星の海へ   作:ステルス兄貴

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今回登場したボラー連邦の艦艇ですが、艦種が多いわりに艦級名が設定されておらず、文章にする際、公式での表記ではちょっと変なので、作者独自で艦級名をつけました。

しかし、これはあくまでも仮の処遇ですので、今後リメイク版ヤマトにてボラー連邦が登場し、艦級名が明らかになりましたら、変えます。

戦艦A=アポストロ級戦艦


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戦艦B=ロスチラフ級戦艦


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大型空母=グラード級空母


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戦闘空母=ヴェトラーナ級戦闘空母


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デストロイヤー艦=ラザレフ級デストロイヤー艦


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ハーキンス艦=バイオン (艦名は資料によっては「バイオン号」と表記されているので、そのまま採用)


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バルコム艦=セヴァストー級戦闘艦


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ゴルサコフ艦=バイゼン


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ベムラーゼ艦=ゼルハーゼ


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なお、今回登場した管理局の海上支部の外見は銀河鉄道物語に登場する銀河鉄道の分岐点みたいなスペースコロニーをイメージしてください。


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七十六話 管理局、悪夢の幕開け

時空管理局・本局

 

先のラティオ捜索艦隊出発から二昼夜が経過していた。

 

定時連絡では予定どおりの行程で、次元震・時空震の発生も確認されていない。

 

それにラティオを撃破したとされる謎の艦隊の姿も‥‥。

 

捜索艦隊は間もなくラティオが救難信号を発信した座標に到達するはずだ。

 

そして、艦隊は定時連絡で、「遭難現場に到着した、これより捜索に入る」と旗艦キャデラックから、連絡が入り、其れから五時間後、再びキャデラックから連絡が入った。

 

「所属不明の小規模艦隊を確認。これより臨検し、所属と目的を確認する」

 

と通信が入った。

 

管制室に緊張が走るが、その十分後に事態は暗転した。

 

場面はキャデラックのブリッジへと変わり、時系列は捜索艦隊が針路上に小規模艦隊を確認する前まで戻る。

 

 

時空管理局 SX級次元航行艦 キャデラック ブリッジ

 

「予定座標に到着しました‥ラティオの遭難現場です」

 

「うむ、直ちに捜索を開始しろ。本部には通信を送ったか?」

 

「はい」

 

ラティオの遭難現場にて、早速捜索活動を開始する。

 

しかし、捜索は難航し、広範囲の捜索にも関わらず、ラティオの船体すら確認できない。

 

捜索艦隊が捜索を始めて、五時間の時間が経過した頃‥‥

 

「か、艦長、何かがこの海域を航行しています!!」

 

近くに艦船反応を探知したオペレーターは急ぎ、艦長に報告する。

 

「パネルに映せ」

 

「了解」

 

キャデラックのブリッジにあるメインパネルには丸みを帯びたずんぐり型の船とその船よりも小さいシャープなデザインの船が映し出される。

 

「一端、この海域から退避しますか?」

 

副長が艦長に指示を求める。

 

この海域はラティオが遭難した海域。

 

もしかしたら、ラティオはパネルに映っている艦に撃沈されたのかもしれないと思ったため、この海域に留まるのは危険だと判断したのだ。

 

キャデラックの艦長は、副長の言う通り、一時退避しようかと思ったが、オペレーターからの次の報告で、その考えを改めた。

 

それが、自らの身を滅ぼすとも知らずに‥‥。

 

「艦長、航行中の船より、ロストロギア反応があります!!」

 

「何っ!?」

 

「‥‥本局へ通信、『所属不明の小規模艦隊を確認。我、これより臨検し、所属と目的を確認する』」

 

「っ!?」

 

「全艦にも通達、これより前方の艦隊を臨検する。全艦戦闘用意。警戒体制をとれ!!」

 

キャデラックの艦長が前方の艦隊の臨検を命令した。

 

その命令に対し、副長は、

 

「艦長、危険です!!この場はやはり、一端退避すべきです!!」

 

副長は、あくまで無駄な接触は控えるべきだと進言するが、

 

「君はすぐ目の前に居るロストロギアを不法所持している連中を見逃せと言うのかね?」

 

「そ、それは‥‥」

 

「ロストロギアは我が管理局が管理、保管する事が次元世界の平和につながると言う時空管理局の基本概念を君は忘れた訳では無いだろう?」

 

「で、ですが、我々の任務は行方不明になったラティオの捜索です!!それにこの海域は、ラティオの遭難現場です。もしかしたら、ラティオはあの艦隊の攻撃を受け、撃沈された可能性があります!!藪を突っついて蛇を出す危険を冒す必要もありますまい!!」

 

副長はあくまで、艦長の言う臨検を控え、あの艦隊が通り過ぎるのを待つべきだと進言するが、艦長はあの艦隊がロストロギアを輸送していると分かると、出世欲が出たのか、臨検を行い、あわよくば輸送しているロストロギアを回収しようと言う魂胆だろう。

 

ラティオの乗員、船体が見つからないでも、ロストロギアを持って本局に帰れば、出世が出来ると考えたのだ。

 

「他の皆は何か意見はあるか?」

 

艦長が艦橋内を見渡す。

 

副長の意見通り、あの艦隊が通り過ぎるまで退避するか、艦長の意見通り、臨検をするか、皆の意見を訊ねた。

 

すると、他の皆の気持ちはどうやら、副長よりも艦長の意見寄りの様だった。

 

「ば、バカな!!み、皆、死にたいのか!?」

 

他の皆が艦長の意見に賛同した事が副長にとっては、予想外で声をあげる。

 

「君はそう言うがな、副長。あの船のどこが、武装船なのかね?」

 

艦長はスクリーンに映る丸みを帯びたずんぐり型の船を指さす。

 

確かにスクリーンに映る艦船には武装らしい武装は見当たらない。

 

それが、他の皆を艦長側の意見に賛同させる大きな要因となっていた。

 

「で、ですが‥‥」

 

「くどいぞ!!副長!!これ以上反対するのであれば、抗命罪で、副長の任を解くことになるぞ!!」

 

「っ!?」

 

艦長が自らの権限を発動させ、副長を強制的に黙らせた。

 

「よし、前方の船団に停船命令を送れ!!」

 

「了解」

 

キャデラックから前方の艦隊へ停船命令が送られた。

 

 

ボラー連邦 第8打撃艦隊 旗艦 バイオン

 

「ハーキンス司令、停船命令です」

 

「停船命令だと?何処からだ?」

 

ハーキンスと呼ばれた丸刈りの髪型に割れ顎の男がオペレーターに訊ねる。

 

「はい、我が船団の左舷側面から接近してくる艦船より停船命令です」

 

「所属と目的を確認せよ」

 

「了解」

 

オペレーターがハーキンスの言葉通り、接近中の艦隊に所属と目的を訊ねると、

 

「所属判明、所属『時空管理局』。停船の目的は‥『貴船は、ロストロギアなる次元世界における禁制の品を搭載している。速やかに停船し、当艦の臨検を受けられたし、尚これを拒否する場合、当方は武力行使も辞さない構えである』‥以上です」

 

「時空管理局?‥そう言えば、先日友軍がその様な組織の艦と交戦したと言う報告があったな‥大方、捜索にでも来たのだろう。返信してやれ、『拒否する』とな‥‥」

 

「了解」

 

(ロストロギアが何かは知らないが、今回輸送している品は首相閣下が、所望している品なのだぞ。それがもし、あんな訳の分からない組織の手に奪われたりすれば、俺は身の破滅だ)

 

ハーキンスは、今回自分の艦隊が輸送している物資が自分たちの国家元首であるベムラーゼが所望している物資だったため、この任務には決して失敗が許されないと言う重圧があった。

 

そんな中で、突然何処からともなく湧いて来た連中に掠め取られてたまるかと言う思いがあった。

 

そして、そんな無粋なマネをしてくれたコソ泥連中を地獄に落としてやると決意した。

 

 

時空管理局 SX級次元航行艦 キャデラック ブリッジ

 

「前方の艦隊より、返信『当方に貴官らの指示に従う義務無し、よって臨検を拒否する』‥以上です」

 

オペレーターが前方の艦隊から送られてきた返信を読み上げると、艦長の表情が明らかに不機嫌なモノへと変わる。

 

「おのれ~、管理外世界の蛮族め!!我々の力を思い知らせてやる!!全艦戦闘用意!!」

 

キャデラックを含め、管理局艦船は戦闘隊形をとる。

 

非武装艦に大人気ないと思われそうだが、彼らは逆に思い知らされることになる。

 

あの艦船が非武装艦でないと言う事を‥‥。

 

一方、第8打撃艦隊も管理局側の動きを見て、此方も戦闘隊形をとる。

 

「アポストロ級戦艦部隊とデストロイヤー艦部隊は攻撃態勢!!ロスチラフ級戦艦部隊は迎撃態勢を取れ!!何としても輸送艦を守り通すのだ!!」

 

ずんぐり型の艦船の中でも、艦首の先端部が尖っている艦と細長く鋭角的でスマートな小型艦が管理局艦隊へと向かい、艦隊の中でも大型の丸みを帯びた艦は輸送船の周りを固める。

 

「敵艦、距離2650宇宙キロ!!」

 

「スペース・ロック発射準備完了!!」

 

「スペース・ロック発射!!」

 

小型艦の上部甲板の上に設置されたVLSに酷似した形状の発射装置から、大型自己誘導ミサイル、スペース・ロックが発射され、管理局艦へと降り注いだ。

 

 

時空管理局 SX級次元航行艦 キャデラック ブリッジ

 

「敵艦急速接近!!」

 

この時まで、管理局側は非武装艦が仮にも武装している自分たちに近寄るなんて何を考えている?

 

接舷して白兵戦でも挑むつもりかと思っていたのだ、しかし、彼方の次の行動により、自分たちが今まで慢心していた事を自覚した。

 

「小型艦より、高速飛来物多数!!こちらに向かってきます!!」

 

「っ!?げ、迎撃!!」

 

「奴等、非武装艦じゃなかったのかよ!?」

 

慌てて艦長は迎撃指示を出すが、時既に遅し‥‥。

 

管理局艦は降り注ぐスペース・ロックに次々と被弾していく。

 

混乱する管理局艦隊に対し、追い打ちをかける様に艦首の先端部が尖っている艦が砲撃をしてくる。

 

あのずんぐりした艦は武装を艦内に格納するタイプの艦だった。

 

管理局はその外見からすっかり相手が非武装艦だと間違った認識をしていたのだった。

 

「つ、通信長、本局へ連絡を入れろ!!」

 

「は、はい!!」

 

通信士は急ぎ、本局へと通信を入れた。

 

本局へ緊急伝を入れ終えた直後、キャデラックを強烈な振動が襲った。

 

 

ここで、時系列は元に戻り、場面も時空管理局 本局へと移す。

 

「敵戦闘艦からの砲撃と小型艇からの大型ミサイルにより、我が艦隊は壊滅。本艦も被弾。負傷者多数‥‥」

 

キャデラックからの悲痛な通信を最後にキャデラックとは一切連絡がとれなくなった。

 

忽ち本局はパニック寸前に陥る。

 

「馬鹿な!接触してからまだ十分しか経っていないのだぞ!」

 

「キャデラックを呼び出せ!他の艦もだ!」

 

オペレーターは捜索隊の各艦を懸命に呼び続けるが、結局応答はなかった。

翌日、本局の局員は文字通り顔色を失うことになる。

 

そして、翌日‥‥

 

ミッドチルダ 首都 クラナガン、時空管理局首都航空基地、教育隊 隊舎・教官室

 

「~~♪」

 

教導官の高町なのは一尉は、ランチを口にしながら午後の教導メニューをタブレットで再確認していた。

 

その時、教官室に設置されている通信機より緊急放送が流れた。

 

「緊急連絡、緊急連絡。ラティオ捜索艦隊が所属不明の艦隊と交戦後、消息不明となる事態が発生!!繰り返す‥‥」

 

「えっ!?」

 

なのはのみならず、在室していた同僚や職員らもこの緊急伝を聞き、蒼白になる。

 

「そ、そんな馬鹿な!捜索隊は新鋭艦揃いなんだぞ‥‥」

 

捜索隊は、管理局の新型主力艦を中心にした部隊だった。

 

あの艦隊は、管理局最強の艦隊と言っても過言では無かった。

 

それ故、管理外世界の艦船にはそうそう負けないはずだ、という意見が多かっただけに、苦戦どころか全滅の可能性大という連絡内容が信じられないという者が多い中、

 

「いやあぁーっ!!」

 

なのはの隣で叫ぶように泣き伏したのは、なのはの同僚の女性局員だった。

 

声をかけようとしてなのはは、ハッとした。

 

彼女は来月に結婚する予定なのだが、確か婚約者が今回の捜索隊の旗艦、キャデラックのクルーの一人だったと聞いていた。

 

「なんで‥‥なんで、どうして!?キャデラックは次元世界最強の次元航行艦じゃなかったの!?」

 

「‥‥」

 

なのはは、声をかけられず、唇を噛む。

 

SX級は、確かに時空管理局史上最大最強のスペックを持つ次元航行艦だが、最近確認された数勢力の宇宙戦闘艦と比べるとだいぶ見劣りしている事実は、一部の者しか知らない。

 

なのははそれを知る数少ない一人なのだが、管理局では厳重な箝口令が敷かれていた。

 

先日、フェイトたちとの定期通信の折に地球防衛軍側が見せた地球艦隊とガトランティス残党軍の戦闘の映像が一部の局員に公開されたらしい。

 

なのはは直接その目で見た訳では無いが、後日にその時、同席していたはやてからその映像は見せてもらったのだが、映像は衝撃的なものだった。

 

飛び交う大出力のビームやミサイル‥そして激しく撃ち合う双方の艦艇や宇宙戦闘機。

 

ガトランティスには大型戦闘艦と中型戦闘艦があったが、地球防衛艦隊にも当然ヤマト や まほろば の大型艦船以外にもちゃんと中・小型の戦闘艦も存在し、高い機動性と攻撃力を持っていた。

 

「管理局の艦船は、地球防衛軍の小型艦相手でも勝てないだろう」

 

映像を見た後、クロノは憮然として呟いていたと言う。

 

(ガトランティスと暗黒星団帝国、地球防衛軍は一部だけとはいえデータ登録されている‥‥そのどれでもないというのなら、一体どこの勢力なの?強力な質量兵器を使う軍事勢力と本格的な戦争状態になってしまうの‥‥?そうなったら、管理局は‥‥)

 

魔法が通じない相手なら、強力な実弾兵器やエネルギー兵器=質量兵器で対抗するしかないが、質量兵器は管理局憲章で否定されており、運用ノウハウは殆ど残っていない。

 

それ以前に次元航行艦の艦隊運用も同じた。

 

地球艦隊やガトランティスの様にあそこまで統率のとれた艦船運用も管理局の歴史史上存在していない。

 

そして、そんな質量兵器、艦隊運用を扱える勢力の中で、ガトランティスや暗黒星団帝国は論外。

 

フェイトたちを保護している地球防衛軍とは戦闘状態にこそないが、通信ポッド、クライスラーの遭難の一件で、関係は必ずしも良好ではない。

 

定期連絡では、フェイトたちの待遇は何ら変わりないようだが、彼女たちの帰還と同時に防衛軍や地球連邦政府は管理局と距離を置きそうな状況だ。

 

本局の一部や地上本部には、管理局憲章を改訂し、次元航行技術と交換してでも地球連邦政府と地球防衛軍にタキオン機関技術の供与を要請するか、さもなくば無期限の世界探査中止を主張する意見がある。

 

本局の魔導師至上主義者、管理世界拡大推進派が主張するような、タキオン機関技術の強引な接収は地球防衛軍との全面戦争になり、夥しい犠牲を出してしまう。

 

それに夥しい犠牲を出しても管理局が地球連邦、地球防衛軍に勝てるかも分からない。

 

艦船同士の戦闘では、艦船の性能、戦術、地の利いずれも大きく管理局は劣り、空戦では、大気圏でも光速に近い速度で飛ぶことの出来るコスモタイガー相手では、空戦魔導師もそれを撃ち落とすには骨が折れそうだし、逆に自分たち空戦魔導師の身体にコスモタイガーから放たれたレーザーで風穴が開くだろう。

 

白兵戦では、初めから殺しに来る地球防衛軍の兵士相手に、殺傷設定戦闘経験がない者が多い管理局の魔導師では精神的に耐えられないだろうと推測されており、管理世界の地上部隊は、

 

「そんな馬鹿げた作戦に出せる人員の余裕はない!!やりたければ、“海”と“空”の方々でやってくれ!!」

 

と口を揃えて言い、各管理世界政府も反対の意向を示しているという。

 

そんなことをすれば、各管理世界の治安維持が立ちいかなくなるのは明白だったから、本局の強硬派もそれ以上は言えなかった。

 

しかし、一部が言う管理局憲章の改訂には反対意見が強い。

 

それは質量兵器の導入を認めることになり、管理世界の平和が脅かされる事に繋がるからだ。

 

この意見に対しては、なのはは、やや肯定的だ。

 

それは、自身の出身世界である地球での歴史が大きく関係している為である。

 

だが、この意見に対し、管理世界出身の非魔導師や低ランクの魔導師からは、

 

「一部の高ランク魔導師による支配体制が脅かされるからだろうさ」

 

「自分たちの権力や地位が脅かされるからだろう」

 

と、侮蔑の声が囁かれていた。

 

管理外世界出身であるなのは自身は、『高ランク魔導師=この世で最も優れた人間、この世を管理運営する選ばれた人間』だとは思っていないが、本局にはそういう考えがはびこっており、一般の低ランク魔導師や非魔導師との溝が深まっていることは肌で感じていた。

 

事あるごとに教導生にも話して聞かせているのだが、自分を含め空戦魔導師自体が高ランク魔導師だから、我が事と受け止める者が少なく、歯痒い思いをしていた。

 

それになのは自身も低ランク魔導師や非魔導師から、陰口を叩かれた経験があるし、また、出身が管理外世界と言う事で遠回しの差別用語も受けた事が有る。

 

それでも彼女の内には、魔法は戦闘において最もクリーンな手段であり、それに比べて質量兵器は平気で人の命を奪い、争い事しか生まない危険なモノで、出来ればこの世から全ての質量兵器は無くさなければならないと思っていた。

 

しかし、ここ最近接触した世界や勢力の大半が、管理局の抑えが効かない軍事力を持つところばかりだ。

 

(私は‥‥管理局は一体、どうしたらいいの?フェイトちゃん、教えてよ‥‥)

 

管理局の未来に暗雲が立ち込め、ついつい、弱音が出てしまう。

 

地球防衛軍と接触しているフェイトたちなら、何らかの結論に達しているのではないか?

 

なのはは、この場に居ない無二の親友に縋りたい思いだった。

 

 

時空管理局次元航行本部・第七海上支部航路管制室

 

時空管理局の次元航行本部は、次元航路の要所に「海上支部」という中継ポイントを設け、航路警備の拠点としている。

 

 

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ピーッ! ピーッ! ピーッ!

 

そのうちの一つ、第七海上支部に程近い次元空間に予定外の転移反応が発生したことを知らせるアラームが鳴った。

 

「ん?なんだ?」

 

この時間に転移してくる予定の艦船はないから、不審に思った管制士は即座にコンソールを叩き、データベースから艦船を特定する作業にかかったが、ほどなく緊張に引き締まった。

 

表示されたシグナルは、ラティオ捜索隊の一隻であるXV級艦タイタンのものだった。

 

「きょ、巨人だ!!」

 

次元航行艦の一隻、タイタン‥‥それは古代ベルカ神話に登場した、神々に戦いを挑んだ巨人族の長の名前で、局員からは『巨人』と呼ばれていた。

 

奇妙な偶然で地球のギリシャ神話、ローマ神話に登場する巨人族の神と同じ名前で、土星圏における地球艦隊の拠点である衛星の名前とも同じ名前の次元航行艦だった。

 

驚いた管制士は司令官に報告するとともにタイタンに通信回線を繋ごうとするが、応答がない。

 

そこに、報告を受けた司令官が現れる。

 

「巨人が戻ってきたって?」

 

「はい。しかし、こちらからの呼びかけに全く答えません!!」

 

「呼び出しを続けろ!巨人の映像を出せるか!?」

 

「お待ち下さい‥‥映像出します!」

 

一瞬置いて、次元空間に浮かぶ『タイタン(巨人)』の姿がメインモニターに映し出された。

 

「なっ!?」

 

「ひ、ひどい‥‥!!」

 

「何だ、これはっ!?」

 

「一体何が有ったんだ!?」

 

司令以下の全員が顔色を失って立ち尽くす。

 

映し出されていたのは、ようやく見慣れたXV級の白を基調とした艦体ではなく、原型を留めぬまでに傷つき、各所から煙を噴き出す赤茶けた残骸同然のタイタンの姿だった。

 

舷側には被弾跡らしい大きな穴が二つあき、そこからも火煙が噴き出していた。

 

その姿は神話通り、神々に戦いを挑みながらもその戦いに負けて、地獄の底に落とされた巨人族の神、タイタンを告示するかのようだった。

 

タイタンをここまで傷つけた下手人は、誰が見てもラティオを襲った者だと、容易に想像できるだろう。

 

「すぐに本局に連絡するんだ!管制官は引き続き、巨人に呼び続けろ!!総員非常配置につけ!」

 

司令官はそう指示を出すが、彼らはタイタンの惨状に注意を奪われ、重大な事を見落としていた。

 

我に返ってコンソールを操作し始めた管制士が愕然とした。

 

「タイタンが最大巡航速度のまま、こちらへの衝突コースで直進してきますっ!!衝突まであと三分を切っています!!」

 

その報告を聞き、司令官も顔面蒼白になる。

 

たった三分‥正確には既に三分を切っている短い時間では人員の避難転送もままならない。

 

「くっ、やむを得ない‥アルカンシェル発射用意!!」

 

「し、司令!?」

 

「巨人にアルカンシェルを撃つんですか!?」

 

「味方ですよ!?」

 

「構わん!!今はこの支部の職員の生命の安全を優先する!!責任は全て私がとる!」

 

司令官は苦渋の表情を浮かべ、タイタンに向けて大口径魔導砲アルカンシェルのスタンバイを命じる。

 

このままではタイタンと衝突し、この基地自体が崩壊しかねない。

 

味方艦を撃つのは忍びないが、この基地に居る何百人といる局員の生命には変えられない。

 

それにあのタイタンの惨状からみて、生存者は望めないだろう。

 

先程から管制官がずっとタイタンへと呼びかけているにも関わらず、その呼び出しに応じないのがその証拠である。

 

しかし…

 

「司令、本局から指示です!アルカンシェルの使用は認めず。艦体を何としてでも確保せよと!」

 

「何だと!?バカな!!」

 

(本局のボンクラ共は我々に死ねと言うのか!?)

 

本気で本局に呪詛を投げつけたくなった司令官に追い撃ちをかけるような報告が飛ぶ。

 

「司令、『巨人』の艦内に強い放射線反応があります!」

 

最悪だ‥この基地には放射線防護服の備えは少数しかない。

 

こうなれば‥‥。

 

「アルカンシェル以外の全砲門を開け!『巨人』の衝突針路を少しでもずらせばいい!!第十層より下にいる者には避難命令を出せ!!急げ!!」

 

「は、はい!!」

 

命令を出しながら、司令官は背中に冷たいものが走るのを感じていた。

 

基地下層部にいる者が第九層以上に退避するには最短でも四分~五分はかかる。

 

タイタンの転移を確認した段階で、既に詰んでいたのだ。

 

だからこそ、アルカンシェルを使おうとしたのだが、本局の‥こちらの事態を把握していない連中は、調査目的を優先させるためにタイタンの撃沈をさせない指示を出したのだ。

 

「全砲門、準備完了しました!」

 

「連続発射開始!砲身が焼けても構わん!」

 

「発射!!」

 

司令官の命令とともに、対艦船用の中・小口径魔導砲から無数の火線が伸び、巨人の名を冠した艦に突き刺さった。

 

たちまち中小規模の爆発がタイタンに発生する。

 

「タイタン、衝突まで後一分!!」

 

「撃ち続けろ!手空きの者は何かに掴まるんだ!衝撃に備えろ!!」

 

砲身が焼けんばかりに撃ち出される魔力弾はタイタンの装甲を貫徹して内部で炸裂する。

 

そして‥‥

 

「巨人の艦首が下がりました!」

 

「いいぞ、撃ち続けろ!」

 

タイタンの艦首が下がった‥もう一頑張りで衝突は免れる。

 

管制塔には僅かながら、緊張が緩んだ。

 

タイタンは全艦炎に包まれながら、第七海上支部の下部すれすれに通過した。

 

その様子を見守る一同が胸を撫で下ろした瞬間、タイタンの艦後部から凄まじい光芒が広がり、凄まじい衝撃波が管制塔を襲った‥‥

 

タイタンの船体がこれまでの損傷に対し、終に耐え切れなくなり、大爆発を起こしたのだ。

 

その爆発の余波は第七海上支部へと襲い掛かる。

 

管制塔に居る者たちは自分たちの身に何が起きたのか分からないまま、一瞬の内に消滅した。

 

 

それから数日後‥‥

 

時空管理局・第七海上支部、第五層~第六層通路

 

「うおおおりゃあッ!!」

 

ドガアァンッ!

 

ガラガラガラ‥‥

 

通路を塞いでいた瓦礫を右拳の一撃で粉砕したスバル・ナカジマ一等防災士はさらに奥へと突入する。

 

(スバル、そっちはどうだ?)

 

(ダメ、生命反応は全然見つからないよ)

 

(クソ!こっちもダメだ。皆死んじまっている)

 

(こっちも同じくっス)

 

(無理はするなよ、助けに行った側が斃れるわけにはいかんのだからな。ディエチ、そっちはどうだ?)

 

(あと一・二撃ぐらいで鎮火できる!)

 

(急いでくれ!!)

 

(分かった)

 

 

タイタンの大爆発の爆圧と衝撃波を至近距離で受けた第七海上支部は、次元港等を擁する下部が大破。

 

管制室や居住ブロック等がある上部は、一見被災を免れているように思えたが、内部に多数飛び込んできたタイタンの残骸は致死量を大きく上回る人体に有害な放射能を被っており、その放射能が撒き散らされながら内部を切り刻んだのだ。

 

さらに、その時点でまだ生きていた中央空調システムのメインダクトにもその破片が飛び込んだため、人体に有害な放射能が支部全体に行き渡ることとなり、大多数の局員が急性放射線症に犯されることになった。

 

あの時、タイタンをアルカンシェルで撃っていれば、ここまでの被害は出なかったのは明白であり、事態を全く把握しておらず、アルカンシェルの発射命令を却下した本局の局員は後日、何かしらの責任を取らされるかもしれないし、管理局はうやむやにするかもしれない。

 

兎も角、予想外かつ最悪の事態に本局はパニックに陥った。

 

直ちに第七海上支部へ救援隊を派遣することになり、定期検査が明けたばかりのXV級次元航行艦クラウディアが第一次救援隊部隊に指名され、クロノはその救援隊の指揮官に任命された。

 

第一次救援隊のメンバーには、最近ナカジマ家の養女になったチンク、ディエチ、ノーヴェ、ウェンディの旧ナンバーズ四姉妹が志願して加わった。

 

そしてクラナガン港湾特別救助隊からはスバル・ナカジマが本人の強い希望で派遣された。

 

彼女たちはその出自上、かなり苛酷な環境下でも行動できるのだが、それでもバリアジャケットだけで致死量を大幅に上回る放射能の中での活動は無謀であるから、他の隊員たちと同様にバリアジャケットの上から放射能防護服を着用し、スバル、ノーヴェらは、その上からデバイス(リボルバーナックル、ローラーブーツ)を着用した。

 

現在、彼女たちは中層ブロックで人命検索を行っているのだが、空気中の放射能濃度が高いため、これ以上の下層ブロックには行けず、なおかつ生命反応も確認できないまま行動限界時間を迎えようとしていた。

 

 

時空管理局 XV級次元航行艦クラウディア ブリッジ

 

クロノの元には刻々と生存者救出・遺体収容の報告が上がってくるが、彼の表情は沈痛なままだ。

 

増え続けるのは死者の数で、何とか収容された生存者もその三割は一時間以内に息絶えてしまう。

 

医務室のシャマルからも悲痛な報告と要請が寄せられてくる。

 

「遺体収容袋が全然足りません。それに薬も‥‥」

 

「いずれ到着する後続部隊に沢山積み込んであるとのことだ。あと半日でここに着くから、もう少し頑張ってくれ、シャマル医務官」

 

「は、はい‥‥何とかやってみます」

 

放射能は空調システムを介して第七海上支部全体に回っており、タイタンの爆発で死傷しなかった者も皆、放射能でやられてしまった。

 

彼らを診たシャマルの診断でも、一刻も早く設備が整った病院で診察と治療を受ける必要があるとのことだが、彼女の表情と声色からすると、容態否、余命は限られているようだ。

 

当然ながら、放射線障害に治癒魔法は効かない。

 

内科・外科的措置で症状の進行停止や緩和はできても根治はできず、生涯にわたる後遺症に苦しむことになる。

 

こういった放射線障害の医療技術は、むしろ第二の地球の方が、ノウハウは豊富な分進んでいる。

 

ふと、クロノの脳裏に何度か通信を交わした第二の97管理外世界こと地球防衛軍の士官が浮かんだ。

 

(あの地球なら‥ガミラスの放射能と戦った彼らの地球の医学ならば、被曝した者たちを救えるのだろうか?)

 

彼の予想通り、第二の97管理外世界‥地球連邦には、イスカンダルからもたらされた放射能除去装置と宇宙放射線病の治療処置も確立されていた。

 

だが、彼にはその事実を知る由もなく、すぐに首を横に振ってその考えを振り切った。

 

いずれにせよ、生存者は勿論、遺体もできるだけ後続部隊の艦に移して一刻も早く本局に送らなければならない。

 

そして、生存者と遺体の収容と移送が済んだら、分析作業が待っている。

 

何としても、攻撃してきた下手人を突き止めなければならない。

 

(もっとも、犯人がわかっても逮捕・拘束するのは困難だろうな‥‥否、出来ないと言った方がいいな)

 

恐らくはガトランティスや地球防衛軍と同等の質量兵器による軍事力を持っている。管理局で抑えられるものではあるまい。

 

これ以上次元航行艦と人材が失われることがあってはならない。

 

“海”では局員の動揺がひどく、“空”や“陸”への転属、あるいは管理局を自主退職する者が増えている。

 

これまで引き抜き放題に近かった“陸”からの異動もさっぱりで、“海”は退職・転属希望者の慰留に躍起にならなければならなかった。

 

空戦属性のある魔導師は“空”の空戦武装隊に行くこともできるが、空戦属性のない者が全員、“陸”に行けるかと言うと、それは否であった。

 

今回の事で、“陸”の方も強気で、面接や体力テスト等でふるいにかけられ、大半は追い返されているらしい。

 

追い返された者は、“海”に戻るか、管理局を退職するしか選択は残されていない。

 

人材不足で喘いでいる筈の“陸”が何故この様に異動を希望する者をふるいにかけるのかと言うと、

 

「“陸”に来る以上、全てここのやり方に従ってもらうのが当然だ。我々が必要なのはミッドチルダの住民のために身を粉にして働ける者なのだ。情勢が落ち着いたら再び“海”に戻ればいい、なんて思っている甘ちゃんはこちらから願い下げだ!!」

 

ミッド地上本部長のロールスロイス中将は、異動申請拒否の多さに対する苦情を伝えに来た本局のレティ・ロウラン人事統括官にそう回答した。

 

もっとも、レティも内心ではその通りだと思っていた。

 

“陸”への異動を希望した“海”の局員はその大半が、この情勢が落ち着くまで安全な“陸”に居り、解決する兆しがきたら、“陸”と言う苦労人が集まる地味で安月給な部署などで骨を埋めるつもりなど無く、さっさと“海”へと返り咲き、其処で再び権力を振るって他の管理世界を正義の名の下に傍若無人に管理(支配)しようと考えている者ばかりであった。

 

そんな優柔不断、下心や欲望がただ漏れた輩など、“陸”に移動しても今度はミッドの住人や配属された部隊でいざこざを起こしそうなので、正直に言って来られても迷惑だった。

 

だからこそ、ロールスロイス中将は、異動試験のハードルを通常よりも引き上げ、“海”からの異動希望者の要求を蹴って来たのだ。

 

 

ミッドチルダ 首都 クラナガン郊外、高町家

 

時刻は既に22時を回っており、娘のヴィヴィオは既に就寝しており、なのはは週明けからの教導メニューをチェックしていたのだが、表情は沈痛そのものだった。

グリフィス・ロウランからの情報では、タイタンは完全に破壊された状態でクルーは全員殉職。

 

第七海上支部も、次元港等の艦船支援設備は大ダメージを受けたが、それよりも支部スタッフの殆どが急性の放射線障害で、既に六割以上が死亡か手の施しようがなく、残りの者も後遺症の心配がある。

 

それらの者も放射能の影響で余命が最大で数年と診断された。

 

現場に突入したスバルたち救助隊員も一日あたりの許容被曝量に達したら除染しても24時間は再出動できず、捜索は思う様にはかどらないと聞く。

 

その間にも死亡者の人数は次々と増えていく。

 

そんな現実にスバルは悔しさを感じていると言う。

 

艦船のみならず、海上支部が半壊するほどの被害は管理局史上例がなく、管理局は元より、ただならぬ様子を嗅ぎ付けたマスメディアが独自の取材を始めており、プレスリリースせざるを得ないようだ。

 

(私たちが信じてきた魔法はこうも無力なの?)

 

今回の出来事で魔法‥魔導師、管理局の限界に痛感したなのは。

 

そして、グリフィスからの情報で、正体不明の敵が核兵器を使ってきたと聞かされた時は愕然とした。

 

質量兵器の中でも最も忌むべき兵器‥核‥‥。

 

故郷の地球でも保持が規制されている御禁制の最終兵器‥‥。

 

それを惜しげもなく使った敵に言いようのない憤りを感じるが、XV級や最新鋭のSX級を撃破してしまう程の軍事力を持つ敵に魔法が通用しないのでは戦いようがない。

 

仮に根拠地を突き止めて、武力制裁を行ったとしても、返り討ちに遭い、一方的に虐殺されてしまうだけだ。

 

(忌み嫌っているだけでは何の解決にならないことはわかっているけど、質量兵器には質量兵器でないと対抗できないのかな?)

 

なのはに限らず、時空管理局の戦闘魔導師たちは、理想と現実の乖離に悩む者が多かった。

 

特になのはは、地球防衛軍の戦闘映像を目にして大きな衝撃を受けていた。

多数の艦船から撃ち出される大出力のビームとミサイルに乱舞する地球防衛軍の戦闘機。

 

メンテナンスに出していたレイジングハートを受け取りにいった時、マリエル・アテンザは、あの戦闘機は大気圏内でも運用可能と看破していた。

 

空戦魔導師が通常装備で活動できるのは対流圏内の中・低空域。

 

それ以上では断熱・耐圧スーツを着用し、酸素ボンベを追加装着しないと短時間で意識不明になってしまう。

 

ましてや成層圏以上の高度では活動できない。

 

宇宙空間なんてもってのほかだ。

 

だが、あの戦闘機は宇宙空間も成層圏以上の高層域でも運用できる。

 

航空自衛隊のジェット戦闘機もその位の性能はあるというから、23世紀初頭の地球ならば宇宙・大気圏両用な戦闘機があっても何ら不思議ではない。

 

(こんな戦闘機相手に勝てる訳ないじゃない‥‥)

 

低空ならばまだしも、一撃離脱攻撃や高空の戦闘に持ち込まれたらどうにもならない。

 

ましてや宇宙空間では言わずもがなである。

 

(これが魔法の限界なの?)

 

あの映像は、現在の魔導師は純粋科学兵器に対抗できないことを如実に示していた。

 

もし、紅葉がこの場に居れば、「そんな事も分からなかったんですか?」と、呆れるだろう。

 

魔法の力で何とかなるのであれば、ヤマトがイスカンダルまで行き、その航海で、大勢の宇宙戦士の命を犠牲にしてまで、イスカンダルへ赴く事は無かっただろう。

 

ガミラスの遊星爆弾で地球が放射能塗れになる事も無かっただろう。

 

どんなに高ランクで優秀な魔導師でも強力な質量兵器や人体に有毒な放射能の前では無力なのだ。

 

管理局と提携を汲んでいるデバイス等の装備開発企業では、新たな魔導戦闘装備の開発も進んでいるが、あの戦闘機や宇宙戦艦に比べるとだいぶ見劣りするのは否めない。

 

魔導師は空気の無い宇宙空間では戦えないし、大気圏内での超音速飛行や成層圏内の飛行も出来ないし、バリアジャケットでは放射能は防げない。

 

ガトランティスには次元航行技術は流出していないようだが、地球防衛軍にはノアとテリオスの残骸が渡っているし、キャデラック、タイタンを撃破した未知の敵に次元航行艦が奪われた可能性もある。

 

もし、既存の艦船に次元航行能力を付加したら‥‥

 

例えばヤマト や まほろば のような宇宙戦艦に次元航行能力が加わり、管理局の艦隊と交戦状態になったら、多分一方的な虐殺だ。

 

地球防衛軍とは今のところ話ができているが、今後共に手を取り合えるのだろうか?

 

時空管理局は質量兵器の全廃こそが次元世界の平和に繋がると主張しており、自分もその趣旨に賛成したから管理局に入った。

 

しかし、向こうの地球の人たちは、魔法ではなくタキオンエネルギー変換技術を得て、別の銀河まで往復する力と理不尽な侵略者と互角に戦う力を得た。

 

今さら自分たちよりも弱小な管理局の傘下に入るわけがないだろう。

 

先日、ギルフォードとやり合った地球防衛軍士官の態度からもそれは分かる。

 

管理局の主張は理解するが、地球が同じ道を歩むことはない。

 

ましてやそちらの世界の傘下(支配下)に入る事も絶対に無い。

 

彼らはそう言わんばかりの態度だった。

 

しかし、彼らは危険を冒してフェイトとティアナを助けてくれている。

 

単に人道的な理由というだけで、何のメリットもないのに‥‥。

 

そういう事をしてのける地球防衛軍を、単に質量兵器を使っているからといって危険視できるわけがない。

 

遥かに危ない勢力が続々と明らかになっているのだから。

 

しかし、管理局の‥本局の管理世界拡大推進派、魔導師至上主義者の連中は、ガトランティスや暗黒星団帝国と違い、地球連邦ならば、管理世界に組み込みやすいと思い込んでいるから厄介だ。

 

(違う道を歩む世界や組織とも折り合わないと、管理局は立ち行かない時期に来ているのかな?)

 

管理外世界で生まれ育った彼女の考えは間違っておらず、現実に即したものだが、管理局員の大半はまだそこまでに至らないのが現実だった。

 

そして、なのはの思いとは関係なく、管理局は再び理不尽な追い打ちに見舞われる事となった。

 




ヤマトⅢにでたアリゾナの艦内にもボラーチウム100と言う放射能が残留していましたからね。

ボラー艦のエネルギー砲って結構人体に有害で、ある意味砲撃型のハイパー放射ミサイルみたいなのかもしれませんね。
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