放送局の件は、ご都合主義と言うことでスルーしてください。
「ほぉ。春季大会の結果が新聞に出とる。もう、そんな時期じゃけぇ。」
エセ広島弁でそう言いながら、まこが新聞を開いた。すると、いつものように時間軸の超光速跳躍が生じた。
本作登場人物最強の能力である。誰も抗うことが出来ない。
今まで、麻雀大会の放送は民放で行われてきた。しかし、多くのファン達の投書を受けて今回は国営放送で行われることになった。
また、ずっと大会風景を映して欲しいとの要望も多かった。ムリに放送席に切り替える必要は無いと言うことだ。
要は、国営放送なら、お漏らし映像を流しても民放ではないので許されるだろうと考えたファン達がいたと言うことだ。
この邪な考えまで頭が回らず、国営放送側は、この要望を安易に受け入れた。
そのため、史上稀に見る高視聴率になったのは言うまでも無い。
大会初日午前は、Aブロック一回戦第一試合と第二試合が平行して行われた。
第一試合は、第1シードの阿知賀女子学院、朝酌女子高校、万石浦高校、小針西高校の試合。阿知賀女子学院と古豪朝酌女子高校の激突。
結果は、阿知賀女子学院が勝ち星五で余裕の二回戦進出。2位は得失点差で朝酌女子高校となった。
ただ、ファン達の要望を素直に受け入れてしまったため、中堅戦で咲と対戦した三人が対局終了後に巨大湖を形成したのを全国にライブ中継してしまった。
当然、ファン達は、
『狙い通り、スバラです!』
『巨大湖、巨大湖ですわ!』
『これなら現場の特定班は必要ないと思』
『そんなことより真屋由暉子と石戸明星のオモチ画像を映すべきなのです!』
『やっぱりやったし! 期待通りだし!』
『仲間が増えて嬉しいよモー!』
『先輩が喜んでるデー!』
いつも以上に喜び勇んで書き込みしていた。
Aブロック一回戦第二試合は、圓城高校、琴似栄高校、津具高校、三箇牧高校の試合。話題の圓城高校の試合だったが、やはり所詮はギャグ要員である。試合になると、やはり荒川憩が残したチームと言うことで三箇牧高校に注目が集まった。
結果は琴似栄高校と三箇牧高校が互いに勝ち星二で二回戦進出を決めた。
大会初日午後は、Bブロック一回戦第一試合と第二試合が平行して行われた。
Bブロック一回戦第一試合は、九州赤山高校、由比女学院、折渡第二高校、鬼籠野高校の試合。藤原利仙以降、九州赤山高校はスター選手不在であり、他の3校もスター選手はいない。4校とも顔面偏差値が特に優れているわけでもない。そのため、余り視聴率は取れなかったようだ。
二回戦進出校は、九州赤山高校と鬼籠野高校に決まった。
Bブロック一回戦第二試合は、第4シードの臨海女子高校、綺亜羅高校、千里山女子高校、風越女子高校の試合。シード校の試合と言うことで、当然、視聴率はこっちに偏った。
当然、誰もがスター選手の多い臨海女子高校と、超名門校である千里山女子高校の二回戦進出を予想していた。
しかし、その予想を大きく裏切る試合展開がなされた。
臨海女子高校の勝ち星は次鋒のネリーのみであり、他の勝ち星は全て綺亜羅高校が持っていったのだ。
千里山女子高校と風越女子高校は、勝ち星を一つも取ることが出来ず、一回戦で無念の敗退となった。
それと、事前情報では綺亜羅高校次鋒の竜崎鳴海は、鳴き麻雀多用とのことだったが、今日の対局では一度も鳴かなかった。それどころか、リーチが目立っていた。
打ち方を変えたのだろうか?
大会二日目午前は、Cブロック一回戦第一試合と第二試合が平行して行われた。
Cブロック一回戦第一試合は、第3シードの白糸台高校、大酉高校、有珠山高校、不倒高校の戦い。シード校の試合と言うこともあるが、やはり、それ以上に顔面偏差値ナンバーワンの白糸台高校とナンバースリーの大酉高校との試合と言うことで、視聴率はムチャクチャ高かった。そのため、同時開催されたCブロック一回戦第二試合は全然視聴率が取れなかったと言う。
ちなみに、不倒高校も話題に上がっていたが、飽くまでもギャグ要員(五人全員が上から読んでも下から読んでも同じ名前)のため、白糸台高校と大酉高校の人気には到底敵わなかったようだ。
結果は、白糸台高校が勝ち星四、残りの勝ち星一は有珠山高校中堅の真屋由暉子が上げ、この2校が二回戦進出を果たした。
また、先鋒戦では光の闘牌に怯えた選手達が黄金の泉を形成した。これも全国生中継され、ファン達が大変喜んだのは言うまでも無い。
Cブロック一回戦第二試合は、新道寺女子高校、姫松高校、長者野高校、天童大付属高校の戦い。超名門校の新道寺女子高校と姫松高校が激突する試合であったが、やはり白糸台高校と大酉高校の人気には敵わず、前述のとおり低視聴率となった。
試合は、副将戦までで新道寺女子高校と姫松高校が共に勝ち星二を上げ、この2校が二回戦進出となった。
大会二日目午後は、Dブロック一回戦第一試合と第二試合が平行して行われた。
Dブロック一回戦第一試合は、粕渕高校、苅安賀高校、永水女子高校、晩成高校の試合で、やはり必見すべき所は、世界大会でも活躍した女子高生ランキング4位の石見神楽が見せる神懸かった闘牌と、顔面偏差値ナンバーツーの永水女子高校メンバーの優れた容姿であった。勿論、永水女子高校も女子高生ランキング7位の石戸明星と女子高生ランキング8位の十曽湧の活躍にも期待が寄せられたが、やはり一般視聴者は顔面偏差値の方に目が行くようだ。
二回戦には粕渕高校と永水女子高校が進出した。
Dブロック一回戦第二試合は、射水総合高校、東村山女子高校、萌間高校、館山商業高校の一戦。ただ、スター選手がいるわけでもなく、特に顔面偏差値が高いわけでもない。
当日午前の第二試合と同じ理由で、全然視聴率が取れなかったと言う。
二回戦には射水総合高校と館山商業高校が進出したが、一般視聴者にとっては、どうでも良いことだったようだ。
大会三日目はAブロック二回戦とBブロック二回戦が平行して行われた。この試合からは先鋒戦から大将戦まで、前後半戦の二半荘ずつになる。
Aブロック二回戦は、阿知賀女子学院、朝酌女子高校、琴似栄高校、三箇牧高校の戦いとなった。言うまでも無く、優勝候補筆頭の阿知賀女子学院の試合である。当然の如く高視聴率となった。
ここでも、阿知賀女子学院が勝ち星五を決めて準決勝進出を決めた。また、2位は一回戦と同様に得失点差で朝酌女子高校となった。
それと、中堅戦では、前後半戦の両方で半荘終了直後に三人がかりの巨大湖形成がなされ、それが全国放送されてしまった。そろそろ、放送側も映像の切り替えの必要性を感じてきたようだ。
それから、対局後のインタビューで、憧とゆいの二人が、
「「もう余裕!」」
とほざいてしまった。マスコミに持ち上げられて言わされた部分はあるが………、まあ、若気の至りである。
しかし、これを聞いて、
『あの二人、ちょっと言い過ぎですわ!』
『さすがに、傲慢になっていると思!』←先輩に書き込まれている
『オモチは余裕が無いクセに!』←同上
『あたたかくなーい!』←同上
『イイ気になり過ぎだし!』
『宮永と高鴨以外は魔物じゃなか! 私レベルでも勝てると!』←まあ、事実でしょう
『咲、ちゃんと教育してあげて』
『王者の私から見ても、こいつらが驕り高ぶっているのは間違いない』←姉に書かれている
『一度、高二最強の私の前に触れふすがイイ!』
『誰が高二最強やて? まあ、あの二人は言い過ぎや思うけどな! 二人が敗北して泣き崩れる未来が見えるわ!』
ネット民達は、憧とゆいの二人を非難したのは言うまでも無い。
Bブロック二回戦は、臨海女子高校、綺亜羅高校、九州赤山高校、鬼籠野高校の戦い。ここでも一回戦と同様、臨海女子高校はネリーが勝ち星を取ったが、他の勝ち星は全て綺亜羅高校に持って行かれた。
この頃から、綺亜羅高校は、ファンの間では綺亜羅→キアラ→キラー高校と呼ばれるようになり、徐々に人気が高まっていた。
それと、綺亜羅高校次鋒の竜崎鳴海は、やはり二回戦でもリーチを多用していた。県大会、関東大会とは完全に真逆の打ち方に変わっていたと言って良いだろう。
大会四日目はCブロック二回戦とDブロック二回戦が平行して行われた。
Cブロック二回戦は、白糸台高校、有珠山高校、新道寺女子高校、姫松高校の戦い。
超名門校として名高い新道寺女子高校と姫松高校だったが、この二校は勝ち星を一つも上げることは出来なかった。結局、勝ち星は、中堅戦で有珠山高校の真屋由暉子が取った以外、全て白糸台高校が手中に収めた。
ここで、新道寺女子高校と姫松高校は姿を消すことになった。
Dブロック二回戦は、粕渕高校、永水女子高校、射水総合高校、館山商業高校の戦い。
先鋒戦は永水女子高校の石戸明星が、次鋒戦は粕渕高校の緒方薫が、中堅戦では粕渕高校の石見神楽(実質露子)が、副将戦は永水女子高校の十曽湧が勝ち星を上げ、この時点で粕渕高校と永水女子高校の勝ち星が、それぞれ二となったため、大将戦を行わずに対戦は終了となった。
大会五日目は、準決勝戦二試合が同時並行で行われた。これは、大会期間を春休み中に収めるため、時間短縮を図るのが目的である。
ABブロックを勝ち抜いた4校による準決勝戦第一試合は、阿知賀女子学院、朝酌女子高校、臨海女子高校、綺亜羅高校の戦い。シード二校の激突である。
一方、CDブロック準決勝戦を勝ち抜いた4校による準決勝戦第二試合は、白糸台高校、有珠山高校、粕渕高校、永水女子高校の対戦。顔面偏差値1位と2位の戦いでもあった。そういった意味では話題性の高い一戦と言える。
勿論、超強豪校の白糸台高校と永水女子高校、さらに石見神楽が出場する試合である。言うまでもなく、阿知賀女子学院が出場する準決勝戦第一試合と視聴率を二分する結果となった。
準決勝戦第二試合の先鋒戦は淡vs明星。
女子高生ランキング3位と7位の激突となった。
明星は得意のヤオチュウ牌支配を武器に戦うが、絶対安全圏で早々と和了る淡にスピードで敵わず、先鋒戦は白糸台高校が勝ち星を上げた。
勘の良い粕渕高校坂根理沙も、さすがに毎回配牌六向聴からのスタートで、しかも六巡目までにさっさと和了ってしまう淡には手も足も出なかったようだ。
次鋒戦は、光が余裕の勝ち星を上げた。まあ、対抗馬となる人材がいなかったのだから当然と言えよう。
2位は粕渕高校の緒方薫となった。
また、この対局が終了すると同時に、薫と萌(狩宿巴妹)と有珠山高校次鋒の三人で巨大な泉を形成したが、報道側も映像を切り替えるようになり、全国にライブ中継されることは無かった。
当然の措置であろう。
これを見て、
『なんで切り替えると!』
『一大事、一大事ですわ! 国営放送が私達を裏切りましたわ!』
『これはスバラくないですねぇ』
『裏切っちゃダメだし!』
『あたたかくなーい』
『ないない! そんなのっ!』
『そんなオカルトありえません!』
『エニグマティックだじぇい』
『期待に反するよモー』
ファン達はネット上で怒りを露わにしていたらしい。
これもこれで、当然の反応なのかもしれない。
中堅戦は、白糸台高校からは多治比麻里香、有珠山高校からは真屋由暉子、粕渕高校からは石見神楽、永水女子高校からは滝見春が参戦。
顔面偏差値が高い麻里香。
顔面偏差値とオモチ偏差値が共に高い春。
高い顔面偏差値に、突出したオモチ偏差値の由暉子。勿論、由暉子には神懸かった一発がある。
そして、女子高生ランキング4位の石見神楽。
注目のカードだ!
試合は、由暉子の倍満ツモが後半戦で炸裂したが、それ以外は終始神楽………と言うか神楽に降りた露子が圧倒し、粕渕高校が勝ち星を取った。
副将戦は、白糸台高校からは女子高生ランキング14位、顔面偏差値堂々1位の佐々野みかん、粕渕高校からは春日井真澄、永水女子高校からは女子高生ランキング8位の十曽湧が参戦。みかんと湧の二強状態での試合展開となった。
結果は、やはりローカル役満で高い打点を連発する湧に軍配が上がり、勝ち星は永水女子高校が取った。
大将戦は、白糸台高校の原村和(女子高生ランキング6位)、粕渕高校の石原麻奈、永水女子高校の東横桃子(鹿児島県4位)の戦い。
前半戦は和がリードしたが、後半戦で麻奈と有珠山高校大将がステルスの餌食になり桃子が連続得点をあげて逆転。勝ち星は永水女子高校が手中に収めた。
その結果、白糸台高校と永水女子高校が共に勝ち星二で準決勝進出を決めた。
準決勝第一試合先鋒戦は、阿知賀女子学院の新子憧、朝酌女子高校の石飛杏奈、臨海女子高校の片岡優希、綺亜羅高校の鷲尾静香による対局である。ちまたではタコスvsアコスと言われて、ある意味話題となった一戦だ。
また、これまで優希を一回戦、二回戦で完全に押さえ込んでいた静香の闘牌もプロ雀士の間では話題になっていた。
場決めがされ、起家は当然の如く優希が引き、他は、南家が静香、西家が憧、北家が杏奈に決まった。
東一局、優希の親。
「(一回戦から、ずっと綺亜羅の人達にやられっぱなしだじょ。監督に言われて、急遽、この準決勝を最高状態に仕上げてきたじぇい!)」
優希は、そう心の中で呟きながら配牌を取っていた。そして、十四枚目の牌を取ると、
「ダブルリーチだじぇい!」
いきなり捨て牌を横に曲げた。
憧も静香も杏奈も、一先ず不要牌を切るしかない。
しかし、次巡、
「ダブリー一発ツモタンピン一盃口ドラ3の裏が1枚で12000オールだじぇい!」
いきなり優希が親の三倍満をツモ和了りした。
今の優希は、咲と小蒔でさえも止められない爆発力を持つ。到底、憧にも静香にも杏奈にも止める手立てが無い。
東一局一本場。
「捨てる牌がないじぇい。」
最高状態に仕上げた優希の、いつものパターンだ。
「ツモ。16100オール!」
天和炸裂。これで通算何度目だろうか?
この天和も、ファン達の中では楽しみの一つである。そして、それを和了ってしまうのが東風の神と未だ言い続けられているところでもある。
東一局二本場。
ここでも、
「ダブルリーチだじぇい!」
優希の勢いは衰えるところを知らない。そして、当然のように次巡で、
「一発ツモ! 平和一通ドラ2のアタマが裏で乗って12200オール!」
またもや三倍満をツモ和了りした。
たった三回の和了りで、各校の得点は、
1位:優希 220900
2位:静香 59700(順位は席順による)
3位:憧 59700(順位は席順による)
4位:杏奈 59700(順位は席順による)
あっと言う間に憧達は、優希に大差をつけられてしまった。
これが東風の神の力。
一昨年のインターハイ団体決勝戦を思い出させる。
あの時も、優希はダブルリーチ、天和、ダブルリーチで和了りを決めた。
ただ、玄がいたことでドラによる打点上昇を抑えられた部分はあるし、当時のチャンピオン照と智葉も加わり、優希の和了りを止めることが出来た。
昨年のコクマでも、優希は、やはり同様に大暴れしたが、その後、咲と小蒔が二人揃って優希を逆転した。
ただ、これは超魔物達だからこそ出来る業。
今ここにいるのは、少なくとも超魔物認定された者達では無い。
とは言え、何とか止めなければ誰かが箱割れして終わってしまう。
さすがに憧も、
「(そろそろ止めないとヤバイよね?)」
と感じていた。
東一局三本場。
一先ず、優希のダブルリーチは無かった。
むしろ先行したのは、
「チー!」
憧だった。
厳密には静香が憧の欲しい牌を敢えて切って鳴かせていたようだが………。
そして、
「ツモ! 1000、2000の三本場は1300、2300!」」
得意の30符3翻のツモ和了りで、憧が優希の連荘を止めた。
東二局、静香の親。
親番は終わっても、優希の東風での勢いは、まだ消えていない。
ここでは、
「ポン!」
いきなり優希が{東}を一鳴きし、
「ツモ。東混一ドラ3。3000、6000!」
中盤に回すことなくハネ満をツモ和了りした。
東三局、憧の親。
ここでも優希は、
「ポン!」
{中}を一鳴きし、やはり中盤に回すことなく、
「ツモ! 中ドラ2。1000、2000!」
さくっと和了って憧の親番を流した。
そして、東四局、杏奈の親。
ここでも、
「チー!」
優希は鳴いて手を進め、
「ツモ。南混一ドラ1。2000、4000。」
満貫をツモ和了りした。
これで各校の得点は、
1位:優希 242600
2位:憧 57600
3位:杏奈 50400
4位:静香 49400
優希の圧倒的点差で東場を終えた。2位の憧に、四倍以上の点差をつけている。
既に、観戦席で対局を見ている人達も、テレビ中継を見ている人達も、優希の勝ち星で決まりと思っていた。
当然、対局中の憧でさえ、同様のことしか頭に浮かばなかった。
あとは、悔しいけど如何にして得失点差対策をするか程度のことしか、憧には思いつくことが無かった。
言うまでも無いだろう。それだけ決定的な点差なのだ。
おまけ
春季大会の抽選会は、午前中で終わった。
阿知賀女子学院の面々は、一旦ホテルに戻ることにした。
ホテルに戻ると、咲はフロントで京太郎の姿を見つけた。タコス料理長として晴絵が呼んだのだ。
狙って起家が必要な時にも京タコスは必要だし、京タコスが褒美なら選手達のウケも良い。
京太郎の交通費は阿知賀女子学院麻雀部後援会が支給してくれる。それに、一応、バイト代も出る。
ただし、部屋は咲と『相部屋』であった。
普通、間違いを起こさないようにと男女別室にするが、
「そろそろ、この二人、間違いを起こしてもイイんじゃね?」
と言うのが後援会側の大半の意見であった。
極めて寛大な方々である。
咲と京太郎が部屋に入った。
咲・京太郎「「(なんか、相部屋ってのも照れるな…。)」」
京太郎「今日は抽選会だったんだろ? くじは部長の新子さんが引いたの?」
咲「うちは第一シードだから、くじは無いよ。」
京太郎「そっか。」
咲「一回戦の相手が何処になるかを見てただけだよ。」
京太郎「それで、一回戦は何処と当たるの?」
咲「島根の朝酌女子と…。」
京太郎「あの白築プロの母校の?」
咲「そう。一回、練習試合をしたことがあるんだよ!」
京太郎「そうなんだ。」
咲「あと、宮城の万石浦高校と新潟の小針西高校だよ。」
京太郎が、各選手のプロファイルが掲載された資料を開いた。
オーダーは事前申請だった。秋季大会とは異なり、春季大会では先鋒から大将までを固定することになっていた。
なお、オーダー提出の締め切りは二週間前だったそうだ。
なので、資料には、オーダーの情報を反映して各校選手の名前とオーダーが記載されていた。しかも顔写真つきだ。
経費も馬鹿にならないだろう。
ただ、補員の名前は載っていない。なので、とんでもない隠し球がいる可能性も一応否定できないだろう。
京太郎「朝酌女子のメンバーは、石飛、稲村、森脇、野津、多久和の五人か。咲は、たしか中堅で出るんだろ?」
咲「うん。だから、朝酌女子の私の相手は森脇さんだね。」
京太郎「ふーん。それから万石浦高校か…。」
万石浦高校のメンバーは、
先鋒:鎗田由利
次鋒:伊勢美香子
中堅:楠田照代
副将:唐桑真理恵
大将:江夏里美
資料には、このように名前が記載されていた。
京太郎が、何の気なしに、万石浦高校のメンバーの苗字を順に口に出した。
京太郎「鎗田、伊勢…、楠田、唐桑、江夏…。」
ところが、これを聞いた咲は、急に赤面し出した。
咲「(京ちゃん、いきなり何てこと言い出すの?)」
咲には、京太郎の発した言葉が、
『鎗田、伊勢…、楠田、唐桑、江夏…。』
↓
『やりた、いせ…、くすだ、からくわ、えなつ…。』
↓
『ヤりたいセッ〇ス、だから銜えなっ!』
に聞こえたのだ。
咲「(でも、もう私も高三になるし、高三の非処女率って、それなりに高かった気がする。)」
咲「(それに、京ちゃんとだったら、そうなってもイイって思うし…。でも、順番は、やっぱりきちんと付き合うって宣言してからでないとって気もするし…。)」
咲「(でも、京ちゃんがそう言うってことは、私とそうなってもイイってことだよね?)」
咲の頭の中を、色々な意見が駆け巡る。賛否両論だ。正直、怖い部分もある。
その一方で興味もあるし、京太郎とだったらそうなりたい気持ちも十分にある。
咲「(決めなきゃ…だよね。)」
咲「(いつまでもウジウジしてたって仕方が無いし、ここは…。)」
とうとう咲が英断した。
咲「京ちゃんが、そうしたいって言うならイイよ。」
そして、咲が京太郎のズボンのファスナーに………。
まこ「ここからは掲載禁止じゃ!」
三十四本場オマケで初瀬が神に祈った効果の完全系であろう。
R指定の番人まこによって大事な場面はカットされたが、別に小一時間と言うほどの時間は飛んでいない。
言ってしまえば、早く終わった。
京太郎「それにしても、咲から積極的に迫ってくるとは思わなかったよ。」
咲「だって、京ちゃんが『したい』とか『銜えろ』って言ったから。」
京太郎「えっ? 俺、そんなこと言った?」
咲「言ったよ! だから…。」
京太郎「まあ、そう言う気持ちはあったけどさ…。(心の中の言葉がうっかり口に出ていたのかな? 気をつけないと…。)」
…
…
…
翌日、開会式が行われ、その直後、Aブロック一回戦が行われた。咲達の試合だ。
阿知賀女子学院メンバー達は、一旦控室に移動した。
今のところ、咲と京太郎が相部屋でどうなっているかは誰も聞いてこない。
万が一、状況がよくなかった場合、聞いたら気まずくなるだろう。
それで大会が終わってから聞くことにしていた。
晴絵「じゃあ、今日の一回戦。絶対勝つよ!」
メンバー達「「「「「はい!」」」」」
晴絵「相手は朝酌女子と宮城の万石浦高校、新潟の小針西高校。まあ、この三校の中なら朝酌女子が一番各上だろうね。」
晴絵「でも、その朝酌女子に、うちは練習試合で、余裕で勝ってるからね。多分問題ないと思うけど油断は大敵。気を引き締めて戦うように!」
晴絵「うちのオーダーは、憧、ゆい、咲、美由紀、シズの順。」
晴絵「朝酌女子のオーダーは、石飛、稲村、森脇、野津、多久和の順。練習試合の時のメンバーがそのまま出て来てる。」
晴絵「次に万石浦高校だけど、オーダーは、鎗田、伊勢、楠田、唐桑、江夏。」
咲「(えっ?)」
咲「(これって、どこかで聞いたような?)」
ふと、咲の頭の中に昨日の京太郎の言葉が走り抜けた。
あの時、京太郎が口にしたのは、
『ヤりたいセッ〇ス、だから銜えなっ!』✖
『鎗田、伊勢…、楠田、唐桑、江夏…。』〇
万石浦高校のオーダーだったのだ。
それを咲は聞き違えて………ヤってしまった。
ヤってしまって罪悪感もあるけど、それ以上に喜びの方が大きかった。
ただ、あれは京太郎から求められたと思ってやった行為だ。
ところが、実際には京太郎は、
『ヤりたい!』
とか、
『銜えなっ!』
とか言っていない。
完全に咲の聞き間違いだ。
こうなると、昨日の一件は、咲から迫ってしたことになる。
悪く言えば咲が京太郎を襲ったわけだ。
別に、京太郎との行為が嫌なわけではないが、そこに辿りつく過程が問題なのだ。
しかも咲の心を後押ししたものは単なる勘違い。
その勘違いが、結果オーライを生んだわけだし、ある意味、万石浦高校のメンバー達には感謝するべきなのだろうが………。
何か、もやっとした感じが残る。
咲の中で、急にやり場のない気持ちがこみ上げてきた。
…
…
…
中堅戦がスタートした。
咲の相手は、朝酌女子高校の森脇華奈(二年:非能力者)、万石浦高校の楠田照代(二年:非能力者)、そして、小針西高校の泉脇益代(一年:非能力者)。
咲のやり場の無い気持ちは、この半荘に全てぶつけられた。
完全に、他家三人は被害者である。
咲は、京タコス効果で起家を取った。そして、サイコロを回すと、早々に超魔物スイッチが入った。
咲「(全部、ゴッ倒す!)」
そして、この日は、
東一局、「ツモ! 嶺上開花ツモドラ2。4000オール!」
東一局一本場、「4100オール!」
東一局二本場、「4200オール!」
・
・
・
~中略~ 七十七本場を参照してください。
・
・
・
東一局二十三本場、「4300オール!」
東一局二十四本場、「6400オール!」
東一局二十五本場、「6500オール!」
史上最凶最悪と言われた闘牌を見せた。
昨年インターハイのDブロック二回戦で初披露した忌わしい点数調整。
あの時は、その闘牌に日本中が震撼した。
世界大会でも二回戦で披露し、全世界に驚愕と恐怖を与えた、あの『悪魔の紋章』と騒がれたヤツだ。
その序章とも言える、
『25本場での他家全員0点』
を作り上げたのだ。
完全に計算された削り方だ。
そして迎えた二十六本場。
もはや他家は、完全に意気消沈していた。目からは精気が失われている。
対する咲からは、最上級のオーラが放出されている。
十巡目。
「カン!」
咲が自場風の東を暗槓し、嶺上牌を引くと、
「もいっこカン! もいっこカン! もいっこカン!」
そこからさらに、南、北、西と連続で暗槓した。
そして、咲は、最後の嶺上牌を引くと、
「ツモ! 大四喜字一色四暗刻四槓子!」
中単騎ツモで和了った。
「64000オールの二十六本付けで66600オール!」
これで通算三度目の666事件であった。
ちなみに、中単騎だったのは、『口』と『丨』で昨日の京太郎との行為を咲なりに比喩しているつもりだったようだ。
勿論、字の色が血と同じ赤であることも含めて………。
当然、他家三人は、
「「「プシャ――――――!」」」
耐え切れずに大放出…湖を形成してしまった。
しかも三人がかりだ。それらが合わさって巨大湖へと進化して行く。
某ネット掲示板では
『ス・バ・ラ・で・す!』
『巨大湖を形成してなんぼ、形成してなんぼですわ!』
『やっぱりヤッちゃったし! 耐えられるのは華菜ちゃんくらいしかいないし!』
『高二最強の私も耐えましたし!』
『咲様以外に最強がいるなんて、ないない! そんなの!』
『後輩が沢山出来て嬉しいよモー!』
『毎回、これがチョー楽しみ!』
『これで丼メシ三杯はいけるッス!』
『先輩が喜んでるデー!』
『咲ちゃん、漏らさせスイッチ全開だじぇぃ!』
やっぱり、いつものメンバーで賑わっていた。
一方の咲は、
「(すっきりした。)」
何とか平静を取り戻せたようである。