※11/20ㅤ本文の不整合な部分を修正しました。
ㅤゲームには色々な種類がある。例えば、アクションゲームであったり、RPG、音楽ゲームであったりなど様々だ。人々はその中から自分に合うものをプレイして楽しむことが可能だ。
ㅤレースゲームもその一つ。幻夢コーポレーションからもレースゲームはもちろん発売されている。
ㅤ爆走バイクは破壊妨害なんでもありの超デンジャラス・ゲーム。そんなゲームから生まれたバクスターもまた、レースを挑んでくる。
ㅤゲームエリアにはレース場が展開されていた。嬉々としてバイクに跨っているのは爆走バイクのキャラクター――モータスバクスターだ。しかし、対する焦凍は変身もしていなければ、バイクに乗ってもいなかった。
「……一つ、訊いてもいいか?」
「おう、なんでも聞け!」
「そのバイク、ガソリンで動いてるのか?」
「当たり前だ! エンジン吹かさねぇで、何が走り屋だ!」胸を張るモータス。
「そうか。それは良いことを聞いた」焦凍は微笑を浮かべる。「知ってるか? ガソリンも凍るってことを」
ㅤ変身前の彼であれば、瞬きも終わらぬうちにガソリンの凝固点である約-95℃まで下げることができる。モータスが異変に気付いた時には、もう遅かった。いくらハンドルを回しても、エンジンはピクリとも動かない。
ㅤ焦凍はバイクを側面から乱暴に蹴り倒す。車体は倒れて、モータスも転がり落ちる。
「緑谷! 今だ!」焦凍は叫ぶ。
ㅤその瞬間、エグゼイドに変身した出久がワープしてきた。近くに隠れて、様子を伺っていたのだ。
ㅤ彼はモータスの腹を踏みつけ、すぐには起き上がれないようにした。そのまま、ソードモードのガシャコンブレイカーで何度か突き刺す。その度に"HIT!"という文字が現れる。
『キメワザ!』
ㅤ幾らかダメージを与えたのち、出久はキメワザを発動する。カラフルなエフェクトと共にモータスを切りつけた。オーバーキルな攻撃を受け、バグスターは消滅。それと共にクリア音声が辺りに鳴り響いた。
『ゲームクリア!』
◆
ㅤ無事にモータスバグスターを倒した出久たちは、CRで休息を取っていた。出久や焦凍がテーブルで飲み物を飲む横で、ポッピーピポパポが嬉しそうにくるくると踊る。
「イズクもショウトもすごい! あっという間に倒しちゃった! 私の応援ソングの出番、無かったもん。練習してたのに」
「いや、それはいらねぇ」
ㅤ即座に返された轟の言葉に、ポッピーピポパポは「ピヨる……」と言って、うずくまってしまった。余程ショックだったのだろうか。見た目がモノクロに変化している。
「でっ、でも! 轟くんのお陰だよ。やっぱり、凍らせるっていうのは汎用性があるね」場を取りなすように、出久が話を繋ぐ。
「いや、緑谷の考えた作戦が上手くいったからだろ。……ちょっと卑怯な気もするけどな」
「患者の命が懸かっている以上、負ける訳にはいかないからね」
ㅤ出久の作戦は、正攻法とは言い難い戦い方ではあった。
ㅤゲームならズルやチートと言われてもおかしくないし、なんならアカウントをBANされてしまうかもしれない。しかし、いくらゲームに見えても、これは患者のオペである。
「それはそうだ。倒せなきゃ意味ねぇもんな」焦凍が首肯する。
「でも、せっかく現実がゲームになってるのに楽しく遊べないのは残念……。みんなでドレミファビートとかしてみたいのになぁ」ピヨピヨ状態から復活したポッピーピポパポが言う。
ㅤドレミファビートは、ポッピーピポパポが生まれる元となった音楽ゲームである。降ってくるノーツを音楽に合わせて叩く、という単純なゲーム。しかし、音ゲーマーの中では割と高難易度の扱いをされている。
ㅤ何故か。それはボタンを押すのに加え、レバーを動かさなければいけないからである。4レーンの位置移動をレバーひとつで行わなければならない。しかも、背景とノーツの色が似ていて分かりにくい。
ㅤこれだけならクソゲーと言っても差し支えないが、収録されている曲が良曲なので許されている面がある。文句をつけながらも音ゲーマーは、あまり良くない譜面も一応プレイする。一番大事なのは曲なのである。
ㅤポッピーピポパポが一緒にゲームをしたがるように、他のバグスターもプレイヤーと戦いたがっているだけなのかもしれない。それでも、出久は今の戦い方が間違ってはいないと考えていた。
「……バグスターを全部倒すことが出来たら、きっと遊べるようになるんじゃないかな。――そういえば。僕、オールマイトのグッズを探しによく古い玩具屋に行くんだけどさ。そこで幻夢のゲームを見つけたから、買ったんだ」
「えっ!? もしかしてドレミファビート?」すぐさま、ポッピーピポパポが食いつく。
「ううん。今日倒したやつのゲーム。えっと……爆走バイク。復刻版じゃなくて、初代のやつ。超プレミアでもおかしくないのに、300円で売ってた」
「ラッキーだな。最近、めちゃくちゃ高騰してるだろ」
ㅤ幻夢コーポレーションが創立されたのは、100年以上も前のことだ。当時はゲーム業界の最先端を走っていた幻夢だったが、時代を経るにつれて勢いは衰えていた。
ㅤそれが、新社長が就任して「マイティアクションX」という代表作の復刻版が発売された途端、再び表舞台に躍り出た。そのため、二束三文で中古屋に投げ売りされていた過去のゲームたちが、急に脚光を浴び出したのだ。そのため、ネットオークションではゼロが4個も5個も付いていたりする。
ㅤとはいえ、出久がそれを購入したのは、転売して儲けたいなどという発想ではなかった。
「うん。ラッキーだよね。それで、また今度持ってくるから遊ぼうよ。CRにガシャット対応のハードあったっけ?」
「あるよ。クロトがくれたから。やった〜! 私、すっごく楽しみ!」
ㅤポッピーピポパポの言葉に出てきた人名に、出久は少し引っかかる。
「幻夢の社長さんだよね? 一体どんな人なの?」
「そっか、イズクはまだ会ったことなかったよね。でも、大丈夫! 今日CRに来るって言ってたから!」
ㅤ彼女がそう言い終えたとき、タイミングよく螺旋階段から何者かが上がってきた。黒いスーツに身を包んだ背の高いこの男こそ、ポッピーピポパポの言っていた幻夢コーポレーション社長――檀黎斗であった。
「あっ、クロト!」
「やぁ、ポッピー。それに焦凍くん」黎斗は出久の方へ顔を向けた。「そして……。君が緑谷出久くんか」
「はっ、はじめまして。緑谷出久です……」
「……君は水晶のようだな」
ㅤ出久の自己紹介に対しては何も返さないで、黎斗はよく分からないことを話しはじめた。
「はぁ……?」流石に出久も戸惑いを隠せない。
「昔の知人にヒーローであろう、聖人であろう、とした男がいた。誰よりも真っ直ぐで、自分を犠牲にしてでも誰かを救いたいと考えていた」
ㅤ黎斗はここではない、何処か遠くを見ているようだった。
「君はその男によく似ている……。だからこそ、とても心配だ。君の水晶が砕け散ってしまう日がくるんじゃないかとね」
「……僕の心が折れてしまうってことですか?」
「その可能性もあるというだけだ。でも、君はCRの大事な一員。そうならないよう、ポッピーや私がサポートするさ」
ㅤ黎斗はそう言って、ポケットからゲームソフトを取り出した。それをテーブルの上に並べる。赤色のゲームと、オレンジ色のゲームだ。
「ゲキトツロボッツとジェットコンバット。これはライダーガシャットではなく、レベルアップ用のガシャットだ。ゲーマドライバーに2つ目のスロットがあるだろう?」
「成る程な。あの時見た、黒いエグゼイドもレベルアップしていたって訳か」焦凍が身を乗り出し、ガシャットを見ながら言う。
「……あぁ。そのことはポッピーから聞いたよ。私にも正体などはよく分からないが、多分このガシャットがあれば対抗はできるはずだ」
ㅤ出久は何とは無しに、赤色のガシャットを手に取る。貼られたラベルには、赤いロボットがこちらに手を伸ばしているイラストが描かれていた。
「それじゃあ、私は失礼するよ。スケジュールが立て込んでいるのでね」
「あっ、私途中まで見送るよ。えいっ!コスチュ〜ムチェ〜ンジ!」
ㅤくるりとポッピーピポパポが一回転すると、光に包まれたあと仮野明日那の姿に変わる。彼女は黎斗と共に廊下へと出て行った。
「……なんか、胡散クセェだろ。アイツ」
ㅤ明日那達が去った後、焦凍がポツリと本音を漏らした。彼の眉間には皺が寄っており、それが冗談でも何でもないことは容易に見て取れた。
ㅤ出久は、焦凍の言ったことに同感ではあった。けれど、さっきはじめて会った人の悪口を言える程に豪胆で無かったので、無難な返答でお茶を濁した。
「まぁ……。ちょっと、普通の人ではなさそうだよね」
「俺は檀黎斗を信用してねぇ。利害の一致で手を組んでるだけでしかない。……緑谷、お前も気をつけた方がいいぞ」
「それがいいかもね。――ところで、轟くんってさ……」
ㅤ質問は最後まで言えなかった。出久と焦凍のゲームスコープがけたたましく音を鳴らしたからである。すぐさま彼らは現場へと駆け出す。
ㅤだから、出久はこの後続けようとしていた「どうして、仮面ライダーになろうと思ったの?」という言葉を飲み込むことになってしまったのだった。
◆
ㅤ現場に出久達が急行した時には、もうバグスターは暴れていた。しかし、患者から分離した状態であった。現状が把握出来ないが、手をこまねいているわけにはいかない。近辺の慌てふためいている人々にすぐ逃げるように伝え、彼らはそれぞれガシャットを構える。
「変身!」
「変身!」
『ガシャット!』
『レッツ・ゲーム!メッチャ・ゲーム!?ムッチャ・ゲーム!?ワッチャ・ネーム!?』
『アイムア・仮面ライダー!』
ㅤ仮面ライダーに変身した彼らが、バグスターを倒そうと走り出した瞬間に背後で大規模な爆発が起こった。何が起こったのか分からず、慌てて後ろを向く。
「また、ライダーか……!」
ㅤこの前の黒いエグゼイドとはまた違う、スナイパーのようなデザインのライダーがそこには立っていた。紺色を基調としたボディに蛍光イエローのラインとローブ。頭部には「STG」と書かれており、右目は前髪らしきパーツで隠れている。手には、ガシャコンウェポンらしきショットガンが握られていた。
ㅤまだこの時の出久は知らないが、このライダーはシューティングゲームのガシャットを使用して変身することの出来る、仮面ライダースナイプであった。
ㅤ謎のライダー――スナイプは出久や焦凍に銃弾を浴びせかけた。そして、スナイプは出久を狙っていたのか、たたらを踏んでいた彼に近づいてくる。それに気づいた出久は先手必勝と言わんばかりに、スナイプの方へとワープする。
「轟くん! 君はバグスターを!」ワープの寸前、出久はそう叫ぶ。
「任せろ!」出久の言葉を聞き、焦凍はバグスターの方へと駆け出していった。
ㅤ瞬間移動した出久は、ドライバーのレバーを引く。パーツが剥がれてゆき、レベルが上がる。
『ガッチャーン!』
『レベルアップ!』
『マイティ・ジャンプ! マイティ・キック! マイティ・マイティ・アクションX!!』
ㅤしかし、出久はそこで終わらなかった。彼はオペをしにきたのであり、スナイプと戦うのは早く切り上げたかったからである。
ㅤレベルアップしたと同時にスナイプの顎にキックを入れる。それで少し距離を取ると、先程黎斗から貰ったゲキトツロボッツガシャットを取り出した。
『ゲキトツロボッツ!』
ㅤ出久はガシャットをスロットに差し込んだ。すると、彼の周りに赤色のロボットが出現する。
『アゲッチャ!』
『ぶっ飛ばせ! 突撃! ゲキトツパンチ! ゲ・キ・ト・ツ ロボッツ!』
ㅤエグゼイドにロボットが合体する。頭部はロボットのような意匠に変化し、胸と肩に取り付けられたアーマーはSFに登場しそうなメタリックレッド。そして、左腕にはロボットアーマーが装着された。仮面ライダーエグゼイド・ロボットアクションゲーマーレベル3の完成である。
「悪いけど、君と戦ってる暇は無いんだ!」
ㅤ出久はそのまま殴り掛かろうとするが、スナイプの起こす爆破によって阻まれる。爆破を避ける為にワープを繰り返し、有効打を決められぬまま時間だけが過ぎていく。
――……どうする? そもそも、僕の強みって何だ? ワープばかりしてたらラチがあかないぞ……。何か有効な方法を……
ㅤ爆風の中、出久は考える。
――いや、違う! こんな時こそ正攻法だ!
ㅤ出久は辺りを見回し、1つのエナジーアイテムを取った。力瘤を見せつけるようなシルエットが描かれているメダルだ。
『マッスル化!』
ㅤマッスル化には一定時間攻撃力を上昇させる効果がある。一時的に筋肉を増強した出久は、爆発に巻き込まれるのも構わずに突っ込んでいく。自分のライフが削れるのも気にしないで、スナイプにパンチを繰り出す。
「――SMASH!!!」
ㅤ最後に拳を大きく振り上げた時には、エグゼイドもスナイプもライフ表示の目盛りが残り1つになっていた。
ㅤこのまま戦い続ければ、ゲームオーバーになることは避けられない。そのリスクを回避する為、双方とも変身を解除した。出久の目の前には、透き通るように白い肌と白金の髪を持つ男が居た。
ㅤ出久はこの男のことをよく知っていた。何故なら彼は――
「――かっちゃん……」
ㅤ幼馴染の、爆豪勝己だったのだから。
ㅤ
ㅤ序盤のエグゼイド観てるくらいの時期に「檀黎斗は髪型をオールバックにした挙句、神になって、最後にはオーズになる」って言っても誰も信じてくれないだろうな……。
ㅤ神を出したけど、猫被ってる都合上水晶ポエム黎斗になってしまった。一周回ってアレも面白いけど、早くやべークロトダンを書きたいなぁって思います。