咲-Saki- 阿知賀編入   作:おこそとのほもよろを

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百七十四本場:下位卓対決

 A卓下位二名とB卓下位二名の対局は、東一局一本場が開始された。

 親は静香。ドラは{②}。

 この局では、急激に蒔乃のオーラが強大に膨れ上がった。

 しかし、蒔乃に降りた軍神は、いくつかの縛りを自らに課していた。その一つが、配牌操作の放棄であった。これは、以前の大会でも決めていたことだ。

 恐らく、そのためであろう。静香、美誇人、マホの三人が蒔乃の強烈なオーラを感じるようになったのは配牌直後からであった。

 

 二つ目の縛りは相手の和了り牌は察知できるが、山や相手の手牌を透視することは禁じていた。

 

 そして、三つ目が和了り手である。

 基本的に萬子の染め手以外は和了らない。しかも、同一聴牌形から和了ることに拘っていた。

 

 軍神は、過去に同一聴牌形から倍満、三倍満、役満をツモ和了りして見せた。

 その時の手牌は、

 {一一二二三四[五]六七八九九九}

 

 ここから{二}をツモれば門前清自摸清一色赤1の倍満。

 {三}をツモれば門前清自摸清一色一気通関一盃口赤1の三倍満。

 {一}をツモれば九連宝燈で役満。

 今回も、この形に向けて動いていた。

 

 蒔乃の配牌は、萬子が七枚と、結構萬子に偏った配牌だった。この配牌は偶然である。

 ここから、たった六巡で聴牌し、七巡目で、

「ツモ。6100、12100!」

 三倍満をツモ和了りした。

 

 

 東二局、マホの親。

 ここでマホは、

「(神代さんは萬子染めに走っています。ここで石戸霞先輩の力を使うと全員が染め手になって場が荒れちゃいます。なら、ここは一巡先を見て最短距離で勝負します!)」

 怜のコピーで蒔乃よりも先に和了ることを目指すことにした。

 

 しかし、今回も蒔乃の配牌は萬子に偏っていた。偶然とは言え、第三者視点では配牌操作を疑いたくなる。

 そして蒔乃は、たった六巡で聴牌し、

「ツモ。4000、8000!」

 同一テンプレートから{二}を引き当てて倍満をツモ和了りした。

 

 これで点数と順位は、

 1位:蒔乃 59300

 2位:静香 26900

 3位:美誇人 8900

 4位:マホ 4900

 既にマホが危ない状態になっていた。

 

 相手の力を考えると、正直、美誇人もマズい状態だ。

 もし、次に蒔乃が同一聴牌形からの和了りとして最後に残された九連宝燈役満をツモ和了りしたならば、マホだけではなく美誇人も箱割れ必至である。

 

 

 もはや勝負は着いたと誰もが思う中で東三局がスタートした。

 親は蒔乃。ドラは{⑨}。

 この局では、蒔乃の配牌に萬子が二枚しかなかった。今までの配牌が良かった反動かも知れない。

 例のテンプレート完成まで最低でも十一巡かかる。

 しかも途中で鳴きが入ると直後のツモは萬子ではなくなり、ツモが立て直されるのは、その次巡になるため、さらに聴牌まで時間がかかる可能性がある。

 

 四巡目、

「ポン!」

 美誇人が捨てた{北}をマホが鳴いた。これは、マホの自風である。

 そして、その三巡後、

「リーチ!」

 美誇人が{東}を切ってリーチをかけた。この時の美誇人は、まるで全てを見切ったような表情をしていた。

 

 すると、この{東}を、

「ポン!」

 またもやマホが鳴いた。

 

 突然、急に卓上が禍々しい空気に覆われた。

 これは薄墨初美のコピーだ。

 ここからマホは、五巡かけて{西}と{南}を次々と引いて行くことになる。そして、その片方が暗刻、もう片方がアタマになる。

 マホの手は、順調に小四喜に向けて動いていった。

 

 当然の如く、五巡後にマホは最短距離で小四喜を聴牌した。

 しかし、ここで捨てた{③}で、

「御無礼。」

 マホが美誇人に振り込んだ。

 

 美誇人が全てを見切ったのは蒔乃に対してではなく、マホに対してであった。

 この点差で北家になれば、恐らく初美のコピーで一発逆転を狙うだろう。そう読んでのリーチだったのだ。普通なら怖くて攻められないだろうが、この局面で、マホから和了牌が絶対に出てくると確信していたようだ。

「ロン。リーチメンホン中一盃口ドラ5(表2、赤2、裏1)。24000。」

 しかも三倍満。

 

 これで点数と順位は、

 1位:蒔乃 59300

 2位:美誇人 32900

 3位:静香 26900

 4位:マホ -19100

 対局は、またもやマホのトビで終了した。

 勝負師美誇人の大逆転で、9位決定戦には蒔乃と美誇人進出し、静香とマホは13位決定戦に進むことになった。

 

 

 一方、C卓下位二名とD卓下位二名………神楽、明星、鳴海、真尋の対局は、起家が神楽、南家が真尋、西家が明星、北家が鳴海でスタートしていた。

 

 東一局、神楽の親。

 神楽に降りてきているのは綺亜羅高校の元エース節子。

 しかも、今回は粕渕高校を代表する神楽の勝利のため、節子は神楽の持つ透視能力を使って牌を打つ。

 但し、山に伏せられた牌を透視することはできない。飽くまでも相手の手牌だけを透視する。

 とは言え、和了り牌を完全に見抜けるわけだし、相当のアドバンテージになる。

 

 節子がオーラを全開にした。

 真尋、明星、鳴海の目に映る光景が、対局室から急に荒野と変わった。そして、地面が激しく揺れたかと思うと、あちこちで地が避けてマグマが噴出し始めた。

 まさにこの世の終わりである。

 

 ただ、鳴海も明星も平然とした顔をしていた。

 鳴海は高校1年の時に節子の能力を何度も経験しているし、明星も春季大会の個人戦で節子との対局を経験していたと言うのもあるが、そもそも二人とも肝が据わっている。

 なので、これくらいでは動じない。

 

 ところが、真尋だけは表情がすっかり固まっていた。

 千里山女子高校と粕渕高校は団体5位決定戦で対戦し、神楽とは先鋒戦で対局した。なので、真尋は既に、この恐怖映像を経験済みであった。

 しかし、何度見ても怖いものは怖い。

 これで真尋は、完全に萎縮してしまった。

 

 六巡目、

「リーチ!」

 神楽(節子)が先制リーチをかけた。

 再び他家三人の目には恐怖映像が見える。これで真尋は、さらに萎縮して目に涙を浮かべ始めた。

 ただ、こんな状態にありながらも、真尋は節子に振り込まなかった。そこは評価すべきであろう。

 明星も鳴海も安牌切りで一発回避。

 しかし、

「ツモ! 4000オール!」

 無常にも節子のリーチ一発ツモドラ2の親満が炸裂した。

 

 東一局一本場でも、

「ツモ! 4100オール!」

 

 東一局二本場でも、

「ツモ! 4200オール!」

 

 節子の親満ツモが続いた。

 これで神楽の点数は61900点。相手の手牌が見える以上、余程のことが無い限り神楽のトップは揺るがないだろう。

 

 東一局三本場。

 ここで、

「ポン!」

 漸く鳴海が動いた。真尋が捨てた{②}を鳴いたのだ。

 

 次巡、

「カン!」

 鳴海が明星の捨てた{北}を大明槓した。明星にしては珍しくヤオチュウ牌が余ったらしい。

 新ドラ表示牌は{西}。これで鳴海の北ドラ4が確定した。

 

 そのさらに二巡後、

「カン!」

 鳴海は、{②}を加槓した。

 しかし、

「ロン。」

 これで明星が和了った。

 

 開かれた手牌は、

 {九九①③123西西西中中中}

 {③23}は配牌時点から持っていた牌なのだろう。

 

「8900。」

 しかも、槍槓中チャンタの満貫手。結構大きい。

 これで神楽の親を流すことができたが、鳴海にとっては、まさかの大打撃であった。

 

 現在の点数と順位は、

 1位:神楽 61900

 2位:明星 21600

 3位:真尋 12700

 4位:鳴海 3800

 鳴海が一気に危ない(トビそうな)状態となった。

 

 

 東二局、真尋の親。

 未だに真尋は萎縮したままだ。

 一回戦でも大化けした和と超怪物光にコテンパンにやられた。

 団体戦ではステルスに罠を張られた。

 そして、極めつけが天変地異?

 やはり全国は広い。真尋は、今まで打ってきた環境では、まだまだヌルいのだ(?)と痛感していた。

 まあ、普通の感覚で言えば、真尋は十分強く、真尋が対戦した相手の方が異常だと思うのだが………。

 

 この局では、

「ポン!」

 真尋が早々に鳴海に自風の{西}を鳴かせた。真尋にとってはオタ風牌だし、これは本来仕方が無いだろう。

 

 その二巡後、

「カン!」

 またもや真尋が鳴海に鳴かせた。今度は、{⑧}を大明槓された。

 新ドラ表示牌は{⑦}。これで鳴海の西ドラ4が確定した。

 

 その次巡、

「カン!」

 当然の如く、鳴海が{西}を加槓した。次の新ドラ表示牌は{南}。これで鳴海の西ドラ8、倍満が確定した。

 

 そして、そのさらに次巡、

「ツモ。4000、8000!」

 鳴海の倍満が炸裂した。

 

 これで、現在の点数と順位は、

 1位:神楽 57900

 2位:鳴海 19800

 3位:明星 17600

 4位:真尋 4700

 鳴海がラスから一気に2位まで浮上してきた。

 しかも、今度は真尋が箱割れに近い状態。ここからは、明星と鳴海の一騎打ちが期待される。

 

 

 東三局、明星の親。

 ここに来て、明星のオーラが急激に大きくなった。この局で鳴海との勝負を着けようとしているのだ。

 明星には配牌操作の力は無い。

 しかし、今回の配牌は六種七牌。普通なら困った配牌だが、ヤオチュウ牌支配の能力を持つ明星には最高の配牌だった。

 当然、第一打牌からチュンチャン牌である{④}を切った。

 すると、

「ポン!」

 一巡目から鳴海が、まさかの鳴き。こっちも形振り構わず勝負しに来ている感じだ。

 

 次巡、明星は七種目のヤオチュウ牌を引いた。

 そして、そのさらに次巡に明星が捨てた{7}を、

「ポン!」

 またもや鳴海が鳴いた。

 

 その二巡後、

「カン!」

 鳴海が{7}を加槓した。当然のように、新ドラ表示牌は{6}。これでドラ4確定。

 

 そのさらに二巡後、

「カン!」

 再び鳴海が加槓した。加槓されたのは{④}。そして、新ドラ表示牌は{③}。これで鳴海のドラ8が確定した。

 

 今回、鳴海の狙いはタンヤオドラ8。

 幸運にも嶺上牌が有効牌となり、これで鳴海は聴牌した。

 

 しかし、

「ツモ。混老七対!」

 明星の方が一手早かった。

 しかも、本大会ルールでは混老七対子を5翻相当役として数える。そのため、これは門前清自摸七対子の6翻となり、

「6000オール!」

 ハネ満相当となる。

 

 これで、点数と順位は、

 1位:神楽 57900

 2位:明星 35600

 3位:鳴海 13800

 4位:真尋 -1300

 真尋がヤキトリのままトビ終了し、神楽と明星が9位決定戦に進出し、鳴海と真尋は13位決定戦へと進むことが決まった。

 

 

 昼の休憩に入った。

 この後、時間を少し繰り上げて12:30から5位決定戦、9位決定戦、13位決定戦が同時並行で行われ、その後に決勝戦が開催される。

 

 なお、決勝卓に進出するのは以下4名である。

 宮永咲(阿知賀女子学院)

 高鴨穏乃(阿知賀女子学院)

 宮永光(白糸台高校)

 大星淡(白糸台高校)

 春季大会の決勝卓と同じメンバーである。今度こそ打倒咲を達成すべく、光も淡も猛烈に燃えている。

 

 

 5位決定戦は、以下4名で行われる。

 的井美和(綺亜羅高校)

 稲輪敬子(綺亜羅高校)

 原村和(白糸台高校)

 園田栄子(風越女子高校)

 果たして美和が、美女ランキング2位の敬子と6位の和のみかんジュースを出させることに成功するか、それが話題の一戦である。まあ、どちらも他人の能力に干渉されないタイプなので余り期待はできないが………。

 

 

 9位決定戦は、以下4名で行われる。

 神代蒔乃(永水女子高校)

 鬼島美誇人(綺亜羅高校)

 石見神楽(粕渕高校):中味は故 古津節子(元 綺亜羅高校)

 石戸明星(永水女子高校)

 永水女子高校のダブルオモチの対決であり、かつ綺亜羅高校最強vs綺亜羅三銃士最強の対決でもある。

 恐らく、前者の意味で玄が飛びつくこと間違い無しの一戦であろう。

 

 

 13位決定戦は、以下の4名で行われる。

 鷲尾静香(綺亜羅高校)

 夢乃マホ(千里山女子高校)

 竜崎鳴海(綺亜羅高校)

 椋真尋(千里山女子高校)

 綺亜羅高校の3年生勝負師二人と千里山女子高校の1年生二人の対決。1年生二人が、どこまで綺亜羅三銃士の二人に相手に戦えるかが期待される。

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