秋 「粉物ですかね。たこ焼き、お好み焼き、焼きそばとか。作者さんは?」
作 「ベビーカステラ。後、唐揚げかな」
秋 「お互い、思いっ切り食べ物ですね」
作 「子供の頃は金魚すくいとかヨーヨー釣りとか楽しんでたんだけどね~」
第四十二話始まります。
昼寝から起こされて、シャルロットは姉さん達にどこかに連れて行かれた。
僕はシャワーを浴びた後、夏祭りの準備の為に暇だから着いてきた夏兄と一緒に近所のゲームセンターに行った。
「しかし、一秋が柳韻先生に勝つとはな」
「負ける気ではやってなかったけど、勝ったっていう結果は予想外だったよ。まあ、初見殺しの部分もあるから、まだまだだよ」
技術はまだまだ伸ばせると思うし戦い方もまだまだ練りこめるはずだ。
篠ノ之流剣弓術の奥義書の最後は
「技を真似するのは子供でも出来る。武術とは身に付けた技を組み合わせる戦い方だ。戦い方は個人が自分で自分に有った物を探さないといけない。技を身に付けた状態はいわば始まりなのだ。これを読む後世の武芸者よ、これからも満足せずに精進し続けるがいい」
という一文で締めくくられている。
姉さん達や、夏兄、箒ちゃんなんかは技を磨きあげ、その技で戦う。僕は技の使い所、使い方を考え、それを判断して戦う。どっちが正しいとかは無い。自分に合っていればそれがその人にとっての正解なのだ。
「しかし、何でゲーセンに行くんだ?」
「何年か前から、祭りの時は札を小銭に崩してから出掛ける様にしているんだよ。当たり前だけどさ祭りの出店って支払いは100の倍数でしょ? なら、100円玉と500円玉を満載にしていけば支払いが楽じゃん」
「たしかに。たまにおつりの小銭が足りない出店とかもあるから、そっちの方が楽だな」
「まあ、きっかけは祭りの直前に買い物行ったら、何故かがま口の小銭入れを配ってたから、それの有効活用の方法を考えていたら思いついたからなんだけど」
「ああ、だから中学の修学旅行の時、がま口の財布を買ってたのか」
「そうだよ。その年の夏祭りの時に止め口が壊れちゃったから新しいのが欲しかったんだ」
少し値は張ったけど、元の物より大きいし、店員さんもかなり丈夫と言っていたから、良い買い物だったと思う。
「つーか、そんな事まで考えてんのな」
「いやいや、旅行を楽しむために準備ちゃんとするでしょ? それと同じだよ」
物事を思いっ切り楽しむためには前段階でしっかり用意をする事が大切だと思う。楽しんでいる時に、それを邪魔するような何かがあったら誰でも嫌だろうし。
「ちょっと違う気がするけど、まあいいか。俺も少しは用意していくかな」
「僕もいつもより多めに用意しないとね~」
「何でだ?」
「そりゃ、シャルロットと一緒に回るからだよ。甲斐性の見せ所だよね。という訳で、皆の相手は任せるよ、夏兄」
「……それは別に良いんだけどさ、周りの視線で心労が半端なくなりそうなんだけど」
皆美人だからね。男性の嫉妬の視線が辛そうだ。
「弾とか数馬辺りを呼び出せば?」
「でもな~、共通の知り合いが鈴しか居ないから、俺の負担がでかいんだよな」
「それじゃ、覚悟するしかないね」
傍から見る分には面白そうだけど、実際入ってみると辛いだろうな~。まあでも、皆夏兄の事好きなんだし、いい思い出になるよね。
篠ノ之神社に戻ってきて、少ししてから、僕はシャルロットに指定された待ち合わせ場所である神社の鳥居前にいた。そう言えば、こういう待ち合わせでは、大体僕が待っている気がする。シャルロットも遅れている訳じゃなく、僕が早く来すぎているだけなんだけどね。
石段を登った先にある境内では既に祭囃子が聞こえてきている。毎年賑わってんな~。
篠ノ之神社は歴史の古い神社なんだけど、最近はとある理由で、非常に人気が高い。それは『IS関連のお願い事』だ。初詣に来て絵馬を見ると「IS学園に受かりますように」と書かれているのがかなりあるし、日本に訪れたISの操縦者や研究者は安全やら成功やらを願っていくらしい。ちなみにこれはフランスに行った時にデュノア社で聞いた話だ。その時僕はだからISが世間に発表されてから結構な頻度で外国人をあの辺で見るようになったのかと長い間気になっていた事が分かってすっきりした。
「一秋~!」
僕の名前を呼ぶ、シャルロットの声が聞こえたので、声の方向に向いた。そこには、浴衣に袖を通したシャルロットがいた。
「ど、どうかな? お姉ちゃん達に見繕ってもらったんだけど」
袖を広げて、僕に聞くシャルロット。
「月並みだけど、凄く似合ってる。可愛いよ、シャルロット」
和服の力を舐めていた。シチュエーションと相まっていつも以上に可愛く見える。それだけじゃ無い。いつもより高い位置で髪を纏めているから、そのお蔭で見えている、白いうなじが凄い色っぽい。……うん、日本に生まれてよかった。
「あ、ありがとう……。そ、それじゃ、いこっか!」
僕の手を引いてシャルロットは祭囃子でにぎわっている方向に歩き出した。
そこから僕達は祭りを目一杯楽しんだ。
まずは軽く腹ごしらえ。
「なんだろうね、祭りで食べる食べ物こんなに美味いんだろ?」
「食べ物を食べるシチュエーションも大事って事だね。あっ、たこ焼き一個頂戴」
「はい、あーん」
「あーん」
次に色々なゲーム。
「射的でもするか~。今年も荒らすよ~」
「僕もやってみようかな」
「という訳で、おっちゃん、二人分」
~以下省略~
「まあ、こんなもんかな」
「だね。射撃はISで慣れてるし。…でも取り過ぎたね」
「おっちゃん涙目だったからな~。とりあえず箒ちゃんの神楽舞がもうすぐだし、一回、これを箒ちゃん家に置いてこようか」
「そうだね」
んでもって、箒ちゃんの神楽舞。
「は~綺麗だね~」
「そうだね。何年かぶりのはずなんだけど、完璧じゃん箒ちゃん。練習してたのかね~」
「これなら、一夏も見惚れるんじゃない?」
「いや~、あの夏兄だよ? 綺麗だとは思っても、惚れるまではいかないと思うんだよね~。KING OF 鈍感は伊達じゃないよ」
「酷い言いようだけど、数か月見てきただけでそれが納得出来ちゃうんだよね……」
祭りを楽しんだら、クライマックスの打ち上げ花火を見るために、僕達は秘密のスポットに向かっていた。
僕の中では花火を見る秘密のスポットは篠ノ之神社の裏山に二か所あって、一か所は僕以外に夏兄や姉さん達箒ちゃんに束姉、鈴ちゃんに蘭ちゃんに弾に数馬と見たスポットで、かなり良い所。
二年ぐらい前にもう一か所は流鏑馬の練習後に運動がてら久しぶりに裏山を探検した時に見つけた所で、こちらも眺めはかなり良い。こっちは正真正銘の僕だけの秘密のスポット。
「結構、奥まで来たね」
「まあね。もう一か所もうちょい近いとこにあるんだけど、そこは多分皆行ってるだろうしね。初めての夏祭りは最初から最後までシャルロットを独り占めしたかったんだよ」
「バカ……」
「バカで結構。それより今を楽しもうよ。もうすぐ花火も始まるはずだし」
そう、僕が言い終わったタイミングで一発目の花火が打ち上がった。やっぱ、打ち上げ花火は日本の夏に欠かせないね。
「綺麗だね…」
「シャルロットがね」
「もう! …また来年も見ようね」
「二人で? それとも皆と?」
「それはその時に決めようよ。皆との思い出も一秋との思い出も僕にとっては両方大事だもん」
「そうだね。気が早いけど来年が楽しみだなあ」
今日という日は大切な思い出になる。
多分来年の夏祭りも同じことを思うんだろう。いや、再来年も、これからずっと。
スランプの中、何とか書き上げました。もしかしたら書き直すかもしれません。