ゴブリンスレイヤー~ガンスリンガー~   作:ユウキ003

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今回はコミックス第4巻の冒頭がベースです。
色々オリジナルです。


第10話 変化

~~前回までのあらすじ~~

突如として、ゴブリンスレイヤーから語られた

ゴブリンロードとゴブリンの軍隊襲来の急報。

これに対し辺境の街の冒険者達が結集して

迎え撃つ事になった。牧場を守るために

戦う冒険者たち。

ガンスリンガーが投入したマキシム機関銃の

制圧能力もあり、彼らはゴブリンの群れを

撃破。ゴブリンロードもゴブリンスレイヤーと

神官の二人の力で無事討ち取られた。

 

牧場防衛戦から少し後。

その日、ガンスリンガーと武闘家は、ゴブリンスレイヤー、

神官、弓手、道士、蜥蜴僧侶の5人と共に森林の

中にある遺跡へと足を運んでいた。

 

巨大な木々の上から見渡す周囲には、苔の生え、

少し崩れた遺跡があちこちに存在していた。

「すごい……!神代の頃の都市の跡、ですか?」

「遺跡になる前は、どんな街だったのかな」

遺跡を前に、驚く神官と武闘家。

そんな二人を見て、弓手は得意げな笑みを

浮かべている。

「どう!オルクボルグ!これよ!

 こういうのが冒険よ!来て良かったでしょ!」

自信たっぷりの弓手。

「あぁ、冒険を共にすると言う約束だ。

 報酬の支払いを拒否する気も無い」

しかし肝心のゴブリンスレイヤーは

ある意味平常運行だった。

 

その一方で、武闘家と共に遺跡を見つめる

ガンスリンガー。

「……」

「……どうかしました?」

無言で遺跡を見つめていたガンスリンガーに

声を掛ける武闘家。

「あ、いや。……ここには、かつてどんな

 人たちが暮していたのか、少し

 気になっただけだ」

少し間をおいてから答えるガンスリンガー。

「こんな風に、何かに興味を持つことは、

 冒険と言えるのだろうか……」

誰にいうでも無く、一人呟くガンスリンガー。

そこへ。

「その通りよ!」

「わわっ!?」

急に後ろから弓手が現れ、武闘家は

驚いた。

「そう言う探究心こそが冒険なのよ!

 古代遺跡!伝説!神秘!謎!

 ちょっとオルクボルグ!あんた弟子に

 色々と負けてるわよ!」

「……。俺は負けているのか?」

「さ、さぁ?」

弓手の言葉にゴブリンスレイヤーは弟子の

ガンスリンガーの方を見ながら首をかしげ、

彼も同様に首をかしげるのだった。

 

ちなみに、遺跡の周りを歩いている時、

神官、武闘家、弓手の女子3人はゴブリン

スレイヤーやガンスリンガーの話題で

色々盛り上がっていたのだった。

 

やがて、遺跡の入り口らしき穴の前に

到着する一行。

そして、ガンスリンガーは二つのホルスター

の内の一つから。武闘家も見たことの無い

銃を取り出した。

「あっ、ガンスリンガーさん。それって、

 もしかして新しい銃ですか?」

「あぁ。実戦で試したくてな。持ってきた」

そう語る彼の手にあるそれは、銃の生みの親である

ガンスリンガーを除いた彼、彼女たちの中で

一番銃に詳しい武闘家でも、分からなかった

全く新しい銃だった。

「何ですか、それ?」

どうやら神官の彼女も興味を持ったのか

彼の手元をのぞき込む。

「これは俺が試作開発を続けている新種の

 銃、短銃の一種だ」

「短銃?」

「小さい銃の事だよ。あの筒の所に

 弾を入れる」

「あぁ」

と、説明を受けて納得する神官。

「これまでの短銃は装弾数が少なかった。

 せいぜい6発か、多くて9発だ。

 ゴブリン共を相手にする場合、それでは

 弾数が足りない。加えて、弾の再装填にも

 時間が掛かる。そこでこれを作った」

説明を続けているガンスリンガーだったが……。

「そろそろ良いか?」

それを師匠であるゴブリンスレイヤーが

遮った。

「すみません師匠、長々と」

「では、始めるぞ」

そう言うと、ゴブリンスレイヤーは手にした

小さな塊を入り口に投げ入れた。

それは、硫黄と松脂で使う、言わば毒ガスの

ガスグレネードだった。

 

そして、待つこと数秒。入り口の奥、暗がりから

ゴブリンの叫びと足音が聞こえてきた。

各々が武器を構え、神官を守るように彼女の

前に立つ武闘家。

そしてガンスリンガーも、その手にした新たな

銃、『ボーチャード・ピストル』の箱形マガジンを

取り出し、それをグリップ下部から装填し、

遊底、スライドを引き、初弾を薬室へと

送り込む。

そして、両手でそれを保持し狙いを定める。

 

その直後。

   『Gyagyagya!!!』

わめき声と共にゴブリンが飛び出してきた。

   『パンッ!』

   『ボッ!』

乾いた音が響き、ゴブリンの胴体を銃弾、

7.65×25mmボーチャード弾が貫く。

そこから、ガンスリンガーは出てくるゴブリンを

次々と撃ち殺して行く。

   『パンッ!パンッ!』

そして、8発目を撃ち終えた所で銃口を

上に上げるガンスリンガー。

「残弾0、撃ち止めです」

「わかった」

攻守交代、とばかりに後ろに下がる

ガンスリンガーと入れ替わるように

前に出るゴブリンスレイヤー。

 

そこからは、ゴブリンスレイヤーと

弓手の連携攻撃でゴブリンを撃破。

ガンスリンガーも空き弾倉を捨て、

次の弾倉を装填するが、結局それ以上

撃つことは無かった。

その後、念のためにと毒気の収まった

地下へと降りる一行。

幸いにして、それ以上のゴブリンは

居なかったのだった。

ちなみに、この一件がご立腹な弓手に

よって今回のは冒険ではないと、

ノーカウントになってしまったのだった。

 

数日後、辺境の街。

今日も今日とて令嬢騎士の家を訪れて居る

ガンスリンガーと武闘家。

彼女たちによって売り出された銃の利益が

出た、と言う事で近況を聞く意味でも

やってきたのだ。

 

「それで、どうですか?売れ行きの方は」

「驚異的、とは言えないが物珍しさも

 あって都の方の貴族達の間でかなり

 浸透しつつあるようだ。また、馬車を

 使う御者達の護身用としても人気が

 出始めている。君の言うように、銃

 は使い方さえ覚えてしまえば個人の

 力量に寄らない威力を発揮するからね」

と、笑みを浮かべながら説明する令嬢騎士。

そして、彼女は二つの袋を取り出すと二人の

前に置いた。

「受け取ってくれ。遅くなったが、君たちに

 払う謝礼金だ」

それを受け取り、いそいそと中を確認する武闘家。

中身は、大量の金貨だった。

「え、えぇ!?こここ、こんなのって、

 えぇ!?」

「ん?どうした?足りなかったかな?」

「いやそうじゃなくて逆です逆!

 こんなに貰えるなんて思ってなくて……」

「そうか?これはまだ謝礼金の一部に

 過ぎないのだが……?」

「い、一部って、これがですか!?

 これだけでも既に大金なのに!」

令嬢騎士の言葉に更に驚く武闘家。

「銃の開発者はガンスリンガー殿だからな。

 今後も定期的に二人に金を払うつもりだ」

「そ、それならガンスリンガーさんだけで

 良いんじゃ……」

「確かにそうだが、君も命の恩人だ。

 それくらいどうって事ないさ。

 受け取ってくれ」

「え、えっと……」

彼女は戸惑い、ガンスリンガーの方へと

視線を向けた。

「それがお前に相応しい額だと彼女たちが

 決めたのだ。受け取ってもバチは

 当たらないだろう」

「そ、そう言う事なら……」

と言う事で、二人は報酬を受け取った。

 

その後。

「実は今日はもう一つ話をしたいんだ。

 私達と一緒に一つ依頼を受けては

 くれないだろうか?」

「依頼、ですか?内容は?」

「あぁ。例の地図を」

「はい」

ガンスリンガーが問い返すと、令嬢騎士の

言葉に従い、僧侶が二人と4人の間にある

テーブルの上に地図を広げた。

 

「場所は街から少し離れた農村。この農村は

 数日前の明け方、山賊の襲撃を受けた。

 幸い奴らの目的は金品だった為、住人は

 持てる物を持って逃げた事で死者は

 居なかった。……ただし、問題はこの後だ。

 農村の住人と言えば、依頼に出せる金の

 量は少ない。ましてやこの状況ではな。

 そのため冒険者たちの大半は実りの

 少ないこの依頼を受けようとはしていない。

 村の者の話では、山賊は10人以上との話だ」

「この依頼を、俺たちと一緒に?」

「そうだ。頼めるか?」

彼女の言葉にガンスリンガーは……。

「分かりました。引き受けましょう。良いか?」

頷いた後、武闘家に問うガンスリンガー。

「はいっ!私も行きます!山賊の奴らを

 ぶっ飛ばして見せます!」

「ははっ。頼もしいな。では、よろしく頼む」

 

その後、ガンスリンガーと武闘家に令嬢騎士たち

を加えた6人組のパーティは、一旦ガンスリンガー

の家によって彼用の武器をそろえると、馬車を

使って移動を開始した。

馬車の手綱を握るのはレーアレンジャー。

その隣に座るのがガンスリンガー。

他の4人は後ろに座り、武闘家は念のため

後方を警戒していた。

 

そして、昼過ぎには村の近くまで接近した

一行。しかし、そこで馬車は一時停止をし、

そこから降りたガンスリンガー。彼はレーア

レンジャーに目配せをする。彼女が頷くと、

馬車は彼を残して先へと進み出した。

 

それを少しばかり立ち止まって見送った後、

彼もまた動き出した。

 

村の入り口近くまでやってきた令嬢騎士達5人は

馬車を止めると、それを森の中に隠し、

徒歩で村へと向かった。

 

「見えてきたぞ。あそこだ」

森林を抜け、村のすぐ側までたどり着いた

5人は、そのまま入り口の前まで歩く。

「……。誰も、居ないですね」

周囲を見回しながら、恐る恐ると

言った感じで呟く僧侶。

 

しかし……。

「いえ」

彼女の言葉を否定し、静かに拳を構える武闘家。

「来ます」

彼女の言葉を合図にして、周囲の家屋の影から

汚らしい服装で剣や槍、弓を持った男達が

ざっと9人ほど現れた。

 

「何だ何だぁ?お客さんか~?ひひひっ!」

汚い笑みを浮かべながらにじり寄ってくる

盗賊たち。

それを前に、レーアレンジャーは弓を構え、

エルフ魔術師もすぐに術を放てるように

構える。

「貴様等がこの村を不当に占拠している集団だな」

5人の中で、令嬢騎士は毅然とした態度を取る。

「へへへっ!だったらどうする」

「貴様等雑兵に用はない。頭はどこだ!」

「な、何だとテメェ!」

令嬢騎士の言葉に、怒り心頭で今にも盗賊の

一人が斬りかかろうとした時。

 

「随分と威勢が良いじゃねぇか」

奥から、一際大きな巨漢が現れた。

「……貴様がこの盗賊一味の頭か」

「そうだ、と言ったら?」

周囲の盗賊や武闘家達が警戒心を

強める中、令嬢騎士と山賊の頭が

向かい合い、睨み合う。

「即刻この村から出て行け。そうすれば

 命までは取らない」

「はぁ?……ふっ、ふはははははははっ!

 何を言い出すかと思えば!

 たかが5人で、俺たちに勝てると

 思ってんのか!」

 

山賊の頭は叫ぶと、腰元にあった巨大な

斧を掲げ肩に担ぐ。

「さぁどうする?10対5だ」

そう言って笑みを浮かべる頭。他の盗賊たちも

じりじりと彼女たちを半円状に包囲しつつある。

武闘家やレーアレンジャーが警戒する中、

令嬢騎士は未だに毅然とした態度を

取っていた。

 

「投降する、或いはここを出て行く気は無い。

 そう言う事で間違い無いのだな?」

「ぐだぐだうるせぇ!その通りだっつってん

 だろうが!」

斧を振りかぶり、今にも襲いかかろうとする頭。

他の盗賊達もだ。

 

『スッ』

その時、令嬢騎士が右手を高く掲げた。

「あぁ!?なんだそりゃ、降参のサイン――」

『ダァァァァンッ!』

『ボッ!』

彼女の行為を訝しむ盗賊のボスだったが、

次の瞬間銃声が響き、銃弾が彼の頭を貫いた。

   『ドサッ』

鮮血が飛び散り、倒れる山賊の頭。

「え?」

それに理解が追いつかず、倒れた山賊の頭の

方を向く山賊達。

 

しかし、既に戦闘ののろしは上がっていた。

目の前の敵から目を外す事は、愚策中の愚策だ。

「はぁっ!」

   『バキッ!』

「ぐげっ!!」

その隙をついて、武闘家の一撃が山賊の腹部に

突き刺さった。

「はっ!」

   『ズバッ!』

「ぎゃぁぁっ!」

更に、剣を抜いた令嬢騎士の攻撃や、

レーアレンジャーの弓、エルフ魔術師の火球が

瞬く間に盗賊達を倒していく。

「な、何だ!?何がどうなって――」

   『ダァァァァンッ!』

   『ボッ!』

訳も分からず弓を構えた盗賊の頭を再び

銃弾が穿つ。

 

そして、数分もすれば全ての敵を倒す事が

出来た。周囲の状況を観察し、念のため

これ以上敵が居ない事を確認した武闘家は、

後方の林に向かって手を振った。

 

しばらくすると、森林の方からGew98を

装備したガンスリンガーが現れた。

「上手くいったな。お疲れ様」

「いえ、想定外の事が起こらなくて幸いでした」

彼に声を掛ける令嬢騎士と答えるガンスリンガー。

 

彼らの考えた作戦はこうだ。

まず、ガンスリンガー以外のメンバー5人が

村の前まで行き、山賊達をおびき出す。

頭とされる相手が出てくれば、それを後方の

森林に隠れているガンスリンガーが狙撃。

頭を潰して盗賊達を混乱させ、その隙を

他の5人が突き、一気に制圧する。

と言う物だった。

 

そして、その作戦が上手くいった訳だ。

「やったね!ナイス狙撃!」

「あ、あぁ」

レーアレンジャーはガンスリンガーの

背中を叩いてサムズアップをし、

彼もぎこちない動きでサムズアップをする。

「さて、これで村は開放された訳ですが。

 この後はどうされますか?」

と、令嬢騎士に問いかけるエルフ魔術師。

「この後は、この村の住人達の元へ向かう。

 彼らはすぐ近くの隣村に避難している

 との事だ。彼らにこの事を伝えよう。

 その上で道中の彼らを警護した後、

 街へと戻る。二人もそれで構わないか?」

「はいっ」

「私も大丈夫です!」

 

と言う事で、早速6人は隣村まで行き、村へと

戻る人々の警護を行った。

道中、特に問題無く村にたどり着いた一行。

これで依頼は終了となりガンスリンガーと

武闘家は馬車に戻ろうとしたのだが……。

 

「あ、あの!」

「ん?」

不意に数人の子供が二人に声を掛けた。

一瞬、顔を見合わせた二人だったが、すぐに

武闘家が腰を下ろし子供達と視線を合わせる。

「どうかしたの?何かあった?」

「えっと、その。……あの悪い人達を

 やっつけてくれたお礼に、これ」

そう言って、何かを差し出した子供。

 

「これって……」

子供の手にあったそれを受け取る武闘家。

それは、草花で編まれたリングだった。

2つのリングを受け取った武闘家は

立ち上がって一つをガンスリンガーに

差し出した。

「これは……。俺にも、か?」

「はい。きっとそうですよ。だから

 受け取ってあげてください」

彼女の言葉に、ガンスリンガーは少しだけ

間を置いてからリングを受け取った。

 

「あ、あの。あ、ありがとう」

そこに、一人の女の子が怯え気味に近づいてきた。

ガンスリンガーは鎧を着て顔を兜で隠している。

それが威圧的に感じて怯えているのだろう。

そして子供達は皆、口々にありがとうと言うと、

家の方へと戻っていった。

 

それを見送った後、ガンスリンガーは

掌の上にあるリングを見つめていた。

 

そして、帰りの馬車の中でも、ガンスリンガーは

ずっと、草花のリングを見つめていた。

「どうかしたの?」

それを見ていたレーアレンジャーが声を掛けた。

「あ、いや。……物を貰ったのだが、

 こんな事は初めてだった気がする。

 だから、少し戸惑っていた」

そう呟きながら、彼は掌のリングを見つめる。

 

「ねぇ、聞きたいんだけど、

 ガンスリンガーはどうして冒険者に

 なったの?」

「……。故郷の村を、ゴブリンによって

 滅ぼされた。生き残りは、俺だけだった」

やがて静かに語り始めるガンスリンガー。

 

ゴブリンから逃げ延び、戻った村で待っていた

現実。今正に師事しているゴブリンスレイヤー

に助けられ、復讐のために彼に弟子入りした事。

そして、武術の才が無い自分の弱さを

補い為に銃を開発した事を。

 

その残酷な過去に、令嬢騎士達は皆口を

つぐんだ。

しかし、彼は気にしていなかった。

「復讐の為に、冒険者になったはずの

 俺が、こんな物を受け取る日が来るとは、

 思っても居なかった」

「……。私、ガンスリンガーさんと出会って

 良かったって思ってます」

そんな中で、武闘家の彼女が口を開いた。

「あの日、私を助けてくれたのは

 紛れもなくあなたです。そして、私は

 今もこうして冒険者を続けている」

「そして、彼女の経験が私達を助けてくれた、

 と言う訳か」

武闘家に続く令嬢騎士。

 

「でも、それだけじゃないと思います。

 ゴブリンなんて。そう言う人が多い中でも、

 ガンスリンガーさんやゴブリンスレイヤー

 さんはゴブリンを倒し続けている。

 私は、その行いが決して無駄なんか

 じゃないし、楽でも無いと思います。

 それは、私自身良く分かっているつもりです」

「……。俺の、俺の戦いにも、意味は

 あったのか」

「はい。でも、あった、じゃないと思います。

 あるんです。これまでも、これからも」

 

「そうか」

頷きながら、彼は空いた手で腰元のホルスターを

撫でる。

「なら、これからも俺は戦うだろう。

 新しい武器を作り、ゴブリン共をぶっ殺す。

 ……少なくとも、俺にはこれくらいしか

 出来ないしな」

「じゃあ、私もお供します。あいつらが

 のさばってるのは、許せませんから」

「そうだな。もし私達に手伝える事が

 あったら声を掛けてくれ。いつでも協力するぞ」

武闘家の言葉に続いて、令嬢騎士が言葉を

紡ぐ。更にレーアレンジャー達3人も頷く。

 

「……ありがとう」

 

そんな彼女たちを前に、ガンスリンガーは

小さく、そう呟いたのだった。

 

 

そして夕方。街に戻ったガンスリンガーと武闘家は

ギルドの食堂で夕食を食べることにしたのだが……。

「あっ!お~い!」

丁度食事をしていた弓手が彼らに気づいて声を

かけた。

促されるまま、相席する二人。

「お二人とも今から食事ですか?」

「うん。さっきまで依頼で街の外に行ってたの。

 今はその帰り」

と、会話をしていた神官と武闘家。

 

そこへゴブリンスレイヤーがやってきたのだが……。

 

「ゴブリン退治の依頼が来た。報酬は一人金貨一袋。

 来るのか来ないのか好きにしろ」

挨拶も抜きにそんなことを言い出す

ゴブリンスレイヤー。

 

弓手と神官は、「この人は……(こいつは……)」と

言わんばかりにため息をつき、それを見て

苦笑している武闘家。話を黙って聞いていた

ガンスリンガー。蜥蜴僧侶と道士は彼の方を

向かずに食事をしながら聞いていた。

 

「もうっ!前にも言いましたけどっ、それは二択を

 迫っているだけで相談とは言いませんっ!」

「そうなのか?」

「ハァ。ホントどうしようも無いわね。

 で、あんた達はどうする?私は行くけど」

「そうですな。では拙僧もお供しましょう」

「んじゃ、儂も行くとするかのぉ」

弓手の言葉に、同行する旨を伝える僧侶、道士。

 

「ゴブリン相手なら、俺も行かない理由は

 ありません」

「ガンスリンガーさんが行くのなら私も」

更に参加する事を伝える

ガンスリンガーと武闘家。

そして一同の視線が神官の彼女に集まる。

「ふぅ。では、私も好きについて行きます」

一度息をついてから、参加する事を伝える神官。

 

これで7人の冒険が行われる事になった。

 

「あっ、それで依頼の場所とかってどこ

 なんですか?」

興味本位から問いかける武闘家。

「場所は、『水の都』だ」

それに答えるゴブリンスレイヤー。

 

次なる旅の舞台は、ここら一帯における

最大規模の都市、『水の都』。

 

果たして、そこで彼らを待っている物とは?

 

     第10話 END

 




次回からは、水の都編です。お楽しみに!
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