貴方は何トリア?私はアル………アサトリアだ!※アサトリアのアサはアサシンのアサである。   作:星の空

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第3聖 討幕と第1の魔との会合

「いやぁ、あの時は驚きましたよ。いきなり私と瓜二つの少女が男口調で乗り込んできたんですから。」

俺とジャック、総司は今、会津藩にいる。

最初、俺とジャックは日本各地を回っていたのだが、会津藩に着いてちょっとした所で、総司が歩いているのを出会したところで総司が血反吐を吐いて倒れたのだ。

それを新撰組の拠点に運び込んで介抱しているのである。

因みに、新撰組のその他勢は江戸幕府の守護のために出動している。

「でも、こんなに症状が悪いのに無理したらダメだよ?総司。」

ジャックは総司のことをかなり気に入った様で、総司が江戸幕府の守護に向かおうとするのを抑えているのである。

俺はその隙に金目の物や食料、総司の装備を荷造りしている。荷造りをする訳は千里眼で幕府側がこちら側に押されているから此処が占拠されるのも時間の問題だからである。

「………うし。総司よ、移動するぞ。面倒事が起こる前に。ジャックは周囲の警戒を頼む。」

「?あ!うん!!!」

ジャックは俺のこの一言に疑問を持ったようだが、何故なのか直ぐに分かったようだ。

俺は異空間に仕舞ってあるキャンピングカーに荷造りした荷物を入れてから総司を背負い、ジャックに俺が首に巻いているマフラーで総司を俺に括りつけてもらってから立ち上がる。

「ほぇ?………何やってるんですか?」

「少々厄介な奴がこの周辺をうろちょろしてる。様子からして何かを探している。いや、隠すのは良くないか。………奴は総司を狙ってる。が、新撰組の拠点がどこか分からないらしいから時間を喰ってる。」

「…………何故私が狙われてるんですか?ってか何故そんな事が分かってるんですか?」

「なに、総司の剣技はこの時代において群を抜いている。だが、それと同時に病弱でもある。そこを突いて従属の駒を総司に埋め込んで利用しようとしてる。俺は千里眼持ちだからな、他人の見え見えな動きから何をするのかを見る事が出来るのさ。」

俺は総司に事情を説明しながら新撰組の拠点から出る。隠密行動を取りながら移動をする。が、赤黒い玉が何処からか飛来してきたのでATフィールドで防ぐ。

しかし、今ので1枚割れてしまった。

(ッ!!?割れた……まさか!!?)

「消滅の魔力か!!!ジャック、霧を放て!!」

「分かってる!!」

赤黒い玉が消滅の魔力である事が分かったので、ジャックの宝具である霧を撒いてもらい盲ましをしてから此処を離脱する。

「…………魔力ってなんですか?言葉的に妖か何かが持つような力の様ですが。」

「俺自身よく分かってねぇが命に直結してる生命力や精神力などを消費して扱う物っぽいものだ。これを持つ者は総じてタフだ。まぁ、少ないと直ぐに死ぬがな。っと、忘れてた。この鞘を持っててな。この鞘は全て遠き理想郷(アヴァロン)と言ってな、持ち主に不老と超回復、再生を、借りている者には超回復をしてくれる物だ。暫くはそれで身体を休めてな。」

森に入って暫くしたら江戸幕府の者達が逃げているのを目指してそこからかなり離れた位置を駆け抜ける。

が、あの消滅の魔力は依然として此方を狙っている。しかも、かなりのコントロール力で総司には当たらないようにしてあるのだ。

森の中で一際広い場所に出て、中央で立ち止まる。総司を地に寝かせてからジャックに看病を頼む。

「さっきから御丁寧に俺だけを的確に狙いやがって。いい加減姿を現したらどうだ?聖書の悪魔め。」

そう声をかけたら上の方から声がかかった。

「あれ?なんで悪魔だって分かったのかな?」

姿を現したのは赤い長髪の青年と追従してメイド姿の白髪の女性、そして、黄の短髪に上半身裸で顔や胴体に無数の傷のある男が現れた。

「そりゃあ消滅の力を有するのは1部だけ。その1部が今まさに俺の目の前にいる。それはいいとして、アンタの目的はこの子か?」

俺はジャックに看病されている総司に親指で指して目の前の集団に問う。

「あぁ、彼女は主を守れずして逝くだろう?だから悪魔の駒(イーヴィル・ピース)を埋めて2度目を与えようと思ったんだ。僕なんかじゃ主には相応しくないだろうけど、彼女の力は強力だ。だから彼女に会いに来たのさ。どうだい沖田総司?主が僕に変わるだけだけど君の主に仕えたいという意思は反映されるよ?」

「…………何を言ってるんですか?私の主は貴方等ではない。私の主は徳川一族ないしは松平容保様だ!」

「そうかい。なら、君が死んでから悪魔の駒を埋めるとしよう。」

「残念だが、此奴は死なねぇよ。四大魔王サーゼクス・ルシファー。」

「おや?どうして僕の名がわかったのかな?僕は一言も名を語ってないんだけど………それより、彼女が死なないって言うのはどういうことだい。」

「なに、此奴が死ぬ原因である病そのものを死滅させたからさ。嘗て何処かに存在し誰もが望んだ理想郷、全て遠き理想郷(アヴァロン)。だが、その事実は丘などではない。…………鞘だ。彼の聖剣約束された勝利の剣(エクスカリバー)の本来の鞘であり、同時に持ち主に1種の不滅を齎す鞘だ。数年前にこの地へ渡る前にロマノフ一族に出会った。その時に土産として貰ったのさ。ついでに言えばロマノフ一族の者から貴様らについて聞いた。」

「ッ!!?エクスカリバーの鞘!!?モルガンがアーサーから簒奪して行方不明となった鞘が何故北欧にあった!!?」

どうやら鞘についてはその程度しか知らなかったらしい。噂だが、モルガンは全て遠き理想郷を使って不老と化しようとしたが一切使えず猛りくるって勢い余って売ってしまい、ロマノフ一族が買ったとか。

「…………まぁ、そんなのはどうでもいい。エクスカリバーは既に壊されている。鞘があったとしてもどうにもならないさ。話を戻すけど、彼女が死なないのなら強硬策に出させてもらうよ!!」

己の中で話は着いたのか自己完結をして、総司を殺すためにメイドの女性と上半身裸の男に指示を出した。

女性が魔力弾を総司に向けて放つが、ジャックが全てを弾く。

その間に上半身裸の男がこちらに足止めをするためか鎖で繋がっている2つの剣のうち1つを振り下ろしていた。

俺は謎のヒロインXの最終霊基を纏って聖魔2本の約束された勝利の剣を出して、上半身裸の男の剣を弾く。

「うおっ!姿が変わった!?」

「あぁ、アンタとサーゼクスを相手取るにはこれが1番いいからなバーサーカー・巨人殺しのベオウルフ。」

「ッ!!?てめぇも英霊か!!?」

「残念だが違う。だが、英霊の力を有するのは確かだ。」

俺がベオウルフとジャックがメイドの女性を相手にしている間にサーゼクスが総司のもとに寄るがアルトニウムを生成してビームにして放ち、それに気が付いたサーゼクスは躱す。

俺自身はベオウルフを蹴り飛ばしてからサーゼクスに切りかかる。サーゼクスは消滅の魔力を俺に放つが、俺が聖剣で切ることで霧散した。

「んな!!?こちらの攻撃が消えた!!?ッ………まさか………その剣は聖剣か!!!」

サーゼクスは鼻頭を掠めてギリギリで躱す。2度目の攻撃に入ると後ろからベオウルフが蹴りをかまそうとする。

俺はそれを膝窩で挟むようにして止めてブレイクダンスでサーゼクスの方に投げ飛ばす。

丁度殴りかかろうとしていたサーゼクスは意表を突かれてベオウルフに衝突し、錐揉み状態で飛ばされる。

「…………無理矢理するのは悪魔らしいが、そんなんだといずれ破綻するぞ。ロマノフ曰く、悪魔共は他種族の意志を顧みず、己の我欲しか顧みていない。故に他の神話や教団から殲滅されるのも時間の問題だ。とな。貴様の我欲で他者を貶すくらいなら今ある大切なものを守り抜くために行動しろ。」

ジャックがメイドの女性の喉笛にナイフを翳しており、振り下ろそうとしていた。

「ッ!!?グレイフィア!!!」

それを見たサーゼクスが一目散にグレイフィアと呼ばれた彼女のもとに向かう。

それを見てジャックはグレイフィアから距離をとって総司のすぐ側に立つ。

「……やはり………貴様にも大切なものがあるのだな。ならばそいつらを守り抜きな。」

サーゼクスは俺の言葉が聞こえたかわからないが、忠告はした。

「…………………何かよく分からないけど………この気持ちはなんだろうか。…………何かが抜け落ちる様な感じがした。」

「それは大切なものを失ったと心が思ったからだよ。よっぽどその人が大切なんだね、赤髪のお兄さん!」

「その感じを忘れるな。貴様らが他の者を貶すことはその者を大切に思っている者にその感じを与えている。俺の言いたいことが分かったならばとっとと冥界に帰って大切なものを守り抜くための基盤を整えな。」

「………………行くぞ、ベオウルフ。」

強い意志を持った目で此方を1目見てからグレイフィアをお姫様抱っこしてベオウルフと共に此処を去って行った。

「さて、奴らも去ったことだし、戻るか。」

まだ、病により上手く動けない総司を抱えて立ち上がり、新撰組の拠点に歩いて移動する。

「……………えっ……」

「………………えぇぇ」

「…………こりゃないだろ。」

新撰組の拠点に着いた。着いたのだが、今現在物凄い勢いで燃えている。

「………そ………んな………皆の………皆との思い出が…………」

総司はその場に崩れ膝をつく。

俺とジャックはこういう状況にあったことが無いため対処法を知らず、立ち尽くしていた。

しかし、時は待ってくれない。

「いたぞ!!沖田総司だ!!!」

「そばに2人居るがどうする?」

「そんなもん沖田総司ごとやっちまえ!」

尊皇攘夷派の武士達がこの地でずっと総司を探していた様で、最終手段として此処を燃やしたのであろうと俺は予測した。

総司がどう動くのか見ていたが一向に動かないため、此方から動く事にした。総司を肩に担いで走り出す。ジャックは何をすればよいか分かっているのか、自然と殿に就いた。

「ちっ、なんの慰めにもならんだろうが今は生きろ!お前は主を守れないことを悔いている。だが、それはお前自身の心の中の話。お前以外のメンバーの中にはお前にだって生きて欲しいと願っているはずだ!ほかのメンバーの真意を確かめる為にも生きろ!!」

「それに、思い出ってさ建物や物だけなのかな?私たちにとっての思い出は全部此処にあって不滅の宝物だよ。総司は違う?」

「………………確かにそうですね………思い出は宝物で全て此処にある。…………うん。………………貴方が言うように生き長らえて土方さんに問い質しますよ。…………そう言えば………自己紹介をしていないのに何故私の名が分かったのですか?」

「総司って鈍感なのか?お前の名を知らない奴は少ないぞ?っと、言い忘れていたが俺の名はアルミナ・L・ヴィヴィアン。神の血を引きし者だ。」

「それでね。私たちはジャック・ザ・リッパー。わけアリの幼い少女ってね。」

暫く走りながら喋るが、一向に尊皇攘夷派は引かず追いかけてくる。

目が凄い血走っているのを見て若干心配するが、いい加減諦めて欲しいのでギアを上げようとした所、前方より何者かが走ってきた。

「沖田あぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

その者は、全身に銃痕や切り傷、裂傷などを追いながらも向かってきていた。

「土方さん!!?大丈夫なんですか!!?早く手当しないと!!?」

「俺は保たん!故に貴様だけでも生き延びろ!!!そこの2人、沖田を頼むぞ!!!」

「ちょっ!!?なんでそんな事を言うのですか!!?私だって十分戦えますよ!!!」

「生き延びて欲しいのは新撰組一同の総意!!!!!誠の旗は不滅なり!!!故に俺の事は考えずに行け!!!総司(・・)!!!」

「ッ……………助力ありがとうございます。お元気で………」

俺は立ち止まること無く土方のそばを一言告げて通り過ぎる。

その時に、そいつを頼む。と言われた事は忘れない。

「アルミナさん!!?降ろしてください!!!土方さんが…………私の同胞がいるんです!!!まだ間に合───」

「総司!!!彼の意志を無駄にする気か!!?それに彼はもう保たん。俺は彼の意志を尊重する。」

総司が駄々を捏ねるが諌める。総司は名残惜しそうに1人瀕死になりながらも病弱な総司を心配してこちらに来た土方を見る。しかし

「…………あれ?あの影は……」

総司が何かを見つけ、気になった俺も1目見たら驚愕する出来事が起きていた。

尊皇攘夷派の集団に1人で特攻をする土方に追従するように、永倉新八や近藤勇などの新撰組主要メンバーが続いていたのだ。

「土方に続けぇ!!!」

『うおぉぉぉぉぉ!!!!!!』

「新撰組だぁ!!?」

「戦死した筈じゃ!!?」

「いいから殺せぇ!!!」

俺が総司を担ぎ、ジャックが追従する中、後方では新撰組と尊皇攘夷派の追手で混戦しだした。

「ッ!!?宝具!!?………………ベオウルフと似たようなパターンか。…………兎に角今は走る。」

「…………………」

 

✲✲✲

 

その後、新撰組は一人残らず殲滅された。しかし、沖田総司並びに2人の人物の追跡は不可能であった。

 




沖田総司を追う尊皇攘夷派をアルミナが蹴散らしても良かったのですが、ここはこの時代の者に殿をさせようと思い、Fateシリーズに既に出ている土方さんが登場しました。
ただ、土方とすれ違うシーンで、アルミナが土方さんに敵と認識されなかったのかと言うと、顔が似すぎていたため池田屋事件以来忘れてはいなかっただけです。

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