アルベルト・フォン・ライヘンバッハ自叙伝   作:富川

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皆さん大体章が進むに連れて登場人物紹介をやらなくなっていくんですよね。
実際自分でやって見て気づきました。これ章が進むほど大変ですね。紹介を省いても良いんですが、主要人物よりは重要か重要じゃないか微妙なライン(例えばアンドレアス公爵とか)の方が紹介の需要がありそうっていうのが悩ましいです。帝国は貴族制ですから苗字だけだと後々混乱を招きかねないですし。

そういう訳なので登場人物紹介の続きは後回しにして今日中に最新話投下しておきます。
登場人物紹介その三とか年表はボチボチ作っておきます。


第三章登場人物紹介・その二

・オットー・フォン・ブラウンシュヴァイク★

 建国以来の歴史を誇るブラウンシュヴァイク公爵家の当主。ゴールデンバウム王朝から見ると実は外様の一族であり、警戒されている。一方でブラウンシュヴァイク側も国家への帰属心はさして持ち合わせていない。

 宇宙暦七六五年頃、クレメンツ大公に接近し、これを取り込む。それ以前から貴族への課税も含む租税法改正等に反対していた。

 宇宙暦七六六年にオトフリート五世が崩御すると、クレメンツ大公を支持して要塞建設や緊縮財政を批判する。また、務めて『臣民の味方』を演じた。この時期、リヒャルト大公派と激しく対立する。

 宇宙暦七六八年のクロプシュトック事件では軽傷を負うに留まる。内務尚書カール・フォン・ブラッケ侯爵の秘密捜査チームは、当初ブラウンシュヴァイク公爵もまた爆弾テロの標的の一人に含まれていたのではないかと推測した。同年のクレメンツ一世即位時、宰相代理兼国務尚書に就任する。

 宇宙暦七六九年、独断でクロプシュトック征伐を敢行するが、クロプシュトック侯爵の激しい抵抗にあう。同年の名士会議で撤兵に同意する。また同名士会議でブラッケ侯爵による追及を利用する形で首尾よくリッテンハイム侯爵を司法尚書の座から引きずり下ろした。名士会議後、いよいよ足元を固めて開明派との対立姿勢を鮮明にしていたが、『三・二四政変』で拘束され、国家反逆罪に問われあっさりと処刑される。

 

・ウィルヘルム・フォン・リッテンハイム(四世)★

 建国以来の歴史を誇るリッテンハイム侯爵家の当主。ゴールデンバウム王朝から見ると実は外様の一族であり、警戒されている。一方でリッテンハイム側も国家への帰属心はさして持ち合わせていない。

 宇宙暦七六五年頃、クレメンツ大公に接近し、これを取り込む。それ以前から貴族への課税も含む租税法改正等に反対していた。

 宇宙暦七六六年にオトフリート五世が崩御すると、クレメンツ大公を支持して要塞建設や緊縮財政を批判する。また、務めて『臣民の味方』を演じた。この時期、リヒャルト大公派と激しく対立する。

 宇宙暦七六八年のクロプシュトック事件では爆心地から離れており無傷だった。内務尚書カール・フォン・ブラッケ侯爵の秘密捜査チームは、リッテンハイム侯爵がクロプシュトック事件の本当の黒幕であると推測した。同年のクレメンツ一世即位時、司法尚書に就任する。

 宇宙暦七六九年、ブラウンシュヴァイク公爵が独断でクロプシュトック征伐に乗り出したためにこれを激しく批判したが、いくらかの取引の後、自身も私兵を率いて侵攻した。しかし、クロプシュトック侯爵の激しい抵抗にあう。同年、ブラッケ侯爵らの秘密捜査チームの存在が明らかになり、ブラッケ侯爵の強硬姿勢に慌てて名士会議を開き、ブラッケを失脚させようとする。が、ブラッケ(正確にはインゴルシュタット)の用意した切り札を前にその試みは失敗し、さらにブラウンシュヴァイク公爵の奇襲で失脚に追い込まれる。

 しかし、同年の『三・二四政変』時にはそれが幸いし既に領地に帰っていた為、拘束を免れた。

 

・クラウス・フォン・トラーバッハ

 ブラウンシュヴァイク派の名門領地貴族。伯爵。

 宇宙暦七六七年頃、クレメンツ大公派としてリヒャルト大公派と対立した。

 宇宙暦七六九年頃、クロプシュトック征伐に参加した結果、クロプシュトック侯爵軍の敗北し戦死。生前、クリスティーネ・フォン・ゴールデンバウムを馬鹿にしていた。

 

・アーベル・フォン・ヒルデスハイム

 ブラウンシュヴァイク一門の重鎮。伯爵。

 宇宙暦七六七年頃、クレメンツ大公派としてリヒャルト大公派と対立した。

 

・クルト・フォン・ヒルデスハイム

 ヒルデスハイム伯爵家の縁者。ブラウンシュヴァイク一門から軍に送り込まれた尖兵の一人。

 宇宙暦七六七年にドラゴニア特別派遣艦隊で副参謀長を務める。階級は宇宙軍准将。実家からのプレッシャーから功を焦っており、ドラゴニア三への核攻撃を画策した。

 宇宙暦七六八年の大敗時、行方不明となる。

 

・ヨッフェン・フォン・レムシャイド★

 建国以来の名門官僚貴族家、レムシャイド伯爵家の嫡子。優秀な内務官僚であり、またそれにも関わらず辺境勤務の経験も多く、特に難治の地であるアウタースペースの自治領政策に精通している。その為、貴族階級の特権意識を持ちながらも「下々の暮らし」を(貴族階級の内務官僚としては)極めて偏見なく理解している。

 宇宙暦七六七年頃、リヒャルト大公派としてクレメンツ大公派と対立した。

 宇宙暦七六八年にクレメンツ一世が即位するとリヒャルト大公派の主だった者は粛清されたが、門閥派への牽制として彼は粛清されず、国務省フェザーン高等弁務官事務所参事官に任命された。

 

・ブルーノ・フォン・ヴェストパーレ

 爵位こそ低いが、明敏な頭脳と洗練された立ち振る舞い、そして整った顔立ちの持ち主であり、高名な歴史学者として広く知られている。また、熱烈な地球趣味者としての顔を持つことでも知られており、いわゆるシャーロキアンである。帝国大学歴史学部特任教授。

 宇宙暦七六六年頃、後に開明派を形成する人々が少しずつ彼のサロン『ベイカー街不正規連隊』に集まり始める。

 宇宙暦七六七年頃には彼自身も開明派の一員として知られているが、彼自身は政治の世界から距離を置いている。しかし、開明派を形成する彼の友人たちが対立した際はその間に立つことを厭わない。

 宇宙暦七六九年の帝国名士会議にはその歴史学者としての声望と恐らくは開明派への影響力から議員の一人として選ばれる。

 

・カミル・フォン・クロプシュトック

 ウィルヘルム・フォン・クロプシュトック侯爵の叔父であり、分家の伯爵家を継いだ人物。予備役中将の階級を持つ。

 宇宙暦七六六年頃、彼の娘コンスタンツェとアルベルトの婚約が決まるが、同年のオトフリート五世の崩御、その後のドラゴニア戦役などが原因で挙式は上げられなかった。同時期、中立派のサロンを訪れてはリヒャルト大公派の支持拡大に努めている。

 宇宙暦七六八年のクロプシュトック事件で死亡。しかし、黒幕に仕立てられるクロプシュトック侯爵の縁者が死んでいるのは都合が悪いということでその死は隠蔽された。

 宇宙暦七六九年の帝国名士会議では内務尚書カール・フォン・ブラッケ侯爵が彼が死亡している事実を突きつけて憲兵総監部の捜査の不備を指摘、そこにブラウンシュヴァイク公爵が便乗し、リッテンハイム侯爵の失脚へと繋がった。

 

・コンスタンツェ・フォン・クロプシュトック

 カミルの娘。アルベルトの婚約者。

 宇宙暦七六八年のクロプシュトック事件で父が死亡する姿を目撃。クロプシュトック侯爵が下手人と発表された後は、婚約者のライヘンバッハ家を頼り、匿われた。気落ちしていた彼女を元気づける為にアルベルトは色々と試み、その結果として最終的に彼女は本の虫となった。アメリア・イアハートの伝記を読んでパイロットに憧れるような純真な性格。

 

・ラルフ・ヘンドリック・フォン・クラーゼン☆

 元『有害図書愛好会』非常勤参謀長。アルベルトの友人。察しがよくジークマイスター機関の存在に勘付いているが、物証がない事と彼の一族の家訓に従い、深くを知ろうとはしていない。

 宇宙暦七六六年にはガイエスブルク要塞司令部情報副部長に着任。階級は宇宙軍中佐。

 宇宙暦七六七年にはドラゴニア特別派遣艦隊所属第一二特派戦隊情報部長に転属。アルベルトを補佐し、一連の戦いで宇宙軍大佐に昇進した。

 宇宙暦七六八年には帝都防衛軍司令部情報部長を務めている。階級は宇宙軍准将。ブラッケ侯爵の秘密捜査チームに参加する。

 宇宙暦七六九年の『三・二四政変』では一早くクーデター派の動きに気づくが、上官のディートハルト・フォン・ライヘンバッハがクーデター派に繋がっていた為に有効な手立てを打てなかった。事態が進行する中でその事実を察し、独自に部隊を動かそうと試みるが、官僚主義に毒された同僚の拒絶に遭い断念。帝都防衛軍司令部を脱出し潜伏した。政変中は息を潜め、ライヘンバッハ裁判終了後に保安警察庁に出頭した。

 

・カール・オイゲン・フォン・フォーゲル

 宇宙暦七六六年時点で幕僚総監を務めている。階級は宇宙軍元帥。元・帝国騎士で元帥昇進時に子爵位を与えられた。

 宇宙暦七六七年に帝国軍三長官が退役したことで宇宙艦隊司令長官に就任する。

 宇宙暦七六八年のクロプシュトック事件で死亡。

 

・マルセル・フォン・シュトローゼマン

 アルベルトが幼年学校で親しかった先輩。領地貴族の男爵家出身。大貴族嫌いで平民嫌い。完全実力主義者。父を第三次エルザス会戦の不自然な状況で失っている。卒業後第四辺境艦隊司令部に配属され、その後兵站輜重総監部勤務、ガルミッシュ要塞駐留艦隊第二分艦隊副参謀長、第二猟兵分艦隊参謀長を務める。

 宇宙暦七六七年にドラゴニア特別派遣艦隊が編成されると同艦隊人事部長に就任。階級は宇宙軍大佐。

 宇宙暦七六八年の大敗時、行方不明となる。

 

・ファビアン・フォン・ルーゲンドルフ

 地上軍に影響力を持つ名門帯剣貴族ルーゲンドルフ公爵家の当主。軍部保守派の地上における重鎮。

 宇宙暦七六七年に統帥本部総長に就任した。階級は地上軍元帥。前職は地上軍総監。気骨と権威を十二分に持ち合わせた軍人であったが、地上軍出身である為に宇宙作戦では軽く見られ、影響力を発揮できなかった。

 宇宙暦七六八年のクロプシュトック事件で負傷し、そのまま退役に追い込まれる。

 宇宙暦七六九年の『三・二四政変』ではクーデター派に拘束される。

 

・ディートハルト・フォン・ライヘンバッハ

 アルベルトの従兄。ライヘンバッハ伯爵家の家督をアルベルトと争う立場。

 宇宙暦七四五年の第二次ティアマト会戦時、カルテンボルン艦隊に属していたが、何とか生還する。

 その後、カール・ハインリヒの下で冷遇されていた。

 宇宙暦七六七年には閑職である幕僚総監部作戦部長を務めていた。階級は宇宙軍中将。同年に上官のフォーゲル元帥が宇宙艦隊司令長官に就任したことで彼から信頼されていたディートハルトも宇宙艦隊総司令部作戦部長として復権する。

 宇宙暦七六八年のクロプシュトック事件でフォーゲル元帥が死亡した後は宇宙艦隊総司令部を追い出され、丁度同事件の責任を追及されたインゴルシュタット中将が左遷されて席が空いた帝都防衛軍司令官に転属する。

 宇宙暦七六九年の『三・二四政変』ではクーデター派に内通し、帝都防衛軍を事実上無力化した。

 

・ヴィンツェル・フォン・クライスト☆

 元『有害図書愛好会』メンバー。アルベルトの友人。クロプシュトック一門でマリエンブルク要塞を任されているクライスト子爵家の嫡男。

 宇宙暦七六七年、ドラゴニア特別派遣艦隊所属第一二特派戦隊後方部長に就任する。

 宇宙暦七六八年にクロプシュトック事件が起きると帝都帰還と同時に憲兵総監部特事局に拘束されそうになるがアルベルトに庇われる。その後、ライヘンバッハ伯爵家の協力で帝都を抜け出す。

 

・ルーブレヒト・ハウサー☆

 元『有害図書愛好会』メンバー。アルベルトの一年後輩。統率力と独創性のある人物。

 宇宙暦七六七年にドラゴニア特別派遣艦隊所属第一二特派戦隊第二六一巡航群司令代理を務めている。階級は宇宙軍少佐。ドラゴニア戦役中に武功を評価され宇宙軍中佐に昇進する。

 

・エッカルト・ビュンシェ

 元『有害図書愛好会』メンバー。敏腕弁護士の息子。

 宇宙暦七六七年にドラゴニア特別派遣艦隊所属第一二特派戦隊情報副部長を務める。階級は宇宙軍少佐。

 

・ユリウス・ハルトマン

 元『有害図書愛好会』メンバー。大商人の息子。幼年学校卒業後ジークマイスター機関に加わる。

 宇宙暦七六〇年に第二辺境艦隊司令部に勤務。『茶会(テー・パルティー)』計画支援に携わった。

 宇宙暦七六七年にドラゴニア特別派遣艦隊所属第一二特派戦隊後方副部長を務める。階級は宇宙軍大尉。

 

・マーシャル・ペイン

 元『有害図書愛好会』メンバー。子爵家令息。

 宇宙暦七六七年にドラゴニア特別派遣艦隊所属第一二特派戦隊憲兵隊長を務める。階級は宇宙軍少佐。

 

・カミル・エルラッハ☆

 アルベルトの幼年学校時代の知人。優秀な能力と、無駄に強い反骨精神、そしてカリスマ性を併せ持つ。幼年学校を不当な退学処分で去った後、敢えて復学せずに士官学校に再入学する。

 宇宙暦七六七年にドラゴニア特別派遣艦隊所属第一二特派戦隊作戦副部長を務める。階級は宇宙軍少佐。

 

・エーリッヒ・フォン・ラムスドルフ☆

 元『有害図書愛好会』メンバー。近衛に影響力を持つ帯剣貴族の名門ラムスドルフ侯爵家の次男。強い選民意識を持っているが、同時に高潔な精神を有しており、経済的・政治的・身分的弱者に対しても決して理不尽な真似はしない。高貴なる者の義務(ノブレス・オブリージュ)を正しく理解している人物。また、観察眼に優れている。

 宇宙暦七六七年には近衛第三旅団長を務める。階級は近衛軍准将。ドラゴニア特別派遣艦隊に旅団を率いて加わった。一連の戦いの中で近衛軍少将に昇進。また、多くの地上軍部隊が取り残される中で生還する。

 宇宙暦七六八年にはクロプシュトック事件のとばっちりを食らった父マルク・ヨアヒムが左遷されたことで、自身も皇室宮殿(パラスト・ローヤル)警備責任者という閑職に回されている。内務尚書カール・フォン・ブラッケ侯爵の秘密捜査チームに参加したアルベルトに協力し、クロプシュトック事件当時、警備にあたっていた平民・下級貴族の近衛兵を集めた。

 宇宙暦七六九年の『三・二四政変』では父が参加しているにも関わらず、当初クーデター派に対して徹底抗戦の構えを取っていたらしい。

 

・マルク・ヨアヒム・フォン・ラムスドルフ

 エーリッヒの父。

 宇宙暦七五五年頃には既に近衛兵総監を務めている。その後、長年に渡って近衛兵総監を務めていた。

 宇宙暦七六八年のクロプシュトック事件で警備の責任を問われ短期間後備兵総監を務めた後予備役に編入された。

 宇宙暦七六九年の『三・二四政変』ではクーデター派の一員として近衛兵総監部を制圧した。政変後近衛兵総監に復帰し、近衛軍元帥となった。

 

・ヘンリク・フォン・オークレール

 ライヘンバッハ一門の末席に名を連ねる帝国騎士家の当主。アルベルトの元護衛士であり、地上軍中佐。ジークマイスター機関の構成員。

 宇宙暦七六七年にはドラゴニア特別派遣艦隊所属第一二特派戦隊副参謀長を務めた。

 宇宙暦七六九年には帝都防衛軍に所属する連隊を指揮しており、階級は地上軍大佐。

 

・ウィリバルト・ヨアヒム・フォン・メルカッツ★

 宇宙暦七六〇年時点でリューベック駐留艦隊第三作戦群司令代理。階級は宇宙軍少佐。アルベルトの父から「多大な恩」を受けており、アルベルトに対し好意的だった。アルベルトがリューベックに赴任する一年前の大暴動の際に何かあったと思われる。

 リューベック騒乱では早い段階からアルベルトの味方に立ち、要所要所で助けになった。開明的な価値観を持っている訳では無いが、貴族的選民意識は大分弱い。騒乱終結後、宇宙軍中佐に昇進。

 その後も交友は続いている。

 宇宙暦七六七年にはドラゴニア特別派遣艦隊所属第一一特派戦隊司令官を務める。階級は宇宙軍准将。ドラゴニア戦役ではミュッケンベルガー少将やゼークト准将、アルベルトと共に活躍し、同盟軍に「新世代の一一人」として名を知られた。戦役後、宇宙軍少将に昇進。

 

・マルティン・ツァイラー

 宇宙暦七六〇年時点でリューベック駐留帝国地上軍ヘルセ駐屯地司令。地上軍大佐。病院から救出されたフェルバッハ総督を支持した。騒乱終結後、地上軍准将に昇進。

 その後、ジークマイスター機関の協力者となる代わりに帝都勤務に栄転。第一六一混成師団長を務める。ただし、本人は反国家組織に協力しているという自覚は無い。

 宇宙暦七六七年には師団を率いてドラゴニア特別派遣艦隊の指揮下に入る。アルベルトの第一二特派戦隊と行動を共にし、生還する。

 

・ベルンハルト・フォン・シュリーフェン

 宇宙暦七六〇年時点でリューベック駐留帝国地上軍総督府防衛大隊長。地上軍中佐。グリュックスブルク中将の密命を明かし、協力を求めたアーベントロート中尉を「法的根拠が怪しい」と思いながらも諸般の事情を鑑み信用した。騒乱終結後、地上軍大佐に昇進。

 宇宙暦七六七年にはドラゴニア特別派遣艦隊第一分艦隊作戦部長を務める。

 

・リヒャルト・フォン・グリンメルスハウゼン★

 宇宙暦七六六年時点でフリードリヒ大公の侍従武官を務めている。階級は宇宙軍准将。類まれな情報蒐集能力の持ち主であり、閑職にありながらマルティン・オットー・フォン・ジークマイスターという名前に辿り着いて見せた正真正銘の化け物。しかし、それを活かす情報活用能力と情報判別能力は一切持っておらず、結局その情報蒐集能力は親友である主フリードリヒの無聊を慰めることだけに使われた。

 宇宙暦七六八年には宇宙軍少将に昇進していたが、クロプシュトック事件でフリードリヒを庇い死亡。その死はフリードリヒに多大な影響を与えたが、それが良い影響か悪い影響か、この時点では判然としない。「侍従武官の鑑」と称えられ、死後宇宙軍大将に昇進。

 

・フリードリヒ・フォン・ゴールデンバウム★

 オトフリート五世倹約帝の次男。優れた兄と弟が存在し、しかも自分が彼らより劣っている凡庸な人物であることを自覚できる程度の才覚があり、さらに皇室の一員として相応しくあろうと努力する程度に真面目な性格だったために、周囲の期待に応えきれない不甲斐なさに絶望する。その後は凄まじい放蕩生活を送った。一方で妻フィーネの事は彼なりに愛しており、また子供たちに対しては愛情を注いでいた。家族を除くと唯一リヒャルト・フォン・グリンメルスハウゼンのみを親友と認め心を許していた。

 宇宙暦七六六年にアルベルト、ラムスドルフと知り合う。

 宇宙暦七六八年に弟クレメンツが即位するとグリューネワルト公爵位を与えられ、フリードリヒ・フォン・グリューネワルト公爵を名乗るようになる。同年、クロプシュトック事件で唯一無二の親友グリンメルスハウゼンを失う。その後は放蕩を一切しないようになり、皇室宮殿(パラスト・ローヤル)に籠るようになる。この頃、アルベルトやラムスドルフとの交流を深め、彼らを他の人間よりは信用するようになる。

 宇宙暦七六九年の『三・二四政変』の結果、神輿としてフリードリヒ四世として即位させられる。

 

・オスカー・フォン・バッセンハイム

 ハウザー・フォン・シュタイエルマルクの元部下であり、カール・ハインリヒ・フォン・ライヘンバッハの元部下でもある。剛勇で知られる猛将。

 宇宙暦七六六年に黄色弓騎兵艦隊司令官を務めており、階級は宇宙軍大将。第一次アルトミュール会戦でフレデリック・ジャスパー率いるドラゴニア侵攻艦隊を撃退する。

 宇宙暦七六八年に自由惑星同盟軍が『回廊の自由(フリーダム・オブ・コーリダー)』作戦を発動し、大規模侵攻の素振りを見せると、艦隊を率いて回廊防衛に動く。数で劣る上に政争で援軍を得られなかった為に最終的に要塞を爆破して撤退を余儀なくされるが、それまで奮戦し同盟軍にも相当な痛手を与える。しかし自身も旗艦を沈められ負傷。肩腕を失う。

 ドラゴニア=イゼルローン戦役後、敗戦の責任を取らされるが流石に中央政府も政争に明け暮れた負い目を感じており、階級据え置きのまま軍務省高等参事官へ転属という温情措置が取られた。この頃、シュタイエルマルク元帥に請われその元帥府に所属する。しかし、敬愛する元上官カール・ハインリヒを今でも慕っており、明確にライヘンバッハ派として振舞っている。

 宇宙暦七六九年の『三・二四政変』でクーデター派に拘束される。

 

・ワルター・フォン・バッセンハイム

 オスカーの従弟。

 宇宙暦七六七年にドラゴニア特別派遣艦隊第二分艦隊司令官を務めていたが、翌年の大敗の際に第一六二混成師団の反乱で拘束され、同盟軍に引き渡されて虜囚となった。

 

・パトリック・レンネンカンプ

 宇宙暦七六七年にドラゴニア特別派遣艦隊所属第一二特派戦隊参謀長を務める。階級は宇宙軍大佐。当時のライヘンバッハ元帥府に所属していた。宇宙艦隊総司令部で長年作戦参謀を務めていたベテラン。第二次ティアマト会戦ではコーゼル大将の黒色槍騎兵艦隊で巡航艦艦長として戦い抜いた。髪が少し薄くなってきているが堂々たる体躯でアルベルトよりよほど貫禄がある。ヘルムートという息子が居るらしい。

 

・マヌエル・フォン・エッシェンバッハ

 宇宙暦七六七年にドラゴニア特別派遣艦隊所属第一二特派戦隊作戦部長を務める。階級は宇宙軍中佐。当時のライヘンバッハ元帥府に所属していた。比較的若手ではあるが、それでも三五歳。いくつもの会戦に従軍して今の階級まで登り詰めてきた。彼の本家はヴィレンシュタイン公爵の反乱に巻き込まれて断絶したエッシェンバッハ伯爵家であるが、彼自身は帝国騎士出身であり、身分にさほど拘りは無い。ただし、エッシェンバッハ家を再興する夢を持っており、上昇志向は強い。アルベルトの戦隊に配属される際にはカール・ハインリヒに対して熱心に自分を売り込んだらしい。

 

・イグナーツ・フォン・ハウプト☆

 宇宙暦七六七年にドラゴニア特別派遣艦隊所属第一二特派戦隊作戦部長を務める。階級は宇宙軍中佐。軍部保守派で父に近いアルベルト・フォン・マイヤーホーフェン宇宙軍大将が回してくれた人材。ただし、マイヤーホーフェン大将も持て余していたようで、「能力の高さは人事局一だが……扱いづらさでも人事局一」と評している。

 

・カール・バーシュタット・フォン・ブレンターノ☆

 宇宙暦七六七年にドラゴニア特別派遣艦隊所属第一二特派戦隊法務部長を務める。階級は宇宙軍中佐。

 彼の家は帝国騎士であり、代々の当主は皆帝都憲兵隊に勤務している。だがブレンターノ家は彼の父の代からジークマイスター機関の協力者になっており、憲兵隊の内部情報を機関に漏らしていた。それがバレそうになったこともあり、緊急避難を兼ねてアルベルトの戦隊の法務部長に転属してきた。古巣はイゼルローン方面辺境に駐留する戦隊以下の独立部隊及び基地と地上軍及び駐屯地を統括する憲兵総監部警保局第三課。

 宇宙暦七六八年には古巣に戻っているが、そこから内務尚書カール・フォン・ブラッケ侯爵の秘密捜査チームに協力していた。階級は宇宙軍大佐。

 宇宙暦七六九年の『三・二四政変』時には憲兵を集めて要人保護に動いたが、皮肉にも秘密捜査チームの捜査結果を基に内務尚書カール・フォン・ブラッケ侯爵が憲兵総監部の職権を制限していた為に少数の憲兵しか集められず、最終的には降伏を余儀なくされた。

 

・カール・ロベルト・シュタインメッツ★

 宇宙暦七六五年にノイシュタット幼年学校を卒業。士官学校へは進まずにそのまま軍に入り、ザールラント方面で活動する独立分艦隊の一つ、第四猟兵分艦隊に配属された。

 宇宙暦七六七年にドラゴニア特別派遣艦隊が編成されるにあたり、前世の記憶を基にアルベルトから副官に任命された。この時階級は宇宙軍少尉。一連のドラゴニア=イゼルローン戦役でその才能の片鱗を見せる。

 

・ハンス・ヨーデル・フォン・シュムーデ☆

 凡庸だが、帝国軍でも最高クラスの『プロフェッショナル』。独創性は皆無だが、与えられた職責を全うすることにかけて右に出る将官は居ない。要するに優秀な上司が適切な指示を与えたときに水準以上の能力を発揮できるタイプの提督。

 宇宙暦七五一年のパランティア星域会戦でジョン・ドリンカー・コープに完勝。その後、ジャスパーによって痛撃を受け、これによって昇進を逃す。階級は宇宙軍中将。その後、武勲を立てる機会に恵まれず、部隊を転々とする。一応、水準以上の部隊管理能力があると見做されており、別に閑職に回されていた訳ではない。

 宇宙暦七六七年、ドラゴニア特別派遣艦隊司令官に抜擢される。長年武勲を立てる機会に恵まれなかったことで功を焦っており、前のめりの姿勢が目立った。アルベルトはこれによってシュムーデ提督の持ち味が失われることを危惧した。

 宇宙暦七六八年、ドラゴニア星系への侵攻を強行した結果大敗。激戦の中で行方不明となる。

 

・グレゴール・フォン・ミュッケンベルガー★

 第二次ティアマト会戦後没落したミュッケンベルガー子爵家の当主。士官学校を首席で卒業後、前線でも後方でも目覚ましい功績を挙げる。

 宇宙暦七六五年、二七歳の時には既に宇宙軍少将に昇進しており、これはシュタイエルマルク・ライヘンバッハの両元帥さえ上回る昇進スピード。

 宇宙暦七六七年にはドラゴニア特別派遣艦隊副司令官兼第一分艦隊司令官を務めた。その後のドラゴニア=イゼルローン戦役では二倍の敵を撃破するなど大活躍し、シュムーデ中将が行方不明になった後は指揮権を継承する。その戦いぶりは歴戦の猛将バッセンハイム大将や同盟からも一目置かれた。戦役の後宇宙軍中将に昇進。同盟からは「新世代の一一人」の筆頭と見做され、称えられた。

 

・ロータル・フォン・ライヘンバッハ

 宇宙暦七六七年にドラゴニア特別派遣艦隊地上担当副司令官を務めた。階級は地上軍少将。カール・ハインリヒの従弟にあたる。ドラゴニア=イゼルローン戦役の中で戦死する。

 

・ヨーゼフ・フォン・グライフス☆

 宇宙暦七六七年にドラゴニア特別派遣艦隊所属第一特派戦隊司令官を務めた。階級は宇宙軍准将。ドラゴニア=イゼルローン戦役ではミュッケンベルガー少将の旗下で奮戦し、「新世代の一一人」に数えられたが、最終盤のアルテナ星域会戦で戦死。

 

・ミヒャエル・ジギスムント・フォン・カイザーリング★

 宇宙暦七六七年にドラゴニア特別派遣艦隊所属第四特派戦隊司令官を務めた。階級は宇宙軍准将。温厚な性格で人望厚い。巧緻な戦いぶりに定評がある。ドラゴニア=イゼルローン戦役で活躍し、「新世代の一一人」に数えられた。

 

・クリストフ・フォン・リブニッツ

 宇宙暦七六七年にドラゴニア特別派遣艦隊第三分艦隊司令官を務めた。階級は宇宙軍少将。建国以来の名門帯剣貴族家であるリブニッツ侯爵家の血を引く壮年の勇将。翌年の大敗時に戦死する。

 

・ウォルフラム・フォン・リブニッツ

 宇宙暦七六九年に第三装甲擲弾兵師団長を務める。階級は地上軍少将。『三・二四政変』でクーデター派に拘束される。

 

・マティアス・フォン・ハルバーシュタット

 ライヘンバッハ一門に連なる子爵家の当主。ライヘンバッハ元帥府の勇将として知られる。

 宇宙暦七六七年にドラゴニア特別派遣艦隊第四分艦隊司令官を務める。階級は宇宙軍少将。翌年の大敗時に重傷を負い、戦線を離脱する。

 宇宙暦七六九年には回復し、帝都防衛軍宇宙部隊司令官を務めている。階級は宇宙軍中将。同年の『三・二四政変』でクーデター派に拘束される。

 

・パスカル・フォン・シェーンコップ

 ワルターという息子がいる。親友のワルター・フォン・バッセンハイムから取った名前。ジークマイスター機関構成員の一人。

 宇宙暦七六七年時点で第一六二混成師団長を務めており、階級は地上軍准将。ドラゴニア特別派遣艦隊に師団を率いて加わる。ドラゴニア特別派遣艦隊の情報を同盟軍に漏らし、翌年の大敗を仕組んだ。その後親友のワルター・フォン・バッセンハイムを裏切って反乱を起こし艦隊を制圧、自身は亡命し、核攻撃を防いだ英雄として歓迎された。

 

・レオンハルト・フォン・ブローネ

 オトフリート三世猜疑帝、エルウィン=ヨーゼフ一世誠賢帝の弟にあたる人物。侯爵。兄二人の政治家としての才能と比べても見劣りしない芸術的才能を有した天才。オットー・ハインツ二世帝即位式を無断欠席した際も、自身の絵画を献上することでオットー・ハインツ二世帝の怒りを治めた。

 宇宙暦七六七年、リヒャルト大公とクレメンツ大公の皇位継承争いが激化し、政治的空白が生まれていることを憂慮した貴族たちによって摂政・大公に任じられる。

 宇宙暦七六八年のクロプシュトック事件で死亡。

 

・オトフリート・フォン・ゴールデンバウム三世★

 猜疑帝。元々コルネリアス二世の姉とリンダーホーフ侯爵の息子。優秀な軍人であり、血筋に助けられながらも第二次ティアマト会戦前には統帥本部次長に上り詰めていた。第二次ティアマト会戦後、多数の貴族将官の戦死とそれに伴う軍上層部の引責辞任によって一時的に帝国軍三長官に任命される。最終的には帝国宰相も兼任したが、宇宙暦七五一年のミヒャールゼン暗殺事件前後に猜疑心に囚われるようになり、最後は衰弱死した。皇太子時代に財政再建に尽力し、皇室財産の解放で何とか破綻をギリギリで回避した。

 偽アルベルト大公事件前後にジークマイスター機関と接触があった可能性が有る。

 

・エルウィン=ヨーゼフ・フォン・ゴールデンバウム一世★

 誠賢帝。オトフリート三世の弟でリンダーホーフ侯爵。オトフリート三世の衰弱死後、死ぬ直前に帝位継承者に指名されたこともあり、混乱した宮廷を治める為に中継ぎで即位する。類まれな決断力と鉄の意思で宮廷に秩序を回復し、その後、一年弱で甥のオトフリートに譲位を断行した。彼自身はそれが帝国に秩序を回復すると信じており、あながち間違った判断でも無かったが、後世の歴史家の一部は「誠賢帝は自身が誠実であることに拘った結果、強精帝の下で貴族が増長する結果を招いた」として批判している。

 

 


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