IS~僕の兄は織斑一夏~   作:ピーナ

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作 「いやー、ついにフランスに行っちゃったねー」
秋 「そうですねー」
作 「そういや、前にフランスのイメージの話したけど、実際どうだった?」
秋 「フランスのイメージは変わりませんね。ただ、フランス人のイメージが変わりました」
作 「まあ、あのお義母さんならねー」




第三十六話 織斑一秋、フランスに立つ

僕の自爆による、シャルロットへのプロポーズ未遂(未遂じゃないという説有)が有った二日後、僕は

 

「ここが、フランスかー。夏なのに暑くない」

 

フランスの首都、パリにあるシャルル・ド・ゴール国際空港に居た。

日差しは若干強いかなと思うけど、日本みたいに湿度が高いという訳では無いのでそこまで暑さを感じない。

 

「日本みたいに連日30度越えなのから考えると、暑くないかもね。こっちだと30度越えが数日あるくらいだから。朝夕だとたまに肌寒い日もあるくらいだし」

「日本人からしたら、夏なのに肌寒いって言うのは全く分からない感覚だよ」

 

最近だと、春の終わりや、秋の始まり位でも、暑い日が有る事が普通だし。

 

「ていうか、空港広…」

「まあ、このシャルル・ド・ゴール国際空港はフランス1、ヨーロッパでも2番目の規模を誇る空港よ。大きいのは当たり前よ」

 

と一人の女性が間に入ってくる。

肩にかかるくらいの明るい茶髪にビシッとスーツを着込むその姿はまさにキャリアウーマンって感じ。僕が会った中でスーツの似合う女性一位にランキングされるね。ちなみに今までの一位は冬姉でした。

 

「お義母さん!」

「電話では何度も話したけど、直接会うのは久しぶりね、シャルロット。元気にしてた?」

「うん! 一秋紹介するよ、僕のお義母さん」

「ヴィクトリア・デュノアよ。よろしくね」

「織斑一秋です。よろしくお願いします。えーっと…」

「普通に名前で良いわよ。もしくはお義母さんでも可」

「まだ、ヴィクトリアさんでお願いします!」

「まだって事はいつかは、そう呼んでくれるのね。その日を楽しみにしてるわ、一秋君」

 

…ダメだ、僕、ヴィクトリアさんに勝てる気しないわ。

 

「さて、未来の息子弄りはこのくらいにして、行きましょうか」

 

そう言って歩き出すヴィクトリアさん。…もう、完全に親公認だね。いや、ウチの姉さん達もシャルロットの事気に入ってるから、両家公認か。

案内された車は普通の車だった。しかも、日本車。なんか意外。お金持ちの送迎車って言うのでリムジンとか考えてたんだけど。ヨーロッパには色々高級車メーカーもあるんだ。

 

「なんか意外そうな顔してるわね。この車結構すごいのよ?」

「普通の車にしか見えませんけど…」

「見た目はね。でも、能力は見た目通りじゃないわよ」

「たしか、お父さんがウチの国の大統領専用車両より凄い。って言ってたね」

 

…娘の迎えに過保護すぎるんじゃないですか!? まあでも、デュノア社はヨーロッパ随一の企業だから、それぐらいの防御は必要なのか。

 

「リムジンとか、高級車は目立つのよ。そんなの狙ってくれって言ってるものじゃない。だから、どこにでもある大衆車をウチの総力を結集して改装したのよ」

「なるほど…」

 

そういや、束姉が『デュノア社は凄いって言うか、変態技術者の集まりだよ。だからこそ、面白い物もたくさんあるんだけどね』って言っていた。なんか、その一端を垣間見た気がする。

 

「さて、荷物を一度置きに行きましょう。その後、ちょっと行きたい所があるのよ」

「行きたい所?」

「ええ、私から一秋君へのプレゼントを用意したから、それを取りにね」

「はあ…」

「シャルロットも楽しみにしててね」

「うん!」

 

なぜ、僕のプレゼントでシャルロットが喜ぶのか? そこは気になる所だけど、まあ、僕にはお任せするしかない訳で。

 

 

 

「広…」

 

シャルロットの家に着いた時、思わず僕はそう呟いた。

まあ、ヨーロッパ随一の企業の社長の家だから広いとは思ってたけど、想像以上だった。

 

「広いよね。僕もここに初めて来た時は驚いたもん。まあ、二年も暮らしたら流石に慣れちゃったけど」

 

そう言うのは僕の横に居るシャルロット。

 

「デュノア社は結構古い企業だから、この家、というより屋敷もかなり古い物らしいわ。建物自体は何度か建て直しているけど」

「ひょっとしてこれは…」

「お父さんの趣味だよ」

 

そう、この屋敷まさかの純日本の屋敷だったのだ。ヨーロッパなので、靴で家の中を歩くと思っていた僕はビックリした。

 

「私も最初はどうかと思ったけど、今ではかなり気にいってるのよ、この屋敷。あの人の影響でかなり日本も好きになったし」

「僕もここに最初に来た時は慣れなかったなあ」

「…僕としては、外国に来たのに日本に戻った感じですよ」

 

シャルロットもそうだけど、ヴィクトリアさんも日本語ペラペラなんだもん。あんまり外国に来た感じがしない。

 

「ていうか、ヴィクトリアさん、何で日本語そんなにお上手なんですか?」

「元は仕事の為に勉強していたんだけど、あの人と一緒に日本に行く内に自然にね」

「お義母さんは何か国語も喋れるんだよね」

「仕事柄必要だからね」

「ちなみに、どこの言葉を?」

「フランス語と日本語を除けば、英語、ドイツ語、イタリア語、スペイン語、ポルトガル語、ロシア語位かしらね」

 

その事を聞いて唖然とする。いや、位じゃないと思いますよ!? 僕は日本語しか喋れませんからね!?

 

「まあ、その中でよく使うのは母国語のフランス語を抜けば、英語と日本語位ね。後のはそこまで使う機会は無いわよ。今はISの出現で日本の文化や日本語を学ぶ人が増えて来てるから、一秋君が海外旅行してもそこまで問題無いわよ?」

「そういう物なんですか?」

 

日本に暮らしているとそこまで感じられない。

 

「ええ。ウチの人が日本好きって言うのは、割と有名な話でね、仕事関係の人から日本のおススメスポットとかよく聞かれるらしいわよ」

「っていうか、デュノアさんどれくらい日本に来てるんですか?」

「最低で年に二回は行ってるわね。今年は行けなかったけど、IS学園の学年別トーナメントにはほぼ毎年行ってたし。それ以外にも普通に日本のいろんな所に行ってるわ。話は少し違うけど、最近は忙しくて行けなかったけど、結婚十五周年を祝って二人で一か月くらい日本に旅行に行こうかって考えてるくらいよ。シャルロットも寮暮らしで問題無いし」

「ラブラブだね~」

「ラブラブよ~。でも、それはシャルロットと一秋君も同じじゃない。車での移動中も今もずーっと手を繋いでいるんだから」

 

ヴィクトリアさんの指摘に顔を赤くする僕達。

…そういや、繋ぎっぱなしだった。最初はシャルロットが「一秋、当たり前だけど、フランス初めてでしょ? だから、迷わない様に手を繋ごうよ」と言ったからだった。まあ、その後「というのは建前で本音はただ単に一秋と手を繋ぎたいだけだけどね」と、言ってたけど。…いちいち僕の彼女は可愛い。異論は認めるけど、反論は認めない。

 

「あっ、えっ、その…」

「あわてなくても大丈夫よ。二人は学生なんだから、時間がある内はそうしてなさいな。大人になったら、いろんな事情で一緒の時間は減っちゃうんだから」

「「…はい」」

 

今は学生で生活リズムはほとんど一緒だから、一緒に居れる時間をたくさん作れる。でも、大人になるとそうはいかないんだろう。職業とかで大分と変わりそうだし。

そんな事を考えていると、一週間僕が泊まる部屋に着いた。

…うん、家の規模から見ても分かってたけど、普通に広い。20畳くらいあるかな? ベットも一人で使うには大きいし。色々完備されてるし、ここは高級ホテルか? まあ、高級ホテルに泊まった事無いけど。

 

「ここはこの屋敷の客室よ。今は一秋君はお客様だからこの部屋よ。後々は貴方の部屋も用意するでしょうけど」

 

もう、何も言うまい。

 

「さて、荷物を置いて出掛けましょうか」

 

そう言って進んでいくヴィクトリアさん。…パワフルだなあ。

 

 

「…どうしてこうなった」

 

思わず僕は呟いた。今何故か僕はスーツを着ている。

ヴィクトリアさんが僕を連れてきたかった所、それは礼服の専門店。用意したプレゼントとはスーツとかの礼服。

…まあ、確かにIS学園の制服って礼服っぽくないけど。

 

「やっぱり、私の見立ては間違ってなかったわね! 似合ってるわ。シャルロットはどう?」

「凄くカッコいいよ!」

「…どうも」

 

テンションの高い女性陣に比べると僕のテンションは低い。

…だって、怖いんだもん! ここのスーツ値札が無いんだぜ! 一体いくらの物なのか聞きたいけど聞く勇気が無い。

 

「…しかし、なんでまたスーツなんか」

「一秋君、スーツはね大人の男の戦闘服なのよ。そして、これは私の持論だけど、スーツの似合う男はカッコいいわ!」

 

それは持論というより、好みなのでは…。

 

「それに、一秋君の立場上こういうのが必要になる事が必ず来るわよ。今のうちに慣れときなさいな」

「はあ。そんなものですか…。後、気になってたんですけど、このタキシードで良いんですか? が有るんですか?」

「執事喫茶の為よ!」

 

コスプレというより、完璧に本職の人が着るような奴じゃないですか!

 

「多分、私達も行くからね」

「もう…好きにしてください…」

 

…僕は疲れたよ。初日から疲れすぎ。

 

「それじゃ、会計済ませて帰りましょうかね」

「…ちなみにこれ全部でおいくらなんですか?」

 

買う予定なのはスーツ一式×3と執事コス用のタキシード。

 

「確か、60万くらいよ」

「結構しますね。60万円ですか」

 

一つ当たり15万円か。

 

「違うわよ、60万ユーロ」

「……………へっ?」

 

たしか1ユーロ140円くらいだったと思うから…平均2000万円!?

そこで僕の意識は吹っ飛び、次に気付いた時はシャルロットの家に戻って来ていた。

いやー、人間ってビックリしすぎると思考がフリーズするんだね。

…って、そうじゃなくて! …もう、貰った物だから、大事にするしかないんだよなあ。ヴィクトリアさんもジュールさんも「「返品不可」」と言ってたし。

何かお礼できる事があれば良いんだけど…。




さて、いよいよやって来ましたフランス編!
3話くらいはフランスでお話をお送りする予定です。
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