IS~僕の兄は織斑一夏~   作:ピーナ

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秋 「これは真理です」
作 「そうだね~。夕飯がカレーだった日の翌日の朝飯はカレーだね」
秋 「作者さんはどんなカレーが好きですか?」
作 「マーボーカレー」
秋 「レトルトのですか?」
作 「いや、昔なんかの雑誌で見たのを少しアレンジして作ってる。結構美味しいよ」
秋 「そうなんですか。では、最後に」
作、秋 「飴色に炒めた玉葱はルーにコクを与える」

第四話始まります。(注 カレーは本編には出てきません)


第四話 二日目…のカレーは美味い

「んんー。…良く寝た」

 

二日目の朝、現在の時刻は朝の4時半。バイトのおかげで僕は朝起きるのがとても早い。むしろ遅くなった方だ。中学校の間はもう一時間くらい早かったし。

しかし、今はバイトも無い。何しようかな?

 

「とりあえず、ランニングでもするか」

 

新聞配達の時、僕は自転車ではなく走って配達していた。何人か人が居た中、当たり前だが僕が最年少だったので、走って配れと言われた。無理を言ってやらせてもらっていたし、走りだという事を考慮して配る量を少なくしてもらっていたので、素直に走って配っていた。

おかげで体力は付いたので、結構感謝している。

とりあえず、持ってきていたジャージに着替え、外に出る。

 

 

「一月近く…走って…無かったから…しんどい…」

 

肩で息をしながら、僕はそう呟いた。ここのグラウンドは一周5キロなので、2、3周は出来るかなと思ったんだけど、1周で体力が切れた。

まずは体力付けるとこからしないとな。夏兄の事言ってられないや。

 

「お疲れさま、秋君。はい、タオルとスポーツドリンク」

「大分鈍っている様だな。一秋」

 

いつの間にか春姉と冬姉が来ていた。二人ともジャージに袖を通している。

 

「おはよう春姉、冬姉。どしたの、こんな時間に?」

 

僕は気になったので聞いてみた。

 

「私達は週に2回ほど、朝に模擬戦をやっていてな。今日はその日という訳だ」

「そうなのよ。ここに来てそれなりになるけどこんな時間からトレーニングしている子は初めてよ」

 

週2で春姉と冬姉の模擬戦…。これ、金取れるよ。

 

「っていうか、生徒の人って朝から練習する人いないの?」

 

ISはイメージで動く。しかし、動いているのは自分の体だ。

体を動かす技術は見ればある程度真似できるかもしれない。でもそれを使いこなす、咄嗟にイメージするには、反復練習しかない。身に付く時間はそれぞれだが、そこに近道は無い。

 

「朝からというのは、まったくと言っていいほどいないな。少なくとも私は一人しか知らない」

「そうね、私も一人しか知らないわ」

「あいつか?私は一度だけなのだが…」

「ええ、私も一度だけだけど見たわ。あの子なら今も続けているでしょうね」

「それは、姉さん達の後ろに隠れている人の事?」

「「ああ、(ええ)そうだ(よ)」」

 

その言葉を聞いて観念したのか、一人の女子生徒が出てきた。ていうか、男子生徒は僕と夏兄しかいなかった。

その人は水色の外はねの髪に赤い瞳が特徴的な美人さんだった。

 

「三人共に気付かれるなんて、私は自信なくしそうですよ」

「あの、どちら様で?」

「自己紹介がまだだったわね。私は更識楯無、この学校の生徒会長よ。よろしくね、織斑一秋君」

 

その美人さん改め、更識さんがそう言った。しかし、昨日から知り合いと同じ苗字の人とよく会うなあ…。この人もどことなく僕の知っている更識さんに似ているし。

 

「大丈夫よ、楯無さん。知っての通り千冬ちゃんは人外の域だし、秋君も生身なら限りなく人外に近いから」

「いやいや、そんな事無いって!」

「昨日の箒ちゃんとの戦い見てたわよ。正直、同じころの私や千冬ちゃんと同じくらいだと思うわ」

「そうかなあ?」

 

春姉の高評価は結構嬉しいのだが、自分が見てきた同い年の頃の春姉達と今の自分の強さが同じなのか、よく分からない。

 

「自信を持ちなさい」

「ふむ、姉さんがそこまで言うなら私も見たかったな」

「あら、録画してあるわよ。後で見る?」

「ちょっ、春姉!?」

「そうなのか? ならば、今夜にでも時間を作って見ようか」

「私も気になります」

「なら、楯無さんには後でダビングしたのを上げるわ」

「やめて。ほんとにやめて」

 

僕がそう言うも、決まりきった事みたいで聞く耳を持ってくれない。…諦めよう。人間諦めが肝心だ。

 

「それはそれとして、秋君審判してくれない?」

「別に良いよ」

 

この二人の戦いなら勉強に…レベルが高すぎてならないかな? 多分。

 

「私も見ていていいですか?」

「別に良いわよ。ねっ、千冬ちゃん」

「ああ、別に構わない」

 

春姉と冬姉は距離を取り、準備を始める。

 

「一本勝負ね」

 

春姉の言葉で冬姉の顔が真剣になる。それはまるで『ブリュンヒルデ』になった時の様に。

 

「二人とも準備はいいね? 始め!」

 

合図と共に二人ともかなりの速さでぶつかる。打撃、投げ、関節技の応酬、しかも全部人体の急所を狙った拳撃、蹴撃だからえげつない。そのままの速さで攻防を続ける。

 

「…凄いわね、あのペースで20分は打ち合ってるわ」

「そうですね。でもまだ本気を出していませんね。準備運動と様子見ですね」

「そうなの?」

「二人が本気を出したら、大げさですけど、何やっているか分かんない位ですよ」

「そんなに?」

「そんなに、です」

「一秋もああ言っている訳だし、そろそろ本気でいかせてもらうぞ、姉さん!」

「あらあら、そこまで言われたら私も本気でいくしかないわね、千冬ちゃん」

 

僕と更識さんの言葉が聞こえていたみたいで、姉さんたちは一端距離を取り、そう言った。

 

「ねっ、他の声を聞く余裕があったんですよ」

「…本当ね」

 

この会話の間にも二人はどんどん集中を高めていく。それに伴って空気がどんどん張りつめていく。

一撃の勝負。

動かない時間。それは一瞬の様な、それでいて永遠の様な時間。

どちらともなく動く。それは最初の激突以上のスピードでぶつかる。

次の瞬間、決着が付いた。

 

「相討ちね」

「そうだな」

 

お互いがお互いの顔の前に拳を突き出している。

 

「やっぱ、二人とも凄いや。僕なんかまだまだだよ」

 

僕は思った事を素直に口にした。二人の姉の戦いを見ると自分はまだ未熟だと実感する。心が折れるかもしれないけど、慢心せず、上を見れる。

 

「私も国家代表になったり生徒会長になって学園最強と呼ばれて、どこか慢心していたかもしれません。自分を見直す良い機会になりました。ありがとうございます」

「それは良かったわ」

「ふむ、自分たちの為にしていた事なのだがな」

 

生徒の力になれた事が嬉しいのか、それとも戦いが楽しかったのか、二人は笑顔だ。後者だったら若干怖い。…考え無い事にしよう。

 

「汗引いて寒くなってきた。今日はもう部屋に戻るよ」

「風邪ひかないようにねー」

 

春姉の言葉を聞いて僕は部屋に戻った。

 

 

時間は飛び、お昼。僕はあの後作った弁当を食べていた。一緒に食べれるように夏兄と箒ちゃんの分も用意して。後、朝のうちに渡したけど春姉と冬姉と束姉の分も。

一般家庭のお母さんより作っている気がする。

これは単純に時間があったのと、せっかく身に着けた料理の技術を鈍らせないというもったいない精神からである。

 

「美味いな…」

「まあ、なんだかんだ言って僕も夏兄も何年も作り続けているからね。それくらいやれば誰でもこれくらい出来る様になるよ」

「中学入ってからは一秋に結構任せっぱなしだったけどな」

「そうそう、買い出しなんてほとんど僕がしてたしね。おかげで近所の商店街のお店の人とはサービスしてくれるくらい仲良くなったし」

「お前は主婦か何かか…?」

 

若干呆れてそういう箒ちゃん。ひょっとしたら普通の主婦より主婦してたかもね、中学時代の僕。

 

「そういや、決定戦までどうするんだ?」

「うーん、どうしようかな…。夏兄は付け焼刃のISよりも箒ちゃんと戦って勝負勘と剣道の腕をある程度戻してもらう事から始めるとして…」

 

そんな事を考えていると、冬姉と束姉が入ってきて、

 

「織斑兄弟、IS委員会の要請に応えるため、お前たちに専用機を用意する事にした」

「しかも、私製作だよ~。やったね、二人とも!」

 

と言った。かなりの出来事なので、僕も箒ちゃんも周りのクラスメイトも驚いている。しかし、夏兄はどういう事か理解していない。

 

「夏兄、意味わかってないでしょ」

「…恥ずかしながら」

「やっぱり。ISのコアは有限なのは知ってるよね」

「授業でやったな。たしか467個だったか?」

「そうだけど、今は数はどうでもいいよ。で、その限られた数の中で研究、開発、運用をしないといけないんだよ。もちろん量産機もその中に入ってる。つまり、専用機は限られたIS乗りの中でもさらに限られた人しか選ばれないんだよ。」

「とんでもない事なのはよく分かった」

「ちなみに、昨日喧嘩を吹っかけたオルコットさんも専用機持ちらしいよ。春姉が言ってた」

「マジで?」

「マジで。後、周りが驚いているのはもう一つ理由があって、束姉直々に製作するISだという事。多分、『暮桜』以来なんじゃない?」

「そうだよー。ちーちゃんの『暮桜』とはるねぇの『白梅』以来だね」

 

『白梅』とは束姉謹製の第二世代機。雛形にして完成機とまで言われるとんでも機体だ。ただ、量産には向かず、試作、テスト機として使われていた。とここまでは、教科書の内容。

 

「へー、春姉が『白梅』のテストパイロットだったんだ」

「そうだよー。知られていないけどね。あの時に『白梅』を使いこなせたのははるねぇだけだったし、ちーちゃんばっかじゃずるいかなって思って」

 

最後のはともかく、その言葉から察するのは『白梅』がピーキーなのか、春姉がけた外れなのか…多分両方共だな。

 

「まあ、楽しみにしておいてよ二人とも。かずくんの武器はもちろんあれでね」

「あれがあるなら嬉しいですけど…」

「まかせないさい! 天才の束さんに不可能はないのです!」

「よろしくお願いします」

「よろしくお願いされた~。さーて、一週間完徹だ~」

 

とんでもない事を楽しそうに言う束姉。…後で食べ物を差し入れよう。

その後、性懲りもなく夏兄とオルコットさんが言い争いをしていたけど、僕は巻き込まれるのが面倒なので気にしない事にした。

しかし、どうしようかな対決の準備。




第四話終わりです。

フライングで会長登場です。
そして人外VS人外の戦い。
そんな二人を見たら「自分が強い」などと自惚れませんよね。
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