IS~僕の兄は織斑一夏~   作:ピーナ

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作 「一秋はシャルロットちゃんとデート行っちゃったし。レイも居ないし、話す人が居ないや」
? 「なら、僕と話しましょうよ」
作 「き、君は!?」

小芝居はスルーして三十五話始まります。


第三十五話 未来を考えてみる

夏休み初日、僕は駅前―レゾナンスのある駅―に来ている。今は一人だ。

待ち合わせ場所を前回から変えたのは、今朝山田先生に聞いた山代屋の場所が理由だ。

山代屋の場所はIS学園の最寄りの駅、つまりここから電車で4駅行った所にある。山田先生がそこでちゃんとドライアイスも付けてくれると教えてくれたので、山代屋→レゾナンスという道になった。

買ったものは駅の中にあるコインロッカーにでも預けておこう。

 

「しかし、暑いな…」

 

思わずそう呟くぐらい今日は暑い。良い天気なのだが、太陽にはもう少し手加減して欲しい。

 

「また、シャルロットがナンパされてないと良いけど…。まさか、そんな事無いよね」

 

その時僕の頭には『一度ある事は二度あり、二度ある事は三度ある』という言葉が流れた。まさか…ね?

そんな事を考えていたら、

 

「そこの君、俺達とちょっとお茶しない?」

 

と近くでナンパをしている現場を見つけてしまう。

ナンパしているのはチャラ男という言葉を具現化させたら、ああこんな感じだなと思えるような風貌の三人組。

ナンパされているのは肩に掛かるくらいの明るい茶髪の女性。前髪に特徴的な十字の髪飾りを付けている。年齢は、恐らく楯無さん位だと思うから、僕より一個上かな。しかも、かなりの美人さん。

と、見ているとその女性と目が合う。合ってしまったら無関係でいられない。そういう性分なんだよね。さて、どうしたものか…。

少し考えて、いい案が思い浮かばなかったので、正攻法で行く。

 

「あのー」

「何、今こっちは取り込み中なんだけど?」

 

僕が話しかけると一人が強い口調でそう言ってくる。相手は僕より体がでかい。180近くあるいや、超えてるかも。

ちなみに僕は173でまだ成長中。その女性はシャルロット位だから155と言った所だ。

 

「いや、そこの人どう考えても困ってるじゃないですか」

「そう見える? 俺達にはそうは見えないけどな~」

 

そう言って三人は笑う。自分より小柄だから僕の事を舐めているんだろう。

ぶっちゃけ、こいつらよりも、冬姉や春姉の前に立つ方が1万倍は怖い。いや、1万倍で済むかな? 普段は全然怖くないんだけど、怒ってる時と組手をする時は死ぬほど怖い。

 

「駅前でおしゃれした女性が一人でいるんだから誰かと待ち合わせに決まってるでしょ」

「…何? 俺達のしてる事に文句あんの?」

「ええまあ」

「お前には関係ないだろ!」

 

短気な一人が殴りかかってくるけど、僕はその拳を受け止めて腕を捻り上げる。

 

「痛ててて! は、離せ!」

「殴りかかってきて、反撃されたら離せって何なのさ。さっさとどっか行く?」

「行きます! 行きますから!」

「そこの二人もそれで良い?」

 

僕の言葉に二人は頷く。いやー、最近冬姉の生徒相手に使う技がいろんな所で役に立つな。

僕が腕を離すと三人がその場から足早に立ち去った。

 

「ホント、ありがとうな。何かお礼したいんやけど、さっき君が言ってた通り私待ち合わせ中なんよ」

 

僕が助けた女性はそういう。関西弁だったのに少し驚いた。夏休み初日にこんな所で会う事に。

あ、でも、IS学園は他の学校より少し夏休み入るのが遅かったから有りうるか。

 

「別に良いですよ。それに僕も待ち合わせ中なんで」

「そうなんや。…ひょっとして、デート?」

 

当てられてしまう。僕の恰好は割とラフなのでデートとは思われにくいと思うんだけど。

 

「…分かります?」

「直感やけどな」

「服とかデートっぽくないと思うんですけど」

「今待ってるウチの人もそういうタイプやからね。自分の服とか気にせん人なんよ」

 

やっぱり待ち合わせの相手は彼氏さんだったか。

 

「おっ、噂をしたら来たな。って、横の金髪の子誰やろ?」

 

その人の彼氏が気になったのでその方に目を向ける。こんな美人さんを彼女に持ちながら、他の女の子と一緒に歩くってどんなチャラ男なんだよ。

 

「…って、シャルロット!?」

 

僕はその男性―年齢は僕と同じくらいと思われる―の横を歩いていた自分の彼女の姿に驚きの声を上げた。

 

 

とりあえず僕達四人は近くの喫茶店に入った。

ボックス席の窓側に男性陣が通路側に女性陣が座る形になった。

 

「「「「一体、何故こうなった…」」」」

 

思わず全員が呟いた。それもそうだろう。僕達も相手側もデートのつもりで来て何故か四人で喫茶店って…。

 

「と、とりあえず自己紹介からかな。僕は八神八雲です」

「そ、そうですね。僕は織斑一秋と言います」

「どうして、二人は動揺してんの? あ、私は八神はやてです」

「たしかに。僕はシャルロット・デュノアです。…あのー、八神さん?」

「「何?」」

 

シャルロットが苗字呼びをしたので二人が返事をする。お約束だね。

 

「あっ、はやてさんの方で。お二人は苗字が一緒ですけど、兄弟なんですか?」

 

シャルロットの質問に苦笑いの二人。何故に?

 

「…二人に聞きたいんやけど、私ら何歳に見える?」

「えーと、僕より1~2個上で16~17位ですか?」

「僕もそう思います」

 

その言葉に何故か落ち込む二人。

 

「いやー、いつもの事なんやけどやっぱへこむわ」

「そうだね…。あのね、僕達の実年齢は22歳。それと、僕達は兄弟じゃないからね」

 

実年齢の事と兄弟じゃ無い事を踏まえると答えはただ一つしかない。

 

「…ひょっとして、結婚なさってるとか…」

 

何故か恐る恐る聞くシャルロット。

 

「「正解!」」

 

二人は声を合わせて言うけれど、僕達は驚きのキャパを越している。

僕には目の前の二人とほぼ同年代の姉が二人いるし、八神さん達に近い年齢の知り合いも何人かいるけど、結婚どころか恋人もいない人ばっかだ。それを踏まえるとやっぱり変わってるっていうか、凄いなと思う。

見た目僕らとそんな変わらない事に驚いて、年齢が姉さんたち位という所で驚いて、そして、結婚してるという事実に驚いた。ていうか日本で22ってまだ大学生じゃん。

 

「そんなに驚く事かい? 日本だと女性は16で男性は18で結婚できるじゃん」

「いやまあそうですけど…」

 

そうなんだけど、年齢的に高校生の子供がお互い好きであっても、出来る様になったタイミングですぐ結婚を選ぶ事なんでまずないと思う。

女性の16歳は僕ですらもうあと数か月でなるし、男性の18歳も後2年だ。その時果たして僕は目の前の人と同じ選択が出来るのだろうか? …正直、想像できない。

 

「まあ、私らの場合色々特殊やったからなあ。普通の子やと驚くんちゃう?」

「あー…それもそうだね。こっちの感覚が鈍ってるわ」

「「こっち?」」

 

気になる言葉に反応した僕達に八雲さんとはやてさんは「やってしまった~」って顔になる。なんでだろ?

 

「…まあ、守秘義務がある訳でもないし別に良いか」

「そやねえ。こっちって言うのはな…」

 

 

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「…という訳なんよ」

 

二人から聞いた話はとんでもない物だった。『事実は小説より奇なり』とはよく言ったものだと思う。

もういっぱいいっぱい過ぎて、入ってこない。

ただ分かった事は目の前の二人はかなり波乱万丈の人生を送ってるという事。

 

「…っていうか、9歳から働いてるって、どうなんですか…」

 

まあ、なんか色々有った中で一番どうなの? って思った所に突っ込む。

 

「日本の感覚からしたらそうやろね。まあ、あっちでもここまでのはあんま無いらしいけど」

「あっちだと仕事にもよるけど普通だぞ。技術系の専門職とか勉強や経験の要る職業ならともかく、俺達の職場だと、普通に15から早ければ12~13くらいから入ってるぞ。あくまで訓練校だけどな」

「そんな訳で9歳から働いてるから19で結婚とか考えられるんよ」

「いや、それでも中々選べないと思いますよ…」

「そうだよね…」

 

そう呟く僕とシャルロット。

 

「…そこまで難しく考えなくても良いと僕は思うよ」

 

そう言うのは八雲さん。

 

「どういう事ですか?」

「極論を言ってしまえば、結婚は書類で作れるものでしょ? 僕はそんなのに特に意味は無いと思ってる。大事なのは自分の横に居る人と一緒に歩いていきたいって気持ち、それだけだよ。結婚はその気持ちを形にするだけ。それを形にする事によって、自分たちもあるだろうけど、なにより周りの人を納得させるためにね。だから、僕達みたいに早い年齢でする人がいれば遅い人もいる。長年付き合った末の場合もあればスピード婚をする場合もある。それは人それぞれだと思うよ。まあ、全部僕の考えだけどね」

「十人十色、いろんな形が有ってそれでいい。でも、形はそれぞれ違ってもその根本は皆一緒で、相手を想う気持ちやと思う。だからシャルロットちゃんも一秋君もまだまだ学生なんやからのんびり二人で考えればええと思うよ。君達に一番合った形をな。…っと、デートのお邪魔はアカンな。そろそろ行こか、あなた」

「そうだね」

 

そう言って八雲さんとはやてさんは席を立った。その時に伝票を持って。

 

「じ、自分たちの分くらい出しますよ!」

「そうですよ、ご馳走になるなんて悪いですよ!」

 

僕とシャルロットはこういうけど、

 

「気にすんなって。こういう物は年上が出すものって決まってるでしょ?」

 

と八雲さんがそう言った。

 

「でも、お礼が…」

「良いの良いの。初々しいカップルを見れただけで十分だよ」

「そうやねー。二人ともお幸せにや。シャルロットちゃん、一秋君くらい良い男の子は中々おらんから、逃がさんようになー」

「何言ってんのさ。…でも、はやてに乗っかって僕も言おうかな。一秋君、シャルロットちゃんくらい一途に想ってくれる子はそうは居ないから、大切にね」

 

それだけ言って八雲さん達は出て行った。…言われなくても大切にします。

 

「…ねえ、一秋?」

「ん?」

「最後の話、どう思った?」

「…正直、実感が湧かないっていうか…」

 

よく分からないって言うのが本音だ。

 

「だよね。…でも、僕達も後、二年したら選択肢を選べる年齢になるんだよね」

 

そう、後二年なのだ。酒やタバコがOKになるよりも早いのだ。

 

「そうだね。…僕はいつかきっとちゃんと形にするよ。シャルロットの為もあるけど、何より自分自身の為に」

 

今は目の前の事で精一杯なので先の事は全然考えられない。だから今はまだ「いつか」。

でも、僕自身はシャルロットと離れる気は無いからその後に「きっと」。

ふと横を見ると、シャルロットが下を向いて俯いている。…何故に?

 

「どうしたの?」

「…さっきの言葉を思い出して自分で考えて」

 

さっきの言葉? えーっと…『そうだね。…僕はいつかきっとちゃんと形にするよ。シャルロットの為もあるけど、何より自分自身の為に』の事だよね。

……………あれ? ここに出てくる形っていうのは、今までの話の流れからして、結婚だよね?

つまり、僕はさっき実質プロポーズしてた事に…。うわあ、そう思うと凄い恥ずかしくなってきた。顔も凄く熱いし。

僕は机に突っ伏せる。穴があったら入りたい。

少しの間、僕達の間には静かな時間が流れる。

 

「そ、そろそろ行こうか、シャルロット」

「そ、そうだね! いつまでもここに居たらお店にも迷惑だし」

 

そう言って僕達は喫茶店を出た。

…デートの間中、あまりにも恥ずかしくてまともにシャルロットの顔を見れなかった。少し前の自分を消してしまいたい。何で言ったんだろう? 恨みますよ、八雲さん、はやてさん。

…でも、いつか胸を張って言えるように頑張ろう。それまでは一日を頑張って楽しく過ごしていきましょう! ってね。

 




作 「という訳で、自作品内でコラボしてみました」
八雲(以下八) 「どーも、他作品で主人公させていただいています、旧姓霧島、今は八神八雲と申します。お見知りおきを」
作 「今、22って事は…Vividの前年か…」
八 「Vividって何の事ですか?」
作 「いや、こっちの話。そんで、そっちはどう?」
八 「少し前に大きな事件が有りましたけど、今は概ね平和ですよ。っと、夕飯の買い物行かないと。では」
作 「じゃあね。空いた時間で宣伝でも。次回、織斑一秋フランスに立つ! 僕は書き上げる事ができるか?」

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