アルベルト・フォン・ライヘンバッハ自叙伝   作:富川

31 / 79
第二章登場人物紹介・年表

登場順、原作登場人物に★、ファーストネーム等をこちらで考えた原作登場人物に☆

 

・アルベルト・フォン・ライヘンバッハ

 自叙伝の作者。名門帯剣貴族、ライヘンバッハ伯爵家の三男、カール・ハインリヒ・フォン・ライヘンバッハの長男としてこの世に生を受ける。転生者であり、帝国の封建社会に嫌悪を感じていた。ジークマイスター機関構成員。

 軍務省国防政策局運用政策課員、軍務省地方管理局辺境調査課員を経て二章開始時点で銀河帝国リューベック総督府特別監査室室長を務める。階級は宇宙軍大尉。

 ジークマイスター機関の『茶会(テー・パルティー)』計画支援の為に赴任したが、ノーベル大佐の裏切りで同計画が破綻。その後、リューベック独立派のアルベール・ミシャロンと協力し、リューベック騒乱の泥沼化を防ぎつつノーベル大佐の口を封じた。騒乱終結後、宇宙軍少佐に昇進。

 

・ユリウス・ハルトマン

 アルベルトの幼年学校における同級生。『有害図書愛好会』メンバーであり、大商人の息子。ジークマイスター機関の構成員。『茶会(テー・パルティー)』計画支援の為に第二辺境艦隊司令部に赴任した。第二章開始時点で宇宙軍少尉。終了時点で宇宙軍中尉。

 

・ヘンリク・フォン・オークレール

 ライヘンバッハ一門の末席に名を連ねる帝国騎士家の当主。アルベルトの元護衛士であり、地上軍少佐。騒乱終結後、地上軍中佐に昇進。ジークマイスター機関の構成員。

 

・マルセル・フォン・シュトローゼマン

 アルベルトとハルトマンの先輩。領地貴族の男爵家出身。大貴族嫌いで平民嫌い。完全実力主義者。父を第三次エルザス会戦の不自然な状況で失っている。卒業後第四辺境艦隊司令部に配属され、現在は帝都勤務。

 

・カルステン・フォン・グリュックスブルク

 エルザス・シュレースヴィヒ=ホルシュタイン辺境軍管区司令。宇宙軍中将であり、リッテンハイム一門。フェザーンから何らかの接触を受け、機関の『茶会(テー・パルティー)』計画妨害に動いた。

 

・オトフリート・フォン・ゴールデンバウム五世★

 財政再建に奮闘する皇帝。領地貴族の協力を得られ無かったためにひたすら歳出削減に取り組み、第二次ティアマト会戦以後の慢性的な財政赤字を何とかギリギリのところで凌ぎ切った。その後、何とかカストロプ公爵を切り崩して租税法改正に成功し、「ようやく財政を立て直せそうだ」と安心したのも束の間、そのカストロプが財務尚書として不正蓄財に励んだ結果、租税法改正が思ったほどの効果を上げなかった為に更なる歳出削減に取り組む羽目に陥っている。元々質素を好む人柄ではあるが、流石に内心ではうんざりしている。

 

・クラウス・フォン・リヒテンラーデ★

 かつてマクシミリアン=ヨーゼフ二世晴眼帝に重用された旧ミュンツァー派に所属する若手官僚。子爵。オトフリート五世に対し、租税法改正法案を通すために帝前三部会の開催を進言。カストロプ公爵を切り崩すことで長年断念させられていた租税法改正法案を可決させることに成功する。

 

・セバスティアン・フォン・リューデリッツ★

 宇宙歴七五一年頃、兵站輜重副総監を務める。階級は宇宙軍大将。保守的な価値観を持つが、極めて優秀な能吏であり、ジークマイスター機関の活動に気づく。暗闘の末、ミヒャールゼンの存在に辿り着き、ミヒャールゼンを死に追い込んだと思われる。

 宇宙歴七五六年頃には軍部改革派を率いている。名門帯剣貴族家出身。

 宇宙歴七六〇年頃、兵站輜重総監を務めており、階級は宇宙軍上級大将。オトフリート五世に『イゼルローン要塞建設建白書』を提出した。フェザーン勢力とリッテンハイム一門の協力を得ている模様。リューベック騒乱にどこまで絡んでいたかは不明だが、グリュックスブルク中将は必ずしも彼の思い通りに行動した訳ではない様子。

 宇宙歴七六三年にはついにイゼルローン要塞建設着工を実現させた。

 

・ハウシルト・ノーベル

 ヴァルター・コーゼルの下で活躍した情報参謀。ジークマイスター機関の構成員。

 宇宙歴七四六年にミヒャールゼンの指示で『茶会(テー・パルティー)』計画の準備の為にリューベック駐留艦隊司令として赴任。階級は宇宙軍大佐。機関よりもコーゼルに対して忠誠を誓っており、そこをフェザーンに利用され、機関を離反。『茶会(テー・パルティー)』計画を破綻させる。

 その後、アルベルトによって「叛乱軍との内通者」というレッテルを張られ、そのまま疑惑を晴らせないまま駐留艦隊司令部で自爆。

 

・ウィリバルト・ヨアヒム・フォン・メルカッツ★

 リューベック駐留艦隊第三作戦群司令代理。階級は宇宙軍少佐。アルベルトの父から「多大な恩」を受けており、アルベルトに対し好意的だった。アルベルトがリューベックに赴任する一年前の大暴動の際に何かあったと思われる。

 リューベックの騒乱では早い段階からアルベルトの味方に立ち、要所要所で助けになった。開明的な価値観を持っている訳では無いが、貴族的選民意識は大分弱い。騒乱終結後、宇宙軍中佐に昇進。

 

・カール・ハインリヒ・フォン・ライヘンバッハ

 名門帯剣貴族、ライヘンバッハ伯爵家の三男。宇宙歴七四〇年時点で帝国軍少将。やや傲慢だが優秀な人物。自分より能力に劣る兄たちが出世することに不満を持っていた。

 宇宙歴七四五年の第二次ティアマト会戦時、青色槍騎兵艦隊副司令官を務めている。ベルディーニを戦死させ、英雄になる。この際帝国宇宙軍中将に昇進。

 宇宙歴七五四年までに宇宙軍大将に昇進し、黄色弓騎兵艦隊司令官を務めている。同年の第四次ロートリンゲン会戦で苦戦しながらも同盟軍を撃退、この功績で帝国宇宙軍上級大将に昇進し、宇宙艦隊副司令長官として一個中央艦隊と二個辺境艦隊を指揮下に収める。

 宇宙歴七五九年のリューベック大暴動を受け、リューベック総督府、駐留艦隊司令部の人事に介入し、腐敗を一掃した。

 宇宙歴七六〇年の『茶会(テー・パルティー)』計画においても本来ならば計画成功の為に臨機応変な対処を行う予定だったが、各勢力の思惑が絡んだ結果有効な手立てを打つことが出来なかった。

 ジークマイスター機関の幹部である。

 

・マックス・フェルバッハ

 銀河帝国リューベック総督。平民出身者であり、柔軟な思考と優れた実務能力を有している。宇宙歴七五九年の大暴動で総督府の上位士官が根こそぎ更迭された結果、いつの間にか総督に就任していた。前任者より遥かにバランスの取れた統治を行っていたが、それでも自治領民の反発を抑えきれず、絶望していたところにアルベルトが来たため、深く信頼していた。

 リューベック騒乱の最初にノーベル大佐の手によると思われる爆弾テロに遭い重傷を負う。その後、治療の名目で病院に軟禁されていたが、『リューベック奪還革命』の最中にアルベルトらによって救出される。混乱を収拾する為にアルベルトの進言を容れ、革命派との交渉に向かい、独断でのリューベック独立承認に踏み切る。騒乱終結後、責任を追及され懲戒免職処分になる。

 

・アルベール・ミシャロン

 リューベック独立派の中心人物。元自治領警察府検事の立法府議員。反帝国的なリューベック独立党の副幹事長を務めている。ノーベル大佐(というよりは機関)の裏切りまでもを予測して様々な手を打っており、アルベルトを説得してリューベック独立の為の計画に協力させた。その計画は一言で言えば既成事実を積み上げることでなし崩し的に帝国に独立を認めさせるという物であり、様々な誤算があったものの、最終的に一応の独立を達成することに成功した。

 

・チェニェク・ヤマモト

 リューベック独立派の中心人物。家具職人の息子だが、リューベック自治領警備隊に入り警備隊曹長の階級を得ている。ノーベル大佐による弾圧を逃れ、革命の口火を切った。

 

・オリバー・シーツ

 リューベック独立派の中心人物。大学の准教授。クラークライン監獄の虐殺で死亡。

 

・ブロンセ・ゾルゲ☆

 自由惑星同盟軍対外諜報セクションに属する人物であり、リューベック独立派の一員として加わり、機関の代表であるアルベルトと連絡を取っていた。クラークライン監獄の虐殺で重傷を負う。『第四次リューベック会戦』の最中、アルベルトの協力で帝国駐屯地に放棄されていたシャトルを利用して第三艦隊司令部にリューベックの状況を伝えた。その後は同盟に戻った模様。なお「ブロンセ・ゾルゲ」は偽名である。

 

・クルト・フォン・シュタイエルマルク

 アルベルトの親友。ジークマイスター機関の構成員であり、『茶会(テー・パルティー)』計画に際し、フェザーン勢力を欺瞞する為に在フェザーン帝国高等弁務官事務所駐在武官として赴任していた。

 

・テオドール・フォン・アーベントロート☆

 アルベルトの部下として配属された宇宙軍中尉。リッテンハイム一門であり、実はグリュックスブルク中将の命でノーベル大佐を調査する為に送られてきた人物。もし、彼がノーベル大佐の離反行為を見抜き、事前に防ぐようなことがあれば明らかにフェザーンの利害とは衝突することを考えると、独自の動きであると思われる。

 アルベルトの事をノーベルと繋がっていると疑っていたが、アルベルトが罠に嵌められ、拘束される姿を見て味方と判断した。その後、アルベルトの救出に奔走し、共に混乱の収拾に尽力する。騒乱終結後、宇宙軍大尉に昇進。

 

・コンラート・フォン・ランズベルク

 リューベック総督府教育局長。ランズベルク伯爵家の縁者。善人ではあるが、官僚としては極めて無能。というか官僚にしてはいけない人間。アルベルトとの個人的な友誼から味方に付いたが、割とお荷物だった。壺集めが趣味で、エリーという妻と子供がいる。

 

・ヨーナス・ロンペル

 駐留艦隊司令部付き士官。ノーベル大佐の副官業務を行っている。平民出身者であり、強烈な反貴族主義者。その理由は領地貴族に理不尽に弟を殺されたからである。が、自治領民の事は蔑視している。クラークライン監獄の虐殺を指揮し、その結果革命派に憎まれ、最終的にアルベルトの指示で処刑された。尤も、軍規・帝国法に照らせば彼が死刑に処される事は無く、アルベルトは彼を死に追いやった事を自分の罪であると認識している。

 

・ベルンハルト・フォン・シュリーフェン

 リューベック駐留帝国地上軍総督府防衛大隊長。地上軍中佐。グリュックスブルク中将の密命を明かし、協力を求めたアーベントロート中尉を「法的根拠が怪しい」と思いながらも諸般の事情を鑑み信用した。騒乱終結後、地上軍大佐に昇進。

 

・ルーカス・フォン・アドラー

 リューベック駐留帝国地上軍クラークライン監獄駐留大隊長。地上軍中佐。ブラウンシュヴァイク公爵の縁者に正論を吐いて辺境に追いやられた気骨の人。権威と勢いで押し切ろうとしたアルベルトに対しても一歩も退かなかった。一方で杓子定規に過ぎる部分もあり、自治領民の反発を予想しながらも駐留艦隊司令部の処刑命令に服従したり、フェルバッハ総督が駐留艦隊司令部の指揮権を無効と主張した際も当初反論しようとしたりした。最終的にはフェルバッハ総督に従ったが、駐留艦隊司令部での戦闘の際にノーベル大佐の手の者に撃たれ死亡する。

 アルベルトは彼を邪魔に思う一方で、気骨ある性格に好感を抱いており、その死を惜しんだ。もしかしたらアルベルトと間違われて撃たれた可能性もある。

 

・カール・フォン・ロッペンハイム

 リューベック駐留帝国地上軍ランペール方面軍司令官。地上軍准将。帝国軍人には珍しく、自治領民を蔑視しない開明的な性格だったが、それが悪い方向に働きレンドの暴動を招く。暴動初期に殉職。もしかしたら彼が強硬的な姿勢で最初から武力行使での鎮圧を目指していれば、『リューベック奪還革命』はその初期に鎮圧されていた可能性もある。

 

・クラウス・ハンテンブルク

 リューベック駐留帝国地上軍領都警衛隊司令官。地上軍准将。ミシャロンの仕込んだ内通者によって警衛隊司令部庁舎内で銃撃され死亡する。辺境には珍しい有能な将官だった。

 

・ダニエル・アーレンバーグ

 ライティラ星系分治府主席。クラークライン監獄とは別の監獄に収監されていたが脱出。革命臨時政府主席に就任する。騒乱終結後、オトフリート五世から『藩王』の称号を与えられ、名目的にリューベック藩王国の統治者となる。

 

・バーナード・ロシェ

 リューベック立法府議長。クラークライン監獄の虐殺を幸運にも生き延びた。ミシャロンとアルベルトの話し合いに居合わせたことをきっかけに、二人の計画に協力する。

 

・マイルズ・ラングストン

 革命臨時政府軍クリステンセン大隊長。ミシャロンの同志。

 

・マルティン・ツァイラー

 リューベック駐留帝国地上軍ヘルセ駐屯地司令。地上軍大佐。病院から救出されたフェルバッハ総督を支持した。騒乱終結後、地上軍准将に昇進。

 

・ハリソン・カークライト

 自由惑星同盟軍第三艦隊司令官。宇宙軍中将。

 

・シドニー・シトレ★

 自由惑星同盟軍第三艦隊作戦参謀。宇宙軍少佐。カークライト中将に第二辺境艦隊を誘い込んで逆撃する作戦を献策した。

 

・ハウザー・フォン・シュタイエルマルク★

 帝国軍務省次官。宇宙軍上級大将。ジークマイスター機関の指導者だが、エーレンベルクの目を気にして、リューベック騒乱に有効な手立てを打つことが出来なかった。

 

・フーベルト・フォン・エーレンベルク☆

 帝国軍務省高等参事官。宇宙軍中将。領地貴族出身者。リューデリッツと共にミヒャールゼンを追い詰めた。機関の生き残りが居ることを疑っており、リューベックの騒乱に関わった人物を集め査問を行うことで、機関の関与の有無を確かめようとした。

 

年表

宇宙歴七四〇年、アルベルト誕生

宇宙歴七四五年、『第二次ティアマト会戦』帝国軍大敗。

宇宙歴七四六年、統帥本部次長オトフリート・フォン・リンダーホーフ宇宙軍上級大将。立太子される。

宇宙歴七四七年、財政危機への対処で皇太子オトフリートが租税法を大規模改正し、増税を行おうとする。が、オーディン高等法院の抵抗で断念。『第三次エルザス会戦』でジャスパー大敗。

宇宙歴七四八年、敗戦にショックを受けていたコルネリアス二世の前にアルベルト大公が現れる。アルベルト大公によって多くの貴族が金品を騙し取られる。

宇宙歴七四九年、アルベルト大公失踪。オトフリート三世即位。

宇宙歴七五一年、『パランティア星域会戦』でコープが戦死。ミヒャールゼンの存在がリューデリッツらに露見する。『ミヒャールゼン暗殺事件』発生。この頃宮廷が混乱し、オトフリート三世が衰弱死。

宇宙歴七五二年、オトフリートの弟、エルウィン=ヨーゼフ・フォン・リンダーホーフ侯爵がエルウィン=ヨーゼフ一世として中継ぎで即位。その後、宮廷の混乱を鎮めた後でオトフリート四世が正式に即位。

宇宙歴七五四年、『第四次ロートリンゲン会戦』で帝国軍、辛くも同盟軍を撃退。カルテンボルン着任。『幼年学校平民生徒弾圧事件』発生。『有害図書愛好会』結成。

宇宙歴七五五年、『幼年学校長弾劾事件』発生。カルテンボルン失脚。

宇宙歴七五六年、アルベルト、クルト、ジークマイスター機関に参加。

宇宙歴七五七年、オットー・ハインツ二世即位。

宇宙歴七五七年、オトフリート皇太子がオーディン高等法院に租税法改正法案登録を迫るも拒否される。帝前三部会開催、カストロプ公爵派の切り崩しによって租税法改正に成功。

宇宙歴七五九年、リューベック自治領(ラント)で大暴動発生。

宇宙歴七六〇年、『イゼルローン要塞建設建白書』提出。

宇宙歴七六一年、『リューベック奪還革命』発生。『第四次リューベック会戦』で帝国軍敗北。

宇宙歴七六三年、イゼルローン要塞建設開始


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。