IS~僕の兄は織斑一夏~   作:ピーナ

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作 「っていうか、リア充爆発しろ!」
秋 「何なんですか、いきなり」
作 「いや、自分で書いてて思ったんだよ」
秋 「自業自得ですね」
作 「予想外だった。まさか、自分でツッコむことになるとはね」
秋 「まあ、これからもよろしくお願いします」
作 「そんなんなら、ここに彼女連れてきちゃいなよ」
秋 「えっ、…考えておきます」

第十六話始まります。


第十六話 恋は電光石火

シャルロットサイド

 

 

僕は今、IS学園の寮の一室に居る。今日からここが僕の部屋だ。

僕は今『シャルル・デュノア』と男の子の名前を名乗っているけれど、本当の名前は『シャルロット・デュノア』でれっきとした女の子だ。

ちなみに一人称が『僕』なのは昔からの癖で中々治らない。意識して『私』と言おうとは思うんだけど…。

そんな僕がどうして男の子としてIS学園に入ったのか。そもそもは2年前に戻る。

 

 

2年前僕のお母さんは交通事故で亡くなった。

お母さんは未婚の母で有りながら、僕をたくさん愛して育ててくれたと思う。だから。お母さんが亡くなった時はその事が信じたくなくて、ずっと泣いていた。泣き続けても涙は枯れる事は無かった。

そんな時僕を引き取ってくれたのはお父さんと今のお義母さんだった。

お父さんは今フランス屈指の大企業デュノア社の社長で、お母さんやお義母さんとは幼馴染だったらしい。

お父さんとお母さんは愛し合っていたけど、大企業の御曹司と普通の一般人、釣り合わないと周りから色々言われたらしいけど、二人の気持ちは変わらなかった。

その事に業を煮やした先代のデュノア社の社長が強引にお義母さんとの婚約を結ばせた。

その事を聞いたお母さんは自分から身を引いた。

お父さんは駆け落ちも辞さないつもりだったらしいけど、お母さんは「私が惚れたあの人は夢に向かって進み続けるあの人なのよ。私を好きでいてくれるあの人も嬉しいけど一番じゃないわ。それに、ヴィクトリアならあの人を任せられるわ」と言っていた。

その頃お母さんのお腹の中には僕がもう居たんだけど、お母さんはお父さんに迷惑にならないようにお父さんたちの前から姿を消して一人で僕を産み、育ててくれた。

お父さんとお義母さんは忙しい間でもお母さんの事を探し続けていたらしい。見つかったのはお母さんが亡くなってからだったけど…。

参列者の少ない葬儀だったけど、お父さんもお義母さんもお母さんの為に泣いてくれた。

葬儀やその後始末をお義母さんに手伝ってもらった後、お義母さんは「家に来ない?」と言ってくれた。

理由を聞くと「シャルロットちゃんがあの人と血が繋がってて、私の一番の親友が遺した一人娘だからよ。私にはアイツの代わりは出来ないかもしれないけれど、それでもシャルロットちゃんの居場所を作る事位は出来るわ。絶対にあなたに寂しい思いはさせない」と言ってくれた。

お母さんの両親は居なかったし親戚とも疎遠だったから、僕はこれから一人かもしれない。そう思っていた時だったから、凄く嬉しかった。嬉しくて小さな子供みたいにお義母さんの胸を借りて泣いた。悲しみの涙じゃなくて嬉しさの涙を。

 

そこから僕の新しい生活が始まった。

フランスの田舎で普通に育った僕にとって大企業の令嬢として覚える事はたくさんあったけど、それよりも新しい生活は刺激に溢れていた。

ただ一つ、お父さんの僕への対応がよく分からなかった。なんていうか…一歩引いて見守っている感じ?

お義母さんは「あの人は技術バカで人付き合いは苦手なのよ。血の繋がった娘なのにね。大丈夫! その内普通の親子になれるわよ」と言っていた。

結果を言うとお義母さんの言った通り、お父さんはある時を境に、出来るだけ僕やお義母さんとの時間を取るようになって、少しづつ会話も増えていった。

ある時、その理由を聞いてみたら「日本の友人に紹介された、シャルロットと同い年の男の子に相談した結果」との事だった。

自分の半分以下の子供に教わるのはどうかと思ったけど、それより素直に嬉しかった。

どんな人なのか気になったからお父さんに聞いてみると、写真があったから見せてもらった。

自分のことながら簡単だとは思うけど、そこに写っていたとてもいい笑顔をしている男の子を見て一目ぼれした。

その写真を見ていつもニヤニヤしてたからお義母さんにはあっという間にばれた。そこからお父さんにも。

自分の立場的に諦めないといけないかなと思っていたけど、お父さんは「好きにしなさい」と言ってくれた。

と言っても僕がその男の子―織斑一秋について知っているのは、名前と釣りが趣味だという事、そしてお父さんの印象だけだった。

好きな男の子の事をもっと知りたい。誰もが持つ感情を僕も当然のように持った。でも、面識もなく住んでいる国も違う。八方ふさがりだった時、助けの手は意外な所からやって来た。

それは篠ノ之束博士。今や世界中のだれもが知るISの開発者。

束さん(最初は博士と呼んでいたけど『束さんでおっけーだよ、るーちゃん』と言われたのでこう呼んでいる)がISを発表して学会でスルーされている中、最初に反応を見せたのがお父さんともう一人だったらしく、それ以来『同じ夢を持つ同士』なのだとか。

そして、偶然束さんは一秋の事を昔から知る人だった。僕は我を忘れて一秋の事を事細かく束さんに聞いた。

ちょっとやり過ぎたかなと思って、謝ったら束さんは「全然いいよー。恋する女の子を応援するのは楽しいからねー」と笑顔で言ってくれた。

それから二年、僕のこの想いは変わらなかった。日本では『乙女心と秋の空』っていう表現が有るらしいけど、この二年の僕は『乙女心で上の空』だった。心変わりなんか起こらず、大好きになった一秋の事を考えて上の空になる事が増えた。学校の皆に何事か聞かれたけど必死に誤魔化した。

そんな中転機が来たのは今年が始まってすぐの事、世界で初めての男性のIS操縦者が見つかったというニュースだった。その一人が織斑一秋、僕の想い人だったのだから。

でも、すでにIS学園の入試受付は終わっていた。幸い僕はフランスの代表候補生だったから編入しようと思えば出来たんだけど…、出来なかった。怖かった。僕が想いを伝えても最良の結果になるとは限らない。そう思うと、一歩が踏み出せなかった。それならこのまま片想いで良いんじゃないかと…。

そんな僕の背中を押してくれたのはお義母さんの一言だった。

「シャルロット、自分に自信を持ちなさい。あなたは私の親友の、ジャンヌの娘なんだから。あなたは十二分に魅力的な女の子よ。もし、振られたらなんて、想いを伝える前から思わない。そんな事は後で考えれば良いのよ」

その力強い言葉で僕は前に進む勇気が出た。そして、自分で言うのもなんだけど進む勇気を持った女の子は強いのだ。

編入試験を受けて合格。そして、IS学園にいる束さんとお父さんの友人の娘さんでIS学園で教師をしている山田真耶先生に無理を言って男装で転入、一秋と同じ部屋にしてもらった。

恋する乙女の強さを見せてあげるよ。覚悟してね、一秋♪

 

 

 

さて、夕飯を食べ終わり僕とシャルル君は部屋に戻ってきた。

僕達はお互いのベットに座って向き合い話し始める。

 

「どうだった、一日過ごしてみて」

「楽しかったよ! これからも学生生活を楽しめそう」

「そりゃ、良かった」

 

ここで一回会話が途切れる。昨日までの夏兄の時と違って何か気まずい…。

 

「ねえ、一秋?」

「どうしたのシャルル君」

「僕の話、聞いてくれるかな」

「良いよ。クラスメイトとして、ルームメイトとして人となりとか知っておきたいしね」

「じゃあ…まず、僕は男子じゃなくて女子なんだ。だから、名前もシャルルじゃなくて、シャルロットなんだよ」

 

…本当に目の前の男子は男の娘でしかも僕の一目惚れの相手だった訳だ。そう思うと今日僕がした事を思い浮かべると凄い恥ずかしい。穴が有ったらそこに入りたいレベル。

 

「シャルロットさんはなんでこんな事を?」

「僕はね一秋にお礼を言いたかったんだ。僕とお父さんを本当の意味で家族なるきっかけをくれた一秋にね」

「僕としてはそんな実感は無いんだけど…。感謝の気持ちは受け取っておくよ」

 

ただ僕は親にこうあって欲しいというのをデュノアさんに伝えただけだ。それは、相談の答えという大それたものじゃなくて、子供のわがままだった。

 

「ん? でもさ、それだと男装する必要ないよね?」

「そうだよ。もちろんISのデータ狙いのスパイでもないし」

 

あの娘との仲を何とかしようと日本の子供にまで相談しにくるデュノアさんや、自分との血の繋がっていないシャルロットさんを引き取って我が子の様に可愛がるその奥さんがそんな事をするとは最初っから思ってはいなかったけど。

 

「そっか、スパイの可能性もあるのか。考えてなかった」

「もうちょっと危機管理しっかりした方が良いんじゃない?」

「いや、スパイがわざわざ男装してますなんて言わないでしょ」

「油断させるためかもよ?」

「うーん、後は僕の勘かな」

「あはは、なにそれ」

 

気付いたら話題が逸れていた。たまにあるんだよねこういう事。

 

「それはそれとしてさ、どうしてわざわざ男装して編入したの? あっ、もし言いにくい事なら、聞いちゃってゴメン」

「…ううん、言うよ。いや、一秋に聞いてほしい事なんだ」

「僕に聞いてほしい事?」

「うん」

「分かった。聞くよ」

 

僕の返事を聞いてから、シャルロットさんは大きく深呼吸をした。そして、

 

「僕はね、2年前から片想いをしてたんだ。その人とは会った事が無くて、写真でしか見た事が無くて、一目惚れだったんだ。でも、その人の事を想うだけで顔が熱くなって、心がいっぱいになって、ああ、これが恋なんだなって思ったんだ。実際に会ってみてこの想いは凄く大きくなってその人に、君に、

          一秋に言いたいんだ。大好きだって」

 

と言った。

……………はっ!? さっきの言葉は僕への告白!? 突然過ぎて頭がうまく回らない。僕はどうすりゃいいのさ!

ふと、シャルロットさんを見ると、下を向いて体を震わせている。

そこにあるのは不安。自分の気持ちを受け入れられるかどうかが分からない事への恐怖。

それを見た僕が心に思ったのは、目の前の女の子をそんな物から護りたいという思い。

っていうか、一目惚れで2年間の片想いは僕も同じなんだ。

…女の子の方に告白させてしまうなんて、ダメだね。それなら僕にできる事は一つだけ。受け止めて答える事だ。

 

「…僕の話も聞いてくれる?」

「…うん」

「僕もさ、2年前に一目惚れの片想いをしたんだ。顔しか知らない人にさ。その後、何人かの女の子に告白される事もあったんだけど、どうしてもその片想いした女の子が忘れられなくてさ、全部断ったんだ。今思うと本当に人を好きになるってこういう事なんだなって思う。その人と会う機会なんて無いと思ってたんだけど、今日さ会えたんだよ。やっと。だから僕の気持ちも伝えたいんだ。

 

          シャルロットに言いたいんだ。僕も大好きだってさ」

 

…言ってみたのは良いんだけど、凄い恥ずかしい。これを切り出したシャルロットはどれだけ勇気をだしたんだろう?

 

「…えっ?」

「僕もシャルロットが大好きなんだよ。だから僕の恋人になって欲しい」

 

僕のその言葉を聞いてシャルロットは僕の胸に飛び込んできた。その勢いでベットに倒れこむ僕達。

 

「夢じゃ無いよね?」

 

僕の膝の上に乗ったまま上体を起こすシャルロット。

 

「夢じゃ無いよ。僕もシャルロットも今ここに居る」

「でも、不安で…」

 

僕がここで、どうすればいいのか。シャルロットの不安を取り除けるか…。恋愛に関しては使い物にならない頭をフル稼働させて考えた結果…ギュッと抱きしめた。

 

「ど、どうしたの、一秋?」

「言葉で言ってもシャルロットの不安を取り除く自信が無かったから、行動で示してみた」

「…ありがとう。おかげで落ち着いたよ」

「そりゃ良かった」

 

シャルロットの笑顔に僕も自然と笑顔になる。

 

「そういや、さっきの言葉聞いてる限りだと、一秋ってモテたの?」

「告白の数だけなら、夏兄程じゃないけど僕もそれなりにされたね。もちろん、全部断ったよ」

「ここに来てからは?」

「まだ一回も告白されてないかな。なんか、皆が牽制し合ってるって感じなんだよね」

「なら、僕も手を打たないとね…」

「何か言った?」

「い、いや何も! そうだ! 僕、山田先生に呼ばれてたんだった。ちょっと行ってくるよ。一秋いつも早起きなんでしょ。先に寝てて」

 

そう言って立ち上がったシャルロット。

 

「分かった。…っとその前に」

 

僕も立ちあがって、シャルロットの唇にキスをした。

数秒後、離れてシャルロットの顔を見ると、リンゴの様に真っ赤だった。

 

「な、何してるのさ!」

「何って、キスだよ。嫌だった?」

「嫌じゃないよ。むしろ嬉しい。いきなりされてびっくりしただけだよ」

「なら良かった。それに僕だってこの部屋でシャルロットにいきなり告白されてびっくりさせられたんだからおあいこだよ」

「そう言われればそうだね」

 

シャルロットはそう言った後、今度は背伸びをして、僕の唇にキスをした。

 

「お、お休み一秋!」

 

それだけ言ってシャルロットは真っ赤な顔のまま足早に部屋を後にした。

部屋に残っている僕の顔も熱いから多分真っ赤なのだろう。

…僕、今日寝れるかな?

 

 

 

シャルロットの山田先生への用事は翌日のHRで分かった。

 

「シャルロット・デュノアです。よろしくお願いします」

 

自分の事を言いに行っていたのだ。ただ、山田先生もなぜか楽しそうな顔をしているのが気になる。

しかし、そんな事が彼方に吹き飛ぶ出来事がシャルロットの口から発せられた。

 

「後、昨日から一秋の恋人です!」

「「「「「ええええええっ!!!!」」」」」

 

クラスが絶叫に包まれた。…耳が痛い。

ていうか、いつの間にか冬姉出席簿振りかぶってるし! しかも、狙いはシャルロットだし!

それを見た僕はシャルロットの前に飛び出る。机の上に載ってジャンプで前に行ったから文字にするなら跳び出るかな。そんでもって、右腕で出席簿を防ぐ。…痛って~。あんなんほぼ毎日食らってる夏兄ってすげえわ。あれを食らっても学習しない所が。

 

「…邪魔をするな一秋」

「いやいや、目の前で恋人が傷付けられようとしてるのをスルーは出来ないでしょ。それに、理由も無しに叩くのはどうなのさ」

「理由ならある。この騒ぎを起こした張本人だ」

「なら、僕にしてよ。原因の7割は僕だよ」

「…まあ、良い。事情は放課後に姉さんも含めて聞かせて貰う」

「了解」

 

冬姉との話を終えてクラスの様子を見てみると、全員ぼーっとしていた。何が起こったのかわかんなかったのかな? なら何故若干皆の頬が赤い。

 

「シャルロット、大丈夫?」

「うん、大丈夫。ありがとう、一秋。これはお礼だよ」

 

そう言って、僕の唇に軽くキスをするシャルロット。…やばい、昨日今日で病みつきになりそうな僕が居る。ただ、人前は恥ずかしい。

 

「「「「「キッ…」」」」」

 

これはヤバい、耳を…

 

「「「「「キャーー!!!」」」」」

 

クラスは歓声? 悲鳴? に包まれた。

耳を塞ぐのが間に合わず、耳が痛い。

…これは騒がしい生活になりそうだな。

まあ、シャルロットと一緒に過ごせればそれだけで十分楽しいからOKかな。




題名通りの超展開。
次回は色々な人に根掘り葉掘り聞かれるお話を予定しています。
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