星の海へ   作:ステルス兄貴

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二百八十六話 帰還と訓練

 

 

惑星ディスティニー近海の巨大な空間跳躍ゲートの前に、修理を終えた戦艦ヒューベリオンの姿があった。

 

「ヒューベリオン、次元跳躍機関、臨界に到達。目標座標‥‥」

 

艦橋に響く機関長の中嶋の報告に良馬は力強く頷いた。

 

「別れの挨拶はもう済ませた。俺たちは俺たちの星へ帰るぞ。次元跳躍、開始!」

 

眩い光の奔流と共に、ヒューベリオンの巨体が空間の狭間へと滑り込むように消えていく。

 

後に残されたのは、瞬く星々の光だけであった。

 

別宇宙からの脅威は去り、銀河鉄道はこれから新たな旅立ちを迎える。

 

遠く離れた地球の空に、彼らの敷く鉄路の光が届くその日に向けて――。

 

果てしなく広がる銀河の海を今日もまた、命を乗せた列車たちが駆け抜けていく事だろう‥‥

 

眩い光のトンネルを抜け、次元の壁を突き破ったヒューベリオンは、ついに元の宇宙へとその巨大な船体を現した。

 

「次元跳躍、完了!!通常空間へ移行します。現在位置、ガルマン・ガミラス本星外縁部……間違いありません、我々の宇宙です!」

 

座標を確認し、オペレーターの林の弾んだ声に艦橋は歓声に包まれる。

 

良馬は深く安堵の息を吐き、誇らしげに口の端を上げた。

 

「帰ってきたか……皆、本当によくやってくれた。ご苦労様」

 

だが、その余韻に浸る間もなく、百合亜が鋭い声を上げる。

 

「前方に巨大な質量反応!!これは防衛軍の識別信号‥味方です!!」

 

「なに?」

 

良馬が視線を向けたメインモニターのノイズが晴れ、漆黒の宇宙空間が映し出される。

 

無数の星々を背にして静かに佇んでいたのは、赤錆色の艦底と鋭く突き出た艦首――そして、艦首に巨大な波動砲の砲口を備えた一隻の宇宙戦艦だった。

 

「あれは‥‥ヤマトだ!!」

 

ヒューベリオンと共にガルマン・ガミラス領内、ボラー連邦領内の調査と人命救助を行っていた歴戦の宇宙戦艦が眼前に居た。

 

「艦長。ヤマトから通信が入っています」

 

通信長の沙織がヤマトから通信が入った事を報告する。

 

「繋いでくれ」

 

「了解」

 

息を呑むクルーたちの前で通信パネルが開き、見知った顔がモニターに映し出される。

 

『こちら、ヤマト。艦長の古代。ヒューベリオン、応答せよ』

 

その穏やかで芯のある声に、良馬は今日一番の笑みを浮かべた。

 

「古代艦長。こちら、戦艦ヒューベリオン。艦長の月村です」

 

『月村艦長。ご無事でしたか!?』

 

「古代艦長‥‥多大なご心配をおかけしました」

 

『いえ、こうして無事に戻り、再び出会えただけで良かったです』

 

「古代艦長、まだガルマン・ガミラス領内、ボラー連邦領内での調査と人命救助活動があるのは重々承知なのですが、大至急地球連邦政府にお伝えしなければならない事項があります」

 

『えっ?』

 

良馬の言葉にモニター越しの古代がわずかに目を見張った。

 

ヒューベリオンが無事に帰還しただけでも奇跡的な事態だが、良馬のただならぬ気配を感じ取ったのだろう。

 

「通信では詳細を語りきれません。申し訳ありませんが、そちらへ赴き、直接お話しするお時間を頂けないでしょうか?」

 

『わ、分かりました。では、ヤマトの艦長室でお待ちしています』

 

「了解です。直ぐ行きます」

 

古代が力強く頷くのを確認し、良馬は通信を切った。

 

「航海長、すまないが少し艦の事を頼む」

 

「了解」

 

永倉に艦の指揮を任せると、良馬はすぐさま連絡艇に乗り込み、眼前に浮かぶ偉大なる戦艦ヤマトへと向かった。

 

 

ヤマト 艦長室

 

温かいコーヒーの香りが漂う静かな室内‥‥そこにはヤマト艦長である古代進と副長にして技術長も務める真田志郎が待っていた。

 

良馬は差し出されたコーヒーに口をつけることも忘れ、行方不明になっていた間に起きた常識を遥かに超える体験談を二人に語り始めた。

 

「――つまり、ヒューベリオンは未知の次元断層に飲み込まれ、我々が知るこの宇宙とは全く異なる別の宇宙……『惑星ディスティニー』へと漂流したという事ですか?」

 

真田が顎に手を当て、深い思索の海に沈むように呟いた。

 

その双眸は科学者としての鋭い分析力と未知への探究心で光っている。

 

良馬の話す内容はあまりにも荒唐無稽の様にも聞こえるが、宇宙と言う地球での科学や常識だけでは通用しない空間なので真田は決して否定も一瞥もせずに聞いていた。

 

「そうです。そこは我々の宇宙とは物理法則も技術体系も異なる世界でした。そこで我々は、『銀河鉄道』と呼ばれる宇宙を駆ける列車群と、その運行と安全を守る『空間鉄道警備隊』……通称SDFの皆さんと出会ったのです」

 

「銀河鉄道……宇宙空間を列車が走るか‥‥まるで古いおとぎ話のようだが、月村艦長の目を見ればそれが真実だと分かる」

 

古代は真っ直ぐな視線で良馬を見つめ、静かに頷いた。

 

「ありがとう、古代艦長。ただ、口頭での説明だけでは信じがたいのも事実でしょう……なので、これを見ていただけますか?」

 

良馬は胸元から薄型のタブレット端末を取り出し、テーブルの中央へ置いた。

 

パネルを数回操作すると、端末の上部にクリアな立体ホログラム映像が投影される。

 

「あまりにも膨大な量のデータなので、全てのデータではありませんが、ヒューベリオンのメインコンピューターから抽出したあちらの宇宙での映像記録です。これが、我々が出会った『銀河鉄道』の姿です」

 

投影された映像には、汽笛を鳴らしながら漆黒の宇宙空間を力強く駆け抜ける巨大な蒸気機関車の姿があった。

 

SDFが誇るシリウス小隊の装甲列車、ビッグワンをはじめとする列車たちが、星々の海に光の軌跡(レール)を描きながら堂々たる威容で進んでいく。

 

「こ、これはっ!?……信じられない‥本当に蒸気機関車の形をした宇宙船が星の海を飛んでいる……!?」

 

古代は食い入るようにホログラムを見つめた。

 

おとぎ話の様な情景が、極めて現実的な質量と機構を伴ってそこに存在している。

 

そのロマンに溢れた光景に、古代の胸の奥で何かが熱く震えるのを感じていた。

 

(宇宙の海を征く列車‥‥彼らもまた、我々と同じように星から星へと希望を運んでいるのか‥‥)

 

一方、真田の視点は完全に科学者・技術者の視点だった。

 

モニターに表示されるテレメトリーデータを鋭い眼光で解析するように睨みつける。

 

「驚異的だ……ただのレトロな外観だけではない。軌道上に局所的なエネルギー場を展開し、疑似的な『レール』を宇宙空間に敷設して推進しているのか……? 我が宇宙の物理法則とは根底から異なるが、極めて高度で完成されたシステムだ」

 

「ええ。絶望的な漂流状態の中で、我々はこのSDFの方々にどれほど助けられたか……」

 

良馬はホログラムを見つめながら、ディスティニーでの日々を懐かしむかのように語った。

 

「彼らは我々防衛軍軍人と同じ、非常に誇り高く、命を懸けて人々の想いと未来を運んでいました。ですが、その宇宙でも平穏は長くは続きませんでした」

 

「続かなかった?もしかして、その宇宙でも、戦争が……?」

 

古代の表情が微かに曇る。

 

戦いの無い平和な宇宙を求めて旅を続ける彼にとって、別宇宙でも争いが起きているという事実は痛ましいものだった。

 

「ええ」

 

良馬の指がタブレットを弾くと、先ほどまでの美しい星海の光景が一転し、激しい閃光と爆発が交錯する凄惨な戦場の映像が映し出された。

 

未知の兵器群を擁する巨大な艦隊と、それに対して必死の防衛線を張るSDFの戦闘列車、そして主砲を放つヒューベリオンの姿。

 

「ディスティニー、そして我々が住む銀河系がある宇宙とは更に別の宇宙……『アルフォート星団』を支配する『アルフォート星団帝国軍』が、次元を超えてこの銀河鉄道のある宇宙へ侵攻してきたのです」

 

「アルフォート星団‥‥聞いた事もない星団の名前だな」

 

真田は良馬の説明に出て来た未知の勢力に顔をしかめつつ、映像内の敵艦隊のデータを読み取っていく。

 

「これが、そのアルフォート星団帝国軍……!」

 

古代が息を呑む。

 

映像の中の敵艦隊は、ガミラスやボラー連邦とも全く異なる異質なシルエットと圧倒的な破壊力を持っていた。

 

「見てくれ古代。この敵艦のエネルギー波長……それに次元断層を利用したような空間跳躍の痕跡がある。異宇宙間での侵略戦争……次元跳躍技術が我々以上の水準にある勢力同士の激突ということか」

 

真田の額に冷や汗が滲む。別次元とはいえ、これほどの力を持った脅威が存在するという事実は、科学者としての彼に強い警戒心を抱かせた。

 

「我々はその圧倒的な戦力に対し、SDFと共同戦線を構築して、辛くも彼らを撃退することに成功しました」

 

映像の中で、被弾し装甲を焦がしながらも仲間を庇い、果敢に敵の中枢へと砲火を浴びせるSDFの隊員たちの姿が映し出される。

 

古代はその映像を見つめながら、かつて自分たちがヤマトで経験した数々の激戦――イスカンダルへの航海や、白色彗星帝国との死闘――を重ね合わせていた。

 

(宇宙が違っても、愛する者や平和を守るために命を懸ける者たちの魂は同じだ……)

 

古代の瞳に、SDFに対する深い敬意と共感が宿る。

 

「だが、ヒューベリオンが無事に帰還できたということは、そのSDFの協力と、君たちの奮闘があったからこそだな」

 

真田の労いの言葉に良馬はタブレットの映像を切り、深く頭を下げた。

 

「はい。彼らの存在なくして、我々の帰還はあり得ませんでした。そして今回、私が大至急地球政府に伝えねばならないのは、ここから先の話なのです」

 

良馬は居住まいを正し、古代と真田を真っ直ぐに見据えた。

 

手の中で冷めかけていたコーヒーカップを置き、言葉に力を込める。

 

「私は空間鉄道警備隊との共闘後にディスティニーと地球への同盟を提案しました」

 

「同盟!?地球とディスティニーと!?」

 

「ええ‥勿論、一軍人の私が決められる事ではないので、あくまでも提案であり、地球連邦政府の正式な閣議決定が必要だ。ただ、ディスティニー側は地球がディスティニーとの同盟に賛同すると言うのであるならば、地球との同盟には賛同すると言っていた。つまり、地球がディスティニーと同盟を結ぶというのであるならば、既に同盟は約束されている状況なのです。ディスティニー側の親書も渡されている」

 

「そこまで話が進んでいるとは‥‥」

 

「そしてもう一つディスティニー側からの提案で、我々の宇宙、ひいては地球へ向けて、『銀河鉄道』の路線を開通させたいという提案を受けています」

 

「地球へ銀河鉄道の路線を……!?」

 

良馬のこの言葉に古代が驚きに目を見張り、思わず身を乗り出した。

 

「次元を超えた路線網の構築……それは、単なる宇宙交通網の拡大などというレベルの話ではない。異なる宇宙間での文化や技術の交流、そして新たな生命圏との強固なネットワークが誕生することを意味する。もし実現すれば、地球人類の歴史が根底から覆るほどの出来事だぞ」

 

真田の声にも、普段の冷静さを破るほどの隠しきれない熱が帯びていた。

 

ディスティニーと同盟を結び、地球に銀河鉄道の路線が開通すれば両惑星への行き来が可能となるのは勿論、地球人類がこれまで到達していない未知の世界への行く事も可能となる。

 

そこには当然、危険もあるだろうが、地球人類がこれまで見た事の無い技術もあるだろう。

 

技術者・研究者の真田としてみれば、是非とも見聞したい意欲が沸き上がる。

 

「はい。彼らは我々地球人を共に星の海を拓く隣人として迎えてくれようとしています。別宇宙からの脅威が去った今こそ、この次元を超えた架け橋を繋ぐべきだと私は考えています。それに同じ管理局でも時空管理局よりも遥かに信頼できると思っています」

 

良馬の熱を帯びた言葉に艦長室にしばしの沈黙が降りた。

 

それは重苦しいものではなく、先ほどタブレットで見た星降るレールと、果てしなく広がる未来の可能性を想像するための希望に満ちた沈黙だった。

 

「銀河鉄道の路線には数多くの有人惑星があります、銀河交叉の影響でガルマン・ガミラス領、ボラー連邦領では多くの被災者・難民が出ました。彼らに新天地を与えると言う点で別宇宙への開拓はこれらの問題解決にも貢献できるはずです」

 

「……月村艦長」

 

やがて古代が静かに口を開き、力強い、そしてどこか少年のような輝きを秘めた笑みを浮かべた。

 

「映像で見たあの美しい列車……その銀河鉄道が地球の空を走る日を私もぜひ見てみたい。彼らが運んでくるのは、きっと人々の希望や平和への願いそのものなのだろうから」

 

「古代艦長‥‥」

 

「真田さん。この件は、直ちに地球連邦政府、防衛軍司令部に極秘回線で報告しましょう。我々ヤマトも、この宙域の任務を僚艦に引き継ぎ、ヒューベリオンの護衛を兼ねて一時帰還の途に就きます。この途方もない『未来への切符』を、一日も早く地球に届けるために‥‥」

 

「ああ、そうだな。すぐに手配しよう」

 

「ありがとうございます!」

 

良馬の胸に、熱いものがこみ上げる。

 

見知らぬ宇宙で死線を潜り抜けた日々‥そして、笑顔で送り出してくれたディスティニーの仲間たちの顔が脳裏を過った。

 

(待っていてくれ、ディスティニーのみんな‥‥俺たちは必ず、そっちへ路線を繋いでみせる――)

 

ヤマトとヒューベリオン‥二隻の戦艦は並び立ち、遙かなる故郷・地球へと舳先を向けた。

 

銀河の海を越え、次元の壁をも越える新たなレールを敷くための、壮大な旅が今、ここから始まろうとしていた。

 

地球防衛軍司令部にある会議室では、ただならぬ緊張感が走っていた。

 

「――以上が、ヤマトならびに異次元空間から帰還したヒューベリオンからの極秘通信の全容です」

 

オペレーターが報告を終え、直立不動の姿勢をとる。

 

無理もないが、その声は隠しきれない動揺で微かに震えていた。

 

ヤマト、ヒューベリオンからの報告を受けていたのは、地球防衛軍を束ねる藤堂平九郎長官であった。

 

彼は机の上で組んだ手に顔を沈め、深く目を閉じている。

 

静寂に包まれた室内で、同席していた幕僚の一人がたまらず声を上げた。

 

「ば、馬鹿な……!?次元断層に飲み込まれたヒューベリオンが別の宇宙へ漂流しただと? しかも、そこには宇宙を走る『列車』があり、さらに別の宇宙からの侵略軍と戦ったなどと……」

 

「にわかには信じ難い話です。月村艦長以下ヒューベリオンの乗員たちは長期間の漂流によるストレスで、集団幻覚でも見たのではないですか? ましてや、その『惑星ディスティニー』とやらからの同盟の打診並びに地球への銀河鉄道の路線開通など……おとぎ話にも程がある」

 

連邦政府からの出向高官もまた、狼狽した様子で首を振る。

 

だが、彼らの否定的な言葉を遮るように、科学局の代表として呼ばれた新見が手元のデータ端末を操作しながら静かに口を開いた。

 

「いえ、今回ヤマトの真田技術長から添付された解析データを見る限り、彼らの報告は紛れもない『真実』です。ヒューベリオンの艦体装甲に残留している未知の宇宙線の波長、次元跳躍機関の異常な稼働ログ、更にヒューベリオンのメインコンピューターにはこれまでの地球、ガルマン・ガミラスにはない未知なるプログラムがインストールされています‥‥どれも、我々の知る物理法則では到底説明がつきません。これらの物証から彼らが別次元の宇宙空間を旅してきたことは、科学的に裏付けられています」

 

科学的にヒューベリオンが別宇宙へ行った事が証明されると誰もが黙る。

 

「宇宙を駆ける列車‥‥銀河鉄道か‥‥」

 

沈黙を破ったのは藤堂長官だった。

 

彼はゆっくりと顔を上げ、窓の外――メガロポリス東京の広大な空へと視線を向けた。

 

その深く刻まれた皺の奥にある瞳には、畏敬の念と確かな希望の光が宿っていた。

 

「長官。長官はどう判断されますか?ヤマト、ヒューベリオンからの報告を‥‥」

 

幕僚の一人が藤堂にこの報告の信憑性を問う。

 

「ヤマトの古代艦長、そしてあの真田技術長が自らその存在を認め、共に地球へ銀河鉄道の路線開通を強く支持している。彼らが根拠のない妄想や感傷に踊らされるような男たちではないことは、諸君もよく知っているはずだ」

 

藤堂の低く、しかし芯のある声に幕僚や高官たちは押し黙った。

 

幾度となく絶望的な状況から地球を救ってきたヤマトのクルーたちに対する藤堂の信頼は、絶対的なものだった。

 

「彼らからしてみれば、見知らぬ宇宙から漂流してきたヒューベリオンを拒絶せずに手を差し伸べてくれたディスティニーの人々‥‥彼らは、我々人類がかつてガミラスやイスカンダル、数多の星々と血の滲むような思いで結んできた『絆』が、次元を超えても通じ合うことを証明してくれたのだ」

 

藤堂は椅子から立ち上がり、威厳に満ちた力強い眼差しで一同を真っ直ぐに見渡した。

 

「ただちに連邦政府大統領に急使を立てよ! 惑星ディスティニーとの正式な国交樹立、および地球への銀河鉄道路線開通に向けた、政府・防衛軍合同の特別対策委員会を大至急発足させる!同時に、現在ヤマト、ヒューベリオンが行っているガルマン・ガミラス領、ボラー連邦領の調査及び人命救助に関しては直ちに引継ぎを行わせろ!!この任務も銀河系に住む我々地球人類が今、行わなければならない急務でもある!!」

 

「はっ!」

 

「ヤマトとヒューベリオンは現在、輝かしい未来への切符を携えて地球への帰路に就いている。宇宙の海を越え、次元の壁を越えて繋がる新たなレール……我々地球人類は、最大限の敬意と大いなる希望を持って、彼らと新たなる隣人を出迎える準備を行わなければならない‥‥」

 

会議室に響き渡る、一糸乱れぬ力強い敬礼の音。

 

未知なる異宇宙との同盟、そして空前絶後の「宇宙鉄道」の開通。

 

ヤマトとヒューベリオンが持ち帰った途方もない知らせは、地球の歴史に新たな1ページが刻まれる偉大なる夜明けの幕開けであった。

 

 

地球に新たなる歴史の幕開けが起ころうとしている中、地球、銀河鉄道、アルフォート星団とは更に別の宇宙では‥‥

 

宇宙空間を航行する時空管理局所属の一隻の次元航行艦イゾルデ‥‥

 

普段の穏やかな艦内とは打って変わり、艦内にはけたたましく警報が鳴り響いていた。

 

そして、そこは張り詰めた緊張感とブーツが金属床を叩く乾いた音で満たされていた。

 

全艦内において対魔法フィールド――AMF(アンチ・マジック・フィールド)が展開されている。

 

魔法の使用不可、バリアジャケットも障壁も無効化された閉鎖空間‥‥

 

しかし、これはイゾルデが海賊やテロリストの襲撃を受けているわけではない。

 

これは艦内に襲撃者が来た際の艦内戦闘模擬訓練なのだ。

 

しかし、訓練と言えど、ほぼ実戦形式で行われている。

 

そこでは、純粋な身体能力と戦術的判断、そして何より「個」としての練度が勝敗を決する。

 

「でりゃあ!!」

 

「ぐはっ!!」

 

「よし、第三セクター、制圧完了。これより中央動力室へ進行する!!」

 

冷徹な声で通信を入れたのは、この艦の艦長であるフェイト・テスタロッサ・ハラオウンだ。

 

彼女は迷彩を施したコンバットスーツを纏い、右手に非殺傷仕様の電流槍を握り締めていた。

 

その表情には、指揮官としての静かな闘志が宿っている。

 

『ふっ、甘いですね、艦長』

 

通信機越しに聞こえたのは、副長であるチンク・ナカジマの挑発的な声だった。

 

フェイトが角を曲がったその瞬間、上方のメンテナンス通路からチンクチームの乗員たちが降下してきた。

 

「っ!?」

 

フェイトは瞬時に反応し、電流槍を槍術の型で展開する。

 

チンクが繰り出した高速の打撃を槍の柄で受け流す。

 

バチッという激しい火花が散り、電流が火花を散らす。

 

両者はタイミングを合わせたかのように無傷のまま後方へ跳躍した。

 

「AMF下では、魔法のブーストも射撃支援もありません。頼れるのは自分の肉体と身体の軸と反射神経のみ!!故に戦闘機人である私の方が有利なのですよ」

 

チンクが突き出した電流槍の穂先がフェイトの顎をかすめる。

 

「それはどうかな?いくらチンクが戦闘機人であっても戦術によってそれを覆す事だって出来るはずだよ」

 

フェイトは最小限の動きでそれを回避し、空いた手でチンクの腕を掴み、柔術的な崩しを試みた。

 

しかし、チンクもそれを読んでいた。

 

彼女は自身の電流槍を軸に反転し、艦内の隔壁を蹴って急加速する。

 

「チーム・ナカジマ、牽制開始!!艦長を足止めしろ!!」

 

チンクの号令とともに、左右の通路から彼女の精鋭部隊が飛び出し、フェイトの退路を完全に塞いだ。

 

AMFで魔法も使えない‥だが、そこに展開されるのは、泥臭くも極めて洗練された「格闘戦の美学」であった。

 

「……人数をかけて、私を孤立させるつもりね」

 

フェイトは槍を逆手に持ち替え、冷徹に微笑んだ。

 

魔法を使用してきたとは言え、これまでいくつもの事件現場を経験してきた。

 

その経験は決して伊達ではない。

 

「いいよ、チンク‥チンクのチームの強さ、見せてもらうわよ。こちらも負けるな!!突撃!!」

 

フェイトが低く重心を落とす。

 

その姿は、まるで獲物を狙う猛禽類。

 

AMFの青白い光の中、二人の艦隊指揮官が率いるチームは、互いの戦術を読み合い、殺気すらも計算に入れた激しいぶつかり合いを開始した。

 

次元航行艦‥戦艦という巨大な兵器を動かす者たちが、最後には「己の肉体と槍」だけで勝利を目指す。

 

その光景は、極限状態を生きるプロフェッショナルたちの最も原始的でありながらも最も気高い戦いの証明でもあった。

 

しかし、新人の魔導師の乗員たちは敢えて艦内をAMFで満たし、魔法を使用禁止にして電流槍でこんな泥臭い艦内戦闘を行うのかその意味が分からなかった。

 

「あ、あの先輩、何故、艦長たちは、あんな原始的な戦い方をしているんですか?」

 

安全な管制室からメインモニターを見上げていた新米の魔導師が、戸惑いの声を漏らした。

 

実戦形式の訓練とはいえ、全員が参加している訳ではない。

 

艦橋では航海長が操艦をし、通信員が待機し、オペレーターもオペレート業務をしている。

 

機関室では機関員がMS機関の出力調整をしている。

 

そして、管制室に居る新人の目には、魔法という絶大な力を持つ時空管理局のトップエリートたちが、あえて魔法を封じ、汗にまみれながら棒切れ(電流槍)を振り回している姿が、ひどく非効率で滑稽にすら映っていたのだ。

 

「魔法を使えば、あんな通路の制圧なんて一瞬じゃないですか。わざわざAMFを最大出力にして魔法を使えない状況にするなんてあまりにも非効率ですよ‥‥どうして艦長はあのような訓練を行っているのですか?」

 

「‥‥お前、死にたいのか?」

 

「えっ?」

 

その甘い呟きを切り捨てたのは、腕組みをしてモニターを睨んでいたベテランの士官だった。

 

ベテランの鋭い一瞥に新米魔導師はビクッと肩を震わせる。

 

「いいか?窓の外をよく見ろ‥次元の海は我々の常識が通用する場所ばかりじゃない。魔力システムを完全に無効化するジャマーを積んだテロリスト、あるいは魔法という概念すら存在しない未知の敵対勢力……我々が魔法を使えない状況を敵は作り出し、それを絶好のチャンスとして襲ってくるんだ」

 

ベテラン士官はモニターに映るフェイトの鋭い槍捌きを指差した。

 

「万が一、そうした敵の侵入を艦内に許し、白兵戦にもつれ込んだ時、『魔法が使えないから戦えません』で済むと思うのか? 魔力が尽きた時‥魔法が使えない時、最後に自分自身と仲間を守るのは、鍛え抜かれた己の肉体と戦術だけだ。艦長と副長は、自らの身体でそれを乗員たちに叩き込んでいるんだよ」

 

その言葉を聞いて、新米魔導師はハッと息を呑み、再びモニターへと視線を戻した。

 

「判断が遅い!!これが実戦だったら今の一撃で腕が飛んでいるぞ!!」

 

「ぐっ‥‥!」

 

Bデッキの第四通路では、チンクの容赦ない電流槍の連撃が、フェイトチームの前衛隊員を壁際へと追い詰めていた。

 

チンクチームに押されて防戦一方となったフェイトチームの隊員の隙を突き、チンクが強烈な足払いを放つ。

 

「後退、私が前に出る!」

 

フェイトチームの隊員が体勢を崩した瞬間、背後からフェイトが滑り込むように間合いを詰めた。

 

チンクの槍を下からカァン!と甲高い金属音と共に跳ね上げ、その勢いを利用して切っ先をチンクの喉元へと突き入れる。

 

「流石ですね、艦長。ですが、少し視界が狭くなっていますよ!」

 

「っ!?」

 

チンクは不敵に笑うと、首を僅かに逸らしてフェイトの突きを回避。

 

それと同時に、頭上の通気口パネルが蹴り破られ、別ルートを迂回していたチンクチームの遊撃隊員二人が、フェイトの死角である頭上から強襲を仕掛けてきた。

 

「「うおぉぉぉー!!」」

 

(……上からの奇襲。セオリー通りだけど、タイミングが完璧ね)

 

フェイトの内心は、極限の戦闘下にあっても湖面のように静まり返っていた。

 

彼女は振り返ることなく、真横の隔壁を強く蹴り上げて宙に舞う。

 

強襲部隊の槍が空を切った直後、フェイトは空中で反転しながら、彼らの背中へ正確に槍の石突きを打ち込んだ。

 

「ぐはっ!!」

 

「ぐぇっ!!」

 

「ヒット。二人脱落」

 

「くっ……艦長、後ろにも目がついているんですか……!?」

 

床に転がった隊員たちが悔しげに呻く中、着地したフェイトは息をつく間もなく、再び目前のチンクと激しく打ち合った。

 

バチィッ!!

 

互いの電流槍が交差するたびに、眩い火花が薄暗い通路を照らし出す。

 

魔力に頼らない純粋な膂力と技術のぶつかり合い。

 

だが、チンクは戦闘機人としての卓越した身体能力と動体視力を持っている。

 

魔法抜きでの接近戦においては、間違いなく艦内で最強の一角だ。

 

(チンクの踏み込みが、さっきより速くなっている。こちらの疲労を計算してペースを上げているのね)

 

フェイトは迫り来る無数の突きを、最小限の動きでいなし続ける。

 

彼女たちが相対する広大な宇宙は、常に想定外に満ちている。

 

未知の技術体系を持つ艦隊、次元の断層、そして……人知を超えた脅威。

 

だからこそ、最悪の状況下でも絶対に生き残り、艦と仲間を守り抜く「強さ」が必要なのだ。

 

「どうしました?艦長!?防御ばかりでは、この第四通路は突破できませんよ!!」

 

チンクが電流槍を大上段から振り下ろす。

 

フェイトはそれを両手で持ち上げた柄の中央で受け止めた。

 

ギリギリと互いの腕力が拮抗し、顔が至近距離で睨み合う。

 

「……ええ。だから、あえて引き付けさせてもらったわ」

 

「えっ?」

 

フェイトが微笑んだ瞬間、チンクの背後にあった交差点の左右から、フェイトチームの別動隊が音もなく姿を現した。

 

彼らはチンクチームがフェイトに気を取られている隙に機関部側のハッチから静かに回り込んでいたのだ。

 

「なっ……後方に回り込まれた!?」

 

「チェックメイトよ、チンク。個人の武力で押し切ろうとするあまり、周囲の制圧が疎かになっていたわね」

 

フェイトは槍を弾き返し、チンクの胸元に電流槍の先端をピタリと突きつけた。

 

完全な包囲網を前に、チンクは小さく息を吐き、両手を上げて降参の意を示した。

 

「……参りました。見事な陽動と戦術指揮です、艦長。私の負けですね」

 

「チンクの猛攻を凌ぐのは骨が折れたわ。でも、良い動きだった。隊員たちも、よく付いてきてくれたわね」

 

フェイトが槍を下ろし、汗を拭いながら労いの言葉をかけると周囲の隊員たちから安堵の息と充実感に満ちた笑みがこぼれた。

 

管制室でその決着を見届けていた新米魔導師は、いつの間にか画面に釘付けになっていた。

 

魔法がなくても、彼女たちは圧倒的に強かった。

 

いや、魔法という飾りが削ぎ落とされたからこそ、その真の強さが浮き彫りになっていたのだ。

 

「す、すごい‥これが、私たちの艦長と副長の実力‥‥しかも魔法には一切頼らず、自分だけの身体能力だけで‥‥」

 

「分かったか?新人。我々は魔導師である前に、一人の人間であり時空管理局の局員なんだ。最後に頼りになるのは魔力ではなく己の肉体なんだよ」

 

「は、はい!!」

 

ベテラン士官の誇らしげな言葉に新米は今度こそ真っ直ぐに力強く頷いた。

 

艦内には模擬戦終了のブザーが鳴り響き、張り詰めていた空気がふっと和らぐ。

 

「艦内模擬戦終了!!各部異常個所の有無をチェックせよ!!負傷者は医療部へ申告せよ!!」

 

艦内模擬戦が終わり、今度のその片付けと艦内の異常個所の有無のチェック、そして模擬戦とは言え、怪我人が出ているかもしれない。

 

模擬戦終了の合図が艦内に響き渡ると、先ほどまでの殺気は嘘のように消え、局員たちは慣れた手つきで電流槍を回収し、互いのスーツの損傷を確認し始めたり、艦内の施設に損傷や異常がないかを確認する。

 

フェイトとチンクは、息を整えながら艦橋へと戻る通路を歩いていた。

 

「……最後、左翼に回り込まれるとは思わなかった。艦長の陽動、いつの間に仕込んでいたんですか?」

 

チンクが苦笑しながら尋ねると、フェイトは額の汗を拭い、少しだけ悪戯っぽく微笑んだ。

 

「チンクが前衛に集中するのは分かっていたから、あの突きを真正面から受けたのは、あえて注意を引くためよ」

 

「敵の侵入を許したと見せかけて、包囲網を敷く……艦長、相変わらず戦術が局員というよりも軍人すぎませんか?」

 

二人は艦長室の隣にある簡易会議室に入ると、モニターのログを呼び出し、今回の訓練の反省会を始めた。

 

身体の軸のブレ、防御の反応速度、そして通信のラグ――。彼女たちが議論しているのは、魔力測定値ではなく、戦場の生存率を0.1%でも上げるための冷徹な現実的判断だった。

 

純粋な白兵戦における戦術的欠点を洗い出す彼女たちの眼差しは、真剣そのものだった。

 

その後、全ての仕事を終えて艦長室で休んでいるフェイトにはやてから通信が入る。

 

艦長室にある端末でそれを受信するフェイト。

 

『やっほーフェイトちゃん。初めての次元航行艦の艦長任務、どないやー?』

 

「順調だよ、はやて。艦の機関も安定しているし、何より乗員たちの士気が高くて助かっているよ。今日は艦内での戦闘模擬訓練をしたの」

 

『えっ?艦内で模擬戦をしたんか?どんな訓練やってたん?』

 

はやてがのんびりとした口調で尋ねると、フェイトはどこか誇らしげな笑みを浮かべ、真剣な眼差しで答えた。

 

「実戦形式でのあらゆる事態を想定して、艦内全域にAMF(アンチ・マジック・フィールド)を最大出力で展開して、魔法を完全に封じた状態での完全白兵戦よ。非殺傷仕様の電流槍だけを持たせて、私とチンクで二つの部隊に分かれて、艦内の制圧を競う実戦形式のドクトリンを行っていたの」

 

「は?」

 

フェイトの訓練内容を聞いてはやての笑顔がピシリと固まった。

 

「チンクの部隊の突破力が凄くてさ、危うく押し切られそうになったんだよ。でも、最後は戦術で裏をかいて制圧できた。若手たちも、魔法という防壁やブーストがない状況で、いかにして自らの肉体と反射神経だけで生き残り、敵を制圧するか……その重要性を肌で理解してくれているよ、これで彼らの生存率も大きく跳ね上がる筈よ」

 

「そ、そんな訓練をしたんか?」

 

「うん、最初は魔法に頼りきりだった新人たちも今では物理的な関節技や電流槍を用いた泥臭い近接格闘の美学を理解し始めているから、次は無重力状態を想定した肉弾戦をやろうと思っているの」

 

『‥‥』

 

モニターの向こう側で、はやては絶句していた。

 

彼女の頭の中で、『高ランク魔導師』 『スマートな魔導師』というイメージと、「AMF下で槍を振り回して泥臭く殴り合う海兵隊顔負けのガチ局員たち」という現実が激しくバグを起こしている。

 

『え、えーっと……フェイトちゃん?』

 

「なに?」

 

『いや、その……たしかに魔力無効化への対策は大事やし、乗員たちの生存率を上げるのは艦長としてええことなんやけど……』

 

はやては頬を引きつらせながら、恐る恐る言葉を紡いだ。

 

『魔導師の訓練やのに、魔法一切禁止で、非殺傷とは言え、電流槍でドツキ合いって……それ、ただのスパルタ白兵戦部隊やん。新人の子ら、泣いてへん? 『こんなはずじゃなかった』って辞表出してへん?』

 

「泣いてないよ。むしろ、ベテラン士官の指導もあって、みんな目を輝かせて槍の素振りをしているし‥‥それにいざという時に自分と仲間を守れるのは、鍛え抜かれた肉体だけだってみんな分かってくれたから‥そもそも防衛軍の軍人さんたちは魔力がない環境下が当たり前なんだし、私たち魔導師も何時でも魔法が使用できる環境とは限らないんだよ」

 

『せ、せやろか……いや、フェイトちゃんが楽しそう(?)なんはええんやけど……あまり新人の子らを戦闘狂のゴリ……いや、筋肉達磨にせんように手加減したってな……』

 

「?」

 

完全に引いているはやての反応に、フェイトは不思議そうに小首を傾げた。

 

「はやてもさぁ、自分の艦でもやってみなよ。乗員たちの生存率を上げる他にも艦内の士気やチームワークがグッと上がると思うよ」

 

フェイトは、はやてにもこの訓練方法を勧める。

 

未知の宇宙、予測不能の事態に備えるための究極の生存戦略。

 

もう一つの地球へ次元漂流した経験があるフェイトだからこその戦略なのかもしれない。

 

次元航行艦イゾルデは、フェイトの生真面目すぎる指導のもと、管理局随一の「物理的戦闘力」を誇る武闘派艦艇へと着実に進化(?)を遂げようとしていた。

 

『え、えっと‥‥検討しておくわ‥‥シグナムあたりが聞いたら喜んで突撃しそうやけど、一般の乗員たちの命がもたんかもしれんし……』

 

(そう言えば、フェイトちゃんもシグナムみたいなバトルジャンキーみたいな所があったわ‥‥)

 

(もう一つの地球での経験でそれが管理局の魔導師とはやや別のベクトルで働きはじめたんや‥‥)

 

画面越しにはやてが引きつった笑みを浮かべながら言葉を濁す。

 

それと同時に嬉々として愛刀を振り回すシグナムとそれに巻き込まれて白目を剥く新人局員たちの地獄絵図がはっきりと浮かんでいた。

 

「そう? みんなきっと見違えるように強くなると思うけど‥‥?まぁ、はやてがそう言うなら仕方ないね。はやてにははやての艦のやり方があるし‥‥」

 

フェイトは少し残念そうに肩を落とした。

 

彼女としては、純粋に局員たちの生存率を高めるための善意からの提案だったのだ。

 

(フェイトちゃんの艦の乗員たちが出世して同じ訓練を初めて管理局全体に広まったらどうしよう‥‥)

 

はやてとしてみれば、何だか新たな悩みの種が増えたようにも思えたのだった。

 

同僚を失い傷心のユーノ、そんな彼の身を案じたなのはの今後の進展について

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