星の海へ   作:ステルス兄貴

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二十四話 テレザートのテレサ

 

ドメル戦法と共にヤマトの前に立ちはだかって来たのは、かつてヤマトとの死闘により死んだ筈のガミラスの総統、アベルト・デスラーだった。

 

デスラーの巧妙な作戦に危機に陥ったヤマト。

 

だがデスラーは突如、作戦を中止して艦隊を率いていずこへともなく撤退していった。

 

そしてヤマトは遂にテレザート星の位置を掴んだ。

 

テレザート‥‥そこにはメッセージを送って来た謎の女性、テレサが待っている。

 

管理局が管理する星(世界)の一つを葬り去った謎のミサイル艦隊。

 

そのミサイル艦隊を一瞬のうちに葬り去った謎の戦艦。

 

様々な出会いが此処、テレザートで起ころうとしているのだった。

 

 

ここで、場面は管理局の次元航行艦クラウディアから宇宙戦艦ヤマトへと移す。

 

 

宇宙戦艦 ヤマト 第一艦橋

 

ヤマトはテレザートの前に広がるアステロイド帯へと突入した。

序盤何事もなく進んでいたヤマトであったが、古代がヤマトの速度に違和感を覚え始めた。

 

「島、アステロイド帯に入ってから速度が落ちているんじゃないか?」

 

「うん‥おかしい‥‥徳川機関長、エンジンに異常はありませんか?エネルギーが徐々に落ち込んでいるんですが‥‥」

 

ヤマトの速度の異常は操艦を行っている島も違和感を覚えていた。

アステロイド帯を航行中とはいえ、ここまで速度を落とした覚えがなくエネルギーメーターに目をやると、メーターの針は徐々に『減』の方へと落ちていく。

そこで、島は機関に何らかの問題が生じたのではないかと、機関長の徳川に訊ねる。

 

「そんなはずはないんじゃが‥‥機関部!!エンジンチェックせよ!!」

 

徳川は急ぎ、機関室に連絡をいれた。

 

「古代、ここは一度引き返した方が良いんじゃないのか?」

 

真田は古代に一度アステロイド帯から出ようと進言する。

気流星団の時の様に、「知らない間に機関部や艦の彼方此方に大きな損害を出していました」なんてシャレにもならない。

 

「しかし‥‥」

 

古代はここまで来て、引き返すのは‥‥と、真田の意見に消極的だった。

 

「このまま突っ切った方が早いよ、古代。テレザート星は目の前なんだよ」

 

島の方も古代も近い意見で、ここで引き返すよりも突っ切る方が良いと意見する。

 

「‥‥」

 

古代が真田と島の意見、どちらを採用するべきが、悩んでいると、

 

「航海長、メインエンジン、補助エンジン、共に異常は見られないそうだ」

 

と、エンジンチェックが終わりどこにも異常が無かったことを徳川が島に伝える。

如何やら今回は気流星団の時の様に知らぬ間に機関が損傷していたと言う訳ではないらしい。

しかし、そうすると、疑問が残った。

 

「おかしいな‥‥」

 

徳川の報告を聞き、島は首を傾げた。

エンジンの異常が原因でないとすると何故ヤマトの速度が落ち、エネルギーが減ってきたのだろうか?

 

「真田技師長、隕石の分析が完了しました」

 

「よし、見せてみろ」

 

「はっ‥これです‥‥どうぞ‥‥」

 

そこに新米が真田に周辺の隕石の分析結果が書かれたレポート用紙を渡す。

新米は真田に命令され、この周辺の隕石の成分を調べていた。

何か、有用な金属資源があるかもしれないと思われていたからだ。

 

「‥‥むっ!?‥‥これはっ!?」

 

真田はレポート用紙を見て声をあげる。

 

「古代、エネルギー減少の原因がわかったぞ!!この隕石群にエネルギーを吸い取られているんだ!!」

 

「えっ!?」

 

真田の言葉に古代は思わず、裏返った声をだす。

隕石が戦艦のエネルギーを吸い取る?

そんな馬鹿な事があるのかと、

 

「この辺りの隕石は全てバキューム鉱石で構成されているんだ。艦の推進エネルギーを吸い取っていく特殊な鉱石だ」

 

「なんてことだ‥‥」

 

天才科学者である真田が言うのだから、間違いはないだろう。

そこへ、

 

「未確認飛行物体確認!!」

 

レーダーがヤマトに接近してくる未確認飛行物体を捕捉した。

 

「くそっ、こんな時に!!パネルにまわせ!!」

 

パネルには先日気流星団の出口付近で撃破したミサイル艦隊と同型の艦の姿が多数映し出されていた。

 

「これは!?あのミサイル艦隊‥‥まだ残っていたのか‥‥」

 

「いや、待て。あの先頭の艦‥‥今まで遭遇して来たモノと同型だが、他のミサイル艦と比べると、より大型の艦だぞ!!」

 

「大将のお出ましってわけか‥‥」

 

古代は気流星団出口で撃破したミサイル艦隊の残存艦だと思ったがその推測は残念ながら外れていた。

真田が指摘した通り、形状は周りのミサイル艦と同型だが明らかに一隻だけ他のミサイル艦よりも一回り以上大型のミサイル艦が居た。

それは、遠近法とかの見間違いなどではなく、確かに存在した。

南部の言う通り、この艦隊の方が主力でむしろ、気流星団で撃破したミサイル艦隊の方がこの艦隊の前衛艦隊だったのだ。

 

 

彗星帝国軍第一戦闘艦隊、特殊ミサイル艇師団 旗艦 ミサイル艦 ルーベルグⅢ 艦橋

 

「ふっふっふっふ‥‥ようやく来たかヤマト。さあ、来い!!このわしが沈めてやるわ!!」

 

ヤマトを捕捉したゴーランドは自らが座乗する大型ミサイル艦 ルーベルグⅢの艦橋で覇気が満ちた様子で指示を出す。

 

「全艦ミサイル発射!!」

 

まずは小手調べと言った感じで、艦体にハリネズミの様に装備されているミサイルをヤマトに向けて放った。

敵艦のミサイルの発射は、ヤマトでも捕捉していた。

 

 

宇宙戦艦 ヤマト 第一艦橋

 

「敵艦より、長距離ミサイルらしきモノが発射されました」

 

「なに!?島、回避しろ!!」

 

「無茶を言うな古代!!このバキューム鉱石の中では思うように身動きが出来ないんだぞ」

 

島の言う通り、今、ここでむやみに動けばバキューム鉱石からエネルギーを吸い取られ、いずれは航行不能に陥ってしまう。

そんな中、

 

「古代!!反重力感応機を使うんだ!!」

 

と、真田が言い放った。

 

「反重力感応機と言うと、隕石や小惑星に撃ち込んでヤマトに引き寄せるアレですか?防御用アステロイドリングを形成する為の‥‥ですが、真田さんアステロイドリングを作れば敵の攻撃は防げます。しかし、引き付けたバキューム鉱石から今以上にエネルギーを吸い取られてしまうんじゃあ‥‥」

 

古代の言っている事はまさしく正論であった。

しかし、

 

「古代、今は敵の攻撃を少しでも防がなければならない時だ。俺を信じろ!!」

 

真田には何か策がある様子だった。

 

「わかりました」

 

古代は真田の言葉を信じ、反重力感応機を射出、ヤマトの周りにはバキューム鉱石で作られたアステロイドリングが出来上がった。

 

アステロイドリングはヤマトに接近するミサイルを全て叩き落とし、ヤマトは何とか敵のミサイル攻撃を耐え凌いだ。

しかし、

 

「くそ、推進力がますます落ち込んでいく‥‥」

 

バキューム鉱石を張り付けた反動でヤマトのエネルギーは減少の一途を辿る。

 

「古代、このままじゃ、エネルギー切れを起こして航行できなくなっちまうぞ!!」

 

「真田さん‥‥」

 

「‥‥そろそろいいだろう。古代、リングを解除しろ」

 

焦る島と古代とは裏腹に真田は至って冷静だった。

 

「えっ!?」

 

「解除するんだ!!そうしてからアステロイド帯より脱出し、敵に攻撃を仕掛けろ!!」

 

「しかし、エネルギーが減少していて、とても‥‥」

 

「『俺を信じろ』と言っただろう?古代、大丈夫だ。波動砲だって使える筈だ」

 

真田の言葉通り、リングを解除したその瞬間、減少していたエネルギーが徐々に回復し始めた。

エネルギーが回復したヤマトは一気にアステロイド帯から脱出した。

 

 

彗星帝国軍第一戦闘艦隊、特殊ミサイル艇師団 旗艦 ミサイル艦 ルーベルグⅢ 艦橋

 

「ヤマト、推力吸収隕石(バキューム鉱石)群を突破してきます!!」

 

「あの隕石群の中を、まともにエネルギーを維持して抜けられる艦など存在しません。恐らくヤマトは我々の前にフラフラの状態で現れるでしょう」

 

バキューム鉱石のアステロイド帯から出たヤマトを見たゴーランドは、

 

「うむ‥‥よし、破滅ミサイルのロックを解除しろ!!」

 

いよいよ切り札である艦首破滅ミサイルの発射準備に取り掛かった。

 

「全艦!!戦闘隊形FZ配置完了!!」

 

「破滅ミサイル発射準備!!」

 

「破滅ミサイル安全装置解除、発射準備良し!!」

 

「破滅ミサイル発射!!」

 

ゴーランドのミサイル艦隊からは、恐竜惑星プレオを破壊した超大型ミサイルがヤマトに向けて発射された。

 

 

宇宙戦艦 ヤマト 第一艦橋

 

「ミサイル接近します!!」

 

「なんとでかいミサイルじゃ‥‥」

 

破滅ミサイルの大きさを見て、ヤマトの乗員たちの誰もがその大きさに驚愕した。

あのバカでかいミサイルを一発でも食らえば、流石のヤマトはひとたまりもない。

相手が切り札を出してきたなら此方も切り札を出すまでだ。

 

「波動砲発射用意!!ターゲットスコープオープン!電影クロスゲージ明度20」

 

「タキオン粒子出力上昇」

 

「最終安全装置解除!!発射10秒前! 対ショック・対閃光防御!」

 

艦橋要員は波動砲の発射の際、起こる閃光から目を保護するために、保護用のゴーグルをかける。

 

「‥‥5‥4‥3‥2‥1‥‥波動砲、発射!!」

 

古代はスコープを睨みながら、波動砲のトリガー(引き金)を引いた。

その瞬間、艦首の発射口から眩い光と共に波動砲が発射された。

ヤマトから放たれた波動砲はまず迫りくる破滅ミサイルを飲み込み、次にゴーランド艦隊へと襲いかかる。

 

 

彗星帝国軍第一戦闘艦隊、特殊ミサイル艇師団 旗艦 ミサイル艦 ルーベルグⅢ 艦橋

 

「ぬぉ!!ば、バカな!!」

 

ゴーランドは自身に迫る閃光と破壊されてゆく破滅ミサイル、そして味方艦を見て、目の前の現実が信じられなかった。

 

「か、回避!!」

 

「だ、ダメです!!間に合いません!!」

 

「ぬわぁぁぁぁぁぁー!!」

 

断末魔の叫びを最後に、ルーベルグⅢを含むゴーランド艦隊は宇宙から消滅した。

 

 

宇宙戦艦 ヤマト 第一艦橋

 

ゴーランド艦隊を倒した後、

 

「どうして減少していたエネルギーが‥‥?」

 

島が突然のエネルギー回復の謎を口にする。

 

「エネルギーが回復しなければヤマトは今頃‥‥」

 

古代はエネルギーが枯渇したままの状態のヤマトの現在を想像した。

その結果はどう見ても、宇宙から消滅していたのは自分たちの方だったのは明白である。

 

「こんなこともあろうかと、アステロイドリングにエネルギー吸収装置をセットしておいたんだ」

 

真田がエネルギー回復のタネを教える。

 

「どういうことです?」

 

「つまりこういうことだ‥‥リングで相手の攻撃をさけつつ、エネルギーを吸い取る隕石から、ヤマトの中に逆にエネルギーを移し込んでいたんだ」

 

「そうだったんですか‥‥ありがとうございます。真田さん」

 

「なあに、技師長として当然の事をしたまでだ」

 

古代はヤマトを救った真田に礼を述べた。

 

テレザート宙域を守備するゴーランド艦隊を葬ったヤマトはようやくテレザートへと着いた。

すると、テレザート星表面に青いドレスらしい服をまとたった若い女性が、祈るような姿勢で浮かび上がった。

 

「古代、アレを見ろ!!」

 

操艦をしていた島がいち早く女性の存在を見つけた。

 

「テレサだ!!」

 

「あの人が‥‥」

 

「私はテレサ・・・・私の居る所は・・・・惑星・・テレザートの・・・・重力砦・・・・鍾乳洞の・・・・奥・・・・・私は・・・・たった一人で・・・・・」

 

テレサと名乗る女性の姿はその言葉を伝えると、スゥーッと消えた。

 

「事態は急を要するらしい」

 

ヤマトは全速でテレザートへ向かい、早速着陸準備を開始した。

だが、テレザートの周辺をあれだけの艦隊で警備していて、肝心のテレザート本星にまったく守備隊が居ないと言う訳もなく、テレザート本星には、彗星帝国ガトランティス軍のザバイバル将軍率いる陸上部隊がいた。

地上部隊はまず、基地に配備されていた飛行場から迎撃戦闘機のT‐2を発進させた。

T‐2はコックピット両脇の四門のフェーザー機関砲と、主翼前縁部の八門の光体機関砲、大型ミサイル発射菅を三門装備した戦闘機で、コスモタイガー同様、戦闘機にも対艦用の攻撃機にもなる戦闘機だった。

T-2の接近はヤマトのレーダーでも探知し、ヤマトの方もコスモタイガーを発進させ、迎撃にあたった。

続いて敵の陸上部隊は、かつて、冥王星に配備されていたガミラスの反射衛星砲に匹敵する長距離砲台とミサイルによる攻撃を行ってきた。

古代は斎藤率いる空間騎兵隊を地上まで降下させ、敵基地の制圧を要請した。

斎藤以下空間騎兵隊の隊員たちは、第十一番惑星での借りを返す時が来たので、皆は気合い、士気共に十分だった。

斎藤達空間騎兵隊が地上基地を制圧している間、ヤマトはテレザートの宙(そら)で戦った。

テレザート星で行われたこの艦載機戦でヤマトは、少なからずの未帰還機と数機の被弾機を出したが敵のT-2を全て撃墜した。

 

宙(そら)での戦闘が終わった頃、斎藤から通信が入った。

砲台基地の制圧には成功したが、敵は今度、大戦車部隊で応戦してきたので、多弾砲塔の要請を受けた。

古代、真田、アナライザーは組み立て式の多弾砲塔をテレザートへと運びこれにより、ザバイバル将軍率いる戦車部隊を壊滅させた。

ザバイバルは味方の戦車部隊が壊滅したのを見て戦意を喪失し撤退を図るがそこを斎藤が追撃した。

やがて、斎藤はザバイバルに追いつき、二人の部隊長はテレザートの地表で一騎打ちを行った。

その結果、ザバイバルは斎藤によって討ち取られた。

ようやく敵部隊を完全に制圧した古代たちはテレサの待つ、鍾乳洞へと向かった。

 

「すっかり廃墟とし化しているけど、すごい巨大都市だ‥‥」

 

古代はテレザートの廃墟を見渡しながら呟く。

 

「規模も凄いが、かつては現在の地球よりも進んだ文明があったにちがいない」

 

「どうしてこんな廃墟になっちまったんだ?」

 

「この徹底した破壊ぶりは戦争が原因としか考えられんな」

 

斎藤の疑問に真田は廃墟の破壊具合からテレザートが滅んだ原因を推察する。

 

「戦争‥‥いつ頃のことなんでしょうか?」

 

「もっとしっかり分析・調査してみないと、はっきりした事は言えんが、それほど遠くない過去と思う」

 

「我々が戦ってきた相手に攻撃されたと言う事ではないのですね?」

 

古代はテレザートが滅んだ原因が戦争によるもので、もしかしたら、その相手が彗星帝国なのかもしれないと思い真田に問うが、どうやら真田の見解では違う様だ。

 

「テレザート星世界の最終戦争だったのかもしれねぇぜ」

 

「文明がいくら高度に発達しても、それに伴って人間の精神も進歩しない限り、最終戦争の危険は常にあると言う事だ」

 

テレザートの廃墟を歩きながら、人間論について語っていると、ようやくテレサが居ると思われる鍾乳洞へと着いた。

しかし、その鍾乳洞の中にも敵が潜んでいた。

暗い鍾乳洞、氷柱の様な岩肌の障害物、そこに潜む敵兵。

それらの障害をかいくぐり、ようやく古代たちはテレサの下へと着いた。

互いに名を名乗ると、テレサはその場に島が居ない事に少しがっかりした様子で、島は来るのを待つと言う。

テレサと島は何度も通信を行ってきた仲であったのだ。

そして、島が来ると、早速テレサは例の白色彗星について説明をした。

テレサの話によれば、あの白色彗星はただの彗星ではなく、宇宙を巡り軌道上の有人惑星を侵略、植民地化して全宇宙を我が物にしようとする彗星帝国であり、あの白い火の玉の様な高速中性子の嵐と高圧ガスの中に人口の帝国がある事、そして、彼らの目的が地球である事、あと四日でこのテレザートに向かっている事を話した。

しかし、テレサにもあの彗星帝国の弱点までは知らなかった。

だが、所詮は人間が作った物、どこかに必ず弱点があると言った。

テレサの話はそこまでだった。

話が終わった後、古代、真田、斎藤は帰ったが、テレサは島に残ってほしいと言う。

残った島はテレサからある秘密を教えられた。

その秘密は、なんとこのテレザートを滅ぼしたのは自分(テレサ)なのだと島に打ち明けた。

彼女の祈りの力は反物質を操る力があり、彼女はテレザートで繰り広げられる戦争を悲観し、早期の終戦を祈ったが、逆にその祈りがテレザートを滅ぼす結果となり、彼女が望んだ終戦は違う形で訪れた。

それ以降、彼女はこの力を使う事に深い悲しみを抱き、もう二度と使わないと自身に決めた。

そして、白色彗星側にも地球側にも味方にならないと言い残し、テレサはテレザートに残ると言った。

 

 

テレサからの情報は全て超収束タキオン通信で地球へと送られた。

地球の方では当初、白色彗星と一連の侵略者はなんの関わりもないと思われてきたが、テレサの情報により、彗星と侵略者が関連している事が判明してその事実は連邦政府と防衛軍上層部を驚愕させた。

藤堂は早速対策をたてるべく、艦隊総司令の土方と白色彗星の動きを観測していた天体観測所の倉田博士を呼んだ。

そして彗星帝国と交戦経験のある良馬も呼ばれた。

 

「倉田博士、白色彗星の地球到達まであと100日と言うのは間違いありませんか?」

 

藤堂は彗星を観測していた倉田に確認をとる。

 

「はい。私の観測に間違いがなければですが‥‥」

 

「うむ、現有の戦力で対処は可能かね?土方君?」

 

「いや、アンドロメダ級戦艦が少なくともあと五隻は必要です」

 

「建造ペースは早めているが‥‥はたして間に合うだろうか‥‥」

 

現在、地球は軍の要請を受け、南部重工、月村造船の宇宙艦建造ドックでは、昼夜問わず、交代制で戦闘艦の建造を急いでいた。

土方の提言により、アンドロメダ級の量産も始まったが、二番艦の建造が今、四割強から五割、更にアンドロメダ級を凌ぐアンドロメダ・改級の戦艦の建造も並行して行われており、土方の言うアンドロメダ級の量産が間に合うのか藤堂には少し焦りがあった。

地球には建造に必要な宇宙金属が足りないのもその理由の一つであった。

次に敵の艦船についての検討となった。

その件については、敵艦を鹵獲した良馬が説明を行った。

第十一番惑星で鹵獲した空母と駆逐艦は良馬の実家である月村グループの月村造船へと運ばれ調査が行われた為である。

 

「調査にあたった技師の話では、敵の艦船は非常に高い技術力のもとに建造されており、砲撃の連射性能は防衛軍やガミラスを凌いでいます。更に敵の装甲板ですが、地球や太陽系の惑星にはない、未知の宇宙金属で、この金属は防衛軍が今現在、使用しているタキオンレーダーのタキオン波を吸収しやすく、検証した結果、我々が現在使用しているレーダーには若干映りにくい特性を持っている事が判明しました」

 

「なるほど、だから金星基地や帰還途中のヤマト、それに第十一番惑星基地の発見と対応が遅れたのか‥‥」

 

「はい。現在、技術開発部でこの装甲板を調査しており、反射しやすい電波の解析とレーダーの開発を急いでいます。次に火星付近で突如、ワープアウトしてきた不明船についてですが‥‥」

 

良馬は彗星帝国の艦船説明の次に今度は管理局の次元航行艦について、説明をした。

 

「装甲板を調べた結果、あの船は彗星帝国の艦船ではなく、またガミラスの艦船とも違う結果がでました。同一の物で、2199年に冥王星海戦での帰還途中に同じく火星付近に突然ワープアウトしてきたあの不明船とも装甲板の材質と作りが一致し、あの二隻の船は同一の星系のモノで間違いありません。それと先日の方の船ですが、破口のエネルギー残量から、彗星帝国の艦船から攻撃を受けたものだと判明しました」

 

「それで彼らの技術はどれくらいの物なのかね?」

 

藤堂が次元航行艦の性能を尋ねる。

 

「機関についてはっきり言える事は、我々防衛軍やガミラスのようなタキオン粒子機関を使用しているのではなく、まったくの未知の機関を使用していることしか現段階ではわかりません。何分、二隻とも肝心の機関部の損傷が激しいもので解析にはまだ時間が必要です。次に装甲板ですが、防衛艦艇のモノと比べるとかなり薄いです。ですが、あの船のクラスや型式が判明しませんので、楽観的な見解は禁物です」

 

「うむ」

 

「現在、搭載されていたメインコンピュターデータの復元を急いでいます」

 

「その不明艦についての処置は君の方に任せよう」

 

「はっ」

 

次元航行艦の処置は良馬に任せられ、再び鹵獲した彗星帝国艦艇の話に移った。

 

「長官この際、鹵獲した彗星帝国の艦船ですが、技術調査が終了した後は、修理改装して防衛軍艦艇に加えようと思っております」

 

土方が鹵獲艦船の使用方法を藤堂に提言する。

 

「艦隊運用の方は土方君に任せてある。好きにするといい」

 

本格的な防衛ラインや艦隊配置などの細かな設定は行われず、この日は解散となった。

 

その日の夜、中嶋家にある良馬の部屋で、良馬はギンガを待っていた。

良馬はギンガにどうしても聞きたいことがあったのだ。

やがて、

コン、コン、

と、部屋のドアをノックする音が聞こえた。

 

「どうぞ」

 

「こんばんは」

 

「待っていたよ、ギンガ」

 

ギンガに部屋にあるイスへ座るように勧め良馬はギンガに紅茶を淹れる。

 

「実は君に幾つか聞きたいことがあってね」

 

「聞きたいこと?何でしょう?」

 

「先日の火星付近での事なんだが‥‥」

 

「‥‥」

 

良馬が切り出した火星付近で起きた管理局の次元航行艦救助の事を聞き、ギンガは少し沈んだ顔をする。

 

「ごめん、嫌な事を思いださせてしまったね。でも、蒸し返すつもりはないのだが、どうしてもギンガ、君に確認し、訊ねたいことがあるんだ」

 

「大丈夫です。あの事は私なりにもう区切りはつけていますので‥‥」

 

ギンガの様子を見ながらも、これから自分は更にギンガに対し、辛い事を訊ねなければならないと思うと、我ながらひどい奴だと思う良馬だった。

 

「それじゃあ、聞くけど、先日火星付近で遭遇し、救助した艦‥‥あれは間違いなく以前、君が所属していた組織、時空管理局の艦で間違いないんだね?」

 

「はい。あれは間違いなく管理局‥‥本局の“海”と呼ばれる部隊が正式採用しているXV級の次元航行艦で間違いありません」

 

「管理局が使用する艦にはどのような種類が有るんだい?」

 

「大きく分けて二つです」

 

「二つ?」

 

「はい。先日私たちが遭遇した次元航行艦と次元巡航艦です。防衛軍の艦船に例えるなら、次元航行艦が戦艦、巡航艦が巡洋艦にあたります」

 

「空母や駆逐艦、護衛艦は存在しないのか?」

 

「はい。管理局は戦闘機と言うモノを有しませんから。航空機らしいものは地球でも同じ、ミッドの空を飛ぶ貨客用の飛行機と輸送ヘリぐらいです。管理局は基本的に魔法主義で質量兵器‥‥銃刀等の所持は禁止していますから。もちろんビーム兵器も質量兵器に相当します」

 

「ミッドの人は皆、魔法を使えるの?」

 

「いえ、むしろ、魔法が使える人の方が少ないかもしれません」

 

ギンガの説明を聞き、管理局とギンガの世界、引いては所属していた時空管理局について、疑惑を持つ良馬。

魔法が使える人間が少ないにも関わらず、魔法以外の武器の使用を禁止している時空管理局。

それで、魔力を持たぬ大勢の人たちを守る事ができるのであろうか?

魔法が使えると言う特権を優越して、魔法が使えない人からの反乱などを恐れるあまり、魔法以外の武器の保有を禁止しているのではないだろうか?

魔法の力を持たぬ人が多いのならば、その人達に武器が渡れば、魔導師は数において劣勢になる

それにあの艦の乗員の中に紅葉や桜花と同じくらいの少年、少女の遺体も含まれていた。

管理局が、警察か軍隊の様な武装組織ならばその組織が有している艦船ならば、客として乗っていたわけではないだろう。

となれば、管理局は魔法が使えれば、歳など関係なく、危険な任務や仕事に従事させていると言う事になる。

ガミラス戦役時、まだ18~19歳の若者を大勢失い、彼らを守る事が出来なかった良馬が言えた事ではないかもしれないが、あまりにも酷い職務体制であり、酷い組織の様にも感じる。

ブラック企業も良い所だ。いや、下手をしたらブラック企業よりも酷いかもしれない。

 

(昔、八神堂で読んだことのある小説「ゼロの○い魔」の様な世界だな‥‥あの小説の作中にも高校生くらいの少年、少女たちが魔法を使えると言う理由で戦場へ送られる場面もあったし‥‥それに魔法が使えると言う事だけで貴族と言う特権階級で魔法を使えぬ者を平民と呼び、好き勝手に振舞っていたからな)

 

ギンガの説明を聞き、良馬は管理局のあり方にますます疑問を感じた。

 

ギンガから先日遭遇した艦が時空管理局の艦だと確認をした良馬は、ギンガに今回のメインである内容を尋ねた。

 

「ギンガ」

 

「はい」

 

「以前。君に宇宙戦士を続けるか辞めるかを聞いたよね?」

 

「は、はい」

 

「実はギンガが眠っている時に、リニスにも同じような質問をしたんだけど‥‥」

 

「‥‥」

 

良馬は質問の内容を一度区切り、ギンガに真剣な表情で訊ねる。

 

「ギンガは、もし、地球と管理局が戦う事になった時、ギンガは戦える?管理局と‥‥?」

 

「えっ!?」

 

ギンガは良馬の質問の内容に体を硬直させた。

 

「あの‥‥それってどういう事ですか?」

 

震える口調でギンガは良馬に訊ねる。

防衛軍は自分の知らぬ間に、管理局と戦闘状態に突入したのだろうか?と、さえ思ってしまった。

 

「いや、あくまで可能性だけど、ギンガの話を聞く限り、時空管理局の仕事は本星であるミッドチルダの治安維持とロストギアと呼ばれる古代遺産の回収と管理世界と呼ばれる同盟国の治安維持だよね?」

 

「はい」

 

良馬は敢えて管理世界を植民地とは言わなかった。

仮にもギンガが以前所属していた組織であり、彼女の故郷でもあるためであった。

しかし、ギンガの話から管理世界なんて聞こえはいい様に取り繕っても、管理世界=植民地と言うイメージが拭えなかった。

 

「もし、自分たちよりも優れた技術を持っている者たちの存在を見つけた時、彼らはその存在を無視できるかな?」

 

「それは‥‥」

 

ギンガにはその答えを否定する事が出来なかった。

だが、おそらく管理局は自分たちよりも強力な力や技術を持つ世界と言うモノは絶対に認めないだろう。

“陸”に所属していたギンガは、“海”のそう言った実態を何度も見てきた。

その最たるものが、魔力を有した人員を次々と“陸”から“海”へと引き抜いていく行為だった。

優秀なモノは自分たちの懐に入れる。

それが不可能ならば、どんな犠牲を払ってでも、そのモノをこの世から消滅させる。

それが管理局の本質なのかもしれない。

ギンガが見る限り、防衛軍を始めとし、この世界で正式採用されている波動エンジンは管理局の“海”としては是が非でも欲しい技術だろう。

それにショックカノンに波動砲。

ギンガ自身もヤマトのイスカンダルへの航海記録を見てその威力には言葉が出なかった。

管理局の切り札とも言えるアルカンシェルなんて比べものにならない威力を持つ高エネルギー砲。

管理局の局員が波動砲や波動エンジンの性能を見たらどう思うだろう?

おそらくロストギアに認定または質量兵器所持の容疑をかけそれらを押収するだろう。

その後はこの地球を管理世界に加えようとする。

だが、そんな行為を防衛軍が許すわけがない。

地球連邦の大原則は、他の世界を侵略せず、他の世界からの侵略を許さず‥である。

そうなればその先にあるのは、地球とミッド‥‥防衛軍と管理局との戦争である。

防衛軍は管理局を侵略者と認定して、自衛の為に戦い、管理局は管理局で、防衛軍を自分たちに弓を弾く敵と認知し、正義の名の下、武力制裁、鎮圧に乗り出すだろう。

しかし、ギンガの見解では、管理局の次元航行艦では、防衛軍の艦船には勝てない。

自分の目の前で管理局の次元航行艦が防衛軍の波動砲の餌食になるかもしれない。

その中には、もしかしたら妹のスバルやその親友のティアナ、顔なじみの八神一家、命の恩人であるフェイトも含まれるかもしれない。

だが、良馬の言う通り可能性だが管理局の仕事上ありえない訳ではない。

現にこうして管理局の次元航行艦が偶然かもしれないが、太陽系に姿を見せたのだ。今度は、無傷の次元航行艦が現れるかもしれない。

そしてその結果、先程自分が恐れている未来が来てもおかしくない。

もし、そうなった時、自分は戦えるだろうか?

スバルやティアナ、フェイトやはやてをこの手で殺すかもしれない。

しかし、この世界の地球が管理世界入りしたら、桜花や紅葉は間違いなく管理局に徴兵される。

それは、当然自分もだ。

その一方、父や良馬は防衛軍軍人と言うことで、管理局に身柄を拘束され、刑務所に収監される事だってあり得る。

それに自分がこの世界に来たきっかけである例の窃盗団の事件。

あの事件が、管理局側の‥‥ジュリオの仕組んだことだとしたら、今度は確実に自分の息の根を止めようとしてくるだろう。

 

「‥‥」

 

ギンガは回答に困った。

 

「‥‥」

 

ギンガが返答に戸惑っている中、良馬は静かに紅茶を飲みながらただジッと待った。

部屋にはチッ、チッ、チッ、チッと、置き時計の秒針を刻む音だけが聞こえる。

一体どれだけ、時間がたっただろうか?

長く待った様な気もするし、短かった様な気もする。

やがて、ギンガの中で答えが出た。

 

「戦います」

 

ギンガは、先程まで迷っていた瞳ではなく、あの時、同じ質問をした時のリニス同様、迷いのない瞳をしていた。

 

「私にとって、この世界はもう故郷なのです。それに私は防衛軍の軍人ですから、大切な人を守るために戦います。例えそれがかつて所属していた組織が相手でも‥‥」

 

「‥‥」

 

(すまない‥‥ギンガ‥‥)

 

良馬は可能性とは言え、ギンガに辛い選択をさせた事に心の中で謝罪した。

重い話を終えた後、良馬はギンガがからお誘いを受けて部屋のベッドの上で良馬はギンガを押し倒し、やがて二人の影は一つになった。

仮とは言え、身内を殺すかもしれないと言う話をしたのだ。

ギンガとしてはそれを上回る事で忘れたかったのだろう。

それは良馬の方も同じで、可能性とはいえ、彼女に前の世界の自分の家族や親友を殺すかもしれない選択肢を突きつけたのだから‥‥。

 

 

 

ヤマトがテレザート宙域に滞在中、アンドロメダ星雲~テレザート星間のある宙域では、

 

「出力レベルアップ」

 

「了解、出力レベルアップ」

 

「出力120%」

 

「出力120%へアップ」

 

「動力弁20~25までをオープン!!スイッチオン!!コース右に13度修正」

 

「了解、コース修正、右13度」

 

テレザートに向けて、進撃中の白色彗星はそれまでの速度から一気に加速してテレザートへと迫った。

その速度は恒星間航行速度の数倍の速度であり、テレサが言った日数よりも数日早くテレザートへ到着する予定となった。

 

 

宇宙戦艦 ヤマト 第一艦橋

 

テレザートに居るヤマトに地球から通信が送られた。

 

「ヤマトがテレサから受け取った情報は、敵の細かい部分について尚不明のままだが、もうこれ以上、座して待つわけにはいかない‥‥地球防衛軍としても全力をあげて白色彗星の阻止に起ち上がる事になった。ついては、ヤマトもその艦隊の一隻として、戦線に復帰してもらいたい‥‥ただちに地球へ帰還してくれ」

 

「わかりました。ヤマトは直ちに地球へ帰還します」

 

「うむ、待っているぞ」

 

藤堂からの招集命令を受け、ヤマトはこれより地球へ向かい、地球連合艦隊へと合流する事となった。

島は出航する際、少し顔を頷かせた。

テレサから白色彗星が此処に来ると伝えられた時、島はテレサにヤマトへの乗艦ないし、テレザートからの脱出を勧めたが、テレサはイスカンダルのスターシアの様にテレザートに残る意思を曲げなかった。

スターシアも滅びゆくイスカンダルからの脱出は決して行わなかった。それはイスカンダルの女王としての誇りからくるものだった。

出航準備が整った中、新米が白色彗星の速度に変化が現れた事を真田に報告した。

真田の見解では白色彗星は翌日にはテレザートに来ると言う。

そんな速度では、ヤマトが地球へ向かう途中に追いつかれてしまう。

ヒアデス星団は沢山のアステロイドや小惑星等の障害物が多く、星団の宙域に居る限り、大ワープは不可能だった。

どんなに頑張っても白色彗星が現在の速度を維持する限り、ヤマトはどんなに頑張っても、追いつかれるしかし、ヤマトの皆は沖田艦長の鉄の意志を引き継ぐ様に諦めることなく、全速で地球を目指した。

ヤマトが必死にテレザート星系からの脱出を図っている頃、テレザートからある場所へ、通信が送られた。

その場所とは、例の白色彗星だった。

意外にも彗星帝国側はテレサの通信を受け、返答を行った。

相原がその通信を傍受し、スピーカーへと繋いだ。

 

「ズォーダー‥‥直ちにテレザートへの進撃を中止しなさい」

 

テレサの口調には僅かながらも怒気が含まれていた。

 

「それはできん。旅は我が祖先の遺志だ。過去から未来永劫へとつづく、彗星帝国ガトランティスの心なのだ」

 

「貴方がたの論理はどうであれ、この様な行為は宇宙の営みを破壊するものです」

 

「さて、それはどうかな?」

 

「この宇宙に命を得た者は、皆等しく生きる権利を持っています。いかなる星も他の星によって破壊させられたり、侵されることがあってはなりません」

 

「テレサ、忠告は承っておこう」

 

ヤマトの乗員達はここに来て初めて彗星帝国の国家元首の声を聞き、名前を知った。

 

「この宇宙は、我がガトランティスの遠大な旅の為にある。全宇宙は我が故郷!!」

 

「それは違います。ズォーダー」

 

「テレサよ、宇宙の秩序は力によって築かれる。宇宙の法は私なのだ。この私の力こそが、全宇宙に調和と秩序を齎すのだ!!」

 

ズォーダーの信念はあまりにも独裁的で、簡単に言うと、自分勝手、自己中心的であった。

 

「愚かしい思い上がりです。ズォーダー‥いいでしょう。貴方がこのまま侵略を続けると言うのであれば‥‥」

 

「どうするというのだ?テレサ?」

 

「私の命に替えても‥‥あなた方を阻止します!!」

 

テレサはその言葉を最後に、白色彗星との通信を切った。その時のテレサの顔は何かを決意した顔をしていた。

サーベラーはズォーダーとテレサとの通信のやり取りを聞き、憤慨し、彗星の速度を更に上げる様に命令した。

 

「我が帝国を阻止する‥‥か。果てして出来るかな?テレサ、反物質を操るお前の力は、確かに強大なものだ。しかし、その力でテレザートは滅ぼせても我が帝国を滅ぼせるかな?お前の身体そのものが反物質で構成されているというのならば、話は別だろうがな‥‥」

 

テレサが操る反物質とは一体何か?

通常、身体をも含む、世界を構成する物質は『常物質』と呼ばれている。

それに対するもう一つの世界を構成する物質。

それが『反物質』である。

そして『常物質』と『反物質』が接触した時には『対消滅』と呼ばれる現象が起こる。

その現象はとてつもなく強大な爆発エネルギーが発生し、何もかもが消滅してしまう。

今までのテレサが見せた不思議な現象、そしてテレザートを滅ぼした力はその対消滅によるものだった。

彼女はその対消滅の力加減を調節できる能力を有していたのだ。

 

白色彗星はテレザートまでもう目と鼻の先に近づいた。

その時、テレザートに変化が現れた。

テレザートの星表面にテレサの姿が現れた。

その姿は大きく手を広げ、白色彗星を受け止めようとしているかのように見えた。

その直後、テレザートは白色彗星を道連れに自爆した。

テレサはヤマトがテレザート宙域を脱出する時間と距離を稼いだのだ。

テレザートの爆発による凄まじい閃光が晴れた後、そこには、何も無く、白色彗星はテレザート共に消滅。

地球は救われ、宇宙の平和を乱す危機は去ったかと思われた。

しかし、肝心の白色彗星は消滅せずに存在していた。

テレザートの自爆とテレサの力を受けた白色彗星の中にある要塞都市の一部を破壊するだけに終わった。

それはズォーダーの卓越した指揮によるもので、彼が愚鈍な国家主導者だったら、ここで彗星帝国の旅は終わっていただろう。

そう考えると、ズォーダーは無能な独裁者では無かった。

だが、地球側にとっては無能な独裁者であって欲しかった。

 

テレサの命をかけた行為は一見無駄に終わったように見えた。

だが、彗星のコースは大幅にズレ、要塞都市内の機関部に大規模な損傷を受け、彗星の速度も落ち、周りを取り囲む白色ガスも薄れていた。

テレサの命をかけた挑戦は白色彗星に大きな打撃を与えた。

それはヤマトにとっても地球にとっても計り知れない大きな助けとなった。

しかし、白色彗星は再び体制を建て直し、地球を目指して進むにちがいない。

地球と白色彗星との戦いはまだ続くこととなる。

 

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