ゴブリンスレイヤー~ガンスリンガー~   作:ユウキ003

3 / 11
今回は殆どオリジナルです。楽しんでいただければ幸いです。


第3話 ゴブリン討伐

~~前回までのあらすじ~~

ゴブリンスレイヤー、ガンスリンガーに助けられた

武闘家と神官の二人。神官の彼女は冒険者を続ける事に

したが、武闘家の彼女は仲間の死や恐怖からそれを

ためらってしまう。しかし、ガンスリンガーと再会した

彼女は彼の家で、彼からアドバイスを貰った後、

恐怖を乗りこなすためにガンスリンガーと共にゴブリン

退治の依頼を受けるのだった。

 

街を出て、街道を歩くガンスリンガーと武闘家。

今、ガンスリンガーは右腿にドラグーン。背中に

スリングベルトでM1866、レバーアクションライフルを

装備していた。

「あの、ガンスリンガーさん。今回の依頼って

 どう思いますか?」

「どう、とは?」

歩いている時、武闘家の彼女が声を掛け逆に

問い返すガンスリンガー。

「ゴブリンの規模とかですよ。その、私達が 

 相手にしたのは、20匹近く居ましたから」

と、思い出したくも無い事を思い出しながらも、

苦々しそうに話す武闘家。

「そうか。……被害はまだ農作物のみだ。

 余裕のある巣なら、それだけではなく女も

 狙う。襲撃は依頼が上がった時点で4回。

が、女の略奪が無いと見ると、『渡り』の可能性が

高いな」

「渡り、ですか?」

「あぁ。特定の巣穴を持たないゴブリンの事だ。

 冒険者に巣を壊滅させられた生き残りかも

 しれん。しかし、この場合逆に厄介かも

 しれんな」

「どうしてですか?巣を無くして、食べ物を

 優先してるって事は、余裕が無いって事じゃ……」

「確かにそうだろう。しかし、ゴブリンは決して

 恨みを忘れず、逆に成長する。それが所謂

 上位種や巣のリーダーになる。更に、余裕が

 無いと言う事は奴らも承知の上。そうなると

 賭けに出て一気に村を襲う可能性もある。

 奴らは単純だ。故に、食料が無くなれば

 怒り、大胆な行動に出る可能性もある。

 そうなれば、農作物どころの被害では

 済まなくなる」

その言葉に、武闘家はゴクリとつばを飲んだ。

「とにかく、まずは依頼のあった村まで急ぐぞ。

 できるだけ現地で情報を収集したい」

「は、はいっ!」

 

 

それから歩く事数刻。

朝街を出発した二人は、昼過ぎに依頼の村へと

到着した。

二人が依頼を受けた冒険者だと話をすると、二人は

すぐに村の村長をしている男性老人の元へと通された。

「まさか、こんなに早く冒険者が来て下さるとは。 

 それも、翠玉の中堅の方が――」

「その辺の事は良い。それより、ゴブリンに関する

 詳細な情報が欲しい」

と、そう言って村長の言葉を遮るガンスリンガー。

「左様で。では、おい」

「は、はい」

村長が外に向かって呼びかけると、外から若い

男性達が数人入ってきた。

「村で夜な夜な警備をしている衆です。何かの

 お役に立てるかもしれません」

「そうか。では早速だが、お前達が見たと言う 

 ゴブリンについて情報が欲しい。

 何匹くらいだった?」

「数は、4か5匹でした」

「そいつらは痩せていたか?」

「痩せていた、と思います」

「武器は持っていたか?剣や棍棒、槍などは?」

「えっと、2、3匹は棍棒とか剣みたいなのを

 持っていたと思います。でも、全部が持っては

 居なかったと思います」

「ゴブリンは大体、村の東西南北、どの辺に

 現れる?」

「大体、北の畑です。後は南の畑に1回だけ」

と、どんどんと質問攻めにしていくガンスリンガーに、

武闘家は驚き唯その様子を見守っているのだった。

 

そして、話を聞いた後、二人は用意して貰った

村の空き家屋へと入っていた。

簡素な椅子に座り、テーブルの上に辺りの地図を

広げ、小石を置いていくガンスリンガー。

「目撃地点は、ここと、ここ。村人の話では

 ここら辺に洞窟が一つ、か」

目撃地点と、村人の話で洞窟があるとされている

地点に小石を置く。

そして、それを見ながら顎に手を当て彼は考える。

「あの」

そんな彼に声を掛ける武闘家。

「どうした?」

「あ、えっと。差し出がましいようですけど、悩む事

 ですか?多分ゴブリンは北の洞窟に居るんじゃ?

 実際、北の方が襲われてる訳ですし」

「……確かにな。だが、だからこそ怪しい」

「怪しい?」

「あぁ。……この村の畑は、南側が全体の5割。北が

 2割。西が3割の面積だ。故に、北側と西側の方が警備薄い。

 だから北側を襲う事は分かる。だが、なぜ奴らは

 わざわざ警備の厳重な南を襲撃した?北側に巣が

 あるのなら、わざわざ迂回して南を襲撃する

 理由は何だ?見つかる危険を冒してまで南へ行き

 理由は何だ?なぜわざわざ巣から遠い方を襲撃する?

 南を襲う以前に、西側にだって畑があるのに、だ」

「た、確かに」

地図を指さしながら語るガンスリンガーの言葉に

頷く彼女。

「師匠の言葉だが、常に物事に疑問を持て、だそうだ。

 物事を偶々や感で片付けると、それが死に直結する可能性

 もある。……ともかく、奴らが南を襲撃した理由が

 気になる」

「……。理由」

やがて、静かに彼女もその理由を考え始める。そして……。

「……お腹が空いていたから?」

「ん?何だ?」

と、彼女のつぶやきを問うガンスリンガー。

「あ、いえ。ふと思ったんですけど、もし南側に

 巣があって、でも警備が厳重だったからわざわざ

 遠回りしてゴブリン達は北側を襲った。でも、

 その日はとてもお腹が空いていたから、我慢出来なくて

近くにある南の畑を襲ったんじゃ、って思ったんですけど、 

 そんなわけ……」

「お前、案外鋭いんだな」

「え?」

言った事に自信が持てないのか、次第に俯く武闘家。

しかしガンスリンガーから帰ってきたのは肯定と

褒め言葉だった。

 

「確かにその線も考えられる。北を襲ったのは、リスクを

 避けるため。しかしその日は腹が減っていたから、

 近くても警備が厳重で避けていた南を襲った。

 確かにそれも考えられる。……お前の想像力は

 間違っていない。それが師匠の言っていた武器だ。

 無いと思う事を有ると思え。そしてそれを他人と

 共有しろ。時に突拍子の無い発言が、打開策に

 なる事もある」

「は、はい」

彼の言葉に、半ば驚きながら返事を返す武闘家。

「よし、それじゃお前は休め。明日の朝一番で

 南側の探索をする。それで何も無いようなら、

 午後に北側を、だ」

そう言うと、ガンスリンガーはM1866を背負った。

「あ、あの。どこに?」

「奴らにとって昼は夜、夜は昼。言わば昼夜逆転だ。

 俺たちにとっての朝が奴らの日暮れ。俺たちに

 とっての日暮れが奴らの朝だ。奴らの襲撃が

 あるとすれば夜。念のため村人の警戒に

 加わってくる」

「そ、それだったら私も……」

「止めておけ。馴れない夜の警備は、それ自体が

 命取りになる事さえある。良いから、今は

 休んでおけ」

「は、はい」

と、先輩である彼の言葉に従い、結局彼女は

部屋にあったベッドで眠りについたのだった。

 

 

そして、翌朝。幸いゴブリンの襲撃は無く、村は平和な

朝を迎えていた。

「ん、んん」

差し込む朝の光で、目を覚ます武闘家。

彼女はそのまま上半身を起こし、腕を上に伸ばす。

と、その時。

「起きたか?」

彼女が起きた事に気づいたのか、彼女の方に背を向けた

状態で作業していたガンスリンガーが振り返った。

「あ、はい!」

そして彼に気づいて武闘家の彼女は姿勢を正しながら

頷く。

「よし。朝食を済ませたらすぐに南側の探索に

 出るぞ」

「はいっ!」

その言葉に、彼女は決意の籠もった声で返事を返す。

 

 

そして、村の人たちに用意して貰った軽めの軽食を

食べた二人は村を出た。

南側の探索に出て数分後。

「そうだ。……念のため、これを渡しておく」

と言うと、ガンスリンガーがポーチの中から小さい何かを

取り出して後ろを歩いていた武闘家に差し出した。

「これは?」

それを受け取りながら問い返す武闘家。渡されたそれは、

はっきり言って小さい部類のピストルと比べても小さかった。

「それは『ダブルバレルデリンジャー』。隠し持つ、と言う

 目的のために製作した銃だ。武装解除に見せかけて、咄嗟に

 取り出して撃つための物だ。奇襲や護身用に開発していた

 物だ。……使う時は、握る場所、グリップの上に反り返った

 金属パーツがあるだろう?」

「これ、ですか?」

左手でそのパーツを指さす武闘家。

「あぁ。それを撃鉄という。使う時はまずその撃鉄を

 親指で起こした後、銃身の下の引き金を引け。

 装弾数は2発だから、撃てるのは2回だけだ」

「は、はぁ。でも、何でこれを私に?」

「万が一、と言うのを想定してだ。一度それをホブに

 使った事があるが、通用した。さっき言ったとおり、

 奇襲なんかで使えば役に立つ。……とにかく、

 持っておけ。有って困るような物でも……」

 

と、歩いていた時、不意にガンスリンガーが言葉を

途切れさせて近くの地面にしゃがみ込んだ。

「ど、どうしたんですか?」

「……見ろ」

怪訝に思いながら近づき後ろからのぞき込む武闘家に、

そう言って彼は地面を指し示した。

そこには、いくつもの窪み、足跡があった。

 

「これって、足跡?……ッ!?まさか!」

「あぁ、ゴブリンの物だ」

彼がその足跡を見ろ、と言った意味を理解する武闘家。

「……あっちへ続いているな。警戒しつつ、付いてこい」

「は、はいっ」

足跡の向かう先を確認したガンスリンガーは、M1866を

構えながら静かに歩き出し、デリンジャーを

ポケットにしまった武闘家もそれに続いた。

 

気配を最小限に抑えるため、静かに森の中を進む二人。

やがて、二人の視界に森の開けている場所が写った。

ガンスリンガーは、振り返ってその方向を指さす。

それを見てから頷き返す武闘家。それを確認した

ガンスリンガーが静かに歩き出し、武闘家の彼女も

それに続いた。

 

森の途切れる一歩手前の木の陰に屈み込む二人。

「もしかして、ここが?」

「分からん。が、足跡はあそこまで続いている。

 ……俺が先頭で中に入る。そして、ゴブリンが

 居た場合、銃を使うと銃声が響いて他の

 奴らも起きてくるから、まず真っ先に戦闘に

 なるだろう。俺が外へ逃げろと言ったら、迷わず

 逃げろ。狭い洞窟内より、外の方がお前も

 戦いやすいだろう?それと、たいまつを用意

 しておけ。あれは近接戦闘でも武器になる」

「わ、わかりました。あ、でも、ガンスリンガー

 さんは……」

「俺は両手でM1866を持っているから無理だ。

 ランタンがあるから問題無い。それに、近接戦の時の

 為に左腕にガントレットをしている。だから

 心配要らん」

たいまつとランタンを用意する二人。

そして……。

「……行くぞ」

「はいっ!」

ガンスリンガーの声に従い、彼女も彼に続いて

茂みを出て、二人は洞窟へと入っていった。 

 

 

薄暗い洞窟を進んでいくガンスリンガーと武闘家。

そんな中で、二人は無口だった。と言うより、

ガンスリンガーが何も言わない事と、その気迫混じりの

集中力に武闘家が何も言えなくなったのだ。

そのまま洞窟の中を進んでいく二人。

「あ、あの」

しかし、敵地にあって不安に駆られていたのか、

声を上げる武闘家。

「どうした?」

「えっと、その、大丈夫、ですよね?まさか後ろから

 奇襲されたり、とかは」

この前の事を思い出してか、不安そうな表情で呟く

武闘家。

「ここに来るまで、壁には細心の注意を払ってきた。

 横穴も無かったし、壁を偽装しているなども無かった。

 ……警戒はするが、あの時の巣のようにホブや

シャーマンが居る可能性は低いだろう。だが、

気は抜くなよ。行くぞ」

「は、はい」

そうやりとりをした二人は、更に奥へと進んでいく。

 

やがて……。

「……」

無言で足を止めるガンスリンガー。それに気づいて

武闘家も足を止めた。

と、その時。

   『ジャギッ!』

   『ガァァァンッ!』

突如としてガンスリンガーがM1866を発砲。洞窟内に

銃声が響いた。

それに驚く女武闘家。だが……。

   『Giaaaaaaaaa!』

前方の岩陰から、胴体を撃ち抜かれたゴブリンが

悲鳴を上げながら転がり出てきた。

「……一発では足りないか」

   『ガシャンッ!』

   『ガァァァンッ!』

呟きながら、レバーを下方へスイングさせて空薬莢を

排出し、次弾を装填。更に発射した。

放たれた弾丸がゴブリンの頭を撃ち抜く。

『やはり66の弾丸ではまだ威力不足か。改良の余地有り、

 だが今は……』

   『ガシャンッ』

一瞬、そんな事を考えながらレバーを動かす

ガンスリンガー。

「今の音で奴らが目を覚ましたはずだ。来るぞ。

 構えろ。それと、弾切れになった場合お前に

 前衛を任せるが、頼めるか?」

「は、はいっ!任せて下さい!」

頷きながら、彼女はたいまつを近くの壁に突き刺す。

「……来たぞ」

 

   『……ドドドドッ』

奥の方から次第に近づいてくる足音。そして……。

   『『『『『Giaaaaaaaaaa!!!』』』』』

獣のような叫びを上げながらゴブリンの群れが現れた。

次の瞬間。

   『ドウッ!ガシャンッ!ドウッ!ガシャンッ!』

M1866を連射するガンスリンガー。射撃の度に

ゴブリンどもが倒れるが、どうやら向こうの数の方が

有利なようだ。

銃撃を免れた一匹が接近してきて、短刀を手に飛びかかってきた。

だが……。

   『スッ!』

バックステップで回避したガンスリンガー。

   『ガッ!』

   『Giii!?』

避けられたゴブリンの刃が地面に当たり、甲高い音を

立てる。次の瞬間。

「でやぁぁぁぁぁぁっ!!!」

   『ドガッ!』

前に出た女武闘家の蹴りがゴブリンの腹部を蹴り上げる。

   『ボキボキッ!』

それにより、嫌な音が響く。どうやら肋骨が折れたようだ。

吹っ飛ばされたゴブリンは壁に打ち付けられ、動かなくなった。

「や、やったっ!」

そのことに、一瞬舞い上がってしまう武闘家。と、その時。

   『Giaaaaaaa!!』

「ッ!!」

別の個体が彼女に襲いかかってきた。隙をつかれ、

動けない武闘家。

しかし今度は……。

   『ドウッ!』

彼女の後ろからガンスリンガーが銃弾を放つ。

   『ボッ!』

   『ドシャッ!』

放たれた弾丸がゴブリンの喉元を撃ち抜き、

絶命したゴブリンの死体が彼女の足下に落ちる。

「油断するな!ここは敵地だぞ!」

「ッ!は、はいっ!」

ガンスリンガーの声に頷きながら気合いを

入れ直す武闘家。

   『『『『『Giaaaaaaaaa!』』』』』

そして、彼女は前を向くが、奥から更に数体の

ゴブリンが向かってくる。

「ッ!!」

   『カタカタッ』

それを見た彼女が息をのみ、体が震え出す。

と、その時。

「忘れるなっ!恐怖を乗りこなせ!震えていても

 体を動かせ!でなければそれこそ死ぬぞ!

 生きるために戦えっ!」

「ッ!!!」

その言葉に、震えが止まる武闘家。

   『Giaaaaaaa!』

そこに、一匹のゴブリンが飛びかかってくるが……。

「はぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」

   『ドゴォッ!!』

ゴブリンが手にした棍棒が振り下ろされるよりも

速く、彼女の拳から繰り出されたアッパーがゴブリンの

顎を砕き、そのまま吹き飛ばす。

   『ドガァァンッ!』

更に吹き飛んだ先に居た群れが巻き込まれて倒れ、

群れの進行速度が止まる。

   『ドウッガシャッドウッガシャッ!』

それを見たガンスリンガーがM1866を連射し、動けない

ゴブリンの頭や胴体を撃ち抜いていく。

一方で……。

 

「ハァ、ハァ、ハァッ」

恐怖を乗り越え、一撃を見舞った自らの拳を見つめる

武闘家の彼女。その手には、ゴブリンを殴った時に

付着した血が付いていた。そして………。

「ッ!!!」

   『ギュッ!』

その血に汚れた拳を握りしめる武闘家。

『そうだ。私は、死んだお父さんが残して

 くれたこの力と技で、誰かを守るために!!』

そして、彼女は自分が冒険者になった理由を

改めて再確認する。

『そのために、私は……』

 

   『Giaaaaa!』

そこに、生き残っていた一匹が迫ってくる。

 

だが、彼女はもう震えない。ギンッとゴブリンを

睨み付け、腕を引き絞る。石のように、己が拳を

固め、敵を、ゴブリンを見据える。

そして……。

「正拳ッ!突きィィィィィィッ!!」

   『ドゴォォォォォォッ!!!』

繰り出された一撃が、ゴブリンの胴体を捉え、

裂帛音が洞窟内部に響き渡る。

   『ゴパッ!!』

 

重いその一撃を食らったゴブリンは、血を吐き出しながら

吹っ飛び、洞窟の壁に叩き付けられると動かなくなった。

「ハァ!ハァ!ハァ!」

正拳突きを放った体勢で、荒い呼吸を繰り返す武闘家。

そして、彼女がその構えを解いた時、周囲に動く

ゴブリンが居ない事を理解した。

「あ。……全部、やっつけた、んですか?」

まだ荒い呼吸を繰り返しながら周囲を見回す武闘家。

「そのようだ。だが、これから全部を確認して

 死んでいるか確かめるぞ。死んだふりも奴らの

 常套手段だ。……これが良いだろう」

そう言って、ガンスリンガーは落ちていたゴブリンの

粗末な槍を拾うと彼女に渡した。

「とにかく、それで奴らを突き刺せ。それが

 終わったら奥へ進むぞ」

「はいっ」

勝利に沸き立ちそうになる表情を抑えながら、彼女は

槍でゴブリンの死体を突き刺していく。

ガンスリンガーもM1866を肩に掛け、同じように

槍でゴブリンどもの死体を突き刺し、死んでいるかを

確認していく。

 

数分後。

「……合計で、17匹、か。渡りにしては多かった

 方だと思うが……」

「まだ、奥に居ると思いますか?」

「分からん。念のため確認するぞ。奴らは、

 皆殺しだ」

「はいっ」

再び気を引き締めた二人は、洞窟の奥へと

潜っていき、そこで突き当たりの部屋を見つけた。

 

ドラグーン片手に部屋の奥で屈み込むガンスリンガーと、

周囲の壁を調べる武闘家。

「どうやら、ここで行き止まりのようですね」

「そうだな。隠し扉の類いも無い。……野菜屑も

 落ちている事から見て、ここが一番奥と見て

 間違い無い、か」

そして、当たりを確認すると彼は立ち上がった。

「おそらくここに居たゴブリンは掃討出来たと

 見て良いだろう。念のため警戒しながら外へ出る」

「はいっ」

彼の声に武闘家が頷くと、外に向かう二人。

途中で死骸の数を再度確認して、変化が無い事を

確かめた二人は、そのまま外に出て村へと戻っていった。

 

その後、村に戻った二人はゴブリンを殲滅した事を

村長達に報告。その後、二人はすぐに街へと戻り、

ギルドで事の次第を報告したのだった。

 

「受け取れ、報酬だ」

そして、二人は報酬の金を均等に分けてそれぞれの

物になった。のだが……。

「あの、良いんですか?私、殆どお役には……」

「気にするな。元々お前の恐怖を乗りこなす目的も

 あって今回の依頼を受けた。それに、金には

 困っていない。この方が公平だろう?……それで、

 お前は恐怖を克服できたのか?」

「……」

彼の問いに、彼女は徐に右手を見つめ、それを

ギュッと握りしめた。

そして、再びガンスリンガーを真っ正面から

見つめる武闘家。彼女は……。

 

「私、冒険者を続けようと思います。

 この力で誰かを助けたい。あんな絶望を

 味わおうとしている誰かを、助けたいから」

「そうか。……ではな」

「あ!待って下さい!」

そう言うと、離れようとするガンスリンガーを

掴んで止める武闘家。

「まだ何か?」

「あ、えっと、その……」

そして、武闘家の彼女はそれが恥ずかしかったのか、

少しばかり顔を赤くするが、深呼吸して

心を落ち着けてからまっすぐに彼を見つめる。

「私と、パーティーを組んで下さい!

 お願いします!」

そう叫びながら、彼女は頭を下げる。

 

そして、その言葉に、彼は……。

「……。まぁ、良いだろう」

「え?!」

予想外の答えに、頭を上げる武闘家。

「い、いい、良いんですか!?」

「あぁ。こちらには断る理由が無いからな。

 とはいえ、俺は殆どゴブリンを狩る事が多い。

 実入りは少ないし名声など入っても来ない。

 それでも、良いんだな?」

「はいっ!」

まさかのOKに、彼女は笑みを浮かべながら

頷いた。

 

と、その時。

「あ、そうだ。あの、これ」

と言って彼女はポケットの中からダブルバレルデリンジャー

を取り出した。

「お返しします」

そう言って彼女はそれを差し出すが……。

「いや、良い。お前にやる」

「え?」

「護身用にあって困る物でも無い。

 ……パーティー結成の記念、と言う物でも

 無いが、まぁとにかくお前が持っていろ」

「あ、ありがとうございます」

戸惑いながらも、彼女は自分の物になったそれを、

デリンジャーを見つめるのだった。

 

その後、二人は別れ、ガンスリンガーは自宅へ。

武闘家は長期契約している安宿に戻った。

そして夜。薄着でベッドに眠る彼女は、ダブルバレル

デリンジャーを見つめながら、静かに笑みを浮かべ

眠りにつくのだった。

 

そして、ある日のこと。

「あ」

「え?」

「ん?」

「あぁ、師匠」

ギルドを訪れた武闘家とガンスリンガーだったが、

神官とゴブリンスレイヤーを見つけた武闘家が

つぶやき、神官、ゴブリンスレイヤーの順に

疑問符を漏らした。

 

「あ。あなたは……」

どうやら、あの後会っていなかったのか、武闘家を

前にして驚いている神官の彼女。

「あの後、以来だね。……あのね、私も冒険者を

 続ける事にしたんだ。あなたは、ゴブリンスレイヤーさんと

 一緒に?」

「はい。今ではゴブリンスレイヤーさんと一緒に。

 そういうそちらも?ですか」

「うん。今はガンスリンガーさんとパーティーを組んで

 活動しているんだ。……お互い、色々大変だろうけど……」

そう言って彼女は右手を差し出す。

「もしかしたらまた一緒に戦う事があるかもしれないから。

 その時はよろしくね」

「はいっ。こちらこそ」

差し出された手と言葉に、神官の彼女は嫌な顔一つせずに

笑みを浮かべながら握手を返す。

 

ゴブリンスレイヤーと神官。

ガンスリンガーと武闘家。

 

ここに、ちょっと変わった二つのパーティーが

誕生したのだった。

 

   第3話 END

 




次回は本編に戻って山の遺跡での戦いです。
あの貴族令嬢のパーティー4人、助ける方向で
考えていますが、どうなるかは分かりません。

感想や評価、お待ちしています!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。