春季大会決勝戦、先鋒前半戦。
南二局、淡の親番。ドラは{二}。
ここで明星は、今まで封印してきたヤオチュウ牌支配の能力を改めて解放した。ここから意地でも役満を和了るつもりだ。
今回、淡は配牌二向聴。
絶対安全圏は使ったが、ダブルリーチの能力は敢えて使わなかった。明星の雰囲気が変わったのを感じて、急遽ダブルリーチの能力発動を取り下げたのだ。
対する他家三人は、軒並み配牌六向聴と、ずっと最悪な配牌が続いている。
この圧倒的な配牌の差。
さすがに普通はメゲてくるだろう。
淡がダブルリーチの能力を使わなかったのは、明星がチュンチャン牌をドンドン切ってくれるように変わると踏んだからだ。
ダブルリーチの能力は、配牌で和了り役もドラも与えてくれない。本当にダブルリーチ槓裏4しか無いのだ。
しかし、ダブルリーチの能力を使わなければ、配牌聴牌こそ無いが、ドラが付く可能性がある。それに、明星から鳴けるようになればクイタン狙いで良い。
淡は、二巡目で明星が捨てた{③}を、
「チー!」
早速鳴いて一向聴。{横③②④}を副露した。
その次巡にも、
「ポン!」
明星が捨てた{⑤}を鳴いて{横⑤⑤[⑤]}を副露し、その二巡後に、
「ツモ! 2000オール!」
淡は、嵌{三}ツモでタンヤオドラ2を和了った。やはり絶対安全圏は強烈である。このスピードには、さすがに他家は誰も追い付けない。
南二局一本場も、
「チー!」
絶対安全圏で淡以外は全員配牌六向聴、淡のみ配牌二向聴。ここから淡は早々に鳴いて一向聴とし、
「ポン!」
続いて憧が捨てた{東}を鳴いた。
その次巡、淡は、
「ツモ。東ドラ2。2100オール!」
またもや絶対安全圏内で和了りを決めた。
そして、南二局二本場。
ここまで、淡の和了りは十回。それに対し、淡以外が和了れたのは、東二局四本場と東三局の二回のみ。
静香は、
「(私の強運を弾き飛ばすくらいだから、大星さんの能力は相当強いってことか。でも、何とか和了らないと…。)」
自分の運を、ここに集中することにした。
気合いを入れようが何をしようが、普通は運の操作などできない。
しかし、ネリーのように全局を通じて運の流れを完全に支配できる例もある。
静香の場合、他人の運までは操作できないが、自分の運くらいは集中することが出来るようだ。
この局も絶対安全圏は健在だ。
しかし、静香が運を最高に放出する今、淡は絶対安全圏内に聴牌することができなかった。何故かツモの噛み合わせが悪く、しかも鳴けなかったのだ。
六巡目、
「リーチ!」
静香が六向聴から、たった六巡で聴牌して先制リーチをかけてきた。
そして、次巡、
「ツモ!」
一発で静香が自分の和了り牌を引き当てた。
「リーチ一発ツモ七対ドラ3(赤1裏2)。4200、8200!」
この倍満ツモで、静香が一気に原点復帰した。
南三局、静香の親。ドラは{①}。
ここでも、静香の最高状態の豪運が続く。
前局同様に、淡が絶対安全圏内に聴牌すら果たせず七巡目に突入。
一方の静香は、六向聴から六巡で聴牌。
手牌は、
{二二五[五]①④④77西西北北}
そして、次巡、
「(来た! ワタシの{①}!)」
静香は、
「ツモ!」
七対子ドラ3をツモ和了りした。
「6000オール!」
これは、親ハネになる。静香は、70000点以上差がついていた淡との点差を、前局と今回の二回の和了りで一気に28000点差まで詰めてきた。
南三局一本場。
ここでも淡は聴牌できずに絶対安全圏を越えた。対する静香は七対子を聴牌。
そして、
「ツモ! 6100オール!」
前局同様に静香が七対子ドラ3をツモ和了りした。
これで点数と順位は、
1位:淡 146200
2位:静香 142600
3位:憧 61800
4位:明星 49400
静香が淡にあと3600点のところまで迫ってきた。もの凄い追い上げである。
やはり、ダブルリーチ槓裏4を封印した淡と違って、静香の和了りは一回あたりが大きいのだ。
南三局二本場、静香の連荘。ドラは{9}。
ここで淡は、再びダブルリーチの能力を使った。
三回連続で聴牌までもって行けずに絶対安全圏を越えてしまったので、今度は最初から聴牌して、和了り役を後から付ける方針に戻したのだ。
淡の配牌は、
{一二三①②②②⑦⑨67北北}
ここに第一ツモで{8}をツモり、{①}を捨てた。
二巡目、淡は憧が捨てた{北}を、
「ポン!」
鳴いて{⑨}を捨てた。一応、{⑦}単騎で聴牌。
しかし、そのまま淡が和了れずに絶対安全圏を越えた。
静香も、絶対安全圏終了と共に聴牌。
手牌は、
{一一五[五]八八①⑦⑦99西西}
七対子ドラ3。ツモれば、またもや親ハネの手。
待ちの{①}は、淡と明星が一枚ずつ捨てている。つまり、静香は{①}の地獄待ちだ。
明星は、ヤオチュウ牌狙いだが、この局では、どうやら字牌中心の手を作ろうとしているようだ。それで、{①}を捨てたのだろう。
恐らく、淡も憧も明星も、この局面で{①}を引いてきても捨てるはず。それで、静香は、リーチをかけずにダマで待っていた。
同巡、淡が{②}を捨てた。どうやら、待ちが変わったようだ。
次は静香のツモ。
しかし、{①}は来ない。
「(ワタシの{①}、どこ?)」
そして、その同巡、
「ツモ!」
淡が、ツモ牌の{[⑤]}を表にして手元に置いた。
開かれた手牌は、
{一二三②②⑥⑦678} ポン{横北北北} ツモ{[⑤]}
「北ドラ1。500、1000の二本場は700、1200。」
この和了り手を見て静香は、淡がダブルリーチの能力を使っていたことに気が付いた。{②}が配牌で暗刻だったのを敢えてアタマに変えたのだ。
本来、{②}は最後の角で暗槓されるはずの牌。しかも、それが槓裏になる。
と言うことは、{①}は槓裏表示牌。王牌の中だ。
これは、静香にとって不運であった。さすがに静香の運も、ここで一旦枯渇したようだ。
再び運が復活するまで少し時間を要する。後半戦に間に合えば良いが………。
オーラス、憧の親。
静香の運が下がったからか、静香の牌の絞りが余りきつくない。これは、憧にとってチャンスである。
最初の数巡で、憧は嵌張や両面を作り、
「チー!」
そこから鳴いて手を進めた。
一方の淡は、配牌聴牌だが役無し。
これを役有りの形に仕上げたいのだが、手変わりさせることも出来ずにいた。ツモも巧く噛み合わないし、鳴ける牌も出てこない。
「チー!」
憧が二つ目の面子を副露した。
そして、その二巡後、
「ツモ! 2000オール!」
得意の30符3翻で和了った。
これで点数と順位は、
1位:淡 146800
2位:静香 139400
3位:憧 67100
4位:明星 46700
憧は、淡にダブルスコアの差を付けられている状態。とても逆転できるとは思えないが、トップで無い以上、ここで憧が和了り止めするのはタブーだ。
当然、
「一本場!」
憧は連荘を宣言した。
オーラス一本場。ドラは{八}。
サイの目は7で、最後の角が最も早く来る切れ方。誰も鳴かなければ、九巡目が終わると同時に最後の角を越える。
この局では、淡が絶対安全圏とダブルリーチの両方の能力を使った。
淡の配牌は、
{二三四①①①③⑤⑦⑨88西}
第一ツモは{⑧}。
一旦聴牌に取り、打{西}。但し、リーチはかけずに、ここから手を作り変えて行く。
同巡で、明星はヤオチュウ牌を引いたようだ。やはり、能力は健在だ。この後も、ずっとヤオチュウ牌を引き続けることになる。
狙いは一撃必殺狙いの大三元字一色四暗刻。
配牌で字牌が三枚しかないため、聴牌には十巡かかるが、そこは覚悟の上だ。
対する静香は、まだ運が取り戻せていないのか、一巡目はムダツモだった。しかも、ここからしばらくムダツモが続くことになる。
二巡目、淡は{9}をツモった。
ダブルリーチの能力からくる配牌聴牌なので、順調に行けば九巡目に{①}が来て十~十二巡目には{④}が他家から出る、もしくは淡がツモれるだろう。
しかし、そこまで待っていたら明星が大変な手を和了りそうだ。当然、淡は別の手に切り替える。
ここで淡は、打{8}で聴牌から一旦一向聴に手を落とした。
三巡目、淡は{一}をツモった。
これならジュンチャンが狙えそうだ。
そう判断して、淡は打{四}で{一}と{四}を入れ替えた。
四巡目、淡は{1}をツモ切り。
五巡目、淡は{3}をツモ切り。
そして六巡目、淡は{②}をツモって{⑤}を捨てた。
これで淡の手牌は、
{一二三①①①②③⑦⑧⑨89}
辺{7}待ちの聴牌。しかし、リーチはかけず。
すると、この淡が捨てた{⑤}を、
「ポン!」
対面の憧が鳴いた。
副露された牌は{[⑤]横⑤[⑤]}。
赤牌二枚入りだ。
しかし、この局、憧は肝心のチーができていない。
上家の静香はツモ切りばかりしているのだが、それが全く憧の有効牌になっていなかったのだ。
まだ絶対安全圏を越えて間もない巡目。当然、憧は聴牌まで至っていなかった。
淡の次ツモは{④}。
もし、淡がダブルリーチをかけていれば淡は{⑤}を捨てていない。当然、憧も{⑤}を鳴けていない。
しかし、一巡前に淡が捨てた手出しの{⑤}を憧が鳴いたことで、ダブルリーチの能力によるツモ巡が崩れた。それで、本来ならここで淡に来るはずの無い{④}が来たのだ。
恐らく、ここで憧に{④}を掴ませ、淡が暗槓した直後に憧に{⑤}を引かせて{④}を振り込ませるはずだったのだろう。
いずれにせよ、この{④}は淡には不要である。これを淡がツモ切りすると、
「チー!」
{②③}の両面で静香が鳴いた。
そして、静香が捨てた{6}を、
「チー!」
憧が鳴いた。
これにより、ツモ巡が戻った。
次に淡がツモるのは、もともと七巡目で淡がツモるはずの牌。当然、ダブルリーチをかけていたならば和了りには繋がらない牌…。
しかし、配牌時の聴牌からは別の聴牌形に切り替えている。淡が和了りを目指して牌をツモる指に力を込める。
「(来た!)」
この感触は、多分{7}。
淡は、引いてきた牌を目視で確認すると、表面を上にして手元に置いた。
「ツモジュンチャン。2000、3900の一本場は2100、4000!」
これで先鋒前半戦が終了した。
点数と順位は、
1位:淡 155000
2位:静香 137300
3位:憧 63100
4位:明星 44600
淡と静香の二強状態となった。
明星は、準決勝戦でも淡に破れた。理由は分かっている。絶対安全圏内での和了りを目指す淡にスピードで付いて行けないのだ。
淡よりも強い支配力を持たない限り、淡には勝てないだろう。
結局、ヤキトリ状態で50000点以上も失うことになった。
しかも、この決勝戦では強運の静香が相手に加わった。そのため、せっかく絶対安全圏を越えた局があっても、明星が和了る前に静香が和了ってしまう。
これも明星にとっては厳しい対局条件になったようだ。
明星は、対局室を出ると、霧島神境の海にテレポーテーションした。まだ春なので泳ぐわけでは無いが、気分転換には丁度良い。
これで随分と気が晴れる。
六女仙ならではの気分転換法だろう。
一方、憧は一旦控室に戻った。
とは言え、相手が淡では晴絵も恭子もアドバイスのしようがない。
それに、準決勝戦でもそうだったが、静香が想定以上に強い。
恐らく晴絵や恭子があの卓に座っても、憧同様に点棒を削られたであろう。もう、芝棒一本でも良いから多く残して得失点差勝負に備えて欲しい。
それくらいしか言葉が見つからない状態だった。
淡も控室に戻った。
「やったよぉー! このまま後半戦もリードを保って勝ち星取るからね!」
しかし、こう言いながらも、淡の目は笑っていなかった。
ここで気を抜いて勝ち星を失うようなことがあってはならない。
一昨年のインターハイも昨年の春季大会も、昨年のインターハイも決勝進出は果たせていたが、優勝はできなかった。
毎回、咲のいる高校に優勝を持って行かれている。
『今年こそリベンジ!』
それを最も強く想っているのは淡だろう。
むしろ、今の彼女はリードして尚、気を引き締めている感じがあった。
同じ頃、静香は控室には戻らず、トイレ→自販機コースで孤独を堪能していた。
別にチームメートと仲が悪いわけではない。元々、三銃士と呼ばれる静香、鳴海、美誇人の三人は孤高な感じで、大勢よりは一人でいるのが好きなタイプだった。
なので、基本的には一人のほうが落ち着くようだ。
休憩時間も、残り一分を切った。
対局室に、憧、淡、静香、明星の四人が戻ってきた。そして、各自、元の席に付くと場決めの牌を引いて行き、起家が淡、南家が明星、西家が静香、北家が憧に決まった。
「じゃあ、行くよ!」
淡が元気良く卓中央のボタンを押した。
これより先鋒後半戦が始まる。
おまけ
椿野美咲は、劔谷高校元エース椿野美幸の4歳年下の妹である。
美咲「超難関校だったけど、なんとか受かった。」
一年半前のインターハイ個人戦で、椿野美幸と佐々野いちご、多治比真佑子の三人は予選で咲と当たり、大失禁した。
その後、いちごの妹みかんと、真佑子の妹麻里香は部の先輩に弄られる結果となった。それで当時は、みかんも麻里香も咲のことを目の敵にしていた。
実は、同様のことが美咲の身にも起こっていた。
大好きな姉の大失態。
それを誘発した悪魔。
それ以来、美咲は咲に敵意を持っているし、自分の名前に『咲』の文字が付いていることすら嫌悪感を覚えていた。
美咲「劔谷に行っても、お姉ちゃんのことで弄られそうだし。それで白糸台を受けようと思ったんだけど、佐々野さん(みかんのこと)も多治比さん(麻里香のこと)も、あの悪魔と和解したって話だから白糸台に行っても意味無いし…。」
それで、こともあろうに美咲は、阿知賀女子学院への入学を決めた。
阿知賀女子学院なら失禁事件を弄る人間はいないだろう。そもそも、部員の殆どが失禁させられているので弄れる側では無い。
まあ、そんなことよりも、直接咲に会って、咲をネチネチいびってやろうとか思ったのだ。まるで相手の腹の中から相手を食い破ろうみたいな考えだ。
美咲は、合格発表当日に、早速麻雀部に顔を出した。
美咲「この春から入学します。椿野美咲です。よろしくおねがいします!」
憧「美咲ちゃんだって! 宮永咲の短縮形(みさき)と同じだね!」
美咲「(げっ! なんだよそれ!)」
美由紀「もしかして、劔谷の元エース、椿野美幸さんの妹?」
美咲「はい。そうです!」
美由紀「やっぱり。顔とか結構似てる。でも、劔谷にしなかったんだ?」
美咲「どうせならチャンピオンのいる学校で学びたいですから(あ゙ー。リップサービスがきつい)。」
ゆい「そういう娘、多いよね。私自身もそうだけど。」
美咲「そうだったんですか!?」
ゆい「まあね。」
美咲「それで、チャンピオンは?」
ゆい「部室の隅で本を読んでるよ。ほら。」
美咲「へっ?」
ゆいに言われて、美咲はようやく咲の存在に気付いた。
ただ、何と言う存在感の無さ。
威厳も何も無い。
これでは、単なる影の薄い文学少女だ。
それに、どう見ても弱々しい感じだ。
大会中の咲は、完全なる捕食者。
しかし、今感じる雰囲気は、間違いなく非捕食側の小動物に過ぎない。
本当にこれが宮永咲なのか?
美咲は、自分の目を疑った。
咲「ようこそ麻雀部へ。」
美咲「よろしくお願いします。」
咲「こちらこそ、よろしく。」
麻雀部に入れば、例えば美咲の対局中に、その横を咲が通ることもあるだろう。その時に何気に脚を引っ掛けてやろうとか、美咲は考えていた。
咲が美咲のほうに近づいてきた。
ところが、何も無いところで勝手につまづいた。
咲「いったーい。」
憧「もう、何時ものことだけどさ。サキは、もっと気をつけなよ。」
穏乃「今月に入って何回目だっけ?」
美由紀「私が知る限り五回目です。」
美咲「(なにこれ?)」
まさか足を引っ掛ける必要も無く勝手に転ぶとは。
しかも、それが日常茶飯事だとは。
百子「信じられないでしょう? 大会中とか、寝起きは悪いし、重度の方向音痴で放っておくとどこか消えちゃうし。」
美咲「(えぇっ?)」
ゆい「カナヅチだし。」
美由紀「まあ、成績は学年二番だから、一応、麻雀を取ったら何も残らないわけでは無いけど…。」
ゆい「でも、麻雀が突出した分、他が殆ど底辺なのよね。」←何気にヒドイ
後輩達にここまで叩かれているとは…。
これが悪魔の紋章とか点棒の支配者とか言われている超魔物なのか?
美咲は、あまりのギャップに目が点になった。
…
…
…
それから少しして、美咲の入学と入部を祝って、美咲とレギュラー陣で麻雀を打とうと言うことになった。
面子は、咲、憧、穏乃、そして美咲。
場決めがされ、起家が穏乃、南家が憧、西家が咲、北家が美咲になった。
咲「(いきなり何も無いところでつまづいちゃって、この娘に馬鹿にされてないかな? やっぱり先輩としての威厳を見せないとヤバイよね?)」
咲は、叩き潰すの延長上に勝利がある麻雀を打ち始めた。美咲に舐められないようにするためだ。
美咲が序盤で切った一を、
咲「ポン!」
咲は早々に鳴いた。
そして、数巡後、
咲「カン!」←①を美咲から大明槓
咲「もいっこ、カン!」←一を加槓
咲「もいっこ、カン!」←西を暗槓
咲「ツモ! 西混老対々三色同刻三槓子嶺上開花。16000です。」
美咲「は…はい…。」
槓される度に、咲の下家である美咲に向かって咲の強大なオーラが飛んでくる。
それは、毎度のことながら巨大肉食獣が巨大な口を開けて美咲を食い殺しに来るような感覚でしかない。
思わず美咲は震え上がった。
美咲「(なにこれ!? 凄く怖いんだけど…。)」
東二局も、
咲「カン! ツモ! 嶺上開花南ドラドラ! 8000!」
これも美咲の責任払いとなった。
しかも、前局に勝るとも劣らない槓の迫力。
美咲は股間を強く押さえて失禁だけは免れようと必死になった。
東三局は、
咲「カン! ツモ! 嶺上開花ドラ1。1000オール。」
これで目出度く美咲は持ち点ゼロになった。
そして東三局一本場も美咲が捨てた北を、
咲「カン! もいっこカン、もいっこカン、もいっこカン、ツモ! 大四喜字一色四槓子。親のトリプル役満は144300です!」
咲は大明槓して美咲に責任払いさせた。
咲のオーラに何度も晒され、とうとう美咲は、
「プシャ―――!」
大放出してしまった。もう止まらない。
美咲は、一年半前の姉の失態が不可抗力であったことを、身をもって理解した。