IS~僕の兄は織斑一夏~   作:ピーナ

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秋 「芸術とかスイーツとかとにかくおしゃれなイメージですね」
作 「たしかに」
秋 「そういや美食ってイメージありますけど、どんなのかさっぱり知らないですね」
作 「僕もだよ。フランス料理なんて全然知らない。しかも高級ってイメージしかない」
秋 「ああー、たしかに。庶民には食べれない感じですね」
作 「そうそう」

第十四話始まります。


第十四話 フランスといえば…

「やっぱりハヅキ社製のがいいなぁ」

「え? そう? ハヅキのってデザインだけって感じしない?」

「そのデザインがいいの!」

「私は性能的に見てミューレイのがいいかなぁ。特にスムーズモデル」

「あー、あれねー。モノはいいけど、高いじゃん」

 

弾の家に行った日の翌日の月曜日、クラスはISスーツについて盛り上がっていた。今日からISスーツの申込日だからだ。先週の内に色々な会社のカタログが配られている。

 

「そういえば、織斑君たちのはどこのやつなの? 見た事の無い型だけど」

「俺達のは特注品だよ。もとは学校指定のやつじゃなかったっけ?」

「そうだよ。正確に言うと、MADE IN SHINONONO、束姉が作ったオリジナルだね。学校指定のはそれの簡易モデルだって話だよ。もし気に入る物が無かったら学校指定のでも十分だと思うよ」

「ISスーツは肌表面の微弱な電位差を検知する事によって操縦者の動きをダイレクトに各部位に伝達、ISはそこで必要な動きを行います。性能やデザインも各社個性がありますから自分の気に入った物を探してくださいね」

 

そうISスーツの説明するのは我らが1組の副担任、山田真耶先生。

ちなみにこのISスーツ、インナーとしてもかなりの高性能で、動きを阻害せず、吸汗性抜群で速乾である。それだけでなく耐久性や耐火性、耐圧性も高く、そのまま潜水服に使えたりする。

こんな便利インナーなので僕は束姉から何着か貰って、毎日愛用している。

 

「まやまや詳しい!」

「まやまや見直した!」

 

クラスの皆がまやまや事山田先生を口々に褒め称える。ちなみに、山田先生がまやまやと呼ばれているのは初日、束姉が山田先生をそう呼んだのが定着したからだ。4月の間は注意していたのだが、GWが明けた頃にはもうあきらめたらしく、そのままにしている。

まあ、親しい先生って結構良い事だと思うよ。担任がカリスマ型だし。

 

「諸君、おはよう」

「お、おはようございます」

 

噂をすればなんとやら。カリスマ性抜群のウチの担任、冬姉の登場だ。

それだけでクラスの空気が締まる。一瞬で全員が話を聞く態勢になっている。これは、一種の才能だよね。

 

「今日からは本格的な実戦訓練を始める。訓練機ではあるがISを使用する授業なので気を引き締める様に。各自、それぞれのISスーツが届くまでは学校指定のISスーツを忘れないようにな。忘れた者は学校指定の水着で受けてもらう。それも忘れたら、下着で構わんだろ」

 

ちょっと待って、冬姉! 例年なら構わないかもだけど、今年は僕と夏兄という男子も居るよ!

まあ、僕達が居るからこその脅しだろうけどね。

ちなみにこの学校、設備は最新の物なのだが、体操服と指定水着は昔ながらの物を使っている。体操服にはブルマ、指定水着はスクール水着と趣味性の高い物になっている。

女子の見た目のレベルが高いIS学園の指定の物が趣味性なのは…日本政府の上層部の趣味なのだろうか? 可能性として否定できない所が怖い。

 

「では、ホームルームを始める。山田先生」

「はい。ええと、今日は転校生を紹介します。しかも、二人です」

「「「「「ええええっ!?」」」」」

 

山田先生の言葉に驚きを隠せないクラスメイト達。まあ、いきなり転校生が来るっていうのだけでも驚きなのにそれが二人なんだから、仕方がない。しかも、鈴ちゃんの時と違って事前に情報が出回らなかったんだからなおさらだ。

 

「では、入ってきてください」

 

山田先生がそう言うと教室の前のドアが開いた。

そこから入って来た生徒を見て少し騒がしかった教室が静かになった。いや、言葉を失ったと言った方が正しいだろう。なぜなら、入ってきた生徒の一人が僕や夏兄と同じ制服を着た男子だったからだ。

にしても、あの人どっかで見たような…。まあ、よく似た人は世界中に三人居るって言うし。

 

「フランスから来た、シャルル・デュノアです。この国では不慣れな事も多いかと思いますが、皆さんよろしくお願いします」

 

転校生の一人、デュノア君はそう言った。しかし、デュノアとはこれまた知り合いの人と同じ苗字だ。

ちなみに、僕の知ってるデュノアさんはフランスの大企業の社長さんだ。その人にも僕と同じ歳の一人娘が居る。この前弾と話していた一目惚れの女の子っていうのはその子だ。

って、そうだデュノア君はその子に似てるんだ。まあ、そんだけ中性的って事だね。背も小柄で声も高いし。

ついでに言うと、社長さんの方のデュノアさんに知り合ったのは、山田さんの紹介だったりする。

何でもデュノアさん、学生時代に日本に留学してたとか。その頃に山田さんと知り合って趣味の釣りで盛り上がっていたとか。

そんなデュノアさんに山田さんが僕を紹介したのは、相談だった。

なんでも「愛した女性と自分との間で出来た女の子を引き取ったのだが、どう接すればいいか分からない」というのを子供からの目線で聞きたかったらしい。デュノアさんの奥さんは我が子の様に可愛がっているのだが、デュノアさんはどうすれば良いのか分からなかったらしい。

流石に詳しく聞くのは下世話かなと思ったので、「忙しくても出来るだけ一緒に過ごしてあげてください」と答えておいた。

ちなみに、その後は普通に親子をしているらしい。

 

「「「「きゃー!!!」」」」

 

そんな事を考えていたらやたらクラスが盛り上がっている。…耳が痛い。物理的に。

 

「あー、騒ぐな。静かにしろ」

「み、皆さん、まだ自己紹介終わってませんから~」

 

うんざりの冬姉と焦り気味の山田先生。

 

「…挨拶をしろ、ラウラ」

「はい、教官」

 

冬姉を教官って…。いや、ピッタリだけどもさ。

 

「ここではそう呼ぶな。もう私は教官ではないし、ここではお前も一般生徒だ。私の事は織斑先生と呼べ」

「了解しました。…ラウラ・ボーデヴィッヒだ」

「「「「「………」」」」」

 

続きを待つクラスの人たち。っていうか、これどっかで見た事があるんだけど…。

 

「あ、あの…以上ですか?」

「以上だ」

 

ボーデヴィッヒさん…それじゃあ、山田先生がかわいそうだよ。

そんなボーデヴィッヒさんは夏兄の方に歩いて行く。そして、張り手一発。

静かな教室にパーンと良い音が響く。

夏兄…いつかはこうなると思ってたけど、まさか初対面の人に叩かれるとはね…。

その後夏兄は文句言ってたけど、ボーデヴィッヒさんはスルーした。

しかし、気になるね「お前たちを教官の弟だとは認めない。認める物か」って…。別にあの子に認められる必要は無いんだけど、親の仇みたいな目で見られたら流石に気になる。

 

「…では、HRを終わる。今日はこの後ISの稼働実習の日なので、各自はこの後着替えて第2グラウンドに集合だ。織斑兄弟はデュノアの面倒を見てやれ同じ男児同士だろう」

 

それだけ言って、冬姉と山田先生は教室を出て行った。

 

「君達が織斑君? 始めまして、僕は―」

「ストップ。自己紹介は後で聞くよ」

「だな、早く行こうぜ」

「特に今日は急いだ方が良いかもね。デュノア君行くよ」

 

夏兄が先行して僕はデュノア君の手を握ってその後に続く。

 

「とりあえず僕達は空いているアリーナで着替えをしなきゃいけないから、実習の度にこの移動だよ。だから早く慣れてね」

「う、うん…」

 

うん? デュノア君の反応が芳しくない。

 

「あ、ひょっとして手を掴まれたのが嫌だった? なら離すけど」

「う、ううん! 別に嫌じゃないよ! それより聞きたい事が有るんだけどいい?」

「いいよ。何かな?」

「どうして、今日は急いだ方がいいの?」

「ああ、それは…」

 

僕がシャルル君にその理由を答えようとした時、

 

「転校生発見!」

「しかも、織斑君たちと一緒!」

「…こういう理由だよ」

 

予想通り、他のクラスの女子に見つかってしまった。

 

「? どういう事?」

「この学校は僕達三人を除けば、皆女の子なんだよ。そこに見目麗しい美少年が来たと噂になれば騒ぎになるんだよ」

「なるほど…」

「一秋、のんびりシャルルと話している場合じゃねえ! 前からも来てる!」

「…仕方ない。夏兄、プランBで行こう」

「だな。遅刻して千冬姉の特別カリキュラムは御免だ」

 

そう言うと、夏兄は近くの窓を開けてそこから飛び降りる。外に出てしまえば、他の女の子達も戻るのに時間が掛かるのでそこまで追ってこない。だから、さっさと外に出てしまうに限る。学校が始まった当初、移動の度に追われていた僕達がそれを突き詰めた結果、編み出したプランB―窓から飛び降りるだ。

 

「はあっ!?」

 

初めて見たデュノア君は驚いているみたいだけど。まあ、学生が窓から飛び降りる必要のある学校って世界広しといえどもここくらい、というより僕達くらいな物でしょうよ。

 

「さて、デュノア君も行くよ」

「ちょ、ちょっと待って!」

 

デュノア君はそういうけれど、そんな時間は無かったりする。ならば、どうするか。簡単だ。

 

「ちょっとごめんよ、デュノア君」

 

僕はデュノア君の首の裏とひざの裏に腕を入れて持ち上げる。所謂お姫様抱っこって奴だ。まあ、相手は見た目が中性的とはいえ男子だけど。

 

「ふえっ!?」

「「「「「キャーー!!!」」」」」

 

その行動に声にならない声を出すデュノア君と、歓声? を上げるその他の女の子。

その歓声? をバックに僕は窓から飛び降りた。着地の時の衝撃が全身に伝わっていく。

 

「人を抱えながらとか、お前は何処の未来少年だよ…」

 

更衣室に向かいながら夏兄はそう言った。

 

「僕は現在を生きてる少年だよ。…っと、それよりゴメンね。デュノア君」

「ううん、大丈夫だよ。それに、僕の事はシャルルで良いよ」

「分かった。俺は織斑一夏、よろしくなシャルル」

「僕は織斑一秋。よろしくねシャルル君。あ、そうそう僕がシャルル君のルームメイトだって聞いてる?」

「うん、聞いてるよ。よろしくね」

 

話しながら動いていると、更衣室が着いていた。

 

「時間もそんなに無いし、さっさと着替えるか」

 

そう言って豪快に脱ぐ夏兄。

 

「わあっ!?」

 

突然、声を上げるシャルル君。少し顔が赤い。恥ずかしがり屋なんだろうか? それともフランスでは裸の付き合い的な文化は無いのかな?

 

「どうしたの、シャルル君?」

「ていうか、何で着替えないんだ?」

「き、着替えるよ? でも、あっち向いてて…ね?」

「分かった」

「了解。っていうか、僕は脱ぐだけなんだけどね。インナーとして着てるから」

「たしかに性能は良いけどさ。フィットしすぎて嫌じゃないか?」

「僕はそうでも無かったから大丈夫だよ。あとは、慣れだね」

「慣れか。まあ、引っかかって着るのに時間が掛かるから授業のある時だけでも中に着込むかな」

「好きにすればいいよ。そんじゃ、僕は先に行ってるから」

「僕も終わったから行くよ」

 

夏兄と話している間にシャルル君は着替え終わっていた。

 

「じゃあ、先行っておいてくれ」

 

夏兄がそう言ったので、僕とシャルル君はグラウンドに向かった。

 

「そういやシャルル君のISスーツは何処の?」

「どうしたの突然?」

「いや、今日の朝クラスでそういう話題が有って気になって」

「僕のは僕の家のデュノア社のフルオーダー品だよ。ベースはファランクスだけど、お父さんが容赦なくカスタムしたから別物だよ」

「へえー。…って、僕の家のデュノア社って」

「うん、僕のお父さんはデュノア社の社長なんだ」

 

シャルル君がそう言ったタイミングでグラウンドに着く。

…この事は後でゆっくり聞こう。僕はそう心に誓った。




さてついにやって来ました本作のヒロイン、シャルルもといシャルロットが!
実は彼女を取り巻く環境が本作で最も変わっている点です。それは多分2,3話の内に書けると思います。
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