星の海へ   作:ステルス兄貴

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二百九十五話 敗北 そのⅡ

 

 

地球連邦政府からの使者として惑星国家ディスティニーへ赴き、無事に両国の絆の証「地球の心」を届けた月村良馬と『宇宙列車・二号』。

 

しかし、彼らを待ち受けていたのは銀河鉄道の根幹を揺るがす恐るべき事件だった。

 

空間鉄道警備隊(SDF)の『ビッグワン』を騙る漆黒の戦闘列車――その正体は、軍需企業ヘッケラー社と銀河鉄道上層部が極秘裏に建造し、宇宙海賊ジャック・ブルームに強奪された次世代車両『ブラック・ワン』であった。

 

圧倒的な火力でベガ小隊のアイアンベルガーを沈め、本物のシリウス小隊をも蹂躙するブラック・ワン。

 

絶体絶命の危機に陥る仲間たちを救うため、良馬はレイラ総司令の許可を得て二号列車で出撃する。

 

身を挺した二号列車の盾によってシリウス小隊は救われ、良馬は追撃を諦めて重傷を負ったベガ小隊の救出を優先した。

 

限界を超えた牽引作業とスピカ小隊の助けを経て、傷ついた列車たちはディスティニーへと帰還を果たした。

 

自らの保身を優先するヘッケラー社と上層部の腐敗に憤るバルジ隊長が反撃の糸口を探る中、良馬は病室を訪れる。

 

そこには満身創痍でありながらも全く闘志を失わず、騒々しく笑い合うベガ小隊の姿があった。

 

彼らの不屈の魂に触れ、決意を新たにする良馬。

 

逃げ去った漆黒の悪魔を撃ち破り、SDFの誇りを取り戻すため。

 

今、反撃の狼煙が上がろうとしていた――。

 

 

惑星ディスティニーのSDF庁舎内。

 

その一角にある大食堂は、昼夜を問わず任務に当たる隊員たちや局員たちでいつも賑わいを見せていた。

 

待機室で壁を叩き苛立っていた学は、デイビッドに半ば首根っこを掴まれるような形で、強引にこの場所へと連れて来られていた。

 

シリウス小隊専用の待機所と違い、ここは不特定多数の人間が出入りする共同スペースだ。

 

他の小隊の隊員や一般局員の目もあるため、流石の学もここで声を荒げて暴れる訳にはいかず、不満げな顔のまま大人しく席についていた。

 

「ほらよ。遠慮すんな」

 

ドン、と学の目の前に置かれたのは、湯気を立てる大盛りのランチセットだった。

 

デイビッドは自分の分のトレイを持って向かいの席に腰を下ろす。

 

「いいから、食えって。俺の奢りなんだから」

 

「……だけど」

 

目前の美味しそうな食事にも、学の表情は煮え切らない。

 

頭の中はビッグワンの無惨な姿と、未だ宇宙を走っているであろうブラック・ワンへの怒りと焦りで満たされており、到底食欲など湧いてこなかった。

 

そんな学の心情を見透かしたように、デイビッドはナイフとフォークを手に取りながら言った。

 

「どんな時も食える奴が最後には勝つんだよ。俺が学んだ勝利の法則は、これが一番だ」

 

デイビッドはそう言うと、淡々と、しかししっかりと自分の食事を口に運び始めた。

 

その顔はいつも通り冷静で、余裕すら感じさせる。

 

だが、学には分かっていた。

 

共に修羅場を潜り抜けてきたデイビッドが、今回の事件に対して何も感じていないはずがない。

 

自分たちが乗っているビッグワンの名を騙られ、仲間であるベガ小隊の隊員たちを含めて大勢の人々が死傷したのだ。

 

内心はきっと、腸が煮えくり返るほどの激しい怒りに燃えているはずだ。

 

それでもその感情を決して表に出さないのは、学よりもSDFでの勤務経験が長く、数々の悲惨な現場を見てきた大人としての人生経験の差なのだろう。

 

(……デイビッドの言う通りだ。ここで俺が腹を空かせて倒れたら、それこそ奴の思う壺じゃないか)

 

学は小さく息を吐き出すと、意を決したようにスプーンを手に取り、食事を口へと運んだ。

 

温かい食べ物が胃の腑に落ちると、張り詰めていた神経が僅かばかり解れるような気がした。

 

学が食事に手を付けたのを確認すると、デイビッドは周囲に聞こえないよう少し声を潜めて本題を切り出した。

 

「さっき、バルジ隊長から入って来た情報だ。今回の犯人は、あのジャック・ブルームだそうだ」

 

「ジャック・ブルーム!?」

 

学は思わずスプーンを止め、目を丸くしてデイビッドを見つめた。

 

「ジャック・ブルームって……あの宇宙海賊の!?」

 

「ああ、SDF第一級指名手配犯だ。しかも強奪されたのが、ヘッケラー社で極秘に建造されていた次期SPG専用に開発された戦闘列車らしい‥‥だが……どうも引っ掛かる」

 

デイビッドはコーヒーの入ったカップを持ち上げ、眉間を僅かに寄せた。

 

「何がですか? 強盗に誘拐、列車襲撃……海賊の中でもとびっきりの悪だ。あいつなら、最新鋭の戦闘列車を盗み出すくらい、やってもおかしくないですよ」

 

学の言う通り、ジャック・ブルームの悪名はこの銀河全域に轟いている。

 

凶悪な事件の背後には常に彼の影がちらついていた。

 

しかし、デイビッドは静かに首を横に振った。

 

「ああ……だが、奴は宇宙海賊になる前は、一流の傭兵だった男だ。多分、今でも傭兵としてのプライドは残っている筈だ。確固たる『依頼』や、それに見合う莫大な見返りが無ければ、自分からあんな目立つ真似をして動くような真似はしない」

 

「……じゃあ、誰かがブルームに頼んで列車を強奪させ、列車を襲撃させたってことですか?」

 

学の声に緊張が走る。

 

デイビッドはカップを置き、鋭い視線を学に向けた。

 

「コロニーの極秘施設にあるとはいえ、新型の戦闘列車を極秘に建造していたんだ。ヘッケラー社もそれなりの警備を敷いていた筈だ。ソレを易々と突破して、次世代のSPG用戦闘列車なんて代物を盗み出したんだ。情報提供に関して……銀河鉄道かヘッケラー社の内部に、ブルームの『協力者』が居てもおかしくはない筈だ」

 

デイビッドの口から出た推測は、あまりにも重いものだった。

 

自分たちが命を懸けて守っている銀河鉄道。

 

その内部に、凶悪な犯罪者と繋がっている裏切り者がいるかもしれない。

 

「銀河鉄道の中に、裏切り者が……?」

 

学は神妙な面持ちになり、俯いた。

 

見えない巨大な悪意が、自分たちの足元にまで巣食っている。

 

ただの海賊の暴挙だと思っていた事件が、にわかに底知れぬ陰謀の泥沼へと繋がっていることを、学は肌で感じ取っていた。

 

学とデイビッドが庁舎内の食堂で食事を摂りながら、今回の事件の背後に潜む底知れぬ陰謀に思いを巡らせていた頃――。

 

果てしなく広がる漆黒の宇宙空間では、SDFの各小隊が血眼になってブラック・ワンの捜索を行っていた。

 

『こちら、ケフェウス小隊。ポイントK‐9にて、微弱な重力震を感知……目標と思われる熱源反応を発見した。これより追尾に移行する』

 

暗黒の海を滑るように進む、角張った重装なフレームに白と緑の戦闘列車‥‥SDFの中でも屈指の精鋭として知られるケフェウス小隊の専用車両『002 飛龍号』であった。

 

司令車両のメインモニターには、遠く離れた宙域を走行するブラック・ワンの後ろ姿が鮮明に映し出されていた。

 

「目標との距離、徐々に縮まっています。我が方の主砲射程距離まで、あと二分!」

 

オペレーターのジャン・ピエールからの報告が響き、指令室の空気がピンと張り詰める。

 

 

【挿絵表示】

 

 

「主砲、発射準備完了! いつでもいけます!」

 

戦闘パート担当のコーリー・レイシードが、コンソールの照準器を睨みつけながら声を上げた。

 

 

【挿絵表示】

 

 

彼女はベガ小隊のホセと恋仲の関係であり、コーリーとしては彼氏の仇を討ちたいと言う思いがあった。

 

しかし、司令席に座る隊長、ガイ・ローレンスは微動だにしなかった。

 

 

【挿絵表示】

 

 

常に冷静沈着で、チェスプレイヤーのように戦局を俯瞰するローレンスの目は、モニターに映る不気味なほどの静けさを保つ敵艦を冷徹に観察していた。

 

「……機関停止」

 

「えっ……?」

 

突然の命令に、誰もが耳を疑った。

 

「聞こえなかったか? 機関を停止しろ。これ以上、目標との距離を詰めるな」

 

ローレンスは静かに、だが絶対の威厳を持って繰り返した。

 

「りょ、了解。機関停止‥‥」

 

キム・R・ナイトガイが急いで飛龍号を停車させる。

 

 

【挿絵表示】

 

 

一方、その頃。

 

追尾されているブラック・ワンの司令車両では、宇宙海賊ジャック・ブルームが不機嫌そうに舌打ちをしていた。

 

「チッ……勘の良い野郎だ」

 

ブルームはレーダーに映る飛龍号のシグナルを見つめてニヤリと笑う。

 

最後尾の車両には既に、アイアンベルガーやビッグワンを一撃で大破させた超大型砲が展開され、いつでも発射できる状態で待ち構えていたのだ。

 

もし飛龍号がそのまま直進し、射程距離に踏み込んでいれば、ローレンスたちも先の二小隊と同じように超大型砲の餌食になっていたはずだった。

 

「相手は‥‥002‥飛龍号。ケフェウス小隊です」

 

オペレーターが自分たちを追尾しているSDFの車両ナンバーを検索して、ブルームに報告する。

 

ブラック・ワンのメインコンピューターには、SDFの各小隊に関する詳細なデータが入力されていた。

 

「SDFでもトップクラスの精鋭部隊……フン、この最強のオモチャの性能テストとして、データを取るにはうってつけのモルモットじゃねぇか」

 

モニターに映る飛龍号を見てブルームはニヤリと不敵な笑みを浮かべる。

 

「しかし、野郎全然動きませんぜ」

 

オペレーターが飛龍号の動きを報告する。

 

飛龍号は停止した位置から動かずに静止状態を保っている。

 

「向こうが来ねえなら、こっちから距離を潰してやる! 全速反転だ!」

 

ブルームは操舵手に飛龍号との距離を積めるように命令を下す。

 

ビッグワンを模した車体が宇宙空間で滑らかに向きを変え、凄まじい推進力で飛龍号へと突進を開始する。

 

「目標、全速で反転! こちらに向かってきます! 高エネルギー反応あり!」

 

ピエールの悲鳴のような報告に、ローレンスの目が鋭く光った。

 

「全速後進! 敵との距離を一定に保て!」

 

ローレンスの的確な指示により、飛龍号は即座に後退を開始する。

 

相手の強力な火器の射程に巻き込まれないよう、アウトレンジを維持する戦法に出たのだ。

 

しかし、次世代SPGとして開発されたブラック・ワンの性能は、SDFの常識を遥かに超えていた。

 

――ドゴォォォォォォッ!!

 

ブラック・ワンの超大型砲から放たれた極太の破壊光線が、暗黒の宇宙を切り裂いて飛龍号へと襲い掛かった。

 

「シールド最大出力!」

 

強烈な光の奔流が飛龍号を正面から呑み込む。

 

激しい衝撃波が車体を揺さぶり、指令室内に火花が散った。

 

「くっ……! 被害状況は!?」

 

「前部シールド発生装置、許容量を超えショート! シールド使用不能です!」

 

ローレンスの機転で全速後進し距離を取っていたため、光線の威力は減衰しており、ビッグワンやアイアンベルガーのような致命的なダメージは免れた。

 

機関部と戦闘車両は、まだ十分に機能している。

 

「ローレンス隊長! 機関部は無事です、反撃の許可を!!」

 

コーリーがコンソールに身を乗り出して叫ぶ。

 

しかし、ローレンスの判断は非情なまでに現実的だった。

 

「撤退だ。誘導ミサイル及び光子魚雷を発射。弾幕を張り、その隙にこの宙域から離脱する」

 

「なっ……逃げるんですか!? まだ戦えます!」

 

「このまま距離を詰められれば、次であの超大型砲の直撃を受け、確実に撃沈される。今は無駄死にする時ではない」

 

ローレンスの冷徹な一言に、コーリーはギリッと唇を噛み締めながらも指示に従った。

 

飛龍号の後部から、無数の誘導ミサイルと光子魚雷が放たれる。

 

目眩ましと牽制を兼ねた猛烈な弾幕がブラック・ワンへと殺到したが――。

 

「無駄な足掻きを……!」

 

ブルームがボタンを叩き込むと、ブラック・ワンの車体表面に特殊な収束式電磁シールドが展開された。

 

飛龍号の放った光子魚雷とミサイル群は、分厚いエネルギーの壁に阻まれ、ブラック・ワンに傷一つ付けることなく宇宙の藻屑と消え去った。

 

「そっちが撃ち尽くしたなら、次はこちらの番だ!」

 

ブラック・ワンから、宇宙空間を埋め尽くすほどの多弾頭ミサイルが射出された。

 

シールドを失い、さらに機関部にも徐々にダメージを受け始めている飛龍号の速度が落ちる。

 

「回避しきれません! 被弾します!」

 

無数の爆発が飛龍号の装甲を容赦なく削り取っていく。

 

じわじわと敵との距離が縮まり、飛龍号はいよいよ絶体絶命の危機に立たされた。

 

だが――。

 

「……フン。これ以上やっても、もう大したデータは取れねぇか‥攻撃止め、反転だ」

 

ブルームはモニターに映るボロボロの飛龍号を見て、ふっとつまらなそうに息を吐いた。

 

「えっ?ですが、ボス。あと一息でっせ?」

 

飛龍号を後一撃で沈められると言うのにブルームは攻撃の中止と離脱を命じた。

 

オペレーターは不満そうに意見するが、

 

「必要なデータは手に入れた。いい仕事をする奴は、目的を達したらすぐにずらかるんだ。覚えておけ」

 

「イエッサー!!」

 

「今日はこの辺で勘弁してやるよ。あばよ、精鋭さんたち‥さて、次の獲物を狩りにいくぞ‥‥」

 

彼の目的はあくまで『次世代車両の実戦データの採取』であり、飛龍号を完全に消し炭にすることではない。

 

それに、これ以上時間をかければ、他のSDFの部隊や、厄介な漆黒の『宇宙列車・二号』が駆けつけてくる可能性があった。

 

ブラック・ワンは突如として飛龍号への追撃を止めると、反転して再び広大な宇宙空間の彼方へと消えた。

 

静まり返った宇宙空間には、傷つき満身創痍となった飛龍号だけが取り残された。

 

 

惑星ディスティニー・銀河鉄道管理局 運行司令室

 

緊迫した空気が張り詰める中、大型モニターに映し出されたケフェウス小隊の惨状と戦闘データに、室内にいた全職員が言葉を失っていた。

 

「ケフェウス小隊、飛龍号……戦闘続行不可能です。敵『ブラック・ワン』はまたもや反応消失‥見失いました」

 

オペレーターの震える声が響く。

 

SDF司令兼・銀河鉄道運行司令の藤堂平吾郎は、腕を組み、険しい表情で目を閉じた。

 

シリウス、ベガに続き、戦術の天才であるローレンスが率いるケフェウス小隊までもが為す術もなく敗退した。

 

「まさか、あのローレンスが敗れるとは‥‥」

 

藤堂の口から、重く苦々しい呟きが漏れた。

 

『最強の盾』として生み出されたはずの力が、銀河を蹂躙する『最悪の牙』となってSDFに牙を剥いている。

 

底知れぬ絶望感が、運行司令室全体を重く覆い尽くそうとしていた。

 

後続の救援部隊と合流し、満身創痍の『002 飛龍号』が惑星ディスティニーの整備場へと帰還を果たしたのは、それから間もなくのことだった。

 

帰還後の事後処理もそこそこに、戦闘パート担当のコーリー・レイシードは真っ先にSDF庁舎併設の医療施設へと駆け出していた。

 

彼女が息を切らして向かったのは、ブラック・ワンの襲撃によって重傷を負い、入院を余儀なくされているベガ小隊の相部屋である。

 

「ホセ……!」

 

病室のドアを開けると、そこには包帯やギプスで痛々しい姿になった恋人、ホセの姿があった。

 

コーリーは足早に彼のベッドへ駆け寄ると、シーツを握りしめながらポロポロと悔し涙を零した。

 

「ごめんなさい、ホセ……私、あなたの仇を討ちたかったのに……あんな奴ら、飛龍号でやっつけてやりたかったのに……! 手も足も出なくて、返り討ちに遭っちゃった……!」

 

圧倒的な力を見せつけられ、自分たちの無力さを痛感した絶望。

 

そして何より、愛する者を傷つけた敵を逃してしまった己への不甲斐なさが、コーリーの心を苛んでいた。

 

SDFきってのクールビューティーな彼女も恋人の前では一人の女性なのだ。

 

しかし、ホセはそんな彼女の悲痛な告白を聞いても、決して落胆などしなかった。

 

彼は包帯の巻かれた重い腕をゆっくりと持ち上げると、泣きじゃくるコーリーの頭を優しく撫でた。

 

「えっ……ホセ……?」

 

「気にするなよ、コーリー。俺の敵討ちなんかより……君に怪我がなくて、本当によかった」

 

ホセはいつものような穏やかな微笑みを浮かべ、愛おしそうに彼女を見つめた。

 

「どんな結果であれ、君が無傷で俺のところに還って来てくれた。俺にとっては、それ以上の喜びなんてないんだからさ」

 

「ホセ……」

 

「コーリー‥‥」

 

その優しさに触れ、コーリーは安心したようにホセの胸に顔を埋めた。

 

死線を超えて互いの無事を確かめ合う、甘く感動的な二人の世界――。

 

……しかし、ここはベガ小隊の隊員たちが入院している相部屋である。

 

「…………あぁ~あぁ~やってらんねぇ~」

 

「……怪我の痛みより、この状況を見せつけられる心のダメージの方がデカいぜ……」

 

隣のベッドから、地を這うような恨めしい声が聞こえてきた。

 

特定の彼女がいない独り身のシルバーとシュナイダーにとって、ただでさえ心身共にボロボロな状態で見せつけられるこの甘い空間は、完全に『目の毒』以外の何物でもなかった。

 

布団を頭まで被りながら、あからさまに僻みモードに入っている二人に、同じく別ベッドに横たわっている隊長の村瀬が苦笑しながら声をかける。

 

「まぁ、まぁ、お前たち。彼女もホセの事を心配して急いで駆けつけてくれたんだ。野暮なことを言うんじゃない」

 

大人として穏便に宥めようとした村瀬だったが、傷心のシングル男たちには逆効果だったらしい。

 

シルバーとシュナイダーは布団からバッと顔を出し、今度は自分たちの隊長に向けてジト目を向けた。

 

「隊長はいいですよねぇ~‥‥だってジュリア隊長がいますもんねぇ~‥‥」

 

「なんだかんだ言って、やっぱりソレって彼女持ちの余裕ですかァ?」

 

「お、おい、何故其処でジュリアの名前が出てくる……!?」

 

スピカ小隊のジュリア隊長を引き合いに出され、容赦ないひがみの集中砲火を浴びた村瀬は、赤面しながら慌てて弁解する。

 

ブラック・ワンという未曾有の脅威が宇宙を覆い、SDF全体が重苦しい空気に包まれる中、

 

この病室だけは、満身創痍の体とは裏腹に、いつものベガ小隊らしい騒がしくも温かい日常の時間が流れていた。

 

病室の片隅で、シルバーとシュナイダーによる村瀬への「ひがみの集中砲火」が続く‥‥

 

「彼女持ちはいいよなぁ~……」

 

「ジュリア隊長と良い雰囲気の隊長には、俺たちのこの虚しさと寂しさが分からないんですよ……ホセの奴なんか全然、周りが見えていないし‥‥」

 

「だ、だから俺とジュリアはそう言う関係じゃないと言っているだろうが! お前ら、少し落ち着け!」

 

ベッドの上で身を縮め、部下たちからのジト目を浴びて冷や汗を流す村瀬。

 

だが、そんな外野の騒々しいやり取りなど、ホセとコーリーの耳には微塵も届いていなかった。

 

二人の周囲だけは、依然としてピンク色の甘いオーラに包まれた完全な『二人の世界』のままである。

 

「……ふふっ、ありがとう、ホセ。あなたの顔を見たら、なんだか安心しちゃった」

 

コーリーは目元に浮かんでいた涙を指先で拭うと、花が咲くような明るい笑顔を取り戻した。

 

愛する人の無事を確認できたことで、彼女の中に渦巻いていた悔しさや焦燥感は、温かな安堵へと変わっていた。

 

「ねえ、ホセ。今度、差し入れ持って来るけど、何か食べたい物はある?」

 

コーリーが少し身を乗り出し、弾むような声で尋ねる。

 

実は、ケフェウス小隊の戦闘パート担当として勇猛に火器を操る彼女だが、その最大の特技は『料理』であった。

 

しかも、ただの家庭料理のレベルではない。

 

彼女の料理スタイルは、その性格と同じく非常にダイナミックかつ豪快だ。

 

一抱えもあるような巨大な骨付き肉や、まな板には到底乗らないような巨大魚の兜焼きであろうと、彼女は愛用のフライパン一つで軽々と宙に煽り、見事に調理してみせるのだ。

 

見た目の豪快さに反して、火の通し加減やスパイスの調合は繊細そのもので、彼女の作る料理は、SDFの食堂のシェフでさえ舌を巻くほど絶品なのである。

 

「コーリーの手料理か~……そいつは最高に嬉しいなぁ~」

 

ホセはベッドの上で目を細め、彼女の作る豪快でとびきり美味い料理の数々を思い浮かべた。

 

激しい戦闘と大怪我で消耗しきった体に、愛する彼女の愛情たっぷりな手料理‥‥それ以上の特効薬がこの宇宙にあるだろうか?

 

「そうだなぁ~……コーリーの作ってくれるものなら何でも大歓迎だけど、せっかくなら、早くこのギプスを取って前線に復帰したいから、骨が直ぐにくっつくような栄養満点なやつをお願いしようかな」

 

「栄養満点なやつね! 分かったわ。それじゃあ、とびっきり新鮮な魚介を丸ごと使った、カルシウムたっぷりの特製シーフードシチューを作ってきてあげる! あと、スタミナがつくように、でっかいお肉のローストも焼いてこようかな!」

 

「ははっ、それは頼もしいな。今からお腹を空かせて待っているよ。病院食はどうにも味気ないからな」

 

見つめ合い、幸せそうに微笑み合う二人。

 

しかし、その甘すぎる会話と雰囲気は、隣のベッドで聞き耳を立てていたシングル男たちにとって、ブラック・ワンの超大型砲にも匹敵するほどの破壊力を持っていた。

 

「か、彼女からの……て、手作り料理の差し入れ……だ、と……!?」

 

シルバーが血の涙を流さんばかりの顔で、シーツをギリギリと噛みしめる。

 

「もうやめてくれぇぇっ! 俺たちのライフはとっくにゼロだぁぁっ!!」

 

シュナイダーは両手で耳を塞ぎ、ベッドの上でのたうち回った。

 

「あぁー……お前ら、傷が開くぞ。大人しく寝ていろ……」

 

村瀬は半ば呆れ顔で部下たちを宥めながらも、ホセとコーリーの穏やかなやり取りに、密かに目を細めていた。

 

(どんなに強大な敵が現れようとも、護るべき日常と愛する者がいる限り、俺たちは絶対に負けねぇ……そうだろう、月村、バルジ)

 

騒がしくも平和な病室の空気を感じながら、村瀬は心の中で、これから決戦へ向かうであろう戦友たちへ密かなエールを送っていた。

 

平和な時間が流れる病室から遠く離れた、冷たく果てしない暗黒の宇宙空間。

 

ケフェウス小隊が敗退した後も、SDFの各部隊は血眼になってブラック・ワンの捜索を続けていた。

 

しかし、最新鋭の圧倒的な機動力を併せ持つ漆黒の戦闘列車は、SDFの包囲網を嘲笑うかのように神出鬼没の動きを見せていた。

 

ジャック・ブルームの駆るブラック・ワンもまた、さらなる「実戦データ」を収集するための新たな獲物を求め、次元の海を我が物顔で航行していたのである。

 

そして、次なる悲劇は第八宇宙区で引き起こされた。

 

『――こちらツバン小隊、アップルガード! 第八宇宙区、ポイント3Cにて、目標と接触!』

 

惑星ディスティニーの運行司令室に、悲痛な叫び声が響き渡る。

 

大型モニターには、漆黒の悪魔と対峙するツバン小隊の専用車両『028 アップルガード号』の姿が映し出されていた。

 

しかし、その交戦はあまりにも一方的なものだった。

 

『うわぁぁぁっ!!』

 

画面越しにも伝わる凄まじい閃光‥ブラック・ワンから放たれた無慈悲な破壊光線が、アップルガードの重装甲をいとも容易く貫いていく。

 

『こちらツバン小隊!!アップルガードは攻撃を受けて大破!! 現在行動不能!! 繰り返す、現在行動不能……っ!!至急、救援を求む!!』

 

ノイズにまみれたその悲鳴を最後に、ツバン小隊からの通信は完全に途絶した。

 

「ツバン小隊までやられたか……!」

 

SDF司令兼・銀河鉄道運行司令の藤堂平吾郎は、ギリッと奥歯を噛み締めた。

 

シリウス、ベガ、ケフェウス、そしてツバン‥歴戦の勇士たちが次々と、為す術もなく撃破されていく‥‥

 

だが、立ち止まっている暇はない。これ以上の被害拡大を防ぐことが最優先だ。

 

藤堂はすぐさま鋭い声を張り上げた。

 

「第八宇宙区に緊急令を発令! 直ちに付近を運行している全民間車両の運行を停止させ、最寄りの惑星もしくは分岐点基地へ退避させろ!」

 

「了解! タウラス環状線、並びにミッドガルド本線、全列車の運行を停止! 第四十一分岐点へ、運行停止した民間車両の受け入れ態勢を取るよう緊急入電します!」

 

オペレーターたちがキーボードを叩き、全宇宙に張り巡らされた銀河鉄道のネットワークへ次々と緊急指令を飛ばしていく。

 

「SDF各隊へ通達! ツバン小隊の救援に向かえ! ただし、ブラック・ワンとの単独交戦は絶対に避けろ!」

 

藤堂の悲痛な命令が飛び交う中、司令室の空気はかつてないほどの重苦しさと絶望感に包まれていた。

 

敗戦が続くSDF。

 

その傷跡は、惑星ディスティニーにある銀河鉄道の巨大な車両整備場に、痛々しい姿となって並べられていた。

 

広大なドックには、ひしゃげた装甲を剥き出しにしたベガ小隊の『アイアンベルガー』とシリウス小隊の『ビックワン』。

 

そして先頃の戦闘で機関部やシールドに深刻なダメージを負ったケフェウス小隊の『002 飛龍号』が運び込まれ、整備班による昼夜を問わない懸命な修復作業が行われていた。

 

飛び交う火花と、金属を打つ甲高い重機音が鳴り響く中、ケフェウス小隊の隊長、ローレンスは、足場から愛機の痛々しい姿を無言で見上げていた。

 

チェスプレイヤーのように常に冷静沈着な彼であっても、あの圧倒的な性能差を見せつけられた敗北の記憶は、胸の奥に冷たい悔しさを澱ませている。

 

「……ローレンス」

 

不意に背後から声をかけられ、ローレンスは静かに視線を向けた。

 

そこには、腕を組み、鋭い眼光を放つシリウス小隊隊長、バルジの姿があった。

 

「バルジか……」

 

ローレンスは短く応えると、再び前を向いた。

 

「やられたそうだな」

 

バルジの言葉には同情も皮肉もない。ただ事実を確認するような、淡々とした響きがあった。

 

「お前ほどじゃないさ」

 

ローレンスもまた、表情一つ変えずにビッグワンの惨状を引き合いに出して返す。

 

同期であり、互いの実力を誰よりも認め合う二人だからこその、飾り気のないやり取りだった。

 

「手厳しいな……」

 

バルジは微かに口角を上げると、隣に並び、飛龍号を見上げながら言葉を続けた。

 

「おまけに、データ収集もしてきたのでは、こっちは言い訳のしようがない」

 

「っ!?」

 

その一言に、ローレンスは僅かに目を見開き、バルジへと顔を向けた。

 

被弾を最小限に抑えるための撤退戦‥‥

 

傍目にはただ無様に逃げ帰ってきたようにしか見えないはずの自分の行動の真意を、バルジは正確に見抜いていたのだ。

 

「ただ逃げて来たと思っていたんじゃないのか?」

 

ローレンスが少しだけ自嘲気味に問うと、バルジはフッと鼻で笑った。

 

「お前がそんなタマか?」

 

あのローレンスが、何の収穫も得ずにただ逃げ帰ってくるはずがない。

 

敵の射程、火力の減衰率、シールドの展開速度‥‥

 

飛龍号が持ち帰った戦闘記録は、間違いなくブラック・ワンを攻略するための貴重なピースとなる。

 

バルジの揺るぎない信頼に、ローレンスは小さく息を吐いた。

 

「……俺の方でも収穫がある」

 

バルジはそう言ってローレンスから視線を外すと、ドックの出口へと背を向けた。

 

「二時間後に会議室で会おう」

 

足音を響かせ、整備場を去っていくバルジの後ろ姿。

 

ローレンスはその背中を静かに見送ると、再び飛龍号へと向き直った。

 

「……ああ。遅れはとらんさ」

 

誰に聞こえるでもなく呟いたその声には、確かな反撃への闘志が宿っていた。

 

底知れぬ陰謀と絶望的な力を持つ敵を前にしても、SDFを支える指揮官たちの心は、決して折れてはいなかった。

 

静まり返ったシリウス小隊の待機室に、一定のリズムで重い息遣いと床が軋む音が響いていた。

 

「……九十八……九十九……百……っ!」

 

部屋の片隅で、有紀学は顔から滝のような汗を流しながら、黙々と腕立て伏せを続けていた。その目はギラギラとした光を放ち、やり場のない怒りと焦燥感を全身の筋肉にぶつけているかのようだった。

 

「ったく、暑苦しいな……見ているこっちまで汗かいてきそうだぜ」

 

ソファーに深く腰掛け、雑誌をパラパラと捲っていたデイビッドが、呆れたように溜め息をつく。

 

「……何かをしていないと……落ち着かなくて……っ!」

 

学は腕の動きを止めることなく、食い縛った歯の間から絞り出すように答えた。

 

頭の中には、無惨に大破したビッグワンの姿と、重傷を負ってベッドに横たわるベガ小隊やブラック・ワンの襲撃で負傷した大勢の人たち‥‥

 

そして得体の知れない破壊の悪魔『ブラック・ワン』の影が絶えず渦巻いているのだ。

 

じっと座ってなどいられるはずがなかった。

 

「百十二……百十三……!」

 

その時、待機室の自動ドアが静かに開き、小綺麗な制服に身を包んだ一人の青年が入ってきた。

 

かつてシリウス小隊へ現場研修にやってきていたエリート、キリアン・ブラックである。

 

待機室に足を踏み入れたキリアンは、真っ先に視界に飛び込んできた異様な光景に目を瞬かせた。

 

「……何やっているんですか? 有紀さん」

 

「ひゃく、じゅう……よん……っ!」

 

キリアンの声に気付いたものの、学は顔を真っ赤にして床を見つめたまま、ただ腕を曲げ伸ばしし続けている。

 

「熱血バカは放っておけ。いつもの発作みたいなもんだ」

 

デイビッドが雑誌から目を離さずに吐き捨てた。

 

「それで?本部のエリート様が、我がシリウス小隊に何かご用かしら?」

 

通信コンソールに向かっていたルイが、振り返りながらキリアンに尋ねる。

 

「ああ、お久しぶりです。実はバルジ隊長に用があって来たんですが……隊長はいらっしゃいませんか?」

 

キリアンが室内を見回すと、コーヒーを淹れていたユキが申し訳なさそうに首を振った。

 

「隊長なら今は不在よ。車両整備場の方へ行っているわ」

 

「そうですか……バルジ隊長から、頼まれ事で、色々と分かった事を伝えに来たんですが……」

 

キリアンが少し困ったように眉を寄せた、その時だった。

 

「俺ならここにいるぞ」

 

開いたままになっていたドアから、低い声と共にバルジが待機室へと姿を現した。

 

その表情はいつになく険しい。

 

「隊長!」

 

学が弾かれたように立ち上がり、乱れた息を整えながら姿勢を正した。

 

「戻られましたか……ちょうど良かったです。例の件について、ご報告があります」

 

キリアンは表情を引き締めると、バルジ、そして待機室にいるシリウス小隊の全員へ向けて話し始めた。

 

「バルジ隊長から依頼されていたヘッケラー社に関する調査の件です。あの『ブラック・ワン強奪事件』の前後に……ヘッケラー社の中枢役員たちが管理する裏口座から、不審なお金の流れが確認されました」

 

「金の流れ、だと……?」

 

デイビッドが雑誌を閉じ、鋭い視線をキリアンへ向けた。

 

「ええ。流れの行き着く先は、傭兵や賞金首たちがよく利用している地下のダミー口座……おそらく、宇宙海賊ジャック・ブルームの懐に繋がっていると見て間違いありません」

 

その報告を聞き、バルジは深く頷いた。

 

以前、デイビッドが食堂で学に語っていた通りだった。

 

ブルームは凶悪な海賊であると同時に、元々は一流の傭兵である。

 

確固たる『依頼』と、それに見合う莫大な『報酬』が提示されなければ、自分からSDFの最新鋭車両を盗み出し、SDFの戦闘列車を襲撃するような、リスクの高い目立つ真似はしない。

 

ブルームのその性格と兵器開発を独占しようとするヘッケラー社の怪しい動向に対する不信感から、バルジは密かにキリアンにヘッケラー社の金の流れを追うよう指示していたのだ。

 

「つまり、今回の事件で、裏で糸を引いているのは、被害者である筈のヘッケラー社という可能性が高いわけか‥‥」

 

バルジの重い呟きに、待機室の空気が一気に凍りついた。

 

「えっ……!? ヘッケラー社は、自分で作った最新鋭の戦闘列車を海賊にわざと盗ませたって言うんですか!?」

 

学が信じられないというように目を丸くする。

 

「ああ。奴らなら、完成したばかりの戦闘列車が保管されている極秘コロニーに、ブルームを招き入れる手引きをするのも簡単だ。何しろ、自分たちの庭なのだからな‥‥」

 

バルジは腕を組み、冷徹な思考を巡らせながら自身の推測を口にした。

 

「奴らの狙いは『実戦データ』だ。宇宙海賊のブルームに列車を強奪されたという体裁をとれば、自分たちは列車を奪われた被害者の立場を明確にできる。その上で、ブルームにSDFの各小隊を襲撃させ、次世代戦闘列車の圧倒的な性能テストを行わせる……罪とリスクは全てブルームに背負わせ、自分たちは安全な場所で必要なデータを収集できる‥‥」

 

「そして……そのデータを元に、更に強力な戦闘列車を建造して、銀河鉄道へと正式採用を迫り、その列車を売り込む……完全にマッチポンプじゃないか……!」

 

デイビッドがギリッと奥歯を噛み鳴らした。

 

自分たちの利益と保身のために、SDFの誇り高き隊員たちを平然とモルモットにした大人たちの醜悪な計画。

 

その全容が見え始めたことで、学の握りしめた拳がわなわなと震え出した。

 

「許せない……! そんなふざけた理由のために、俺たちシリウス小隊に濡れ衣を着せ、村瀬隊長や大勢の人たちあんな目に遭わされたのか……!!」

 

「だが、まだ確実な証拠がない」

 

激昂する学を制するように、バルジは厳しく告げた。

 

「裏口座の金の流れだけでは、ヘッケラー社とブルームの直接的な繋がりを立証するには弱い。奴らはトカゲの尻尾切りで逃げるだろう」

 

バルジはキリアンに向き直り、静かに、しかし絶対の信頼を込めて言った。

 

「キリアン。引き続き、ヘッケラー社の動向と裏の通信記録、口座と金の流れの調査を頼む。奴らを確実に追い詰める決定的な証拠を見つけ出してくれ」

 

「了解しました。銀河鉄道の意地にかけても、必ず引っ張り出してみせますよ」

 

キリアンは力強く頷くと、足早に待機室を後にした。

 

その背中を見送ったバルジは、壁に掛けられた時計に目をやった。

 

合同会議の時間が迫っており、

 

「それじゃあ、俺は合同会議に出て来る。他の者はこのまま此処で待機だ」

 

反撃の準備を整えるため、バルジは毅然とした足取りで会議室へと向かうのだった。

 

同僚を失い傷心のユーノ、そんな彼の身を案じたなのはの今後の進展について

  • 付き合っちゃえ
  • お友達のままで
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