ゴブリンスレイヤー~ガンスリンガー~   作:ユウキ003

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すみません。間隔がメッチャ空いた挙げ句にちょっと少ないかもです。


第11話 地下の闇

~~前回までのあらすじ~~

ゴブリンロードとその軍隊を退けたゴブリン

スレイヤー達。その後、彼らは遺跡を

巡ったりとした各々の時間を過ごしていた。

ガンスリンガーも令嬢騎士達と協力して

クエストを完遂したり、人に感謝される事に

戸惑いと喜びを見いだしていた。

そんな中、ゴブリン討伐の依頼が

来ていた為、ゴブリンスレイヤーや

ガンスリンガー、神官に武闘家、妖精弓手達

の7人は水の都へと向かうのだった。

 

 

話しがあった翌日。7人は馬車で水の都

へと向かっていた。

その道中……。

 

「そうだ。実はお前に渡しておく物がある」

「はい?」

ガンスリンガーがそう言うと、武闘家の彼女

は首をかしげた。

そして彼が懐から取り出し、彼女に渡した

のは、とても小さな、銃のような、

しかし彼女が知っている物とは少し

かけ離れた銃だった。

 

「ガンスリンガーさん。これは?」

「それは『アパッチ・リボルバー』。

 俺が開発した、新しい武器だ。

 それには銃としての機能の他に、

 打撃時に拳を守り、且つ威力を増加

 させるナックルダスターとしての機能と、

 折りたたみ式の刃を展開する事で短剣

 のように使う事が出来る」

「これを、私に?」

と、手元のアパッチ・リボルバーを

見て、彼の方へ視線を上げながら呟く

武闘家。

 

「あぁ。お前は既に銃の扱いを知っている。

 その上で、近接戦で使える物をと思って

 設計、開発していた。……不要なら、

 返してくれて構わないが?」

「い、いえ!ありがとうございます!」

と、笑みを浮かべながら彼女はそれを、

アパッチ・リボルバーを受け取るの

だった。

 

そして、彼女がガンスリンガーから

アパッチのレクチャーを受けている

すぐ側では……。

 

「う~~ん。お水ちょうだ~~い」

二日酔いでダウンしている弓手の姿が

あった。

そんなときに、ゴブリンスレイヤーが

冗談を言った物だから……。

 

「オルクボルグが冗談言ったぁぁぁっ!?」

弓手の酔いは、叫びと共に吹っ飛んだ

のだった。

ちなみにすぐ側に居た武闘家は余りの

大音量に耳を押さえるのだった。

 

そして、7人は水の都へと到着した。

「水の都か、懐かしいな」

周囲を見回しながら呟くガンスリンガー。

「ガンスリンガーさん、水の都

 来たことあるんですか?」

「あぁ、銃の開発に必要なパーツなどの

 買い付けの為に何度かな」

と、武闘家と彼が話している隣では何やら

言い合っている弓手と道士。

 

「そ、それより依頼人さんへ会いに

 行きませんか?」

「あぁ、法の神殿に行けば会えるそうだ」

それを見かねた神官がそう言うと

ゴブリンスレイヤーは頷き、弓手の

案内でその、法の神殿へと向かう一行。

 

ちなみに、その道中で神官の彼女は

依頼人が至高神の大司教、『剣の乙女』

であると知り、驚くのだった。

 

そして、神殿にたどり着けば、神官の

彼女はドキドキと緊張していた。

しかし、その緊張など知ったことかと

言わんばかりにガツガツと音を立てながら

進んでいくゴブリンスレイヤー。

 

「あら。まぁ、どなた?」

 

そして、聖堂の中に立っていた、目元を

布で覆っていた一人の女性、『剣の乙女』が

振り返った。

 

その後も、彼らの来訪を歓迎する剣の

乙女と、仕事の事を話せと急かす

ゴブリンスレイヤー。そんな二人に

武闘家は苦笑していた。

 

そんな時。剣の乙女がゴブリンスレイヤー

に、親族が混沌に与したら殺せるか?と言う

質問の直後だった。

 

「そちらの方は、如何ですか?

 親族が混沌となっても、殺せますか?」

 

「……生憎、親族とは数年前に死別

 している。無用な心配だ」

ガンスリンガーには、何故そのような

事が聞かれるのか理解出来なかったが、

とりあえず彼はそう返した。

 

その後、剣の乙女から最近起こった事を

聞いている中で、ゴブリンスレイヤーが歌

になっている事を、本人が知った。

「師匠の活躍を考えれば、それも

 当然でしょう。師匠の等級は銀、

 歌になるのも無理はないと思います」

「そうか」

と、ガンスリンガーは師匠である彼が

歌になる事に、何ら疑問を抱いては

居なかった。

 

のだが……。

「あら?知らないの?あなたも歌に

 なってるのよ?」

「え?俺もか?」

と、疑問符を浮かべるガンスリンガー。

「そっ。遠くから獲物を射殺す不思議な

 弓の名手にしてオルクボルグの一番弟子、

 って感じでね。まぁ実際は銃を使ってた

 みたいだけど」

「俺が歌に、か」

 

と、ガンスリンガーは小さく呟くのだった。

 

その後、彼らは地下へと潜る事になった。

 

のだが、去り際。

「もし」

剣の乙女が、神官と武闘家を呼び止めた。

「え?私達ですか?」

と、首をかしげる武闘家。

「依頼人として不躾とは思いますが……。

 あなた達は恐ろしくはないのですか?」

 

その言葉の意味は、女としての地獄への

恐怖についてだろう。

 

二人の脳裏に、あの日の記憶が蘇る。

 

「私は、正直に言えば今も怖いです」

最初に、武闘家が口を開いた。

「ですが、今の私は戦えるし、頼もしい

 師匠や仲間が居ます。だから、

 戦えていますから」

「そうですか。そちらのあなたは?」

「私も、まだ怖いです。恐ろしいです。

 でも……」

神官は振り返り、ゴブリンスレイヤーの

背中を見つめ、笑みを漏らした。

 

「ふふっ、きっと大丈夫だと思います」

 

 

そして、7人の地下下水道における

ゴブリン狩りが始まった。

 

地下道を探索しながら進む7人。

その道中で冒険者の遺体を発見

しながら進む。そんな道の中で……。

「そう言えば、あんたまたそれ、

 持ってきたのね」

弓手がガンスリンガーの手にした物、

クロスボウを指さす。

「あぁ。火薬は湿ってしまうと使い物

 にならない。だから火薬を使わない

 クロスボウを持ってきた」

「へぇ、あんた弓はあんまり使わないと

思ってたけど」

「使わない、と言うより実戦では

 使えないから使わなかった、

 と言った方が適切だな。以前は

 ソロだったから、一々リロード

 していたのでは、ゴブリンに

 やられるからな。しかし今は

 前衛職の師匠達も居る」

 

などと話をしていると、雨が降り出した。

7人は脇道に入り、濡れないように

外套を纏い、休憩がてら雨が止むのを

待つことに。

そんな中で、ゴブリンスレイヤーが

この街の食事情を話す。

「知り合いって、誰だろう?」

と、小さく首をかしげる武闘家。

「あっ、それは私も気になります」

更に彼女に同意する神官。その時。

 

『『『ピクッ』』』

ゴブリンスレイヤーと、彼に一瞬

遅れてガンスリンガーと弓手が何かに気づいて

立ち上がる。

「用心しろ」

そう言うと、ゴブリンスレイヤー、

ガンスリンガーらが脇道から橋の方へと

出る。そして、正面の川を睨む7人。

 

「何か来るわ」

弓手の言葉に、ガンスリンガーは

地面に片膝を突き、左腕でクロスボウを

支えながら構える。

 

そして……。

 

現れたのは、ゴブリンの船だった。

 

「あれって!?」

「ゴブリンの、船!?」

驚く武闘家と弓手。

その時、船長のような格好のゴブリンが

叫ぶと、弓矢が一斉に飛んできた。

 

「≪聖壁≫!!」

咄嗟に神官がプロテクションを放ち、壁を作る。

「この数ではあまり長くは!」

そう叫ぶ神官。

 

「十分だ。……やれるか?」

「お任せを」

ゴブリンスレイヤーが側に居たガンスリンガー

に声を掛ける。

ガンスリンガーは、静かにクロスボウを構える。

 

「すぅ、ハァ……。すぅ……。フー」

息を整え、狙いを定めるガンスリンガー。

そして……。

「ッ!」

『ドッ!』

 

クロスボウから弓が放たれた。

 

『グサッ!!』

矢が、船長ゴブリンの額を貫く。

 

「まずは1。リーダー格撃破」

「やるじゃない!んじゃ私も!」

ガンスリンガーの攻撃に続くように、弓手も

射撃を開始する。

そして、二人がゴブリンを減らしている間に

ゴブリンスレイヤーや道士が作戦に

ついて話し合う。

 

「もうそろそろ、無理ですよ!」

そんな中で、聖壁の限界が近いのか神官が

叫ぶ。

そんな中で、ゴブリンスレイヤーは卵の

ようなケースを取り出す。

 

そして、周囲に作戦を伝えていく。

「お前達はここから援護を」

「了解です師匠」

「任せなさい!」

ガンスリンガーと弓手の二人がクロスボウ

と弓で、可能な限り弓を持ったゴブリンの

数を減らしていく。

 

そして……。

『ヒュッ!』

プロテクションが割れる寸前に、ゴブリン

スレイヤーが先ほどのケースを投げつけた。

ケースは一匹のゴブリンの頭に命中し、

『パキャッ』という軽い音と共に砕け散り、

中に収められていた『それ』が周囲に

吹き出した。次の瞬間。

 

『Giaaaaaaaa!?!?!?!』

ゴブリン達が悲鳴を上げながらのたうち

回り始めた。

 

「今のは?」

「すり潰した唐辛子と長虫だ」

蜥蜴僧侶に答えるゴブリンスレイヤー。

「な、何か聞いただけで目元が……」

そして、そのすぐ側で目元を擦る武闘家。

 

「目と口を閉じ息を止めろ。跳ぶぞ」

そう言うと、ゴブリンスレイヤーと

蜥蜴僧侶の二人が船の上に飛び移った。

 

ゴブリンスレイヤーは僧侶から貰った

竜牙刀で。僧侶はその長大な尻尾で、

バッタバッタとゴブリンを倒し、

ゴブリン共を船の外、川に落としていく。

更にそれを援護する弓手とガンスリンガー。

「こ、これじゃ私の出番、無いかも」

そして、そんな中で一人呟く武闘家。

 

と、その時一匹のゴブリンが、

プロテクションが解けた隙を狙い、

物陰から弓手を狙っていた。それに

気づいた武闘家が……。

 

「やらせないっての!」

近くにあった小石を掴んで投げた。

『バチッ!』

『Gia!?』

石が手に当たり、狙いが逸れた矢は

あらぬ方へと跳んでいく。

「ナイス!」

そして、カウンタースナイプでその

ゴブリンを射殺す弓手。

 

そして、その隙にプロテクションを

張り直す神官。

「あ、ありがとうございます。

 助かりました」

そして彼女は側に居た武闘家に

礼を述べた。

「あぁ気にしないで。って言うか

 私殆ど何もしてないし」

と、苦笑交じりに呟く武闘家。

「おい、あまり気を抜くなよ。油断

 しているとやられるぞ」

「あっ、はい!すみません!」

すると側に居たガンスリンガーに声を

掛けられ、慌てて気を引き締める武闘家。

 

そしてそうこうしている内に道士がトドメ

の一撃の準備を終えた。

「よぉしこっちも準備出来たわい!

 かみきり丸!鱗の!戻れ!」

道士が叫ぶと、二人は残党に背を向け

走る。

それを追おうとするゴブリンが居たが……。

「やらせん……!」

ガンスリンガーのクロスボウがそれを

撃ち抜いた。

 

「≪石弾(ストーンブラスト)≫!」

そして二人が離脱した次の瞬間、船の上で

形作られていた岩が落下し、船を

真っ二つに破壊した。

ゴブリン共は水中に投げ出され、鎧を

纏っていた個体はその重さから

泳ぐことも出来ず、溺死していく。

 

それを見ていたゴブリンスレイヤーと

蜥蜴僧侶の元にガンスリンガー達5人が

合流する。

「ふぅい。今の大盤振る舞いで精神力が 

 足らんわ」

「私もちょっと。……少し休みませんか?」

道士と神官の二人は、精神的疲労が

たまっているようだ。

「大丈夫?」

そんな二人を気遣う武闘家。

 

しかし……。

「いや、すぐに動くべきだ」

「ふぇ?」

ゴブリンスレイヤーの言葉に戸惑う

神官。

「あれは、言わば斥候でしょう。

 そして恐らく、すぐに本隊と

 も言うべき奴らが来る可能性も」

と、補足説明をするガンスリンガー。

「本隊って……。ガンスリンガーさんは

 どれくらいの規模だと思いますか?」

「……少なくとも、2隻以上は来ると

 考えている」

武闘家の問いかけに答えるガンスリンガー。

 

彼の言葉に、弓手や道士、僧侶や神官の

間に緊張感が走る。

「2隻でも少なく見積もった方だ。

 それ以上とも考えられる」

「であれば、拙僧は移動する事に賛成

 ですな。消耗した今、更に大多数の

 ゴブリンを相手取るには、避けるべき

 かと」

と、ガンスリンガーの言葉を聞き、

移動を提案する蜥蜴僧侶。

 

と、その時。弓手の耳が、人間には聞き

取れない音を捕らえた。

「……水の中から何か……」

そう呟く弓手に、ガンスリンガーが

素早くクロスボウを水面に向ける。

 

と、次の瞬間ゴブリンが一匹、水面に

顔を出した。

咄嗟に狙いを付けるガンスリンガーと

弓手。

しかし……。

 

ガンスリンガーには違和感があった。

ゴブリンは、殆ど彼らを見ずに、何かに

怯えているように喚いていた。

そこに引っかかるガンスリンガー。

『怯えている?だが、私達を見ていない。

 では、『何』に?』

そう考えながら、引き金に指をかける

ガンスリンガー。

 

と、次の瞬間。

『ザバァッ!』

水を割って、その『正体』が現れた。

それは……。

 

「沼竜(アリゲイタ)!」

巨大なワニのような怪物、沼竜だった。

沼竜はゴブリンをその大きな顎で食いちぎった。

「走れ!」

それを見たガンスリンガーが叫ぶと、皆が

すぐさま駆け出した。

「ガンスリンガーさん!?何ですかあれ!?」

戸惑いながらも叫ぶ武闘家。

「アレは沼竜!俺も実物を見るのは

 初めてだ!それより、出来るだけ水辺

 から離れろ!奴の顎はホブすら食いちぎる

 程だと聞いた!俺達人間など、一撃で

 食い殺されるぞ!」

駆け出す7人。

 

疲れた神官をゴブリンスレイヤーが。

道士を蜥蜴僧侶が抱きかかえ走る。

その時。

「あ、あの!何か前からも聞こえませんか!?」

一番体力が有り余っていて、先頭を

走っていた武闘家が叫んだ。

「これって……!櫂の音よ!それも複数!」

音を聞き分け叫ぶ弓手。

「やはりあの一隻は斥候か!ここは一旦、

 脇道へ逃れるべきか……」

「問題無い。俺に策がある」

一度は引く事を考えるガンスリンガーに

そう語るゴブリンスレイヤー。

そして、彼は弓手の方へと視線を向けた。

 

「お前の手でいく」

「え?私の?」

と、いきなりの事に疑問符を浮かべる弓手。

 

 

一方、ゴブリンの船団は確実に7人の方へと

接近していた。

その時、船に乗っていたゴブリンシャーマンが

遠くに見える光に気づいて、ニタァと笑みを

浮かべる。

暗いこの場所での光は、冒険者の存在を意味

すると、シャーマンは学習していたからだ。

ゴブリン共はそこに獲物が待っていると知り

薄汚い笑みを浮かべていた。

 

そして、光に近づいた、その時。

シャーマンは気づいた。光は、水面にあった。

そして、その理由を考え始めた時には、

既に遅かった。

 

『ザバァァァァァッ!!!』

突如として水面を割り、沼竜が出現。

獲物への妄想でも膨らませていたのか、

漕ぎ手のゴブリンは突然の事に訳も

分からず、頭を食いちぎられた。

冒険者の物だと思って居た光に近づいたら

沼竜が現れたのだ。

ゴブリン達は混乱に包まれていた。

 

 

そして、それを離れた所から見ている者達、

ガンスリンガー達7人が居た。

 

「……作戦は成功のようです。沼竜は

 ゴブリン船団と戦闘中。物量差は

 圧倒的ですが、沼竜の出現に驚いて

 いるようです。……どうやら、こちら

 を気にしている余裕は奴らにはない

 ようです」

単眼鏡で様子を確認していたガンスリンガー

が状況を皆に伝える。

 

「つまり、ドワーフじゃなくてゴブリンを

 食わせた、って訳ね。でもあれだけで

 よくゴブリンを騙せたわね?」

「奴らは、暗闇の冒険者=光を放つ、

 とでも学習しているのだろう。だから

 ≪聖光≫の光を冒険者の光と勘違い

 したのだろう」

と、説明するガンスリンガー。

 

しかし……。

「……だが、これは少々不可解だな」

「え?何が不可解なんですか?」

ガンスリンガーの呟きに武闘家が首を

かしげる。

「そうだな。ゴブリン共はバカだが

 間抜けじゃない。船の扱いを教えれば

 すぐに学習し覚える。作り方も同様だ」

「そう、ですか。でもそれのどこが

 不可解なんですか?船を作るのなら、

 シャーマンが思いついた、とか」

ゴブリンスレイヤーの言葉に、神官は

首をかしげる。

 

「それもあり得ない話では無いが、ならば

 何故奴らは沼竜の存在を知らなかった?」

「え?」

ガンスリンガーの言葉に、神官は更に首を

かしげる。

「沼竜が居る以上、船を使う行為はとても

 リスキーだ。シャーマンが居るのなら、

 そんな危険な賭けになってまで船に固執は

 しないと思うが?」

「つまり、翠玉殿と小鬼殺し殿は、何が

 言いたいのですかな?」

蜥蜴僧侶の言葉に、ゴブリンスレイヤーが

答えた。

 

「このゴブリンハザードは、人為的な物だ」

 

「え!?じ、人為的って!?じ、じゃあ、

 誰かがゴブリン達に船の事を教えた、

 って事ですか!?」

彼の言葉に驚く武闘家。

「あぁ。奴らは略奪、つまり奪うのが基本だ。

 自分達で物を作ろうとはしない。

 それが便利だと知るまではな」

そう説明するガンスリンガー。

「つまり、どっかの誰かさんが、小鬼ばらに

 船の事を教えた、っちゅう事かの?」

「えぇ。……そして、そうなってくると。

 今回の依頼、中々に厄介な物かも

 しれません」

そして彼は更に、道士の言葉にも頷く。

 

「師匠、どうされますか?個人的には、

 一旦戻った方が良いかと思いますが?」

「……。そうだな。奴らに入れ知恵した者

 がいるとなると、何が起るか分からん。

 一旦退くぞ」

 

ガンスリンガーの提案に頷くゴブリンスレイヤー。

それによって、彼等は一旦撤退する事になった

のだった。

 

その道中。

「それにしても、一体誰が船をゴブリンに……?」

戸惑いながらも自問自答する武闘家。

「それは俺にも分からない」

そんな彼の問いかけにガンスリンガーが

答えた。

「だが、分かっている事がいくつかある。

 あのゴブリン達は、何者かによって

 道具の扱い方か何かを教えられている」

「えっと、つまり?」

「……奴らは、これまで戦ってきた奴らより

 もヤバい。そう言う事だ。ゴブリンの

 戦い方は、こうした暗く夜目の利く奴ら

 に有利な環境で、集団で襲いかかる。

 それが基本的な戦略であり、そこに

 更に挟撃や罠と言った搦め手で来る」

ガンスリンガーの言葉に、武闘家は

仲間を失ったあの洞窟での戦いを思い出す。

 

「つまり、翠玉殿は今回の小鬼退治、

 一筋縄ではいかないとお考えなの

 ですかな?」

そこに、前を歩いていた蜥蜴僧侶が口を開く。

「あぁ。奴らが船を使っていた事と言い、

 誰かが奴らに入れ知恵しているかも 

 しれない。……そう思えば、様々な

 不確定要素が付きまとう。

 ……予想外の攻撃、予想外の敵ほど、

 恐ろしい物は無い。予想し備えて

 いなければ、対応のしようがないの

 だからな」

「……確かにのぉ。そいつは恐ろしい

 事だの」

道士も静かに頷く。

 

「……。何も、起こらなければ良いけど……」

そう、武闘家は静かに呟くのだった。

 

しかし、その願いは簡単に打ち砕かれてしまう

事を、彼女は知らない。

 

     第11話 END

 




これからも地道にやっていくので、何卒よろしくお願いします。

感想や評価、お待ちしています。

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