IS~僕の兄は織斑一夏~   作:ピーナ

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作 「で、シャルロットの水着姿を見た感想は?」
秋 「凄い可愛かったです。抱きしめたかったです」
作 「抱きしめればよかったのに」
秋 「そんな度胸が無いんですよ」
作 「チキン」
秋 「言い返せない…」

第二十二話始まります。


第二十二話 臨海学校初日

「海っ! 見えた!」

 

トンネルを抜けたバスの中でクラスの女の子がそう声を上げた。

今日は臨海学校初日、気温もそれなりに高く天候も良好、絶好の海水浴日和となっている。

 

「晴れて良かったね、一秋」

「そうだね。これで天気が悪かったら折角のシャルロットの水着見れないし」

「楽しみにしててよ」

 

僕は隣の席に座って僕の肩にもたれかかっているシャルロットと話をしている。

ちなみに、僕とシャルロットが隣になったのはバスの席決めで一番最初に決まった事だったりする。

クラスの皆曰く「一秋君&シャルロットさんのカップルは1組全員で見守ります!」だそうだ。

クラスメイトたちに公式に認められたのは良いのだが、少し恥ずかしい。

 

「慣れってすげえなあ…」

 

通路を挟んだ向こう側にいる夏兄が呟いた。

さっき僕とシャルロットの席は一瞬で決まったと言ったけど、逆に夏兄の席は最激戦区だった。クラスの大半がそこに立候補したのだから。ちなみにじゃんけんの末、それに勝ったのはセシリアさんだった。最後に残っていた箒ちゃんとラウラさんの落ち込み様と勝ったセシリアさんのテンションの差はくっきりと分かれていた。まさしく明暗という言葉がピッタリくる感じだった。

 

「どうしたのさ、夏兄」

「いや、一秋とシャルロットがいちゃついていてもそれが当たり前に思えてきた。最初の頃は『リア充爆発しろ!』って思ってたのに」

「へえ、初耳だよ」

 

ていうか、それが日常と思えるぐらい僕とシャルロットはイチャイチャしてるって事なのか? …自覚なかった。

 

「そろそろ目的地に着く。全員ちゃんと座れ」

 

指示を出すのは担任である冬姉。

今このバスには1組の生徒、担任の冬姉と副担任の山田先生以外に学年主任の春姉と二日目のテストの為に同行している束姉が居る。ちなみに教師陣の並び順は前から見て右から山田先生、冬姉、通路を挟んで春姉、束姉だ。

後、束姉は春姉に抱きついて寝ている。多分明日の準備の為にあまり寝ていなかったんだろう。

そんな事を考えているとバスは旅館に着いていた。

 

「皆さん、ここが今日から三日間お世話になる花月荘です。楽しいのは分かりますが従業員の方々の仕事を増やさないようにね」

「「「よろしくお願いします」」」

 

学年主任である春姉の諸注意の後、出迎えに来ていた旅館の人達にあいさつをする僕達。

 

「はい、こちらこそ。今年の1年生も元気が有ってよろしいですね」

「じゃあ、各自自分たちに割り当てられた部屋に荷物を置いてから自由時間になります。はしゃぐのは良いけど、疲れて明日に影響を残さないようにね」

「「「はい!」」」

 

ここで生徒はぞろぞろと旅館の中に入り、それぞれの部屋に分かれて行った。

僕と夏兄はここで待機している。なぜなら僕達の泊まる部屋を知らされていないからだ。

 

「いくらIS学園と言っても高校生ですから。それに、今年は男子が居る事でそちらにも迷惑をかける事になってしまって…」

「いえいえ、これくらいは仕事の範疇ですよ。織斑先生」

「ありがとうございます。ほら、二人とも挨拶して」

 

春姉に言われ僕達は挨拶をする。

 

「織斑一夏です。よろしくお願いします」

「弟の織斑一秋です。よろしくお願いします」

「うふふ、ご丁寧にどうも。花月荘の女将をしています、清州景子です」

 

そう言って清洲さんは丁寧にお辞儀をする。仕事柄なのかその姿はしっくりきた。

 

「二人をこのままここで待たせるのも可哀想だし、千冬ちゃんに案内を任せるわ」

「分かった。一夏、一秋ついてこい」

 

そう言って歩き出す冬姉の後を僕達は自分の荷物を持って付いて行った。

 

「俺達の部屋ってどこになるんだろうな?」

「さあ? 普通に考えたら二人部屋だろうけど、それなら先に言っておいても良い気がするし…」

 

二人で話していると、

 

「着いたぞ」

 

一つの部屋の前に着いていた。

そこには『教員室』と書かれていた。

 

「織斑先生、ここ教員室って書かれているんですけど…」

「最初は二人部屋にするつもりだったのだが、それだと必ず就寝時間を無視した女子が居るだろうと思ってな。話し合った結果、なら私と姉さんの部屋を大部屋に代えてもらって四人で泊まろうという事になったのだ」

 

…あー、それは否定できないわ。下手したら女子が雪崩れ込んでくるかも。

 

「事情はさておいて、お前たちは荷物を置いて遊びに行って来い。今日一日は自由時間なんだからちゃんと楽しめよ。ただ、姉さんも言っていたがはしゃぎすぎないようにな」

「「はい」」

 

僕達は荷物を置いてそこから必要な物を置いて部屋を後にした。

 

「熱っ、この砂浜の熱さを感じると海って感じがするよな」

「そうだね」

 

海に出てきた僕達は軽く準備運動をしながらそんな事を話している。

小学生の頃、準備運動無しでプールに入っておぼれかけたのでそれ以来準備運動はしっかりするようにしている。

夏兄は水着姿だが僕は上に薄いパーカーを着ている。僕は皮膚が日焼けに弱いらしくすぐ赤くなるので海とかプールとかには上に羽織る物が欲しい。今着ているのは水着を買ったついでに買ったものだ。

 

「ていうか、黒ずくめで暑くないのか?」

「平気だよ。暑さには強い方だし」

「だよなあ。去年の猛暑を扇風機だけで乗り越えたしな」

「ていうか冷房は苦手なんだよ。なんていうか…体質に合わない」

 

ある程度管理された空調なら平気だけど、容赦なく強い冷房が掛かっているのは無理。夏場のスーパーとかもう最悪だね。

 

「で、一秋はどうするんだ?」

「うーん、午前中はのんびりするかな。午後からはちょっと行くところがあるから」

「どこだ?」

「沖合にね」

「なんでまた?」

「いやー、ダメ元で春姉に『IS使って沖の方で釣りしてきて良いか』を聞いたら、OKしてくれたからさ。なんか束姉もノリノリで釣り竿とか作ってくれたし。おかげで釣り竿を持ってくる必要がなくなって助かったよ」

「拡張領域に入れてるのかよ。…まさか、それも武器にするのか?」

「やろうと思えばできるけど、する気は無いよ」

 

正確にはやれるけどやらないかな。

実は柳韻さんに貰った奥義書の中に初代の逸話が書かれていた。ていうか、ぶっちゃけ奥義書とは名ばかりの自分の自慢話が7割だった。その中に川で釣りをしていたら賊に襲われたから釣り竿で撃退したという物もあった。

それを見て一時釣り竿を武器として振り回していた時期が有ったので使えない事は無い。

おもりとかついてるし、リーチも長いから武器として専用に作ったら意外と強いのではないかと思う。

 

「い、ち、か~っ!」

 

後ろから声が聞こえた次の瞬間、鈴ちゃんは夏兄に飛び乗って来た。凄い運動神経。動物に例えるなら猫みたいだし。

そういや、鈴ちゃんは皆でプールに行った時は毎回夏兄に飛び乗ってた気がする。アピールのつもりなんだろうけど、夏兄は「なんであいつは毎回プールの時に飛び乗ってくるんだ?」って言っているから気付いていない。ドンマイ、鈴ちゃん。

 

「一秋、あんたの彼女があっちで待ってるから行ってあげれば?」

「分かった。ありがとう鈴ちゃん」

 

お礼を言って僕は歩き出した。

 

「あっ、一秋」

 

少し言った所にシャルロットが居た。

なんか少し恥ずかしそうだった。

 

「よっす、シャルロット。パーカー、暑くない?」

「少しね。ていうか、それなら一秋の方が暑そうだよ」

「真っ黒だしね。ま、でも僕は日焼けするとすぐ赤くなるからさ」

「そうなんだ、なんか意外な弱点だね」

「そうかな?」

「そうだよ。なんかね一秋の印象が完璧…とまでは言わないけど、弱点の無い印象だったんだよね」

「がっかりした? そんな僕にさ」

「ううん、安心した」

「安心?」

「うん。僕もだと思うんだけどね、一秋に良い所を見せようとしてた気がするんだよ」

 

なんとなくそれは分かるかな。出来るだけ弱い所、ダメな所を見せたくないって思ってた気がする。良いカッコをシャルロットに見せたかった。

 

「でも、そんな事する必要ないよね。僕達はその…」

「恋人だからな」

「うん」

 

好きな相手に自分の弱い所とかを見せたくないというのは当たり前の想い。でも、同じぐらい好きな相手の事を知りたいというこれも当たり前の想い。矛盾の孕んだ想い。

恋愛に関して僕は完全に初心者で確実に肩肘を張っていた気がする。でも、そんな事をする必要が無いのだ。もっと力を抜いて過ごせばいい。

 

「そうだね。…それじゃあ、この自由時間の最大の楽しみを見せてもらおうかな」

「楽しみ? 何を見るの?」

「決まってるじゃあないですか。シャルロットの水着姿に!」

「テンション高いね、一秋…」

「そりゃ、可愛い彼女の水着にテンション上がらない訳無いよ! 結構待ったし」

「…分かったよ。少し、目を瞑ってて、ね?」

「りょ~かい」

 

そう言って目を瞑る。聞こえるのは波の音とファスナーを降ろす音のみ。

 

「…いいよ、一秋」

 

シャルロットの声を聞いて僕は目を開ける。

僕が目を開けた先には鮮やかなイエローに近いオレンジの水着を身に纏ったシャルロットが居た。

何も言葉が出ない。ていうか、見とれている。僕の彼女が可愛すぎて僕がヤバい。主に僕の理性が。

小柄で細身のイメージがあったんだけど、水着になって分かるシャルロットの体のラインはとても魅力的で僕は目を離せない。

ていうか、シャルロット着やせするタイプなのね。

 

「一秋、何か言ってよ…」

「凄い似合ってる。このままずっと見ていたい」

「…一秋のえっち」

 

否定の出来ない僕が居る。だってしょうがないでしょ。一応男子高校生ですよ。

 

「ま、まあここで話しているのもなんだし、海行こうぜ」

「そうだね」

 

僕達は歩きだした。

いつも通り手を繋いで歩き出したんだけど、

 

「…えい!」

「ちょっ、シャルロット!?」

 

シャルロットは僕の腕に抱き着いて来た。

 

「僕も肩肘張ったのは止めようと思ってね。だから、僕もやりたいようにやろうと思ったんだ」

 

笑顔でそういうシャルロット。

僕も驚いただけで、全然嫌じゃなくて、むしろ嬉しい訳で。

ただ、その…ね。シャルロットの女性の象徴である…ね。その柔らかい感覚が僕の腕を包んでいる訳で…ね。

この状態のまま僕達は海の方に行った。

もちろん皆に冷やかされて、恥ずかしい思いをしたんだけど、それよりもシャルロットとの心の距離が縮んだ気がするからオールOKかな。




いよいよ、臨海学校が始まりましたね。
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