秋 「そうなんですか?」
作 「うん。コーヒーとか紅茶とか飲めないもん。大体、そういう所行くと頼むのコーラだし。貧乏学生だから、そう言うのは普通にスーパーでペットボトル買うよ」
秋 「現実的ですねー」
作 「でしょ?」
第三十一話始まります。
高校生が夏休み前の最後のイベントと言えば、大体期末テストになる。
ISという極めて特殊な物を教えているここ、IS学園もそれは変わらない。
なので、IS学園の一年生の7月は臨海学校→期末テストと続くので結構忙しい。
ちなみに、中間テストは筆記だけだったのだが、期末テストは実技試験がある。筆記と実技の間は少し期間が空き、筆記テストで鈍った体を実技テストを受けるのに万全の状態に持っていく。
実はその間に一つ決める事がある。それは、夏休み明けすぐの9月の中ごろにある学園祭のクラスの出し物。
筆記テストが終わった僕達1年1組もHRの時間を使って今、話し合っているのだが…
現在出ているのが、「織斑兄弟のホストクラブ」「織斑兄弟とツイスター」「織斑兄弟とポッキーゲーム」「織斑兄弟と王様ゲーム」などなど、すべて僕達が何かをするという方向になっている。
「えー、この『織斑兄弟』って所を『織斑一夏』にして、多数決を取ります。皆、一回だけ手を…」
「ちょっと待て! 誰が嬉しいんだ、こんなもの! 却下だ、却下! それに一秋! お前、全部俺に押し付ける気だろ!」
立ち上がってキレる夏兄。まあ、落ち着こうよ。
「私は嬉しいわね。断言する!」
「そうだそうだ! 女子を喜ばせる義務を全うせよ!」
「織斑一夏は共有財産である! しかし、織斑一秋はシャルロット・デュノアの物である!」
「他のクラスとか部の先輩に言われてるんだよ」
「皆を助けると思って!」
「メシア気取りで」
「という訳だから、頑張って、夏兄」
「なんだそれは! それに、どういう訳だ一秋!」
どういう訳って…面倒だから、夏兄に全部任せようと思ってね。言わないけど。
「まあ、もう少し皆で協力できる普通な物、無いかな?」
「それなら、メイド喫茶はどうだ?」
そう言ってきたのは、ラウラさん。…えっ!? 一番意外な人物だった。
皆も僕と同じだったらしく、一様にぽかんとしている。
「と、とりあえず、続けて」
「メイド喫茶なら客受けも良いだろう。飲食店なら経費の回収も行える。外部からの客も来るから休憩所としての需要もあるだろう」
言ってる内容は凄いラウラさんっぽいんだけど、提案が凄くぽくない。良いかどうか聞きたいんだけど、皆も驚きで反応が無いのでどうなのか分からない。ていうか、内容入ってるのかな?
「良いんじゃないかな? さっき、一秋が言ったみんなが協力できる物だし。一秋と一夏には厨房か執事をやって貰えば良いんだしね」
シャルロットの援護によって皆が我に…と言うより目を怪しく輝かせて、復活する。
「織斑君、執事! いい!」
「それでそれで!」
「今年の夏はそれで決まりね!」
「メイド服はどうする!? 私、演劇部で衣装係だから縫えるけど!」
盛り上がりが復活してしまったので収拾付けるのが難しくなった。
「静かに! 皆、それだけ盛り上がってるって事は反対意見は無いんだね?」
僕の言葉に皆頷く。
「とりあえず、メニューとか衣装とかは夏休み入る前までに決めれれば良いから、今日はここまでにしよう。1年1組はメイド&執事喫茶をやります。OKかな?」
「「「「「OK!」」」」」
こうして、学園祭の出し物が決まった。さて、僕は冬姉に報告に行かないと。
「山田先生、報告は今の方が良いんですかね?」
「そうですね。たしか、放課後に用事があったと思うので今のうちの方が良いと思います」
「そうですか。じゃあ、報告行ってきます」
僕はいまだに盛り上がっている教室を後にした。
「……という訳で、僕達の出し物はメイド喫茶になりました」
「意外と早く決まったな」
職員室の冬姉の席で今日決まった事を報告する。冬姉はHRが始まった時に「長くなりそうだから後で報告にこい」と言っていたので、早めに決まった事に驚いている様だ。
「最初は、結構とんでもない意見が出てたんですけどね。僕らとホストクラブとか、王様ゲームとか。でも、ラウラさんがメイド喫茶って言って、シャルロットが僕達男子には執事服着せれば良いんじゃない? って言ったらとんとん拍子に決まったんで」
「そうか。…ちょっと待て、今、メイド喫茶と言ったのがボーデヴィッヒと聞こえたんだが」
「そうですよ?」
「ぷっ…ははは! アイツがメイド喫茶? それは意外だ! くっ…ははは」
突然吹き出す冬姉。まあ、前から知っている分余計意外なんだろう。
「クラスの皆も最初聞いた時『何事!?』って感じだったからね」
「イメージからかけ離れているからな。…はははっ」
どうやら、冬姉のツボに入ったらしい。ひとしきり笑って、目じりを拭った後、周囲の目が気になったのか、咳払いをしてから、
「報告は以上だな?」
と聞く。周囲の先生方は、爆笑していた冬姉に驚いていた。そういや、今気付いたけど、春姉いないな。どっかで授業してんのかな?
「はい。以上です」
「では、この申込書に使う機材や食材などを書いて提出だ。期限までは余裕があるが、忘れるなよ。いいな?」
「はい。では、失礼します」
「ああ。…いや、ちょっと待て」
帰ろうとした僕を冬姉が呼びとめる。
「どうしたんですか?」
「これを、専用機持ち達に渡しておいてほしい。今度の実技試験の組み合わせだ」
僕はプリントを手渡される。
「今年の1年は専用機持ちが多かったからな。試験をどうするか考えた結果、2、3年の専用機持ちや成績優秀者、代表候補生などに相手をしてもらう事になった。その組み合わせだ」
「へえー」
例年だと専用機は一学年に1~2機、多くても3機なのだそうだ。しかし、今年は既に8機もある。色々、先生方も面倒事が多いのだろう。…ご愁傷様です。
「ちなみに、お前の相手は生徒会長、更識楯無だ」
「へえー…って、ちょっと待ってください! 生徒会長って、確かロシアの国家代表ですよね!?」
「ああ、その通りだ」
「なんで、僕の相手がその人なんですか!」
「模擬戦の情報をそのまま当てはめていっただけだ」
なんか凄い無茶を言われてる気がする。たしかに、今、1年の中で僕が1番模擬戦の結果が良い。
でも、だからと言って国家代表クラスの人とはレベルが違うから相手にもならないはずだ。
「…やるんしかないんですよね」
「当たり前だ。それに、試験なのだから、勝ち負けも点数に入るが、それだけじゃないからな」
「それは分かってます。でも、最初から負ける気で行く奴はいないですよ。やれるだけの事はします」
「ふっ、それでいい」
「では、失礼しました」
今度こそ、僕は職員室を後にした。
夏休み前最後にとんでもない物が待ってたよ。…ホント、どうしよう。
一応、更識さんの戦っている映像は参考にと思って見た事がある。
見た限りだと、福音と同レベル、もしかしたらそれ以上かもしれない。
福音も複数人で掛かってやっと勝てた相手だ。今、現状で更識さんに勝てる見込みは無い。
…いや、弱気はダメだよね。それに今までの、実力で上の相手と戦って勝ちをもぎ取って来たじゃないか。いつも通り準備して、挑むだけだ。僕は胸を借りる、チャレンジャーなんだから。
僕はそう、心を新たにして教室に向かって歩いていった。
原作を読んで思っていた事の一つで、学園祭の出し物を決めるの遅くね? と思いませんか?
原作では5巻、夏休み明けてすぐに決めていて、9月の中ごろにあると書かれています。それで、決めたのが9月4日。(これは出だしに9月3日と有って、一夏争奪戦が出る全校集会が翌日、その後の出し物決めも同日と書かれているので)準備期間って10日くらいしか無くて、厳しくない? と思います。
さらに、9月の中ごろになっていますが、27日にキャノンボール・ファストの事も考えると10日無い気がします。
もっと煮詰めると、こういう学園祭って休日が多いイメージですが、原作で27日が日曜日と明言されています。となると、12、13のどっちかになるかと思うんですけどどうでしょう?
それで時間が厳しいなら、前倒しで、内容は夏休み前に決めれば良いんじゃないかと。
っていうかIS学園は行事が多すぎです。
入学式→クラス対抗戦→学園別トーナメント(6月中)→臨海学校(7月の始め。原作の時は6~8)、それに中間、期末テストです。…そりゃ、千冬さん忙しくて帰って来れませんよ。