アルベルト・フォン・ライヘンバッハ自叙伝   作:富川

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第三章登場人物紹介・その三

・カール・フォン・ブラッケ★

 メルレンベルク=フォアポンメルン行政区の大領地貴族であるブラッケ侯爵家の当主。ブラッケ侯爵家は外様の家柄であり、交渉と妥協によって帝国貴族となった為に代々開明的な気風が強い。カールも例に漏れず開明思想の持ち主だが、歴代の当主とは違い国政レベルでの改革を志している。宇宙暦七六七年頃形成された開明派の指導者。開明派内では過激派。

 オトフリート三世猜疑帝の第一皇女の息子であり、したがってオトフリート三世猜疑帝の甥が継承したリンダーホーフ侯爵家とは縁戚関係にある。

 宇宙暦七六七年頃、ヴェストパーレ男爵邸のサロンに集った帝位継承争いの中立派を糾合し開明派を形成する。同年に『平民身分とは何か』を巡って社会秩序維持局と開明派が対立すると、帝都の各地で熱弁を振るい民衆を扇動、民衆人気を武器とするクレメンツ大公を味方につけ、インゴルシュタット中将とバルトバッフェル子爵の逮捕を防いだ。

 宇宙暦七六八年にクレメンツ一世が即位すると内務尚書に就任。ヴィルフリート・グルックを初めとする開明派官僚を引き立て、内務省改革に乗り出した。特に人材の掃きだめであった民政局の再建に尽力した。自身の出自もあり、辺境の分離・独立の動きには融和的な姿勢を取った。同年、クロプシュトック事件の経緯に不信感を抱き無任所尚書フォルゲン伯爵と共に秘密捜査チームを結成する。これが露見した為に枢密院で解任動議が可決されるが、名士会議の場で憲兵総監部の捜査に不備があったことを証明し、逆に司法尚書リッテンハイム侯爵を辞任に追い込んだ。

 宇宙暦七六九年の『三・二四政変』では民衆人気から人質を取られてクーデター派への協力を強制されたが、アルベルトの裁判で我慢の限界に達し、クーデター派に公然と楯突いた。

 

・オイゲン・フォン・リヒター★

 リンダーホーフ侯爵家一門に連なるリヒター子爵家の当主。しかし、リンダーホーフ侯爵家の血は薄い。オトフリート四世強精帝の息子でオットー・ハインツ二世帝の異母弟であり、その為に両皇帝と遠縁のリンダーホーフ侯爵家一門で断絶したリヒター子爵家を継承した。帝国大学経済学部卒業後一貫して財務官僚としてキャリアを積んでおり、リヒター子爵家は領地貴族家であるが、本人は自他共に認める生粋の官僚貴族。元々リヒテンラーデらと同じ旧ミュンツァー派に属し、左派の中心人物であったが、宇宙暦七六七年頃形成された開明派の指導者となった。開明派随一の調整家。

 宇宙暦七六七年頃、ヴェストパーレ男爵邸のサロンに集った帝位継承争いの中立派を糾合し開明派を形成する。同年に『平民身分とは何か』を巡って社会秩序維持局と開明派が対立すると、帝都の各地で熱弁を振るい民衆を扇動、民衆人気を武器とするクレメンツ大公を味方につけ、インゴルシュタット中将とバルトバッフェル子爵の逮捕を防いだ。

 宇宙暦七六八年にクレメンツ一世が即位すると財務尚書に就任。前任者のカストロプ公爵が乱した秩序の回復に努めた。出来る限り門閥貴族の影響を排する形で経済政策を立てようと試みていたが、それ故に地方門閥貴族から批判を浴びた。

 宇宙暦七六九年の『三・二四政変』では民衆人気から人質を取られてクーデター派への協力を強制されたが、アルベルトの裁判で我慢の限界に達したブラッケ侯爵が暴発したことで、クーデター派のシナリオから外れた台詞を喋った。

 

・カール・フェルディナント・フォン・インゴルシュタット

 『ダゴンの大敗』で責任を取らされたゴットリーブ・フォン・インゴルシュタットの子孫。晴眼帝の下で名誉が回復されたために、子爵家の当主である。以前より官僚貴族の旧ミュンツァー派に近い人物だったが、宇宙暦七六七年頃に開明派が形成されるとその軍部における支援者となった。バルトバッフェル子爵とは幼馴染。

 実はジークマイスター機関の古参メンバーであり、シュタイエルマルクの後を継いで指導者となった。

 宇宙暦七六七年頃、教育総監部本部長を務めている。その後、秋の人事異動で帝都防衛軍司令官に転任した。階級は宇宙軍中将。ブラッケ侯爵・リヒター子爵らが形成した開明派の一員として振舞っており、それ故に社会秩序維持局から拘束されそうになったが、帝都防衛軍司令部に立て籠もり窮地を脱した。

 宇宙暦七六八年にクロプシュトック事件が起こると警備責任を取らされ帝都防衛軍司令官を解任される。その後、軍務省官房審議官へ転任。同年にはアルベルトと共にブラッケ侯爵の秘密捜査チームに参加する。実は帝都防衛軍司令官時代に憲兵総監部の偽証を明らかにする『切り札』を発見しており、ブラッケ侯爵にそれを渡した。

 宇宙暦七六九年に『三・二四政変』が起こると潜伏し、アルベルトら軍部ライヘンバッハ派救出の機を伺っていたが果たせなかった。

 

・トーマス・フォン・ブルックドルフ☆

 オーディン高等法院の若手判事。男爵家当主。開明派に近い人物。

 宇宙暦七六七年に開明派が形成されると高等法院や司法省の若手と共にこれに同調する動きを見せた。

 宇宙暦七六八年にクレメンツ一世が即位し、司法尚書にリッテンハイム侯爵が就任するとこれと対立した。同年のクロプシュトック事件の後、嫌疑に問われた旧リヒャルト大公派の官僚一五名に「証拠不十分」として無罪を言い渡した。

 

・オットー・フォン・ノイエ・シュタウフェン

 オトフリート五世倹約帝治世下の内務尚書。ノイエ・シュタウフェン大公の子孫。侯爵家当主。既にノイエ・シュタウフェン侯爵家は家格と過去の栄光だけを持ち合わせる家となっており、内務尚書としてはお飾り。

 宇宙暦七六八年のクロプシュトック事件で死亡。

 

・シュテファン・フォン・ハルテンベルク

 宇宙暦七六七年に内務省保安警察庁公安部長を務めている。伯爵家当主。激しい管轄争いと対立の歴史を有する社会秩序維持局が開明派弾圧に乗り出したことを受け、意図的な不協力行為でインゴルシュタット中将とバルトバッフェル子爵が帝都防衛軍司令部へ逃走するのを助けた。

 宇宙暦七六八年のクロプシュトック事件後、内務尚書ブラッケ侯爵の秘密捜査チームに参加する。

 

・ユリウス・ファルケンハイン

 宇宙暦七六七年のドラゴニア戦役前半、惑星ソンヌにおいて幾度も同盟軍の攻勢を退けた帝国地上軍の名将。階級は地上軍中将。

 

・アルバート・フォン・オフレッサー☆

 宇宙暦七六七年のドラゴニア戦役前半、惑星ドラゴニア三において残存兵力を纏めて長期にわたって同盟軍に抵抗した。装甲敵弾兵。階級は地上軍少将。アドベント攻勢ではドラゴニア星系基地の一区画を一時的に炎上させる程の被害を同盟軍に与えた。

 

・ホルスト・フォン・パウムガルトナー☆

 第二次ティアマト会戦時、ハウザー・フォン・シュタイエルマルク提督の下で参謀長を務めた。

 宇宙暦七六七年には第二辺境艦隊司令官を務めており、オスカー・フォン・バッセンハイム宇宙軍大将と共にジャスパー率いる同盟遠征軍を迎え撃ち善戦した。階級は宇宙軍中将。帝国軍唯一(・・)の知将。

 

・ハンス・ディードリッヒ・フォン・ゼークト★

 宇宙暦七六七年の回廊戦役でドラゴニア特別派遣艦隊第二分艦隊副司令官を務め善戦、『新世代の一一人』に数えられる。階級は宇宙軍准将。戦役終盤に重傷を負い戦線を離脱。

 宇宙暦七六九年には赤色胸甲騎兵艦隊第三分艦隊司令官を務めている。階級は宇宙軍少将。軍部ライヘンバッハ派の一員となっていたが、それ故に『三・二四政変』でクーデター派に拘束される。

 

・イーヴォ・バッハマン、ヘルマン・フォン・フォルゲン、ミヒャエル・フォン・アイゼナッハ

 回廊戦役終盤で戦死した帝国軍指揮官。バッハマンは黄色弓騎兵艦隊第二分艦隊司令官・中将、フォルゲンは第二辺境艦隊副司令官・少将、アイゼナッハは第一二特派戦隊司令官代理・大佐。

 

・ハーゲン、カウフマン、ノーデル

 アルベルトの幕僚。

 

・ラインハルト・フォン・ケレルバッハ

 宇宙暦七六八年に黄色弓騎兵艦隊参謀長を務める。階級は宇宙軍中将。

 

・エドワード・ヤングブラッド

 同盟議会における避戦派の代表格。上院議員。反アッシュビー派の一人でもあった。

 

・アレクサンドル・エティエンヌ・フィルダート

 宇宙暦七六八年における自由惑星同盟最高評議会議長。帝国のアドベント攻勢によって反戦派・避戦派の猛批判を浴び、次期選挙への出馬を断念した。

 

・ロバート・フレデリック・チェンバース★

 宇宙暦七六八年における自由惑星同盟統合作戦本部長。同盟地上軍元帥。七三〇年に士官学校を卒業し、アッシュビーら七三〇年マフィアとも交流があったが、地上軍の士官であったために七三〇年マフィアには数えられることは無かった。ジャスパーの盟友。ドラゴニア=イゼルローン戦役後、政界に進出。

 

・フレデリック・ジャスパー★

 『七三〇年マフィア』の一員。『行進曲(マーチ)』ジャスパーの異名で知られる。帝国からの「解放民」出身者であり、対帝国積極論者。第二次ティアマト会戦以降の積極攻勢、ドラゴニア奪還作戦、『回廊の自由(フリーダム・オブ・コーリダー)』作戦を主導。

 宇宙暦七四七年の第三次エルザス会戦で帝国軍に大敗。「勝ち・勝ち・負け」の「負け」の順番だったらしい。

 宇宙暦七五一年に自由惑星同盟宇宙艦隊司令長官。リューデリッツらの罠に気づいたジークマイスター機関が送った訂正情報に従い、シュムーデ艦隊に痛撃を与える。

 宇宙暦七六七年には宇宙軍元帥となっている。回廊遠征軍を率いてバッセンハイム・パウムガルトナーらと激戦を繰り広げた。

 

・ブライアン・エイジャックス

 宇宙暦七六八年における地上軍将官会議副議長兼ドラゴニア統合任務軍司令官。同盟地上軍大将。ジャスパー派。

 

・メルヴィン・コッパーフィールド☆

 第二次ティアマト会戦時、ベルディーニの艦隊に属していた。

 宇宙暦七六八年における統合作戦本部次長。同盟宇宙軍大将。ジャスパー派。

 

・シルヴェール・ルグランジュ

 宇宙暦七六八年における宇宙艦隊総参謀長。同盟宇宙軍大将。ジャスパー派。

 

・ステファン・ヒース☆

 第二次ティアマト会戦時、アッシュビーの作戦参謀を務めた。ジャスパー派。

 宇宙暦七六八年における同盟第五艦隊司令官。同盟宇宙軍中将。ジャスパー派への忠誠心と能力を併せ持った人物。ドラゴニア=イゼルローン戦役でも活躍した。

 

・クリフォード・ビロライネン

 宇宙暦七六八年における同盟第八艦隊司令官。同盟宇宙軍中将。非ジャスパー派だが対立している訳ではない。

 

・サミュエル・ジョージ・ジャクソン★

 宇宙暦七六八年における同盟第二艦隊司令官。同盟宇宙軍中将。七三〇年に士官学校を卒業するが、反アッシュビー・反ジャスパーの姿勢で知られる。同盟軍随一の勇将。回廊戦役でもそれなりに活躍したが、最終盤、ジャスパーへの不満から戦列を乱して損害を出す。

 

・ハリソン・カークライト

 宇宙暦七六一年における同盟第三艦隊司令官。宇宙軍中将。この頃はジャスパーに近い人物。シドニー・シトレを作戦参謀として重用し、リューベック会戦で帝国軍第二辺境艦隊を撃破した。

 宇宙暦七六七年にも引き続き同職にある。ジャスパーとは距離を置いている。回廊戦役では回廊侵入を成功させるなど活躍した。

 

・ショウ・メイヨウ

 宇宙暦七六八年における同盟第九艦隊司令官。同盟宇宙軍中将。旧ウォーリック系の人物であり、ジャスパー派に近い。

 

・ツェザーリ・ブット☆

 第二次ティアマト会戦時、コープの艦隊に所属していた。

 宇宙暦七六八年に第一一艦隊司令官を務める。同盟宇宙軍中将。ジャスパー派ではあるが、艦隊にはパランティア星域会戦の遺恨が燻っている。

 

・アリアナ・キングストン☆

 宇宙暦七六八年に戦略支援集団司令官を務める。同盟宇宙軍大将。

 

・シドニー・シトレ★

 宇宙暦七六一年に同盟第三艦隊作戦参謀を務めている。宇宙軍少佐。カークライト中将に第二辺境艦隊を誘い込んで逆撃する作戦を献策した。

 宇宙暦七六七年には同艦隊副参謀長を務めている。階級は宇宙軍准将。

 

・イグナーツ・フォン・クラーマー☆

 オトフリート五世倹約帝治世下の憲兵総監。

 宇宙暦七六八年のクロプシュトック事件で死亡。

 

・エドワルド・フォン・リンダーホーフ

 エルウィン=ヨーゼフ一世誠賢帝の長男。侯爵家当主。

 宇宙暦七六八年に枢密院副議長を務めているが、クロプシュトック事件で死亡。

 

・オトフリート・フォン・リンダーホーフ

 エルウィン=ヨーゼフ一世誠賢帝の次男。

 宇宙暦七六八年のクロプシュトック事件で兄が死亡した後家督を相続、枢密院副議長を務める。

 宇宙暦七六九年の『三・二四政変』では当初中立、後クーデター派を支持した。

 

・カール・オットー・フォン・フレーゲル

 ブラウンシュヴァイク一門の重鎮。侯爵。

 宇宙暦七六八年にオーディン高等法院副院長を務めているが、クロプシュトック事件で死亡。

 

・カール・ゲオルグ・フォン・フレーゲル

 カール・オットーの息子。侯爵。

 宇宙暦七六八年にクレメンツ一世が即位すると、無任所尚書として入閣した。

 宇宙暦七六九年の『三・二四政変』で拘束、処刑された。

 

・コルネリアス・フォン・エーレンベルク

 名門領地貴族であるエーレンベルク侯爵家の当主。

 宇宙暦七六八年のクロプシュトック事件で負傷。その後、クレメンツ一世が即位すると無任所尚書として入閣する。

 宇宙暦七六九年の『三・二四政変』ではクーデター派に協力し、国務尚書に就任。従弟は軍務尚書フーベルト・フォン・エーレンベルク元帥。

 

・フーベルト・フォン・エーレンベルク☆

 宇宙暦七六一年時点で帝国軍務省高等参事官。宇宙軍中将。領地貴族の名門エーレンベルク侯爵家当主の従弟。リューデリッツと共にミヒャールゼンを追い詰めた。機関の生き残りが居ることを疑っており、リューベックの騒乱に関わった人物を集め査問を行うことで、機関の関与の有無を確かめようとした。

 宇宙暦七六七年には軍務省尚書政務官を務めている。階級は宇宙軍大将。

 宇宙暦七六八年のクロプシュトック事件後、どこかのタイミングで異様な昇進を遂げ、元帥・軍務尚書に栄達。

 宇宙暦七六九年の『三・二四政変』ではクーデター派に内通する。

 

・ハンス・アウレール・グデーリアン

 宇宙暦七六八年、回廊戦役に際して撤退支援の為に黒色槍騎兵艦隊を率いて回廊に赴いた。階級は宇宙軍大将。

 宇宙暦七六九年の『三・二四政変』ではクーデター派の一員として振舞った。

 

・アルブレヒト・フォン・キールマンゼク

 オトフリート五世倹約帝治世下の宮内尚書。官僚貴族。伯爵家当主。

 宇宙暦七六七年頃の帝位継承争いではリヒャルト大公を支持。

 宇宙暦七六八年のクロプシュトック事件で死亡。

 

・アルトリート・フォン・キールマンゼク☆

 アルブレヒトの息子。

 宇宙暦七六九年の『三・二四政変』後に行われたライヘンバッハ裁判で検察官を務める。

 

・ヨアヒム・フォン・バルマー

 オトフリート五世倹約帝治世下の司法副尚書。官僚貴族。子爵。

 宇宙暦七六七年頃の帝位継承争いではリヒャルト大公を支持。

 宇宙暦七六八年のクロプシュトック事件で死亡。

 

・クルーゼンシュテルン、ゲッフェル、カール・アウグスト・フォン・ヴァルテンベルク☆、シュトックハウゼン、フォルバー、アルレンシュタイン、フェルデベルト

 宇宙暦七六八年のクロプシュトック事件で死亡した軍高官。左から大将・兵站輜重副総監、大将・地上軍第一軍集団司令官、中将・赤色胸甲騎兵艦隊副司令官、中将・教育総監部要塞砲戦監、中将・近衛第二分艦隊司令官、中将・統帥本部人事部長、中将・士官学校長。

 

・エリアス・フォン・ノイケルン☆

 ブラウンシュヴァイク派の領地貴族。伯爵家当主。

 宇宙暦七六八年にクレメンツ一世が即位すると宮内尚書に就任。帝国学士院の管轄を巡ってリッテンハイム派の典礼尚書ヘルクスハイマー伯爵と対立した。同年には彼の領地で暴動が発生する。

 宇宙暦七六九年の『三・二四政変』で拘束、他のブラウンシュヴァイク派と同様に処刑された。

 

・ヨハネス・フォン・バルヒェット

 ブラウンシュヴァイク一門の領地貴族。伯爵家当主。

 宇宙暦七六八年にクレメンツ一世が即位すると科学尚書に就任。

 宇宙暦七六九年の名士会議で地方交付金が拡充されると、それを大規模カジノ施設建設に充てた。同年の『三・二四政変』で拘束、他のブラウンシュヴァイク派と同様に処刑された。

 

・ミヒャエル・フォン・バルヒェット

 ヨハネスの息子、アルベルトとは幼年学校で同期であったが、仲は良くなかった。

 

・ハンス・ウルリッヒ・フォン・ランズベルク

 ブラウンシュヴァイク一門の領地貴族。伯爵家当主。

 宇宙暦七六八年にクレメンツ一世が即位すると無任所尚書に就任。末弟にコンラート、息子にアルフレッド。

 宇宙暦七六九年の『三・二四政変』で拘束、他のブラウンシュヴァイク派と同様に処刑された。

 子や末弟と違い、貴族基準ではそれなりに優秀。

 

・コンラート・フォン・ランズベルク

 ハンス・ウルリッヒの末弟。特権意識に毒されているものの基本的には極めて善良な人物、しかし官僚としては名門生まれにも関わらずド辺境に左遷されるくらい無能。

 宇宙暦七六一年にリューベック総督府教育局長。アルベルトとの個人的な友誼からリューベック騒乱で彼を支持したが、割とお荷物だった。

 宇宙暦七六八年には中央に帰還しているが、やはり閑職の内務省民政局福祉課長に回されている。男爵位を保持している。クロプシュトック事件では純粋な善意からアンドレアス公爵の椅子の上にあった爆弾を閣僚席=最も高官が集まる場所に運ぶよう侍従に頼んだ。コンラートがお節介を焼かなければブラウンシュヴァイク公爵、フォルゲン伯爵らが死に、アンドレアス公爵とリヒャルト大公が黒幕とされていた。どちらにしろろくでもない結果だったが、被害はもう少しマシだった模様。

 

・マティアス・フォン・フォルゲン

 イゼルローン方面辺境最大の領地貴族。伯爵家当主。以前のイゼルローン方面辺境にはフォルゲン伯爵家に匹敵する大貴族はいくらでも居たが、自由惑星同盟との戦争が激化するにつれてほとんどの大貴族が望むと望まざるとに関わらず領地を去ることになった。フォルゲン伯爵家はその中で例外的に元々の領地に踏み止まり抵抗を続ける貴族家。領地を追われたら行くところが無くなる中小貴族は大貴族のように領地を捨てる訳にもいかず、自然フォルゲン伯爵家の庇護下に入り、共に自由惑星同盟との戦闘を続けることになった。

 そんなフォルゲン伯爵家も元々は一般的な外様系領地貴族であったが、長年に渡る自由惑星同盟との戦いの中で中央への帰属意識を強めており、その気風は下手な帯剣貴族家よりも武闘派である。最前線の家故に、後方で権力争いに明け暮れる他の貴族を蔑視している。特に近隣であるブラウンシュヴァイク公爵家・リッテンハイム侯爵家のことは怨敵自由惑星同盟に匹敵する程憎んでいる。

 宇宙暦七六八年にクレメンツ一世が即位すると、中立派として無任所尚書に就任。同年には内務尚書ブラッケ侯爵と共にクロプシュトック事件の秘密捜査チームを結成、多忙なブラッケに代わり陣頭指揮を執った。この動きが露見し、ブラッケと共に枢密院で解任動議が可決されたが、同年の名士会議でリッテンハイム侯爵が失脚したことで難を逃れた。

 宇宙暦七六九年の『三・二四政変』ではクーデター派に抵抗した後、拘束される。

 

・エルンスト・グスタフ・フォン・ボーデン

 領地貴族の伯爵家当主。特定の派閥には加わっていないが、リッテンハイム侯爵家の血を引いている。

 宇宙暦七六八年にクレメンツ一世が即位すると無任所尚書に就任。

 宇宙暦七六九年の『三・二四政変』で拘束される。

 

・フランク・マテウス・フォン・レッケンドルフ

 官僚貴族の子爵家当主。開明派の一員。

 宇宙暦七六八年に国務尚書ブラウンシュヴァイク公爵の下で国務次官補を務めていたが、保守的なブラウンシュヴァイク公爵とは上手く行かず、辞表を提出する。

 宇宙暦七六九年には国税庁長官を務めていたが、内務省社会秩序維持局に拘束される。ブラウンシュヴァイク公爵に対する最も先鋭的な批判者の一人。

 

・ヴァルター・フォン・グレーテル

 領地貴族の伯爵家当主。ブラウンシュヴァイク公爵やリッテンハイム侯爵を以ってしても無視はできない勢力を有している。

 宇宙暦七六七年頃の帝位継承争いでは中立派として振舞う。

 宇宙暦七六九年のライヘンバッハ裁判ではアルベルトに国家反逆罪が成立するという見解を述べた。

 

・オイゲン・フォン・グレーテル

 ヴァルターの息子。幼年学校におけるアルベルトの友人の一人であり、元『有害図書愛好会』メンバー。

 宇宙暦七六八年に教育総監部副宙雷戦監を務める。階級は宇宙軍少将。

 

・カール・ヨハネス・フォン・リューネブルク

 領地貴族の伯爵家当主。クロプシュトック侯爵領と領地が隣接する。

 宇宙暦七六七年頃の帝位継承争いではリヒャルト大公を支持。

 宇宙暦七六八年にクレメンツ一世が即位するとリヒャルト大公派は粛清されたが、ブラウンシュヴァイク公爵家・リッテンハイム侯爵家を牽制する役割を担う家の一つであったために粛清対象から外された。同年には内務尚書ブラッケ侯爵の結成した秘密捜査チームに参加する。枢密院議員。『西離宮大火』で下手人として疑われたことに対する憤りから秘密捜査チームの存在を暴露しながらクレメンツ大公派を批判した。

 宇宙暦七六九年の『三・二四政変』ではクーデター指導者の一人となり、アルベルトを拘束した。その後のライヘンバッハ裁判では有罪を主張しながらもアルベルトの境遇に同情して手心を加えようとした。

 

・ランベルト・フォン・クライスト

 クロプシュトック一門の帯剣貴族家であるクライスト子爵家当主。

 宇宙暦七六八年時点で宇宙軍中将の階級にあり、マリエンブルク要塞防衛司令官を務める。ブラウンシュヴァイク公爵家・リッテンハイム侯爵家の侵攻を前に迎撃を指揮した。

 

・トラウゴット・フォン・フォイエルバッハ

 下位の帯剣貴族家出身者。インゴルシュタットと同じ開明派を標榜する軍人。

 宇宙暦七六八年時点でマリエンブルク要塞駐留艦隊司令官を務めている。階級は宇宙軍中将。駐留艦隊はクロプシュトック侯爵家の牽制も役割の一つとしていたが、クロプシュトック事件の経緯に不信感を持っていたこともありクロプシュトック侯爵を支持する。その後、侵攻してきたブラウンシュヴァイク公爵家・リッテンハイム侯爵家の私兵部隊を相手に八面六臂の活躍をした。

 

・ヴィクトール・ライムント・フォン・シュミットバウアー

 ブラウンシュヴァイク公爵家一門の重鎮。侯爵家当主。

 宇宙暦七六八年のクロプシュトック征伐で後方を預かる。

 宇宙暦七六九年の『三・二四政変』時に死亡。

 

・エーリッヒ・フォン・シュタインハイル

 リッテンハイム侯爵家一門の重鎮。侯爵家当主。

 宇宙暦七六八年のクロプシュトック征伐で後方を預かる。

 宇宙暦七六九年の『三・二四政変』時に枢密院議長を務めていたが死亡。

 

・ウィルヘルム・フォン・ローゼン

 ブラウンシュヴァイク公爵家一門に連なる貴族。子爵家当主。

 宇宙暦七六八年のクロプシュトック征伐で後方を預かる。

 

・バルドゥール・フォン・モルト☆

 帯剣貴族の男爵家の分家筋出身。

 宇宙暦七六八年に近衛第一旅団第二大隊長を務めている。階級は近衛軍中佐。クロプシュトック事件当時に警備を担当していた軍人の一人。

 

・ファウスト・ノイヤー、フォン・ブラームス、アクス、フォン・ジングフォーゲル、シュルツ、フックス、シェーファー

 クロプシュトック事件当時に警備を担当してた軍人の一人。左から近衛軍中佐、近衛軍大尉・帝国騎士、近衛軍少尉、近衛軍中尉・帝国騎士、近衛軍少尉、近衛軍曹長、近衛軍伍長。

 

・エルンスト・カルテンボルン

 帝国宇宙軍少将。帝都幼年学校長に就任すると同時に宇宙軍中将に昇進。第二次ティアマト会戦で兄が死んで以降、地方に左遷されていたが、ハーゼンシュタイン教育総監に抜擢された。

 左遷される前から兄に比べ評判の良くない軍人であったが、左遷されたことで完全に暴走。信じられない程の『管理教育』で貴族・平民の双方を締め付ける。平民に対する蔑視感情は相当な物で、帝都幼年学校で少なくとも一人の生徒を殺害している他、辺境でも同様に生徒を『病死』『事故死』に追い込んでいる。エルラッハから全てを聞いたアルベルトとクルトの憎悪を買い、『有害図書愛好会』によって失脚させられる。さらにこれまでの悪事も暴かれ、オーディン高等法院で裁かれた。最低でも貴族位は剥奪された模様。

 宇宙暦七六九年のクロプシュトック征伐時、ブラウンシュヴァイク公爵家の私兵部隊を指揮していたが、フォイエルバッハ宇宙軍中将の艦隊に惨敗した。

 

・クリストフ・フォン・ファイネン

 ブラウンシュヴァイク公爵家一門に連なる人物。コンラート・フォン・ランズベルクとは友人関係。

 宇宙暦七六八年に掌典次長を務めていた。クロプシュトック事件で死亡。

 

・カール・ホルスト・フォン・ヴァルモーデン

 リッテンハイム侯爵家一門の重鎮。侯爵家当主。

 

・ヴィルフリート・グルック☆

 カール・フォン・ブラッケ侯爵に見いだされ、重用された平民出身の開明派官僚。

 宇宙暦七六八年に内務尚書政務補佐官を務めている。ブラッケ侯爵と秘密捜査チームの連絡役を務めた。民政局立て直しに尽力した。

 

・アマーリエ・フォン・ゴールデンバウム★

 フリードリヒ四世の第一皇女。御淑やかな美少女。

 

・フィーネ・フォン・ゴールデンバウム

 フリードリヒ四世の最初の妻。宇宙暦七六七年以前に死亡。没落しつつあったエッシェンバッハ伯爵家一門に連なる令嬢であり、聡明さと気の強さと美しさを広く知られていた。オトフリート五世倹約帝は彼女が凡庸なフリードリヒを支え、成長させることを期待してフリードリヒと結婚させたが、結果としてフリードリヒをさらに追い詰めることになった。なお、皇子の妻となるには家柄的に相応しくないという声もあったが、オトフリート五世倹約帝が反対勢力を黙らせた。(また、その後フリードリヒが放蕩生活を始めたため、誰も気にしなくなった)

 フリードリヒとの間にカール、ルートヴィヒ、カスパー、アマーリエ、クリスティーネの五人の子を生す。フリードリヒとの関係は微妙だったようだが、何だかんだ愛されていたらしく、彼女がカスパー出産後死亡した際にフリードリヒは人目を憚らず号泣した。

 

・クリスティーネ・フォン・ゴールデンバウム★

 フリードリヒ四世の第二皇女。聡明で気の強い美少女。プライドが極めて高く、父親と自身を馬鹿にする者は誰であっても許さない。父フリードリヒが良くも悪くも放任主義で(しかし愛情は注ぎながら)育てたために、令嬢らしくない振る舞いが多い。ただし、やろうと思えば姉のような御淑やかな振る舞いも出来る……らしい。

 宇宙暦七六八年には従弟である皇太子エーリッヒを公衆の面前で論破し泣かせ、報復を受けると叔父クレメンツに直接不満をぶつけた。皇室宮殿(パラスト・ローヤル)警備責任者ラムスドルフ少将とライヘンバッハ少将の事はそれなりに気に入っている。また女権拡張論者(フェミニスト)であるバルトバッフェル子爵等少数の例外を除いて殆どの貴族を嫌っている。

 

・カール・フォン・ゴールデンバウム、ベルベルト・フォン・ゴールデンバウム、カスパー・フォン・ゴールデンバウム

 フリードリヒ四世の息子。長男カールは病弱であり、次男ベルベルトは母親の身分が低い、四男カスパーはまだ幼い。

 

・ルートヴィヒ・フォン・ゴールデンバウム★

 フリードリヒ四世の三男であり、後の第一皇子。快活な性格であり、父フリードリヒよりは叔父クレメンツに似る。ただし、カール程ではないが病弱な面がある。親しい人間からはむしろクレメンツよりも伯父リヒャルト大公に似ていると評される。思慮深く、万事に対して自身の全力で向き合い、最善とは限らないが最悪ではない答えを捻りだす。若手貴族の間で流行となりつつある啓蒙思想に触れて、その表面をなぞるのではなく、歴史的な事象と絡めその本質を理解しようと試みる。そんな学者肌の青年。

 

・テオドール・フォン・オッペンハイマー☆

 宇宙暦七六八年のクロプシュトック事件時に帝都憲兵隊司令官。階級は宇宙軍中将。同事件後、大将に昇進し、憲兵総監に就任。リッテンハイム派。同年の名士会議で内務尚書カール・フォン・ブラッケ侯爵にクロプシュトック事件の偽証を明らかにされる。

 宇宙暦七六九年の『三・二四政変』ではどう立ち回ったか地位と命を保つことに成功した。ライヘンバッハ裁判で形だけの弁護人を務めた。

 

 

 

 

 


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