ゴブリンスレイヤー~ガンスリンガー~   作:ユウキ003

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今回は短めです。バトルシーンはありません。
次回から遺跡でのお話です。


第5話 依頼

~~前回までのあらすじ~~

ガンスリンガーとパーティーを組み戦い

始めた武闘家。そんな彼女はある日、ゴブリン

退治に出発した一党をかつての自分の一党と

重ねる。令嬢騎士の一党を心配した彼女は

ガンスリンガーと共に彼女たちの後を追う。

そして二人はあわやの所の4人を無事救出。

礼として食事会に招かれる中、令嬢騎士の

提案で銃を売り出す事になった。

 

 

銃の販売に関する話し合いの為に貴族宅を

訪れているガンスリンガーと武闘家。

「それで、細かい打ち合わせをしたいのだが

 そちらから何か意見はあるかな?」

と話題を切り出す令嬢騎士。今の彼女は

先日の食事会と同じでドレスを着ていた。

「はい。出来れば販売の方法について

 いくつか」

「何かな?」

「まず第1に。銃に関してですが、これは

 完成品を輸送するのでは無く、パーツ

 単位で都市へと運んで下さい。そして

 パーツの組み立ては必ず都市で行う事を

 約束して欲しいのです」

「ふむ。しかしなぜだ?組み上がった物なら

 都市に運んですぐに売れるだろう?」

「それもありますが、万が一にも銃がゴブリン

 どもの手に渡ると危険です。奴らに銃を

 作り出す知識はありませんが、使う知性は

 あります。完成品の銃、火薬、弾丸を

 まとめて輸送した場合、奴らに襲われ

 奪われる可能性もあります。しかし

 パーツ単位なら、例え奪われたとしても

 奴らにそれを組み立てる事は出来ません」

「なるほど。確かにそれは正論だ」

「出来れば搬送ルートもランダムに変更した

 上で、パーツ、火薬、弾丸を分けて輸送し、

 都市部で組み立てを行い販売します。コストは

 掛かりますが、リスクを考えればこちらの方が

 良いと思います」

「そうだな。仮にも銃が奴らの手に渡る事を考えれば

妥当な判断だろう。分かった。こちらに異存は無い」

「第2に、俺から提供できる銃は幾ばくか旧式の

 物になります」

「旧式、と言うと?」

「皆さんを救出した時に使ったこの……」

そう言いながら、彼は側に立てかけていた

M1866を取り、レバーアクションを操作する。

もちろん、今は弾を装填していない。

「M1866の連発システム。俺はレバーアクションと

 呼んでいますが、いきなりこれを俺以外に再現

 させようとしても不可能でしょう」

そう言ってM1866を机の上に置くガンスリンガー。

「俺が最初期に開発した銃は、金属製の筒である

 銃身。それを保持するための木製パーツ。

 更に火薬に点火するシステムに大別します。

 中でも複雑といえるのが、点火機構です」

「点火機構?」

「まず俺が開発したのは、穴の空いた筒です。

 そこに銃口から火薬、弾丸となる鉄球を押し込み、

 上部に空いた穴から火種を押し込む『タッチホール式』。

 バネの力で火を点けた縄を火皿に当て、着火。

 火皿から銃身内部に火が伝わり、更に着火する事で 

 撃つ『マッチロック式』。ゼンマイの力で回転する

鉄製の車輪を利用し着火する『ホイールロック式』。

火打ち石を使った『フリントロック式』。

雷管を使った『パーカッション式』。こんな風に

色々別れています」

と、あらかた説明した物の……。

「ん?えっと?ん?」

令嬢の後ろでレンジャーが頭を抱え、他の二人も

大量のハテナマークを浮かべていた。

ちなみに、武闘家も頭がショート寸前なのか

微妙に頭から煙りが出ていた。

「そ、それでガンスリンガー殿。まずはどの辺り

 から試作を始めれば良いだろうか?」

どうやら令嬢騎士も余り分かっていないのか彼女も

首をかしげつつ問う。

「タッチホール式、マッチロック式は流石に

 古すぎるだろうから除外して良いでしょう。

 その事も考えて、試作品のホイールロック式と

 フリントロック式のピストル、マスケット銃を

 2丁ずつ。合計で8丁持ってきました」

そう言うと、彼は側に置いてある木箱を指さす。

「中に火薬や弾丸の製法や使用する際の注意点、銃

 その物の使用法や特性を書いた書類を入れておきました。

 何なら今実演してもいいですが……」

「いや、それには及ばないよ。君たちも

 色々と忙しいだろうし。わざわざ来て頂いて

 ありがとう」

「お礼を言うのはこちらもです。……そうだ。

 あともう一つだけ頼んでおきたい事があるの

 ですが……」

「何かな?」

「出来ればまだ火薬の製法などは秘密にする。

 或いはどこからか仕入れていると言う事に

 しておいて欲しい。あなたの父君は銃を

 革新的だと言ったが、それはつまり世界の

 戦いを変える可能性もある。そんな物が

 一気に世界に広まるのは危険だ。

 少しずつ、銃という物を広めていきたい。

 できるだけ、安全に。そしてこれらは

 人々を魔物から守るための装備であると

 多くの人に知ってもらった上で銃を世界へ広めたい。

 ……俺には、これらの設計者としてその

 責任がある」

「そうだな。……わかった。できるだけ

 君の要望をかなえるように努力しよう」

そう言って立ち上がり、右手を差し出す

令嬢騎士。

「これから、よろしく頼む」

「こちらこそ」

そしてガンスリンガーも立ち上がって握手を

返すのだった。

 

その後、邸宅の玄関を出る二人を見送りにきた4人。

「それでは失礼します。……所で」

「ん?何かな?」

「今後もゴブリンを相手にする事があるのなら

 顔全体とは言わなくても兜を被り、後頭部を

 守る事をおすすめします。奴らは不意打ちも

 してくるので」

「そうだな。……経験し生き残った者として

 学習せねばな。……そうだ。こちらからも

 質問なのだが、たまにで構わない。私達の 

 一党に参加してくれないだろうか?」

「え?私達が、ですか?」

と、疑問符を漏らす武闘家。

「あぁ。元々私達の一党は近接戦闘用の

 メンバーが私一人だったのでな。君の

 ような武闘派と銃を使いこなすガンスリンガー殿

 が加わってくれると心強い」

「そうですか。……では用があったら声を掛けて下さい。

 大体朝はギルドにいる時が多いので」

「あぁ、そうするよ」

 

その後、邸宅を離れ街へと戻った二人。

「ふむ。今日はどうする?ギルドに寄って依頼が

 あるか確認するか?」

「そうですね。ゴブリンか何か、有るか探して

 見ましょう」

と話をしたので、彼らはそのままギルドに向かった。

 

その途中。

「ん?」

「あ、師匠」

不意に、ギルドの近くでばったりゴブリンスレイヤーと

神官に遭遇する二人。

「あ、ガンスリンガーさん達でしたか。

 こんにちは」

「こんにちは。って、ひょっとして今帰り?」

挨拶を返した武闘家だったが、彼女の服が汚れ

疲労の色が見えていた事からそう問いかける彼女。

「はい。今依頼から帰ってきたんです」

笑みを浮かべながら呟く神官を心配そうに

見つめる武闘家。

「俺たちはこれからギルドに報告に行く。

 お前達は?」

「俺たちもこれから依頼を確認しにギルドへ

 行きます」

と、話をしながら合流した4人はギルドへ向かった。

 

   『カランカラン』

ギルドに到着した4人は中に入るが……。

「ん?」

ガンスリンガーが何かに気づいて受付の方を

見つめる。

「何やら騒がしいですね」

「あれは……。ハイエルフに、鉱人(ドワーフ)、蜥蜴人(リザードマン)?」

「……この辺の者では無いな。俺もあいつらは

 見た事が無い。なぜこんな田舎に」

疑問符を浮かべる神官と武闘家、ガンスリンガー。

しかし、驚き3人を遠巻きに見ていたガンスリンガー、

武闘家、神官から離れてゴブリンスレイヤーは

受付の方に近づいていく。更に……。

「うむ、その……ゴブリン」

リザードマンの冒険者がそう呟いた時、ガンスリンガー

の体がぴくつき、武闘家も表情を引き締めた。

そして……。

「ゴブリンと言ったか?何処に居る」

「ゴブリンスレイヤーさん!!」

案の定、その案件に彼が首を突っ込んだ。

 

 

その後、3人がゴブリンスレイヤーとガンスリンガーを

指名していた、と言う事で5人は上の応接室に向かい、

神官と武闘家は下のロビーで待っている事になった。

「ハァ」

「よかったらどう?」

と、息をついていた神官の前にお茶を差し出す武闘家。

「あ、ありがとうございます。頂きます」

出されたカップを両手で持ちながら飲む神官と、

それを見ながら片手でカップを持ち、同じように

お茶を飲む武闘家。

と、その時。

「なぁ……なぁ」

「え?あ、はい」

「何か用ですか?」

呼びかけられたのに気づいて、二人は声の主の

方を向く。そこには、一組の男女の冒険者が

立っていた。

頷く神官と疑問符を浮かべる武闘家。

「よかったら僕らと一緒に行かないか?」

「いえ。折角ですけど私はもう他の方と……」

「私もです。既に仲間が居るので」

と、戦士の男からの提案を断る二人。だが……。

「あのいつも兜被ってる奴らでしょ?」

「わかってるよ」

見習い聖女、戦士が呟く。その表情には、不快感の

ような物が浮かんでいた。

 

「だからさ、声を掛けたんだよ」

「だって変よあの人達。銀等級なのにゴブリン

 ばっかり。もう一人は変な事ばっかやってる

 変人だって。賄賂だとか、色々やってるって

 聞くし」

「そいつ、新人引き回して囮にしてるんじゃ

 ないかって……」

「ッ!」

そう二人が語った瞬間。神官が反論するよりも早く。

 

「ふざけんじゃないわよ!!」

武闘家の怒号がロビー中に響き渡る。

ダンッと机を叩きながら立ち上がる武闘家。

「あんた達に何が分かるってのよ!根も葉もない

 噂信じ込んで!そんな偽善的なお誘い結構よ!」

「ぎ、偽善って!私達はそんなつもりじゃ……!」

武闘家の言葉に、見習い聖女は反論するが……。

「あの人たちは私達の恩人よ!それを勝手に

 悪人みたいな事言い出して!あなた達の方が

 よっぽど不愉快よ!私はね、恩人を

 馬鹿にされて黙っていられるほど気が長く

 無いの!」

彼女は、その目に殺意さえ浮かべながら二人を

睨み付ける。

 

彼女にとって、ガンスリンガーとは、彼にとっての

ゴブリンスレイヤー。言わばかつての父と同じ、

第2の師匠だ。故に、彼を侮辱される事は彼女

にとって我慢出来なかったのだ。

戦士と聖女が彼女の殺気に気圧されていた時。

 

「ほ、ら。喧嘩、しないの」

不意に、二人と武闘家の間にグラマスな女性が

割って入り、戦士と武闘家の肩に手を置く。

「仲間、侮辱されて、怒るの、分かる。

 でも、やりすぎ。あなた達、も、

 野暮はダメ、よ」

「お、俺たちはそんなつもりじゃ……」

「もう行こ」

反論しようとする戦士だったが、結局聖女に

手を引かれて行ってしまった。

 

そして、彼女、『魔女』が武闘家達の方に

振り返る。

「そっちのあなたが、彼の。それで、そっちの

 あなたが、ガンスリンガーの、仲間、で良いのよね?」

「はい」

「そうです」

神官、武闘家の順で頷く。そんな二人の側に、魔法で

パイプに火を付けながら腰掛ける魔女。

「あの二人、一緒だと、大変、でしょう?二人とも、

時間があればゴブリンゴブリン、て」

「確かに大変です。でも、やりがいを感じてます」

彼女の美貌に神官が内心驚いている中、武闘家が

毅然とした態度で答える。

「そう?どうして?」

「……ゴブリンとは、一般の人にとって、こう言うのは

 あれですけど、一番身近な魔物です。数も多いから、

 色んな場所に出現して、大勢の人の脅威になります」

「そう、ね。でも、世界には魔物が、もっとたくさん、

 居るわ。デーモン、とかね。でも、あなた、達は

 ゴブリンを、倒してる」

彼女の指摘は的を射ていた。

この世界における人間の(正確には人種の)驚異はゴブリン

だけではない。

それ以上の脅威は世界中に存在する。

 

「分かってます。そして、同時に今の私じゃデーモン

 に拳が届かない事も。多分、ずっとそうかもしれない」

しかし、武闘家は自虐的に笑みを浮かべながら答える。

「だからこそ、私は私に出来る事で人助けがしたい。

 この拳は、ゴブリンに届く。奴らを倒す事が出来る。

 ……まだ不透明ですけど、ぼんやりと見えるんです。

 自分が進みたい方向が」

そして、彼女は自分の手のひらをギュッと握りしめながら

魔女に鋭い視線を向ける。

「そう。それが、あなたの選んだ、道、ね。あなたも……」

そう言いながら、魔女は笑みを浮かべつつ視線を

神官に向ける。

「道は、たくさんある、わ。自分の道は、自分で。ね?」

とだけ言い残し、彼女は相棒の槍使いと共に去って行った。

「自分の道は、自分で……」

そして、二人を見送る武闘家の隣で、静かに彼女が呟いた。

 

 

一方、2階の5人はと言うと……。

   『じ~~~~っ』

ハイエルフ、『妖精弓手』が二人を値踏みするように

見ている。

「……。あなた本当に銀等級なの?それに、そっちのも。

 はっきり言って、あなた達二人とも強そうには

 見えないんだけど?」

会って早々、傍目には失礼とも取れる言葉をぶつける

妖精弓手。

「ギルドは認めた」

「右に同じく」

ゴブリンスレイヤーがそう呟き、ガンスリンガーも

追従するように呟く。そして、ゴブリンスレイヤーが

ソファに座り、ガンスリンガーが彼の背後に控える

用に立つ。そして、向かい合うように腰を下ろす

妖精弓手。

「馬鹿を言うもんじゃないぞ、耳長の。わしの

 見立てによれば……」

その時、ドワーフ、『鉱人道士』が声を上げながら

二人を見る。

「そっちの翠玉のはさておき、かみきり丸の

 装備は動きやすさを考え、短剣の不意打ち防止し、

 頭部の守りを厳重にし、武器は狭い洞窟で

 使うために誂えた物とみた。しかし……」

言いながら、彼はガンスリンガーに目を向ける。

「お前さん、装備はかみきり丸と似ておるが

武器らしい物を持ってないのぉ?」

「武器ならある」

そう言って、彼はSAAを引き抜き、3人に見せる

ように顔の高さに掲げる。

「これがそうだ」

「……何それ?そんなちっこいのが武器に

 なるの?」

「なる。俺が戦うために開発したオリジナルの

 武器だ。……それより、3種族の銀等級

 冒険者が俺と師匠に何のようだ」

弓手の言葉に肯定しながら、彼はSAAをホルスターに戻しつつ

問いかける。

 

「都の方でデーモンが増えているのは知っていると

 思うけど……」

「知らん」

「噂程度には」

彼女の言葉にゴブリンスレイヤー、ガンスリンガーの

順に答える。

「その原因は魔神の復活なの。奴は軍勢を率いて

 世界を滅ぼそうとしているわ」

「そうか」

「なるほど」

と、傍目にはパニック必死になりそうな話題を

切り出されても、二人は動じない。と言うより

無関心だった。

「……私達は……それであなた達に……協力を」

次第に彼女の声のトーンが落ちていく。

彼女は二人の態度に、内心呆れと怒りを覚えていた。

そして……。

 

「ゴブリン以外に用は無い」

ゴブリンスレイヤーのその一言に彼女はめまいを覚え、

直後に怒りがこみ上げてきた。

「分かってるの!?悪魔の軍勢が押し寄せて

 くるのよ!?世界の命運がかかってるって、

 理解している!?」

机を叩きながら叫ぶ彼女だが、二人は動じない。

「理解はできる」

「ならっ!」

「だが世界が滅びる前にゴブリンは村を滅ぼす」

そう言って、ゴブリンスレイヤーは彼女の言葉を

一蹴する。

「世界の危機はゴブリンを見逃す理由にならん」

「あ、あなたねぇ!?」

「おいおい!落ち着け耳長の!」

今にもゴブリンスレイヤーに突っかかりそうな

弓手を止める道士。

 

「ちょっと良いか。お前達の話の通りなら、なぜ俺と師匠に

会いに来た。お前達の言う魔神の類いなら、より上位の金や

白金級の冒険者の出番のはずだが?」

話を聞いていたガンスリンガーが手を上げながら疑問点を

指摘する。

「うむ。翠玉殿の意見も最もだ。しかし誤解しないで欲しい。

 我々の目的は貴殿らに小鬼退治を依頼する事なのだ」

「ゴブリンかならば受けよう」

「討伐対象に対する情報はどれだけありますか?」

受ける、と言ったゴブリンスレイヤーとすぐに

情報を求めるガンスリンガーに、弓手の彼女は

めまいを覚えながらソファに腰を下ろした。

 

その後、3人から事の次第を聞く二人。

「エルフの森の近く、か。師匠。奴らが

 活発になっていると言う事は」

「あぁ。上位種。それもチャンピオンかロード

 でも生まれたか?」

「チャンピオン?ロード?」

「ゴブリンの最上位種、とでも言うべき奴らです。

 チャンピオンはホブの上位種とでも言うべき

 巨体を持ち、ロードは言わば奴らの王。

 師匠の言葉を借りれば、ゴブリンにとっての

 白金等級の力を持った存在です。俺は見た事は

 ありませんが……」

と、『蜥蜴僧侶』の疑問符の答えるガンスリンガー。

「なるほど。拙僧らの調べた所大きな巣穴が一つ

 見つかったのだが……」

「ゴブリン相手に軍を動かせない。いつもの事か」

僧侶の言葉に頷き続けるゴブリンスレイヤー。

 

「そう。そして私達エルフの軍を動かせば

 ヒュームとの間で問題になる。だから

 ヒュームであるオルクボルグとその弟子の

 あんたに白羽の矢が立ったって訳」

「そうか。……お前はどうする?」

「お供します。いえ、むしろ参加させて下さい」

後ろのガンスリンガーに問いかけるゴブリンスレイヤー。

そして彼は案の定頷く。

 

その後、二人は少ない情報を3人から貰い、下へと

戻った。

「話し合いは終わったぞ」

「あ、ガンスリンガーさん」

階段を降り、彼女に歩み寄るガンスリンガーと

彼に気づく武闘家。

「話の内容、どうだったんですか?」

「内容はエルフの森付近に出現したゴブリンの

 殲滅だ。今回はこれまでと違って規模も大きい

 ようだ。情報も不透明で現地で何が起こるか

 分からないのが現状だ。はっきり言って、何が

起こるか予想が付かない。……どうする?

それでも来るか?」

「当たり前です。だって今は、私がガンスリンガー

 さんの仲間ですから」

危険である事を伝えるが、彼女は一切躊躇せず

腰に手を当て、笑みを浮かべながら頷く。

「……最悪、死ぬかもしれないぞ?

 いや、相手がゴブリンである以上、それよりも

 辛い事だって……」

と、その時。

「分かってます」

そう言って、彼女がガンスリンガーの言葉を遮る。そのまま、

彼女は右掌を彼の胸当てにそっと置く。そして、その

手が僅かに震える。

「確かに、怖いです。でも、私は戦えます。

 恐怖は、乗りこなせます。でも、お願いが

 あるんです。……もし、私が危なくなったら、

 あなたは私を守ってくれますか?」

そう言って、彼女は問いかけるような目で彼の

兜の下にある目をのぞき込む。

それを前にして、彼は視線を外さない。やがて……。

「……断言は、出来ない。俺は完全無欠の英雄じゃない。

 守り切れる自信は無い」

「はっきり、言いますよね。ガンスリンガーさんって」

彼の答えに、苦笑を浮かべる武闘家。

「取り繕っても無意味だからな。……ただ」

「ただ?」

「最善は尽くそう。俺は俺に出来る事でお前を

 支援する。……今は、これ位しか言えない」

そう呟くガンスリンガーに、彼女は……。

「それでも、十分です。あなたがそう言ってくれる

 のなら、私は後ろを気にせず全力で前を向いて

 戦えます」

笑みを浮かべながら、彼の胸当てを叩いた。

 

と、その時。

「そんな……!」

近くで話をしていた神官の声が聞こえ、二人はそちらに

視線を向ける。

「せめて……。せめて……!こう、決める前に相談とか……」

彼女がそう言うとしばしゴブリンスレイヤーが

沈黙する。が……。

「しているだろう」

と、彼が言うと、戸惑ってしまう神官。

「……あ、これ、相談なんですね」

「そのつもりだが」

と、彼が言う。ちなみに近くでは……。

「え~?」

マジで?と言わんばかりの顔をしている武闘家。

更に……。

「師匠、今のは相談とは言えないと思いますが……」

「そうか?」

「そうです」

一言進言するガンスリンガーに首をかしげるゴブリン

スレイヤーと、頷く神官。やがて、彼女は手にしていた

帽子を被りながら笑みを浮かべる。

「私も行きます。放っておけませんからあなた」

「そうか。……そっちのお前も来るのか?」

「はい。私も行きます」

そう言って、問いかけられた武闘家が頷く。

その後、ゴブリンスレイヤーが受け付けで話しを

している。それを遠巻きに見ているガンスリンガー。

その時、彼の元に歩み寄る武闘家。

「大きな遺跡に潜むゴブリン、ですか」

「あぁ。危険度はかなりの物だろう。だが、

 これが俺たちの仕事だ。行くぞ」

「はい」

 

「「ゴブリン退治だ(ですね)」」

 

ゴブリンスレイヤーと神官。

ガンスリンガーと武闘家。

更に、妖精弓手、鉱人道士、蜥蜴僧侶。

彼ら7人の初めての任務が、始まろうとしていた。

 

彼らを遺跡で待ち構える物とは、果たして?

 

     第5話 END

 




と言う訳で、7人そろって遺跡に突入です。
その後は、アニメ版ではカットされた牧場防衛戦
です。自分は原作コミックスから入ったので、
コミックスに準拠しながら書いていくつもりです。
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