IS~僕の兄は織斑一夏~   作:ピーナ

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秋 「物騒なタイトルですね」
作 「でも、不味い料理って下手な物より凶器じゃない?」
秋 「少しは分かります」
作 「料理ってやっぱり慣れ?」
秋 「ですね。僕も初めの頃は上手く作れてなかったと思います」
作 「それは分かる。火加減とか味付けってやってみると分かんないよね」
秋 「その辺は数をこなすしかないです」

第十五話始まります。


第十五話 命の危険が有りそうで無い戦いと無さそうで有る戦い

シャルル君の正体について気になりながらも授業が始まる時間になる。

並んでいる僕達の前に居るのは冬姉。

 

「今日はISの基本動作の訓練を行う。…が、その前に模擬戦を行う。やってもらうのは…オルコット、凰」

 

まあ、専用機持ちの誰かだとは思ったけど。すぐに始められるし。

 

「織斑先生、相手は誰ですの? 鈴さんですか?」

 

前に出たセシリアさんが冬姉に聞いた。鈴ちゃんとセシリアさんか。普段から模擬戦してるけど戦績はほぼ5分、若干鈴ちゃん有利って所だ。これはIS同士の相性の問題だと思う。腕前は互角だし。

 

「違う、相手は…」

「私よ」

 

そう言って現れたのは、ラファール・リヴァイブに乗った春姉だった。…なにこのムリゲー。1対2って事だろうけど、正直専用機持ち全員で当たらないと無理じゃないかな?

 

「オルコットと凰には千春先生と2対1で戦ってもらう」

「いや、いくら織斑先生でも…」

「大丈夫よ」

「ああ、今のお前たちではすぐに負けるさ」

 

負けると言われ、少し怒った感じの二人。…あーあ、二人の挑発に乗っちゃったよ。

 

「全員、定位置に着け。…では、はじめ!」

 

合図と共に先制攻撃を仕掛ける、セシリアさんと鈴ちゃん。

 

「さてこの間に…デュノア、織斑先生のISの説明を…」

 

冬姉がそう言っているが、僕としては戦いの方が気になるのでそっちに集中する。

 

 

立ち上がりは距離を取っての射撃戦から始まる。

鈴ちゃんが衝撃砲をセシリアさんはブルーティアーズによるビット攻撃をしているが…当たらない!

 

「どうして、当たらないの!?」

「狙いは完璧のはずですわ!」

 

二人の言葉からは焦りの色が見えてくる。

 

「まずは…」

 

そう言う春姉はアサルトライフル『レッドバレット』を両手に呼び出し、ブルーティアーズを撃つ。聞こえた銃声は二回。

次の瞬間、ブルーティアーズは壊されていた。

 

「「「「「えっ!?」」」」」

 

戦っている二人を含むその場にいた生徒たちが驚きの声を上げる。僕も声には出さなかったけど、驚いた。

 

「あらあら、戦いの最中で驚いている時間なんて無いわよ」

 

驚いている一瞬の内に、春姉は衝撃砲のコアを撃ち抜いた。凄い。そしてえげつない攻め方だなあ…。

 

「こうなったら! セシリア、私は突っ込むわ!」

「了解です。援護はお任せを」

 

鈴ちゃんは連結させた青竜刀を展開し春姉に突撃を仕掛ける。普通の相手なら良い手だとは思うけど…

 

「判断自体は悪くないわね。でも、それは今回に限っては悪手よ」

 

いつの間にか右手のライフルを近接ブレードに変えていた春姉は鈴ちゃんの攻撃を止めて、これまたいつの間にかライフルから持ち替えていた銃―あれは多分ISの使用できる銃器でも1,2を争う威力を持つ散弾銃『ボクサー』を片手で発射する。反動を腕を回転させることによって逃がし、その回転している間に別の『ボクサー』に持ち替えて再び発砲というのを繰り返している。

ISの武器は拡張領域に一度戻すと自動でリロードされる。なので、大体のIS乗りは武器の呼び出しの練習を一番最初に行う。

ちなみに別に手動でリロード出来ない訳では無い。人によってはしまう→呼び出すより、自分でリロードする方が早いっている人も居るだろうし。

それはさておき、6発目の『ボクサー』を食らった時点で鈴ちゃんに撃墜判定が出た。

実はこの間セシリアさんは援護しようとしていたのだが、春姉が自分とセシリアさんの間に常に鈴ちゃんを置き続けていたので援護できなかった。ならなぜ、弾頭型のブルーティアーズを使わなかったのか? 弾頭型のは威力が結構あるので万が一でも鈴ちゃんに誤爆してしまったら撃墜は必至だったからだと僕は思う。

 

「さて、後は…」

 

春姉はセシリアさんとの距離を一気に縮める。セシリアさんも『スターライトMKⅢ』で迎撃するけど、すべてを回避していく。

 

「こうなったら!」

 

セシリアさんは短い間隔で二発放った。一発目は避けやすいように、二発目の必中を意識して。

 

「悪くないわね。でも…」

 

春姉はそれを近接ブレードで切り払った。そのまま格闘戦に移行し押し切る。

 

「「「「「……」」」」」

 

その結果に言葉が出ない生徒たち。同学年では抜きんでた実力を持つ二人が何もできずに落とされたのだ。仕方がない。

 

「さて、これでIS学園の教員のレベルも分かっただろう。以後は敬意をもって接するように。…では、実習を始める。専用機持ちの織斑兄弟、オルコット、凰、デュノア、ボーデヴィッヒをリーダーに出席番号順に班を作れ。午前中にISの装着と起動、それに歩行まで終わらせろ」

 

さて、ここから本格的に授業が始まった。

何か最初に僕と夏兄デュノア君の班のメンバーが一列になってお辞儀して右手を出していた。バラエティ番組じゃないんだし…。

後、夏兄の班は皆が立った状態で降りたから、夏兄がお姫様抱っこで乗せていた。

僕はそれが面倒なのでそうなった時、一回自分で訓練機に乗って直した後、「次の人からちゃんとやってね」と言った。その後は滞りなく進んだので良かった。

あ、そうそう箒ちゃんは夏兄と同じ班だったのでお姫様抱っこをしてもらっていたので凄く嬉しそうだった。それと対照的にセシリアさんと鈴ちゃんは凄く羨ましそうだった。僕から見れば公開羞恥プレイな気もするけど…。

一通り実習を終えて、皆で力を合わせてISを整備室に運んだところで午前の授業は終わった。

僕は一人でもかまわないって言ったんだけど、班の皆が「自分たちも使ったものだし」と言って皆で運ぶことになった。

 

 

 

さて、お昼休み僕は屋上に来ていた。ここでは今、夏兄に惚れている女の子4人によるお料理バトルが繰り広げられようとしている。

 

「…どうして、僕までいるのかな?」

 

何故か僕とシャルルまで屋上に居る。形としては僕とシャルル君の二人は少し離れた場所に居る。

 

「まあ、気にしないでよ。それに多分、食堂混んでるよ」

「どうして?」

「噂の転校生を一目見にね」

「なるほどね。今朝みたいな事が有るかもって事だね。…でも、僕ご飯無いよ?」

「大丈夫。僕が用意しました」

「一秋が?」

「そうだよ。結構料理には自信があるんだ。本当は夏兄に作った分だから、少し多いかもだけどね」

「ありがたくいただくよ」

 

ちなみにこの今日のお料理バトル、発端は毎日酢豚のプロポーズをした鈴ちゃんだった。

昨日、鈴ちゃんが「明日、お昼に特製酢豚をご馳走してやるから覚悟しなさいよ一夏!」と言ったのを箒ちゃん、セシリアさん、簪さんが聞いて結果的に、お料理バトルになったのだ。審査員は夏兄一人。見学者は僕とシャルル君。

ちなみに僕がこの事を聞いたのは今朝、鈴ちゃんが今日の弁当を作りに来た時だった。なので、夏兄の分の弁当を作った後だった。無駄になるかなと思ったけど、シャルル君が居てくれてよかった。

…シャルル君の事に関しては夜に聞こう。ここだと誰に聞かれるか分かんないから。

 

「…どう?」

「美味しいよ! すっごく美味しい!」

「そりゃ良かった。やっぱ作る側にとっては美味しいって言ってもらえるのが一番だね」

「それは分かるなー。僕も実家では料理作ってたし」

「へえー。…そういやシャルル君、箸の使い方上手いね」

「そうかな? お父さんが親日家で日本食も好きだから自然と慣れたのかも」

 

実はISが生まれた事の副次的な効果として世界中の人々が日本の文化に興味を持つようになったらしい。

実際ニュースとかで日本への観光客が増えているとか、日本の文化についての催し物が世界中で行われているとか結構見るようになった。

なので、意外と海外でもかなりしっかりした日本食を食べれる場所は有るらしい。これはデュノアさんに教えてもらった。

 

「そういや、あっちはどうなってんのかな?」

「一秋、あの4人皆一夏の事が好きなの?」

「うん」

「で、なんで料理バトル?」

「日本には『男を落とすには胃袋から』って言う名言があるんだよ」

「なるほど、だから料理バトルなんだね」

「そゆことー」

 

ちなみに4人の内容は箒ちゃんと簪さんが普通にお弁当(メニューは遠くて見えない)、鈴ちゃんは豪快にタッパーいっぱいの酢豚。セシリアさんが母国・イギリスの生み出した軽食サンドイッチという感じである。

 

「ここはセシリアさんの奮戦に期待なんだよね」

「どういう事?」

「実は前、セシリアさんがお弁当を作って来た時…凄い不味かったんだよね」

「…えっ?」

 

少し前にセシリアさんがお昼を作って来た事があったのだが、試しに食べた所かなり不味かった。下手だった小さい頃の夏兄の料理よりも不味かった。

「男を落とすには胃袋から」(物理)って感じ。

その時、僕は一つだけセシリアさんに伝えた。「味見はしようね」と。

なので、きっと上手くなっていると信じよう。なってなかったら…。夏兄に胃薬を渡そう。

 

「で、でも、サンドイッチに失敗する要素ってある?」

「シャルル君、それは料理が出来る人間の話の常識だ。料理の出来ない人間にその常識は通じない」

「そうだ…って納得しそうになったけど、見た感じ普通のBLTサンドだよ」

「一秋!」

 

突然、僕の事を呼ぶ夏兄。

 

「なに?」

「お茶くれ」

「こっち来てよ。めんどくさい」

 

そう言ったので、夏兄はこっちに来た。

 

「で、どうだった? セシリアさんのは」

「あー、何か…甘かった」

「良かったね。今日買ったの渋めの緑茶だよ」

「マジで助かる」

 

僕からお茶のペットボトルを受け取り一気に飲む夏兄。

 

「しかし、BLTサンドがなぜ甘くなるんかね。甘い物の要素ゼロじゃん」

「なんか、バニラエッセンスの匂いがした」

「あれってたしか、少し入れるだけでいい物のはずだよ」

「だよな…」

「まあ、夏兄…」

「一夏…」

「「頑張って」」

 

偶然だけど、夏兄に同じ言葉をかける僕とシャルル君。

 

「ハモって言うな! っていうか、二人とも息ぴったりだな。今日が初対面だろ?」

「そうだよー」

「何か息の合い方が夫婦みたいだぞ」

「僕は普通に女の子が好きだよ?」

「分かってるって。ただ、シャルルが中性的に見えるからそう感じるだけだって」

「なら良いけどさ。そろそろあっちに戻った方が良いんじゃない?」

「そうだな」

「お茶は持って行っていいよ」

「サンキューな」

 

そう言って夏兄は戻っていった。

 

「夏兄も馬鹿な事言うよねー。男同士の僕達を…ってどうしたのシャルル君」

 

シャルル君の方を見ると、何故か上の空状態だった。顔は若干赤い。体調悪いのかな? 日本に来たばっかで疲れてるとかありそうだけど。

 

「シャルル君!」

「ど、どうしたの一秋?」

「いや、呼びかけても反応無いし、顔赤いから体調良くないのかなって」

「だ、大丈夫だよ!」

「確かめさせてもらうよ。ちょいと失礼…」

 

僕はシャルル君の前髪をかきあげて、額同士を当てる。手でやらないのは、実は体の末端である手は基本的に体温が低い。そこで確かめても相手の額が温かいのは当たり前の事なのだ。

 

「ふえっ!? な、何してるのさ!」

「ん? 熱が無いか確かめただけだよ」

「そ、そう…。そういうのは前もって言ってよ」

「はは、ゴメン。これから気を付けるよ」

 

こんな感じでお昼休みが終わる。

そうそう、お料理バトルは夏兄曰く「セシリアのサンドイッチですべてが吹き飛んで味を覚えていない」というノーコンテストで終わった。

…うん、なんていうか皆、ドンマイ。




次回は夜のお話。シャル関係の事をガンガン書いていきます。
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