IS~僕の兄は織斑一夏~   作:ピーナ

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作 「生徒会って縁遠い存在だったなあ…」
秋 「僕も中学時代はそうでしたよ」
作 「真面目じゃなくて、責任感も無い僕には出来ない仕事だよ」
秋 「…僕も向いているとは思えないんですけどねえ」
作 「まあ、シャルロットちゃんとのイチャイチャタイムは減らなかったから良かったじゃん」
秋 「その点は楯無さんに頭が上がりません」

第三十三話始まります。


第三十三話 生徒会あれこれ

実技テストも終わり、夏休みまでの行事が無くなって、IS学園にはようやく日常が戻ってきた。

そんなある日の放課後、僕とシャルロットは学園内のとある一室に向かっていた。

とある一室というのは生徒会室。今日は今の役員との顔合わせの日だ。

…そういや、何度か全校集会が有ったけど、生徒会の人って出てこなかったなあ。入学式も見た記憶が無い。やっぱり今年は僕と夏兄、二人のイレギュラーに大量の専用機持ちが居たから仕事が忙しかったのかな?

 

「えーっと、生徒会室は…ここか。失礼します」

 

僕はノックをしてから入る。

 

「失礼します」

 

続いて、僕の後ろからシャルロットが入って横に並ぶ。

 

「待ってたわよ一秋君、シャルロットちゃん」

 

一番奥の席に座っていた楯無さんが扇子を広げてそう言う。扇子には達筆な毛筆で『歓迎!』と書かれていた。…一体あれはどうなってるんだろう? とりあえず分かったのは僕達が歓迎されている事だ。

生徒会室には楯無さん以外にメガネを掛けた、なんと言うか、こう秘書って感じの三年生とその人に雰囲気の似た感じの一年生…っていうか、

 

「「布仏さん、どうしてここに?」」

 

クラスメイトの布仏本音さんが居た。凄いまったりした人で、生徒会のイメージには程遠い人だと思うんだけど…。

 

「それはー、私が生徒会の役員だからー」

「へえー…ってホントに!?」

「そうよ。本音ちゃんと虚ちゃんは私の幼馴染だから生徒会に入ってもらったの。まあ、立ち話もなんだし、二人とも座って」

 

僕達に空いている席を勧める楯無さん。

 

「布仏家は代々、更識家のお手伝いさんなんだよー」

「へえー」

 

シャルロットは普通に相槌打っているけど、僕は自分以外がかなり良い家の出の人達という事に気が付いて、少しショックを受けた。代々お手伝いさんが居るって事はかなり由緒正しい家柄だと言える。そうなると、自然とお手伝いさんの家柄も結構な物と想像できる。そして、シャルロットはフランスの大企業の令嬢。

純度100%の一般人の僕じゃ絶対ここに入らなかったら出会えなかっただろうな。

 

「あっきー、その手に持っている物は何かなー?」

 

布仏さんは目ざとく僕の持っている箱を見つける。

 

「これは一応、手土産のケーキです。皆さんで食べてください」

「そんな事しなくても良かったのに。でも、持って来たものはいただきましょう。虚ちゃん、紅茶をお願い」

「はい、お嬢様」

「もう、いつもお嬢様は止めてって言ってるじゃない」

「失礼しました、ついクセで」

 

三人の感じを見ていると、このやり取りはいつもの事なんだなと感じる。

 

「お茶なら僕が淹れますよ。布仏先輩は座っていてください」

「大丈夫です、シャルロットさん。これも私のお仕事ですから。それに、紅茶を淹れるのは得意なんですよ。後、私の事は虚で構いません。ここには布仏が二人いますから。一秋さんも」

「なら、私の事は、本音って呼んで~」

 

シャルロットを制して、手慣れた手付きで紅茶を淹れていく虚さん。やがて紅茶の香りが部屋の中に広がり、鼻腔をくすぐる。

 

「ケーキは切り分けてあるんで、食器は…」

「準備は本音ちゃん任せるわ」

「りょーかい、お姉ちゃん」

 

本音さんは普段からはあんまり思えないテキパキとした動きで食器を用意していく。…今、ようやくお手伝いさんの家系というのが納得いった。

僕達は顔見せから親睦を深めるための放課後ティータイムに入った。

 

「この紅茶、美味しいね一秋」

「ホント。僕、紅茶よりコーヒー飲む方だけど、これは全然行ける」

「一秋さん、紅茶はお好みでは無かったのですか?」

「はい。家族全員が緑茶とかコーヒーを好んで飲むので、あまり紅茶を飲まなかったんで、そこまでだったんですけど、虚さんの淹れてくれた紅茶は美味しいです」

「虚ちゃんの紅茶は世界一よ」

 

何故かドヤ顔の楯無さん。「虚ちゃんの紅茶は私が育てた」って感じ。

 

「にしても、このケーキ美味しいわね。どこのお店の?」

「あ、それ僕が作った奴です」

「「「えっ!?」」」

 

食べる手を止めて僕の方をじーっと見る三人。シャルロットには何回かご馳走したのでそのまま食べ続けている。

しかし、やっぱり驚かれるな。大体、僕がこういうのを作って持っていくと初めての人は驚くんだよね。

そもそも、僕がお菓子作りを始めたきっかけは姉さん達に感謝の気持ちを込めて作った事からである。思った以上に二人に受けて何度も何度も頼まれていくうちにどんどん腕が上がっていった。

 

「私料理には自信有ったんだけどな…」

「私もです…。ここまで美味しい物を出されると自信が無くなります…」

 

なんか凄いへこんでいる、楯無さんと虚さん。

僕としては大事な人(僕の場合はシャルロット)が真心込めて作ってくれたものなら、それだけで美味しいと思うんだけどな。言うじゃん、『料理は愛情』とか『愛は最高の調味料』ってさ。

しかし、驚いた三人の中で一人だけ違う反応を見せる人が。

 

「あっきー、またお菓子を作って来てよー」

 

お菓子を堂々とねだる本音さん。僕もマイペースを自称しているけど、本音さんには勝てんわ。

 

「気が向いたらね」

「やったー」

 

両手を大きく上げて喜びを表す本音さん。思わず、「子供か!」ってツッコみそうになるけど、押し留める。

皆、話しながらもケーキを食べ進める。

ふと、僕は横でケーキを食べているシャルロットを見ると、僕から見て唇の右下にケーキのクリームが付いている事に気が付いた。でも、生憎今日はハンカチもポケットティッシュも持ってないしな。どうしたものか…。考えた結果、思いついたものを行動に移す事にする。

 

「シャルロット」

「何? かずあ…キャッ!?」

 

短く、可愛い悲鳴を上げるシャルロット。端的に僕が何をしたかというと、付いていたクリームを舐め取ったのだ。

 

「な、なななな、何をしてるのさ、一秋!」

「何って…口元にクリームが付いてたからさ。今日ハンカチもティッシュも持ってなかったからさ」

「それは言えば良いでしょ!」

 

僕から顔を背けてしまうシャルロット。見える耳は真っ赤だ。そこまで怒らせちゃったのかね。とりあえず謝らないと。そう思ってる時、

 

「シャルロットちゃん」

 

僕達の正面に座っていた楯無さんがシャルロットに話しかける。一体なんだろ?

 

「顔を赤くして、頬を緩ませていたら、怒った説得力無いわよ」

「うう…」

 

楯無さんに図星を突かれたのか、体を小さくして唸るシャルロット。

…とりあえず、嫌がっていなかっただけでも良かった。

 

 

 

ティータイムも済んだところで、次は生徒会のお仕事の真面目な話になった。

 

「ぶっちゃけ、一秋君と一夏君をウチの部に! って言うのが多すぎるのよ」

 

愚痴る楯無さん。

 

「でも、運動部だと部室とか困りますよね?」

 

IS学園は99,9パーセントは女子校なので、男性用の物は圧倒的に少ない。それについては僕と夏兄は不自由を強いられてる。

実習の時は更衣室に全力疾走。放課後の自主訓練は人の少ない所で。大浴場が使用できるのは多くても週に2回。こんな感じで小さい所で女子よりも不自由している。

部活なんか入った暁には、もっと面倒な事になる事間違いない。

 

「それに、一つの部に入ったら入ったで、他の部が文句言ってきそうですね」

「言うと思いますよ。多分、一秋さんや一夏さんの自由意思で決めても」

「おりむーもあっきーも面倒な星の元に生まれてきたねー」

 

本音さんの言葉に僕は全面的に頷く。

 

「まあ、一秋君は皆が見ていたテストの結果をもって生徒会に所属にすれば問題解決なんだけど…」

「夏兄をどうするかですね。…何かの賞品にでもします? クラス対抗戦のデザートのフリーパスみたいに」

 

適当に思いついた事を言ってみる。僕としてはかなり適当だったんだけど、楯無さんは、

 

「それよ!」

 

めっちゃ食いついた。

 

「もともと、文化祭は毎年部活ごとの出し物に人気投票が有るのよ。例年だと上位に入れば部費に助成金を出すんだけど、今年は一位の部活に一夏君を副賞として上げましょう」

 

おおー、完全に物扱いだ。切っ掛けは僕だけど、仕方ないか。僕達の仕事の量を減らすため身代りになってもらおう。

 

「でも、楯無さん。それだと『他の部活が文句を言ってくる』って言うのは解決できないんじゃ…」

 

シャルロットが問題点を聞く。ああ、確かに。その決め方だと、何か文句来そうだね。

 

「ふふーん、お姉さんはちゃんと考えているのよ。その投票で私達生徒会が一位を取ります! そして、一夏君は部活に貸し出します、で解決よ!」

 

…なんか、夏兄の知らない所でどんどん決まっていくよ。とりあえず、頑張れるように、甘いものとお腹いっぱいになる弁当を作ろう。

しかし、楯無さん見事な手腕だな。

 

「それでは、これを三日後の終業式で発表でよろしいですか? 会長」

「そうしましょう。これで、各部一月半は準備期間を用意できるからね」

 

それだけあったら、人気重視の出し物を用意する事も出来るだろう。

 

「とりあえず、今日はこれでOKかな。次回は私達が何をするかを決めるから、何か考えてきてね」

 

この日はこれで解散になった。

にしても、ウチの会長さん、パワフルだったな。僕、あの人の後継げるかな? 早すぎるけど不安になった。

数日後の終業式にて、『織斑一夏争奪戦』が発表されて、会場だったホールが揺れたのは予想通りだった。ただ、それがあったから、僕の副会長就任はどれだけの人が覚えているかが気になる。…く、悔しくなんかないんだからね! 




ようやく、一学期が終わりました。いやー、長かった。

次回から何話かは夏休みのお話になります。
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