星の海へ   作:ステルス兄貴

48 / 294
フェイトちゃんとティアナがピンチに‥‥


三十九話 土星圏  遭遇するもの 遭難するもの

 

地球防衛軍が木星圏で彗星帝国残党軍と激しい砲火を交えて居る頃、

 

時空管理局所属、次元航行艦、テリオスも新人研修の真っただ中にいた。

 

その最中、

 

「艦長、本部より緊急伝です」

 

「うむ」

 

通信士から本部より発せられた緊急電文を読むテリオスの艦長の表情は険しいものとなった。

 

そこへ、フェイトがブリッジにやって来た。

 

フェイトは艦長の険しい顔を見て、艦長に話しかける。

 

「艦長、どうかしましたか?」

 

「ハラオウン執務官、之を‥‥」

 

そう言って艦長は先ほど自分が読んでいた緊急伝が書かれた紙をフェイトに手渡す。

 

「‥‥これはっ!?」

 

緊急伝の内容を見たフェイトは思わず声をあげる。

 

その紙には、

 

『管理局、第37探査部隊消息不明』

 

と言う内容が書かれていた。

 

(カリムの予言はこの事を指していたのかな?)

 

と、出発前に聖王教会の知り合いから読ませてもらった予言の内容を思い出した。

 

フェイトはこの緊急伝に書かれている第37探査部隊消息不明事故があの予言なのだと思った。

 

「どう思いますか?」

 

「‥‥今回の研修、予定を繰り上げた方が良いかもしれませんね」

 

既に研修の主だった内容は終了しており、残りの部分に関しては本局のシミュレーションで行っても十分差支えがない為、遠洋での研修はこれで打ち切った方が良いのではないかと言う提案をフェイトはした。

 

「そうですね‥安全を考慮して此処までにしましょう」

 

フェイトの提案にテリオスの艦長も賛成し、艦内放送にて事情を説明し今回の研修を繰り上げて、今日で研修を終了とし、テリオスは本局への帰還航路へとついた。

しかし、その帰路の途中で突然、非常を知らせるアラームがテリオスのブリッジに鳴り響いた

 

コンソールを操作したオペレーターが緊迫した声を上げる。

 

「本艦周辺に次元震感知!震度AAAクラスです!!」

 

「何っ!?」

 

「次元震、約三分後には本艦到達します!!」

 

「いかん!!通常空間に一時転移してやり過ごす!!転移用意!!」

 

「了解!!」

 

突然の次元震により、テリオスは通常空間に待避した。

 

乗り切れない程の次元震ではないが、万が一艦に損傷やトラブルが起きては大変なので艦長は退避をする選択をした。

 

この時はテリオスに乗っている者たち全員が、次元震及び次元乱流が収まればまた通常航路に復帰し、何の問題もなくミッドに戻れるとばかり思っていた。

 

だが、破綻は唐突に訪れた‥‥。

 

 

時系列は少し時間を戻し、まほろば、ヤマトの両艦が土星圏手前まで来た時、地球からの緊急伝が入った。

 

その電文の発信者がなんと、あのガミラスの総統のデスラーでその内容が、

 

『ガミラス星が爆発・消滅したことでイスカンダル星が軌道を外れ暴走したため、イスカンダル星に住んでいるスターシアと古代守を共に救って欲しい』

 

と、言うものらしい。

 

 

「確かにデスラーからの通信なのか?」

 

「間違いありません。何度も確認しましたから‥‥」

 

古代の問いに相原がデスラーからの通信文である事に間違いない事を伝える。

 

イスカンダルには古代の兄、古代守が女王スターシアともに暮らしていた。

 

しかし、ヤマトは現在作戦行動中で命令もなく勝手に戦列から離れる訳にもいかない。

 

だからといってイスカンダルが危機に晒されようとしている中、何もしないという訳にもいかない。

 

ガミラス戦役からのヤマト乗員はイスカンダルへ行くべきだと主張しているが、艦を預かる古代としては私情で動かすわけにもいかなかった。

 

更に今のヤマトは彗星帝国の残党軍一掃の作戦行動中‥‥

 

その最中、無断でイスカンダル救援へ向かう事は出来ない。

 

今回の件はあくまでイスカンダルの危機なので、前回の白色彗星の時の様に地球が新たな侵略者に狙われているかもしれないので、その真相を確かめる為、テレザートへ向けて脱走した時とは訳が違う。

 

無断でイスカンダルへ救援に向かえば、人としては正しい行為かもしれないが軍人としてそれは間違った行為となる。

 

「古代、すぐ行こう!守とスターシアを救いに‥‥」

 

真田も親友‥そして地球の恩人の危機にイスカンダル救援を主張する。

 

「‥‥」

 

古代は決断を下せないまま一度、艦橋を降り、自室のベッド脇に置いてある写真立てに手を伸ばす。

 

「兄さん‥‥」

 

古代の視線の先には、防衛軍の艦長服に身を包んだ兄、古代守の写真が入って居り、古代はその写真をジッと見ていると、ドアをノックする音が聞こえた。

 

古代は咄嗟に写真立てを毛布の中に隠す。

 

「誰だ?」

 

「私よ」

 

一声かけた後、古代の部屋に雪が入ってきた。

 

「古代君、早く行ってあげないと‥‥」

 

「私情で艦を動かすわけにはいかない」

 

雪は真田同様、イスカンダルへ向かうべきだと主張するが、古代は正式な命令も出ていない現在、勝手に任務を離れてイスカンダルへと向かう訳には行かないと言う。

 

白色彗星戦役時には命令を無視してテレザートを目指した古代であったが、今回は地球の命運にかかわる事では無いので、命令を無視してまで、イスカンダル救援へ向かうか向かわざるべきかを悩んでいた。

 

古代とて、イスカンダル‥兄の守や義姉であるスターシアの事が気になっているが、今はまだ太陽系内にいる彗星帝国の残党軍の方が地球にとって脅威なのだ。

 

地球‥そしてイスカンダル‥‥古代の心境はまさに板挟みであった。

 

そんな古代に雪は、

 

「私情じゃないわ!!地球はイスカンダルに大変な恩があるのよ!!」

 

と、強く説得する。

 

「‥‥‥」

 

「あのコスモクリーナーが無かったら地球は放射能に覆われて私たち地球人は滅んでいたわ。このヤマトだってスターシアさんの協力があったからこそ建造出来たのよ。何を迷っているの?古代君」

 

古代が俯き雪の説得を聞いていると艦内放送が入り、古代は第一艦橋へと戻った。

 

五分後には両艦の首脳陣が艦橋に集まり、受信内容について合同協議が始まった。

 

「まず、古代君はこの通信をどう思う?」

 

良馬は、スクリーン先の古代に問う。

 

固有名詞こそないが、宛先はヤマト‥‥そして古代だと言うことは明白であった。

 

しかし、送り主がデスラーであることがまずこの通信の信憑性を賛否両論させる結果となっている。

 

現在、地球とガミラスは正式に終戦条約を結んでいない為、事実上の休戦状態。

 

地球防衛軍は再建が端緒についたばかり。

 

古代曰く、デスラー総統はもう地球やヤマトに戦争を仕掛けてくるとは考え難いと言うが、最悪の場合、罠という可能性もゼロではない。

 

しかし、その一方で、イスカンダルがデスラーの言うとおりの状態なら、地球としても到底見過ごす訳にはいかない。

 

まずはこの通信の信憑性を確かめる必要がある。

 

このメンバーの中というより、地球人でデスラー総統と直接相対したのは古代と雪だけ‥‥。

 

信憑性を判断できるとすれば地球上では、この二人しかいない。

 

しかし、古代は躊躇しなかった。

 

「この内容は信用できると思います」

 

古代の言葉に雪も頷く。

 

「何故、そうと言い切れる?」

 

「方法の是非はともかく、デスラーはガミラス民族の存続を最優先に考える人物です。地球に対して行った事は明らかに許されない事ですが、先日の戦闘で、デスラーは、敵だった俺の前で、白色彗星に身を寄せていたことを含めて、自らの過ちを認めました。地球の歴史を振り返っても、一国のリーダーが自ら過ちを認めるということは、そう簡単にできるものではありません。ましてや敵対していた相手の前で‥‥デスラーは確かに独裁者であり絶対君主ですが、同時に誇り高い武人であり、自らを省みる度量も兼ね備えています。ですから、私はこの通信の内容を信じます」

 

古代の言葉に雪も頷く。

 

「そうか‥‥わかった」

 

良馬は、デスラーからの電文の内容が真実に近い事を地球防衛軍本部へと伝える。

 

すると、本部から返信が来た。

 

藤堂もデスラーの通信を信じ、まほろば、ヤマトにイスカンダル救援を命じた。

 

しかし、太陽系からイスカンダルへ向かう方法が一番の課題となった。

 

いくらヤマトがイスカンダルへの道のりを知って、今回はガミラスの妨害もなく、ワープ航法の技術があると言っても今の地球のワープ技術では限界があり、イスカンダルのある宙域に辿り着いたとしても、その時には全てが終わっている可能性もある。

 

それはイスカンダルの消滅‥‥

 

引いては今、イスカンダルに居るスターシアと古代守の死を意味していた。

 

「その件については、大丈夫だ。山南君、説明を‥‥」

 

「はっ。デスラーは我々が超長距離ワープ技術を持っていない事を知っている。その為だろう‥通信の末尾に圧縮されたデータとして、超ワープ機関の概念図がつけられていた」

 

「デスラーが!?」

 

「おそらくガミラスでも最高の軍事機密に属するものの筈だ‥‥」

 

デスラー(ガミラス)の行為に驚く古代と良馬。

 

「幸い、ガニメデ基地には、すぐに改修に取り掛かれる新型の第二次世代型の超ワープ実験デバイスがある。まだ有人テストは完了していないが、ガミラスの技術を組み合わせれば、実用可能な連続ワープ機関として使用できるかもしれん」

 

「成程、確かにそれならば可能ですね‥‥山南司令、テストの完了予定は何時頃なんですか?」

 

「うむ、改修点は多そうだからな、残念ながら、未知数としか言いようがない。だが、そのまま旅立つよりははるかにましな筈だ。ヤマト、まほろば の両艦は、イスカンダルへの旅立ち準備を行いつつ、予定通り土星圏までの宙域確保の任務を続行してくれたまえ。此方はその間に総力をあげて超ワープ実験デバイスの改修に取り掛かる」

 

「了解しました」

 

こうしてヤマト、まほろば の両艦は土星圏宙域確保の後、イスカンダル救済へ向かう事が決定した。

 

 

宇宙戦艦 まほろば 艦橋

 

「通信長」

 

「はい」

 

「艦内マイクを‥‥」

 

「どうぞ」

 

「乗組員諸君、艦長の月村だ。皆、木星圏で初めての実戦を経験し、乗り切ったようで、新人の皆はこれで晴れて宇宙戦士の仲間入りとなった。本艦とヤマトはこの後、土星圏の宙域確保の任務を行う。その後、突然ではあるが、イスカンダルへの遠征任務につくことになった」

 

良馬のイスカンダルへ向かうと言う言葉に新人は戸惑った。

 

「これはガミラスのデスラー総統よりもたらされた情報だが、ガミラス星が突然爆発・消滅した」

 

更に地球の宿敵とも言えるガミラス星の消滅と言う事にも‥‥

 

「ガミラス星が消滅した結果、重力バランスが崩れ、二連星の片割れであるイスカンダル星が本来の軌道を維持できず暴走し始めた。諸君らも知っての通り、イスカンダル星・ガミラス星ともに、星としての寿命は尽きかけており、星自体がいつ崩壊するか予断を許さない状況だ。今更言うまでもないが、イスカンダルのスターシア陛下は地球に生きるもの全ての恩人である。連邦大統領は、アンドロメダの進宙式にて、『地球は宇宙の平和を守るリーダーである』とおっしゃった‥‥地球の恩人の危機に駆け付けずにいて、『平和を守るリーダー』と、名乗る事すらおこがましい。故に我々は土星圏の宙域確保の任務の後、ヤマトと共にイスカンダル救援へと向かう」

 

そして、一息入れ、

 

「なお、今回のイスカンダル救援任務の際は、ガミラス軍との共闘も考えられる。ガミラスとデスラー総統に対しては、これまでの宿縁から、絶対に許せないと思う者が多いだろう」

 

ガミラスの事を話す良馬の脳裏にも、遊星爆弾で命を落とした大叔母であるすずか、冥王星海戦で散った恭介や一‥‥大勢の戦友たちの顔が次々と浮かんでくる。

 

「だからこそ敢えて言う。デスラーを‥‥ガミラスを許せとは言わないが、恨みや憎しみを決して表には出すな。我々がガミラスを恨んでいるのと同じように、ガミラスもまた、祖国を焼野原にし、家族や友人、恋人を大勢殺したヤマトを始めとする我々地球人を憎み恨んでいるだろう。だが、今回のイスカンダル救援任務はそんな負の感情を表に出していては互いに足を引っ張る形となり、間違いなく失敗する。辛いかも知れないが、イスカンダルを救う為だと割り切ってくれ‥‥もし、どうしてもガミラスとの共闘が我慢できないと言う者は、退艦を許可する。以上だ‥‥」

 

良馬は艦内放送を終え、艦橋を見渡す。

 

艦橋要員は皆、覚悟を決めた目で良馬を見ている。

 

どうやら艦橋要員の中には退艦する者は居ないようだった。

 

まほろば、ヤマトはイスカンダル救援の前にまずは土星圏の宙域確保があるので、そちらを先に片付ける事とした。

 

(そう言えば、大山さんが土星圏に向かっていたが、如何していただろうか?無事に木星圏まで避難できたのだろうか?)

 

良馬は、先日ドックで会った大山が土星圏に仕事で向かうと言う話を思い出し、大山の身を案じた。

 

 

「土星圏へ到着しました。予定航路との誤差は0.002‥‥充分に許容範囲です」

 

「波動エンジン異常なし」

 

「艦の損傷も認めず」

 

「星名も操艦がだんだんと手慣れてきたじゃねぇか」

 

「は、はい!!ありがとうございます」

 

永倉が星名の腕が上がってきたことを褒め、星名は嬉しそうだった。

 

そしてふと、星名が窓の外を見ると、

 

「っ!?‥‥あ‥あ‥‥ああ‥‥!!」

 

突如、彼は震えた声を出す。

 

「どうした?」

 

「外を‥‥外を見てください!!」

 

永倉が艦外へと視線を移すと其処には沢山のデブリが漂っていた。

 

「地球連合艦隊と彗星帝国の決戦跡か‥‥」

 

デブリの山は防衛軍艦艇、彗星帝国艦艇の残骸の山だった。

 

未だに全てを回収できずに、土星圏を漂っているのだ。

 

「これが‥‥前の戦いの‥‥」

 

「ああ‥‥土星圏を絶対防衛ラインに設定した土方提督が立てた作戦プランだった‥‥」

 

永倉が星名に土星圏での戦いを大まかに語る。

 

(土方さん‥‥)

 

良馬はその話を聞きながら、土方の最後を思い出していた。

 

「ほんの一ヵ月前の事なのに何だか、随分昔の様にも思えてくるぜ‥‥」

 

「でも、私たちはあの尊い犠牲を無駄にせず、そして決して忘れてはなりません」

 

永倉の言葉にギンガが、いくら年月が経とうとも、あの戦いの事を‥‥。

 

あの戦いで戦死していった大勢の宇宙戦士たちの事を忘れてはならないと言う。

 

センチメンタルな空気となったが、直ぐに作戦任務の為、雰囲気を切り替え、土星圏を注意しながら航行する まほろば と ヤマト。

 

「まもなくタイタン軌道に到達します。周囲に敵影なし」

 

新見が周囲に敵影が無い事を報告する。

 

「敵影なし‥‥うーん‥‥此処に集結していた艦隊は全部木星圏に出張って来たのでしょうか?」

 

星名が良馬に質問する。

 

「いや、まだ安心するのは早いよ。土星圏が重要拠点なのは、敵も味方も同じはず‥‥何せ、土星の衛星群には、豊富な量の宇宙金属資源やデブリの山が有る。敵が無防備のまま放置しておくわけがない」

 

良馬は、この土星圏には必ず敵が潜んでいると断言する。

 

そして、それは直ぐに現実のものとなった。

 

「どうやらその様です。今、敵影を複数確認しました」

 

「っ!?総員戦闘配置!!」

 

「ん?‥これはっ!?‥‥艦長!!」

 

良馬が戦闘配置を命ずると、ギンガが良馬に声をかける。

 

「どうした?」

 

「微弱な通信信号を敵方向からキャッチしました!!信号が弱くて、音声受信が出来ませんが‥‥」

 

「敵の通信波を傍受しているんじゃないのか?」

 

「いえ、信号の種類が二つありまして、一方は‥‥防衛軍のものです!!」

 

「もう一方は?」

 

「‥‥わかりません。ですが、彗星帝国でもガミラスの通信波でもありません」

 

「敵方向から味方の?それにもう一方からもガミラスでも彗星帝国でもない通信‥‥」

 

「レーダーでも捕えました。通信波は衛星タイタン付近からです!!」

 

新見が通信場所の特定をした。

 

それは、何と土星衛星タイタンの近くからだった。

 

「タイタンから?」

 

「しかし、土星圏は、今は敵の勢力下‥‥なんでそんな所から防衛軍の通信が?」

 

「防衛軍の生き残りがタイタンにいるのか‥‥?それとも敵の罠か‥‥?」

 

井上が通信者の正体が、味方が救援を求めているのか、それとも敵が占拠したタイタン基地から通信を送っている敵の罠なのか、疑問視する。

 

「敵も今の通信を傍受しているかもしれません。通信が味方からならば、敵をタイタンに近づけてはなりませんし、逆に敵の罠であれば、我々がタイタンに近づくのは得策ではありません。ですが、どちらにせよ、今は目の前の敵を倒さなければ、話になりません。タイタンに近づかず、そして同時に敵をタイタンに近づけないようにして戦えば‥‥」

 

星名が指揮官らしい最もな意見を述べる。

 

「おっ?いっちょまえに指揮官らしい口ぶりだな」

 

永倉がそんな星名にニッと笑みを浮かべながら語り掛ける。

 

「あっ、いえ‥‥そんな‥‥」

 

星名は出過ぎたマネをしてしまったと、思ったが、

 

「上出来って事だ。気にするな。むしろ、胸をはっていいくらいだぜ」

 

「は、はい」

 

両艦は戦闘宙域に突入した。

 

「通信長」

 

「はい」

 

「もう一方の通信が何者からなのか、探査してくれ」

 

「了解」

 

戦闘を行いつつ、良馬はギンガにもう一方の通信の配信者の正体を探らせた。

 

 

土星圏 

 

ここで、時系列は冒頭に戻る。

 

次元震の影響で通常空間へ浮上した管理局の巡航艦、テリオス。

 

 

時空管理局 次元巡航艦 テリオス ブリッジ

 

「通常空間を確認!!」

 

「現在地を確認せよ」

 

「そ、それが‥‥」

 

艦長が現状を確認する様にオペレーターに命ずる。

 

すると、オペレーターが気まずそうに口よどむ。

 

「どうした?」

 

「次元震の余震の影響か、機器が上手く作動しません」

 

機器を操作していたオペレーターが次元震の影響で機械が故障した事を報告する。

 

「なにっ!?すぐに修理にかかれ!!」

 

「りょ、了解」

 

早速修理作業にはいるオペレーターの姿を見ながらフェイトはふと窓の外を見る。

そこにあったのは‥‥

 

「あれはっ!?もしかして‥‥土星?」

 

フェイト目には小、中学校次代を地球で過ごした折、理科の教科書に載っていた。

 

太陽系の惑星の中で唯一変わった形をした惑星、土星の姿が映った。

 

「応急修理で何とかしましたが、やはり帰還後、念のためドックの技師に見てもらった方が良いかもしれません」

 

応急修理が終わったのか、オペレーターが艦長にそう報告する。

 

「うむ、分かった。では、早速現在位置の測定を急げ」

 

「了解」

 

オペレーターが現在地の測定をしようとした時、

 

テリオスのレーダーが此方に高速接近する船影を捉えた。

 

「後方に複数の艦船反応!高速で接近してきます!」

 

艦長の表情が強張った。

 

友軍艦艇にしては速度があまりにも速すぎる。

 

「接近してくる艦船に所属と目的を質せ!総員警戒配置だ。急げっ!」

 

「はっ!」

 

操舵士と通信士が艦長の指示をすぐさま実行した。

 

フェイトの顔にも緊張の色が窺える。

 

「接近中の艦船、此方の呼びかけに応じません!」

 

通信士が悪い報告をする。

 

続いて観測員が、映像データが取れたことを知らせ、ディスプレイに映し出した。

 

「あ、あれはっ!?」

 

「宇宙‥戦艦!?」

 

ブリッジの全員が愕然とした。

 

その中でもフェイトは見慣れた艦影があるのを見つけた。

 

それは以前、義兄のクロノと共にテレザートで見たあのミサイル搭載艦だった。

 

「なんで‥‥なんで、プレオを破壊した艦がこんな所に‥‥?」

 

フェイトが小さく呟くがその声は誰の耳にも入らなかった。

 

「大型艦は推定で全長300m以上。中型艦も約130m以上。いずれも巡航速度が速く、このままでは追いつかれます!」

 

観測員が推定データを読み上げる。

 

艦長は苦渋の表情を浮かべながら、今出来ることを指示する。

 

「総員戦闘配置に切り換える。全砲門スタンバイ!本部に緊急電を送れ!」

 

「はい!!」

 

ブリッジが騒然としている中、フェイトはディスプレイに映る艦船を睨みつけていた。

 

(あれは間違いなく、プレオを破壊し、私たちがテレザートで見た艦と同型の艦‥‥)

 

そして、以前自分たちが見た艦影と今、目の前に映っている艦が同型だと言う確信を得ると、

 

「艦長、あの艦船ですが、以前プレオを破壊し、クラウディアがテレザートで遭遇した、ミサイル艦隊と同じ勢力のものだと思います」

 

艦長がフェイトの方に振り返り、質問する。

 

「その話は私も聞いています。だとすれば、一連の遭難事件の犯人と言うことですか?」

 

「その可能性は十分考えられます」

 

フェイトの話を聞き、艦長はしばし考えた後、決断した。

 

「反転だ。艦首を接近してくる艦船に向けよ!アルカンシェルの発射準備をしろ!!」

 

接近する艦船が敵対行動をとる可能性が高いならば、相応の対応をとるしかない。

 

次元震で緊急転移は使えない。

 

何としても自力で活路を切り開くしかないのだ。

 

しかし、その決断は、あまりにも遅すぎた。

 

「敵艦発砲!!」

 

「障壁展開!全員、何かに掴まれ!」

 

ブリッジにいたフェイトも手近な物をしっかり掴んだが、一瞬後に襲ってきた衝撃は皆の予想を上回るものだった。

 

直撃らしく、全員が吹き飛ばされた。

 

「被害状況を報告しろ!」

 

頭から血を流しながら席に戻った艦長が被害状況を把握しようとした。

 

「アルカンシェル全壊!艦首部、大破しました!!」

 

「アルカンシェル使用不能!!」

 

もたらされた報告は悲観的なものだった。

 

防御障壁を簡単に破られて直撃弾を浴び、最大の武装だった魔導砲『アルカンシェル』は敵の先制攻撃で破壊され、艦の前半分は機能を失っていた。

 

「敵艦左右に展開しつつ接近!包囲されますっ!」

 

観測員が最悪の報告をもたらした。

 

次元航行艦は本来、それぞれの次元世界に赴いて次元犯罪の取り締まりやロストロギア探索及び回収の司令部機能や輸送等のために建造されたもので、艦船同士の砲撃戦をするために建造されてはいない。

 

時空管理局の歴史上、宇宙空間での艦船同士の戦闘がない訳ではないが、敵方の艦船も管理局が保有する次元航行艦と大差ない武装だった為、殊更戦闘に特化した艦船を建造する必要がなかったのだ。

 

しかし、一連の次元航行艦の遭難事件が続く中、クロノをはじめ、テレザート宙域での対艦戦闘を目撃した者、クロノの意見に賛同した局員らは対艦戦闘用に特化した艦艇の必要性を訴える者も出始めていたが、未だにJS事件に伴う時空管理局内部の混乱で管理局は新型艦船の建造に遅延が起きていた。

 

艦体前半部を大破したテリオスは火煙を噴き出しながらも、左右に障壁を展開して被害の拡大を防ごうとした。

 

フェイトが最も恐れたのはプレオを破壊したあの超大型ミサイルだった。

 

しかし、敵はそのミサイルを使用せずに、ビーム砲を物凄い連射速度で撃って来た。

 

これはこの艦隊を率いているミルが、現状では補給が見込めないミサイルを決戦前に無駄な消費を防ぐ為にミサイル艦に攻撃に関してはミサイルは極力使用するなと命令していた為であった。

 

「障壁展開しました!」

 

「敵艦さらに発砲!」

 

次の攻撃は先程よりも距離が近い分、貫通力は十分以上にあった。

 

しかも敵はそのビーム砲は物凄い連射速度で撃ち込んでくる。

 

管理局の艦の障壁はその連射速度に耐え切れなかった。

 

それ故に、折角張った障壁も何の意味もなさず、先程とは比較にならない凄まじい衝撃と爆発がブリッジを襲い、クルーは全員が吹き飛ばされ、薙ぎ倒された。

 

「フェイトさん!!」

 

フェイトが意識を失う前、自分の名を呼び、自分に覆いかぶさろうとしたオペレーターの姿が目に映った。

 

 

「うっ‥‥ぐっ‥‥」

 

一時の失神からフェイトは意識を回復した。

 

(意識はある‥‥目も耳も大丈夫‥‥身体の痛みもそこまでは重傷じゃない‥‥大丈夫みたいだ‥‥)

 

被弾による衝撃で投げ飛ばされたが、視力、聴力は問題なく、身体の彼方此方は痛いが、骨折はしておらず、出血もかすり傷程度で大したことはなく打撲だけの様だ。

 

起き上がろうとしたフェイトだが、そこにオペレーターの女性局員が覆いかぶさっていた。

 

「だ、大丈夫!?」

 

フェイトがオペレーターの女性局員に声をかけると、

 

ヌチャ‥‥

 

ねっとりと粘性のある液体がフェイトの手に着いていた。

 

「えっ‥‥?」

 

それは真っ赤な血で、その血の主は他ならぬ、今自分に覆いかぶさっているオペレーターの女性局員が出している血であった。

 

「しっかり!!しっかりして!!」

 

フェイトは慌てて声をかけ、身体を揺するが、オペレーターの女性局員はフェイトの言葉に答えず、ぐったりしている。

 

その身体の下は血の海と化していた。

 

当然フェイトの服にも彼女の血がべっとりと付着している。

 

迫り来る瓦礫と衝撃からフェイトを庇い、彼女の背中や腹部には金属片が深々と突き刺さっており、血はそこから流れ出ている。

 

呼吸はしているので、生きてはいるが、彼女は内臓を損傷している。

 

腹部の損傷は、放置すれば胸部のそれよりも死亡率が高い。

 

特に大動脈と大静脈の損傷ではまず助からない。

 

十年前に起きた 高町なのは 墜落事件時も彼女は大動脈を外れていたから一命をとりとめたのだ。

 

もし、あの時、大動脈に致命傷を受けていたら、恐らく なのは は助かっていなかったか体に重い後遺症を残していただろう。

 

それにあの衝撃だ‥恐らく肋骨も何か所か骨折しているだろう。

 

「ふぇ‥‥イト‥さん‥‥?」

 

オペレーターの女性局員は弱々しく声を出す。

 

「よかった‥‥まっていて、直ぐに救急箱を‥‥」

 

「わ、私は‥‥もう‥‥」

 

「そ、そんな事は無いよ!!諦めないで!!」

 

フェイトは必死に声をかける。

 

「フェイト‥‥さん‥‥怪我は‥‥?」

 

「大丈夫、貴女が庇ってくれたおかげで、怪我は大したことないよ。貴女も直ぐに手当てを‥‥」

 

「‥‥そ、そう‥‥ですか‥‥よ‥‥よかっ‥‥た‥‥」

 

「しっかりして!!目を開けて!!」

 

オペレーターの女性局員はゆっくりと目を閉じ、二度と目を開けることもフェイトに声をかける事もなかった。

 

「‥‥」

 

人の死を眼前で見たフェイトは何も言えず、ただ唖然とする。

 

フェイトの周囲‥テリオスのブリッジは原形を留めぬまでに破壊つくされ、あちこちから煙や火花が飛び散っているブリッジの姿があった。

 

そしてその周囲には手足が変な方向に曲がったり、身体の彼方此方が千切れて息絶えているブリッジクルーの姿があった。

 

「フェイトさん!」

 

背後からの声に振り向くと、バリアジャケットを展開したティアナが煤まみれの姿で此方に駆け寄って来た。

 

彼女の手足にもかすり傷があり、小さな出血が見られる。

 

「ティアナ?」

 

唖然としていたフェイトはティアナの声で我に返る。

 

「フェイトさん、怪我は!?」

 

「私はなんとか‥ティアナは‥‥?」

 

「私も大丈夫です。ここで動けるのはどうやら私たちだけのようですね‥‥」

 

「ティアナ、この子の治療を‥‥」

 

「フェイトさん‥‥残念ですがその人は‥もう‥‥」

 

ティアナは唇を噛みながら悔しそうに言う。

 

「‥‥」

 

魔法は確かに凄い力であるが、万能ではない。

 

そんな事は今までの経験から分かって居る筈だ。

 

フェイトは自分に喝を入れるように言う。

 

「ティアナ、他に生存者がいないか、すぐ確かめて。ここは私が引き受けるから」

 

「は、はい!!」

 

ティアナは急いで生存者を探しに出た。

 

へたり込みたいのはフェイトも同じだった。

 

何が、管理局の将来を担うエースだ。

 

目の前で同僚が死に、今も自分を含めて部下のティアナも危険な状態である事は変わりない。

 

(私は何もできない‥‥)

 

(私は無力だ‥‥)

 

そんな中また着弾したのか、艦全体が突き上げるような衝撃に襲われる。

 

ティアナどころか自らの命の危機なのだが、フェイトには何もかもが他人事のように思えた。

 

一方、艦内に他の生存者を探しに行ったティアナは‥‥

 

「どうして‥‥どうして、こんな‥‥こんな事にっ!」

 

瓦礫を避けながら他の生存者を探し求めているが、ことごとく息絶えているか、心肺停止状態になっている。

 

生存者を探す為、艦内を走っているティアナは涙を流す。

 

つい先刻まで談笑していたクルーが、もう物言わぬ骸と化している。

 

これ程大量の死に直面したのは初めてだ。

 

できるなら全員助けたかった。

 

しかし、最早叶わない。

 

せめて、まだ生きていると思われる者だけでもと蘇生措置を施すが、息を吹き返す様子はない。

 

諦めきれない。

 

へたり込みたい。

 

泣きわめきたい気持ちを必死に抑え、手遅れだったクルーの蘇生を諦め、ティアナは艦内を駆けずり回り、生存者を探すが、結局他の生存者は見つからず、フェイトのいるブリッジへと戻る事にした。

 

ブリッジに戻る途中、通信室の通信機が反応をしていた。

 

通信室で息絶えている通信士はテリオスが襲われた直後に救難信号を送り、その後、通信士が息絶えても自動で救難信号は送られていた。

 

「これはっ!?」

 

そしてその通信は何処かに受信されており、何者かが此方に通信を送っている様子だった。

 

ブリッジの通信機能は既に破壊されていたが、もう一つの通信機能はまだ生きている。

 

救援が来てくれたのかもしれない。

 

ティアナはフェイトにこの事を知らせようと急いでブリッジへと駆け戻った。

 

「フェイトさん!」

 

ティアナの叫ぶような声に、フェイトは我に返った。

 

「ティアナ、生存者はいたの?」

 

「いえ、残念ながら‥‥」

 

「そう‥‥」

 

フェイトは残念そうに顔を伏せる。

 

「それより、此方が発信した自動救難信号に対する応答があります!」

 

まさか、こんなところを航行している宇宙艦船が他にいるというのか?

 

もしかして管理局が‥‥友軍が、味方が来てくれたのだろうか?

 

それとも偶然この周辺を哨戒していたのだろうか?

 

どちらにせよ、このままでは死を待つだけだ。

 

一途の望みをかけて、フェイトはティアナと共に床の残骸を避けながら通信室に向かった。

 

あれだけの攻撃を受けたにも関わらず、通信室の通信装置は奇跡的に動作していた。

 

しかし、通信士のクルーはコンソールに突っ伏すように息絶えており、フェイトはクルーを座席からおろし、胸の上で手を組ませた。

 

フェイトはしばし瞑目して頭を垂れてから、通信機に向かった。

 

通信機からは多少のノイズがあるが、明瞭な女性の声が聞こえてくる。

 

「こちら、地球防衛軍所属、宇宙戦艦、まほろば。貴艦からの救難信号を受けた。応答は可能でしょうか?可能ならば返答をされたし、繰り返す――」

 

それは何処かで聞いた覚えのある声であったが、今のフェイトにはそれが誰だったのかを思い出す余裕はなかった。

 

 

ここで時系列は再び時間を少し巻き戻す。

 

木星圏での戦いで艦隊司令官であるザイゼン提督らを半ば見捨てる様にして土星圏まで辿り着いたミル分艦隊。

 

このままおめおめと第十一番惑星基地に帰る訳にはいかない。

 

帰るにはそれなりの戦果を上げなければならない。

 

そんな中、土星衛星タイタンの付近にて、待ち伏せを行う事にした。

 

土星圏は地球側も欲している事は知っているし、我が軍(彗星帝国)としても資源確保の拠点として土星圏は何としてでも押さえておきたい宙域である。

 

もしかしたら、土星圏確保のために援軍を送ってくれるかもしれない。

 

そんな思いを抱いてデブリの中に隠れていたが、ミルの期待は裏切られた。

 

土星圏に来たのは、援軍ではなく、彗星帝国にとっては、宿敵とも言えるヤマトとそのヤマトよりも大型の戦艦だった。

 

更に自分たちの後方‥‥タイタンの近くにて、何かが通常空間に浮上する反応を捉えた。

 

映像で見てみると、其処には今まで見てきた地球の戦闘艦とは違う艦が浮上してきた。

 

ミルはこの浮上してきた艦を地球軍の新型艦だと思い込み、あの新鋭艦を沈めれば、十分な戦果として、十一番惑星基地へ戻れると思い、自分が座乗する戦艦とミサイル艦に突如、出現した地球防衛軍の新鋭艦と思しき艦(実際は管理局の次元航行艦)に攻撃命令を下した。

 

そして巡洋艦と駆逐艦には、ヤマト攻撃を命じた。

 

完全に巡洋艦と駆逐艦は貧乏くじである。

 

 

宇宙戦艦 まほろば 艦橋

 

ギンガはタイタンの方向から送信されている防衛軍でないもう一方の通信波を解析していたが、それが漸くわかった。

 

「艦長、この救難信号ですが、先日の『時空管理局』の難破船と全くの同一パターンです」

 

「わかった。此方からも呼びかけるんだ!」

 

「了解」

 

(やれやれ。また、時空管理局か‥‥)

 

何故こんな所にと言う疑問が浮かぶが、まずは現場を確認するのが先だ。

 

「坂井隊長!!」

 

「はい」

 

「コスモタイガー隊緊急スクランブル!!彗星帝国残党軍に襲われている艦がある!!直ちに救助に向かってくれ!!」

 

「了解!!対空・対艦戦闘装備の許可を願います」

 

「許可する!!通信長!!」

 

「はい」

 

「ヤマトに打電!!ヤマトはタイタン方面の防衛軍通信波の発信源へ向かってもらい、当艦は、もう片方の通信発信源に向かう旨を打電しろ!!それから管理局の艦にも救援に向かうと通信を送れ!!」

 

「はい!!」

 

ギンガはヤマトに打電した後、管理局の艦にも救援へ向かう旨を通信した。

 

管理局艦に通信を送ってから約数分後、

 

「管理局艦から応答がありました。音声信号です!」

 

ギンガが入電した音声信号をスピーカーへと繋ぐ。

 

「こちら、時空管理局所属、次元航行艦、テリオス。所属不明の数隻の艦船の攻撃を受け、艦は大破し、航行不能状態です。救助をお願いします!!」

 

管理局の艦からの応答は意外に若い女性の声だった。

 

声を聞く限り、緊迫してはいるが、まだパニックに陥らず、落ち着いていられるようだ。

 

「了解。現在そちらの現場に最大船速で急行しています」

 

ギンガはこの女性の声を聞き、「まさかっ」と思いつつもそれを表に出さず、忠実に職務を全うした。

 

「機関長、機関全速!!」

 

「機関全速!!」

 

 

次元巡航艦 テリオス 通信室

 

一方、通信を受け取ったテリオスのフェイトは、救助が来たことに安堵しつつも、通信機の向こうから聞こえてきた声の内容に耳を疑った。

 

『地球防衛軍』――?

 

どういうことなのか?

 

そもそも、第97管理外世界こと「地球」に、宇宙戦艦を運用する組織など存在しない筈‥‥。

 

と言うよりも、宇宙戦艦を建造できる技術力さえ無い‥‥。

 

「フェイトさん?」

 

一瞬思考が停止したフェイトを、ティアナが現実に引き戻した。

 

気を取り直したフェイトは通信装置に向き直り、応答を始めた。

 

応答してくれた艦が本当に地球の船なのかはともかく、自分たちを救助しようとしているのは事実だ。

 

このままここにいても、待っているのは確実な『死』しかない。

 

生き延びるためには、あの艦――地球防衛軍――に賭けてみるしかない――。

フェイトはそう決心した。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。