咲-Saki- 阿知賀編入   作:おこそとのほもよろを

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百七十本場:神楽へのリベンジ

 個人戦B卓は、綺亜羅高校エース稲輪敬子、同校第二エース的井美和、同校三銃士の一人鷲尾静香、そして、同じく三銃士の一人鬼島美誇人の対決。

 

 南二局、敬子の親。

 ここに来て、とうとう美誇人が、

「リーチ!」

 四巡目で先制リーチをかけてきた。

 

 しかし、人魚パワーのお陰で全員が絶好調の卓だ。振り込みは期待できない。絶好調な奴らが和了り牌を捨ててくるはずが無い。

 故に美誇人はツモ和了りを目指す。

 

 静香の豪運もパワーアップされている。その影響だろう。美誇人は絶好調でありながらも、東四局の美和と同様に一発でツモ和了りをさせてもらえなかった。

 

 とは言え、その二巡後に、

「御無礼。」

 美誇人は和了り牌を自らの手で掴み取ることができた。

「ツモです。メンピンツモドラ2。2000、4000。」

 表ドラと裏ドラが1枚ずつの手だった。

 この美誇人の手も美和の時と同じで、一発でツモ和了りできていれば一つ上の点数に跳ね上がっていた。

 勿論、一発でツモ和了りできることを前提に話をすること自体、おかしなことではあるが、今の美誇人は人魚パワーで全身がエネルギーで満ち溢れている。

 普段なら、美誇人としても一発でツモれる感覚なのだ。しかし、それが出来ないのは静香の豪運に足を引っ張られているからだろう。

 

 

 南三局、美和の親。

 ここでも、

「リーチ!」

 早い巡目で美誇人が攻めてきた。

 完全に流れは掴んだ。

 こうなると、美誇人は恐ろしい。

 

 基本的に三銃士と呼ばれる美誇人、静香、鳴海の三人は同程度の実力である。

 しかし、ここぞと言ったところでは美誇人が勝利を掴み取る。その証拠に、春季大会の個人戦順位では9位が美誇人、10位が静香、11位が鳴海だった。

 

 今回も一発では和了れなかったが、

「御無礼。」

 リーチ後、三巡目で、美誇人が、

「ツモです。2000、4000。」

 満貫ツモ和了りを決めた。

 

 これで、現在の点数と順位は、

 1位:敬子 39200

 2位:美誇人 24700

 3位:静香 18400

 4位:美和 17700

 

 瞬く間に、美誇人が2位まで順位を上げた。対する美和は親カブリが大きく、静香にも抜かれて最下位となった。

 

 しかし、美和も静香も満貫出和了りで美誇人を逆転できる範囲にある。

 敬子は親倍か子の三倍満を振り込まない限り勝ち抜け出来る位置にいる。恐らく、準決勝に進出するのは敬子と、もう一人であろう。

 

 その、『もう一人』の座を賭けたオーラスがスタートした。2位抜けの座を巡って美和、静香、美誇人が互いに火花を散らす。

 

 親は美誇人。ドラは{②}。

 人魚パワーで、全員が絶好調状態。

 絶対に和了らなければならない対局だが、美和も静香も美誇人もプレッシャーを跳ね除けて最短距離で聴牌に向けて手を進める。

 

 五巡目。

 最初に聴牌したのは美誇人。平和のみだが、{②⑤⑧}待ちの三面聴。間違いなくツキはありそうだ。

 これを和了れば2位抜けになる。しかも、場の流れから、次のツモで和了れるような気がする。

 ところが、

「ポン!」

 敬子が捨てた{白}を静香が鳴いた。

 これで静香も聴牌。それもドラを3枚抱えた満貫手だ。逆転2位の条件を満たす手を作り上げた。

 

 次ツモは再び敬子。これはツモ切り。

 そして、美和のツモ。

 ここで美和は、本来であれば美誇人に行くはずだった{⑥}を引いた。

 

 美和の手牌は、

 {三三四四五[五]⑤⑦⑨2245}  ツモ{⑥}

 打{⑨}で平和タンヤオ一盃口ドラ2の出和了り満貫の手を聴牌した。

 

 次巡、美誇人のツモは{西}。ツモ切り。

 静香も{中}をツモ切り。

 敬子は、ここで{2}を引いて聴牌。

 そして、次ツモで美和は、{3}を掴んだ。

「ツモ。タンピン一盃口ドラ2!」

 しかもハネ満ツモだ。

 

 再び、静香と美誇人の意識が幻の世界へと飛ばされた。前回からの続きである。

 この世界では、既に二人とも制服を完全に溶かされて全裸にされている。

 粘液だらけの触手で性感帯を隈なく刺激される。当然、現実世界の身体からは、

「「あぅっ!」」

 二人とも声が漏れる。

 

 いよいよ極太の触手が伸びてきた。それは、一直線に二人の股間を目指して突き進んで行く。

 …

 …

 …

 

「3000、6000!」

 体感時間で約1時間後、二人の耳に美和の点数申告の声が聞こえてきた。これで現実世界に意識は戻された。

 

 某掲示板では、

『やっぱり人魚には美和様の力が効いてないんじゃなかと?』

『ないないっ! そんなのっ!』

『エニグマティックだじぇい』

『正座して待ってたっスが、残念っス』

『能力が効かないなんて反則ですわ!』

『こっちは私の仲間じゃないから関係ないけど、残念だよモー』

『先輩は人魚のみかんジュースに期待してたんデー』

『人魚なら人魚らしく、服を脱いでオモチを晒して欲しいのです!』

『それって、みかんジュースと関係ないと思』

 それなりに住民が騒いでいた。

 やはり、美和の和了りに対して、敬子が『ビビクン』どころか『ビク』ともしなかったのは残念だったようだ。

 

 

 以上の結果、B卓の点数と順位は、

 1位:敬子 36200

 2位:美和 29700

 3位:美誇人 18700

 4位:静香 15400

 綺亜羅高校のダブルエースが準決勝進出を決めた。

 

 

 C卓は、白糸台高校の大星淡、粕渕高校の石見神楽、綺亜羅高校の竜崎鳴海、風腰女子高校の園田栄子が激突した。

 淡と神楽は昨年の世界大会日本チームのメンバー、栄子は同大会でのドイツチームのメンバーである。

 最後の一人も注目の綺亜羅三銃士の一人、鳴きのリュウこと鳴海。

 

 しかも、栄子と神楽は世界大会決勝大将戦で対局し、最後の最後で穏乃を降ろした神楽が勝利した。

 まさに因縁の対決。

 普通であれば期待の一戦で高視聴率が期待されるであろう。

 

 しかし、視聴者の人気は美和のいるB卓に集中しており、このカードですら視聴率は殆ど取れなかったと言うから驚きだ。

 それだけ美和の触手プレイの人気は高いと言うことだ。

 

 場決めがされ、淡が起家、神楽が南家、鳴海は西家、栄子が北家に決まった。

 この時、神楽には節子の霊が降りていた。

 栄子は、

「(大星さんは、私から18000点削れる力がある。他の二人は16000点か。結構、ハイレベルね。)」

 他家から感じるエネルギーから、相手が自分から奪える点数の上限を計っていた。

 

 少なくとも、本大会では穏乃の生霊が降りてくることだけは無い。

 当然、今回は神楽に勝つ!

 栄子は、対局開始前から、そう意気込んでいた。

 

 

 東一局、淡の親。

 当然、絶対安全圏が発動し、淡のみ二向聴で、他三人は全員六向聴となった。

 淡は序盤から、

「ポン!」

 栄子が捨てた{發}を鳴き、さらに、

「チー!」

 栄子が捨てた{8}を鳴いた。

 ドイツチームでディフェンス力ナンバーワンとされた栄子にしては、妙にガードの甘い捨て牌だった。

 ただ、栄子は、

「(これでイイ。今は、行けるところまで大星さんをサポートする。)」

 わざと淡を援護していた。

 一方の淡は、

「(何を考えてるか知らないけど、ここは有り難く和了りに向かわせてもらうからね!)」

 遠慮なく和了ることを決めていた。

 そして、絶対安全圏内に、

「ツモ。發ドラ2。2000オール!」

 淡は30符3翻の手をツモ和了りした。

 

 東一局一本場。

 ここでも栄子が淡を援護する。

 そして、

「ツモ! 2100オール!」

 ここでも淡は30符3翻の手をツモ和了りした。

 

 東一局二本場も、

「ツモ! 2200オール!」

 

 東一局三本場も、

「ツモ! 2300オール!」

 淡は遠慮なく和了った。

 

 東一局四本場、五本場、六本場も、

「ツモ! 2400オール!」

「ツモ! 2500オール!」

「ツモ! 2600オール!」

 淡は栄子の援護を有り難く利用させてもらい、連続で和了り続けた。

 絶対安全圏内では、神楽(節子)も鳴海も手の出しようが無い。ただ、イタズラに点数を削られて行くだけであった。

 

 東一局六本場の直後だった。

「「ドドン!」」

 節子と鳴海は栄子から放たれた衝撃波を感じ取った。

 

 現在の点数と順位は、

 1位:淡 73300

 2位:神楽(節子) 8900

 3位:鳴海 8900

 4位:栄子 8900

 節子と鳴海が栄子から削れる点数の上限は16000点。つまり、既に二人の上限値を越えてしまっていたのだ。

 もう、節子も鳴海も栄子から点数を削ることは出来ない。上限値18000点の淡ですら、栄子から直取りすることは許されなくなった。

 

 東一局七本場。

 ここでも栄子は淡を援護する。

 いったい、何を考えているのか、節子にも鳴海にも理解できなかった。

 

 淡は、ここでも30符3翻の手を聴牌できた。

 しかし、これをツモ和了りしたら淡が栄子を削る上限値を超えてしまう。そのため、淡は和了り牌を自力で掴み取ることが出来なかった。

 対するは節子に鳴海、そして最強ディフェンスの栄子。三人とも振り込むことは無い。

 この局は、淡の一人聴牌で流局した。

 

 東一局八本場。

「ドドン!」

 今度は、淡に衝撃波が飛んだ。

 現在、栄子の点数は7900点。つまり、淡が500オールを和了っても、ここに芝棒分の700点が加算され、淡が栄子を削る上限値を超えることになる。

 これで淡のツモ和了りまで阻止されてしまった。

 それどころか、これ以降、流局した際に栄子がノーテンであれば他の誰かが聴牌していることはない。栄子がノーテン罰符を支払った時点で淡の上限値を越える。

 栄子が狙っていたのは、まさに、この状態を作ることであった。

 

 この局、栄子は聴牌に向かわなかった。当然、これによって他家は全員、聴牌できなくなる。

 そして、全員ノーテンで流局した。

 

 東二局は、いきなり流れ九本場となった。

 ここも全員ノーテンで流局。

 

 東三局十本場も、東四局十一本場も、同様に全員ノーテンで流局させられた。これが栄子の強制力である。

 

 南入した。

 南一局十二本場、淡の親。

 この局も全員ノーテンで流局した。

 見ている者からすれば、実につまらない対局だろう。

 

 しかし、南二局十三本場。神楽の親。

 いよいよ、ここで場が動く。

 

 栄子の配牌は、

 {三四六⑨128東南西北白中}

 八種八牌。

 第一ツモは{9}。

 これで九種九牌だが流さずに打{四}。国士無双狙いだ。

 

 今、置かれた状況において、栄子の能力は、栄子にノーテン罰符を払わせない方向に動こうとする。

 つまり、栄子が聴牌を拒否しない限り、ムリにでも栄子の手を聴牌させる方向に作用することになる。それを知っての国士無双狙いである。

 そして、たった五巡で国士無双を聴牌し、次巡、

「ツモ! 8000、16000の十三本場は、9300、17300!」

 その勢いのまま栄子が和了りを決めた。

 

 これでC卓の点数と順位は、

 1位:淡 67000

 2位:栄子 43800

 3位:鳴海 -1400

 4位:神楽(節子)-9400

 神楽と鳴海のトビで対局は終了した。まさに栄子の神楽へのリベンジ戦であった。

 

 

 D卓は、白糸台高校の宮永光、永水女子高校の石戸明星、白糸台高校の原村和、千里山女子高校の椋真尋の対決。

 明星と和のダブル巨乳美女の戦いであったが、それでもB卓の人気には敵わなかったと言う。

 

 場決めがされ、起家が真尋、南家が和、西家が明星、北家が光に決まった。

 この時、真尋は、

「(ステルスの人もいないし、ここは絶対に勝つ!)」

 団体戦の名誉挽回とばかりに意気込んでいた。

 

 東一局、真尋の親。

 当然、真尋はクズ手の連荘を狙う。

「ポン!」

 彼女は、早々に和が捨てた{白}を鳴くと、

「ツモ。」

 そのまま早い巡目で和了りを決めた。

「500オール。」

 和了り点は小さいが、塵も積もれば山となる。これが真尋の麻雀スタイルだ。当然、ここから怒涛の連荘を目指す。

 しかし、百戦錬磨の光も黙ってはいない。

「(団体戦の牌譜も見たけど、この千里山の子は、親の時は完全に山が見えてるみたいな打ち方をする。でも、点数は小さい。それに、基本的に親でしか和了れないみたいだよね。なら、芝棒が増える前に多少ムリしてでも流す!)」

 既に光は、真尋の打ち方の本質を捉えていた。

 光は、一旦目を閉じて精神を集中した。そして、目を開くと同時に、鋭い視線を真尋に向けた。

 この時、光は、

『覚悟しろ!』

 と言わんばかりの表情をしていた。

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