インターハイ団体決勝戦は、副将前半戦南三局に突入した。
親は美由紀。ドラは{⑤}。何気に怖いドラ。
ここに来て美和の目付きが変わった。美由紀に3600点差まで詰め寄られたのだ。ここで何とか突き放したい。
現在、勝ち星を取ったのは順に白糸台高校、阿知賀女子学院、永水女子高校の三校。勝ち星数は一つずつだ。
もし、ここで美由紀に勝ち星を持って行かれても、白糸台高校と永水女子高校は大将戦で勝利すれば得失点差での優勝の可能性が残されている。
しかし、綺亜羅高校は、ここで勝ち星が取れなければ大将戦で勝利しても優勝は無い。
当然、美和としては、何としてでも勝たなければならない。
先行したのは、
「ポン!」
親の美由紀だった。二巡目の鳴きだ。
しかも、鳴いたのは何故かオタ風の{西}。
{東}か{南}か………もしくは三元牌か………それらのどれかを役牌バックで持っているのか、それとも鳴くのを狙っているのか。
こうなると親の美由紀に役牌を鳴かれないようにとケアする方に場が進むだろう。
しかし、そう言った中、美和は平気で{中}、{白}、{發}と落としていった。逃げても仕方が無い。ここは、勝負だ。
幸い、美由紀がこれらを鳴くことは無かった。
その一方で、みかんと春が字牌をケアした分、少ないながらもチュンチャン牌が序盤からチラホラと河に出てきた。
その一枚を、
「ポン!」
美和が鳴いた。
副露されたのは{2横22}。対面………春からの鳴きだ。
さらに数巡後、
「チー!」
美和は{横③④[⑤]}と晒した。これでドラ2が確定。
そして、そのさらに数巡後、
「ツモ!」
まるで美由紀のお株を奪うかのように、鳴き麻雀で美和がこの場を制した。
開かれた手牌は、
{三四五六七[⑤]⑤} チー{横③④[⑤]} ポン{2横22} ツモ{二} ドラ{⑤}
タンヤオドラ5。ハネ満である。
美和が和了りを決めると共に、またもや、みかん、春、美由紀の三人は幻の世界へと引き摺り込まれて行った。
当然、前回からの続きである。
もう身体が熱い!
合意でやっていることではないのに、一方的に攻めらているだけなのに、気持ち良過ぎて頭の中が真っ白になる。
「「「うっ! うぁぁっ!」」」
三人の口から思わず声が漏れた。屈辱的だ。
意識が飛びかけている。
半分、意識が朦朧とする中、
「3000、6000!」
美和の声が聞こえてきた。
これで三人とも現実世界に呼び戻された。
椅子が、さらに濡れているし、臭いもきつくなっている。
もう最悪だ。
少なくとも、咲、光と並んで絶対に対局したくない魔物である。
オーラス、美和の親。
さっきの和了りで勢いをつけたか、
「リーチ!」
たった二巡で美和がリーチしてきた。吸い込み式パワーを備えた彼女は、出和了りに拘る必要は無い。とにかく和了りを目指す。
それに、美由紀との点差を少しでも増やしておきたい。
一発ツモは無かった。吸い込み式パワーが低下しているのか?
そのまま、二巡、三巡と過ぎて行く。
みかんも美由紀も、美和がツモる時に妙に怯えた表情をしていた。
春は、開き直っているのか、それとも修行の一環のつもりなのかは分からないが、平静を装っていた。これに対して、みかんと美由紀は忌わしいHな幻を見させられるのを恐怖していたのだ。
それはそれで、美和は見ていて面白かったようだ。なんか、性格悪い。
そして、五巡後、
「ツモ!」
とうとう美和が和了った。
当然、三人は幻の続きを見させられた。
この上ない極上Hな状態だ。
しかも、ここに来て、三人とも右斜め上の方から視線を感じた。姿はハッキリ見えなかったが、たしかに誰かが覗いていたのだ。
その正体は美和だったのだが、みかんにも美由紀にも、そこまでは分からなかった。
ただ、春だけは霊力で美和であることに気付いていたようだ。
これまでも、この姿を、ずっと観察していたのだろう。これはこれで、みかんにとっても美由紀にとっても悔しいことだ。
春は、別に気にしていないようだが………。
まるで、身体の中が触手で引っ掻き回されているみたいだ。こんな快楽が、世の中にあったのかと思うくらいだ。
もうダメ。脳みそがショートして馬鹿になる。
誰かに覗かれていると思うと、余計に恥ずかしくなるし、何故か興奮してくる。
以前、一度美和に振り込むと、その後、無意識に美和に振り込むようになる選手も多いと聞かされたが、美由紀には、それが何となく理解できた。
「メンタンピンツモドラ1。4000オール!」
美和の点数申告の声だ。
これで三人は我に返った。
しかし、これで美和は終わらせてくれない。
「一本場!」
連荘を宣言したのだ。
理由は、別にHなモノを見たいためではない。自分にツキが来ていそうなので、この流れに乗って美由紀との点差を広げたいと考えてのことだ。
ただ、某掲示板の住人達は、
『これは、吹くまでやるつもりっス!』
『それはそれで一大事ですわ!』
『そうなったらワシが時間軸を飛ばすけぇ!』
『でも吹いたらスバレストです!』
『それって、私のお友達じゃないよモー!』
『先輩とは出すものが違うんデー』
美和がHなモノを見たいがために連荘するものと誤解していたようだ。
オーラス一本場。
この局を始めてすぐ、美和は後悔した。ここで春が、左手を使い出したのだ。
とんでもない支配力が場を襲う。
美和も美由紀もみかんも、配牌は普通だが、全然手が伸びないし鳴けない。
そのような中、春だけが手を進めた。
春の左手が、一瞬だが鬼の手に見えた。
そう思ったのも束の間、
「ツモ。8100、16100!」
春が大七星(七対子型字一色)をツモ和了りした。
そして、それと同時に美和もみかんも美由紀も、春の身体から合計二十一本の槍が伸びてきて、各七本ずつ自分の胸を貫かれた感覚に襲われた。
それも、まるで北斗七星の形をした傷を描くかのように………。
これで副将前半戦が終了した。
点数と順位は、
1位:美和 128800
2位:春 99200
3位:美由紀 99200(席順による)
4位:みかん 72800
美和がトップで折り返す結果となった。
美和と春は、平然と立ち上がったが、みかんと美由紀は立ち上がれないでいた。椅子が濡れているのを見られるのが恥ずかしかったからだ。
春の椅子も結構濡れていたが、春は、それを恥ずかしくてスタッフに言えないような人間ではなかった。
スタッフは、春から事情を聞くと、ディレクターに連絡を入れて映像を解説側に切り替えさせた。
その上で、
「一旦、控室に戻ってください。これから換気と清掃、それから椅子の取替え作業を行います。」
と言って、副将選手達を対局室から強制的に退場させた。
さすがに、このまま後半戦の場決めをさせて、他人の液体で濡れた椅子に座らせるのはマズイとの判断だ。
映像が切り替えられて、某ネット掲示板の住民達は、
『やっぱり吹いたっスか?』
『男性スタッフが前屈みになってたじょ!』
『現場からの情報をお願いするのです! 特に永水と阿知賀のオモチの娘の状況を知りたいのです!』
『巨大湖は形成されておりませんわ!』
『黄金水じゃなくて潮汁だと思』
それ相当に賑わっていたが、先ずは詳しい情報が知りたいと願っていたようだ。
みかんは、控室に戻ると替えのスカートに履き替えた。春季大会個人戦で経験済みなので、予め用意していたのだ。
ただ、春季大会よりも美和はパワーアップしている。あの時は、ここまで激しく濡らされることは無かったはずだ。
とんでもない強敵だ。
春は控室に戻ると霧島神境にテレポーテーションした。そして、代えの巫女服に着替えると、再び控室に戻ってきた。便利な力だ。
ただ、美由紀は、控室の前まで来たのは良いが、恥ずかしくて中に入れないでいた。
すると、控室の扉が開いて、
「スカート持って来てるからさ、着替えなよ!」
憧が美由紀の手を引いて控室に入らせた。
美由紀は、顔を真っ赤にしていた。まさか、麻雀の試合で絶頂を迎えるとは思ってもみなかったのだ。
咲が、美由紀に、
「美和ちゃんも勝ち星を取るために全力で戦ってるんだよ!」
と言った。
まあ、それは正論だ。しかし、本当にそれだけなのだろうかと疑いたくなる。
「でも、あんなのって。」
「私が他校の選手をお漏らしさせているのと同じだよ。全力で戦っているだけ。でも、あの能力が通じなかった人もいるよ。」
「それは、宮永先輩には通じなかったでしょうけど…。」
「私だけじゃないよ。」
「えっ?」
「和ちゃんもだよ。美和ちゃんが言ってた。和ちゃんは、心のバリヤーみたいなのが張り巡らされていて全然効かなかったって。」
「えぇ!?」
つまり、それは精神力で跳ね返せと言うことでしょうか?
美由紀には、そう思えてならなかった。
もっとも、和の場合は、精神力と言うよりも能力自体が通じないタイプなので、美和の力が届かなかったわけだが、さすがに美由紀には、そこまでは分からない。
結果的に、
『自分の心が弱いせいでは?』
と自己嫌悪に陥ってしまった。
一方、美和は、
「あー楽しかった!」
美女三人のあられもない姿を見て大満足していた。
ただ、最後の鬼の手だけは脅威を感じた。まるで、咲や節子を相手にしている時のような………全てを破壊してしまうような、そんな恐ろしさだ。
あれは、いったい何だったのだろうか?
美和が控室に入ると、
「お疲れ。でも、私が美由紀ちゃんに嫌われない程度にね。」
と第一声、美誇人が美和に言ってきた。
さすがに美由紀とのホットラインを壊されては困る。
「対局後に、キチンとフォローするつもりだよ。それに、咲ちゃんにも予めお願いしておいた。」
「だったら良いけど…。」
ただ、咲のフォローが、余りフォローになっていなかったのを、この時、美和は知らなかった。まあ、当然だろう。
「で、さっき電話で清掃作業とかが入ったって聞いたけど?」
こう美和に聞いたのは静香。
「三人とも、椅子が相当濡れていたみたいだからね。」
「思い切りやったわけか。」
「当然。勝つためだもん!」
静香も美誇人も鳴海も、ネット界隈で美和が咲や光と同レベルに扱われている理由が良く分かった。
ただ、敬子だけは、
「でも、咲ちゃんのオーラを受けたらお漏らしするのは理解できるけど、別に美和からは、そんなパワーは感じないけど?」
と不思議そうな顔をしていた。
まだ、能力キャンセルの力の凄さを自覚していないようだ。
30分後、各控室にスタッフから連絡が入った。
清掃等が終わり、その10分後に副将戦を再開するとのことだ。
この頃になると、美由紀も少し落ち着いてきた。
それと、美由紀は大事なことに気が付いた。
春季大会の個人戦で美和と戦った時には、美由紀は、こんな目には遭っていなかった。
ただ、ネットで色々検索すると、春季大会どころか、埼玉県秋季大会や関東大会でも美和の被害者は沢山いるのだ。
では、春季大会で、何故自分は被害に遭わなかったのか?
それは、自分が美誇人と仲が良かったからでは無いだろうか?
美誇人に遠慮したのだろう。
つまり自分自身は美和に手を抜かれていた。
それでいて、獲得素点を争う予選を、美和は余裕で勝ち抜けて本戦トーナメントに出場していた。
今のHな状態も悔しいが、手を抜かれていたことの方がもっと悔しい。
ならば、あの忌々しい能力に対して自身の力で打ち勝つしかない。
とにかく、心を強く持つこと。
触手攻撃にやられても、三次元世界で実際に何かをされているわけではないので、開き直ること。
これくらいしか考えられることは無いだろう。
そう言えば、今から思えば春とかは開き直っていたような感じがする。
咲のレベルなら、強大なオーラで美和の幻を跳ね返すのだろうけど、美由紀には、そんなことは不可能である。
あともう半荘、当たって砕けろだ!
美由紀は、
「行って来ます。」
いつものように気合を入れて控室を後にした。
対局室に次々と選手達が入ってきた。
たしかに前半戦の時と椅子が違う。交換されたのだ。
そして、選手達が卓に付くと場決めがされ、後半戦は起家が春、南家がみかん、西家が美和、北家が美由紀に決まった。
東一局、春の親。
前半戦の悪夢………春、みかん、美由紀にとっての黒歴史とも言える幻が甦る。
まるで前半戦のスタートダッシュを見ているようだ。ここでも美和は、立ち上がり絶好調であった。
いきなり、
「リーチ!」
序盤で先行リーチをかけたかと思うと、
「ツモ!」
一発で和了り牌を掴んできた。美和も吸い込み式パワーを充填してきたのだ。
美由紀達が、改めてエロスの世界に引き摺り込まれた。
三人とも服を着ている。後半戦に入って状態がリセットされたようだ。
再び三人の身体が、何本もの巨大な触手に捕えられて、触手が出す消化液で服が溶かされて行く。
そして全裸にされると、執拗に胸や股間を粘液付きの触手が攻めてくる。
美由紀は、
「(負けて堪るか!)」
快楽に頭が支配されないよう、別のことを考えることにした。
「(円周率は、3.141592653589793238462643383279………。)」
「(宮永先輩の迷子癖は超常現象レベルだったなぁ………。)」
「(高鴨先輩と打つと、後半は何故か鳴けなくなるんだよね。山支配か………。)」
「(ゆいと百子はオーソドックスな打ち方………。)」
「(そう言えば、亜紀のデビュー戦は凄かったな。部内では私とかゆいが勝ってるけど、対外的には亜紀の方がやり難いかも知れないよね………。)」
ただ、憧のことだけは考えなかった。
どうしてもエロいネタになりそうな気がしたからだ。
しばらくして、
「2000、4000!」
美和の点数申告の声が聞こえ、三人は幻の世界から解放された。
この時、美由紀は、
「(大丈夫。前半戦ほど酷くない。)」
全然と言う訳では無いが、身体の反応の方は、かなりコントロールできていた。これなら何とかなりそうだ。
驚いた表情で美和が、
「まさか、破られるとはね。」
と美由紀に言った。
「この半荘、耐えて見せます!」
「じゃあ、こっちもパワーを上げるよ!」
「えっ?」
さらにあの上があるの?
美由紀は、ちょっと自信が無くなった。