アルベルト・フォン・ライヘンバッハ自叙伝   作:富川

18 / 79
青年期・リューベック駐留艦隊司令部にて(宇宙歴760年7月10日)

 惑星リューベックの領都はリューベックと名付けられている。……惑星と領都の名が同じというのはやはり不便に過ぎる、これも帝国の自治領民に対する嫌がらせだろうか?とにもかくにも、これでは書いていて紛らわしいので、あえて惑星はリューベック、領都はベルディエ――かつて、彼らは自分たちの首都をこう呼んでいた。由来は『第七艦隊共和国(リパブリック・オブ・セブンスフリート)』の英雄であるジャン=クロード・ベルディエ――と表すことにしたい。

 

 宇宙歴七六〇年七月一〇日、私は領都ベルディエから一二〇㎞ほど離れたところにある、駐留艦隊司令部を訪れた。隣接する基地には同艦隊の第一作戦群と第三作戦群が駐留している。

 

 残りの艦船と自治領警備隊の大半はリューベックの隣の惑星である、リューベック(ヒュンフ)――『第七艦隊共和国(リパブリック・オブ・セブンスフリート)』の呼ぶところの惑星ボストン――に駐留している。

 

「驚いたな……。まさかこんなに早く頼ってくるとは」

 

 メルカッツ少佐が苦笑しながら私を出迎えた。

 

 着任当日、私は翌日に駐留艦隊司令部に挨拶に行くためにアポをとったのだが、端末越しにノーベル宇宙軍大佐の副官に「非常識だ!」と怒鳴られて目的を果たせなかった。一応、着任し次第、駐留艦隊司令部の方に挨拶に向かうということは前もって伝えてあったのにである。いや、確かに厳密には非常識かもしれないが、こちらも向こうも同じ組織のメンバーな訳で、あまり言いたくないが私が名門帯剣貴族であることも併せてまさか怒鳴られるとは思っていなかった。

 

 仕方がないのでいつなら良いかと聞いてみると、「我々駐留艦隊は総督府とは違い日夜軍務に励んでいる。司令は貴様などに会っている暇は無い」との返答である。埒があきそうも無かったので、私は軍のデータベースからメルカッツ少佐のメールアドレスを調べて、彼に司令への取次ぎを頼まざるを得なかった。

 

「申し訳ありません……。他に頼れる人も居なかったので」

「まあ……仕方ないだろう。ロンぺル少尉は強烈な反貴族主義者だ」

 

 メルカッツ少佐は憂鬱そうにそう言った。彼も貴族だ。ロンぺル少尉とやらに困らされているのだろう。……というか、私は少尉に怒鳴られたのか?と一瞬遅れて気付いて愕然とした。そんな私の内心を察したのか、メルカッツ少佐が言う。

 

「辺境ではよくあることだ。どうせこれ以上落ちる場所も無いと、左遷された平民士官の一部は自分の反貴族的感情を抑えなくなる。そして、そんな『声のでかいやつ』が階級以上に力を持つことも、少なくは無い」

 

 メルカッツ少佐は私を案内しながら説明する。その最中にも怒鳴り声が聞こえてきた。メルカッツ少佐が眉をひそめる。

 

「少佐殿も苦労なさっているようで……」

「ああ……まあな。ただ慣れれば大したことは無い。ここでは『声の大きさ』以上に、『人間力』が大切だ。私は別に自分が『人間力』に秀でていると言うつもりもないがな、他が酷ければ、相対的に評価も上がるものだよ」

 

 メルカッツ少佐は皮肉げな笑いを浮かべている。彼は一年前もこの場所に居た。その時はもっと『他』は酷かったに違いない。その時、私たちの方に若い兵士が走ってきた。

 

「メルカッツ少佐!またペーターの奴が酔って警備隊と喧嘩し始めました!」

 

 それを聞いてメルカッツ少佐の顔色が変わる。

 

「何だと!?あれ程あいつに酒はやるなと言っただろう!コニーは何をしていた?あいつが酒を見た瞬間、ぶん殴って良いと伝えたはずだが」

「コニーは二日酔いでダウンしています……ペーターに煽られて飲み潰されました、ちなみにペーターですが、飲むときに『迎え酒は必要だ、必要悪なんだ』とか言ってました」

 

 メルカッツ少佐は天を仰いで頭に手を当てた。

 

「……馬鹿共が!ライヘンバッハ大尉、君もついてきてくれ」

「は?はぁ、分かりました」

 

 メルカッツ少佐はたまらずと言った感じで吐き捨てると、兵士と共に走っていく。私もその後ろをついていった。

 

 その先では、数人の帝国軍兵士と自治領警備隊の兵士が殴り合っていた。中心で喚いているのが『ペーター』だろうか?

 

「おい、話が違うぞレスト……。暴れているのはペーターだけじゃなかったのか?」

 

 メルカッツ少佐が低い声でウンザリしたように言った。

 

「は!自分が見た時は、確かにペーターだけだったであります」

「……なるほど、こいつらが馬鹿だということだけは分かった」

 

 メルカッツ少佐はそう言うと真っすぐに殴り合いの中心に飛び込んだ。

 

「し、少佐!?」

 

 私は驚いた。メルカッツ少佐は争いの中心で喚いていた『ペーター』とその相手を思いっきり殴り飛ばした。互いに集中していたからだろう、もろに拳をくらった二人が面白いように吹っ飛んだ。

 

「何しているレスト!大尉!。貴官らも手伝え!」

「は……は?」

「了解であります!メルカッツ閣下!」

 

 レストと呼ばれた兵士はそう答えると近くに居た帝国軍兵士を思いっきり殴り飛ばし……別の兵士に思い切り殴り飛ばされた。

 

「クソ貴族が!」

 

 レストを殴り飛ばした警備隊の兵士がこちらへ殴りかかってくる。私はとっさにその兵士の腕を掴み、そのまま投げ飛ばした。

 

「見かけによらずやるじゃないか大尉!レストも見習ってほしいな」

 

 メルカッツ少佐はそう言いながら既に数人を片付けている。私も何が何だか分からない内に巻き込まれ、最終的にメルカッツ少佐と私の二人だけが立っていた。

 

「全く……手間をかけさせおって……」

 

 メルカッツ少佐は不機嫌そうだ。

 

「あの……少佐、一体小官たちは何をしていたのでしょうか……」

「大尉、一つ良いことを教えよう。対話は大事だ。どんな相手だろうと最後まで対話の意思は捨ててはいけない。ただし、酔っ払いとサイオキシン患者は殴った方が早い」

 

 メルカッツ少佐はしたり顔でそう言った。私は唖然とせざるを得なかった。……今ではメルカッツ少佐の意見が正しかったと分かる。ただしこう付け足したい。……ブラ公リッテン候も殴った方が早い、と。

 

「おい、コニーどこに居る!」

「……ここです、閣下殿……」

 

 部屋の外から大柄の兵士が入ってくる。

 

「この馬鹿共を営倉にぶち込め、同じ部屋に入れておけよ?もう一度喧嘩したら次は骨を折ると伝えておけ」

「……了解です。サー」

 

 コニーは辛そうだった。……二日酔いだもんな。

 

「さて、大尉。こっちだ、ついてきてくれ。司令がお待ちだ」

「メルカッツ少佐……」

 

 私は『物語』で知るメルカッツ提督と目の前のメルカッツ少佐の差に愕然としていた。

 

「……大尉。これも『人間力』だよ。貴族だなんだとお高く止まっていたらダメだ。兵士の目線に立つことが、彼らの信頼を得るために大切なんだよ」

 

 メルカッツ少佐は私の何か言いたそうな表情を見て、尤もらしくそう言った。……その後聞いた話によると、メルカッツ少佐は駐留艦隊でも兵士たちからかなり慕われているらしい。「お貴族様なのに喧嘩の流儀を知っているから」「お貴族様なのに酒の本当に上手い飲み方を知っているから」……まあ理由は様々だ。

 

 信じられないことに、思いっきり殴り飛ばされていた自治領警備隊の兵士たちもメルカッツ少佐の事は一目置いているらしい。基本的に彼らは地元出身故に、帝国軍と極めて仲が悪い。「メルカッツ少佐の拳は出身も身分も区別なく襲う。実に共和主義的だ」とは私が後で会うリューベック独立派の幹部の言葉である。……まあ、何だ。老紳士が若い頃にヤンチャしていたというのは……そんなに珍しい話でもあるまい。うん。

 

「第三作戦群司令代理、ウィリバルト・ヨアヒム・フォン・メルカッツ宇宙軍少佐、入ります」

「総督府特別監査室室長、アルベルト・フォン・ライヘンバッハ宇宙軍大尉、入ります」

 

 私はメルカッツ少佐に連れられて司令室に入る。

 

「遅い!我々を舐めているのか!」

 

 司令室に入るなり怒鳴られる。執務机に座っている白髪の老人がノーベル大佐だろう。となると今怒鳴ってきた隣で立っている男が副官のロンぺル少尉とやらだろうか。イメージより大分年上だ。顔にはありありと「怒っています」と書いてある。

 

「……申し訳ありません。ノーベル大佐」

 

 メルカッツ少佐はロンぺル少尉の方を向いて「ふん」と鼻をならしてからノーベル大佐に対して丁寧に謝罪する。私も黙ってノーベル大佐に頭を下げた。

 

「いやいや、構わんよ。……また兵士が警備隊と喧嘩をしたんじゃろう?卿が彼らを止めるのが一番後腐れが無くて良い」

 

 ノーベル大佐はニコニコしながらそう言った。ロンペル少尉は面白くなさそうだが、黙っている。

 

「さて、そっちの若いのがライヘンバッハ大尉かな?わざわざこんな辺鄙な所までご苦労な事じゃて……。何か力になれることがあれば遠慮なく頼って欲しいのう」

「有難うございます。……それでは早速、司令殿に一つお願いがあるのですが……」

 

 私はノーベル大佐にそう言った瞬間、ロンペル少尉が「図に乗るな小僧!」と言ってきた。……大尉を小僧呼ばわりとは恐れ入った。

 

「ロンペル……。貴官の個人的な事情には同情するがな、流石に帝国軍人として度を超した振る舞いに過ぎるのではないかな?ライヘンバッハ大尉が貴官の弟を殺した訳でもあるまい」

 

 メルカッツ少佐がロンペルを鋭く睨みつけながらそう言った。ロンペルは少し怯んだ様子だ。その隙を私は見逃さなかった。

 

「ノーベル司令。是非お人払いをお願いできませんでしょうか?内密に話したいことがありまして……」

「ほう……。良かろう。ロンぺル少尉、メルカッツ少佐、少し外してくれるかのう?」

「司令!しかし……」

「承知しました。ロンペル、上官の命に逆らうか?」

 

 ロンペルは私を睨みつけると、メルカッツ少佐と共に部屋を出ていった。

 

「さて、ライヘンバッハ大尉。お願いとは何じゃ?」

「……司令はこんな言葉をご存知でしょうか?『何が不可能であるかを言うのは難しい』」

 

 ノーベル大佐は目を大きく開いて驚いた様子だ。「……そうか、卿がそうなのか」とノーベル大佐は小声で呟く。

 

「『何故なら昨日の夢は、今日の希望であり、明日の現実だからだ』じゃな?……コーゼル閣下がよく言っておられた言葉じゃ……」

 

 ノーベル大佐は懐かしむような様子だ。

 

 私はノーベル大佐に自分が機関の一員であることを証明し、ノーベル大佐も応じた。その方法については……悪いがここには書かないことにする。ただ、私たちにとって『何が不可能であるか~』は一つの挨拶のようなものだ。それだけで自分が機関の一員であることを証明するには足らないが、互いに『証明の準備』をさせることが出来る。聞いた話によると、ジークマイスター提督が好んで、同志に教えていた言葉らしい。

 

「なるほどのう……卿が機関のメンバーとなると、御父上も機関のメンバー、ということかな?」

「ご想像にお任せします。ただ、ジークマイスター提督が機関の創設者だったからと言って、彼の父が共和主義者であった訳じゃないでしょう」

 

 私はノーベル大佐の疑問にそう答えた。ジークマイスター機関のメンバーは他の構成員を全て把握している訳じゃない。ノーベル大佐はこの地方の機関構成員の中では幹部クラスだが、それでも中央の幹部……つまり、シュタイエルマルク提督や父と面識がある訳ではない。私もこの任務に先立ってノーベル大佐の存在を教えられたが、他の地方の幹部は知らないし、何ならノーベル大佐以外のこの地方における機関構成員も把握していない。

 

「……なるほどのう。確かに卿の言う通りだ。だが……もし卿や卿の御父上が機関の幹部であるのならばだ、一つだけ教えてほしいことがあるんじゃ」

「教えて欲しい事……ですか?」

 

 私は戸惑った。ノーベル大佐がそのようなお願いをしてくることは予想していなかった。

 

「……ヴァルター・コーゼルは何故死んだ?」

 

 ノーベル大佐は私の目を見つめながら徐にそう言った。

 

「えっと……いきなり何です?」

 

 私は戸惑いを深めながらそう答える。そこで私はハウシルト・ノーベルがかつてヴァルター・コーゼルを『カエサル』に仕立て上げた者の一人であると思いだした。

 

「ライヘンバッハ大尉。卿は一体何故機関に入った?」

「……自由が好きだから、とでも答えておきましょう。嘘はついていません。それは誓います」

 

 私はノーベル大佐の質問に一瞬詰まりながらそう答えた。

 

「そうか、儂は違うぞ。儂も自由は好きだが、それだけで命を賭けられるような人種ではない。儂はな、大尉、ヴァルター・コーゼルが好きだから機関に入ったんじゃ、他に機関に命を賭ける理由などない」

 

 ノーベル大佐はそう言いながら少し俯く。

 

「儂はな、帝国の理不尽な体制に不満を持っていたが、それを変えようとは思わなかった。諦めていたのだよ。大多数の平民軍人と同じくな。だがヴァルター・コーゼルは違った……あの方は云わば奇跡じゃ、どのような理不尽も全て実力で叩き潰した。貴族だろうが被差別民だろうが、あの方には関係なかった。あの方に重要だったのは正義と誇りの二つだけじゃった。あらゆる障害を捻じ伏せながら階級を上げていくあの方は平民の希望だったんじゃ」

 

 ノーベル大佐は過ぎ去った過去を懐かしんでいる様子だ。

 

「かつて、銀河連邦の将兵はルドルフ・フォン・ゴールデンバウムに新たな可能性を見た。大帝陛下の姿に魅せられていった。儂らにとってはコーゼル閣下がそうだった。あの方は何かを持っている。何かを変えられる。儂らはそう確信していた。……だから儂はジークマイスター閣下の誘いに乗った。儂らの希望が上り詰める、その手助けをしたいと思ってな」

 

 ノーベル大佐はルドルフの例を出したが、私はアッシュビーとジークマイスター提督の関係を思い出していた。同盟の現実に打ちのめされたジークマイスター提督はアッシュビーに新たな可能性を見出した。ノーベル大佐とコーゼル提督の関係も、またそうであったのだろう。 

 

「そしてだ、儂らの希望はついに統帥本部の次長まで上り詰めることになった。儂らは狂喜したよ……。あの方が帝国軍を変える、儂らはそう信じていた。……第二次ティアマト会戦で、あの方が死ぬまではな」

 

 ノーベル大佐はそこまで話すと再び私の目を見た。その目は険しいものだった。

 

「アッシュビーが相手ならまだ分かる。だがな、行進曲(マーチ)ジャスパーと男爵(バロン)ウォーリック如きにあの方が負ける訳があるまい!教えろライヘンバッハ大尉、第二次ティアマト会戦の前後、機関が動いていたことは知っている。一体あそこで何が起きたんじゃ、コーゼル大将は何故死んだんじゃ!」

 

 私は息を呑んだ。私はコーゼル提督が死んだ理由を知らない。だが、シュタイエルマルク提督がコーゼル提督を暗殺しようとしていたことは知っている。……それを目の前の老人に伝えればどうなるだろうか?想像したくも無かった。

 

「……司令。申し訳ありませんが、小官が機関に入ったのは僅か四年前。第二次ティアマト会戦で何が起こったのかは流石に存じ上げません」

 

 私はノーベル大佐に嘘をついた。そうするしかなかっただろう。『茶会(テー・パルティー)』計画を前にして、ノーベル大佐が離反するようなことになったら大変だ。

 

「……そうか。まあそうじゃろうな。もしかしたら、と思ったんじゃがのう、流石に知らんか」

 

 ノーベル大佐は気落ちした様子でそう言っている。……彼とコーゼル提督の関係を私の身に置き換えるならば、私とジークマイスター機関の関係そのものだろうか?もし、ジークマイスター機関が突如として私を残して消え去ったとすれば……私はきっとその理由を何が何でも突き止めようとするはずだ。……ひょっとすると、コーゼル提督を失ったノーベル大佐が今でも機関に残っているのは、真実を突き止める為なのかもしれない。

 

「悪かったのう、ライヘンバッハ大尉。卿も何か儂に話があるのじゃろう?」

「は!『茶会(テー・パルティー)』計画にゴーサインが出ました。小官は司令の支援と同盟側とのやり取りの為に派遣されてきました」

 

 私はノーベル大佐に対し軍上層部の状況を説明した。同時に、『茶会(テー・パルティー)』計画に関するいくつかの点に関する修正を伝える。

 

「なるほどのう……。分かった。儂の方でも準備を始めよう。今年中に準備を整える必要があるんじゃな?」

「はい、同盟宇宙軍第三艦隊が年明けと同時にオリオン腕側に進出し、リューベックに駐留する手筈になっています。この艦隊は議会にも知らせず、内密で行軍します。少し遅れて通常通りの動員と行軍で、第五艦隊、第七艦隊、第一一艦隊がオリオン腕側に展開、イゼルローン方面辺境を守る黄色弓騎兵艦隊、第一辺境艦隊、第二辺境艦隊を撃破、可能ならばフォルゲン恒星系を確保し、エルザス・ロートリンゲン辺境軍管区を完全に制圧下に置きます」

「ふむ、最初の一個艦隊と後の三個艦隊の展開には時間差がありそうだが、その間にリューベックが再度帝国軍に制圧される可能性もあるのではないか?」

 

 ノーベル大佐の疑念は尤もであるが、その点に関しては問題ない、何せ辺境防衛を預かっているのはジークマイスター機関の幹部である父だ。どうにでもなる。

 

「フォルゲンやボーデンに機関のメンバーを配置しています。彼らが帝国軍の対応を遅滞させる手筈になっています。仮にこれが上手く行かず、早期に帝国艦隊がリューベックに到着したとしても、第三艦隊とリューベック警備艦隊で遅滞戦闘に努めれば、三個艦隊の援軍が到着するまで耐えきるのはそう難しい事ではありません。最悪、リューベックや各惑星の地表で抵抗運動を続ければ、間違いなく同盟三個艦隊の到着までは耐えきれるでしょう」

 

 私は父の事は伏せつつ、そう答えた。

 

「なるほどのう。分かった大尉。ではお互い頑張ろうではないか」

「は!」

 

 私は敬礼し、司令室を去った。『茶会(テー・パルティー)』計画は機関が休眠状態にある間も、動き続けていた計画だ。同盟側との調整も完了している。間違いなく上手く行くだろう。

 

 銀河の歴史がまた一ページ……。


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。