ミッドにある高町家では、今日もなのはとヴィヴィオ、二人だけの夕食だった。
「ねぇ、なのはママ」
「ん?何?ヴィヴィオ」
「フェイトママを助けてくれた『ちきゅうぼうえいぐん』って、管理局より強いの?」
子供らしい純粋な質問をヴィヴィオはなのはにする。
地球防衛軍の存在は、先日、クロノが行ったテリオス遭難事件の記者会見にて、ミッドチルダ全体に知れ渡っていたのだ。
管理局は、第97管理外世界とは別世界の「地球」の宇宙軍事組織に所属する「スペース・バトルシップ」と説明し、通常空間における戦闘力は、魔法なしにも関わらず、時空管理局のあらゆる次元航行艦船を大きく上回っていることを認めた。
テリオスを襲った謎の大小宇宙戦闘艦と併せて映像が一般公開された時、ミッドチルダの市民からは、次元世界探査を一時休止せよとの声が上がったほどで、第97管理外世界(地球)出身の 八神はやて は記者会見の放送を見た後、
「まるで次元世界の黒船来航やな」
と、呟いていた。
「――あのね、学校では怖がっている子もいるんだけど、きっと『ちきゅうぼうえいぐん』の人は、とってもつよくて優しい人たちだと思うんだ。だからその人たちとお話すれば、きっとお友達になれると思うの」
夕食の手を一時止め、ヴィヴィオは学校での同級生の地球防衛軍の印象を話し、次に自分の考えを なのは に言う。
「うん‥そうだね」
ヴィヴィオの言葉に なのは は頷きながら言った。
地球防衛軍を始めとする未知の宇宙戦闘艦については、管理局員でも二つの見方に分かれた。
戦闘艦自体もさりながら、地球防衛軍の戦闘艦から発進した宇宙戦闘機は主翼と尾翼を持ち、光学兵器と質量兵器を併用し、ミッドチルダをはじめとする管理世界の大気圏内でも使用可能と推察できた。
そんな戦闘機がこの世界に姿を現したら、管理局の航空魔導師は、低空域での空中格闘戦以外ではまず対抗できない。
それに、戦闘機にせよ宇宙戦艦にせよ、魔導師や空戦魔導師でなくても、訓練された者が扱えば十分な性能を発揮できるから、空戦魔導師を含む魔導師は要らなくなる。
そうなっては、魔導師の優位性が根底から覆され、時空管理局そのものが根底から覆されてしまう。
その為、魔導師‥‥特に高ランク魔導師や空戦魔導師の一部からは不安の声が上がり始めていた。
それは、彼らの権力と地位の崩壊を意味していたのだから、必死になるのも当然だった。
一方、非魔導師や低ランクの魔導師、飛行属性の無い魔導師の管理局員たちは、内心、「ああいう戦闘機のような高い性能のハードウェアを使いこなせば、高ランク魔導師や飛行属性の魔導師に頼る事なく、慢性的な人材不足も改善されるのではないか?」と考える者、「かの戦闘機は成層圏と宇宙空間のどちらでも使用可能なので、それらの技術を応用すれば、次元の海開拓や調査等の行動範囲は飛躍的に伸びるのではないか?」と指摘する技師も出始めた。
そんな中で、なのは自身は戸惑っていた。
今の仕事に誇りを持って、管理局に従事しているが、管理局のみならず、少数の高ランク魔導師と大多数の低ランク魔導師と非魔導師との間に見えざる大きな壁と深い溝を感じるようになっていたからだ。
魔法と管理局と関係を持った九歳当時には特に感じなかったが、年齢を経て様々な体験を経て、娘を持つ身となってそれをひしひしと感じるようになった。
その大きなきっかけとなったのが、機動六課時代におけるティアナとの確執であった。
将来、管理世界各地で魔導師と非魔導師に分かれて、戦争が起こったら‥‥。
ヴィヴィオには、今通っているザンクト・ヒルデ魔法学院のクラスメイトに仲良しの友人がいるが、非魔導師の友人もつくってほしいと願っている。
娘がどんな道を歩むにせよ、一部の高ランク魔導師に見られるような、低ランク魔導師、非魔導師の人たちや管理外世界の人々を見下す様な魔導士至上主義者にはなってほしくない。
自分だって完成には程遠い人間だ。
魔力のランクと、人間としての出来、不出来は全く関係ないのだから‥‥。
そう思いながら、なのは は残っている夕食を口にした。
宇宙戦艦 まほろば 第一艦橋
「艦長、マゼラン雲宙域を完全に抜けました」
位置観測をしていた星名が良馬に外洋宙域に出た事を告げた。
報告を聞き、良馬は頷き増速を命じる。
「よし、宇宙間巡航速度へ速力をあげろ」
「了解。宇宙間巡航速度へ速力上げます」
並走する まほろば、ヤマト、雪風・改の三艦の主機関の回転が上がり、速度は光速の九割を超えた。
地球へ戻る前に管理局とのコンタクトをとる為に、まほろば、ヤマト、雪風・改は再びヘリオポーズのある小惑星へと赴かなければならない。
タイミング良く管理局からのお迎えが来ていればいいが、そうでなければフェイトたちを地球まで連れていくしかない。
地球には、先日一隻遭難した時空管理局艦船ノアとギンガが乗って来た管理世界製の輸送船がある。
何方の船も機関にかなりの損傷を受けており、修復は不可能であるが、幸いな事に通信機器は生きていたので、それらの艦船から通信装置を取り外し、修理して管理世界直通の通信機とする。
これがうまく動作すれば連絡がとれる可能性があるし、当方の遠距離宇宙通信のレベルアップにも貢献する。
何だかんだ言っても、彼女たちも早く故郷であるミッドチルダとやらに帰りたいだろう。
そして、ヘリオポーズのとある小惑星にて、まほろば、ヤマト、雪風・改の三艦は停止した。
ここまでの航海の途中、イスカンダルの地下資源を狙っていた暗黒星団帝国との遭遇はなかった。
また、ガトランティスの残党との遭遇も同様になく、無事にヘリオポーズまで辿り着くことが出来た。
三艦の周辺には警戒用のコスモタイガーが旋回している。
通信機に何か変化はないかと調べた真田とギンガが新たにこの通信機に手が加えられた痕跡を発見し、一度管理局が此処に来たことを裏付ける証拠となった。
そして、真田はギンガと共に まほろば へと向かい、回収した通信装置に手を加えた。
「よし、いいぞ」
促す真田に頷いたギンガがしばらくコンソールを操作していたが、回線が繋がったらしく、話し始めた。
「こちら、地球防衛軍所属、宇宙戦艦まほろば。時空管理局次元航行本部、聞こえますか? 繰り返します‥‥」
モニターの画面が明滅し、画面にオペレーターらしい緊張した面持ちの若い女性が映った。
「こちら、時空管理局・次元航行本部。受信感度良好です」
「こちら、宇宙戦艦まほろば。小官は通信長の中嶋です。早速で申し訳ありませんが、フェイト・テスタロッサ・ハラオウン執務官に代わります」
ギンガがモニターの向こうのフェイトに合図を送った。
なお、対応に出たオペレーターは管理局では死んだ筈になっているギンガの顔を見ても驚く様子は無かった。
元々ギンガが“陸”出身の管理局員と言う事とこのオペレーターがギンガとは面識が全く無かった事から完全にスルーされたのだ。
ギンガとしては無用の混乱を避けるため、これで良かったのだと思った。
「フェイト・テスタロッサ・ハラオウン執務官です。ランスター補佐官と共に、襲撃されたテリオスから救助され、現在スペース・バトルシップ・まほろば に乗艦しています。突然で申し訳ありませんが、クロノ・ハラオウン提督に取り次いでもらえますか?」
「っ!?は、はいっ!少々お待ち下さい!」
オペレーターはフェイトたちの件に関しては、さすがに驚いていたようで、目を大きく見開いていたが、直ぐに我に返り、クロノを呼ぶ。
それから少しして画面が切り替わった。
「本当に、フェイトなのか?」
クロノも目をパチクリさせている。
「うん、私だよ。ごめんね、心配かけて」
「いや、元気な様子で安心したよ、フェイト。ランスター補佐官は今、居るのかい?」
フェイトが横にずれ、ティアナがモニターの前に出る。
「ご無沙汰しております、クロノ提督。幸い私も大した怪我はなく、元気に過ごしていると、皆に伝えて下さい」
「いや、こうして君たちの姿を直接見て、声が聞けたから、僕もひと安心したよ。この事は皆にも伝えておくから、安心してほしい」
ヤマト と まほろば の艦橋員たちもこのやり取りを見ていた。
フェイトの義兄だというクロノ・ハラオウンが提督という上級な役職とは裏腹に随分と若いことに良馬も内心で些か驚いていたが、まあ、組織が違うのだから仕方ないか‥と割り切った。
その後、フェイトはイスカンダルへの航海の途中で行方不明となっていた第37探査部隊の件について話した。
第37探査部隊が暗黒星団帝国と名乗る星間国家に部隊ごと拿捕され、乗員全員が洗脳され、まほろば がその洗脳波を出している衛星を破壊すると、まるで用済みと言わんばかりに、暗黒星団帝国の艦艇は無抵抗だった第37探査部隊の艦艇を一方的に沈めた事、それにより、生存者は誰一人として居ない事を包み隠さずに話した。
その時のフェイトはとても辛そうであった。
フェイトの話を聞いたクロノはさすがに息を飲んだ。
そして、フェイトの話が事実であると言う裏付けの為に良馬は、サイレン星近海での戦闘記録映像をクロノに見せるように指示を出した。
味方の次元航行艦や巡航艦が一方的に沈められて行く様子を見て、クロノはギリッと歯を喰いしばった。
そして、その敵討ちかのように次々と敵の小型艦を沈めていく艦載機、対艦戦闘では、単艦ながらも、圧倒的に敵の火力に勝る まほろば の攻撃力と防御力‥‥。
その姿はさながら、動く要塞の様でもあった。
テリオスが遭難した時の状況も事前に確認したクロノであったが、二度見ても防衛軍の艦船技術の高さを見せつけられた。
フェイトたちとモニター越しではあるが、再会したクロノは、次に艦長と話がしたいと言うので、良馬はそれに応じた。
「宇宙戦艦まほろば、艦長の月村良馬です」
「時空管理局次元航行本部所属、クロノ・ハラオウンです。危険な中にも関わらず、義妹たちを助けていただいた事、心から感謝します」
「船乗りとして当たり前の事をしただけですから、どうぞお気になさらず」
さらに、フェイトたちの現状について話し、そして今後についての話し合いが行われた。
管理局とコンタクトをとる。
これでやっと問題の半分が解決したのだ。
そしてもう半分‥‥フェイトたちを時空管理局側に返した時にこの問題はやっと終結する。
「自分たちは軍の命令を受けての作戦行動中で、一刻も早く目的地に到着するよう命じられていますから、この空間に長く留まる事はできません。単刀直入にお聞きしますが、そちらからこの空間までの所要時間はどの位ですか?」
良馬の問いにクロノは、
「率直に言って、最短で五十時間。二昼夜を要します。残念ながらその近海に管理局の艦船は航行していないので‥‥」
と、言いにくそうに答えた。
クロノの言う時間ではかなりかかりそうだ。
「そこまで掛かるとなると、申し訳ありませんが、其方のお迎えを待つのは無理ですね。一度我々の本星に戻り、その後、具体的な話をするのが現実的だと思いますが、どうでしょう?」
良馬の回答は向こうも予想していたのだろう。
内心はともかく、表情に不平不満の色はなかった。
「確かに、月村艦長のおっしゃる通りです。我々が其方の立場でもそうするでしょう。それで、今回のような通信ポッドを設置しました。これはそのまま、そちらの任意の場所までお持ちになって下さい。それに接続してこちらをお呼び下さい。その後、具体的な事を詰めましょう」
「そう言っていただけるとありがたい。なるべく早くそちらへ帰せるよう、こちらも努力します」
「はい‥‥んっ?」
良馬とクロノがそこまで話し合ったところで、クロノに通信が入ったようだ。
「月村艦長、大変申し訳ありませんが、もう少しだけ時間をいただけるでしょうか?」
「何かあったんですか?」
「あっ、いえ、ハラオウン執務官とランスター補佐官の元同僚が、どうしても一言彼女たちに話したがっておりまして‥‥」
済まなそうに言うクロノに、良馬は
「ええ、良いですよ」
と、苦笑しながらも快諾した。
「ティア~!!」
画面に映ったのは青みがかった髪のボーイッシュな十六~七歳位の娘。
感情豊かなのだろう。既に顔は感動の涙と鼻水でぐしゃぐしゃになっていた。
「スバル!?」
即座にティアナが反応し、ティアナの反応にギンガもピクッと反応した。
「ディア~、よがっだよぉ~~」
画面向こうの彼女はもう大号泣である。
それは年頃の乙女がするような顔では無い。
「ちょ、ちょっと、バカスバルッ!やめなさい、もうっ!!恥ずかしいじゃない‥‥」
始めは元気よくスバルを咎めていたように見えたティアナも感極まったのか、一緒に泣き出してしまった。
ひとしきり泣いた後、ティアナ、フェイトと話している内に幾らか落ち着きを取り戻した様に見えたスバルだが、突然ポケットからティッシュを取り出すと、派手な音を立てて‥‥
「ふん、チーン!!」
鼻をかんだ。
その行為は先程の表情同様、年頃の乙女がやるような事ではない。
「「「‥‥」」」
フェイトもティアナもスバルの行為に唖然とし、先程までの重い空気は完全に吹き飛ばされた。
「スバル‥あんたねぇ~‥‥思いっ切り恥ずかしくて痛過ぎるわよ!何やってんのよっ!もうっ!!」
ティアナが声を荒げながらスバルにツッコミ、ギンガはモニターの死角で額に手をあて、我が妹ながら恥ずかしいと言う思いと共にスバルが元気そうで安心した。
そして、スバルを見た良馬は、
(彼女がギンガの妹さんか‥‥ギンガとしては複雑な心境だろうな‥‥)
と、ギンガの心中を察した。
「ティアナ、落ち着いて。ほ、ほらスバルも挨拶をして」
ツッコミに荒ぶるティアナをフェイトが落ち着かせて、スバルに挨拶を促す。
「す、すみません‥‥」
「し、失礼しました‥‥では、改めまして。ミッドチルダ港湾特別救助隊所属、スバル・ナカジマ一等防災士であります!」
艦長というからには、管理局では間違いなく佐官か提督クラスの階級だ。
ガチガチで敬礼するスバルに良馬は答礼した。
「地球防衛軍、宇宙戦艦 まほろば 艦長の月村良馬です。よろしく、ナカジマ一士」
「あ、あのっ!私の友人と先輩を助けていただき、ありがとうございます!」
「いや、申し訳ないことに、まだそちらに帰れる段階じゃないんだ。一旦我々の本国に戻ってから、改めてハラオウン提督と相談することになるが、必ず君たちの元に帰すから、もう少し待っていてほしい」
「私も組織の一員ですから、事情は理解しているつもりです」
良馬の説明を聞き、いつの間にか先程とはうって変わってスバルの表情が真剣なものに変わっていた。
スバル・ナカジマの突然の鼻かみ行為という突然のハプニングがあったものの、地球防衛軍と時空管理局のファーストコンタクトはつつがなく終了しようとしていた。
「それでは失礼致します。先程は大変見苦しい事をしてしまい、申し訳ありませんでした!」
先程の醜態を詫びるスバルだが、
「謝ることはないさ。気持ちは十分にわかるよ」
と、良馬にフォローされてティアナ共々ますます恐縮してしまったスバルであった。
その後、連絡先等についての確認を行い、管理局側の窓口はフェイトの所属先である次元航行本部のクロノ・ハラオウンが担当。
地球側は基本良馬が担当するが、彼は艦隊勤務故、連絡がとれた時に地球にいない場合はこの世界におけるギンガの養父、中嶋源三郎が担当する事となり、彼の顔写真をクロノに見せた。
「それと、ハラオウン提督。提督のご家族達が我々の地球にいる間の身元保証人ですが‥‥」
一時的とはいえ、フェイトたちは地球(2201年の)で生活することになるわけだが、こちらの地球でも成人(満18歳以上)として認められるフェイトはまだしも、ティアナはまだ未成年であり、誰かしら後見する者が必要である。
「小官の実家で引き受けます」
と、良馬の実家、月村家が引き受ける事となった。
その件に関しては、ヤマト、まほろば の乗員は納得がいく様子だった。
その後、いくつかの意見交換を終えて通信を終えた。
管理局との通信を終えた後、
「真田さん、ギンガ‥‥」
真田とギンガに声をかけた時、良馬の顔は軍人としての表情をしていた。
「何だ?」
「何でしょう?」
「念の為、あの通信ポッドを調べておいてくれませんか?」
「えっ?それはどういう事ですか?」
「通信を切っても、妙な電波やエネルギー波みたいなのが出ていないとも限らないしね‥‥ロストロギア絡みで、管理局の連中にこそこそと太陽系内を動かれては正直うざったいし、それに今の太陽系ではまだ彗星帝国の残党軍がウヨウヨ居る。そんな中で戦闘に巻き込まれでもしたら大変ですし、その件に関して管理局がこちらにいちゃもんをつけてこないとも言い切れないので‥‥」
「成程」
「た、確かに‥‥」
良馬の考えを聞き、確かに管理局ならば、それぐらいの事をやりかねないと思う真田とギンガであった。
個人と組織は全く別個に扱う。
フェイトとティアナ、そして先程話したクロノ・ハラオウンとスバル・ナカジマに関しては悪い印象はないが、先日救援した時空管理局の次元航行艦ノアの乗組員の遺体の中に制服姿の十代前半にしか見えない子供たちが少なからず含まれていたことは防衛軍側からしてみれば管理局に対する不信感を植え付けるには十分だった。
故に管理局との接触はあくまで人道上必要だからであり、それ以上でも以下でもないのだ。
良馬の言ったロストロギアの発言に関してもテリオスやノアから回収したデータ資料で、魔法文化がない世界(有人惑星)にこっそり入り込んでその星(世界)で活動して、現地住民を巻き込んだ厄介事の記録を見たからだ。
そして、管理局が用意した通信ポッドを調べた結果案の定、逆探装置の様な物が仕掛けられていた。
これが、あのクロノ提督の指示なのか、それとも別の人物の指示なのかは分からない。
少なくとも一士と言う階級からギンガの妹のスバルの指示では無い事は確かであった。
しかし、フェイトたちには悪いが、現時点において時空管理局に好感を持つ事は極めて困難な状況だった。
管理局が地球連邦や防衛軍側を魔法も碌に使えない蛮族だと思いナメていたのか?
それとも管理局側はこれで隠しているつもりだったのか?
あるいは、防衛軍‥‥と言うよりも、真田の技術者・科学者としての腕が管理局の予想よりも上だったのか?
理由は分からないが、兎も角、管理局が防衛軍側をナメている事は確かなようだ。
どの道、管理局の団体さんをこのまま地球や太陽系へと案内し、不法侵入され影でコソコソされてはたまらない。
そこで、この逆探システムに関しては真田とギンガはある細工を施した。
舞台は再びミッドへと移す。
「「ス~バ~ル~(さ~ん)‥‥」」
「あ、あははは‥‥(涙)」
モニター越しのスバルは、元上官とその娘の視線に冷汗たらたらであった。
その理由は‥‥
「「スバル(さん)だけフェイトちゃん(ママ)たちとお話したなんてずるい!!」」
で、あった。
決して、スバルに過失があったわけではない。
防衛軍側と連絡がとれた時、クロノを除けばすぐ連絡をとれたのはスバルだけしかいなかった。
なのは は仕事中でヴィヴィオは学校の授業中と言うタイミングの悪い時間に防衛軍側からコンタクトをとって来たのだ。
まさか、二人が来るまで待っていてくれとはクロノもスバルも言えなかったのだ。
向こうも作戦行動中だったみたいなので、ほぼ私的な理由で待ってもらう訳にはいかなかったのだ。
なのは もそんな事は百も承知で、フェイトと話せなかった八つ当たりに過ぎないことは十分解っている。
しかし、
「解っちゃいるけど割り切れない!!」
と言うのが心情である。
「と、兎に角、フェイトちゃんたちと何を話したか、詳しく言ってくれれば許してあげるよ」
と、なのは が態度を軟化させたため、スバルはフェイトたちや地球防衛軍の士官と話した事を改めて報告して一緒に送られてきたフェイトたちと防衛軍側の乗員と一緒に写った写真を見せたところ なのは は安心したのか涙目になっていた。
「よかった‥フェイトちゃん、ティアナ‥‥」
「うん、よかったね、なのはママ」
その後、スバルは今後の防衛軍側とのコンタクトの予定など、クロノから聞いた内容を なのは に話して、なのは は防衛軍側のコンタクト予定日は全て仕事をOFFにしようと自らのシフト表を確認した。
通信ポッドにとある細工を施した後、真田はヤマトへと戻ろうとしたが、その際、
「そうだ、良かったら、君たちもヤマトに来るかい?」
と、フェイトとティアナをヤマトに招待した。
「えっ!?でも‥‥」
「良いんですか?」
ティアナとフェイトは恐る恐る真田に訊ねる。
「まほろば 同様、重要区画には立ち入ることは出来ないが生活ブロックならば、問題ない。良いだろう?月村?」
「ええ」
と、良馬も納得している様子なので、
「それじゃあ‥‥」
「お世話になります」
と、フェイトとティアナは、復路の方はヤマトにお世話になる事となった。
ギンガはヤマトの方に通信でこの件を送り、古代も真田同様、重要区画を含め、生活区画のみの立ち入りならば、許可すると言う条件を出して、フェイトとティアナのヤマト乗艦を許可した。
真田と共にヤマトへ向かうフェイトとティアナは顔には出さなかったが、二人とも内心はウキウキしていた。
その頃、時空管理局本局会議室では、防衛軍側と漸くコンタクトがとれたと言う事で、緊急会議が行われた。
そこでまず、地球防衛軍が所有する戦艦の艦長(良馬)及び収容されているフェイトとティアナの二人とクロノ・ハラオウン提督で行われた会談映像が再生された。
その中で、管理局側が衝撃を受けたのは、やはり第37探査部隊行方不明の真相であった。
そして、悪魔の実験とも言うべき行為を行った暗黒星団帝国と まほろば との戦闘記録映像、更には、少し時間を遡ってペテルギウス、α星で行われたヤマト、まほろば、雪風・改の三艦の戦闘映像も同じく管理局を驚愕させるには十分だった。
特にα星での戦闘の折、まほろば が放った拡散波動砲の威力を見た局員は唖然とする者、気難しい表情で見る者と様々な表現をしていたが、共通の認識は驚愕と脅威だった。
やがて、記録映像は終わり、意見陳述へと移った。
そして、次元航行本部の一提督が発言した。
「ヤマトにせよ、まほろば にせよ、あまりにも戦闘力が高すぎる!特にあの広範囲の殲滅砲(拡散波動砲)は脅威です!!此処はやはり、両艦を直ちにロストロギアと認定して接収すべきだ!」
何人かの高官が賛意を示すかのように頷く。
これらは全て管理世界拡大推進派・魔導師至上主義の局員だ。
この意見に対し、“陸”を始めとする管理局の穏健派の局員は「まだ、諦めていないのか此奴らは?」と冷ややかな視線を送り、反論する者も居た。
「お言葉ですが、接収できるのですか?今の我々に?」
「何だと!?」
「それは、どういう意味だ!?」
発言したのはクロノの母親であり、フェイトの義母であるリンディ・ハラオウンだ。
「XV級をいとも簡単に撃破したガトランティスの戦闘艦艇を数で劣勢だったヤマト、まほろば はそれを難なく撃破したのです。あの二隻を接収するのに一体何隻の次元航行艦と何百人の乗組員を犠牲にするつもりですか?それに地球の戦力はあの二隻だけではないんですよ。当然、彼らの本国にはあの二隻と同等の戦闘艦艇が多数配備されているものと考えるのが普通でしょう?それら全ての戦闘艦艇を管理局は接収出来るのかしら?」
リンディの指摘は正しかった。
地球防衛軍は無人艦も含めた艦艇の新造と改修を急ピッチで進めていたが、その中には鹵獲した白色彗星帝国軍の艦艇に加え、アメリカはアンドロメダ級に匹敵する独自枠の大型戦艦アリゾナ級の建造を決め、既にその建造を開始していた。
またヨーロッパ各国やロシア、中国にもそれと同じ動きが有る。
そして、日本もアンドロメダ級に継ぐ、アンドロメダ・改級戦艦の就役が間もなくと言う所まで来ていた。
また、アンドロメダ級二番艦以降の建造も行われている。
反論を試みようとした提督の機先を制するように、地上本部、本部長のセオドア・ロールスロイスが発言した。
「あれだけの戦闘艦艇を建造し、複数保有・運用するだけの科学力、技術力、軍事力があるのなら、本国防衛の戦力、周辺近海における警戒網も相当なものでしょう。我々魔導師が忌み嫌う質量兵器を使うことも躊躇しないでしょうな。ましてや、何度も侵略されていたのなら、一般市民も含めて侵略者への敵愾心は強いはずです。一般市民から向けられる敵意と憎悪に若年者が多い本局の武装隊員が耐えられますかな?パニックになって現地の一般市民を無抵抗のまま虐殺する様な事態が起こったら一体どうするのですか?」
ロールスロイスは現地で起こるかもしれない暴行と虐殺を危惧するが、まぁ、そんな事態が起これば、管理局は事実を捏造し、現地の住民が局員に対し、暴行を働いたので、やむを得ず、鎮圧した等と言う既成事実を発表するだろう。
いや、それ以前に管理局の局員が地球へ地上戦に持ち込む事が出来るのか疑問な所だ。
管理局は未だに地球連邦のある地球の位置を把握していないのだ。
「それに、地の利は向こうにあるんです。例えば、地下都市に誘い込まれて逃げ道を塞がれ、毒ガスなり大量の水等を流し込まれたら、いかな高ランクの魔導師とて持ちませんよ。もし、彼らの地球を侵略なさるなら、本局の局員だけでやっていただきたい。我々“陸”は、そんな馬鹿げた茶番に大事な部下を一名たりとも貸し出す気は毛頭ありません!!」
と、万が一地球連邦と戦争になった場合、“陸”は一切、人材面等の協力は行わないと明言した。
しかし、管理局が地球に対し侵攻した場合、恐らく防衛軍は侵攻して来た管理局の艦艇を返り討ちにし、逆にミッドへと侵攻し、ミッドはヤマト や まほろば を始めとする地球防衛軍艦船の手によって焼野原となり、都市と言う都市は全て廃墟の様に灰燼に帰すだろう。
地球連邦、地球防衛軍が侵略者に対して一切の妥協も容赦もない事は、ガミラス、ガトランティス、暗黒星団帝国との戦いを見て分かる事だ。
それどころか、本局に例の波動砲を直接撃ち込まれる恐れだってある。
しかし、
「我々を侵略者呼ばわりするおつもりかっ!?」
局員の中には自分たちが侵略者ギリギリ手前であると言う事を自覚していない者が多い。
「こちら(管理局)の都合だけで管理世界入りやその世界の宝物を勝手にロストロギア認定して、ろくすっぽ説明もせずましてや対価も支払わず、強奪同然に収集するやり方を、侵略や略奪以外に何と表現するのかな?是非ともお教え願いたい」
ロールスロイスはドヤ顔で拡大推進派の局員らに訊ねる。
「なっ!?」
彼の言葉に拡大推進派の局員は絶句する。
だが、他の“海”と“空”の高官の中にはロールスロイスの言い草に激昂しかかる者もいたが、“陸”と穏健派の高官は図星かとばかりに、彼らに冷めた視線を送っていた。
「そこまでにしたまえ!!」
沸騰しかかった雰囲気を制したのは三提督の一人であるキール元帥だった。
「まだ、地球防衛軍の我々に対する態度が全くわからない以上、こちらから不用意に動く事は挑発になりかねん。ましてや、向こうの戦力の方が上ならなおさらだ。それに、彼らはハラオウン執務官たちの身柄を必ず此方へ返すと言っているのだから、我々はその言葉を信じようではないか。誠意には誠意で応えるのが人としての礼儀というものだろう」
大部分の出席者は頷き、納得していない者も三提督の言葉に反論し、噛み付き、その言葉を撤回させる度胸の有る者はない。
そのため、管理世界拡大推進派や魔導師至上主義の局員も達も渋々ながら同意した。
会議終了後、管理世界拡大推進派、魔導師至上主義の局員達はまるで苦虫を噛み潰したような顔で会議場を後にしていく。
その者たちの考えはあの様な危険な質量兵器を所有する世界は管理局によって管理、運営されるのが正しいのだ。
そう言う考えが、彼らの中にはあった。
彼らが、とある一室へと入った時、
「ぶ、部長!」
モニターを見ていた技術員が首を傾げ、しばらくキーボードを操作してから、困惑の声を上げる。
「どうした?」
「大変です!!これをっ!!」
部下に呼ばれた上司は面倒臭そうに顔を上げた。
「防衛軍に積み込まれた次元通信ポッドからの信号が突然異常になりました!!」
部下が指し示したモニターを見た上司は顔色を変えた。
「な、何だ、これはっ!?」
モニターには、正常ならばポッドの位置座標軸、つまり地球防衛軍の まほろば の正確な位置座標を示しており、計画では第97管理外世界とは異なる、A.D.2201年の地球の座標を突き止められるはずだった。
ところが、座標軸信号が突然不規則な動きを始めたかと思うと、デフォルメされたニコちゃんマークがアッカンベーをしている顔が画面を埋め尽くした。
「こ、これは一体‥‥?」
苦り切った表情の「部長」はしばらく自らキーボードを操作していたが、
「や、やられた‥‥」
彼は、歯をギリギリと喰いしばる。
「我々が思っていた程、連中は甘くはなかったようだな‥‥」
と、もう一人の局員が呟く。
管理局は騙すつもりが逆におちょくられた結果となった。
その部屋に居た局員はクロノには内密に次元通信ポッドを改造しろと命じた目の前に居る自分たちの上官をチラッと見て、
(だから言わんこっちゃない。下らん小細工をするからさ)
と小声で毒づいた後、ウィルスの有無を確認したが、特に異常は無かったため、その事を上司たちに報告した。
報告を聞き、通信ポッドに細工を施す様に命じた上役の局員は、
(おのれ、質量兵器しか使えぬ蛮族共め!!俺に恥をかかせやがって!!この借りは必ず返してやるぞ!!)
と、勝手に防衛軍側を逆恨みしていた。
ヘリオポーズを通過して、ようやく地球との交信可能宙域へと入ったヤマト と まほろば は早速地球との交信を試みた。
「ハッキング形跡無し、セキュリティ、異常なし‥‥回線接続確認‥‥地球との通信回路、繋がりました」
ギンガが地球との通信回路を開くと、艦橋のメインモニターには藤堂司令長官が映り、ヤマト、まほろば の艦橋員は起立し、藤堂長官に対し敬礼した。
「ヤマト、まほろば、無事に戻って来たか」
「はい」
「状況を聞こう」
「はっ、我々は現在、ヘリオポーズ近海に来ています。現在までの行動結果を報告します」
良馬と古代から、遭難した時空管理局次元航行艦と襲撃した白色彗星軍残党との接触と戦闘、生存者の救出。
ガミラス艦隊との合流、暗黒星団帝国軍との戦闘、古代守とスターシア、サーシア、ユリーシャの救出等を順に報告し、スターシアはイスカンダルへ残った事、
そして先程、ヘリオポーズにある小惑星に残してきた通信機によって時空管理局とコンタクトをとった事を報告した。
流石に暗黒星団帝国軍の事は軽々しく扱えないため、詳細は後日行うことで合意した。
そして、イスカンダルから地球への帰路の途中の守が藤堂の前に現れた。
「長官、またお世話になります」
「うむ。よく決心してくれたな。帰還を心より歓迎する」
藤堂と守は短い会話した後、守に代わって前に出たのは、フェイト・テスタロッサ・ハラオウンとティアナ・ランスターだ。
地球防衛軍の最高指揮官が相手ということで二人とも緊張は隠せないようだ。
藤堂を前にして踵を揃え敬礼した。
「時空管理局・次元航行本部所属執務官、フェイト・テスタロッサ・ハラオウンと申します。この度は危ない所を助けていただきましたこと、心より感謝致します、藤堂長官」
「ハラオウン執務官の補佐官を務めております、ティアナ・ランスターです。防衛軍の皆さんには大変良くしていただいております」
藤堂もフェイト達に答礼する。
「地球防衛軍司令長官の藤堂平九郎です。この度は我々の地球と彗星帝国のいざこざに巻き込まれ、とんだ災難に見舞われた様で‥‥亡くなった方々には、心からお悔やみを申し上げる」
「「ありがとうございます」」
表情を曇らせた二人に労るような視線を向け、
「君たちにも不便と不安をかけてしまうが、月村艦長の言うとおり、故郷に帰すよう手段を尽くす。今暫く我慢して待ってもらいたい」
と、フェイトとティアナとの会見を締めた。
ヘリオポーズから彗星帝国が哨戒ラインを設定していると思われる第十一番惑星近海までは、ヤマト、まほろば、雪風・改は通常の巡航速度で地球を目指す事となっている。
その間、フェイトとティアナは、特に不自由な思いをする事無く、ヤマトでの艦内生活を送っていた。
予てから地球防衛軍の宇宙戦士達の身体能力の高さに驚いていたフェイトとティアナは、彼らに追いつきたいとばかりにトレーニングルームに行くことが増えていた。
トレーニングルームは立ち入りが許可されている生活エリアにあるため、フェイトたちも自由に使えるのだ。
トレーニングルームに向かったティアナと分かれて部屋に戻ってきたフェイトは何気なく、今自分が着ている女性用戦闘服に視線を向けたと思ったら、いきなりその服を脱ぎだした。
そして、
「これをベースに、真・ソニックフォームのジャケットを組み直してみようかな?バルディッシュ」
「畏まりました、マスター」
と、ベッドに先程脱いだ服を置いた。
この服はボディラインがもろに出てしまうのがフェイトたち女性陣にとっては玉に傷で、上にジャケットが欠かせない。
フェイトたちも最初に着用する際は恥ずかしがっていたのだが、今ではもう慣れた様子。
そして、この服はパイロットスーツや簡易宇宙服の機能も兼ね備えているだけあって、極めて軽量かつ丈夫で結構激しい運動にも対応できる等、実用性が高い感心な一品だった。
しかも腕や脚はフルカバーされているので、これをモデルにすることで、真・ソニックフォームの特色である高機動性を維持しながらこれまで露出されていた腕・脚部の防御力を上げるのにはうってつけだ。
それ以外でも、管理局の次元航行艦乗りには是非とも採用してもらいたいぐらいだ。
フェイトはバルディッシュをサーチモードにして、ベッドの上に広げてある服の採寸を始めた。
そして、採寸が終わり、新たなバリヤージャケットの草案を練り始めた。
採寸が終わった後、喉が渇いたので服を再び着用して食堂に何か飲み物を貰いに行った時、
「ん?あれは?」
通路で、オロオロした様子の守がフェイトの視界に入った。
ヤマトの生活区にある高官用ゲストルーム。
古代守一家三人はこの部屋で起居していた。
守はヤマトに乗艦中、役職は無いため、在室していることが多かったが、時折展望室や食堂に父子揃って姿を見せており、サーシアとユリーシャはヤマトの乗員たちに愛嬌を振りまき、彼女たちはすっかりヤマトの小さなプリンセスになった。
サーシアとユリーシャの身辺の世話は主に森雪がしていたが、雪は第一艦橋員でもあるので、常にサーシアとユリーシャの二人に付きっきりと言う訳にはいかず、そんな状況を知ったフェイトが子守の手伝を申し出たのだ。
ヤマト乗艦当初、ティアナも一度、チャレンジしてみたが、ティアナの釣り目が怖かったのか、サーシアに大泣きされ、気の毒なくらいしょげてしまった。
「はい、終わりました」
サーシアとユリーシャのおむつを替えていたのは守でも雪でもなく、フェイトだった。
現在雪は勤務時間のため、第一艦橋に居る。
そのため、サーシアとユリーシャの面倒は守が見ているが、やはり男手では母親のようにはいかなかった。
突然泣き出してしまった娘たちの対処にオロオロしていたのだ。
そこへ、運よくフェイトが通りかかり、対処したと言う訳だ。
「すまない、助かったよ」
守は手際よく、おむつ交換を行ったフェイトに礼を述べた。
「いえ。姪と甥たちの世話で多少経験があるだけですから‥‥」
フェイトが頬を染めて応える。
(やっぱり、フェイトさん守さんに‥‥でも、相手は既婚者‥‥まさか、フェイトさんに限って略奪愛をするとは思えないけど‥‥でも、相手があのスターシア陛下じゃ、いくら、フェイトさんでも勝ち目は‥‥)
と、途中でフェイトに会い、ゲストルームへ一緒に来たティアナは上司の珍しい姿に感想を持ちながらも興味津々の表情になる。
サーシアは母親と共通である金髪ロングの容貌が幸いしたのか雪とフェイトにはすぐに懐いた。
ユリーシャの方はサーシアよりも好奇心旺盛で人懐っこい性格なのかティアナにも泣くことなく接しており、現在もティアナの腕の中に居る。
ただ、好奇心が旺盛すぎると言うか怖いモノ知らずなのか、ティアナの頬を叩いたりしている。
他にも佐渡の愛猫のミーくんやアナライザーもユリーシャの興味対象となっていた。
後日、漸くサーシアがティアナの顔を見ても泣かなくなり、笑顔を見せた時、ティアナは思わず感動の涙を流した。
しかし、おむつ替えなどの実際面をやってみると、やはり身近に幼な子が居り、子守経験が有る分、雪よりもフェイトに一日の長があった。
雪はフェイトがいる分、レーダーの監視や生活班長の仕事に集中できるのだが、近い将来にサーシアとユリーシャの叔母になる身としては複雑で同い年のフェイトに負けていられないとばかりに競争を挑んだ‥‥わけではなく、率直にフェイトに教えを乞うた。
優れた宇宙戦士は、自分より高い力量を持つ者は率直に称賛を贈り、教えて貰うか技術を盗み取って、自分のものにするものだ。
そう言う点においては、雪は紛れもなく優秀な宇宙戦士だと言う事なのだろう。
ヤマト と まほろば が地球まで帰還するのはもう間もなくである。