星の海へ   作:ステルス兄貴

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六十三話 帰還

 

第十一番惑星近海まで来たヤマト と まほろば、雪風・改は、此処から一気に土星圏までワープし、彗星帝国の哨戒網を通り過ぎようとしていた。

 

「ワープ準備完了!!」

 

「周囲に敵影なし!!」

 

「よし、ワープ!!」

 

「ワープ」

 

ヤマト、まほろば、雪風・改は彗星帝国に捕捉される前に第十一番惑星近海をワープで切り抜けた。

土星圏までワープして来たヤマト、まほろば、雪風・改の三隻は土星圏に入り次第、直ぐに防衛軍のタイタン基地に味方識別信号を送った。

彗星帝国艦艇の残党と間違われて攻撃されてはたまらない。

 

「艦長代理、第六内惑星警備艦隊旗艦、香椎の村瀬艦長から、守さん宛に入電です。『トッテオキノ酒ガアルカラ、ジカンガアッタラ飲モウゼ』‥以上です」

 

古代が相原からメッセージシートを受けとった。

 

「後で俺が持って行く」

 

「やれやれ、気が早い奴だ」

 

真田が苦笑しながらパトロール艦の艦長として警備任務についている同期生の名を挙げた。

今は亡き、土方竜が訓練生から「鬼竜」と言われるほど徹底的に鍛え上げた2190年卒業組は「華の90年マフィア」と言われるほど優秀な人材を輩出し、対ガミラス戦の終盤には古代守を皮切りに駆逐艦艦長や航空隊隊長に抜擢される者が相次ぎ、生き残った者は白色彗星戦の頃には戦艦を始めとする各艦種の艦長や部隊長、基地司令になるものも出ていた。

しかし、白色彗星戦役でもかなりの者が戦没し、宇宙艦隊や基地勤務者の生存者は、任官時の三割強にまで減ってしまったが、生き残った者はより重要なポストを任されるようになっていた。

守はこの航海の途中で、沖田の他に教官だった土方がガトランティスとの戦いで戦死した事にはやはり心を痛めていた。

 

「これから同じような電文がどんどん入って来るからな、覚悟しておけよ。相原」

 

「はい」

 

と、古代の言葉に相原は苦笑した。

 

「華の90年マフィア」‥その中でも「スペース・イーグル」の異名を持つ古代守の存在は一際輝いていた。

その古代守がイスカンダルから帰ってくる。

生き残った同期生はもちろん、彼の指揮下で戦ったことがある元部下たちは揃って彼の帰還を喜んだ。

 

 

ミッドチルダ首都・クラナガン、時空管理局・航空戦技教導隊 隊舎

 

教導隊の隊舎食堂で、教導官・高町なのは は特別な事がない限り受講生に混じって食事をとるようにしている。

それはやはり六課での経験で、下の者たちと積極的に混じって言葉を交わさないと、分かるモノも分からないし、伝わらないと言う事を学んだからだ。

初めてフェイトやヴィータと出会った当初は言葉にしなければ伝わるモノも伝らわらないと思っていたのだが、目指していた教導官になってからは何時の間にかスポ根に登場する監督みたいに言葉にしなくても訓練を続けていけば自分の伝えたい事を理解してくれると思っていたのだが、六課時代におけるティアナとの一件でそれが間違いだと気づいた。

そのため、こうして生徒である受講生たちと一緒に昼食の席を共にしているのだ。

そして受講生たちの話題は専ら、先日その存在が公表された「地球防衛軍」の宇宙戦艦(スペース・バトル・シップ)ヤマト と まほろば、それに搭載されていた戦闘機の事だった。

 

「大きさはほぼXV級やそれ以上の大きさの上に、噂じゃあ一隻でアインヘリアルを上回る火力を搭載しているらしいよ」

 

「正気の沙汰じゃないわよ。もし、そんな艦船と戦う事になったら‥‥」

 

「高町教導官の『スターライト・ブレイカー』ならダメージを与えられるんじゃないか?」

 

などと主張する受講生を横目に、なのはは黙々と食事を続けていた。

管理局は魔法をベースにした戦闘を行っており、これまでは管理局を明らかに上回る武力や魔法が通じない組織等の存在を想定していなかったため、管理局‥特に“海”は対応に苦慮しているのだ。

ヤマト と まほろば の艦首にはアルカンシェルを上回る戦略砲(波動砲)がある。

つまり、地球防衛軍の‥少なくとも戦艦クラスにはあれが標準装備されているということだ。

そして、地球出身者の なのは は『戦艦』の意味を知っていた。

自らの主砲弾の直撃にも耐える防御力と相手を破壊できる強力で圧倒的な攻撃力を持ってこそ、『戦艦』を名乗れるのだと。

つまり、自分の『スターライト・ブレイカー』も恐らく地球防衛軍の戦艦には通用しない。

撃った所でかすり傷一つもつける事は出来ないかもしれない。

 

「高町教導官?」

 

先程から黙っている なのは に一人の受講生が声をかけた。

 

「えっ?あ、はい。何かな?」

 

「地球防衛軍は、教導官の出身世界とは違う世界の地球の組織なんですよね?」

 

「うん。そうみたい」

 

「管理局と地球防衛軍は仲良くやれるんでしょうか?」

 

不安そうに受講生は娘(ヴィヴィオ)と似た様な質問をして来た。

それはなのは自身の疑問でもあるのだが、教え子を不安にさせるわけにはいかない。

 

「少なくとも、地球防衛軍はフェイトちゃ‥‥ううん、ハラオウン執務官たちを救出して厚遇してくれている。今は地球防衛軍を信じるしかないよ。機動六課時代の教え子(スバル)が まほろば の艦長さんとお話ししたんだけど、魔法を使わない事以外は、私たちと変わらない人たちだったって。だから、こちらが構えたら、向こうも疑心暗鬼になるよ。まずは相手を信頼することが平和の第一歩なんだから。ねっ?」

 

「は、はい」

 

なのは の言葉を聞き、受講生は少し不安から解放された様子であった。

しかし、時空管理局と地球防衛軍の関係は、なのはたちが願う通りにはなかなか進展しなかった。

 

次元航行本部の一角、クロノ・ハラオウンのオフィスにはシグナムとカリム・グラシアの義弟、ヴェロッサ・アコース査察官がいた。

話題は無論、管理局‥特に本局を揺るがしている地球防衛軍を含む未知の軍事勢力についてだ。

 

「それにしても、クロノは頭痛が絶えないねぇ~心中お察しするよ」

 

飄々とした口調で話すヴェロッサにクロノは苦い表情になったが、否定はしなかった。

 

「お歴々の中には ヤマト や まほろば をロストロギア指定して接収しろとおっしゃる御仁もいらっしゃるとか?」

 

本局内で流れる噂の真意をシグナムはクロノに訊ねる。

 

「無茶苦茶な話さ。艦船は運用する人間次第で敵にも味方にも変わり得るというのに‥‥それが出来なければ、優秀な艦船もタダの鉄の塊さ。しかも、下らない『小細工』をした挙句、見抜かれて逆にからかわれているんだからな。全く持って情けない話さ」

 

クロノが言う「小細工」は、“海“の一部の高官らが、まほろば の現在位置と更には彼らの故郷であるもう一つの地球の位置座標を探ろうとしてクロノが用意した次元通信ポッドに内密で逆探知機をセットしたら、逆に防衛軍側からおちょくられた事を指していた。

その件が明るみになった時、次元世界積極拡大派や魔導師至上主義の高官たちは不機嫌になったが、慎重派に属するハラオウン親子とレティは内心で舌打ちした。

まだ対立するかもわからない相手に下手なちょっかいを出して、本当に敵に回したらどうするつもりなのか?

相手はとんでもない戦闘力を持つ宇宙艦船を複数保有するれっきとした宇宙軍なのだ。

しかも、向こうにはまだフェイトたちがいるのを知っていてやっているのか?

と、彼らの行動に呆れるどころか怒りさえも抱いた。

彼らの軽はずみな行動で向こうに居るフェイトたちにスパイ疑惑をかけられれば、ミッドに帰国するどころか、向こうの軍刑務所に収監されてしまう恐れもあるのだから‥‥。

更に自分がファーストコンタクトをとった後、あの小細工が判明したのだから、あの小細工を指示したのが自分だと思われたかもしれない。

クロノにとって濡れ衣を着せられたのでいい迷惑であった。

 

「彼らはヤマト や まほろば の桁外れの破壊力が欲しいのだろう。一隻でアインヘリアル三基分以上の火力にアルカンシェルを軽く凌ぐ破壊力の戦略砲(波動砲)を持つんだから、反管理局勢力に睨みをきかせるには十分に持ってこいだろうからな」

 

シグナムが最もらしい意見を言う。

 

(睨みだけならともかく、侵略行為に走らなければ良いが‥‥)

 

クロノはシグナムの意見を聞き、管理局がガトランティスの様に侵略行為を率先して行わないか危惧した。

大抵の場合、力を得た者はそれを使ったり、試したりしたいと思うものである。

そして、その欲求が度を超えれば力に呑まれ、力を振るう為に闘いを望むようになってしまう。

やがて、その先に待つのは多大なる犠牲と積り積もった恨みと憎しみ。

そして全てが無となる破滅だけだ。

 

「案外、彼方さんは管理局の存在に疑念を抱いて、ああいう対応に出たのかも知れないね」

 

「どういう事だ?ヴェロッサ?」

 

自分の組織に対しシビアな事を口にするヴェロッサにクロノが訊ねる。

しかし、それと同時に無理はないと思う。

そして、ヴェロッサはクロノの疑問に答える。

 

「確かシグナム、君の主やなのは君の出身世界では、子供が表向き軍や警察組織で働く事は禁じられているんだろう?彼らが君の世界の人たちと同じメンタリティを持っていて、ノアやテリオスの艦内を捜索したのなら、十代前半の魔導師を働かせている時空管理局に対して強い疑念、あるいは不信感を抱いたとしても不思議ではないさ。ましてや生死を司る職業軍人ならね」

 

「「っ!?」」

 

ヴェロッサが言ったのは、ノアとテリオスの殉職者に十代前半の少年、少女が武装隊員として含まれていたことだ。

防衛軍の人たちがノアとテリオスの艦内を捜索した際、まだ十代そこそこの幼年局員らの亡骸を見た可能性は十分に高い。

十年に及ぶ管理局勤めのせいで、主であるはやてと共に地球に住んでいたにも関わらず、地球人が持ち合わせている子供に対する基本的な倫理感を忘れていたことに、シグナムは愕然とした。

 

「彼らは、既に魔法の事も掴んでいるかも知れないな」

 

クロノがポツリと呟く。

 

「どういう事だ?クロノ?」

 

「ノアとテリオスの捜索の時に、魔法関連の資料も回収された可能性があるということさ。案外、管理局の影の部分の情報も知られたと言う事さ」

 

シグナムの疑問に答えたのはヴェロッサだった。

 

「まぁ、あくまで可能性だけどね。侵略者を何度も返り討ちにした軍隊なら、相応のずる賢さや用心深さも持ち合わせているんじゃないかな?」

 

「「‥‥」」

 

クロノもシグナムもヴェロッサの言葉に何も言えなかった。

もしも彼らの地球や太陽系内の惑星・衛星にロストロギアの存在が明らかになったり、次元犯罪者が逃げ込んだら、厄介な事になる。

容易に回収はできないし、それどころか、けんもほろろに追い返されてしまうのでないか?

次元犯罪者の場合でも身柄の引き渡しに関しても時間がかかり、またどこかへ逃亡してしまう可能性もある。

そうなれば、管理局側も黙っては見ていないだろう。

何かしらの責任や制裁措置を防衛軍側に取ろうとするのではないだろうか?

クロノは自身が座乗するクラウディアがヤマトの波動砲の閃光に飲まれる場面を‥‥

シグナムはミッドの空を防衛軍のあの戦闘機(コスモタイガー・コスモゼロ)が蹂躙し、地上に対し絨毯爆撃をする場面を想像して、互いに戦慄した。

そこへ、

 

Prrrrrr‥‥

 

と、オフィスの通信機が外線を知らせるコール音を奏でた。

 

 

此処で時系列はクロノのオフィスに外線がかかってくる少し前に跳ぶ‥‥

 

ミッドチルダ極北地区・ベルカ自治領、聖王教会本部にて、時空管理局理事官(少将待遇)を兼ねる騎士、カリム・グラシアは、いつものとおり、午後のティータイムの時間を楽しんでいた。

ティーカップに注がれた紅茶の香りを愛でていたその時、突如、彼女の稀少能力(レアスキル)「プロフェーティン・シュリフテン」が発動した。

カリムは急いで紅茶の入ったティーカップを置き、机上のペンを手に取り、メモ用紙に預言を書き記していった。

 

「こ、これは一体‥‥どういう事‥‥?」

 

ペンを置いたカリムはメモ用紙に書いた走り書きを公文書用の便箋に清書していく。

清書し終え、書かれた内容を一読した。

 

 

正義に溺れし、法の番人

 

星海を行く戦船と出逢う‥‥

 

驕れるまま船出する番人の船

 

自らが招きし愚かな所業にて、業火の中へと焼け沈む‥‥

 

 

清書し終えた直後に再び彼女の稀少能力(レアスキル)が発動した。

こんな短時間に二度も発動するのは今までの人生の中でこれが初めての出来事だ。

兎も角、カリムは二度目の預言も書き記し、再び公文書用の便箋に清書した。

 

「‥‥」

 

二つ目の預言を見て、カリムは言葉を無くした。

二度目の預言には、以下の様な言葉が書かれていた。

 

 

 

 

星海を行く法の番人の船

 

独裁を司る者の宝物(ほうもつ)を強奪せんとす

 

独裁を司る者は、怒り狂い、強奪せし法の番人を業火の彼方へ滅する

 

報復せし法の番人は、独裁の地へと赴く

 

されど番人は漆黒の闇へと飲まれる.

 

 

 

 

「ダメだわ。これ以上は解らない。それにしてもこれは‥‥」

 

法の番人とは時空管理局。

星海を行く戦船とは、先日フェイトたちを助けた「地球防衛軍」の宇宙戦艦ヤマト、まほろば の事を指しているのだろう。

地球防衛軍といえば、先日、フェイトが自分たちの無事を報告してきた時、クロノ・ハラオウンやスバル・ナカジマとも直接会話した まほろば の艦長は、現在の管理局にはいないタイプの士官だという。

預言の前半はいいだろう。

しかし、後半のそれは穏やかではない。

それに二つ目の預言も内容からして、不吉な単語ばかりである。

管理局の“海”が暴走した挙句、自業自得で壊滅的な打撃を受けるということか?

 

「早急にクロノ提督と話し合う必要があるわね」

 

いずれにせよ捨て置く事はできない。

そう思ったカリムは手元の鐘を鳴らしてシャッハを呼んだ。

 

「お呼びですか?騎士カリム」

 

「シャッハ、直ぐにクロノ提督と連絡を取って‥‥それと騎士はやてにも連絡を取って、此処に来てもらって頂戴」

 

「承知しました」

 

カリムの慌てている様子からシャッハは急ぎ、クロノとはやてに連絡を取った。

 

 

それから暫くして聖王教会本部の一室にはカリムとシャッハに加え、カリムの呼び出しに応じたクロノと はやて の姿がいた。

その席で、カリムが自分のレアスキルが二度も断続して発動した事を告げると、一同は表情を引き締め、「預言」の内容に聴き入った。

 

「星海を行く戦船はやっぱし、ヤマトか まほろば の事やろうなぁ‥‥現にフェイトちゃんたちは、今ヤマトに乗っとる。まさに預言どおりや」

 

「でも、『驕れるまま船出する番人の船』って‥‥それは、やはり‥‥」

 

クロノが戸惑った声を上げるが、はやてがすかさず応えた。

 

「クロノ君、残念やけど、管理局‥特に本局の一部が傲慢になっとるのは事実や。機動六課は地上部隊とはいえ本局主導やったし、それも含めて、本局万歳、魔法万歳、地上本部はバカばっか、魔法を使えない奴は魔導師に従え、と思うアホどもが増殖しとるんよ‥‥それはクロノ君自身も分かっとる筈やで?」

 

「‥‥」

 

クロノ自身、昔の事で思う事が有るのか、黙り込んだ。

そして、

 

「確かに、管理局は、管理外世界やそこに住まう人たち、非魔導師を下に見ているんだろうなぁ」

 

と、自嘲めいた様に呟く。

自分や なのは は管理外世界の生まれだ。

到底看過できるものではない。

 

「もちろん、魔法文化がない事以外では、管理世界の住民と何ら変わらない人間同士ということを解っている者もいるが、やはり、魔法を使えないという一点だけにこだわって、未だに管理外世界や管理世界の住民でも非魔導師や低ランクの魔導師を格下に見る者も少なくないんだ‥‥中には人間とも見ていない者も居る…情けない事にね」

 

「‥‥」

 

そして、はやて たちは二つ目の預言の解釈へと入った。

 

「独裁を司る者‥‥これはどう考えても、言葉の通り、独裁者の事やな‥‥」

 

しかし、管理世界において当然独裁者は存在しない。

むしろ、見方を変えれば管理局自体が独裁者と見ている世界さえもある。

 

「となると、やはり何処かの管理外世界か、まだ発見されていない未発見世界の独裁者と言う訳か‥‥」

 

「『独裁を司る者の宝物を強奪せんとす』‥‥これは、その独裁者の持ち物の中 に、ロストロギアがあり、管理局がそれを強引に押収しようとした‥‥そう言う解釈だろうか?」

 

「恐らく‥‥」

 

カリムがクロノの解釈に頷く。

 

「『独裁を司る者は、怒り狂い、強奪せし法の番人を業火の彼方へと滅する』‥‥これって、その独裁者の所有するロストロギアを押収しようとした局員がこの独裁者に捕まって殺される事なんやろうか?」

 

「「‥‥」」

 

はやての解釈に思わず黙りこくるクロノとカリム。

 

「だが、もし局員が他の世界で殺された場合、管理局がその世界に対して報復を考えるかもしれない‥‥それが、この‥‥」

 

「『報復せし法の番人は、独裁の地へと赴く』‥‥やな‥‥でも‥‥」

 

「『されど番人は漆黒の闇へと飲まれる』‥‥か‥‥管理局はこの独裁者が治める世界に戦いを挑んだが、結果は負けた様な文章だな」

 

「つまり、その独裁者の世界は、管理局よりも高度な技術をもっとるわけやな‥‥少なくともヤマト と まほろば が所属する地球やガトランティス並の‥‥」

 

「管理局はやはり、慢心していたのだと、今回の件で改めて思い知らされたよ」

 

「けど、そんな出来事があったにも関わらず、それを学ばないアホ共が多すぎや‥‥そのアホ共にしてみれば、ヤマト と まほろば、白色彗星帝国、暗黒星団帝国とやらの艦は管理局の思惑をひっくり返した艦やね。ヤマトらの存在が明らかになって、XV級はおろか、今度、就役する新型艦も就役前で役立たずの烙印を押されたんやから‥‥」

 

はやて はやれやれと言った感じで呟く。

 

管理局が自信を持って就航させる予定だった新型次元航行艦はより長期間の行動を可能とした艦船だが、通常空間での航行性能と抗堪性はXV級よりいくらか増した程度で、当然、ヤマト や まほろば を始めとする地球防衛軍、ガミラス帝国、白色彗星帝国、暗黒星団帝国らの艦船とまともに渡り合えるものではなかった。

より高出力の魔力炉や武装を開発し、地球防衛軍の艦船や白色彗星帝国の艦に負けない艦船の開発が待ち望まれていたが、これらの宇宙戦闘艦の航行性能は、管理局の艦船より数世代先を進んでいる上、それらの艦船の残骸さえも未だに回収されていないため、一番知りたかった動力部の詳細は全く不明なため、管理局の技術部の技師や造艦部の技師も頭を悩ませた。

 

「いくら情報が欲しいといっても、クロノ君や向こう(地球防衛軍)の人たちを騙すようなやり方は流石にアカンやろう。それで逆にコケにされとるんやから、ホンマにアホばっかやで‥‥フェイトちゃんたちを助けたんは誰やと思てんねん」

 

“海”の一部がクロノに無断で、通信ポッドに細工をした挙句、逆におちょくられたニュースはたちまち局員中に広まり、常に“海”の局員からバカにされ続けてきた“陸”では笑いのネタになっていた。

はやてはクロノ同様、本局の所属とはいえ、一部の上層部連中が行った今回の小細工には苛立ちを隠せなかった。

フェイトたちが置かれている現状を知りながら、未知の強敵と互角以上に戦い、味方になってくれるかも知れない勢力にまで難癖をつけるような真似をして、管理局は一体何がしたいのか?

自分から敵を作るような行為をして何が正義か?

自らが法律を破る様な真似をして、何が法の番人か?

それだけではない。

管理局はそれらの相手に小細工を仕掛け、見破られ、バカにされ、自らが誇る艦船も羽虫の様に沈められて行く‥‥。

とんだお笑い草で滑稽である。

防衛軍に小細工をした高官と是非共O・HA・NA・SHIしたい。

全力全開でラグナロックをぶつけてやりたい。

はやては心底そう思っていた。

 

「とはいえ、増長や慢心している者は自分が増長や慢心しているなんて考えもしないから余計に性質が悪い」

 

「そうやな」

 

「そうですね」

 

クロノの憮然とした呟きに、はやてとカリムも同調した。

特にはやても六課発足当時はクロノの言う『自分が増長しているなんて考えもしない』と言う部類に属していたと自覚はあった。

本局の上層部のみで基盤を築き上げたせいで、肝心の地上本部との連携はまったく取れず、スカリエッティのテロ行為に対して、常に後手に回り、挙句の果て、地上本部の襲撃と六課の隊舎の崩壊を許し、多数の負傷者を出し、ヴィヴィオを敵の手中に奪われてしまった。

そうした経緯の為か、はやてたち機動六課の幹部はスカリエッティを逮捕し、事件を収拾させたが、昇進は全て見送られたのだ。

そして、JS事件を経験した事で、はやては己の技量の限界を悟った。

その為、今は一からのやり直しをしている最中だ。

局員全員がこうして、自分の間違いや己の技量を自覚すれば良いのだが、正義と言う言葉に浸透し、その言葉に酔っている局員が多い管理局には、今は無理な話なのかもしれない。

 

 

はやてたちが聖王教会にて話し合いを行って居る頃、クラナガンのあるアパートでは‥‥。

 

スバル・ナカジマ、シャリオ・フィニーノ、ルキノ・リリエの三人が旧交を温めていた。

こうして三人が揃うのは機動六課解散式以来なのでかなり久しぶりである。

スバルは六課卒業後、特別救助隊にスカウト入隊し、隊舎の近くのアパートに一人暮らしをしていた。

最初に出会った時は、それぞれの近況報告が行われたが、シャリオとルキノの関心事は何と言っても生存が確認されたフェイトたちの事だ。

シャリオとルキノがスバルの下を訪れたのは、スバルが防衛軍とのコンタクト時にフェイトらと直接会話をした為であった。

そこで、スバルはマッハキャリバーに保存しておいた映像を見せる。

但し、クロノの指示で、あくまでスバル自身がフェイトたちや地球防衛軍側と話をした部分だけだが‥‥

 

冒頭の鼻垂れ大泣きスバルにシャリオ達は大爆笑したが、ティアナがもらい泣きしたところでは、二人とも目を赤くした。

まほろば の月村艦長と話す場面では、二人は一言も発さずに見ていた。

丁度、スバルと月村艦長との会見が終わった時、昼食の為に注文したデリバリーサービスが来た。

しかし、その量はとても、女性三人が食べる量を遥かに超えており、料理を運んできた店員さんは、本来、三人前なら使わないはずの多人数用カートを押して、スバルの部屋に料理を運んで来た。

 

「そう言えばさ、フェイトさんたちはこれからどうするんだっけ?」

 

ルキノが昼食の手を止めて、スバルに確認するかのように訊ねる。

 

「ふん(うん)。『ハマト(ヤマト)』とひっしょ(一緒)に、向こうのちくう(地球)にひく(行く)っへ(て)」

 

ルキノの問いにスバルは口に料理をパンパンに詰め込んだままの状態で答えた。

そのため、何を言っているのか分からない。

彼女の前には一人前とはとても思えない量の料理があるが、スバルはそんな一人で食べきれるのかと?と思われるような量の料理を平然とした顔で食べていた。

 

「スバル、話したい気持ちはわかるけど、口の中に物を入れたまま喋るのはやめようよ‥‥」

 

シャリオがスバルに注意する。

 

「んぐ‥‥ゴクン‥‥フェイトさんたちはヤマトに乗ってもう一つの地球に帰るみたい。管理局の船はまる二日かかるし、向こうは作戦行動中みたいだからね」

 

スバルは口の中を空にして、ルキノの質問に答える。

 

「そっか‥‥じゃ、しばらくは向こうの地球に滞在するんだね」

 

「うん、そうみたい」

 

「ティアナ、向こうの地球で地球防衛軍の艦船プラモデル買って来てくれないかなぁ。管理局の艦船の模型は作り飽きちゃったよ」

 

ルキノはまだ見ぬ地球防衛軍の艦船に想いを寄せる様に言う。

その証拠に彼女の目は煌めいていた。

 

「「ルキノ‥‥」」

 

そんなルキノにスバルもシャリオも少し引き気味だ。

艦船マニア、ここに極まれり‥‥。

しかし、技術肌のシャリオも向こうの地球の科学技術に興味が無いと言えば、それは嘘になるので、ルキノとは別の意味で、防衛軍の艦船には興味があった。

 

「でもさ、本局は大騒ぎだろうね」

 

“陸”所属のスバルが少し声を低める。

 

「うん。グリフィス君の話だと、特に“海”は大騒ぎみたいだって」

 

「そうなんだ?」

 

「管理局の艦船襲撃事件や遭難事件が相次いでいるところに、フェイトさんたちまで遭難しちゃったからね。転属願いを出す局員や管理局を辞める局員、遠くの世界への任務を渋る艦長さんも少なくないみたい」

 

「いくらフェイトさんでも、宇宙空間で乗っている艦がやられてはどうしようもないもんね」

 

本局所属のシャリオとルキノが本局の現状を語り合っていると、

 

「まるで、なのはさんの世界で起こった黒船来航と同じだね」

 

と、大量の料理を全て平らげたスバルがポツリと零す。

 

「「黒船?」」

 

「うん、家のお父さんの遠いご先祖様‥‥つまり、なのはさんとはやてさんの世界の歴史の中で、御先祖様やなのはさんの故郷の国は昔、鎖国状態だったんだけど、ある日突然、異国の軍艦だった黒船がやって来て、それを皮切りに激動の時代を迎えて、二百五十年以上続いていた体制は対応できずに、僅か十五年足らずで崩壊したんだって」

 

「「‥‥」」

 

スバルの話を聞き、二人は言葉が出ない。

 

「当時の人の目には凄く大きくて不気味に映ったらしいよ」

 

「そ、それって、時空管理局も同じ運命を辿るかも知れないってこと?」

 

シャリオが震えながら言う。

 

「地球防衛艦隊と管理局の次元航行艦隊が戦うような事が今すぐ起きるとは思わないけどね。対応を誤れば、管理局の『終わりの始まり』になることだってあるんじゃないかなぁ」

 

スバルにしちゃ、珍しく真剣な表情で言う。

 

「でも、脅威が地球防衛軍とは限らないんじゃないかな?」

 

ルキノも話に加わる。

 

「まほろば とはきちんと話ができたけど、同時にもっと好戦的、支配的な世界があることも明らかになったしね」

 

「うん、だとすれば、一番話が通じそうな地球防衛軍とは仲良くしといた方がいいんだよね」

 

三人は同時に頷いた。

 

「でも、グリフィス君の情報じゃ、本局の一部の局員が防衛軍側になんかちょっかいを出したって聞いたけど‥‥」

 

ルキノがグリフィスから得た情報をスバルとシャリオに話す。

 

「それって大丈夫なの?」

 

「もし、防衛軍がそれに対して抗議して来たりして、フェイトさんたちに変な疑いがかかったりしないかな?」

 

スバルとシャリオが不安そうに聞く。

どうやら彼女たちの耳にはあの噂がまだ入ってきていない様子で、ルキノからの情報に驚いていた。

 

「うん。恥ずかしい話だけど、ちょっかいを出したんだけど、逆に防衛軍側におちょくられたらしいよ」

 

「「‥‥」」

 

「仕掛けた局員は、憤慨していたらしいけど、グリフィス君曰く『これは管理局側の自業自得』だって言っていたよ」

 

「防衛軍側からは、特に抗議らしいモノは寄せられていないの?」

 

「うん。今の所はないみたい」

 

「それって、管理局は抗議するまでに値しない存在って事なのかな?」

 

管理局の将来に一抹の不安を抱く三人であった。

 

 

ここで視点は防衛軍側へと移る。

 

土星圏を抜けて通常航行で一路、地球を目指す、ヤマト、まほろば、雪風・改の三隻。

長い船旅の中で、漸くサーシアもティアナに慣れてきた頃、

フェイトは雪とティアナにおむつ交換を教授したりしていた。

雪は近い将来の為、ティアナはようやく慣れてきたサーシアともっと親睦を深めたいためにこうして雪と共に子守のスキルを上げているのだ。

そして、その他にも‥‥

 

バキューン

 

バキューン

 

ティアナの姿はトレーニングルームに隣接する射撃場にあった。

守は地球に帰還後、防衛軍に復隊するので、勘を取り戻すためにこうしてトレーニングは欠かせないのだが、射撃スキルも取り戻すために射撃場へと赴いたのだが、ティアナも射撃と言う事から興味が湧いたのか古代に頼み込んで守と共に射撃場へと足を踏み入れたのだ。

当初、古代はどうしたものかと直ぐには承諾できなかったが守からも頼まれて、渋々と言った感じで許可を出した。

守にエスコートされながら射撃場へと行くティアナをフェイトは羨ましそうな目で見ていた。

この世界に来て初めて‥‥いや、生涯初めて手に持った質量兵器‥‥。

防衛軍が正式採用しているレーザー銃‥‥コスモガン‥‥。

出力設定を調節すれば、相手を殺す事無く、相手を気絶させることが出来る質量兵器‥‥。

ティアナに貸し出されたのは、最低出力しか出せない訓練用のコスモガンであった。

 

(まぁ、当然の処置よね)

 

と、渡されたのが訓練用であったが、今の自分の立場上から当然の処置だと納得した‥と言うか、この待遇でさえ、異例中の異例なのだから、文句は言えない。

そして、ティアナは手の中にあるコスモガンをジッと見つめる。

 

(この銃が管理局‥管理世界に出回れば、管理局の人員不足は解消されるかもしれないけど、犯罪の数も増えるかもしれない諸刃の剣ね‥‥銃だけど‥‥最もそれ以前に管理局がこの銃の使用を認める訳がないわね)

 

コスモガンの銃口を的に向け、ティアナは引き金を引いた。

管理世界でも横行している質量兵器と言えば、地球でも馴染みの火薬を使用する質量兵器が主流であり、今、ティアナが持っているレーザーを放つ銃なんてSF映画か漫画・アニメの世界の産物だと思っていたティアナにはある意味衝撃的な出会いであった。

火薬の銃と違って撃つ際の反動は無いがクロスファイヤーシュートやシューター等の誘導魔法弾と違い、飛ぶのは一発ずつで銃口から向かうのは一直線上のみ‥‥。

いかに的へ上手く当てるのかは全て射撃者の腕次第と言う訳だ。

ある程度、的に向かって射撃をした後、射撃場を見渡すと隣のハンガーに居た守の姿がない。

 

「あれ?古代さん?」

 

ティアナが声をかけながら、射撃場を歩くと、

 

バキューン

 

バキューン

 

バリバリ

 

バキューン

 

コスモガンの銃声の他にフェイトの電撃の様な音が聞こえてきた。

それは、射撃場と隣接している部屋から聞こえてきた。

ティアナがその部屋を覗いてみると、守が訓練用のコスモガン片手にガジェットの様にフワフワと宙に浮く球体にコスモガンを撃っている。

すると、別の球体からは守に向けて電撃が放たれる。

守はその電撃を交わしながら、先程、自分に電撃を放ってきた球体をコスモガンで撃つ。

そんな事の繰り返しであったが、ティアナは之がアグレッサー(仮想敵)を使っての実戦形式の訓練なのだと言う事が直ぐに分かった。

それから暫くして、その部屋から出てきた守に訊ねるとやはりティアナの予想通りの回答が出た。

この部屋はティアナの予想通り、アグレッサー(仮想敵)を使っての実戦形式の訓練を行う部屋であり、幾つかのターゲット兼攻撃してくる球体を設定された時間内に球体から放たれる攻撃を回避しつつ球体に攻撃をすると言う内容だった。

守から話を聞いたティアナは早速、チャレンジしたが、まだコスモガンに慣れないためか、設定時間前に球体から放たれた電撃を浴びてゲームオーバーとなった。

しかし、ここでそう簡単に諦めるティアナではなく、この日以降、ヤマトが地球へ帰る日まで、ティアナの姿は最低一日に一回はこの射撃場で見かける事となった。

 

 

木星圏へと辿り着いたヤマト、まほろば、雪風・改の一行は続いて火星までのワープを行う事にした。

 

「防衛軍司令部より、火星までのワープ許可が出ました!」

 

「では、十分後に火星圏までのワープを行う。総員、ワープ準備」

 

「了解、総員ワープ準備!!」

 

良馬の指示を受け、永倉や井上が艦のチェックを命じる。

それは、ヤマトでも同様のチェックが行われており、フェイトとティアナは慣れた手つきで固定椅子に座りベルトを締めた。

 

「それにしても、地球や月軌道ならわかりますが、何故火星に行くんでしょうか?」

 

ヤマトや まほろば の性能なら、太陽系はもはや庭のようなもの。一気に地球圏に戻ってもおかしくないのだが、火星に何の用があるのか、疑問に思うのは当然だ。

 

「ソレハ、デスネ」

 

と、ティアナの疑問に答えたのは、ヤマトでフェイトとティアナの世話役となったバトライザーの兄弟機であるアナライザーであった。

初めの頃はその存在やあまりにロボット離れした言動に度肝を抜かれていたフェイトたちだが、いつの間にか日常風景として受け入れていた。

慣れと言うのは恐ろしいモノである。

 

「火星ハ、すたーしあサンノ妹サンガ、オ亡クナリニナッタカラデス。遥カ彼方いすかんだるカラ、文字ドオリ命懸けデ、何ノ打算モナク、波動えんじん等ノ設計図ヲ、地球ニモタラシテ下サイマシタ‥‥ソノ方ノオ名前モ、さーしあサントオッシャルノデス」

 

流石に最後はアナライザーも声のトーンを落とした。

 

「そうだったんだ‥‥」

 

アナライザーから訳を聞き、わざわざ火星に立ち寄る理由も十分理解できる。

 

「ワープ三分前‥‥」

 

古代の艦内放送の声が流れ、彼女たちは無言になった。

そして、十分後、ヤマト、まほろば、雪風・改の前方には火星の赤茶けた大地が接近していた。

 

「目標上空まで、あと五分です」

 

距離観測をしていた星名が告げる。

 

「それじゃあ、副長。少しの間、艦を頼むよ」

 

「はい」

 

良馬は暫しの間、艦の指揮権を副長の新見に任せて火星へと向かった。

 

「コスモタイガー、発進せよ」

 

良馬が艦橋から出ていったのを見送ると新見は上空警戒のため、両艦からコスモタイガーの発進指示を出す。

ほどなく両艦から上陸艇が一機ずつ発進し、コスモタイガーを従えるように火星の地表へと向かう。

まほろば の上陸艇には良馬と坂井が乗り、ヤマトの上陸艇には古代兄弟と森雪が乗っている。

 

「地表の映像‥出ます」

 

ギンガがメインスクリーンに、地上からの映像を展開した。

赤茶けた大地にやや傾いてそそり立つ脱出カプセルと、遠くには宇宙船の残骸。

そして、カプセルの傍らに2m程の盛り土と墓石が建てられ、墓石には、

 

『地球の全生命の恩人ここに眠る』

 

と、刻まれていた。

サーシアの墓‥‥それは、ヤマトがイスカンダルから帰還した後、古代と島の告白の後、所在が判明した。

当時はサーシアの遺体を地球の研究者から守るために火星の地に彼女を葬った事を黙っていたが、イスカンダルから帰還後、二人は藤堂に火星での出来事を話した。

当初、二人は重い処分を覚悟したが、藤堂は二人の思いを組むのと同時に、当時の地球ならば、サーシアの遺体を研究用の検体にする事は明らかであったため、二人には厳重注意だけで済ませた。

その後、サーシアの墓の所在は正式に発表され、ちゃんとした墓地に整備された。

 

ヤマト、まほろばの殆どの乗組員がその場に起立する。

ヤマトの展望室にはフェイトとティアナ、佐渡、アナライザーが立ち、メインモニターに見入っていた。

守の娘のサーシアとユリーシャはそれぞれ、フェイト、ティアナの腕に抱かれている。

 

墓前に雪が花を供えると、一同は頭を垂れる。

同時にヤマト、まほろば の両艦のクルーも一斉に黙祷。

サーシアとユリーシャを抱いているフェイトとティアナは静かに目を閉じ、故人に黙祷を捧げている。

そして、いつもは無邪気なサーシアとユリーシャも、周囲のただならぬ雰囲気を察したか否か神妙な表情でモニターに映る自分たちの叔母の墓に見入っていた。

 

(こういう人たちが世の中に本当にいたんだ‥‥)

 

何のメリットもないだろう事に命懸けで取り組んだイスカンダルの王族姉妹‥‥。

 

(英雄と言う称号はこういう人たちにこそ相応しい称号よね)

 

自分たち、旧機動六課のメンバーはミッドチルダを守った英雄たちと賞賛されているが、この姉妹の壮絶な「実績」はスケールが違い過ぎてとても比べようがないし、イスカンダル王族姉妹の前では、あの三提督でさえ、ギリギリのラインではないかと、フェイトたちは心底そう思った。

 

フェイトたちを乗せたヤマト一行が地球に到着するのはもう間もなくであった‥‥。

 

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