IS~僕の兄は織斑一夏~   作:ピーナ

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秋 「いよいよ始まりました、クラス対抗戦」
作 「そうだねー」
秋 「話変わりますけど、鈴ちゃんのISの名前って中国語読みだと…」
作 「世界中で大人気の漫画の願いを叶えてくれる龍の名前になるって話?」
秋 「はい」
作 「まあ、気にしなくていいんじゃない。基本日本語読みだし」

第十一話始まります。


第十一話 開戦! クラス対抗戦

流れる時間というのは早い物でいつの間にかクラス対抗戦の当日を迎えていた。

さて、この間僕が何をしていたかというと、もちろん訓練に決まってる。夏兄を始め箒ちゃん、セシリアさん、鈴ちゃん、簪さんとだ。もちろん、鈴ちゃんと簪さんの前では基礎機動と応用の機動の練習しかしていない。わざわざ敵に塩を送る必要は無いしね。

今のところ僕はISの模擬戦はしていない。『生兵法はケガの元』ってね。

なら、何故夏兄は模擬戦をさせているのか? 夏兄の場合、僕みたいに戦い方のバックボーンになる物が薄い。というより無いに等しい。剣道は離れて結構経つのでそれをバックボーンに出来なかったからだ。

武器の扱いは積み上げであり、いくらセンスが有っても時間をかけて積み上げた物には勝てない。そして困った事に夏兄は完全な実戦で伸びるタイプ、しかもピンチの時にやたら伸びる。これなら、夏兄にクラス代表をやらせれば良かったと思ったのだが、それは後の祭りで、仕方ないので模擬戦をしてもらっているという訳だ。ちなみに模擬戦と言っても今の所一日の訓練の締めに1~2戦しているだけだ。その内数は増やすつもりだけど。

…ここまで考えてみると、僕は夏兄のマネージャーか何かか? 夜はその日の模擬戦の問題点の洗い出しをしてるし…。まあ、その代わりに夏兄にマッサージしてもらってるから良いか。

夏兄のマッサージはかなりレベルが高い。多分金を払って受けに行くレベル。報酬としては十分だろう。

そうそう、鈴ちゃんが編入してきた日に気になっていた『どうして鈴ちゃんがクラス代表になったのか?』というのは、『編入してきた日に半年間のデザートフリーパスの為に代表交代をクラスのほとんどの子が頼みに来たから』らしい。鈴ちゃんはそれを二つ返事でOKしたらしい。カッコイイねと僕が言ったら、「実際、あの現場に居合わせたら正直、ただの脅迫よ?」と笑って言っていた。

こんな感じで色々な事があってクラス代表戦の当日、現在僕はピットで黒鷹の最終チェックをしている。近くには同じクラスの夏兄と箒ちゃんとセシリアさんがいる。

 

「…よし、問題無しっと」

「なあ、一秋」

 

最終チェックを終わらせた僕に話しかける夏兄。

 

「何? 夏兄」

「少し前から気になっていたんだけど、お前さISの整備とか自分でしてるよな」

「してるね」

「一体どこで習ったんだ? 授業じゃやってないだろ?」

「習ったっていうか、独学だね。束姉に改造を頼んでそれを受け取りに行ったときにお手製のマニュアル貰ってさ」

「「「はあっ!?」」」

 

僕の言葉に驚く三人。

 

「どしたのさ、そんな大声出して」

「大声にもなりますわよ! 篠ノ之博士はISの開発者ですわよ。そんな人の直筆のマニュアルなんてISに関わる人なら必ず欲しますわよ」

「だろうねー」

「ていうか、何で一秋だけそんなの貰ってんだよ!」

「頼んだから」

「ずるい…」

「いや、箒ちゃんが頼めば普通にくれると思うよ。そんなに気になるなら後で貸すよ? 束姉もOKって言ってたし」

 

事後報告だったのだが、束姉に簪さんに見せた事を伝えると、「別に問題無いよー。むしろどんどん見せてあげて」だそうだ。

 

「「「ぜひ、お願いします」」」

「じゃあさ、今日夕飯の後に部屋に来てよ。今は持っていないからさ」

『織斑君、時間です。準備は出来てますか?』

「大丈夫です、山田先生」

『では、発進してください』

「はい。…という訳で行ってくるよ。三人とも管制室で見るんでしょ? すぐに始まるだろうから、早いうちに行っておかないと」

「…一秋!」

「何、夏兄?」

「勝ってこいよ!」

「任せてよ。織斑一秋、黒鷹行きます!」

 

僕らしくない答えを夏兄に返して僕はピットを後にした。

 

 

アリーナにはすでに鈴ちゃんが居た。

 

「遅くなってゴメンね」

「そんなに待ってないから良いわよ。それより一秋、アンタほとんど模擬戦していなかったけど、大丈夫なの?」

「大丈夫だよ。ISの模擬戦はやってないけど、それより厳しい事してきたからさ」

「気になるわね、それ」

「まあ、終わったら教えるよ」

『それでは、始め!』

 

丁度、僕と鈴ちゃんの会話が終わったタイミングで試合が開始する。

 

「先手必勝! ってね」

 

梓鷲の一矢が甲龍に襲いかかる。しかし、工夫も何もない射撃は当たらない。

 

「私も!」

 

鈴ちゃんがそう言うと、肩の非固定浮遊部位のアーマーがスライドして、その中心が光る。あれは…マズイ!

 

「くっ!」

 

咄嗟に横に回避する。僕の後ろで土煙が上がる。

 

「今のが衝撃砲ね…」

「あら、良く知ってるわね」

「下調べ位はするよ。基本的に僕は弱いからね」

「初弾は避けられたけど、どんどん行くわよ」

 

そう言うと、鈴ちゃんは見えない砲弾をバンバン撃つ。

あのアーマーの中が光るから発射のタイミングは分かる。後は…

僕は、梓鷲のモードを拡散に変えて迎撃、迎撃しきれないのは回避、さらにそれも出来ないのは…

 

「展開装甲!」

 

展開装甲で作ったエネルギーシールドで防いでいく。

 

 

「硬直していますわね…」

 

管制室で見ていたセシリアはそう呟いた。ちなみに管制室には一夏、箒、セシリア、千冬、千春、真耶、束がいた。

 

「そうなのか? 俺には一秋が防戦一方に見えるけど…」

「ですが、今の所衝撃砲の直撃は受けていませんわ。どころか、時間が経つにつれ、回避できる数が確実に増えてますわ」

「たしかに、そうだな。でも、こういう場合ってどんどん追い込まれていくものじゃないのか?」

 

一夏の疑問に答えたのは、呆れた声の千冬だった。

 

「織斑、お前はこの前のクラス代表決定戦のアイツの戦いを覚えていないのか?」

「そういえば、一秋はその時も最初は回避に専念していたな。でも、弓で迎撃する意味は?」

「それは自分で考えないと意味ないわよ」

「って、千春姉は分かってるの?」

「多分だけどね。千冬ちゃんや真耶ちゃんもでしょ?」

「本人に確認を取らないと分からないがな」

「私も一応自分なりの答えはあります」

「「「先生って凄い…」」」

 

教師陣の観察力に脱帽の学生たち。

 

「まあ、ヒントは何故、拡散で迎撃しているか? よね? 二人とも」

「「ああ(ええ)」」

「開発者としては、展開装甲を上手に使いこなしてくれているから嬉しいですよー」

 

少しずれている感想を言う束。

 

「確かに、腕部と脚部の展開装甲で加速、減速を上手くする事で最小限の動きで回避してますね」

「しかも、ちゃんと切り替えてエネルギーシールドで防御もしているから、想像される第四世代機の戦い方だねー。これは、白梅で今のISの高等技術を編み出したはるねぇを彷彿させるね」

「そうね。まあ、私達が稽古を付けてあげたのだから、これくらいはしないとね」

「「「「「はあっ!?」」」」」

 

千春の言葉に千冬を除く、五人が声を上げる。

 

「姉さん…それは言わなくても良かったのではないか?」

「まあ、言っちゃったんだから仕方ないでしょう」

「ど、どういう事だよ千冬姉?」

「織斑先生だ!」

 

出席簿アタックを食らう一夏。

 

「実はな、私と姉さんは週に二回ほど朝に本気で組手をしているのだが、この一か月ほど、一秋の相手もしていたのさ」

「なんで一秋だけなんですか、織斑先生」

 

聞き返す一夏。その目には嫉妬の色がある。

 

「織斑弟は入学式の翌日から、早朝からトレーニングしてるぞ。私達が組手をする時間よりも早くな」

「そういう子を応援したいのは、教師というよりも、私達個人の気持ちね」

「もしかして、一秋さんがISで模擬戦をしなかったのは…」

「勝負勘は私達との組手で十分と考えたのだろう。その時間を基礎技術の向上に当てたんだろうよ」

「俺の弟は凄い奴だな…。しかし、一秋ってそんなに熱血するような奴だっけ?」

「私や千冬ちゃんも不思議なのよ。秋君があそこまで向上心を持てるのかが」

 

その疑問に答えたのは意外な人物だった。

 

「私は知ってるけど、その事は内緒にするってかずくんと約束したからね。教えられないよ」

「気になるが…まあいい。今は試合に集中しよう」

 

千冬の言葉で全員が試合中のアリーナを映したモニターに再び集中した。

 

 

 

「一秋、アンタ避け過ぎよ! さっさと食らって負けなさい!」

「やだね」

 

衝撃砲もかなり避けれるようになってきたし、鈴ちゃんの回避の癖も分かった。

鷲梓を集束モードに変更。

 

「そこっ!」

 

開幕では外したが今回は直撃といかないまでも、命中した。

 

「うーん、もう少しか…」

「もう少しって、何で? 最初は避けれたのに!?」

「種明かしは試合の終わった後でね。次々いくよ」

 

どんどん僕は矢を撃ちこむ。その射撃は一射ごとに精度を増していく。

 

「くっ、こうなったら…」

 

鈴ちゃんは凶悪なバトンもとい、連結させた青龍刀を呼び出し、ダメージお構いなしで突っ込んでくる。判断は間違ってないと思うけど、当然僕は近接戦が出来ない訳じゃない。ISの戦闘を日本を離れてからの一年間やってきた鈴ちゃんと、ISは初心者だけど、小さい時から武道を習ってきて近接戦にはそれなりに心得のある僕。どっちが有利なのか…。

…いや、別に無理にする必要なくね? 今の所、遠距離戦に徹していれば有利に戦いを運べるし、何より手は隠したい。そうだ、試してみたい事をしよう。

鈴ちゃんの踏込ながらの一撃を僕は回避、鈴ちゃんの背後に回る。

 

さて、話は変わるけど、ISにはパッシブ・イナーシャル・キャンセラー、PICが搭載されている。これによってISは飛ぶ事が出来る。つまりPICが現行兵器を超える性能の一翼を言っても良い。

しかし、これにも欠点がある。一定以上の重量を超えるとPICの意味を成さないという所だ。ISがパワードスーツ型なのもそれが理由に挙げられ、現行兵器に搭載出来ない理由でもある。そして、一機のISで二機のISの重量を支える事は出来ない。軽量で高機動ならともかく、甲龍も黒鷹も重武装型だ。

 

僕は左腕で鈴ちゃんの左腕を、左足で鈴ちゃんの右腕を絡め取り、自分の体を回転させて鈴ちゃんを上下さかさまにした。プロレスの十字架固めの状態だ。そして、PICを解除。

さて、基本ISのPICは一機しか支えられない。つまり、万有引力の法則に従って、下に、地面に向かって落ちる。さらに右足と右腕の展開装甲を使って、落下速度を加速! 倍率ドン! さらに倍!

 

「ちょっ、一秋…」

「鈴ちゃんどう、このフリーフォール」

「死ぬわよ!」

「大丈夫。絶対防御あるし、この高さなら死なないから。確かめたし」

「確かめたの!?」

「一応、口閉じてないと舌噛むよ」

 

そして、少ししてアリーナに衝撃が走った。




今回のPICの設定などは独自解釈をかなり含んでいますので、ご了承ください。
こういう設定にしたのは、ISの二次創作で面白い技を出すにはどうすれば良いかと考えた時に、「投げ技出せばいいんじゃね?」という発想の元から生まれました。賛否は有るでしょうけど…。
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