?? 「お暇なら私とお話しませんか? 作者さん」
作 「おおっ、君は…」
?? 「名前はここで発表なので内緒の方向でお願いします」
作 「君の名前も候補がいくつかあったんだよね」
?? 「そうなんですか? どんなのがあったか気になります」
作 「じゃあ、以前一回やったようにあとがきで教えるよ」
第二十六話始まります。
IS学園の臨海学校の行われている旅館の部屋のいくつかには今重い空気が流れている。
理由はIS委員会から指示された暴走IS、銀の福音撃墜の作戦の失敗、参加者3名の内2人が負傷で意識不明だからだ。
作戦室、今作戦に参加した専用機持ちの待機室、そして、負傷した2人が眠っている一室は暗い雰囲気が覆っている。
特に、参加したメンバーの中で唯一怪我無しで帰って来た箒の周りの空気は重い。
「…私が、私がもっとちゃんとしていれば!」
帰ってきてから自分を責め続ける箒。
他の4人は何も言えない。何を言っていいのか分からない。
もし、自分が同じ立場になった時を考えても、箒の今の気持ちが想像が出来ない。軍人であるラウラでさえだ。
ちなみにシャルロットがこの部屋にいないのは今、一秋の傍にいるからだ。
「…箒も心配だけど、シャルロットの傍にいなくていいのかな?」
そう言ったのは簪。
「わたくしもそう思って聞いたのですが、今は一人にしてほしいそうですわ」
「…シャルロットは一体どういう気持ちなのだろうか?」
「箒以上に分かんないわよそれは。いや、私達と同じ感じだとは思うけど…」
「わたくしたちよりもより深くて大きな想いなのだとは想像できますわ」
「…だからこそ、一番辛いはず」
そう話していると部屋のドアが開けられた。
開けたのはこの部屋にいなかったもう一人の専用機持ちシャルロット。
「皆、今日テストするはずだったテストパーツのインストールって終わってる?」
入ってきて早々のシャルロットの言葉に皆が頷く。
「じゃあ、僕達で作戦の続きをしよう」
シャルロットの言葉を聞いた箒を除く全員は、
「「「「はあっ!?」」」」
驚きの声を上げる。結構な音量だったのだが、この旅館は防音設備が完璧なので外には聞こえていない。
「ちょ、ちょっとシャルロット何言ってるのよ!」
「何って…そのままだよ。僕は、僕の一番愛してる人を、一秋を傷つけられてそのままでいられるほど、冷めた人間じゃないよ。それに、何も出来ない自分が嫌だったからさ。でも、僕一人じゃ福音に勝てないし、そもそも、場所が分からないしね。だから、皆に協力してもらおうかなって。皆も一夏がケガをして、それを見ているだけだったっていうのが嫌っていうか悔しかったでしょ?」
そこ言葉に皆は何も言わない。いや、言えない。心の奥で皆そう思っていたから。
「…分かった。軍の監視衛星を使って福音の行方を探す。見つけ次第行こう」
「ラウラさん!? …いえ、わたくしも行きますわ」
「…だね。ここまで言われたら行くしかないでしょ」
「そうね。女は度胸よ!」
箒以外の皆は行く事を決意する。
「…箒はどうする?」
「私は…」
「僕としては箒も来て欲しいかな。箒は僕達の中で一人だけ福音と戦っているし、戦力は一人でも多い方が良いと思う」
「私は怖いんだ。私がもっとしっかりしていたら一夏も一秋も怪我をしなかったはずだ。そう思うと…。シャルロットにも悪い事をしたと思っている」
「僕に? 何でさ?」
「何でって、一秋が怪我をしたのは私が先に退いたからで…」
「でも、その判断をしたのは一秋でしょ? だから、僕は気にしてないよ。怒るとしたら、僕との約束を破った一秋にかな」
「…そうか。そう言ってもらえると少し気が楽になった。私も皆と一緒に行こう」
「なら、ラウラの情報を待っている間に作戦を話し合おうか」
重い空気が若干払われ、少しだけだが活気が戻った専用機持ち達。
自分たちのしたい事、そして課せられたすべき事の為に彼女たちは動き出した。
「ここは…?」
僕はそう呟いた。
確か、記憶にある限りだと僕は福音に撃墜されて、海に叩き堕とされたはずだ。
その僕がなぜ、意識を取り戻したら、こんなにきれいな森の中にいるんだ?
「ひょっとして、死後の世界? 小川のせせらぎは聞こえるけど、三途の川って感じじゃないし…」
しかも、制服だし。まったく訳が分からん。
「ここは死後の世界なんて物騒なものではないですよ」
後ろから声が聞こえた。
振り向くと、黒いワンピースを着た黒髪ロングの女の子が居た。
どことなく冬姉に似ている。目の鋭さとか。身長は小柄。同学年でも小柄な方のラウラよりもだ。
「この姿で会うのは初めましてですね、織斑一秋さま。でも、貴方の事は母さまと桜姉さま、梅姉さまから聞いています」
パッと見この子は僕と同じか少し下位だと思うけど、そんな子を持つ年齢の女性と僕は知り合っていない。強いて言うなら近所のおばさんたち位かな。でも、近所に桜や梅って名前の子は居ないし…。
いや、この子は「この姿で会うのは初めまして」と言っていた。つまり「別の姿では会った事がある」という事になる。
そして桜に梅…。僕は一つの結論を導き出す。
「ひょっとして君は、黒鷹?」
「正確にはISコアの深層意識ですけどね」
つまり、彼女の指す『母さま』は束姉、二人の『姉さま』は冬姉と春姉の愛機のコアの深層意識を指していたって事だ。
「て事はここは意識の世界って事?」
「そうですよ」
「名前は…黒鷹なの?」
「そうですけど?」
「いや、なんか黒鷹って女の子の名前ぽくないなって思ってさ。それと、僕の事は一秋で良いから」
まあ、男の子の名前っぽくもないけど。強いて言うなら…異名っぽいかな。
「…なら、貴方が名前を付けてください」
「僕が?」
「はい。厳密に言うと私はISコアの深層意識なので黒鷹は私の名前ではないですし、となると私自身には名前がありませんし。ならば、長い付き合いになる一秋さんに付けてもらおうかなと」
「考えてみるけど…。そういや、『暮桜』と『白梅』を姉さまと言っていたけど」
「私のコアのナンバーは467。つまり最後に作られた物なので、末っ子なんですよ」
「へえー。…名前なんだけどさ、レイっていうのはどうかな? 漢字をあてるなら、雨に命令の令で『零』」
「レイですか? 良い響きですね。でも、どうしてですか?」
「うーんと、黒鷹も武器も名前を鳥から付けてるでしょ? で、レイは鶺鴒って鳥からだね。それに鶺鴒はたしか秋の季語なんだよ。僕の名前に秋があるから丁度良いかなって」
「…なるほど、ありがとうございます。気に入りました」
「そりゃ、良かった」
ゲームのキャラとか名前を付けるのとは緊張感が違う。子供の名前を付けるのとかってこんな感じなのかな?
「そういや、なんで僕はここに?」
「一秋さんと私は暴走した銀姉さまに負けてISは大ダメージ、一秋さんは意識を失い、負傷して今、ISの絶対防御の致命領域対応で眠っています」
致命領域対応…ね。存在は授業にも出てきたけど、この機能はあくまで保険で、実際に使われたのは片手で足りる位少ないはずだ。
「それで、良い機会だと思って貴方をここにお呼びしました」
「良い機会?」
「ええ、私は貴方に聞きたい事がありまして」
僕に聞きたい事? 一体なんなのかな? 僕は続きを促す。
「一秋さんは力が欲しいですか?」
「どうなんだろ? 強くなりたいとは思うよ。僕って負けず嫌いだし」
「知ってます」
「それに、過ぎた力を持つと何時間違った道に進むか分からないし…。そう考えると怖いんだ」
初代曰く「大きな力には強い心が必要。強い心の持たない人間が大きな力を手に入れた時、必ず不幸が起こる。自分にも周りの人間にも」だそうだ。
正直言うと黒鷹はまだ僕にとって『過ぎた力』なのではと思う。
そして、その力に溺れて家族を、友達を、一番愛する人を傷付けるのが、不幸にしてしまうのが怖い。
「大丈夫です」
「えっ?」
「たとえ間違った道に行っても、家族も友達も私だっています。皆が叩き戻してくれます」
そんな気がするわ。特に姉二人に実力行使で。
「それに、一秋さんがシャルロットさんを悲しませることはしないでしょ?」
自信満々でそう言い切るレイ。
その自信がどこから来るものか聞きたい所だ。まあ、レイの言うとおりだけどね。
…ていうか、意識不明で帰って来たから悲しませては居るんだよね。
「…そうだね。うん、決めた。せめて、僕の大切な人たちを守れる位には強くなりたい。そのために力を望むよ。いや、そのためにレイの力を貸してほしい」
「分かりました、私の力を貴方に…。もう間もなく目覚めます。それからはプライベートチャンネルで会話が出来ます」
「へえー、それもここに来たから?」
「いえ、これは私がそうしたいからです。色々な人と話したいですから。できれば、シャルロットさんとも話したいです」
「僕から言おうか? まあ、福音の事が終わって…いや、その後のテストも終わってからになるけど」
「お願いします!」
たしか最後のISコア、つまりレイが生まれたのは僕が中学生の頃だったと思う。だとしたら年齢からすると子供なのだ。交流に飢えているんだろう。
「…そろそろ、目が覚める時間ですね。最後に一つだけ。今、シャルロットさんと風姉さまは他の皆さんと一緒に暴走した銀姉さまの所に行っています。…言わなくてごめんなさい」
そういうレイの眼には涙が。僕が怒ると思ってるのかな?
「気にしなくていいよ。レイは僕の事を考えて言わなかったんでしょ?」
たしかにこの事を最初に言われていたら取り乱していたと思う。絶対に。
全く、レイは僕には過ぎた相棒だよ。
「ありがとう。それと、シャルロット達を助けに行くのに力を貸してほしい」
「っ、ハイ! もちろんです!」
レイの大きな返事を最後に僕は光に包まれた。
「…知らない天井、じゃなくて旅館の部屋だね」
昨日の夜見た天井とほぼ同じだった。
「王道のセリフ言わねえのかよ」
僕の横で寝ている夏兄がそう言った。
「まあ、良いじゃん。それより、おはよう」
「マイペースだよな相変わらず。…さて、行きますか」
「だね」
僕達は布団を抜けだし、動き出した。
レイ(以下レ) 「で、私の名前の候補と言うのは?」
作 「えーっと、本文でも言ってるけど『レイ』って名前は鶺鴒っていう鳥から取ったんだよ」
レ 「はい」
作 「だから、鳥に関する言葉で女の子っぽい響きのある物という事で、ヒナ、ツグミ、ヒバリとかかな。でも、鳥だけだと武器と同じなんだよね。だから秋にも関係させようと思ってね」
レ 「なるほど…」
明日からテストなのですが、息抜きで書いています。
一週間から10日ほど更新が出来ないと思います。
次回はいよいよ、二度目の福音戦、そして二次移行です。