作 「そうだよー」
秋 「なんでまた?」
作 「ゲームやってて思いついた。…これがな」
秋 「そんな適当な…」
作 「まあ、良いじゃん。…という訳で、第十二話 乱入者をぶっ壊せ! に過激にファイアー!」
秋 「ちょっと! 作者さん!?」
第十二話始まります
「もう、なんなのさ。もう少しで鈴ちゃんに勝てたのに」
僕はそう呟いた。何故こんな事を言ったか。時間は少し前に戻る。
僕が鈴ちゃんを地面に叩きつける直前、上空から一条のビームが降って来た。
それに気が付いた僕はPICを元に戻して、急ブレーキ、一瞬意識を失いそうになるけど気合いで耐える。もうちょい鍛えないとダメかなー。たしか、戦闘機のパイロットのGの耐え方って腹筋に力を入れるとかじゃなかったかな? ためしに腹筋でも鍛えるか。
「てゆうか、何あれ?」
「それは、僕が聞きたい」
そう、ビームが降って来たところには異形のISが居た。ちなみに、ISと判断できたのは黒鷹のおかげである。
「全身装甲…」
鈴ちゃんがそう呟く。そう、そのISは全身装甲だった。現在、公表されているISはすべて部分装甲である。そういう意味で全身装甲は異形だ。
それ以外にもデカいし、センサーむき出しだし、姿勢制御のためのスラスター多いし、腕長いしと変わった形であるのには間違いない。
『織斑君! 凰さん! 今すぐアリーナから脱出してください! すぐに先生達がISで制圧に行きます!』
通信を入れてきたのは山田先生。非常事態がそうしたのか、いつもより威厳がある感じがする。
「大丈夫ですよ。シールドエネルギーもあるし、先生方が来るまで時間稼ぎをします」
『しかし』
「束姉、聞こえる?」
山田先生の言葉を無視して、僕は束姉に話しかけた。
『こちら、束さん。どったの、かずくん』
「あの、ISってひょっとして無人?」
『…どうしてそう思うのかな?』
「言ってしまえば勘なんだけど、今日鈴ちゃんと戦ったり、この前セシリアさんや夏兄と戦った時とは何か違うんだよ。迫力を感じないっていうか…」
なんとなくなんだけど、人と相対して戦う時は多かれ少なかれ迫力を感じる。いうなれば殺気なのだろう。今の僕はそのセンサーともいうべきものがガンガンに働いている。これも姉二人との稽古の成果なのだろう。しかし、あの謎のISにはそういう物が一切感じない。
『…あれはね、元々宇宙に行ったときに危険が無いかどうかを先行調査させるために考えてた無人IS『ゴーレム』なんだ。ただ、まだ宇宙に行けてないのにそれを作るのもどうかと思って設計で終わってたんだけど、その段階で誰かに盗まれちゃったんだ』
「なるほどね…」
大方、その設計図を盗んだ誰かが、勝手に兵器として流用したのだろう。…胸糞悪い話だ。
「束姉、ゴーレムのデータある? 後、アレぶっ壊しても良い?」
『データもあるし、壊すのも構わないけど…。かずくん、怒ってる?』
「うん。今、結構頭にきてる」
『一秋、一体何にだ?』
「そうだね、人の夢を取り上げて自分たちの玩具にする、バカヤローと、折角学園の行事を結構楽しんでたのに、水を差した目の前にブサイクにかな。…という訳で、手出しはいらないから」
それだけ言って通信を切る。そのタイミングで束姉からゴーレムのデータが送られてくる。もちろん束姉が設計した時のデータだから違う所もあるとは思うが大きく変わった所は無いだろう。
「ま、どんな時も戦い方のスタンスは変えないよ。じっくり行かせてもらいますか」
「私も手伝うわ。何すればいいの?」
そういうのは鈴ちゃん。
「良いの? 罰則あるかもよ」
「私も折角の戦いを邪魔されて頭きてんのよ」
「そっか。なら、まずは防御、回避に専念かな。相手の癖を調べないとね」
こうして第二ラウンド、僕&鈴ちゃんVSゴーレムが始まった。
「織斑君! 凰さん! …ダメです、通信をカットしているみたいです」
そう言う真耶。その声には不安の色がある。
「まあ、一秋が居るし大丈夫だろう。真耶、コーヒーでも飲め糖分を取らな…」
千冬がコーヒーに砂糖を入れようとした時、
「ちーちゃん、ストーップ」
束が止めた。
「どうしたんだ、束?」
「それ、塩だよ塩」
「…どうして塩がここにある」
「そんなのは知らないよ」
「千冬ちゃん、お砂糖はこっちよ」
「はるねぇ、それ片栗粉。コーヒーにとろみをつけてどうすんのさ」
「…なんでここに片栗粉があるの?」
「それも知らないよ」
「…やっぱりお二人とも心配なんですね」
真耶の言葉に図星を突かれる二人。
「先生、わたくしと一夏さんにISの使用許可を! いつでも行けますわ!」
「そうだぜ、二人をほっとけねえ!」
「無理だ」
やる気の二人に水を差すような言葉を掛ける千冬。
「なっ、どうして!」
「遮断シールドがレベル4に設定されているし、扉もすべてロックされている。これでは避難も救出も出来ない。束!」
「はいはい、今やってるよ。でも、ここのじゃどれだけやっても後10分は掛かっちゃうかな。研究室の設備なら半分に出来るんだけど…」
常人ではありえないスピードでキーボードを叩く束。
「それに、たとえロックを解除できてもお前たちを出撃はさせん」
「何故ですか!」
「それよりも、他の生徒の避難を手伝え。ゴーレムの方は上級生と教師に任せろ」
「「…はい」」
渋々そう言う一夏とセシリア、その言葉を確認してアリーナの様子が映し出されているモニターに目を向ける千冬。その顔は不安と何もできない自分の力の無さに苛立っていた。
「鈴ちゃん! エネルギーは?」
「あと2割って所よ!」
回避しながら少しづつ反撃を試みている僕達。今の所姿勢制御のスラスターを4つ破壊した。しかし、ゴーレムは設計通り14の姿勢制御用のスラスターと背中に高速移動用のスラスターが有る。
僕達は、まず姿勢制御用のスラスターを狙い、相手の足を止める事から始めている。
「前の方にあるのは壊せたけど、後ろとか無理じゃない?」
鈴ちゃんがそう言う。その言葉通り、ゴーレムは常に僕と鈴ちゃんを前面に置き続けている。
「鈴ちゃん、後2割なんでしょ? なら少し下がって」
「一秋、アンタの武器完全に援護向きでしょ?」
「大丈夫。策は我にありってね」
「…分かった。任せるわ」
「ほいさ、任された」
鈴ちゃんがゴーレムから距離を取る。
「そろそろ、終わりにするよ!」
まず、僕は普通に一発放つ。と共に高度を上げる。それは避けられるが織り込み済みだ。
「予想通り! 八咫烏!」
逃げた先にはゴーレムを囲むように八咫烏を設置しておいた。
「こいつからは逃げられないよ! 梓鷲、拡散モード! フルパワー!」
放たれる10発のレーザーが八咫烏に反射されて、ピンポイントに姿勢制御用スラスターを射抜く。
「これで、動きは止まったよね。次、展開装甲展開! 梓鷲、集束モード! フルパワー!」
一本の極太のレーザーがゴーレムを襲う。梓鷲は発射と共に展開装甲から排熱の煙を出す。しかし、ゴーレムは間一髪でそれを避ける。
「外したの!?」
「そんな訳無いじゃん」
そう、ゴーレムが避けるのは織り込み済み。狙いはその後ろの八咫烏。八咫烏によって反射されたレーザーがゴーレムの背中の巨大スラスターを撃ち抜いた。
その間僕は梓鷲をしまい、ゴーレムに接近する。
「僕のイライラ解消の為に徹底的にやるよ!」
その言葉と共に両足の展開装甲すべてを展開。蹴撃でゴーレムの四肢を破壊し、残った胴体を蹴り上げる。
「展開装甲、右腕のみ! これで極める!」
右腕の展開装甲にエネルギーを集中させているため、エネルギーの刃が肘からはみ出している。
瞬時加速を使用し、爆発的な加速と共にゴーレムに突っ込み、真っ二つに切り裂く。
「まあ、こんなものかな」
アリーナには僕と、鈴ちゃんと、ゴーレムの残骸だけが残った。
さて、この後の顛末を。
通信を勝手にカットした僕と鈴ちゃんは終わった後、冬姉にこってり絞られました。まあ、それは覚悟してたし。ただ、結果的に撃退できたのでそれだけで済んだのはラッキーかな。反省文提出や謹慎処分まで考えていたんだけど。
そして今、僕は夕食を終えて自分の部屋に居るんだけど、部屋には一年生の専用機持ち全員+箒ちゃんが居る。お目当ては束姉お手製の整備マニュアル(非売品)だ。
「そういや、一秋」
女の子達に「何時でも見られるだろ」といわれ、後回しにされた夏兄が僕に話しかける。
「何さ」
「ゴーレムに最後にトドメさしたのってさ…」
「おっ、気付いた? その通りだよ」
「二人して、何の話してんのよ」
鈴ちゃんがそう言ってこっちの会話に入って来た。
それを皮切りに全員がこっちに注目をしている。
「いや、あの無人機を倒したのがな…」
「版権物のロボットを使うシミュレーションRPGに出てくるオリジナルロボットの必殺技にそっくりって話?」
そう言ったのは簪さん。
「何? 簪さんも知ってんの?」
「うん。結構なユーザー」
「ホントに! 女の子がやるイメージ無かったよ」
「確かに、私の周りでは誰もやってなかった」
「俺はああいう、頭使うの得意じゃないんだよなー」
「夏兄はアクションとかのほうが好きだよね」
僕と夏兄と簪さんの3人だけでゲーム談義に花が咲く。他の3人は置いてけぼりだ。
「一秋、私も聞きたい事が有るのだが…」
ゲーム談義が一段落したところで、箒ちゃんがそう言った。
「何?」
「一秋は早朝から訓練しているらしいが、一体何時に起きているんだ?」
「4時半」
「「「「はあっ!?」」」」
驚きの声を上げる夏兄以外の4人。夏兄は中学の頃バイトでもっと早く起きていたのを知っているから驚かない。
「そんなに早く起きて眠くならないんですの?」
「もう、何年もこんな生活してるからね。慣れちゃった」
「トレーニングって何してるの?」
「基本的なものばっかだよ。ランニングして、筋トレして、型確認して、素振りして、って感じ。週2回は春姉と冬姉の組手に混ざってる。二人とも手は抜いてくれてるけどね」
「その後は?」
「その後? 部屋に戻ってシャワー浴びて、気が向いたら厨房で弁当作って、夏兄が起きるまでのんびりしてるかな」
「そんなに早くトレーニングしてる奴いるのか?」
「自慢じゃないけど、僕より早い人はいなかったよ。ただ、早朝からトレーニングしている人には一人会った」
「一体誰?」
「生徒会長さん。本人に話を聞いたら、国家代表なんだって」
「「「「「はあっ!?」」」」」
今度は簪さん以外の人が驚きの声を上げる。
「ていうか、気になったんだけど何でみんながその事知ってるのさ」
「「「織斑先生達(千冬姉と千春姉)に聞いた」」」
そう答えたのは1組の3人。どっかのタイミングでどっちかが口をすべらせたかな。まあ、隠す必要無い事だけど。
「それを僕に聞いてどうするのさ?」
「それは、今の所一秋が一番強いし、強い人に聞くのは普通じゃないか?」
夏兄の言葉に皆頷いた。たしかに僕は公式の場での戦いは勝っているけど…
「うーん、今回も前回のクラス代表決定戦の時も初見殺しみたいな所もあったしなー」
「それでも、勝ちは勝ちよ。束さんがあの高さからあの速さで落とされたら、間違いなくシールドエネルギーがゼロになったって言ってたから、今日のは完全に私の負けよ」
「皆が評価してくれるのは嬉しいけど…」
「一秋は自分の評価低いよな」
「まあ、自分を高く評価した所であんまり良い事無いからね。少しネガティブ位が一番良いよ」
慢心しないし、周りは大体自分より良く評価してくれるしで、悪い所があんまり無い。
「…じゃあ、そこまで言うなら僕から一つ。これは、僕の考えなんだけど、戦い方が人それぞれな様に練習方法も人それぞれだと思うんだよ」
「どういう事だ?」
「例えばさ、僕と夏兄じゃ練習メニューかなり違うでしょ?」
「そうですわね…同じなのは基礎の部分だけですわね。一秋さんは基本的に反復練習ばかりですし」
「逆に一夏には早い段階から模擬戦をやらせていたな」
「まあ、そのメニューを考えたのは僕なんだけどね。こんな感じにしたのは僕の方が才能が無いから」
「ちょっと待て! 一秋と戦っても負けっぱなしだぞ」
「ん? ああ、言葉が足りなかった。単純に体を動かす事に掛けては僕は夏兄よりも全然下だよ。実際、小学生の頃剣道で負けっぱなしだったし。ISはそれがすべてじゃないけど、それが大きく関わってくるのは間違いないよ。だから、僕はISを動かす事に掛けては夏兄に勝てない。どころか、この中で一番下だろうね。だから僕は反復練習ばかりしてる。とまあ、こんな感じで練習一つとっても人それぞれの特性に合った物があるんだよね。ちなみに夏兄のメニューを作れたのは僕が15年兄弟やってきて理解していたから。だから、他の人のをいきなり作るのは流石に無理だね」
ていうか、頼まれてメニュー作るとかさらに仕事量増えるだけだし、勘弁してほしい。
「あ、そうそう。僕の真似をして早朝からトレーニングをするのはやめた方が良いよ」
「どうして?」
「慣れないと授業で寝る」
実際、バイト始めた1か月くらいは学校が睡眠の場だった。今はそんな事無いけれど。
「「「「「ああー…」」」」」
「何事も自分に合ったものが良いって事だね。という訳で今日は解散! 疲れたから寝させて」
そう言って僕は自分のベットに潜り込んだ。
さて、ようやく一巻の内容が終わりました。
一巻って内容的に二つのお話が入っているような物だから長くなっちゃうんですよね。僕の他のIS物も十話くらい使ってますし。
今回の戦闘の中で最後の一撃の元ネタを弄っていますが、実はその前の弓を反射させて背後から射抜くのも元ネタが有ったりします。両方ともネタ元は同じです。気付く方はすぐ気付くかな?
次回はいよいよ二巻の内容に行きます。