星の海へ   作:ステルス兄貴

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二十話 汚名返上

 

火星~木星間にて、アンドロメダ と まほろば の追跡を無事に振り切ったヤマトは木星宙域にて、参謀長である西郷が独断で出撃させた無人艦隊と遭遇し同艦隊を撃破し、木星の重力を上手く利用して加速、一気に冥王星宙域を抜け、第十一番惑星の近海まで来ていた。

 

なお、独断で無人艦隊を出撃させ、その艦隊をヤマトによって壊滅させられた西郷に対して、罰則は下されなかった。

 

その理由は、

 

無人艦隊で人的損害が無かったとは言え、友軍の艦船を手に掛ける辛さはヤマトの乗員たちはよく知っている筈。

 

その結果ヤマトの乗員も心に傷を負った筈だ。

 

その反面、防衛軍が実験兵器とは言え、多大な予算をかけて作った艦隊を撃破され、保有的にも財政的にも痛手を受けた防衛軍。

 

そう言った経緯から、今回の件は痛み分けと言う事で、藤堂長官はどちらにも処罰を下す事は無かった。

 

その頃、ヤマトは第十一番惑星近海まで進出していた。

 

第十一番惑星には大規模な駐屯基地はなく、まだ小さな観測基地があるぐらいで、艦隊や戦闘衛星、無人攻撃ステーション等は配備されておらず、地表に空間騎兵隊が基地の守備に就いているだけで、ヤマトにとっては何の妨害もなく、無事に通過出来る筈だった。

 

しかし、そこへ突如SOS信号がヤマトに入った。

 

信号を逆探すると、そのSOS信号は第十一番惑星から発信されていた。

 

ヤマトは針路を変更し、第十一番惑星救援に向かった。

 

救援に向かったヤマトに何時ぞやのカブトガニが襲い掛かって来た。

 

この事実により、地球がガミラス以外の他の星間国家から侵略を受けている事がはっきりした。

 

カブトガニは見たところ艦載機なので、艦載機が居れば当然それを搭載、運用する空母が居る。

 

ヤマトは襲い掛かって来たカブトガニを撃破し、残ったカブトガニは撤退していく。

 

周囲を警戒しながら第十一番惑星救援に向かった。

 

その第十一番惑星の基地は、コズモダード・ナスカ率いる白色彗星帝国ガトランティス、太陽系侵攻前衛艦隊の猛攻を受けていた。

 

ナスカは当初、ヤマトを一目見て、「ひ弱そうな艦だ」と、甘く見ていた。

 

しかし、ナスカの誤算は最初の邂逅時と異なり、ヤマトが改良工事を受けパワーアップしていた事、

 

ナスカ自身がヤマトを甘く見ていた慢心、

 

率いていた艦隊が強行偵察用の艦隊だった為、旗艦とする空母の他は機動性を優先した護衛の巡洋艦や駆逐艦しか連れていなかった事だった。

 

数の上ではナスカ艦隊はヤマトに勝っていたが艦船の火力と慢心から案の定、護衛の駆逐艦、巡洋艦の大半をヤマトとコスモタイガーの攻撃により撃沈され、ナスカが座乗する中型高速空母、エウレカもヤマトの砲撃を受け、中破した。

 

ナスカは急ぎ、艦を反転させ、残存艦と共に第十一番惑星宙域から撤退した。

 

ナスカ艦隊を退けたヤマトは第十一番惑星に降下、敵の地表部隊を撃破し斎藤始を隊長とする空間騎兵隊第十一番惑星守備隊の生き残りを収容した。

 

本来ならば生存者は地球へ後送されるのだが、現地指揮官の斉藤始 以下、生き残った空間騎兵隊員はヤマトへの乗り組みを強硬に希望した。

 

如何やら、かつて地球を救った艦に乗艦できるなんて、この機会を逃したらもう二度とないだろうと思い希望したようだ。

 

意外とミーハーな所がある。

 

それに彼は、ヤマトを一度見た事が有る。

 

それはイスカンダルへと旅立って行く、ヤマトを今回同様、自分が守備する月面の駐屯基地がガミラスの攻撃にあい、壊滅しかけた時だった。

 

あの時、イスカンダルへ向かって地球を離れていくヤマトを斎藤は破壊されかけた基地の見張り台から見ていたのだ。

 

空間騎兵隊生存者のヤマト乗艦の件に関しては、藤堂が許可を出した為、空間騎兵隊の生存者はヤマトと共にメッセージの発信源の星へ向かう事となった。

 

負傷した空間騎兵隊隊員を医務室に運んだ古代はそこで、地球に残ったと思っていた雪の姿を見て驚愕した。

 

負傷者の治療があらかた終了した後、古代は雪に役職と名前を訊ね、乗組員名簿に載っていない筈の雪にどうしてヤマトに乗艦しているのか?と問う。

そして、艦の規律維持の為、雪に退艦を命じた。

 

すると、雪は古代の言う事を真に受け、突然着ていたナース服を脱ぎ出し、宇宙服に着替え始めた。

 

しかも古代の目の前で‥‥

 

幾ら古代が自分の婚約者とは言え、実に大胆な女性である。

 

古代が慌てて雪に何をしているのか?と問うと、宇宙遊泳をして地球に帰ると言い出したので、古代はまたもや慌てて雪の乗艦を認め、旧役職のヤマト船務長兼レーダー手の役職に就かせた。

 

あのままでは本当に雪はヤマトを退艦し、宇宙遊泳をして地球を目指していきそうだったからである。古代もまさか、本当に雪が宇宙遊泳をするとは思ってもみなかったからだ。

 

雪が落ち着いた所で、古代が雪に何故この様な危険な旅に紛れ込んだと問うと、

 

「私もヤマトの仲間の一人よ‥皆が行くなら私も一緒に‥‥古代君の傍に居たかったのよ‥‥」

 

と、涙目でそう言って思わず古代の胸に飛び込む。

 

古代は飛び込んできた雪を優しく抱きしめる。

 

幸いその場には、古代と雪以外誰も居なかったため、二人の熱愛ぶりは他人に露見する事はなかった。

 

雪が正式にヤマト乗組員となった後、作戦室にて今後の航路設定の会議が行われ、メッセージの発信源の星が正確な位置はまだ不明だが、牡牛座ヒアデス星団の付近にあると判明し、航路は小犬座プロキオン、双子座ポルックス、カストル、牡牛座アルデバランを通る事となった。

 

敵の脅威が一時的であるが太陽系から去り、空間騎兵隊の生存者を収容したヤマトは早速、第十一番惑星宙域での出来事、回収した敵の残骸のデータを地球へと送った。

 

ガミラスとは異なる他の星間国家からの地球侵略‥‥。

 

古代や真田、良馬が恐れていた事が現実のモノとなったのだ。

 

当初、この報告を聞いた地球連邦政府高官や防衛軍幕僚はヤマトが苦し紛れに行った偽装だの出鱈目だの喚いたが、ヤマトが送って来た敵艦との戦闘映像と残骸のデータ、現場指揮官の斎藤の証言から、決定的な証拠となり、ヤマトに着せられた反逆者の汚名はそそがれ、地球はガミラスとは異なる新たな侵略者に狙われているとの見解で一致した。

 

新たな侵略者の存在が明らかになったすぐ後、西郷が藤堂の下に辞表を提出した。

 

理由は、古代らが懸命に新たな侵略者の存在を訴えていたにも関わらず、自分はその事に耳を傾けず、それどころか彼らの行動を妨害をし、戦闘衛星、無人艦隊等、防衛軍側にも物的、金銭的に大きな被害を出した責任を取るとの事だった。

 

しかし、藤堂は西郷の出した辞表は受け取らず、

 

「敵の存在が明らかになった今、君を辞めさせる訳にはいかん。此より軍、政府とも大荒れの嵐の中に投げ込まれる。辞めるのであれば、この難局を全て乗り切ったあとにせよ」

 

と、言われ、西郷は現在の職務を継続する事となった。

 

連邦政府、そして防衛軍が敵の存在を認め、防衛体制の見直しを行っていたある日、火星基地に居る良馬の下に新たに命令が下る。

 

「護衛‥ですか?」

 

「そうだ」

 

画面の先にいる恩師兼艦隊最高指揮官の土方に良馬は問い返した。

 

まほろば は現在、火星基地にて補給を受け乗員は短い休暇をとっていた。

 

ヤマトの報告から第十一番惑星基地は再建に時間がかかると判断され、地球が今、新たな侵略者の魔の手が迫っている中、第十一番惑星基地の再建は時間的余裕がないため、基地の再建は暫くの間休止し、太陽系内の防衛ラインの最前線を冥王星に設定した。

 

冥王星はかつて、ガミラスが駐屯基地を設け、地球攻略の拠点としていたがヤマトの活躍により、ガミラスの基地は大半が破壊され更に爆発における影響で起きた大津波によって飲み込まれた。

 

しかし、ガミラスの脅威が太陽系から去り、地球の再建が行われた中、津波の被害を免れたガミラスの施設の調査が行われ、その中でガミラスが設置した環境改造用プラントが発見された。

 

それらの技術により、地球の内惑星移植は格段に進歩した。

 

地球を滅ぼそうとした冥王星のガミラス基地の施設が今、地球の発展を手助けしている。

 

ガミラスにとっては何とも皮肉な結果となっている。

 

そして、良馬に下された命令はその冥王星駐屯基地に支援物資を輸送し、その後、第十一番惑星へと向かう調査隊を護衛せよと言うモノだった。

 

何故、従来の輸送船や輸送艦を使用しないのかと言うと、敵の存在が明らかになり、例の第十五空間輸送補給護衛艦隊遭難事件も侵略者の仕業ではないかとささやかれるようになった。

 

その事から、高速・重武装の戦闘艦艇を用いて、資源輸送を行う事とした。

 

そして、冥王星での物資揚陸後、第十一番惑星へ向かうその理由は、

 

第十一番惑星の地上と周辺の宙域における戦闘では、敵の艦船や各種兵器の残骸が多数発生した。

 

地球側にすれば、未知の部分が多い新たな敵の詳細を知ることができ、更には貴重な宇宙金属も手に入る‥まさに宝の山である。

 

「ヤマトが敵の艦艇を殆ど沈めてくれたので、短期的な脅威は解消されたからな。今の内に可能な限り敵の科学力を解析しておきたいのだ」

 

「分かりました。それで調査隊の規模はどの程度の物なのでしょうか?」

 

「工作艦、明石、その他に輸送艦五隻を冥王星駐屯基地に準備させている。冥王星で支援物資を揚陸後、直ちにそれらの艦艇を率いて第十一番惑星に向かってもらいた」

 

「了解しました」

 

翌日、まほろば は冥王星への救援物資を満載し、火星基地を出撃した。

 

軍艦にも関わらず、物資を満載して輸送任務を行う。

 

(何だか、大昔に日本海軍が行った北号作戦の様だな‥‥まぁ鼠輸送よりはマシだろう)

 

昔の歴史を振り返りながら、良馬はそんな事を思っていた。

 

良馬が思った北号作戦とは、太平洋戦争(大東亜戦争)末期、1945年2月10日から20日にかけて行われた日本軍の撤収、及び輸送作戦で、南シナ海における連合軍の通商破壊作戦の本格化によって、日本の軍需・民需輸送船の損害が増大し、南方からの資源輸送が極めて困難となっていた。

 

また、シンガポールに在泊していた水上戦力が日本本土と切り離され、これらの戦力が本土防衛に参加できず遊兵化する恐れがあった。

 

そのため、これらの高速・重武装の戦闘艦艇を用いて、資源輸送を行うこととした。

 

この作戦の参加艦隊は、戦艦 日向、伊勢 と、軽巡洋艦、大淀、

 

第二水雷戦隊の駆逐艦、朝霜 初霜 霞 で構成されており、旗艦は日向と定め、

艦隊司令官には松田千秋少将が艦隊の指揮を執り、艦隊は無傷で呉に到着し、輸送作戦は完璧な成功を収めた。

 

この作戦はまったく損害を受けずに完全な成功を収めたことで、キスカ島撤退作戦と同様に「奇跡の作戦」などと評される。

 

しかしながら六隻の軍艦での輸送でありながら、物資の量としては中型貨物船一隻分に過ぎなかった。

 

専用の輸送船ではない以上は仕方ないことであるが、この程度の量の物資の輸送に成功したことを狂喜せねばならないこと自体が、当時の日本の窮状を示していたと言える。

 

一方の鼠輸送とは、太平洋戦争中に日本海軍が行った駆逐艦による輸送作戦の、当時の軍内部での俗称で、アメリカ軍に制空権を奪われた後、ガダルカナル島への増援部隊輸送・物資補給が低速の輸送船で行えなくなったために、高速の駆逐艦を利用して行った輸送方法を、前線部隊が揶揄して名付けた。

 

しかし、もともと輸送任務を想定していない駆逐艦なので、輸送効率は著しく低いものだった。

 

(今の地球は当時の日本の様に逼迫していないが、地球もそうならないと願うしかないな)

 

窓から輝く星々を見ながら良馬はそう思った。

 

その次の日、小ワープが可能な宙域は小ワープを行い、日程を大幅に短縮して冥王星に到着した。

 

ガミラス戦役時では考えられない日程の早さだった。

 

火星から冥王星までの航海で、ギンガはミッド出身の人間で初めて、超光速空間跳躍航行(ワープ)を体験した。

 

管理局艦船の次元跳躍航法とは全く異なるが、この世界ではヤマト以降に建造された艦は、超光速航行が普通に行われているという事実を知っていたが、こうして身をもって体験したのはこれが初体験であった。

 

(うぅ~‥‥ちょっと気持ち悪いかも‥‥)

 

ワープアウト後、ギンガは軽いワープ酔いを訴えた。

 

ギンガの他にもワープ酔いを訴える乗員が何名かいたが、皆二回、三回と小ワープを繰り返していく内、ワープ酔いを訴える乗員も少なくなった。

 

冥王星に着き、搭載してきた物資を揚陸している中で良馬は基地内で懐かしい顔を見た。

 

「あれ?三木君!?」

 

「月村艦長?」

 

「いやぁー久しぶり、元気だった?」

 

基地居たのは良馬が三笠乗艦当時、三笠の副長を務めていた三木幹夫だった。

 

「はい、艦長もお元気そうで」

 

「今、どこの所属なの?」

 

「冥王星駐屯基地所属、宇宙巡洋艦、すくね の艦長を務めております‥‥あっ、あの艦です」

 

三木が指さす先には防衛軍が正式採用している0一式宇宙巡洋艦が停泊している。

 

「出航準備をしているようだけど、これからパトロール任務か訓練航海?」

 

すくね の周りにはドックの作業員が忙しそうに作業をしている為、すくね がこれから出航するのはすぐに分かった。

 

「いえ、援軍です。ヤマトの‥‥」

 

「ヤマトの!?」

 

三木の発言に良馬は驚いた。

 

敵の存在が明らかになり、謎のメッセージの正体を探りに行くヤマトに、藤堂が「ヤマト一隻では心もとないだろう」と言う事でヤマトに援軍の派遣を決めたのだ。

 

出来るなら自分がヤマトの援軍に行きたかったと、良馬は三木の話を聞いたときにそう思った。

 

「月村艦長は、この後また火星へ戻るのですか?」

 

「いや、この後冥王星を出航し、護衛任務だ」

 

「護衛?」

 

「ああ、三木君も知っているだろうけど、先日第十一番惑星基地が謎の敵に襲撃された。その調査隊の護衛さ」

 

「では、私も第十一番惑星までお供しましょうか?」

 

「しかし、君は一刻も早くヤマトに合流しなければならないのでは?」

 

「第十一番惑星までは同じ航路を辿りますから、そのついでです」

 

「そうか、ありがとう」

 

まほろば、すくね、調査隊の艦船と護衛艦三隻が出撃準備を行っている中、ヤマトに敗北したコズモダート・ナスカは後衛の艦隊と合流を果たしていた。

 

ナスカの心は穏やかではなかった。

 

一辺境の戦艦に此処までの大敗北を喫したのだ。

 

本国にありのまま報告をすれば、降格、左遷‥‥下手をしたら、敵前逃亡罪で死刑になるかもしれない。

 

地球側も此方の前衛艦隊を発見、撃滅した事により、自分たちの存在に気が付いただろう。

 

自分たちの任務は本隊が来るまでに、地球側に悟られず、徐々に地球側の戦力を消耗させ、より多くの情報を本国へ送る事と共に第十一番惑星に基地を建設する事だった。

 

この不名誉を挽回するには、あの小賢しい田舎戦艦(ヤマト)を撃破し、第十一番惑星に対地球用の攻略基地を建設し、本隊が来るまで徹底抗戦を続けなければならなかった。

 

しかし、ナスカは地球が冥王星までを防衛ラインに設定し、第十一番惑星を事実上放棄している事を知らなかった。

 

「ナスカ司令、例の戦艦の針路が判明いたしました」

 

「なに!?どこだ?」

 

「ハッ、現在、ヤマトはこの宙域におり、このコースですと、プロキオン方面へ進む可能性が高いと言う事です」

 

航海参謀がヤマトの予測針路をモニターに表示し、ナスカに説明する。

 

「よし、コースさえ分かれば、先回りは可能だな。それよりも例の部隊はまだ着かんのか?」

 

「到着は本日、23ガトランティス時間となっております」

 

「あの部隊が到着次第、艦隊を二手に分ける。機動部隊は引き続き、第十一番惑星攻略へ向かえ、そして私は例の部隊を率いて、ヤマト追撃に行く」

 

「了解しました」

 

そして、23ガトランティス時となると、何もない宙域から突如、深藍色の艦色をした潜水艦の様な艦が次々と姿を現した。

 

この艦隊こそが、ナスカが待ちわびた部隊、彗星帝国特殊次元潜行艇師団、通称「潜宙艦隊」だった。

 

 

【挿絵表示】

 

 

ナスカは到着した潜宙艦の中でも一際大きい潜宙戦艦グラビートを旗艦に定め、ヤマト撃滅の準備にかかった。

 

一方、ナスカから第十一番惑星攻略を命じられた機動部隊の方は戦力的には余りにも貧相であった。

 

艦隊旗艦エウレカの搭載機は既に標準以下で護衛戦力も駆逐艦三隻、巡洋艦二隻の計五隻、ここにエウレカ自体を入れてもたった六隻、これで第十一番惑星を攻略しろというのだから無理があり過ぎる。

 

本国に頼んで増援を要請できないものかと思いつつも、現状で援軍を頼んでも、その訳を話さなければならず、訳を話せば無能者と言われ、現有戦力で職務を全うしろと言われるのがオチだろう。

 

機動部隊はこの貧相な戦力で第十一番惑星を攻略しなければならなかった。

 

率直な言い方をすれば、戦って死ねと言う事だった。

 

しかし、このまま何の戦果もなしに帰る事も出来ない。

 

ナスカは潜宙艦隊に絶対の自信を持っている様で、「あの田舎戦艦を片付けたら、直ちにそちらへ向かう」と言っていたが、その間に敵が来ないとも限らない。

 

ナスカがヤマトを沈めてから第十一番惑星へと侵攻したい所だが、時間が無い為、此方(第十一番惑星攻略部隊)が先発する事となった。

 

潜宙艦は特殊な艦故、出撃までもう少し時間がかかるとの事だった。

 

第十一番惑星攻略艦隊は、無謀とも言える戦いを挑むため、再び第十一番惑星へと向かった。

 

ガトランティス第十一番惑星攻略艦隊が第十一番惑星へと向かって居る頃、一足早く第十一番惑星宙域に着いた まほろば は早速周辺警戒のための哨戒機を彼方此方に飛ばし、調査船団に調査に入るように指示する。

 

調査隊の護衛には まほろば の他に、三木が乗艦する巡洋艦 すくね と冥王星駐屯基地が新たに護衛艦三隻を手配してくれた。

 

作業と周辺の警戒を続けながら、まほろば のパネルには無残な姿を晒す第十一番惑星基地と周辺宙域を漂う敵艦の残骸の姿が映し出されている。

 

「敵は徹底的に基地施設を破壊していったようですね」

 

「そのようですね」

 

新見がパネルを見ながら呟き、永倉が静かに応じた。

 

生き残った空間騎兵隊員がヤマトの乗り組みを強硬に志願した理由も少しは理解できる。

 

苦楽や寝食を共にした戦友が死んだ場所。

 

自らも死ぬような思いをした場所。

 

何時また敵が襲い掛かって来ないとも分からない場所。

 

そして、この破壊しつくされ、武器も食糧も満足にない廃墟で地球からの救助なんて待っていられない。

 

彼らが、一刻も早くここから離れたい気持ちはよく分かる。

 

破壊しつくされた第十一番惑星基地を艦橋員が見ていると、ブリッジ後ろのドアが開いて良馬が入ってきた。

 

「おはよう」

 

「「おはようございます」」

 

艦橋員と挨拶を交わし、良馬は艦長席に着き、作業進行と周辺で何らかの異常がないかを訊ねる。

 

「作業の方は順調に進んでいますが、何分、回収するモノが多いので、もうしばらくはかかります。周囲に敵影は今のところ、感知されていません」

 

「ああ‥ヤマトからの報告では、ここを潰した敵艦隊は空母を旗艦とする部隊だったらしい。そしてその部隊の大半はヤマトが片付けたようだが、旗艦らしい空母と一部の艦艇は逃走したようだ。その敵が再度、第十一番惑星に再度攻撃を仕掛けてくるかも知れない。十分に周囲の警戒を‥‥」

 

「了解」

 

まほろば をはじめとする戦闘艦が警戒を強める中、調査船団は引き続き敵の残骸回収と調査が続けられている。

 

その中で、地上を調査していた隊が敵の装甲車と対人用の小型浮遊砲台をほぼ完全な形で手に入れ、宇宙空間では敵艦のブラックボックスらしき物や推進機関の主要部分らしき部品が回収されたと報告が入る。

 

基地の損害と人員の損失に比べればそれは微々たる成果かもしれないが、それでも収穫は収穫だ。

 

これから戦うかもしれない敵の情報なので、少しでも多く集めたかった。

 

順調に作業が進んでいく中、

 

「外宇宙境界面にワープアウト反応!!」

 

レーダー観測をしていた新見の緊迫した声が艦橋に響く。

 

「おいでなすったか‥‥敵の艦種は?」

 

「後方に空母らしき艦船を一隻確認、前衛に巡洋艦、駆逐艦を合わせて五隻を確認!!」

 

「砲雷長、主砲発射用意!艦首ミサイル発射管、対艦ミサイル装填!対空戦闘用意!照準、敵前衛艦!!落ち着いて狙え!!」

 

「了解」

 

フェリシアは火器管制システムを操作する。

 

「通信長、直掩の艦載機隊の半数を攻撃態勢に、残りの半数を調査船団の護衛につけろ!!地上の調査隊には基地中央にあるシュエルターがまだ使用可能だ。そこに避難するに伝えろ!!」

 

「了解」

 

ギンガは通信機器を操作し、良馬の下した命令を伝達していく。

 

「火器管制システムオールグリーン!!主砲、ミサイル発射準備完了しました!!」

 

「撃て!!」

 

ブリッジに攻撃命令が響いた。

 

 

それから二時間後。

 

 

工作艦、明石は敵空母(エウレカ)の曳航準備に取り掛かっていた。

 

護衛艦も二隻も明石と同じく敵駆逐艦の曳航準備を行っていた。

 

彗星帝国太陽系侵攻前衛艦隊の残存艦隊と調査護衛艦隊の戦闘は、まほろば と三隻の護衛艦、三木が艦長を務める巡洋艦、すくね の一斉射撃で、巡洋艦一隻と駆逐艦二隻を撃沈。

 

空母は残り少ない艦載機を全機発艦させ、まほろば のコスモタイガー隊とドッグファイトとなったが、元々数が少ない事とカブトガニは如何やら機種として戦闘機というよりも爆撃機だったので、コスモタイガーと比べると、動きが鈍かったため、ドックファイトは地球側で有利に進んだ。

 

その空母も まほろば の主砲で艦橋を吹き飛ばされ、艦隊司令部は全員が戦死し、艦尾の部分も艦橋同様損傷を受け、航行不能となった。

 

敵の駆逐艦も艦隊が壊滅状態となり、反転して撤退しようと、脇腹を晒した所を すくね と護衛艦群が引導を渡した。

 

艦橋部と艦尾を破壊しつくされ、全長の三分の一を失った駆逐艦がそこに残った。

 

とは言え、上手い具合に爆発し粉々にならなかった大破状態の空母と駆逐艦の件を司令部に打電すると、「事情を許さば、拿捕曳航されたし」と返信があり、工作艦 明石 と護衛艦が曳航する事となったのだ。

 

曳航準備が行われている中、

 

「それでは、月村艦長。巡洋艦 すくね はこれより、ヤマト と合流を果たすべく、当宙域を離脱します」

 

すくね は本来の任務であるヤマト護衛の任に就くべく第十一番惑星宙域を離れようとしていた。

 

「ああ、突然の戦闘に巻き込んですまなかった」

 

「いえ、ヤマトとの合流前のいい訓練になりました」

 

「すくね の航海の安全を祈ります」

 

良馬が三木に敬礼をして すくね を送り出す。

 

「留守の間、地球をお願いします」

 

三木も良馬に返礼し、第十一番惑星宙域を後にして行った。

 

 

拿捕した艦艇や回収された残骸は徹底解析をするため、地球まで曳航する事なった。

 

しかし、大破状態のため、ワープは出来ず、曳航状態でワープを行うのは危険だと判断され、やむなく通常航行で地球まで曳航する事となった。

 

間もなく拿捕した艦船の曳航作業が終わると言う頃、ギンガは思いつめた表情をしていた。

 

「どうした?通信長。初めての戦闘で気分が悪くなったか?」

 

「いえ、体調の方は大丈夫です。ただ‥‥」

 

「ただ?」

 

「これでよかったのかという気持ちになって‥‥あの船の人達にも帰る故郷や家族、恋人がいたのかもしれないと思うと‥‥」

 

「‥‥」

 

「変‥ですよね?軍人なのに‥‥」

 

「通信長、俺達は地球防衛軍の軍人だ。俺達が負ければ、地球にいる家族たちに侵略者達の魔の手が伸びる。故郷に居る家族や大切な人達を守るため、戦いはどうしても避けられない。それは相手も同じ事なんだ‥‥」

 

「‥‥」

 

「通信長‥‥苦しめ」

 

「えっ?」

 

「なぜ戦うのか‥‥常に戦う事に苦しみを感じる限り、人間として成長していると言う事だ」

 

「は、はい」

 

ギンガはまだまだ宇宙戦士としては新米であるが、新米故にこれから先十分成長するだろうと思う良馬だった。

 

その後、鹵獲艦の曳航準備も終わり、まほろば が護衛する調査船団は通常航行で地球を目指した。

 

全艦波動エンジンを搭載している艦なので、航海日程も四日から五日の日程で、各惑星には警備隊を手配しているので、敵がこれらの艦船の奪還、ないし曳航の妨害をしてくる可能性も低かったため、調査船団は地球まで通常航行する事となった。

 

まほろば が船団を率いて地球を目指している間、ヤマトに合流した すくね はプロキオン星系まで進出した。

 

プロキオン星系周辺では、電離ガスが恒星からの紫外線放射で赤、赤紫、白と発光しており幻想的な風景を醸し出していた。

 

小犬座α星プロキオン宙域はプロシオンとも呼ばれる宙域で、地球からの距離は約11,4光年。

 

プロキオン自体は一等星で、明るく輝いているのが地球から肉眼でも見ることが出来る。

 

色は太陽と同様で黄色く輝いている。

 

その理由は太陽もプロキオンも黄色主系列星‥‥つまり、若い訳でも年老いているわけでもない中間年齢の星と言う事になる。

 

通常このタイプの恒星は太陽系と同じように多数の惑星をもっている事が多い。

 

しかし、プロキオン星系には三つの無人惑星があるだけだった。

 

恒星の割に惑星が少ない。その理由は、プロキオンの上方にある白色わい星のためだった。

 

白色わい星は小さく暗いが、超重力の星で、プロキオンはこの白色わい星と連星系をなしていた。

 

プロキオンの主な惑星は強い潮汐作用で、そのほとんどが軌道を外れ、破壊されてしまったと考えられている。

 

そしてそれらの惑星の残骸は主なものはプロキオンか白色わい星に吸い込まれ、粉々にされ、小さな残骸はプロキオン星系の周りの電離ガスとなっている。

 

そのプロキオン星系にて、ナスカが率いている潜宙艦隊はそこでヤマトとの決戦におよんだ。

 

初戦はいきなりの遭遇から始まった。

 

プロキオン星系に入ってからすぐにヤマトは深藍色の艦色をした潜水艦の様な艦が至近距離にいきなり現れ、ヤマトに対して攻撃を仕掛けてきた。

 

向こうが攻撃してきた為、ヤマトは応戦しこれを撃破した。

 

そして回収された残骸からこの遭遇した艦が第十一番惑星を攻撃した艦隊と同じ装甲をしていた事から、この潜水艦に似た艦は同一の星の物だと判断した。

 

ただ、タイムレーダーの記録を遡って見てもこの不明艦の反応がない。

 

ワープでもしてきたのかと思ったが、ワープアウト反応もない。

 

一体この艦はどこからきたのか分からない中、真田はこの艦が潜宙艦と言う特殊な艦である事を見抜いた。

 

 

彗星帝国太陽系侵攻前衛艦隊 特殊次元潜行艇師団 旗艦 潜宙戦艦 グラビート 艦橋

 

ヤマトと潜宙艦との戦闘は当然ナスカの座乗する潜宙戦艦、グラビートでも確認できた。

 

「警戒にあたっていた第八潜宙艦小隊がヤマトに遭遇!!近距離の交戦の後、通信が途絶えました!!」

 

「ぬぅ~先走りおって!!此方の存在を教えてしまった様なものではないか!!だが、まぁいい。我々全てを見つけ出す事は出来まい!!ヤマトめ!!十一番惑星での屈辱を忘れてはおらんぞ!!今度の私の主力艦隊は、貴様らにやられたあの空母部隊ではなく、この素晴らしき潜宙艦隊だ!!待っていろ、ヤマト!!今度こそは!!」

 

ナスカは絶対の自信でヤマトに挑んだ。

 

しかし、ナスカは潜宙艦が確かに最新鋭艦の艦であるが、それは別の意味で言えば、彗星帝国でもまだまだ実験段階の試作艦である事を知らなかった。

 

姿が見えない相手に苦戦を強いられると覚悟したヤマトであったが、ヤマト通信長の相原義一の通信士としての経験と発案から、潜宙艦が潜んでいると予測された宙域にタキオン探信(ピンガー)を打つことで、潜宙艦の位置を測定する事に成功した。

 

しかし、居るか分からない空間にピンガーを打つ事よりも亜空間を探知できる亜空間レーダーの開発も必要だと真田はこの時そう思った。

 

潜宙艦は潜水艦同様、確かに奇襲攻撃には持って来いの艦であったが、やはり潜水艦同様、搭載されている武器がミサイルと魚雷、短距離砲で位置を正確に突き止められてしまえば、戦艦とまともに戦う事は難しい艦だった。

 

やはり潜宙艦はまだまだ改良が必要な艦である事は明白であった。

 

位置を特定され、波動爆雷でいぶり出され、通常空間へ出た潜宙艦はヤマト と すくね の砲撃とミサイルの餌食となった。

 

「潜宙艦隊‥‥全滅!!‥‥残っているのは本艦だけです!!」

 

「まさか‥‥そんな‥‥まさか!!一度ならず二度までも!!‥‥て、撤退だ!!」

 

次々と友軍の潜宙艦が撃破される中、ナスカは一時後退を余儀なくされ、後退した。

 

ナスカの乗艦、グラビートのワープ反応をヤマトは探知し、それが撤退だと知り、潜宙艦の脅威が去った事を察知したヤマトはプロキオン星系からの離脱を試みた。

 

その針路先では、白色わい星の近くを通る航路となった。

 

しかし、プロキオン星系からの脱出前にエンジンや船体メンテナンスを行うため、何処かドックになりそうな惑星を探していると、白色わい星の近くに惑星がある事が判明した。

 

その惑星は、プロキオン星系の旧惑星の一つが連星系の重力干渉で弾きだされ、白色わい星の重力干渉で捕捉されている惑星だった。

 

地球上に存在していたとされるアトランティス大陸やムー大陸同様それはあくまで仮説の域であったが、ちゃんと「ソーサナー」と言う名前も付けられていた。

 

ソーサナーの大きさは木星と同じ大きさをしており、傍には地球の月と同じくらいの大きさの衛星が一つあった。

 

ヤマトはその衛星を探査し、危険が無いかを調べた。

 

光学測定の結果、この衛星には宇宙鉱物資源が豊富にあると言う結果が出た。

 

修理するにも補給をするにも好都合だった。

 

後は、その衛星にどんな鉱物がどれだけあるのか念入りに探査する事となり、今度は光学測定ではなく衛星に直接無人探査機を降ろし調査を行った。

 

しかし、探査機の調査結果では何一つとして役に立ちそうな資源は無いと言う結果が出た。

 

その直後、ヤマトは突如ミサイル攻撃を受けた。

 

これはナスカが仕掛けた罠だった。

 

ナスカはソーサナーの衛星に鉱物が眠っている様に細工をし、ヤマトが衛星に立ち寄るように仕向けたのだ。

 

油断しきっているヤマトにミサイル攻撃を加え、機関部に損傷を与えた。

 

その結果、ヤマトはソーサナーの重力と白色わい星の重力バランスに捕まり、満足な操艦が出来なくなった。

 

しかも、この特殊な重力下で波動砲は使用不能となった。

 

真田曰く、元々波動砲の発射時にかかる反動は重力アンカーで反動を吸収しているのだが、すべての反動を吸収出来るわけではなく、今の状態で波動砲を撃てば、吸収しきれなかった反動でソーサナーの重力井戸に落ち、押し潰されてしまうと言う。

 

ヤマトは満足に動けないまま、ナスカが率いる潜宙艦と戦う事となった。

 

そこで、ヤマトはコスモタイガー と すくね に救援を要請した。

 

コスモタイガー と すくね は重力井戸に落ちぬよう戦闘を行い、潜宙艦を確実に撃破していった。

 

そして、ヤマト も真田率いる技術班が応急修理を終えると、戦闘に参加すると形勢は一気にヤマト側へと向いた。

 

やがて、ナスカが座乗するグラビートも損傷を受け始めた。

 

 

潜宙戦艦 グラビート 艦橋

 

「ナスカ司令!!もう艦が保ちません!!」

 

グラビートの艦内では非常灯が点灯し、非常警戒音が鳴り響いている。

 

「バカな‥‥こんなことが‥‥動けぬ相手に負けるなど‥‥」

 

ナスカは目の前の現実が信じられず、混乱しきっていた。

 

その間も艦の損傷は広がって行く。

 

「ナスカ司令!!」

 

部下の大声で我に返ったナスカは、

 

「わ、ワープだ!!て、撤退しろっ‥‥!!」

 

と、またもワープによる撤退を指示した。

 

しかし、ナスカは失念していた。

 

此処が、第十一番惑星やプロキオン星系とは違う環境である事を‥‥

強制的に‥‥それも突発にワープ装置を起動させたグラビートに異常振動が起こり始めた。

 

「な、なんだ!?この振動は!?」

 

「重力井戸のせいで、ワープシステムがうまく作動しません!!」

 

グラビートの航海長が現状を報告する。

 

さらに航海長は、このままの状態が続くとどの様な事が起こる事も補足した。

 

「‥‥このままでは‥‥!!」

 

その間もグラビートには異常振動が続き、それは段々と大きくなった。

 

「このままでは、なんだというのだ!?」

 

「わ、我々の方がソーサナーの重力井戸に‥‥」

 

ナスカたちはヤマトを仕留める筈だった罠に自分達が落ち込んでしまったのだ。

更に戦闘による艦の損傷も影響していた。

 

「な、なにぃ‥‥!?な、なんとかしろ!!」

 

怯えながらこの期に及んで等々人任せにするナスカ。

 

その怯える姿はとても艦隊を率いる一司令官には見えなかった。

 

どうにかこの事態を乗り切り、助かる手は無いかと方法を探すグラビートの乗員たちであったが、もう既に手遅れだった。

 

「ダメです!!もう‥‥間に合いません!!」

 

航海長が発したその言葉は事実上、自分たちの死を意味していた。

 

「あ‥‥ああ‥‥こ、こんな‥‥バカな‥‥た、大帝‥‥!!」

 

グラビートは装甲板を剥がし、船体の彼方此方に火花や爆発を起こしながらソーサナーへ吸い込まれていき、やがて爆散した。

 

ナスカ率いる潜宙艦隊を倒し、ヤマト と すくね はプロキオン宙域を出た後、次の目的地、双子座ポルックス宙域へ向け大ワープへと入っていった。

 

メッセージの発信源の星を目指して‥‥。

 

ナスカの潜宙艦隊が消え、ヤマト と すくね がワープで去ったプロキオン宙域‥‥

 

太陽系を出た途端、とてつもない技術力を持つ敵の襲撃を受け、前途に苦難の影を垣間見たヤマト と すくね 。

 

だが、この宙域に輝く星たちですら、彼らの未来を知らない。

 

騒がしい声がワープ機関の作り出すひずみの中へ消えた後、

 

小犬座の黄色い恒星プロキオン‥‥

 

美しい電離ガスの海‥‥

 

全てが何事も無かったかのように再び静寂の中へと還っていった‥‥

 

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