星の海へ   作:ステルス兄貴

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今回、管理局の一部のお馬鹿さんたちがまだ、やらかしました。
ここで登場する管理局の新型艦、R級の外見はガンダムシリーズに登場するスペース・アーク級の艦影をイメージして下さい。

MSの発射口がアルカンシェルの発射口となっています。


七十話 向こうの地球の子孫たち

 

 

 

 

時空管理局本局

 

この日、とある一室に集いたるはクロノ・ハラオウン提督、高町なのは一等空尉と高町ヴィヴィオ、スバル・ナカジマ一等防災士、エリオ・モンディアル二等陸士、キャロ・ル・ルシエ二等陸士の六人だ。

 

エリオとキャロは自然保護隊の長期休暇をとり昨夕から任地の管理世界からミッドに戻っており、ミッドに滞在中は高町家に逗留しているのだが、つい最近になって確認された第二の地球で、現地の軍に保護されているフェイトたちからの定期通信日に重なったため、なのはたちと共にこうして本局にやってきたのだ。

 

指定された時刻まであと五分を切ると、クロノ以外の皆は緊張を隠せずにソワソワし始めた。

 

その時、スクリーンが明滅して、通信が入った事を知らせるアラームが鳴った。

 

やがて、画面が再び切り替わり、フェイトとティアナの姿が映り、その少し後ろに立つ等身大サンタクロース人形と雪ダルマの人形が映し出された。

 

あちらの地球がクリスマスシーズン故の仕様なのだろう。

 

‥‥と、この時、管理局側の皆はそう思っていた。

 

「フェイトちゃん!!ティアナ!!」

 

「フェイトママ!ティアナさん!」

 

「「「フェイトさん、ティア(さん)!」」」

 

なのは以下のミッドチルダ組はフェイトたちの姿を見た途端、もう涙声になっていた。

 

「なのは、ヴィヴィオ、エリオ、キャロ、スバル‥‥」

 

フェイトとティアナも、画面に映る近しい者たちの姿を見て、双眸に涙を溢れさせた。

 

双方とも泣くのが先に立って、なかなか話にならなかったが、なのはたちの付き添い役であるクロノとフェイトたちの後ろの等身大サンタクロース人形と雪ダルマの人形――実はその中には良馬とリニスが見守っていた。

 

(この人‥‥)

 

画面に映る二人‥‥フェイトがなのはと呼んだ女性の存在に内心驚いていた。

 

「なのは」は、瞳と髪の色以外は紅葉の数年後といっていい容貌をしていた。

 

(あの人がなのはさん‥‥やはり、髪型と瞳以外は紅葉さんそっくりですね‥‥)

 

リニスも画面の向こうのなのはを興味津々で見ていた。

 

ただし、良馬もリニスも殆ど身じろぎしておらず、画面の向こうの面々は、まだこちらにまで関心は向いていないようだ。

 

十五分位経った頃だろうか、双方とも落ち着いたようだ。

 

「そう言えば、月村艦長の姿が見えないが、どうなさったんだ?今日は留守なのか?」

 

向こうの世界におけるフェイトたちの身元引受人である以上、彼には直接話したいこともあるのだが‥‥

 

良馬の行方を訊ねるクロノに、フェイトは苦笑しながら話す。

 

「ううん。さっきから私たちと一緒だよ」

 

「一緒って、どこにも‥‥はっ!?ま、まさか‥‥」

 

クロノはもしやと思い、視線をフェイトたちの後ろに鎮座しているサンタクロース人形と雪ダルマの人形に移した。

 

その視線を受けるのを待ち構えていたかのように、突然サンタクロース人形と雪ダルマの人形が動いた。

 

帽子を脱ぎ、顔を覆っていた白鬚を外すと良馬が現れ、雪ダルマの人形の頭の部分をスポッと取ると茶髪にショートボブの女性が現れた。

 

「え?ええっ――――!?」

 

「‥‥」

 

なのはたちはもとより、クロノも呆気に取られた。

 

「いや、驚かせて済まない。こっちはクリスマスシーズンでね、緊張を和らげるためにちょっとしたサプライズを‥と思ったのだが‥‥」

 

ものの数秒でサンタクロースから地球防衛軍の艦長服姿になった良馬が笑みを浮かべながら軍帽を被る。

 

隣では、医師なのか白衣を着た女性も笑み浮かべている。

 

(てっきり人形だと思っていたのに、ずっと微動もせず、気配を消して立ち続けていたの?この人たちは!?)

 

なのはは元より、スバル、エリオ、キャロも驚きを隠せずにいる。

 

(いや、正規の軍人なら、屋内戦闘等のために自分の気配を消す訓練は当然受けているだろうな)

 

一時の驚きから真っ先に我に返ったクロノは冷静に分析した。

 

(しかし、サンタクロースや雪ダルマに扮してこの場にいたとは予想外だったが‥‥)

 

「ハラオウン提督にナカジマ一士以外とは初めてだったね。地球防衛軍所属、宇宙戦艦まほろば艦長の月村良馬です」

 

「同じく地球防衛軍所属、宇宙戦艦まほろば軍医、月村 リニスです」

 

良馬とリニスはさっと挙手の礼をしてみせた。

 

「リニス医務官とは初めてですね。小官は時空管理局・次元航行本部所属、次元航行艦クラウディア艦長、クロノ・ハラオウンです」

 

クロノはリニスに向かい、答礼する。

 

その様子を見て我に返った、なのはたちも居住まいを直し、踵を合わせて直立した。

 

相手は階級こそ言わなかったが、大型艦の艦長ならば佐官か提督クラスであり、違う組織とはいえ、自分たちより上官に相当する人物である。

 

「時空管理局所属・航空戦技教導官、高町なのは一等空尉です!」

 

「同じく、自然保護隊所属、エリオ・モンディアル二等陸士です!」

 

「同じく、自然保護隊所属・キャロ・ル・ルシエ二等陸士です」

 

「同じく、ミッドチルダ港湾特別救助隊所属、スバル・ナカジマ一等防災士であります!!」

 

エリオとキャロの自己紹介を受けたリニスと良馬は内心で嘆息する。

 

時空管理局には彼らなりの事情があるのだろうが、未来を担わせるべき子供を危険な任務に就かせ、あまつさえあんな惨い最期を遂げさせた事実には不快感を禁じ得ない。

 

遺族には手厚いケアーを行っているのだろうか?

 

が、それを表情には出さずに彼らを見遣った。

 

さらに…

 

「さっ、貴女もご挨拶なさい」

 

と、なのはに促されたヴィヴィオも、

 

「た、高町ヴィヴィオです!ザンクト・ヒルデ魔法学院初等科一年生です!!」

 

と、子供らしく元気な声で自己紹介してペコリとお辞儀したが顔を上げるや言葉を続けた。

 

「あ、あの‥‥フェイトママとティアナさんを助けてくれて、ありがとうございました!!」

 

お礼を言うとヴィヴィオは再び頭を下げる。

 

「どう致しまして、リトル・レディー。遭難した船を助けるのは船乗りの掟だからね」

 

拙いながらも、懸命に自分なりの礼を言う少女に、良馬はまた言葉と敬礼で応じた。

 

なのはもまた、画面の向こうに映る月村 良馬に妙な親近感みたいなものを感じた。

 

(月村‥‥すずかちゃんや忍さんと同じ苗字‥‥それにこの人達が住んでいるのも私たちと同じ海鳴に住んでいる‥‥)

 

クロノから見せてもらった戦闘記録映像では、ヤマト、まほろば がガトランティス帝国の艦隊を相手にした戦闘は短時間ながらも苛烈かつ一方的であったことが判明し、なのはたちは戦慄を禁じ得なかった。

 

ただ、実際に相対してみると管理局で囁かれている好戦的な人物という印象は感じられなかった。

 

何より、年少である自分たちを軽んじた様子はなく、ヴィヴィオに対しても対等に応じたあたりは、道理を弁えた人物なのだろう。

 

ただ、人形に扮したりと、変わった一面も持ち合わせているようで、案外そちらの方が地なのではないだろうか――?

 

等と思いつつ、なのはは良馬とリニスの二人と相対する。

 

「先程ヴィヴィオも申し上げましたが、私たちのかけがえのない友人たちを助けて下さいましたこと、本当に有難うございました‥‥」

 

と頭を下げると、スバルたちもそれに倣った。

 

良馬は軽く頷くが、

 

「しかし、生存者より犠牲者の方が圧倒的多数だったのは事実だった‥‥当事者として、ご遺族にはお悔やみ申し上げる」

 

と、なのはたちに頭を下げた。

 

フェイトたちも思わず俯いてしまったため、話題を変える事にした。

 

フェイトとティアナは先日街のホビーショップでプレイしたBRAVE DUELについて話した。

 

BRAVE DUELについては何ら軍機に触れる様なものではなく、単なるアーケードゲームなので、フェイトたちが話しても問題は無かった。

 

フェイトからBRAVE DUELの話を聞いるスバルは目を輝かせて、フェイトとティアナを羨んでいた。

 

しかし、それはスバルだけでなく、なのはたちの方もそれは同様だった。

 

「良いなぁ、BRAVE DUEL面白そう!!」

 

「ヴィヴィオもやってみたい!!」

 

BRAVE DUELとクリスマスを過ごした温泉街での話をしていく内、時間は容赦なく過ぎ、規定の時間になる。

 

「では、次回の定時連絡は、八日後でよろしいですね?」

 

「はい。次回はこちらの上司も立ち会わせたいのですが、よろしいでしょうか?」

 

「ええ、構いませんよ」

 

「ありがとうございます。では、また次回に‥‥」

 

通信を切り、良馬たちは部屋を後にした。

 

喫茶スペースに向かう途中、フェイトたちは途中、お手洗いへ立ち寄った。

 

彼女たちの戻りを待っている時、リニスが話しかけてきた。

 

「難しい顔をしていますね。マスター」

 

「ああ‥‥さっき少し話した、あの高町なのはという女性‥‥彼女に何とも言えない違和感を抱いてね‥‥」

 

「‥‥」

 

ノアとテリオスから回収した資料の中でも何度か触れられていた“エース・オブ・エース”“管理局の白い悪魔”等と物騒な二つ名もある人物。

 

紅葉とそっくりな存在‥‥。

 

しかも、魔法文化が存在しないはずの地球生まれに関わらず、有り余る魔力資質を持っているあたりも紅葉と同様だ。

 

しかし、九歳から管理局の魔導師として活動していたという記録を見た時は、もう開いた口が塞がらなかった。

 

彼女の実績は大したものなのだろう。

 

管理局が言うところの『次元世界』において、数多の事件や次元犯罪の解決に貢献してきたので、エースと言われるのも頷ける。

 

十代半ばには航空戦技教導官として後進の戦闘魔導師の育成にもあたってきたという。

 

時空管理局、特に主流を占めている本局とやらでは、高町なのはとフェイト・テスタロッサ・ハラオウン、それに、なのはと同じく海鳴市出身という八神はやての三人がいれば、世界の二つや三つは簡単に救えると豪語している動きももあるようだが――。

 

フェイトやティアナたちは、自分の生まれ育った世界を守るのだから良いだろう。

 

しかし、高町なのはの切り札という、魔力集束砲撃『スターライト・ブレイカー』は、果たして彼女が生まれ育ったもう一つの地球の平和や安定に寄与できているのか?

 

そういう事に関しては、管理局の豪語には懐疑的にならざるを得ない。

 

時空管理局は、管理外世界には基本干渉しないという建前だ。

 

つまり、向こうの地球で外宇宙からの侵略や戦争が起きようと時空管理局は不干渉。

 

違った見方をすれば『高みの見物』で、高町なのはや八神はやては、管理局員である以上、故郷や同胞に何の手を差し延べてはいないということだ。

 

つまり、救えるかもしれない力を持っていながら、故郷で戦争が起きても決して手を差し伸べず、同じ地球人のである被災者に対して「可哀想」と言って見ているだけなのだ。

 

それは、自分たちの所属している管理局が、管理外世界での魔法使用は「原則として」禁止されているからだ。

 

もっとも、抜け穴もちゃんと用意されているようだが‥‥

 

彼女たちには彼女たちなりの思いがあるはずだ。

 

それは勿論、尊重する。

 

しかし、良馬は‥‥いや、良馬たち、地球防衛軍軍人たちは自分たちの過去の痛みや失策を加味してこう考える。

 

 

自分たちの世界を守れない、あるいは守ろうとしない連中が、他人の世界を守りきれるわけがないだろう。

 

 

それが、こちらの地球が、二度の星間戦争で嫌というほど思い知らされた現実と教訓だ。

 

「それに‥‥」

 

「それに?」

 

「いや、以前、忍さんから見せてもらった昔のアルバムの中に、高町なのはという同姓同名の人がいたから‥‥しかもその人の容姿が先程通信をしたあの人とそっくりだった‥‥」

 

「あっ‥‥」

 

リニスも覚えがあるため、良馬との抱く親近感に気が付いた様だ。

 

 

クロノたちが防衛軍側と定期連絡をしている頃、

 

同じく管理局本局の一室では、五、六名の局員らが集まり、会議を行っていた。

 

「良いのですか?このままで‥‥」

 

「良い訳があるか!!」

 

「その通りだ。管理外世界の蛮族共が、まるで我々管理局と同等の様な振る舞い‥‥今、思い出しても虫唾が走る!!」

 

「あの蛮族共の小細工のせいで、我々の輝かしい経歴に傷がついたのも事実だ!!」

 

ここに集まっている局員は、襟章や肩章からみて、提督や将官クラスの人物であり、その中でも、彼らは時空管理局の“海”でも管理世界拡大推進派、魔導師至上主義と言われるグループに属しており、時空管理局の管理こそが平和を実現するものと信じて疑わない局員たちだった。

 

以前は「最高評議会」から密かに手厚く支援を受けていたのだが、JS事件の混乱の最中に最高評議会が「暗殺」されると逼息を余儀なくされ、更迭・左遷される者も少なくなかった。

 

そして、以前に自分たちが、最初に仕掛けた通信ポッドの小細工を防衛軍側に見破られ、逆におちょくられた事が発覚し、その件に関して厳重注意処分を受けた。

 

その事を完全に逆恨みした彼らは、何とか防衛軍側を出し抜きたいと思っていた。

 

その現状を打開するための方策の一つが第二の97管理外世界の事技術の入手だった。

 

そこで、今度は通信ポッドに細工をするのではなく、直接次元航行艦を派遣し、第二の地球の座標を特定する事にした。

 

極めて不愉快ながらも、彼らの軍が持つ宇宙戦闘艦船の戦闘力は管理局の艦船のそれを大きく上回っている。

 

しかし逆に見れば、あれだけの技術は魅力的だ。

 

あの技術を手中に収め、魔導兵器と組み合わせれば、管理局の戦力は画期的なほど強化できる。

 

彼らはそう考えていたのだが、この時彼らはそれが自分たちの組織を危機に晒す事態になることを予想できるはずもなかった――。

 

「しかし、誰を派遣するのだね?これは極めて危険な任務だが?」

 

「丁度いい人物が居ます」

 

一人の局員がキーボードを操作すると、空間パネルの上に一人の人物の顔写真と経歴が映し出される。

 

「彼など如何でしょう?」

 

表示された人物は以前、ゲンヤの指揮する部隊陸士108部隊と共同で窃盗団を追いかけ、ギンガを輸送船諸共消滅させる作戦を執った執務官、ジュリオ・セレヴァーレであった。

 

「うーむ‥‥だが、良いのか?もし、此奴が任務を成功させては‥‥」

 

「良いではないですか。彼が成功すれば、第二の地球の位置、引いては連中の技術を根こそぎ接収出来る。万が一、失敗すれば、また新たな駒を送り込めばいい‥‥それに、ここ最近、彼の不正にはそろそろ手を焼いておりまして、ほとほと困り果てていましてねぇ‥‥」

 

「確かに‥‥」

 

「我々時空管理局は正義の組織でありますが、そのイメージに彼は相応しくありません」

 

「うむ、君の言う通りだ。我々管理局は次元世界と法の守護者であり、クリーンな正義の組織なのだからな‥‥」

 

「では、早速手配を行いましょう」

 

「そうしてくれ」

 

ジュリオ本人の知らない裏で何やら物騒な事進んでいた。

 

 

それから数時間後‥‥

 

「ジュリオ・セレヴァーレ。参りました」

 

「おぉ。良く来てくれた。セレヴァーレ君。早速だが、君に特別の任務を行ってもらいたいのだが‥‥」

 

「特別な任務‥ですか?」

 

「うむ、君も既に知っているだろうが、例の第二の地球についてだ」

 

「はい。存じております。小憎らしい事に我々管理局に小細工を仕掛けて来たとか?」

 

「その通りだ」

 

「これは明らかに我々管理局に対しての挑発行為に他ならない」

 

実際は管理局が防衛軍に小細工を仕掛けたのだが、管理世界拡大推進派の高官はそれを認めず、反対に返り討ちにした防衛軍側の陰謀だと吹聴していた。

 

「我々管理局は彼奴等に何らかの報復処置をとらなければ、次元の世界の平和‥‥ひいては管理局の尊厳に関わる事だ」

 

ジュリオも管理世界拡大推進派の高官の事を聞いて頷いている。

 

「しかし、残念ながら、その小憎らしい連中の根拠地の座標が分からんのだ。そこで君に次元航行艦を率いてもらい、かの世界の座標を掴んできてもらいたい」

 

「自分が‥で、ありますか?」

 

「無論、危険な任務だと言う事は承知している。しかし、成功すれば、より大きな権限と地位を得られる。そして、君の名は英雄として管理局の後世の歴史に刻まれる事だろう」

 

「‥‥」

 

より大きな権限、より大きな地位‥‥

英雄として後世に名を残せる‥‥

 

これは余りにも甘く軽やかな響きであるが、それと同時に危険な誘惑でもある。

 

「君は悔しいとは思わないかね?あの管理外世界出身‥‥蛮族である高町なのは や 八神はやてがどんどんと有名になっていき、本来ならば、崇高な管理世界であるミッドチルダ出身者である君が未だに彼女たちほど有名でないことに‥‥」

 

「このままでは、君の地位も近い将来彼女たちに奪われるのではないか?」

 

JS事件前は権力を欲しい侭に振っていた彼もJS事件後、管理局の上層部に捜査のメスが入れられ、彼の女性問題について、幾つもの指摘がされた。

 

JS事件前ならば、いくらでも揉み消す事が出来たのだが、JS事件後はそう簡単にいかなくなり、過去の問題を掘り起こされ、近々には降格‥‥いや、懲戒処分を受け、逮捕される危機が彼にはあった。

 

「まぁ、君がどうしてもこの任務を引き受けられないと言うのであれば、誰か別の者に代わって貰うつもりなのだか?」

 

(代わりの人‥‥駄目だ、譲れない、これは俺の得た機会だ。そうだ、あの管理外世界出身の八神はやて‥‥高町なのは‥‥アイツらは将来俺の地位を奪い取る危険な芽だ‥‥だからこそ、この任務に成功し、より大きな権限、より大きな地位を得て、危険な芽は早めに摘んでおかなければ‥‥)

 

この任務に成功すれば、過去の問題など些細な出来事であり、それ以上に巨大な権力と地位、名誉が手に入り、それにより自分の地位は確たるモノになるだろうと、彼は判断した。

 

そして、彼は‥‥。

 

「分かりました。その任務は、是非とも私にお任せ下さい!!」

 

と、ジュリオは提示された第二の地球の探索任務を引き受けた。

 

その様子を管理世界拡大推進派の局員達はほくそ笑んで見ていた。

 

(ふん、単純な男だ。ちょっとプライドをつついてやれば、簡単に踊ってくれる。プライドほどの能力も無いくせにな)

 

一人の高官は彼を見て、そう思っていた。

その反面、

 

(ふんっ、老害共め危険と分かっていて逃げ腰か‥‥そんな弱卒は管理局には不要だ。さっさとそのたるみきった尻を乗せている椅子から退けよな‥‥)

 

ジュリオ本人も目の前に居る高官に対してもあまり良い印象を抱いておらず、下剋上を狙っていた。

 

今回の第二の地球の探査が成功すればそれも出来るだろうと彼はそう判断した。

 

「では、早速君の乗艦する艦を手配しておこう。準備出来次第連絡は追ってする」

 

「ハッ」

 

ジュリオは敬礼し、その部屋を出て行った。

 

それから数日後、

 

ジュリオの下に「艦の準備が出来た」と言う連絡が入った。

 

「今回君が乗艦してもらう艦は、間もなく完成するR級の0番艦、クライスラーを率いてもらう」

 

「R級?0番艦?‥ですか?」

 

「そうだ。近々就役予定のR級の試作艦ともいうべき艦だ」

 

自分に任務を下した管理局の高官の説明を聞き、ジュリオは、

 

(おいおい、こんな危険な任務に試作艦だと?ふざけやがって)

 

と、内心毒づく。

 

「まぁ、試作艦とは言え、就役するR級と何ら性能に関しては問題ない。むしろ、試作艦だからこそ、高コストの装備も備えられている」

 

「は、はぁ‥‥」

 

(本当かよ?嘘くせぇなぁ‥‥)

 

危険な任務と言うのに自分にあてがう艦が試作艦と言う事でかなり疑り深くなる。

 

「乗員も既にリストアップしてある」

 

「物資と乗員が揃い次第、出発してくれ」

 

「ハッ」

 

ジュリオは艦が停泊しているバースへと向かった。

 

 

「捨て駒とは言え、アレに付き合う連中も運の無い奴等だ」

 

ジュリオが去って行った扉を見ながら一人の高官が呟く。

 

「構いません。集めたのは、局員の中でも管理外世界において、現地住民に対して、略奪暴行などの悪行をしまくるような屑と低魔導師や非魔導師等の替えが効く捨て駒連中ばかりですから」

 

「そうか、ならば問題は無いな。ハハハハハ‥‥」

 

と、クライスラーに乗せられる屑局員は兎も角、低魔導師、非魔導師の局員をまるで取り換えが効く機械部品の様に言いながら薄ら笑いをする高官だった。

 

そんな思惑を知らず、ジュリオの方も、通路を歩いていく中、

 

(ふん、あの能無しのゴク潰しどもが、今は、大人しく命令を聞いてやるが、いずれ、俺が上の地位についたあかつきには高町なのはや八神はやて同様、早々に処分してやる。所詮貴様らは俺の引き立て役でよいのだ。この任務が終わったら階級も将官へいっても可笑しくはない。いや、なるべきなのだ。そして、総参謀長‥統括官になり、管理局を動かす‥‥そうだ、その役はこの俺にこそ相応しいのだ。この俺、ジュリオ・セレヴァーレがな‥‥)

 

彼は通路を歩きながら薄気味悪い笑みを浮かべていた。

 

こうして様々な思いを抱きながら、次元航行艦クライスラーは‥‥驕れるまま船出する番人の船は、第二の地球を目指して出航していった。

 

 

ここで時系列は、地球側へと移る。

 

 

管理局との定期通信を終え、喫茶スペースに居た時、唐突に緊急警報のアラームが鳴り響いた。

 

「緊急連絡!プロキオン回廊付近にて、白色彗星帝国軍艦艇複数の反応を確認。太陽系内への侵入を図る模様。総員、第一級警戒態勢!!本土防衛隊は緊急スクランブル!!繰り返す‥‥」

 

放送に聞いた休憩中の本部職員が色めき立ち、持ち場にとって返し始めるが、若年者の中には慌てている者もいた。

 

「うろたえるな!一旦止まって深呼吸してからいけ!」

 

実戦経験者の高級士官が若年者を叱咤する声が響く。

 

フェイトとティアナも不安そうに周囲を見回っている。

 

しかし、良馬とリニスはそんな喧噪を横目にティータイムを続け、カップの中を空にしてからおもむろに立ち上がった。

 

「やれやれ‥‥連中も少しは空気を読んでもらいたいものだ」

 

そう呟きながら軍帽を被る。

 

「ぼやいていないでちゃんと仕事はして下さい。マスター」

 

「分かっている。これも給料の内だ‥‥」

 

「月村艦長、ヘリの用意が出来ています!!お早くヘリポートへお越しください!!」

 

若い防衛軍隊員が伝令内容を言う。

 

地上車で管理局と通信を行っている隊舎から まほろば が停泊しているドックでは、交通渋滞や信号の影響で到着が遅れる。

 

そのため、空から行く事になった。

 

フェイトとティアナをこの場に残していく訳にはいかないので、良馬は忍に連絡をいれ、ノエルが二人を迎えに来る事になり、二人はノエルが運転する車で帰る事になった。

 

軍本部のヘリポートを発進したヘリには、良馬にリニスが乗る。

 

リニスと並んで座っている良馬は、一見したところ緊張した様子はないが、目は猛禽類のような――雰囲気をまとい、手にした端末に指を走らせている。

 

リニスは目を瞑り、静かに席に座っている。

 

ヘリの席で良馬が手にしている端末には、彼が艦長を務める まほろば の各種情報――乗組員の帰艦、弾薬や物資の搬入等の状況がリアルタイムで表示されており、画面をタッチして送信し、当直の士官に指示を伝える。

 

やがて、ヘリは まほろば が停泊しているドックへと到着した。

 

基地では地上係留の艦艇の間を人員や作業車両が走り回り、上空をコスモタイガーや哨戒機が旋回している。

 

良馬たちが乗ったヘリが着陸すると、既にワゴン車が待機しており、良馬たちが乗り込むやすぐに発車した。

 

車はヘリポートから艦が停泊している地下ドックへと向かう。

 

 

宇宙戦艦 まほろば 艦橋

 

「皆、お待たせ」

 

良馬が艦橋に入るや、新見以下の艦橋員が敬礼で迎えた。

 

答礼し、現在の状況を確認する。

 

「全機関異常なし、艦内システムオールグリーンです」

 

「乗組員は全員揃っています」

 

「艦の整備状況は?」

 

「装甲板の交換作業は全て完了。内部工事の一部は中断できませんので、技術者及び作業員が十五名同乗中。警戒態勢までは作業を続行します」

 

井上機関長、新見副長が矢継ぎ早に現状を報告する。

 

「わかった。現在は発進態勢での待機命令だが、出撃命令が入った場合は十分以内に発進できるようにしておけ」

 

「「了解!!」」

 

メインスクリーンには矢印や三角形で太陽系内の艦隊や部隊の展開状況と白色彗星艦隊の予想進路が表示されている。

 

白色彗星艦隊はカイパーベルトを通過、第十一番惑星へと向かっている。

 

あのまま第十一番惑星へ暫く駐屯するのか?

 

それとも補給を受けてすぐに出撃して来るのか?

 

今後の状況から目が離せない状況だ。

 

地球防衛軍側の方は、火星、木星の艦隊、及び警備艦隊らが土星圏タイタンに移動した。

 

「司令本部より入電!『まほろば はタイタンへ向け出撃し、討伐艦隊と合流せよ』・・・以上です」

 

ギンガからの報告を聞き、良馬は頷き、

 

「本艦は十五分後に発進し、タイタンに向かう。総員、出航配置につけ!!」

 

乗員が足早に出航準備を行っていく。

 

そして、十五分後‥‥

 

 

「ホーサー(舫い綱)解除!!」

 

「ホーサー(舫い綱)解除」

 

「微速前進0.5」

 

「微速前進0.5‥‥」

 

新見が出港指示を出し、操舵席に座る航海長の永倉が復唱しながらスロットルを開いた。

 

なお、隣のバースに居るヤマトは、最近になって大規模な近代改装を行い始めたため、今回のスクランブルに関しては、出撃不能とされ、待機状態が続いている。

 

「出港水路へ進入‥‥」

 

「波動エンジン内エネルギー注入」

 

「補助エンジン第二船速」

 

バースを出撃した まほろば は海へと出た。

 

北西の季節風で波高くうねる海上を、ピッチングを繰り返しながら増速していく。

 

「メインエンジン内圧、臨界。フライホイール始動!」

 

「フライホイール始動」

 

機関室では、フライホイールのシリンダーが轟音を上げ、回転する。

 

「波動エンジン点火十秒前‥‥九‥八‥七‥六‥五‥四‥三‥二‥一‥‥波動エンジン、接続、点火」

 

「離水、上昇!まほろば、発進」

 

轟音と振動と共に まほろば の巨躯が夥しい飛沫と水柱とともに、夕陽を背にしながら、空へと舞い上がった。

 

「大気圏を抜けました」

 

「波動エンジン、大気圏外出力に切り換え」

 

「艦内外とも異常ありません」

 

乗員が艦の状況を報告する。

 

「月軌道を通過後、木星圏のアステロイドベルト外まで一気にワープする。総員、ワープ準備」

 

「了解」

 

まほろば は一路、月軌道を目指した――。

 

 

時空管理局本局

 

とある一室に管理局の士官たちが集まっていた。

 

「それで、クライスラーは、予定通りに出発したのだな?」

 

「はい、約44時間で太陽系の外縁部に到着、その後、太陽系内に進入。通信を傍受する等して、例の第二の97管理外世界の本星の座標を特定。然る後に工作員を送り込みます」

 

「うむ。しかし慎重にやるようにな。魔力のない蛮人共とはいえ、今の管理局の艦隊戦力では、到底奴らの艦隊に勝ち目はないのだからな‥‥実に小憎らしい蛮族共だ」

 

「それは強く言い含めてあります」

 

「うむ。まずは己の敵を知らないことにはどうにもならないからな。しばらくは情報収集に徹するように」

 

「心得ております」

 

彼らは自分たちが送り込んだ捨て駒からの吉報を待ち続けた。

 

 

ミッドチルダ北部・ベルカ自治区、聖王教会本部

 

執務室にいるのはこの部屋の主たるカリム・グラシアと秘書官兼護衛のシャッハ・ヌエラの二人と来訪者である八神はやてとヴィータ、リインフォース・ツヴァイ(リイン)、そして高町なのはのメンツだ。

 

はやてたちがここを訪れた用件の一つが、第二の97管理外世界の現地軍に保護されているフェイト・テスタロッサ・ハラオウン執務官とティアナ・ランスター補佐官となのはたちが直接会話した通信映像に関することだ。

 

彼女たちの前に映し出されているのは、フェイトとティアナ、彼女たちの後ろに立つサンタクロース人形と雪ダルマ人形だ。

 

「この人形は、地球の『クリスマス』に因んだものですね?」

 

「はい、そうなんですが‥‥」

 

シャッハの問いに対するなのはの答えは些か歯切れが悪かった。

 

何故かと言えば――。

 

「「えっ!?」」

 

サンタクロース人形と雪ダルマ人形が突然動き出したかと思うと、あっという間に二人の高級士官らしい若い男と女医らしき女に早変わりしたからだ。

 

「ず、随分変わった登場をする方々ですね‥‥」

 

カリムが顔を若干引き攣らせながら言う。

 

「リインもびっくりしたです」

 

「それもありますが、それまでは微動だにせず、完全に人形になりきっていました。軍隊の訓練を受けていないとあそこまではできません。管理局員であそこまでできる人はそうそういないでしょうね‥‥私の知る限り、出来そうなのは騎士シグナムぐらいでしょうか?」

 

「成程、厳しい訓練と実戦をくぐり抜けてきた、れっきとした軍人ということですね」

 

シャッハの言葉にカリムは頷きながら言う。

 

男性士官は「月村良馬」、女医は「月村リニス」と名乗った。

 

「月村?すずかちゃんと同じ苗字やな」

 

はやてがなのはと同じ印象を抱く。

 

「この男性の士官の方が、フェイトちゃんたちを直接救出した宇宙戦艦の艦長で、女医さんの方はその宇宙戦艦の軍医さんらしいです」

 

「そうですか、この方たちが‥‥」

 

(御二人とも、私と同世代だと思うけど、何度となく死地を通り抜けてきたという顔つきね。同年輩の管理局員で、ここまで精悍な顔つきの人はそうそういないわね)

 

まじまじと映像に見入るカリム。

 

その後、フェイトとティアナが過ごしている地球での日常風景が流れ、

 

「このBRAVE DUELっちゅう体感ゲームは面白そうやな」

 

「ああ、確かに‥‥」

 

はやてとヴィータもBRAVE DUELに興味津々の様子だった。

 

「向こうの地球は艦船技術の他に、ゲームの技術もミッドより優れている様ですね」

 

カリムもBRAVE DUELの印象から第二の地球の技術力の高さを感じる。

 

日常風景の映像を見ていく内に、なのはの目が大きく見開かれた。

 

定期連絡の時は、話を聞いただけで、詳しい映像は後で見てねとフェイトに言われたので、あの時の定期連絡の場に居たなのはも実際に映像を見るのはこれが初めてだったのだ。

 

なのはが、大きく目を見開いたのは、このBRAVE DUELのゲーム機が置かれているホビーショップの店長の姿を見た時だった。

 

「プレシア‥さん‥‥?」

 

「プレシア?」

 

「誰です?」

 

「‥‥フェイトちゃんの生みの親とも言うべき人で‥‥海鳴で起きたPT事件の主犯とされた人物です」

 

「「っ!?」」

 

なのはの口からプレシアの正体を聞いた他のメンバーは驚愕する。

 

管理局の関係者ならば、PT事件の事は知っている。

 

「そんな人が何でこの世界に居るんや?」

 

「確か、PT事件の主犯は、虚数空間に落ちて死亡扱いされた筈じゃあ‥‥」

 

はやてとシャッハが事実を知るなのはに訊ねると、なのはは首を縦に振る。

 

一体どういう事なのか?

 

その場の誰もが、困惑する中、

 

「ふむ、どうやら、彼女はプレシアと言う女性ではなく、向こうの世界のテスタロッサの子孫だそうだ」

 

と、シグナムがプレシアにそっくりな女性の正体をフェイトが補足として書き記したメモを見つけ、なのはたちに説明する。

 

「テスタロッサ‥‥それって向こうの地球にもフェイトちゃんが存在したって事?」

 

「恐らくそうなるな」

 

シグナムの説明を聞き、神妙な面持ちをするなのはたち。

 

そこにヴィータが一石を投じた。

 

「フェイトの子孫が居るなら、あっちにもなのはやはやての子孫がいるんじゃねーの?あっちの世界にも海鳴っていう町があるんだろう?」

 

「そうやった。ちゅうことは、もう一人のなのはちゃんや私が向こうにいてもおかしくはないやろな。フェイトちゃんの子孫に当たる人があの年頃なら、きっと年少キャラやで‥‥」

 

はやてとヴィータの脳裏に、スターライト・ブレイカーとも異なる砲撃魔法を放つ、漆黒のなのはが思い浮かぶ。

 

((黒い悪魔や[だぜ]‥‥))

 

文字通り、悪魔の姿をイメージしたはやてとヴィータ。

 

「はやてちゃん、ヴィータちゃん。二人とも、今すっごく失礼なこと考えてない?」

 

ジト目ではやてとヴィータを睨むなのは。

 

「そ、そんな事ないぜ。なぁ、はやて」

 

「そ、そうやで!!なのはちゃん」

 

なのはの視線を受けて慌てて否定するはやてとヴィータであったが、あながち二人の予想は外れていなかった。

 

映像が進んでいくと、つい最近、向こうの地球であったクリスマスの映像へと変わった。

 

そこで、はやて、なのは、シグナム、ヴィータたち、地球の文化を知る者たちが感じた疑問は、「何故、クリスマスを温泉宿で祝うのか?」と言う事だった。

 

しかし、その事についてはフェイトとティアナは、補足説明を加えていないので、分からなかった。

 

そして、その温泉宿の映像から二人の人物が話題に上がった。

 

まずは、何と言っても高町紅葉だろう。

 

彼女は髪の色と髪型、瞳の色を除けば、今、此処に居る高町 なのはの中学生時代と変わらぬ背格好なのだから‥‥

 

「‥‥」

 

案の定、紅葉を見たなのはは先程、プレシア・テスタロッサと瓜二つのホビーショップの店長を見た時以上に何も言えなかった。

 

なお、ギンガについてはフェイトとティアナに訳を話して写真や映像に写らないようにしてもらっていた。

 

「こ、これは‥‥」

 

「うーむ‥‥」

 

他の皆も紅葉の容姿を見て驚いている。

 

「まさか‥‥居るかもしれないと思っただけなのだが‥‥」

 

「本当に居るとは‥‥」

 

(まさに‥‥)

 

((黒い悪魔や[だぜ]‥‥))

 

紅葉の容姿を見て先程脳裏に浮かんだ黒いなのはの姿が再び脳裏に過ぎるはやてとヴィータだった。

 

「こ、この娘の事、フェイトちゃんとティアナは、何か言っているのかな?」

 

ここに来て、なのはは紅葉についてフェイトとティアナが何か記していないかを訊ねる。

 

「残念ながら、この娘については、テスタロッサもランスターも何も言っていない」

 

「そう‥‥」

 

直ぐにでも紅葉について知りたかったなのはは、残念そうな顔をした。

 

フェイトは意外とおっちょこちょいな所があるので、紅葉について明記し忘れたのだろう。

 

「ま、まぁ、この娘については次の定期連絡の時にフェイトに訊ねれば良いじゃねぇか?」

 

ヴィータがなのはに次の定期連絡まで待つように言うと、

 

「うん、そうだね」

 

なのはは渋々と言った様子で次の定期連絡まで待つ事にした。

 

「それにしても、この娘は、高町一尉とそっくりですね」

 

カリムが改めて紅葉となのはを見比べる。

 

「名前はまだ分からないですけど、恐らくこの娘が‥‥」

 

「あの世界のなのはちゃんの子孫かもしれへんな」

 

はやてが紅葉をなのはの関係者だと推測した。

 

「それにしても‥‥この娘‥‥」

 

はやてが紅葉の顔をまじまじと見て、呟く。

 

「ん?どうしたの?はやてちゃん?」

 

そんなはやてになのはが訊ねる。

 

「いや、このなのはちゃんにそっくりな子が向こうの地球のなのはなのはちゃんの子孫に間違いないと思うんやけど‥‥この子‥‥」

 

「ん?」

 

なのはが首を傾げる。

 

「中学時代のなのはちゃんよりも賢そうや‥‥それにおっぱいもきっとなのはちゃんよりも成長しそうやで」

 

「なっ!?」

 

はやての衝撃の一言になのはは衝撃を受ける。

 

はやてがそう思ったのは、なのはと違い、眼鏡となのはよりもやや鋭い釣り目、落ち着いた雰囲気がそう思わせたのだろう。

 

「ひ、酷いよ!はやてちゃん!!私だって理数系の科目は成績良かったもん!!そ、それに胸だって平均サイズぐらいあるもん!!」

 

と、なのはは頬を膨らませて反論した。

 

「このなのはちゃん似の娘も気になるけど、私が気になるのはもう一人‥この人や‥‥」

 

そう言ってはやては、写真に写る一人の女性を指さした。

 

「この人が何か?」

 

カリムがこの女性についてはやてに訊ねる。

 

「この人、ナカジマ三佐の死んだ奥さんとそっくりなんや」

 

はやてが写真に写る女性について語る。

 

JS事件の最中、はやてはゲンヤから妻のクイント・ナカジマが追っていた戦闘機人事件のあらましを聞くと同時に、クイントの顔写真を見た経緯があり、当然彼女の容姿は知っている。

 

その時に見たクイントの容姿とこの写真に写る女性の容姿は髪の色を除いて、瓜二つだった。

 

「それじゃあ、向こうの地球には、私やフェイトちゃんの子孫の他にもスバルの子孫も住んでいる事になるのかな?」

 

なのはがもう一つの地球にはミッドの住人である筈のスバルたち、ナカジマ家の子孫が存在するのかもしれないと推測を立てた。

 

「かもしれへんな」

 

それは、ある意味当たっており、外れていた。

 

まさか、この写真の彼女がゲンヤ・ナカジマの死んだ奥さん‥‥クイント・ナカジマの転生体であることは流石に予想外であった。

 

そして、なのはが気になった、向こうの地球の自分の子孫、高町紅葉も平行世界における元管理局員である事も‥‥

 

なのはたちは引き続き、フェイトが送った映像を見続けた。

 

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