星の海へ   作:ステルス兄貴

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映画版でもハーゲルがいれば、あの様な結末にはならなかったのかもしれませんね。


六十話 蛸壺‥‥もとい、自動要塞ゴルバ出現

 

 

「地球の戦艦よ、お見事な戦いぶりだった」

 

比較的落ち着いた男の声が響いたかと思うと突然映像回線が開かれ、モニターには一人の人物が姿を現した。

 

「「‥‥」」

 

モニターに現れたのはこれまで見たことがない顔立ちの男性らしき人物。

一応、人の形はしており、その顔面にはちゃんと両の眼、鼻、口もある。

しかし、髪の毛が一本も生えていないスキンヘッドと白粉を塗りたくった様に白い肌にまるで悪魔系ビジュアルバンドみたいな黒い眼元の色合い‥‥。

20世紀のオカルト、UFOブームの時に最も有名な宇宙人とされた『グレイ』と呼ばれる宇宙人に似ている人物だった。

 

「私は暗黒星団帝国・マゼラン方面軍総司令官のメルダースだ」

 

「お前たちがイスカンダルを攻撃したのか?」

 

古代がメルダースに噛みつくような口調で訊ねる。

 

「そうだ。イスカンダルは、我ら暗黒星団帝国が略取する!!我々の目的はイスカンダルの地下物質に含まれるイスカンダリウムだ!!これ以上余計な邪魔立ては許さん!!」

 

メルダースは堂々とイスカンダルを侵略すると宣言した。

 

メルダースの通信は医務室でもモニターされていた。

 

「‥‥」

 

「何てことを!!」

 

ティアナは憮然とした表情になり、フェイトは憤りの声を上げる。

 

(力が全てだというのか!?この暗黒星団帝国も‥‥!!)

 

これまでの見聞で艦艇の性能は地球防衛軍やガトランティス、ガミラス等とほぼ同レベルにあるようだ。

つまり、管理局の艦船では太刀打ちできない。

何としてもミッドに戻らねばならない理由がまた一つできてしまった。

 

(ここまで堂々と率直に言われると逆に清々しいな‥‥)

 

良馬がメルダースを直視しながら口を開いた。

古代は様々な経験をして、だいぶ丸くはなったものの、まだ成人したてであり、本質はまだまだ熱血漢のままである。

しかも肉親が絡んでいては、平静ではいられまい。

それはガミラス側も同じだ。

母星消滅の原因の一端が今、目の前に居るのだ。

懸命に爆発を抑えているのだろうが、相手の本音を聞かないまま早々に決裂するのはまずい。

そこで、家柄上、社交辞令で鍛えられた良馬がメルダースの相手をした。

 

「小官は、地球防衛軍、宇宙戦艦 まほろば、艦長の月村良馬です。メルダース司令にお聞きしたい」

 

「なんだ?」

 

「イスカンダルの地下資源はイスカンダルに住む者がまず使うなり管理する権利がある筈です。採掘にあたり、貴官はイスカンダル住民代表者‥この場合、女王のスターシア陛下になりますが、彼女の同意は取り付けたのでしょうか?それに採掘したイスカンダリウムを何に使用するのか、差支えなければ、ご説明を願いたい」

 

良馬の問いにメルダースは小馬鹿にした表情を浮かべ答えた。

 

「住民と言っても、もはや女王夫妻の二名しか住んではいないではないか。そんな事に何の意味があると言うのだ?」

 

メルダースは如何やら古代守とスターシアの間に双子の赤ん坊が生まれている事を知らない様子。

まぁ、仮に知っていてもイスカンダルの住人が二人から四人に変わるだけで大した変化はない。

 

「人数の多少の問題ではありません。たとえ一人だろうが、そこで生活している者がいるのなら、使用目的を説明し、十分議論して、互いにメリットがある形で同意した上で採掘すべきだと言っているのです。それとも、使用目的を言ったら拒否されるから無断で採掘しようとするのですか?」

 

メルダースの意見に対し、良馬もすかさず反論する。

 

二人のやり取りをモニターで見ていたフェイトたちは表情を変えた。

 

(フェイトさん、何か遠まわしに管理局のロストロギア収集の事を言われているみたいですね)

 

(うん、私もそう思ったところ。なんか耳が痛いよ)

 

時空管理局のロストロギア収集にあたっては、所有者に対しては誠意を尽くし、金銭的補償を含めた説得や現場周辺の住民とのトラブルを避ける事が義務づけられているが誤解や説明不足等からトラブルになり反管理局の感情を持たれてしまったケースも少なからずある。

管理外世界の場合に至っては管理外世界と言う理由だけで強奪同然に持ち出されるケースもあった。

フェイトもそう言う現場に居合わせた経験があり、現地の住民たちから怨嗟の目を向けられ、小さな子供から『ドロボー!!帰れ!!』『俺たちの世界から出て行け!!』と言われ、投石された苦く辛い記憶を思い出した。

 

「それとイスカンダリウムの使用についてだな‥‥本来は貴公らに説明する義務はないのだが、まあ、我が艦隊を撃破した手際に敬意を表そう」

 

「それはどうも」

 

「イスカンダリウムは現在、我が帝国が進めている宇宙間戦争に必要なエネルギー触媒なのだ」

 

「成程、宇宙間戦争ですか‥‥して、その戦争は余所から攻められてやむにやまれず戦争をしているのですか?それとも、敵対する星間国家を攻め滅ぼすためですか?」

 

「滅ぼすつもりはない。我が帝国の傘下に入ってもらうためだ。そのために我々にはイスカンダリウムがどうしても必要なのだ。それさえ手に入れば、イスカンダルには用は無い。お前たちは即刻立ち去れ!!」

 

メルダースは、『何当たり前の事を言っているんだ?お前は?』という表情をしながら言う。

 

「ふざけるな!どこの宇宙かは知らないが、戦争のためのエネルギー源なんかを採掘させてたまるか!」

 

そこに古代が憤りの声を上げた。

まぁ、あの直情家なら当然か‥‥

 

「そうか‥‥あくまで邪魔立てしようというのならば‥‥お前たちが救おうとしている、イスカンダルのあの二人に攻撃を開始する‥‥」

 

メルダースはイスカンダルのスターシアたちを人質にして、ヤマト等をこの宙域から追い出そうとした。

 

「それでも我々と戦おうと言うのか?この自動要塞ゴルバと‥‥十分間だけ猶予を与える。その間に立ち去れぃ!!」

 

向こう側も此方との戦闘を望んでいない様にも思えるが、このままみすみすイスカンダリウムを暗黒星団帝国に採取させる訳にはいかない。

 

デスラーたちの方はどうであろうか?

今の所、ガミラス艦隊に動きは無い。

 

(暴発しなければいいが‥‥)

 

良馬は未だ動きがないガミラス艦隊をチラッと見る。

そのガミラス艦隊旗艦ゲルバデスの艦橋では、デスラーが怒りを露わにしてゴルバを睨んでいた。

 

「ゴルバ‥‥あれが我がガミラスを破壊した敵艦隊の母艦か‥‥タラン!!」

 

「はっ!!」

 

「我が母なる星、ガミラスの恨みを晴らす時が来たぞ!!全艦、ゴルバに向けて突撃せよ!!」

 

デスラーの命令一下、ガミラス艦隊は母星の仇を討つべく動き始めた。

 

「ガミラス艦隊に動きがありました!」

 

「何!?」

 

やはりデスラーの怒りは限界点を超えていた様だ。

 

「ヤマトからデスラー総統に制止の通信を入れていますが‥‥」

 

「ダメか?」

 

「はい」

 

(やはり無理か‥ともかく我々はやることをするだけだ‥‥)

 

「戦艦と空母からは艦載機が発進しています!!」

 

新見が驚いた声を上げて報告する。

ガイペロン級多層式航宙母艦のブリウドからは、空間艦上戦闘機DWG109 デバッケ、ガリウドからは空間艦上攻撃機DMB87 スヌーカ、レリウドからは空間雷撃機FWG97 ドルシーラが発艦し、ポルメリア級強襲航宙母艦からは、戦闘攻撃機DWG229 メランカが発艦し、ゼルグート級一等航宙戦闘艦、ガイデロール級航宙戦艦、メルトリア級航宙巡洋戦艦からは、空間駆逐戦闘機DDG110 ゼードラーIIと空間格闘戦闘機DWG262 ツヴァルケが発艦し始めている。

ランベアとミランガルも同様に艦載機隊を発艦させている。

 

「デスラー!!早まるな!!」

 

古代はデスラーの行動を止めにかかった。

 

「ヤマトよ‥‥古代よ‥‥忘れたのかね?ここから地球までの距離は14万8千光年‥‥だが、大宇宙を席巻しようとする者たちにとっては、それは僅かな距離でしかない。放っておけば、君たちの美しい星、地球にも、こやつらの魔の手は直ぐに伸びて来よう‥‥」

 

確かにデスラーの言う通り、奴らはペテルギウスまでその魔の手を伸ばしてきていた。

デスラーの言う事は間違いではない。

 

「もう一度言う。お前は忘れたのか?あの白色彗星帝国の電光石火の侵略を?‥‥お前は忘れたのか?‥‥我がガミラスと地球との血塗られた戦いを!?古代、ヤマトの義務は地球を‥‥地球に住む全生命を守る事ではなかったのかね?宇宙の平和こそが、ヤマトの意思ではなかったのかね?」

 

デスラーからヤマトの存在意義を問われ、ヤマトの乗組員たちは皆、黙ってデスラーの言葉に耳を傾ける。

 

「私は行くぞ。ヤマトの意思と同じように、私と我がガミラスの意思は、我らが兄弟星、イスカンダルを守る事だからだ!!」

 

「デスラー‥‥」

 

デスラーの言葉を聞き、改めてヤマトの存在意義を認識させられると、ヤマトの乗組員たちはデスラーと共にゴルバと戦おうと言う決断を下した。

勿論、まほろば の乗員も同じだった。

 

「ふふふふ‥‥向かってくるか、このゴルバに!!身の程知らずの愚か者めが‥‥」

 

メルダースは不敵な笑みを浮かべ、混成艦隊を待ち受ける姿勢をとった。

 

「敵要塞より、艦載機多数が発進してきます!」

 

ゴルバからは艦載機反応があった。

しかし、ゴルバの下部から出てきた艦載機の反応は異常だった。

 

「ちょっと待って下さい!!これは‥‥艦載機にしては大きすぎます!!エネルギー反応、大きさ、共に駆逐艦サイズですよ!!」

 

「なんだって!!」

 

「自動要塞ゴルバの手足‥‥暗黒星団帝国が誇る自動攻撃艇テンタクルスだ!!この偉大なる手にからめとられ、永劫のもとに還るがよい!!」

 

 

【挿絵表示】

 

 

メルダースは射出したテンタクルスの性能に絶対の自信を持っており、此方の勝利が揺るがないモノだと信じていた。

 

ヤマト、まほろば の二艦もコスモタイガーを緊急発艦させ、ゴルバの艦載機隊と戦闘にはいった。

テンタクルスはコスモタイガーとゼードラーⅡ、デバッケ、ツヴァルケの戦闘機隊が相手をし、その間を縫ってメランカとドルシーラがゴルバに対して水平雷撃を行う。

そして、ゲルバデスに搭載している瞬間物質転送機にて、ゴルバの直上へと転移したスヌーカがゴルバに対し急降下爆撃を行う。

しかし、折角の命中弾もゴルバの分厚い装甲で無効化されてしまった。

 

「攻撃が全て跳ね返されている‥‥」

 

「な、なんて要塞だ‥‥」

 

ゴルバの余りにも分厚い装甲を見て、フェリシアと星名は驚愕する。

 

「恐らくさっきの戦艦と同じ偏向バリアをはっているのだろう‥‥しかも、何倍も強力なモノを‥‥」

 

「それじゃあ、また雷撃戦を仕掛けますか?」

 

「いや、無駄だろう‥‥あの要塞の装甲が余りにも厚すぎる」

 

良馬がゴルバを睨みながら、プレアデスと同じ戦法は使えないと言う。

実際にレーザーではない実弾攻撃を行っているスヌーカ、ドルシーラ、メランカの攻撃を受けてもダメージが全くないのだ。

 

「それに艦長、ゴルバの装甲は砲座やミサイルランチャー部分を除いて、接合部分が見当たりません」

 

ゴルバの装甲表面をサーチしていた新見が結果を報告した。

あんな巨大構造物を一切接合部分無しでどうやって建造したのか解らないが、少なくとも地球よりは優れた技術であり、直線部分がほとんど見当たらない程の分厚い装甲ゆえ、命中しても弾かれてしまう。

形は変だが、確かに防御に適した形状をしている。

しかも駆逐艦サイズのあの攻撃艇‥‥。

まるで全身が武器の塊の様な機体で、パイロットが乗るスペースが有るのかと言う疑問さえ湧いてくる。

そんな中、

 

「うわっ!!」

 

まほろば の第一艦橋がテンタクルスの攻撃を受け被弾し、航海長の長倉が負傷する。

 

「大丈夫か!!航海長!!」

 

「消火器を持ってきてくれ!!くそっ!!」

 

永倉は負傷した手の傷口をもう片方の手で抑えながら言う。

 

「操舵席のパネルがイカレちまったか‥‥!!星名!!操舵機能をそっちに渡すぞ!!」

 

「りょ、了解」

 

「くそ、こんな時に‥‥」

 

永倉に変わって星名が、まほろば の操舵を行った。

 

ゴルバ本体には損傷を与えられないが、ゴルバの艦載機隊には多数の被害を受けていた。

 

「何をやっているのだ‥‥」

 

指揮官席のメルダースは苛立ちを隠せずにいた。

迎撃に発進させたテンタクルスの損耗が予想以上に高い。

パイロットの腕もそうだが、地球、ガミラス艦艇の対空砲火、対艦砲火も激しい。

 

「α砲発射準備!!」

 

「はっ!!α砲発射準備!!」

 

ゴルバは自身の切り札を出そうとしていた。

 

「敵要塞に高エネルギー反応!!二万‥‥三万五千‥‥五万!!どんどん上がっています!!」

 

新見がゴルバに高エネルギー反応を見つける。

 

「気をつけろ!!その数値が確かなら、波動砲クラスの超破壊兵器かも知れんぞ!!」

 

良馬が警戒を促す。

 

「敵要塞に超収束エネルギー反応!!‥‥反応が強すぎてどの部隊を狙っているのか分かりません!!」

 

新見がゴルバから超収束エネルギー砲の発射を探知した。

 

「全部隊、現在地より全速離脱!!急げ!!」

 

良馬が全艦に離脱を告げる。

 

「α砲発射準備完了!!」

 

「発射!!」

 

その瞬間、ゴルバから超収束エネルギー砲が発射された。

敵要塞から放たれた超高エネルギー砲は、テンタクルスと共にガミラス艦隊へと襲い掛かった。

直撃を受けたガミラス艦が次々と爆発四散していく。

 

「被害状況をまとめろ!」

 

「損傷のひどい艦は放棄。総員退艦させろ!艦長もだ!!」

 

「‥‥」

 

タラン以下の幕僚が友軍の被害状況把握に奔走する中、デスラーは敵要塞、ゴルバを睨み付けていた。

 

「な、何て威力だ‥‥」

 

「あれが‥‥敵要塞の主砲!!」

 

α砲の威力を見て、ヤマト、まほろば の乗員は唖然とする。

 

「どうだね?我が暗黒星団帝国の誇るウラリア式自動要塞ゴルバの主砲‥‥α砲の威力は?フフハハハハハハっ!!」

 

テンタクルスに次ぐゴルバの切り札を出し、メルダースは高笑いをする。

 

 

宇宙戦艦 まほろば 第一艦橋

 

「アイツら、味方諸共吹き飛ばしやがった」

 

永倉が味方である筈のテンタクルス諸共攻撃を仕掛けてきたゴルバに対し、驚きと怒りを露わにしたが、

 

「待って下さい」

 

其処に新見が待ったをかけた。

 

「あの攻撃艇‥‥近・中距離に特化した性能を持つ攻撃艇なのですが、あの動きから見て恐らく完全自動制御の攻撃艇だと思われます」

 

「それじゃあ、あれは無人?」

 

「はい。人が乗っていない分、加速度による重力が無視されているので、機動性が高く、明らかに近距離では此方が不利でしょう」

 

無人なので、人的被害は無い。

だから、敵はテンタクルスごとあの大口径の主砲を撃てたのだ。

しかもパイロットが乗って居ないのであれば、無茶な操縦も平気で行える。

ゴルバがテンタクルス諸共α砲を発射した理由とテンタクルスの特異な動きの理由が判明した。

 

「ガミラス艦隊、後退します!」

 

ゴルバに向かっていたガミラス艦や艦載機が一斉に後退する。

当然、コスモタイガー隊もガミラス艦載機隊と共に一時後退する。

代わって前進してきたのはデスラー座乗の戦闘空母、ゲルバデスだった。

空母の飛行甲板の一部が下降したかと思うと、横になった円筒状の物体が迫り出してきた。

 

「ガミラス艦隊から、デスラー砲発射の注意勧告です!」

 

ギンガがデスラーからの通信内容を報告する。

白色彗星帝国が建造したノイ・デウスーラより口径は小さいが、集束率はヤマトの波動砲を上回っているため、あるいはゴルバに致命傷ないし、ゴルバを破壊できるかもしれない。

やがて、デスラー砲の砲口に閃光が煌めき、光の剣が暗黒の要塞に真っ直ぐ伸びていく。

すると、ゴルバ全体が白く光ったかと思うと、デスラー砲のエネルギー弾を中和するように鈍く発光し、やがて、何事もなかったかのように佇むゴルバの姿がそこにあった。

 

「総統、デスラー砲が‥‥」

 

「ゴルバには何の変化もありません」

 

「くっ、デスラー砲が‥‥我がデスラー砲がまったく効かぬとは‥‥」

 

デスラーもタランもガミラス艦隊の切り札であるデスラー砲がゴルバに致命傷どころか、傷一つつけられなかった事実に唖然とする。

 

「ハハハハハハ‥‥そんな石ころの様なエネルギー弾がこのゴルバに通用すると思っているのか?」

 

今のは、波動エネルギーを中和する特殊フィールドかバリアのようだ。

デスラー砲が通じなかったと言う事は、恐らくヤマト、まほろば の波動砲でも通じないだろう。

 

「砲口をイスカンダルへ向けろ!!」

 

メルダースは遂にイスカンダルへの直接攻撃を開始しようとした。

α砲の砲口がイスカンダルへのマザータウンへと狙いをつけ始める。

地表を吹き飛ばしても自分たちが欲するイスカンダリウムはイスカンダルの近く深くにある鉱物資源‥‥故に地表に存在する宮殿を吹き飛ばしても自分たちの採掘計画には何ら支障はない。

 

「さぁ、これがイスカンダル人の最後だ。よく見ていろ」

 

α砲の砲身を守っていた装甲カバーが開かれその照準がイスカンダルのマザータウンへと向けられた。

後は引き金を引くだけとなった。

 

「スターシアが‥‥スターシアがやられる‥‥」

 

「総統‥‥」

 

「タラン!!このままあの砲門へ突っ込め!!」

 

ゲルバデスが猛スピードで発射される寸前のα砲の砲門へ接近する。

 

「あの愚か者め、砲門に突っ込むつもりか?主砲発射を急げ!!」

 

デスラーの行動をいち早く理解したメルダースはα砲の発射を急がせるが、

 

ズドーン!!

 

ゲルバデスはα砲が発射される前に砲門へと突っ込んだ。

 

「敵艦!!三番砲塔に接触!!」

 

「三番砲塔大破!!α砲、発射不能!!」

 

「敵艦の艦首がエネルギー解放弁に食い込んでいます!!」

 

デスラーの決死の特攻により、α砲の砲門一つを傷つける事に成功した。

 

「古代!!私ごと撃て!!私の艦ごと波動砲で撃つのだ!!」

 

デスラーが古代に大声で叫ぶ。

 

「デスラー‥‥」

 

「ゴルバのウィークポイントはこの砲門だけだ!!此処に向けて撃つしかない!!」

 

確かにデスラーの言う通り、ゲルバデス諸共、収束波動砲で撃てばゴルバはそこから内部爆発を起こし、真っ二つになり破壊できるかもしれない。

しかし、だからと言って古代はそう簡単に決断は下せなかった。

デスラーは今や憎しみを越えて得た盟友でもあるのだ。

 

「何をしている!?早く撃て!!」

 

「確かにデスラーの艦ごと撃てば、あの堅牢な要塞でも波動砲は通用するだろう。いくら強固な偏向バリアとは言え、砲撃する時はその部分のバリアを解除しなければならない筈だ。今、デスラー艦が突き刺さっている砲門は敵の唯一のアキレス腱なんだ‥‥」

 

真田もデスラーごと撃てば、ゴルバを破壊できるかもしれないと言う見解を出す。

 

「出力、上限をキープ、波動砲は何時でも撃てます」

 

山崎が波動砲の発射準備は整っていると古代に報告する。

後は、古代が波動砲の引き金を引くだけであった。

 

「しかし、デスラー‥それではお前が‥‥」

 

波動砲をまともに食らえばどうなるかは火を見るよりも明らかである。

古代とデスラーのやり取りをモニターで見ているフェイトとティアナはチラッとジュラの様子を窺う。

ジュラは顔を青白く染め、モニターをジッと見ている。

死んだと思われていた、父が生きており、折角再会できると思ったのに、目の前で母に継ぎ、父までもが目の前で死んでしまうのか?

 

「ちょっと待って下さい!!デスラー総統!!」

 

そこへ良馬がデスラーに通信を送る。

 

「貴方だってこの後まだまだやらなければいけない事が有る筈でしょう!?それを!!」

 

やらなければならない事、それはガミラスの復興もあるが、何よりも娘との再会が有る筈だ。

ジュラはデスラーと再会する事を待っているのだ。

 

「月村‥あれもメラと私の娘だ。きっと私の事を分かってくれている筈だ」

 

「そんなっ!?」

 

デスラーの言う通り、まほろば に乗っているジュラにはデスラーの心が分かっていた。

大切なモノを守るためならば、自らの命を賭けてでも守り通そうとするデスラー(父)の心が‥‥。

そして‥‥

 

「早く撃て!!古代!!」

 

デスラーは躊躇している古代に声をあらげ、波動砲を撃つように促す。

 

「デスラー‥‥すまん‥‥」

 

古代もイスカンダルをこのままみすみす敵の手の中に落とす訳にはいかず、苦渋の決断を下す。

 

「波動砲、発射準備!!」

 

波動砲の発射準備が整えられて、いよいよカウントダウンが始まる。

 

「9‥‥8‥‥7‥‥6‥‥5‥‥4‥‥3‥‥2‥‥1‥‥」

 

古代が波動砲の引き金を引こうとした時、

 

「止めて!!」

 

突如、モニターにスターシアの姿が映し出される。

 

「戦闘を止めて下さい‥‥イスカンダリウムが欲しければ、差し上げます‥‥」

 

「スターシアさん‥‥」

 

「古代さん、これからこの星を脱出して、ヤマトに向かいます。救助をお願いします」

 

あれだけ説得に応じなかったスターシアが突如、イスカンダルを放棄すると言い出したのだ。

地球側の面々とデスラーとしては嬉しい事であるが、その反面ゴルバに屈し暗黒星団帝国にイスカンダリウムが渡ってしまうと言う事で複雑な心境であった。

 

「良いのかい?スターシア?」

 

スターシアの決断にこれで良かったのかと問う守。

 

「何処に居ても貴方と一緒なら私は幸せよ‥‥貴方の生まれた星、地球へ参りましょう‥‥支度をしてきます」

 

この時、守はスターシアの気が変わったのだと思い込んでいた。

しかし、愛しの妻が付き従うのであれば、それでも構わないと守はスターシアと娘たちと共に地球へ帰るのだと思った。

スターシアの仲介で戦闘は停止され、ゴルバに突き刺さっていたゲルバデスは後進し、砲門から艦首を引き抜いた。

ゴルバも後退していくゲルバデスには攻撃を仕掛けなかった。

そしてスターシアは眠る我が子たちが乗った乳母車を押して宮殿の展望台へと昇って来た。

この展望台はただの展望台ではなく、緊急避難用の宇宙ロケットでもあったのだ。

そしてその展望台には既に守が待っていた。

 

「私たちは何処に居てもいつも一緒よね?」

 

スターシアの声は少し震えていたが、それは生まれ故郷であるイスカンダルを離れる為、それを悲しんでいるのだと思った守。

 

「もちろんだよ。スターシア」

 

スターシアは守に乳母車を託すと突如、踵を返し元来た通路を走って行く。

 

「スターシア、何処へ行くんだ!?」

 

慌てて守が後を追おうとしたが、隔壁が閉じられてしまった。

 

「スターシア!!開けてくれ!!スターシア!!」

 

守が体当たりをしても当然、隔壁はビクともしない。

そうしている間にも脱出宇宙船でもある展望台が宇宙へと打ち上げられた。

 

「スターシアァァァァァァァァァァ―――――!!」

 

脱出船で守の悲痛な声がこだました。

 

 

宇宙戦艦 まほろば 第一艦橋

 

「艦長、マザータウンからロケットが一機、発射されました!」

 

「方向は?」

 

「ゴルバをかすめるように飛行し、一分余りでこちらの宙域に到達します!」

 

「艦長、ヤマトが迎えを出すとの事です!」

 

「そうか‥‥」

 

イスカンダルから脱出船が確認された事で、ヤマト と まほろば の艦橋に少し安堵感が漂う。

しかし、完全に不安が拭えた訳ではない。

この不安が完全に拭えるのは、スターシアの存在を確認できてからだ。

あのロケットに守とサーシア、ユリーシャが乗っているのは間違いないだろう。

大きな問題は、イスカンダルの女王であるスターシアがあの宇宙船に乗っているか、イスカンダルに残っていないか、だ。

守が進んでスターシアを残す事はあり得ないが、スターシアが先に守と子供たちを乗せた後、支度をしてくるとか言っていきなりロケットを発射させてしまう可能性は十分にあった。

イスカンダリウムを渡すと言うスターシアの条件をのんだ為か、ゴルバも静止しており、ガミラスやヤマト、まほろば、そしてイスカンダルからの脱出船を攻撃する気配はない。

あのメルダースと言う人物は意外と紳士な一面を持っている様だ。

その間にもヤマトの上陸艇がロケットを曳航してきた。

どうやらそのまま格納庫まで入れるようだ。

 

 

宇宙戦艦ヤマト 格納庫

 

エアロックが閉じられて艦内空気が流入し、コンディション・グリーンに変わったところで、プシュ、という音と共にロケットの側面ドアが下がってきた。

その奥から、地球防衛艦隊の旧艦長服姿の古代守がサーシアとユリーシャが乗った乳母車を押しながら、降りてきた。

 

「兄さん!!」

 

古代や真田、雪はヤマト艦載機格納庫へと向かうと兄たちを出迎える。

当然この時、古代たちはスターシアも一緒に居るものとばかり思っていた。

しかし、

 

「兄さん‥‥スターシアさんは?」

 

古代は守の隣にスターシアの姿が見えない事に不安を感じ、兄にスターシアの行方を訊ねる。

 

「‥‥」

 

古代の問いに守は沈黙を貫く。

 

「そんな‥‥!?スターシアさんは‥‥イスカンダルに‥‥?」

 

雪が守の様子からスターシアがイスカンダルに残ったのだと察した。

 

「何故だ?古代?何故、スターシアは‥‥」

 

真田もスターシアの行動が理解できずに、守に問う。

 

「‥‥」

 

真田の問いにも守は何も言わなかった。

 

「スターシアさん‥‥」

 

古代も義姉であるスターシアの行動が理解できずにいた。

 

出迎えに行った古代たちと守、サーシア、ユリーシャの面々は第一艦橋へと上がった。

 

「その赤ちゃんたちは‥‥」

 

相原がいち早く、守の押している乳母車に気づく。

 

「ひょっとして、スターシアさんとの?」

 

「スターシアさんは?」

 

艦橋の乗員たちもこの場にスターシアの姿が見えない事に不安を感じていた。

そこに、デスラーと良馬から通信が入った。

デスラーもスターシアがちゃんとイスカンダルから脱出出来たか気になった様だ。

 

「デスラー‥‥月村さん‥‥」

 

「古代、スターシアはどうした?」

 

「ちゃんと脱出は出来た?」

 

「それが‥‥彼女は‥‥」

 

「やはりそうか‥‥彼女はイスカンダルの女王‥‥母星が採掘で傷つけられ、ましてやイスカンダリウムが戦争に利用されるぐらいならば‥‥」

 

「「っ!?」」

 

デスラーのこの言葉を聞き、スターシアが何をしようとしているのか察した古代と良馬。

 

「まさか、スターシアさんは‥‥イスカンダルごと敵を!?」

 

「そんな‥‥イスカンダルを自爆させる気なのか!?」

 

「‥‥どうすれば‥‥どうすればいいんだ?」

 

「だからあの時、私ごと撃てと言ったんだ。あの巨大な要塞を倒すにはそれしかなかったのだ!!」

 

デスラーはイスカンダルとスターシアが死ぬくらいならば、自分がその身代わりとなっていれば良かったのだと、後悔の念を古代にぶつける。

 

「巨大な要塞‥‥巨大‥‥巨大な質量‥‥そうか!!方法はまだあるぞ!!」

 

デスラーの言った『巨大な要塞』の言葉から真田が何か思いついた様子。

 

「デスラー!!イスカンダルの動きを止めているのは、マイクロブラックホールだと言ったな!?それは今でもそこからコントロール出来るのか!?」

 

「無論だ‥‥むっ‥‥そうか!!」

 

真田の言葉を聞き、デスラーも何かに気づいた様子。

 

「マイクロブラックホールを一体どうするんですか?」

 

古代がイスカンダルを止めているマイクロブラックホールの使い道を真田に訊ねる。

 

「考えてみろ。いくら小さなサイズとは言え、惑星一つを止める事が出来るだけの超質量を持つブラックホールだ!!だが、同じ星系どころか、イスカンダル付近に居る我々にはその重力影響は出ていない‥‥恐らく、重力場を上手く絞ってイスカンダルのみに重力波を向けているからだろう」

 

「左様、重力制御はガミラスの誇る技術の一つだからな‥‥そして、その重力波はあのゴルバにも向ける事が出来る」

 

ブラックホールを生成する事が出来、尚且つ、その生成したブラックホールをコントロールできる技術‥‥そしてそれを行う事が出来る特殊艦ハーゲルも管理局側から見れば、十分なロストロギア級の艦船である事は明白であった。

フェイトとティアナはこの場に管理局の次元航行艦が居なくて本当に良かったと胸をなでおろした。

話を聞いている限り、管理局が関われる技術レベルをとうに超えているからだ。

もし、この場に管理局の‥‥しかも、管理世界拡大推進派の局員が乗った次元航行艦が居ようものならば、ハーゲル、波動砲を搭載するヤマト、まほろば、それに類似するデスラー砲をもったゲルバデス、完全無人艦である雪風・改、さらにはゴルバまでもロストロギアと認定し、接収しようとする言動と行動に移した筈だ。

そんな空気を読めない行動に出れば、一分も持たぬ内に、蜂の巣にされてしまい、ガミラス帝国、地球防衛軍からはガトランティスや暗黒星団帝国同様、管理局は無法な侵略者と言う認識を持たれてしまう。

そうなれば、管理局はたちまち破滅の一途を辿るだろう。

 

 

「ゴルバは今、デスラーの特攻した砲門をイスカンダルに向けたままでいる。恐らくあの砲門はもう損傷して使えんだろう‥‥もし、使えるのであれば、さっきデスラーの艦ごと撃っている筈だからな。イスカンダル方向に構えている砲門はあの一つだけ‥‥つまり、マイクロブラックホールの生む重力場でゴルバの動きを止めれば、イスカンダルは安全だと言う事だ」

 

「でも、どうするんですか?敵の動きを止めるだけでは、解決にはなりませんよ」

 

南部が真田に質問する。

 

「いや、敵はその後、きっと我々を狙ってくる。全てのエネルギーを飲み込むブラックホールを攻撃しても無意味だと言う事は相手も直ぐに分かるだろう。となれば、敵は必ず、我々かブラックホールのコントロールを握っているデスラーを狙って来る筈だ」

 

「成程、そして攻撃を仕掛けてきたときに敵の砲門を狙う訳ですね?」

 

「そうだ。だが、敵の砲撃を躱し、尚且つあのゴルバの砲門へと接近しなければならん。敵は動けないながらも弾幕を張って応戦して来る筈だ。操舵が全ての鍵を握っていると言ってもいい‥‥」

 

「しかし、まほろば は航海長の永倉さんが負傷しているみたいです」

 

相原はギンガから、永倉が負傷した件を聞いていた。

モニターに映る永倉の腕には薄っすらと血が滲んだ包帯が巻かれている。

あの腕ではとても精密な操舵は不可能だ。

まほろば の戦力外は混成艦隊側としては痛い戦力外通知である。

何しろ、現状では波動砲を撃てるのがヤマト と まほろば の二艦のみなのだから‥‥

確実にゴルバを葬る為には、ヤマト と まほろば のダブル収束波動砲は必須であった。

 

「‥‥星名、お前がやるんだ」

 

「えっ!?ぼ、僕がですか!?」

 

「腕をケガしちまったんだ。俺が予備操舵席に座っても、こんなザマじゃあ、操舵レバーを握れん。いいか、お前がやるんだ」

 

永倉は血が滲んだ包帯が巻かれた腕を握りながら星名に言う。

 

「し、しかし‥‥」

 

かなりの大役に星名は戸惑いがちだった。

 

「自信を持て、お前なら出来る」

 

そんな星名を永倉は励ます。

 

「永倉先輩‥‥分かりました。星名、まほろば 操舵の任につきます!!」

 

星名は まほろば の操舵の任に着いた。

 

「取るべき道は決まったようだな‥‥だが、マイクロブラックホールの重力場をゴルバに向けると言う事はその間、イスカンダルを支える力が失われると言う事を意味している。イスカンダルは再び落下を開始し、そのままにしておけばやがてはマイクロブラックホールの影響外まで離れてしまうだろう‥‥そうなれば、もはやイスカンダルの落下を再度止める事は不可能だ。我々がゴルバを止める事が出来るのはイスカンダルが絶対制止圏を越えるまでの短い時間‥‥恐らく地球時間で十分ほどしかないだろう」

 

マイクロブラックホールは一つしかないため、ゴルバとイスカンダルの両方を支えておくことは出来ない様だ。

 

「十分‥‥その間、敵はブラックホールを制御しているそちらをまず狙って来る筈だ。十分の間、耐えきれるか?デスラー?」

 

「愚問だ。ガミラスとイスカンダルは双子星‥‥ならば、私とスターシアは兄妹も同然。すでに捨てる覚悟だったこの命を賭けて、ブラックホールを維持しやろう。それよりも古代、月村。お前こそ、十分の間にゴルバを倒す事が出来るのかね?」

 

「わからない。だが、お前はそう信じている。そうだろう?」

 

「最後まで絶望しない、諦めない‥‥それが沖田さんと土方さんの流儀でしたからね。教え子の俺たちがそれを出来なければ、お二人からキツイ雷を喰らう事になりますからね‥‥是が非でもやってみせます」

 

「フッ‥‥時は一刻も争う。すぐに準備を進めろ、古代、月村」

 

こうして対ゴルバ戦第二ラウンドが準備され始めた。

 

「総統、本当によろしいのですか?敵が真っ先に狙うのは恐らく本艦です。ならば総統閣下だけでも、他の艦に避難されては‥‥」

 

タランはデスラーの身を案じ、他艦への移乗を具申する。

 

「かまわぬ」

 

しかし、デスラーはそれを拒否した。

 

「し、しかし‥‥」

 

「くどいぞ、タラン。さっき古代は信じているのかと私に問うた‥‥私の答えは一つだ。私はヤマトを‥‥古代を‥‥地球を信じる」

 

「はっ」

 

「重力波ベクトル転移、カウント開始します!!」

 

こうしてカウントが始まり、

 

「重力場転移開始!!」

 

「転移開始します!!」

 

イスカンダルへ向けられていた重力波がゴルバへと向けられた。

 

突如、ゴルバに異常な振動が起こったと思ったら、

 

「うわっ!!」

 

「うわぁぁぁぁぁっ!!」

 

「な、何事!?」

 

メルダースは指揮官席の背もたれに押し付けられる。

座席に座っていなかった乗員は壁に貼り付けられる。

 

「こ、後方より‥‥強力な‥‥重力場がゴルバに向かって‥‥照射されています!!おそらく‥‥イスカンダルを‥‥曳航‥‥していた‥‥例のブラックホールからの‥‥ものと‥‥思われます!!」

 

「艦内‥‥人工‥‥重力、中和‥‥開始!!」

 

重力が中和され元に戻ると、壁に貼り付けられていた乗員がバタバタと床に落ちる。

 

「おのれ、おのれぇっ!!どこまでも邪魔立てしようというのか!!」

 

メルダースは怒りを露わにして声を荒げて吠える。

 

「メルダース様、ゴルバ内の重力は何とか中和できますが、ゴルバ全体に向けられている重力場は防ぎようありません!!」

 

「動けぬと‥‥此処に釘付けだと言うのか!?ええい、ならば、あの小賢しい艦を‥‥ブラックホールをコントロールしている艦を沈めるのみ!!テンタクルスは射出出来るか?」

 

真田やタランの予想通り、メルダースはまず、ブラックホールをコントロールしているゲルバデスに狙いを定めた。

 

「はい。ゴルバ内の重力は中和されていますから、カタパルトから最大出力で撃ち出せば、重力場から脱出できるかもしれません。ですが、同時に複数射出するのは危険です。一度に一隻ずつが限度かと‥‥」

 

「ええい、無いよりはマシだ!!テンタクルス射出開始!!あのいまいましい艦を沈めるのだ!!ゴルバの砲塔も全て開け!!動けずともここからそのまま彼奴等を蜂の巣にできるだけの力がある事を思い知らせてやる!!」

 

怒りの為に冷静さを欠いたせいかメルダースは、α砲の砲門をカバーしている装甲板を全て開けて混成艦隊を攻撃しようとした。

この判断が自らの身を滅ぼすとも知らずに‥‥。

 

 

混成艦載機隊はゴルバから射出されてくるテンタクルスの迎撃へとあたった。

テンタクルスは無人の性能故か近くにいるモノ、自らに攻撃を仕掛けてきたモノを追い回すプログラミングされていのかブラックホールをコントロールしているゲルバデスを狙う事はなく、混成艦載機隊とドッグファイトを繰り広げている。

デバッケ、コスモタイガー、ゼードラーⅡ、ツヴァルケらの戦闘機隊がテンタクルスを引き付けている間に、対艦用の大型魚雷を抱いたドルシーラ、対艦ミサイルや対艦爆弾を抱えたスヌーカとメランカが被弾し、航行能力が劣ったテンタクルスに襲い掛かる。

一機ずつしか射出できない為、空戦はやや混成艦隊側が有利に進んでいる。

 

テンタクルスの迎撃を混成艦載機隊に任せ、ディッツ提督が率いるガミラス艦隊はゴルバのα砲射程のギリギリを時計回り、反時計回りを行いつつ、無駄とは分かりつつ、ゴルバに向けて、砲雷撃戦を仕掛ける。

 

「星名、いいか。この航路を保ち続けろ!!少しでもずれたら、あの大砲をくらって一瞬でお陀仏だぞ」

 

「は、はい」

 

「波動砲は拡散モードからヤマトと同じ収束モードへ切り替えろ」

 

「了解」

 

ディッツ艦隊が時間を稼いでいる中、ヤマト、まほろば は、波動砲の発射準備をしながら、ゴルバを狙撃出来るポイントまで密かに移動していた。

また、奮戦していたのはディッツ艦隊だけではなく、

 

「老いても腕は衰えずと言う所を若造共に見せつけてやれ!!」

 

老将、コルサックも自らが指揮する艦隊を鼓舞して戦った。

 

そして‥‥

 

「波動砲、発射準備完了!!」

 

「波動砲‥‥発射!」

 

古代とフェリシアが波動砲の引き金を引いた。

 

ヤマト、まほろば の艦首にある波動砲の発射口からゴルバの砲門へ向け、波動砲が発射された。

二つの波動砲は互いに混じり合うかのような流線を作り、やがて一つの巨大なエネルギー波となり、ゴルバへと迫る。

ヤマト、まほろば の波動砲を受け、ゴルバ全体に警報音が鳴り響いた。

 

「こ、これはどうしたことだ!?」

 

「メルダース長官!!砲門を‥‥砲門を狙い撃ちされました!!」

 

「主砲から動力部にかけて次々と誘爆が広がっています!!」

 

「誘爆だと!!ば、バカなっ!!このゴルバが‥‥無敵の自動要塞ゴルバがぁっ‥‥!!」

 

メルダースは目の前の現実が信じられなかったが、その間にも誘爆は広がり‥‥

 

「うがあああぁぁぁぁっっっっ―――――!!」

 

ゴルバは内部爆発を起こし、消滅した。

 

「ゴルバ‥消滅しました」

 

「脱出者の形跡はあるか?」

 

良馬がゴルバからの脱出者の有無を訊ねた。

しかし、

 

「ありません」

 

ゴルバから人員の脱出は確認されなかった。

それはメルダース以下、ゴルバの乗員全員の死亡を意味していた。

元々マイクロブラックホールで動きを止められていたのだ、マイクロブラックホールの引力を振り切るには、有人の艦艇では凄まじい重力が生じる為、脱出も不可能だったのだろう。

 

ゴルバが消滅し、テンタクルスは機能を停止する。

そして直ぐに重力波はイスカンダルへと再び照射され、イスカンダルの軌道は再び保たれた。

それは、マゼラン星雲サンザー星系に平穏が訪れた瞬間だった。

 

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