IS~僕の兄は織斑一夏~   作:ピーナ

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秋 「作者さん前回どこに行っていたんですか?」
作 「寝落ちしてた」
秋 「もう大分と寒くなっているから風邪には気を付けてくださいね」
作 「大丈夫、先週末風邪だったから」
秋 「大丈夫じゃないじゃないですか!」

第八話始まります。


第八話 整備のススメ

さて、無事に僕がクラス代表になってから数日が経った、ある日の放課後。僕は一人部屋に居た。

色々な映像を見ている。それはクラス代表戦に向けての下準備だった。

 

「2組と3組の子は専用機持ちじゃないし、代表候補生でも無いから情報がほとんど無いから対策を立てれないし…。今準備が出来るのは4組の更識簪さんだけか。名前的にも見た目的にも生徒会長さんの妹さんかな? 日本の代表候補生だし専用機持ちらしいけどその映像が無いから何とも言えないけど、打鉄に乗っている時の映像を見る限りかなり高いレベルだし、これは厄介な相手かな?」

 

僕は更識さんの映像を見ながらそう呟いた。

基本的にISの操縦時間は僕や夏兄よりも普通の女子生徒の方が多い。

生身なら勝つ自信があるけど、IS戦となると自信はあまりない。しかもクラス代表に選ばれる人だから腕も立つはず、警戒するに越したことはない。

 

「ま、これは後回しにしてもまだ問題無いから、一回保留にしよう。次はっと…」

 

モニターに映し出されている映像を切り替える。

映像には初めて乗った時から今までの僕と黒鷹の訓練の映像が流れる。

 

「とりあえず、剣弓術のIS戦の最適化は一通り完了したし、次は改善点のチェックだな。…と言っても、素人だから、改善点ばっかだな。要練習だね。でもそれよりも基礎の徹底からだろうけど」

 

一応セシリアさんと箒ちゃんの指導の元、僕と夏兄は基礎的なIS操縦を詰め込みで終わらせた。

現在、夏兄は基礎訓練と並行して二人を相手に模擬戦をして徹底的に実践勘を磨いている。ちなみにこれは僕のプランだ。

夏兄なら実戦勘を取り戻せれば基礎を昇華した応用技術も自分で自然と習得していけるだろう。いうなれば直感で近道を見つけてしまうみたいなものだ。これは僕には出来ない。

僕は未だにひたすら基礎訓練ばかりしている。というより、戦い方的に先手を取って牽制、相手にリズムをつかませないようにしながら観察、そこから攻めに転じるというのが僕のやり方なので、基礎技術の向上が耐久時間の増加、ひいては観察の余裕の増加になるから必要なのだ。最終的には無意識下でその状況に有った動きが出来る様になれればいい。どれだけ掛かるか分からないけど。

そんな事を考えていたら、部屋のドアがノックされた。

 

「ん? 誰ですか?」

 

僕は外に問いかけた。

 

「おー、その声はあっきーだね」

 

外の声の主はそう言った。今現在僕をそう呼ぶのは一人しかいない。

 

「布仏さん、何の用?」

「今日ね、あっきーのクラス代表就任のお祝いのパーティーをやるんだ。だから、主賓のあっきーに知らせに来たの」

 

パーティーって、んな大げさな。まあ、断る必要も無いので、

 

「分かった、何時にどこに行けば良いの?」

「えーと、7時に食堂で始めるよ」

「了解。ちゃんと行くよ」

「じゃーねー、あっきー」

 

その言葉と共に布仏さんは去って行った。

 

「7時ね、まだまだ時間があるから何しよう…」

 

そう呟くと電話が。着信を見ると束姉からだった。

 

「もしもし、束姉、どうしたの?」

『えーっと、かずくんに頼まれてた改造終わったよ。今から取りに来れる?」

「暇だし行くよ。あっ、後さISの整備について教えてくんない?」

『ゴメンね、束さんは忙しいのですよ。でも、かずくんならその内そう言うのではないかと予測していたので、束さん謹製の整備の手引きを作っておきましたー。黒鷹と一緒に渡すよ』

「本当に! ありがとう、束姉。今度、束姉の好きなキャロットケーキを作っていくよ」

『楽しみにしてるよー。じゃーねー」

 

電話が切れたのを確かめて僕は部屋を後にした。

 

 

僕が束姉の研究室に入るとそこにはカオスな空間が広がっていた。よく分からないパーツが散乱している。

どうして、僕の姉達といい、とんでもない能力を持った女性は比例するかのように家事能力が無いのだろうか。

 

「よく来たね、かずくん。かずくんの注文通り、黒鷹の脚部装甲に展開装甲を使ったよ。でも、どうして必要なんだい?」

「単純に蹴りの威力が上がるのと、四肢に展開装甲があれば咄嗟の回避に使えるかなーって思って」

「なるほどねー。かずくんはそうやって有る物にいろいろな使い方を考えるの昔から得意だよねー」

「まあ、剣弓術自体が指南書しかない状態で自分なりに磨くしかなかったからいろいろ考える様になったし、僕は普通に正面から戦ったってそこまで強いわけじゃないから、いろいろ意表を突く方法を考えないと勝てないからね」

「かずくんは負けず嫌いだねー。でも、それなら何で背部装甲には展開装甲にしなかったの?」

「うーん、背中を展開装甲にする必要性を見いだせなかったからかな。別に通常のスラスターで十分だと思ったし、そこまですると僕がまだ扱えないと思う」

「自分の状態も理解できてるっと。流石だね、おとーさんが免許皆伝を出すだけあるよ」

「それは、流石にほめ過ぎだよ」

「いやいや、ちーちゃんもはるねぇも私もおとーさんに武道を習って強くなったって調子に乗った事があったからね。まあ、その時はおとーさんに叩き伏せられたけど。でも、かずくんはそんな事無いじゃん」

「多分だけど、僕が一番僕自身を一番評価出来ていないからだと思うよ。それに目標が高いのも理由になるだろうけど」

「なるほどねー。つまり、ちーちゃんやはるねぇが目標としているから、慢心なんて出来ないと」

「そういう事。…って僕が春姉うあ冬姉に勝つのが目標って言ったっけ?」

「いや、言ってないよ。でも、なんとなくそうかなーって思ってさ」

「これは皆に内緒ね。知られると恥ずかしいからさ」

「了解。束さんは頑張れとしか言えないけど応援してるよ。それと、これ。束さん謹製の整備の手引き」

 

そう言って束姉は一冊の冊子を渡す。そこには『束さんの整備のススメ ~今日から君もISマイスター~』と書かれていた。相変わらずの独特のセンスである。

 

「ありがとう、束姉」

 

そう言って僕は束姉の研究室を後にした。

 

 

さて、貰った手引書をざっと目を通したら、

 

「さっき診てもらったばっかだけど、実物見ながらやる方が良さそうだよね」

 

と思い、僕は第五整備室を訪れた。第一から第四までの整備室は常用で普段から2・3年の整備課の生徒が居るが、第五と第六は臨時で、この学園のISが全機稼働をするようなイベント(学年別トーナメントや二学期のキャノンボール・ファストなど)の時のみ使用される。なので普段は使用されていない。だから誰も居ないと思っていたのだが…先客がいた。

その子は一心不乱にモニターを見ているので僕に気付いていない。

僕が誰も居ない所を選んだのは、黒鷹に使用されている展開装甲が今現在のIS技術からするとオーバーテクノロジーであって出来る限り情報を遮断しようと思ったからだ。

見られる位ならともかく、整備とかに人の手をあまり借りるわけにはいかない。借りるにしても束姉くらいだと思う。

まあ、束姉が気にしないのなら僕も気にする事は無いんだろうけど、その辺は確かめていない。

後、僕の手元にある束姉お手製の整備マニュアルはISを志す者ならば垂涎の逸品なのは間違いない。それを失わないための自衛でもある。

…まあ、気付いていないのなら別に良いか。

僕は待機状態の黒曜を専用ハンガーに置き、展開し、下に胡坐で座って手引書を読みながら進めていく。

…意外と楽しい。

元々は、自分の相棒なんだから自分で診れるようにならないと、と思っていたのだが、それを抜きで考えても結構楽しめている自分が居る。

これが、「手のかかる子供ほど可愛い」って奴なのだろうか? 何か違う気がする。

結構時間を忘れてしてたので、時間の確認の為に振り向くと、さっき入って来た時にモニターを見て作業をしていた女の子が後ろに立っていた。

 

「うおっ!」

 

ビックリして思わず声を上げる僕。その子はそれに驚いたようだった。

 

「ゴメン、驚かせちゃって。…で、何の用かな?」

「…気にしないで、後ろに立っていた私が悪いんだし。それで、用件はここで作業するのは私以外初めて見たから、織斑君が何をしているのか気になって」

「ぼくがしている事? 手引書を見ながらISの整備だよ。これから長い時間を一緒に過ごすパートナーだから出来る限りの事をしたいんだ」

「なるほど…。でも、その手元にある本は? 見ながら整備していたから、参考書とかの類だと思うけど、そんなに薄いの見たことない」

「これ? これは『束さんの整備のススメ ~今日から君もISマイスター~』。非売品だよ」

「篠ノ之博士直筆の本…! 見せて!」

「良いよ。あんまり時間無いけど」

 

僕は女の子に本を渡した。

黒鷹は隠すべき事が多いがあの本は特に隠すべき事は無い。あの本は難解で分厚い専門書を束姉が分かりやすくまとめた物であって、内容自体はそこまで凄い事は書いてない。まあ、僕がISに詳しいわけではないので、その辺は自信がある訳では無いけど。

言うならばあの本は『面倒な古文の分かりやすい現代訳(詳しい説明付)』である。ちなみに黒鷹の詳しい情報は『国家の防衛情報』になると思う。

 

「ん、ありがとう。勉強になった」

 

一通り目を通したらしく、その女の子は僕に本を返した。

そういや、自己紹介してなかった気がする。彼女には織斑君と呼ばれたので僕の事知ってるんだなと思ったけど、よく考えるとこの制服着ているのは二人だけで、しかも両方とも織斑だったから、織斑君って言えばはずれは無い。

 

「そういや、自己紹介してなかったね。僕は織斑一秋。よろしくね」

「…更識簪。よろしく」

「更識さん? って事は4組のクラス代表の?」

「そう。後、苗字で呼ばないでほしい」

「分かったよ、簪さん。僕も出来れば名前の方が良いかな。織斑はこの学校に4人居るし、生徒だけでも2人いるから」

「分かった。一秋君」

「簪さんはこんな所で何をやっていたの?」

「専用機の装備を作ってる」

「えっ、そういうのって研究所とか企業とかが作るんじゃないの?」

「お姉ちゃんに負けたくないから…」

 

その気持ちは分からなくはないけど…。

 

「何でまたそんな事に…」

「お姉ちゃんは昔から何でも出来たし、今の専用機だって自分で作った」

「だから武器ぐらい自分で作れないと、って訳か…。簪さんはお姉さんの事どう思っているの」

「…昔は自慢のお姉ちゃんだったけど、比べられる事も増えて辛いって思う事も増えたし」

「でもさ、そんなんで嫌いにはならないでしょ」

「…うん。でも、どうして?」

「僕もさ、世界的に凄すぎる姉が居るからね…。でも、どんな時でも自慢出来る姉である事には変わらないし、それくらいで嫌いになれないよ」

「そうだよね。私にとってのお姉ちゃんは自慢のお姉ちゃんだよ」

「僕もそうだよ。それと超える目標だよ」

「超える目標?」

「そうそう。これは内緒にして欲しいんだけどさ、僕の夢は家の姉二人に勝つのが夢なんだよ。その為には努力をし続けるし、諦める気はないよ」

「…凄い高い目標だね。…うん、私もお姉ちゃんに勝つ事を目標にする。ありがとう、一秋君」

「いやいや、僕は大したことはしてないよ。話聞いただけだしね」

「それでもだよ。なんだか、一秋君は話し易いんだよね」

 

そういう物なのかな? 自分の事はよく分からん。

 

「そうなのかな? …ってもうこんな時間、ちょっと僕、行かないといけない所があるから。また今度」

「そう。じゃあね」

 

僕は黒鷹を待機状態に戻して整備室を出た。




簪との出会い回、そして打倒姉同盟結成回でした。予定ではパーティーまで行く気だったのですが長くなりました。
次回はパーティー回になると思います。
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