防衛軍司令部に通信。現状を報告し、次元断層の追跡および解析の許可を要請しろ。我々は決して、彼らを見捨てはしない。必ず……必ず迎えに行くぞ!」

 

そして、また別の宇宙では‥‥

 

ミッドチルダの次元海溝を抜け、無限に広がる次元空間へと進み出た次元航行艦イゾルデ。

 

「次元跳躍、正常に完了。本艦はこれより、指定された第7セクターの哨戒任務に入ります」

 

航海長レイセンの報告に、艦長席のフェイトは力強く頷いた。

 

「各センサー群、最大稼働。僅かな次元震や、遭難信号の兆候も見逃さないで」

 

「了解!」

 

イゾルデの艦窓から、フェイトは流れる光の帯を見つめる。

 

(なのは、はやて……。私、立派にやってみせるよ。この艦で、たくさんの命を救うために)

 

別々の宇宙で、別々の星の海で引き裂かれた絆と新たに出会う絆。

 

それぞれの思いを乗せた艦の航海が、果てしない宇宙のうねりの中で静かに、そして力強く動き始めていた。

 




将来的に銀河鉄道を登場させたいので、地球に銀河鉄道路線を引き込むために、ヒューベリオンには銀河鉄道の始発駅がある惑星が存在する宇宙へ行って貰いました。

タグにも『銀河鉄道』『銀河鉄道物語』を追加しました。

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