咲-Saki- 阿知賀編入   作:おこそとのほもよろを

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百三十七本場:プラマイゼロ

 個人決勝前半戦。

 東四局、光の親。

 既に光は二度の和了りを連発し、ここでは和了り役3翻を目指す。

 赤牌4枚入りルールのため、裏ドラ槓ドラ無しでも合計でドラは8枚ある。なので、確率的には、一回の和了りに2枚のドラが加わることが期待される。

 和了り役3翻にドラが2枚で親満。

 ここに門前清自摸が加われば親ハネになる。

 当然、前二局にも増して光の意気込みが増してくる。

 

 ところが、ここに来て卓上に靄がかかり始めた。穏乃の深山幽谷の化身としての能力が発動し出したのだ。

 今までと比べて光のツモに不要牌が増える。

 しかも、鳴いて和了り役3翻を作れる道筋が見えない。

 照の点数上昇も光の翻数上昇も、こういった時に融通が利かない。ただ和了るだけなら道筋を作れるのに、こう言った縛りが自らの和了りを阻害する。

 

 淡も同様に手が進まない。

 元々、光に場を支配力されて手が進められなかった部分はあっただろうが、それにも増してツモが酷くなっている。

 

 そのような中、

「カン!」

 咲が動き出した。

 暗槓したのはオタ風の{西}。そして、

「ツモ! 2000、4000。」

 手の中に{①}の暗刻と{[⑤]}を1枚抱えた70符3翻の和了り。符ハネで満貫の手だった。森林限界を超えたところに咲く花は、深山幽谷にかかる靄など関係ない。

 この和了りで咲は、4位から2位まで順位を上げた。

 

 

 南入した。

 南一局、穏乃の親。

 既に淡の絶対安全圏が機能していない。

 

 個人トーナメント本戦一回戦では、南一局一本場で絶対安全圏がキャンセルされた。

 準決勝戦では南一局、そして、今回も南一局でキャンセルされている。いつもよりも穏乃の能力が強い気がする。

 

 トーナメント表を山に例えれば、ここは、まさに頂上である。

 その山の天辺で、穏乃の能力は準決勝戦よりも、さらにパワーが増していた。そのため、淡の絶対安全圏だけではなく、光のツモにも影響していた。

 光は、ここは下手に逆らわず、一旦様子見して力を蓄えることにした。

 この局は穏乃にくれてやる。

 しかし、次局でそれ以上に取り返す。

 

 鳴きも入らず、ただ牌をツモる音と切る音だけが無機的に対局室内に響き渡る。冷えた透華の支配を思わせる静寂な場。

 いや、もっと寂しい雰囲気がある。

 異様なほどに、シンと静まり返り、まるで深い山の中に一人置き去りにされたような感覚にさえなる。

 

 そんな空気の中で、局は終盤に突入した。

 穏乃の支配力が、さらに凄みを増す。ここに来て、彼女の背後に火焔が見え出したのだ。

 淡は、

「(来た!)」

 心の中で、そう呟いた。

 この火焔を見るのは何度目だろう?

 初めて見たのは一昨年のインターハイ団体準決勝大将後半戦だった。あの時は、最後の角を越えて暗槓するはずが、別の牌を掴まされて穏乃に振り込んだ。

 それ以来、穏乃との対局では毎回見ている。

 これを見る度に忌々しく感じる。

 

 そして、

「ツモ。4000オール。」

 火焔が見えた直後、穏乃が自ら和了り牌を引き当てた。しかもタンピンツモドラ2の親満ツモ。

 この和了りで、今度は穏乃が2位に浮上した。

 しかも、1位の光とは2800点差。

 しかし光は、この点差に焦る表情を見せることはなかった。こうなることを視野に入れて、この局では能力の放出を抑え、蓄えていたのだ。

 

 その証拠に、南一局一本場では、光は前局とは打って変わって最短距離で手を作り上げていった。形振り構わず能力を全開していた感じだ。

 そして、光は、

「ツモ! タンピンツモドラ2。2100、4100!」

 前局の穏乃と同様の手を和了り、穏乃との点差を広げた。

 

 

 南二局、淡の親。

 もう、どの道、絶対安全圏はキャンセルされる。

 なので、淡も下手な能力放出を控えることにした。

 むしろ勝負は最後の二局。それに向けて力を蓄える。

 親番なので、本来であれば淡は連荘したいところだが、ここで得点を重ねても、結局、最後の最後で咲や穏乃に持って行かれる。

 大事なのは最後の二局。咲の親番とオーラスだ。

 

 淡の能力が弱められたのを、咲が逃さずに攻めてくる。

「ポン!」

 いきなり、咲が淡の捨て牌である{②}を鳴いてきた。

 そして、数巡後に、

「カン!」

 咲は{②}を加槓し、

「ツモ! タンヤオ嶺上開花ドラ1。1000、2000!」

 {一四}の両面待ちで高目の{四}を引いて和了った。

 

 

 南三局、咲の親。

 ここで淡は、全能力を一気に放出した。

「(絶対安全圏プラスダブリー!)」

 相手は咲なので、明星の時のように配牌操作を入れる意味は無い。操作したところで、咲なら八巡もあれば平気で刻子を三つくらい作ってくる。

 なので、飽くまでも自分の基本、絶対安全圏とダブルリーチに全精力を注ぎ込んだ。

 サイの目は、ラッキーなことに7。これなら、淡は九巡目に暗槓して十巡目以降に和了ることになる。

 もっとも、この面子では振り込んでくれるとは思えない。

 飽くまでもツモ和了りを狙う。

 

「リーチ!」

 淡が、第一ツモをツモ切りして横に曲げた。配牌聴牌だったのだ。

 そして、そのまま淡の能力支配下で、誰も鳴かずに九巡目を迎えた。

「カン。」

 お決まりのパターンで、淡が暗槓した。この槓子は、能力をキャンセルされない限り槓裏になることが約束されている。

 しかも、淡は、この局で咲の親をハネ満ツモで流すために、敢えて前局、自分の親番を捨てたのだ。

 

 次巡、

「ツモ!」

 淡が渾身の和了りを決めた。

「3000、6000!」

 ダブルリーチツモ槓裏4。

 この和了りで、淡は原点復帰して2位に浮上した。

 

 現在の得点と順位は、

 1位:光 36100

 2位:淡 25000

 3位:穏乃 20900

 4位:咲 18000

 大方の予想を裏切る咲の最下位。

 

 オーラスで光が和了れば、淡からの出和了りでない限り、前半戦の1位が光、2位が淡になる。

 淡は、満貫をツモ和了りすれば逆転トップ。しかも、その場合は、淡と光が共に30000点越えでのトップツーとなる。

 光も淡も、当然、モチベーションがマックス状態となる。

 

 

 そして迎えたオーラス、光の親。

 ここに来て、光も淡も違和感を覚えた。

 配牌も悪いしツモも悪い。しかも、この感じは穏乃の山支配ではない。

 これも今までに何回も経験している。咲の支配だ。

 しかも、これはトップを取りに行く支配力では無い。咲の最終兵器、プラスマイナスゼロの強制力だ。

「カン!」

 咲が副露する槓子に乗って、咲の下家である光に向けて強大なエネルギーが襲い掛かる。まるで巨大肉食獣が、巨大な口を広げて光を食い殺しに来るような錯覚を見せる。まさに何時ものパターンだ。

 そして、

「ツモ! メンホンツモ嶺上開花ドラドラ。3000、6000。」

 咲がハネ満ツモを決めた。

 

 これで前半戦の得点と順位は、

 1位:光 30100:+20

 2位:咲 30000:±0

 3位:淡 22000:-8

 4位:穏乃 17900:-12

 たった100点差だが咲は光を逆転できず、前半戦1位を光に譲る形となった。

 咲は完璧なプラスマイナスゼロを披露したが、それが原因で1位を逃すとは、見ていて正直誰もが理解に苦しむ。

 しかし、咲の表情は至って普通で、特段悔しそうな素振りを一切見せていなかった。

 

 

 休憩に入った。

 淡は、対局室を出て空の見える場所に行き、宇宙パワーを補給、穏乃は卓に付いたまま目を閉じていた。

 光は自販機コース、咲はトイレコースである。

 まあ、四人とも何時ものパターンであろう。

 

 

 個人戦は、同じチームの人間同士でも敵になる。ここでは、光と淡が言葉を交わすことはなく、一方の咲と穏乃も単独である。

 

 一応、咲のために対局室とトイレを繋ぐ通路には、

『トイレはこちら』

 の張り紙と、

『対局室はこちら』

 の張り紙がデカデカと張られていた。

 しかも、対局室前とトイレの前にはスタッフが配備され、咲を正しい方向に誘導してくれる。

 まさに超方向音痴の咲にとっては嬉しい限りだ。

 

 

 休憩が終わり、咲、光、淡が対局室に戻ってきた。

 光と淡と穏乃は、別にトイレに行っていないが、まあ、互いに超魔物であるためか、別に、この三人が咲のオーラに怯えてお漏らしすることは無い。

 

 場決めがされ、起家は淡、南家は穏乃、西家は咲、北家は光に決まった。

 

 東一局、淡の親。

 ここでは、

「リーチ!」

 淡が、いきなり絶対安全圏プラスダブルリーチで、立ち上がりの先制攻撃をかけた。穏乃の支配力のスイッチが入る前にリードしようとの考えだ。

 東一局であれば光の第一弾の和了りもされていない。

 しかも、ここにはオーラスになれば、誰も抗えないとんでもない強制力で場を支配できる者もいる。なので、淡は先制攻撃&逃げ切りを狙うことにしたのだ。

 

 親番だし、ここで和了れば大きい。

 今、この一瞬だけなら、支配力では誰にも負けない自信がある。

 休憩中に宇宙パワーを充電して、現在、準備満タン(アホの娘、淡なので万端ではありません)状態なのだ。

 

 サイの目は6。

 誰も鳴かなければ、淡が暗槓を仕掛けるのは十巡目になる。

 そして、淡の目論見どおり、

「カン!」

 十巡目で淡は暗槓し、その次のツモ番で、

「ツモ! 6000オール!」

 予定通り、ダブルリーチツモ槓裏4を和了った。

 

 東一局一本場は、

「ポン!」

 淡は絶対安全圏の元で穏乃から{東}を鳴き、

「ロン! 2900の一本場は3200。」

 ダブ東のみの手だが、穏乃から直取りした。

 

 東一局二本場。

 ここで、ようやく、

「ポン!」

 光が動き出した。淡が捨てた自風の{北}を鳴いたのだ。

 ドンドン、光のパワーが増してゆくのを淡は感じ取っていた。

 淡は、これを部内戦で何回も経験している。色々試してはみるが、この光の超パワーを打ち破るのは難しい。

 

 ツモも悪ければ鳴ける牌も出てこない。なので、淡の手は進めようが無い。

 それでいて、光の手はツモがかみ合っていてドンドン進んで行く。鳴けないのだから、ツモを狂わせることすら出来ない。

 その結果、絶対安全圏を越えても淡は聴牌に持って行くことが出来なかった。

 

 この支配力には、淡でも抗うことが出来ず、

「ツモ。北ドラ3。2200、4100!」

 光に30符4翻の満貫級の手を和了られてしまった。

 

 

 東二局、穏乃の親。ドラは{7}。

 第一弾の和了りを決めた光が先行する。

 絶対安全圏は健在だが、淡は思うように手が進められない。やはり、第一弾を決めた光の支配力が強大過ぎるのだ。

 ここでも淡は、絶対安全圏内に和了れなかった。

 その一方で、光は面白いようにドンドン手が出来上がって行く。

 

 光の配牌は、

 {二三六九②③⑧69東北白中}

 これが、たった七巡で、

 {二三四[五]六七②②③③④④6}

 一切のムダツモ無しで手を作り上げた。

 

 そして、

「ツモ! タンヤオ一盃口ドラ1。2000、3900!」

 またもや30符4翻の満貫級の手を、光がツモ和了りした。

 

 

 東三局、咲の親番。

 光の支配力は、さらにパワーを増してゆく。

 絶対安全圏によって手配牌は六向聴でも、今の光のツモは尋常では無い。面白過ぎるくらい、手がドンドン出来上がって行く。

 ここで光に課された和了り役は3翻。

 

 配牌は、

 {一五七②⑤⑧1469南北中}

 これが、たった六巡で、

 {五[五]七七②⑤[⑤]⑧⑧4466}

 タンヤオ七対子、和了り役3翻相当が出来上がる。

 

 そして、七巡目に、

「ツモ! タンヤオ七対子ドラ2。3000、6000!」

 ハネ満をツモ和了りした。

 もう、この快進撃を誰も止められない感じだ。

 

 これで後半戦の現在の得点と順位は、

 1位:光 47400

 2位:淡 37100

 3位:咲 8800

 4位:穏乃 6700

 光がダントツである。

 しかも、咲も穏乃も共に10000点を割り、それこそ穏乃は7700点以上を振り込めばトビ終了、咲も9600点以上の振込みで箱割れする。

 光が翻数上昇に伴い、次局で親倍をツモ和了りしても終了である。

 

 第三者視点で点数だけ見れば、咲も穏乃も、二人して背水の陣に追い込まれた感じに見えるだろう。

 しかし、二人とも、特段焦った表情を見せていなかった。まだ活力が残っている。

 

 

 東四局、光の親。

 前半戦と同様、ここで卓上に靄がかかってきた。穏乃の能力スイッチが入ったのだ。

 淡は、穏乃のパワーを測るべく、

「(絶対安全圏プラスダブリー!)」

 一旦、ここで能力を最大発動した。

 しかし、配牌は聴牌しておらず、第一ツモを引いてきても聴牌にはならなかった。つまり、ダブルリーチの能力はキャンセルされたのだ。

 これは、今までよりも東四局時における穏乃のパワーが強いことを意味している。

 トーナメント戦の真の頂上………決勝後半戦であることが一つの理由として考えられるが、それだけではない。

 恐らく、部内戦で咲と何回も対戦しているうちに能力が向上したのだろう。

 

 全員のツモが、著しく悪くなった。穏乃の山支配の影響によるものだ。これで、序盤どころか中盤になっても、誰一人として聴牌できる者はいなかった。

 終盤に入り、ようやく光が聴牌できた。

 和了り役は4翻。

 しかし、ここで切った牌で、

「ロン。3900。」

「えっ?」

 珍しく光が穏乃に振り込んだ。

 公式戦の記録を見る限り、差し込み以外で光が振り込んだのは初めてであろう。誰の目から見ても、まさかの出来事であった。

 光自身も振り込んだことが信じられず、ただ呆然としていた。




おまけ


牌の表記は、以下の通りになります。
萬子:一二三四五六七八九
筒子:①②③④⑤⑥⑦⑧⑨
索子:123456789
風牌:東南西北
三元牌:白發中
赤牌:(五)(⑤)(5)


春季大会個人戦5位決定戦は、丁度南入したところだった。
対戦者は石見神楽(古津節子)、石戸明星、的井美和、原村和の四人。二人の巨乳美女vs綺亜羅高校ダブルエースの戦いだ。

東四局終了時点での点数と順位は、
1位:美和 37600
2位:神楽(節子) 34800
3位:和 17500
4位:明星 10100


南一局、神楽(節子)の親。
ここに来て明星は、ようやく東二局、東三局で美和に振り込んだ際に見せられたHな触手プレイの幻から頭を切り替えられたようだ。

明星の配牌は、
一①②⑤⑥26東西北北白中
ここから一、①、東、白、中を引き、六巡目に、
「ツモ!」
明星は西を引いて和了りを決めた。
本大会では、混老七対子を25符5翻として数えるルールになっていたため、これはハネ満ツモとして扱われた。
「3000、6000!」
これで、明星が22100点と、原点付近まで復活し、和を抜いて3位になった。


南二局、明星の親。ドラは1。
ここでもヤオチュウ牌支配は健在である。
明星の配牌にはヤオチュウ牌が四枚しかなかったが、八巡目にはヤオチュウ牌が十二枚と、既に全ての牌がヤオチュウ牌で埋まろうとしていた。

一方、和の配牌は、
二四九②③④(⑤)889東西中
ここから八巡で、
四五六②③③④(⑤)⑥7889  ツモ③
当然、和は8切りで①②④⑦の多面聴に取ったが、①以外は役無しで和了れない。
そこで、
「リーチ!」
和は攻めに出た。多面聴ゆえのリーチだ。

九巡目、明星の手は、
一九①②⑨19東南西白發中  ツモ北
国士無双十三面聴を聴牌。
誰でも、ここは②切りで勝負するだろう。
明星としても同じである。この手を降りたくは無い。
ここは、勝負と、
「リーチ!」
②切りでリーチをかけた。
しかし、これは和の和了り牌である。
当然、
「ロン。リーチ一発ドラ2(赤1裏1)。8000!」
明星は、和に振り込む結果となった。


南三局、美和の親。ドラは9。
美和は、小さい手で良いから和了りたかった。
少なくとも美和自身のベスト8入りは決まっている。
出来れば5位を目指したいが、最低限、自分達が目標とした、
『出来るだけみんなで上位に入って、あのクソ(な先輩)に全国上位の選手達を今まで潰してきた罪を自覚させる!』
は達成していると思う。
敬子が個人戦出場を辞退したことは残念だが、団体戦では3位、個人戦ではベスト8なら1人、ベスト12なら4人が入っている状態だ。
これだけ好成績なチームは、他には無い。
ベスト16に入った人数だけで言えば、綺亜羅高校が一番多い。あの阿知賀女子学院でさえ2名、白糸台高校でも3名と、綺亜羅高校よりも少ないのだ。

それに、本来であればベスト8には節子も加わることになっただろう。それを神楽が証明してくれている。
それに、もし節子が生きていて団体戦の大将を節子に任せていたならば、敬子の出場辞退も無かっただろう。
そうなっていたら、ベスト16に節子、敬子、静香、鳴海、美誇人、そして美和の六人が入賞していたかもしれないのだ。


美和は、もう個人の戦績としては満足していた。
ただ、もっと別の意味で楽しみたい。
なので、ここで和を、改めてターゲットとして狙う。

和は他家の聴牌を察知したら、通常であれば自分の手が高くない限り危険な牌は切ってこない。
しかし、今は個人戦5位決定戦。
南三局とオーラスで逆転することを考えれば、多少は甘い牌を捨てる可能性がある。
なので、ここでは単純に39と切って6待ちにした。
特に9はドラだ。迷彩としては効果が高いはず。

美和の手牌は、
二三四(五)六七②②⑥⑥⑥57
そして、オシボリで手を拭いて、敢えて少し聴牌気配を出す。
『ほっと一息聴牌タバコ』
みたいなものだ。

和は、
「(聴牌したようですね。ここは、一旦様子見です。)」
アタマで持っていた6を切り落とした。
当然、
「ロン!」
これを見逃さずに美和が和了った。

粘液まみれの触手が、何本も美和の背後から和に向けて伸びてゆく。
この幻が、和には見えていた。
本来であれば、
『そんなオカルトありえません!』
と一蹴し、デジタルバリヤーで触手をシャットアウトする。
しかし、東三局一本場で経験した恍惚感があるためだろう。心のどこかで、触手に攻められることを望んでしまっているようだ。
それで和のデジタルバリヤーは薄れ、触手の侵攻を許してしまった。

和の手足に触手が絡みつく。
しかも、基本的には前回からの続きだ。和の脳内の世界では、既に全裸にされている。

何本もの触手が粘液を出しながら胸や股間を攻めてくる。
スバラ過ぎる。涙が出てくるレベルの、何と言う気持ち良さだ。
そして、数本の触手が束になって和の陰部にs………

まこ「これ以上はダメじゃ! カットじゃ!」

和は卓に付いたまま、頭の中が真っ白になった。




どれくらい時間が過ぎたことだろう。
和の頭の中では、既に一時間以上が経っている。その間、ずっと攻められっぱなしだ。
もう既に馬鹿になっている。
何も考えられない。

「2900!」
美和の点数申告の声が聞こえてきた。
この声を聞いて、和が現実世界に戻ってきた。美和に振り込んでから、現実世界では数秒しか経っていない。

和は、自分の制服が無事であることを確認した。少なくとも、現実には全裸にされているわけではない。
「(そんなオカルト………。)」
そう言いながらも、和は、心のどこかで求めている。
なので、最後の、
『ありえません』
までを言い切ることが出来なかった。

南三局一本場、美和の連荘。
今度は、美和は明星を狙う。切り出しがワンパターンだし、理牌しているので比較的読みやすい。
聴牌と同時に明星から出てくる牌を予測して待つ。
そして、ここでも、
「ロン!」
美和はタンヤオドラ1を明星から和了った。

明星の頭の中で、触手プレイのシーンが繰り広げられた。当然、前回からの続きだ。
束になった触手が、前から後ろから攻めてくる。
当然、二k………。

まこ「これ以上はダメじゃろ!」

さらに、束になった触手は、口の中に『も』入っている。
六女仙として修行している女性が経験することは先ずありえないであろう、とんでもプレイである。
もう何も考えられない。

現実世界の明星は、
「あぅ♡!」
と声を上げながら目がイっていた。

もう明星の脳内では、かれこれ一時間は過ぎていた。その間、ずっと攻められっぱなしである。
頭が完全におかしくなるだろう。

「2900の一本場は3200!」
美和の点数申告の声だ。
これを聞いて、明星は正気を取り戻した。

やはり、前回と同様に乳首が立ち、陰部が濡れている。
とても恥ずかしいが、何故か背徳感が気持ち良くも思える。
修行しかしてこなかった彼女からすれば、非常に不思議な感覚だったし、免疫がなかった分、病み付きになりそうだ。
一方の美和は、そんな明星の表情を見ながら、
「二本場!」
嬉しそうな顔で連荘を宣言した。

南三局二本場。
「そろそろ本気で行くからね、美和ちゃん。」
節子がそう言うと、突然、美和と明星と和が激しい揺れを感じた。
大地震だ。

しかし、試合中断の声はかからない。これは、節子が見せている幻だ。
揺れて見えているのはプレイヤーだけで、審判やスタッフには、そんな幻は見えていないのだろう。

再び地面が割れてマグマが噴き出してくる。
頭上に、何か光るものが見えてきた。巨大小惑星だ。
これが地面に激しくぶつかる。

轟音と共に、猛烈な熱風が吹き荒れた。
巨大小惑星激突直後の世界。
付近のモノは全て熱風で焼き尽くされ、常識では考えられないレベルの粉塵が舞い上がって空を真っ黒に染める。
粉塵は、やがて全世界に広まり、太陽光は遮断され、激突地点から遠いところでも植物が朽ち果ててゆく。
完全なる地獄の世界。

そして、聞こえてきた神楽(美和)の声、
「ロン。16600。」
「えっ?」
美和が、ふと我に返ると神楽が和了っていた。しかも、美和が倍満を振り込んだらしい。
やられた。
やはり節子には敵わない。

これで、点数と順位は、
1位:神楽(節子) 45400
2位:美和 24100
3位:和 19600
4位:明星 10900
美和は、この一撃で神楽(節子)に大逆転を喰らった。


そして、オーラス。和の親。
ここでは、
「ポン!」
神楽が早々に白を鳴き、
「ツモ。300、500。」
そのまま神楽がゴミ手を和了った。
その際、数百メートルにも及ぶ高さの大津波が襲ってきて、陸にあるもの全てを飲み込んでゆく光景が、和、明星、美和の三人の目には映っていたと言う。

これで5位が神楽、6位が美和、7位が和、8位が明星で5位決定戦は終了した。

対局中、和と明星の表情を見ながら、某ネット掲示板の住民達は、たいそう賑わっていたようだ。
9位決定戦や13位決定戦に出場していた住民達もいたが、彼女達は、後から録画を見てコメントしたらしい。
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