IS~僕の兄は織斑一夏~   作:ピーナ

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秋 「そう言えば、三十話の時点で後二話で夏休み入るって言ってましたけど」
作 「まだ、入ってないね」
秋 「何時になりそうですか?」
作 「次々回かな?」
秋 「かな? ってまだ分からないんですか…」
作 「思いついたら変わるかも。少なくとも次ではないとだけは言える」

第三十二話始まります。


第三十二話 一学期最後の戦い VS学園最強

僕達の文化祭の出し物がメイド&執事喫茶(メイド多め)に決定してから数日後、期末テストの実技試験の日がやって来た。

出来るだけ多くの人が見れるようにと、専用機持ちの試合は他の生徒の人は別の日に設けられ、しかも参加している生徒もしっかり見れるように一戦一戦の間も多く時間が取られている。そして、僕と更識さんの戦いは今日の最終戦、メインイベントの位置だった。まあ、生徒会長=学園最強ならば当たり前なんだろうけど。

やはり、2、3年の先輩方は強かった。訓練機を使った先輩方に僕達一年の専用機持ちは何とか勝てたけど、細かい所の技術でやはり経験の差を感じた。

そして、ダリル・ケイシー先輩のヘルハウンドver2,5とフォルテ・サファイア先輩のコールド・ブラッドには一年生の中でも勝率の良いラウラさんと簪さんですら勝てなかった。

いい勝負だったと思うけど、最終的には先輩方との実力差を見せつけられた形だ。もっと、頑張らないと! …とは言うものの、僕の試合はまだなんだけどね。

 

『一秋さん、間もなくですよ』

 

今回は集中させてもらうために一人にしてもらってる。

 

「分かってる。レイ、今回もよろしくね」

『はい! 霧姉さまは強敵ですけど、頑張りましょう!』

『織斑君、出番ですよ! 発進してください!』

 

山田先生の言葉が聞こえたので、僕は黒鷹を纏い、カタパルトに行く。

 

「さて、いつも通り行きますか! 織斑一秋、黒鷹、行きます!」

 

そして、僕はアリーナに降り立った。

 

「何か、凄い盛り上がってますねえ…」

「そうね。まあ、今日のメインだし、ボルテージは上がるわよ。今までのも熱戦って言葉が合うくらい良い試合だったし」

『さて、いよいよやって来ました、最終戦! 赤コーナー、いつもどこでも大胆不敵、IS戦では素敵に無敵! 我らの生徒会長にして、現役のロシアの国家代表! 更識楯無!』

 

会長のコールにさらに盛り上がる会場。人気あるなあ。

 

『続いて青コーナー、世界で二人しかいない男性操縦者にして、『ブリュンヒルデ』の実弟! しかし、彼はそれを抜きにしても強い! 漆黒のアーチャー? 変幻自在のトリックスター? そんな名前もありだけど、我々が送るのはこれだ! リア充爆発しろ! シャルロットちゃんとお幸せに! 織斑一秋!』

「ちょっと! 黛先輩!?」

 

僕は思わず大声を出してしまう。

観客からも『爆発しろ!』とか『お幸せに』って結構聞こえてくるし。

…言われなくても、シャルロットと幸せになりますよ!

 

「何か、別ベクトルで盛り上がってるわねー…」

「そうですね。…まったく、あんな格闘技みたいな呼び込み考えたの誰ですか…」

「あれは私とずっちんの共作だよ」

「アンタが犯人か!」

 

なんか試合前なのにどっと疲れたよ…。後で、シャルロットに癒してもらおう。

 

「さてそれはそれとして、そろそろ始めましょうか」

「そうですね。よろしくお願いします」

 

僕と更識さんはお互い、武器を構える。

僕は梓鷲を更識さんはデカいランスを持っている。

 

『では…試合開始!』

 

合図と共に試合は始まる。

試合の立ち上がりはお互い距離を開けての射撃戦から始まった。

僕は梓鷲の、更識さんは大型ランス『蒼流旋』の内臓のガトリングガンの撃ち合いだ。

 

「流石に射撃戦は上手いわね! 射程じゃ、こっちが若干不利だし」

「そんな事言われても、全然当たらないじゃないですか! たとえ当たってもその水のヴェールみたいなのに防がれていますし!」

「それは、そっちも同じでしょ? エネルギーシールドで防ぐし!」

 

お互い、当たりそうなのは水や展開装甲のエネルギーシールドで防いでいるから直撃というのがほとんどない。シールドエネルギーは確実にすり減らしている。

 

「こうなったら!」

 

僕は今までのレーザーの矢では無く梓鷲用の矢を呼び出し、放った。

しかし、それも水のヴェールに防がれる。これも予想通り。

 

「届かないわよ!」

「ええ、分かってます。でも、本番はこの後ですよ」

 

次の瞬間、鏃に仕込まれていた爆薬が爆発した。

それに体勢を崩される更識さん。僕はチャンスと見て一気に距離を詰める。

 

「やらせないわよ!」

 

いつの間にか、ランスから鞭みたいなのに持ち替えていた更識さんの迎撃で中途半端な距離で止められる。

 

「…蛇腹剣ですか。変わった武器を使うんですね」

「いや、一秋君が言える事じゃないと思うわよ!?」

 

失礼な! 僕のは400年越えの由緒正しい物ですよ。ただ、その間に使っていたのが僕を含め二人だけですけど。

 

「…それにしても、まんまと嵌められたわね。まさか矢が爆発するなんて。グレネードみたいな物かしら?」

「まあ、そんな感じです。今まで使えそうなタイミング無くて、入ってただけになってたんですけどね」

 

そもそも、最初これを使うのに想定していたのは、相手のシールド(物理、非物理問わず)に当てて、爆発させて、効率的にシールドにダメージ、あわよくば破壊まで持っていく、というものだったのだが…皆、そういうシールドを持っていなかったから使うタイミングが無かった。

武器破壊に使おうかとも考えたけど、ISの高速戦闘の最中に武器をピンポイントで狙うのは至難の技というより、無茶だ。接近して突き刺すというのもあるけど、それくらい寄ったなら、格闘戦をするとか、今なら、肩部装甲を展開してレーザーとか、バンカーをぶち込むとかそれよりはるかに効率的な手を打てる。

 

「一秋君の技量も考えるとその矢、私との相性、かなり悪いわね!」

 

そう言いながらも、再び蒼流旋に持ち替え、ガトリングを乱射する。距離がさっき撃ち合っていた時よりも近いから回避するのが難しい。咄嗟に展開装甲でエネルギーシールドを発生させたが、最初の数発を食らってしまう。

少し気を抜いた。まだ、決着付いていないのに。これは反省だね。

しかし…距離を取るか、それとも近付いて勝負をするか…。

 

 

 

「やるっスねー。織斑先生の弟さん」

「ホントだな。一度対戦してみたいものだぜ」

「ふふ、嬉しい事言ってくれるわね。ダリルちゃんもフォルテちゃんも」

 

管制室で共に観戦しているダリルとフォルテにそう話しかける千春。その顔は弟が褒められて嬉しそうである。

 

「つーか、楯無の奴本気だろ?」

「そうっスね。ぶっちゃけ、私らも余裕無かったっスから、今年の一年はレベルが高いっスよ」

「しかし、あそこまで楯無を追いつめるとは…思ってたか?」

「正直言うと、思ってなかったっス。弟さん、クラッチ型なんっスかね?」

「かもな。…となると、下手したら楯無負けるか?」

「可能性は有ると思うっス。先生はどう見ます?」

 

フォルテが同じ部屋に居る千春に話を振る。千春は試合の映像を映しているモニターを見ながら、

 

「確かに秋君はここぞという集中力は凄いわね。まあ、それはウチの家系の特徴の様なものなんだけどね。それに、まだお互い切り札を抜いていないからね」

「まだ、どうなるか分からない、ですか?」

「そうね。…試合が動くみたいよ」

 

三人はモニターに映し出されている試合の戦況に再び集中する。

 

 

 

結局そこで選んだのは接近戦を仕掛けるだった。

更識さんが繰り出してくる蒼流旋の突きや薙ぎ払いを避けつつ距離を詰めようとするが、ガトリングの射撃や、更識さんの立ち回りで近寄れても距離を離される。

ほぼ互角だったシールドエネルギーも徐々に押されていく。

長柄武器なのだから、ある程度近い距離に寄れば小回りの差で行けるとは思うがトップスピードでは白式や紅椿に劣る黒鷹だと、一気に距離を詰め切れない。瞬時加速を使えれば良いのだが、この距離ではただの的でしかない。

なら、切る手札は一つ。僕は局面打開の一手として肩部装甲を展開する。

 

「全部チタン製の特注品だ! …って言えたら良いんですけど。全弾持っていけ!」

 

僕と黒鷹が福音との戦いで手に入れた、新しい力。

何条ものレーザーが更識さんに降り注ぎ、水のヴェールをどんどん削り、ダメージを与える。

更識さんは衝撃で吹き飛ぶ。今回はこれを機に寄らない。水のヴェールはかなり削ったし、ダメージも大きいから距離を取っての射撃戦で行けば勝てるはずだ。

 

「…やるわね、一秋君。私をここまで追い詰めるなんて。まさか、これを使う事になるとはね。まだ、学園の相手には使った事無いのよ? ダリル先輩にもフォルテにも」

「一体、何を…?」

 

更識さんの意図が分からない。まだ、切り札を残しているっぽいけど…それが何か分からない。

更識さんのIS『ミステリアス・レイディ』は装備を見る限り水が重要だ。…水? まさか!

 

「その様子だと、気付いた様ね。でも、もう遅いわ」

 

更識さんが指を鳴らすと共に僕は爆発に飲み込まれた。

 

 

 

「「「「「「えげつねえ…」」」」」」

「なんか…ごめんね。ウチのお姉ちゃんが」

 

ダリルとフォルテが居たのとは違う部屋で見ていた一年生の専用機持ちは一人を除き全員が同じ言葉を呟き、何故か簪が謝っていた。

 

「しかし、会長さんや一秋は何処まで考えていたんだろうな?」

「どうしたのだ、一夏?」

「いやな、戦っている二人は何処まで予想して戦っていたのかと思ってな」

「…お姉ちゃんは、射撃戦から格闘戦に移行するのは読んでたと思う。今まで大体一秋がそうやっていたから」

「「「「「「確かに」」」」」」

 

一秋のスタンスに全員が頷く。

 

「…でも、さっきの攻撃は切り札だと思うし、万が一の保険だと思う」

「しかも、その下準備を一秋自身が手伝ってしまったからな」

「ラウラの言う通り。レーザーの一斉放射で水のヴェールを削ったけど、それがあの爆発の下準備にもなってた」

「それに一秋も嵌められたって訳ね。…それにしても、まだ終わりのアナウンス入ってないわよね?」

 

鈴の言葉に再び全員はモニターに注視する。

爆発で舞い上がった砂煙が消えるとそこに…一秋の姿が無かった。

 

「「「「「「「えっ!?」」」」」」」

 

全員がその事実に驚きの声を上げる。それは、見ている全員、いや、対戦相手の楯無もそうだろう。

一体どこに? 会場に居る誰もが思った時、アリーナに、一条の矢が降り注いだ。

 

 

 

あっぶっねー! 危うくやられる所だった。

何とかエネルギーは尽きずに済んだけど、ダメージは甚大だ。

しかし、これは千載一遇のチャンスだ。更識さんもあの一撃で集中力が切れているはず。

僕はさっきの爆発で得たエネルギーをすべて梓鷲の拡散モードのエネルギーとして使用。それを八咫烏に反射させ、両手両足の展開装甲と背部スラスターに当てて五か所同時の瞬時加速を発動させる。福音戦と同じ技だ。ISの操縦者保護すら超えるGを生み出すそのスピードで僕は更識さんに向けて突っ込んでいく。そして、右腕のバンカーで更識さんのシールドエネルギーを削っていく。やがて…

 

『試合終了―勝者、織斑一秋』

 

そう、アナウンスする声が聞こえた。

その声に安心したのか、地面に降りてISを解除、それで、ぶっ倒れる。…マジで、今までで一番疲れた。

ちなみに、残りのシールドエネルギーを確かめると15。…首の皮一枚残ったってこの事だね。

 

 

 

そのまま、地面に寝ころんで少し体力を回復させた後、控室に戻った僕は専用機持ちに囲まれた。夏兄達だけじゃなく、更識さんたち先輩方にもだ。そして、全員が聞きたかったことは「あの爆発をどう避けたか」だった。特に楯無さん(更識さんと呼んでいたら「簪ちゃんがいるからここには更識が二人いるのよ。だから名前で呼んで頂戴。もしくはたっちゃんでも可」と言われたので楯無さんと呼ばせてもらっている)が食いついてきた。曰く

 

「私としては必殺のタイミングだったんだけど、まさか避けられると思わなかったから、後学のためにもね」

 

らしい。

 

「えーっと、言っても良いですけど…」

「歯切れ悪いじゃねえか。さっさと言えよ」

「そうっスよ。折角楯無攻略の糸口を見つけたっスから私らにも教えるっスよ」

 

急かすダリルさんとフォルテさん。二人とも苗字で呼んでいたが、名前呼びを強制された。まあ、良いんだけど。

 

「多分、誰も出来ないですよ。出来るとしたら箒ちゃんだけです」

「わ、私か?」

 

いきなり名前を出されて慌てる、箒ちゃん。

全員がどういう事か分かっていない感じだ。

 

「まあ、簡単に言うと、僕は爆発の瞬間上に逃げたんですよ。その時、エネルギーシールドを発生させて、爆発で起こった気流に乗って」

 

実はこれ、一番最初は展開装甲で発生させれるエネルギーシールドの別の使い方を考えていた時、グライダーみたいに滑空出来るかなと思ってやってみたら成功した事が切っ掛けだったりする。

それが偶然役に立って、今回は直撃を食らわずに済んだ。

 

「つまり、展開装甲ありきって事?」

「まあ、端的に言えば」

「なるほど、そりゃ同じ真似は箒にしか出来ないわな」

「聞いても意味ないじゃないっスか~」

「そりゃ、歯切れも悪くなるわ」

「これでも、エネルギーはかなり持ってかれましたから。薄氷の勝利ですよ」

「それでも、負けは負けよ。…という訳で一秋君が生徒会長ね」

 

そう言っていつも持っている扇子を開く楯無さん。そこには「政権交代」と書かれている。

 

「はあっ!?」

「知らなかったの? IS学園の生徒会長は学園最強という事。負けたら生徒会長は交代なのよ」

「いやいやいや、いきなりすぎでしょ! せめて、次期とかにしてください!」

 

つーか、これ以上いろいろ仕事があると、マジで死ねる。それに、シャルロットとのイチャイチャタイムが減る。これは死活問題だ。

 

「まあ、色々行事もあるし、交代なんてしたら色々問題が起こるし、そこら辺が妥協点よね。なら、一秋君には生徒会に所属してもらいます。それで、みっちり生徒会の仕事を教えます」

「…分かりました」

 

それくらいは…良いか。クラス代表の仕事は、皆に手伝ってもらおう。

 

「ちなみに、役職は副会長ね」

「ええっ!?」

「当たり前よー。次期生徒会長なんだからー。あっ、そうだ」

 

何かを思いついた更識さんはシャルロットの方を向く。

 

「シャルロットちゃんも入らない? 役職は副会長補佐にしとくから」

 

楯無生徒会長様! 一生付いていきます! 

 

「良いんですか?」

「良いのよ。生徒会のメンバーは私が決める事が出来るから。今、私を含め三人しかいないから、少し増えた方が私的にも嬉しいし」

「…それじゃあ、よろしくお願いします」

 

こうして、僕とシャルロットは晴れて生徒会の一員となった。

しかし、後二人の人ってどんな人なんだろ?

 




VS楯無戦をお送りいたしました。そして、楯無さんのファンの皆様、こんな結果にしてしまってすみません!
色々、戦闘中の所で突っ込みが有るでしょうが、細かい所はスルーしてくださると嬉しいです。
戦闘描写は元ネタが結構あります。今回もいくつかあります、気付く方は気付くのかな?
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