咲-Saki- 阿知賀編入   作:おこそとのほもよろを

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百七十五本場:決定! 9位から16位

 昼の休憩が終わり、これより5位から16位までを決める戦いが始まる。いずれも半荘一回勝負である。

 

 13位決定戦は、起家が鳴海、南家が静香、西家がマホ、北家が真尋でスタートした。

 東一局、鳴海の親。

 ここでいきなり、マホは大きい手を狙って霞のコピーを使うことにした。

 しかし、萬子、筒子、索子の一つが他家に行かないと言うことは、それだけ他家も牌が偏ることを意味している。

 これを感じ取った鳴海が、

「ポン!」

 いきなり静香が切った{⑨}を鳴いた。

 

 マホからは索子と字牌のみが捨てられる。どうやら、マホは索子に染めているようだ。

 しかも、清一色まで持って行こうと、途中から三元牌や場風牌も出てくる。

 それを逃さず、

「ポン!」

 鳴海がマホから{白}を鳴いた。

 

 次巡、

「カン!」

 鳴海が{白}を加槓した。

 当然、新ドラ表示牌は{中}。

 ラッキーなことに嶺上牌は{⑨}。

「カン!」

 そのまま、これを鳴海は加槓した。

 新ドラ表示牌は{⑧}。これで白ドラ8の親倍が確定した。

 

 そして、数巡後、

「ツモ。8000オール!」

 鳴海が親倍をツモ和了りした。

 恐らく鳴海を相手に、マホは霞の能力を選択するべきではなかったのかも知れない。今となっては後の祭りだ。

 

 東一局一本場。

 マホは、ここで鳴海を相手にリスキーだが、咲のコピーを使うことにした。

 鳴海が倍満を和了るためには自身の槓が必要だろう。ただ、今のところ、咲のように狙って嶺上開花で和了れるわけではなさそうだ。

 ならば、先に二つ槓して四槓流れを狙う。

「カン!」

 マホが{西}を暗槓した。まだ二向聴のため、嶺上開花にはならず有効牌を引くに留まったが、これで一つ目の槓を潰した。

 

 どうやら真尋が、マホの狙いに気が付いた。

 ただ、援護したくてもマホが何を槓したいのかが分からないし、鳴海も大明槓してくるので迂闊に初牌を切ることができない。

 とは言え、咲をコピーしただけのことはある。マホは、二つ目の槓子を自力で揃えることに成功した。

「カン!」

 今度は、マホが{①}を暗槓した。

 嶺上牌は、今回も有効牌。これでマホは聴牌した。

 

 しかし、次巡、

「ツモ。タンヤオドラ5。3100、6100!」

 豪運の静香に和了られてしまった。

 しかも、5枚のドラのうち3枚はマホが作った二種の新ドラである。それと元ドラに赤牌1枚で計ドラ5だ。

 鳴海を潰すつもりが静香を援護してしまった。これもマホのミスであろう。

 

 

 東二局、静香の親。

 マホは既に、優希、洋榎、怜、初美、霞、咲のコピーを使った。いずれも結果的に有効には使えていない。むしろマイナスに作用してしまっている。

 それもあって、マホは完全に萎縮し始めた。

 

 真尋は、昼の休憩を挟んだことで落ち着きを取り戻していたが、基本的に親番でないと和了れない能力だ。

 なので、余り自分の点棒を大量に持って行かれずに自分の親まで回したいところだが、綺亜羅高校の勝負師二人が高い手を和了っている。

 このままでは、二人を逆転するのは厳しくなりそうだ。

 

 勿論、諦めるつもりは無い。なので、ここはマホに安手で和了ってもらいたいところだが、どうもマホの思惑が裏目に出ている。

 ここは、ムリをしてでも自分が和了って親を流す。

 そのつもりで対局に臨むことにした。

 

 しかし、敬子の人魚パワーで絶好調状態を保つ二人のスピードはハンパではなかった。

 真尋が鳴いてツモを狂わせようにも、そのチャンスが来ない。完全にツキが綺亜羅高校の二人に持って行かれている。

 

「カン!」

 鳴海が早々に一つ目の槓を副露した。今回は暗槓だ。

 そして、その三巡後に、

「カン!」

 再び鳴海が槓を副露した。今度はマホが捨てた{北}の大明槓である。

 {北}は鳴海の自風。

 これで鳴海は北ドラ8の倍満を確定させた。

 

 そのさらに次巡、

「ツモ。4000、8000!」

 鳴海は倍満をツモ和了りした。

 こんな高い手をバンバン和了るヤツが絶好調状態では手の出しようが無い。

 そもそも、こんな輩が13位決定戦にいること自体がおかしい。もっと上の卓にいるべきではないだろうか?

 ただ、逆を言えば、これだけの力を持つ者でも9位決定戦にすら行けないのだ。

 とんでもないレベルの高さを真尋は痛感していた。

 

 泉から、

『千里山の日本人選手で宮永咲に対抗できるのは真尋とマホしかおらん!』

 と言われて自分もその気でいたが、全然次元が違う。

 この綺亜羅高校のバケモノ二人でさえ、咲の足元にも及ばないのだろう。まだまだ打倒咲を掲げるレベルには、自分達は到底達していない。

 

 

 東三局、マホの親。

 ここでマホと真尋は、静香から強大なエネルギーを感じた。強いて言えば、マホが初美のコピーを使った時と同レベルであろうか?

 静香の持つ豪運が、今、最大値に達したのだ。

 いやな予感がする。

 真尋は、

「チー!」

 マホから鳴いてツモを狂わせてみたが、全然効果が無い。元々予定していたのとは別の有効牌を先に回しただけに過ぎないようだ。

 そして、たった六巡で、

「ツモ。8000、16000!」

 静香は四暗刻を和了った。

 

 これで、点数と順位は、

 1位:静香 53300

 2位:鳴海 50900

 3位:真尋 1900

 4位:マホ -6100

 真尋とマホの二人がヤキトリのまま、マホのトビで終了した。

 千里山女子高校の二人にとっては、まさに悪夢のような半荘であった。

 

 

 同時開催の9位決定戦は、起家が美誇人、南家が明星、西家が神楽、北家が蒔乃で行われていた。

 

 東一局、美誇人の親。

 場の流れの全てを見切ってから勝負に出る美誇人としては、起家は余り嬉しくない。

 美誇人は人魚パワーで絶好調状態のはずなのだが、恐らく今の自分以上にパワーのある者達によって不利なところに追い込まれていると判断していた。

 そのパワーのある者の一人、蒔乃から、いきなり、とてつもなく強大なオーラが放たれた。まるで咲を見ているようだ。

 

 今なお蒔乃の身体には軍神が降臨している。

 そして、九巡目のツモ番で、

「ツモ。8000、16000!」

 九連宝燈をツモ和了りした。

 百戦錬磨の美誇人でさえ、こんな輩に対抗できる人間がいるのだろうかと思いたくなるレベルだ。

 勿論、対抗できる人間がいるからこそ、毎回神が降臨されるわけだが、そうなる原因を作っている化け物の存在が、美誇人には信じ難い。

 しかも、その化け物は、今や自分達の憧れの存在から美和や敬子の親友である。

 一年前には想像もできなかったことだ。

 

 役満の親かぶりは痛いが、これは仕方が無い。

 何とか後で取り返すつもりで次局に入る。

 

 

 東二局、明星の親番。

 またもや天変地異の光景が明星の目に映った。

 とは言え、恐らく明星も美誇人も蒔乃も、これに恐怖して手が縮こまるようなことは無いだろう。

 しかし、これは脅かすために見せているモノでは無い。神楽に降りた節子が本気で能力を開放したことの証である。

 

 この時、明星はヤオチュウ牌支配で手を進めていたが、急にヤオチュウ牌がツモれなくなった。節子のパワーで明星の能力を押さえつけたのだ。

 非常に強大なエネルギーだ。

 そして、たった四巡で、

「リーチ!」

 節子は聴牌すると、即リーチをかけた。

 

 蒔乃は和了り牌が分かる。当然、振り込まない。

 美誇人と明星は、一先ず現物で回した。

 しかし、

「ツモ! 2000、4000!」

 強大なエネルギーがツモに影響しているのだろう。節子は一発で和了り牌を掴み取った。

 リーチ一発ツモドラ2(表1裏1)の満貫である。

 これで神楽の点数は原点に復帰した。

 

 

 東三局、神楽(節子)の親。

 未だ、節子の見せる天変地異の幻が続く。

 激しい地震に火山の大噴火。

 地面はあちこちに亀裂が入り、そこからマグマが噴出している。これが幻ではなく現実だったら、恐らく自分達は生きてはいないだろう。

 

 今回も、強大なエネルギーをバックに、

「リーチ!」

 神楽(節子)が先制リーチをかけた。

 蒔乃は、平然と索子のチュンチャン牌を切る。勿論、セーフ。

 これを美誇人が、

「チー!」

 一発消しで鳴いた。

 

 しかし、

「ツモ!」

 苦もなく節子にツモ和了りされた。

 

 開かれた手牌は、

 {二三四五六[⑤]⑥⑦22567}  ツモ{一}  ドラ{9}  裏{三}

 

 メンピンツモドラ2の親満だ。

 やはり、鳴いたことで和了り牌を回してしまったか?

 

 しかし、山を崩す時に、次に神楽がツモるはずだった牌が見えた。

 {七}だった。

 それを一発でツモられたらタンヤオと三色同順も付いて親倍ツモである。結果的に鳴いて正解だ。

 

 東三局一本場、神楽の連荘。

 まだまだ続く節子が見せる幻の世界。

 人類が滅亡するレベルの天変地異が継続している。

 

 七巡目に突入した時、突然、遠くの空に光り輝くモノが見え始めた。その光は、少しずつ大きくなっている。

 もしかして、これは小惑星か?

 今度は、小惑星激突の悪夢を見せようと言うのか?

 

 すると、今度は神楽の下家から、小惑星に向けて強大なエネルギー波が放出され始めた。蒔乃に降臨している軍神から放たれるものだ。

 そして、そのエネルギー波を受けると、小惑星が空中で爆発した。

 もはや麻雀など全然関係ない世界だ。

 

 その直後のことだった。

「ツモ。4100、8100!」

 蒔乃が、{一一二二三四五六七八九九九}のテンプレートに{二}をツモり、倍満の和了りを宣言した。

 

 美誇人も明星も、

「「(これ、麻雀よね?)」」

 大地震や火山の大噴火に留まらず、小惑星の接近に小惑星の爆発と、訳の分からないモノを見せられて、一瞬、自分達が麻雀を打っていることを忘れていた。

 

 これで、点数と順位は、

 1位:蒔乃 67300

 2位:神楽 28900

 3位:明星 4900

 4位:美誇人 -1100

 珍しく美誇人のトビで終了となった。

 

 普段は美誇人が、

『御無礼。貴女のトビで終了です!』

 と言う側だが、ヤラれる側は久し振りである。

 

 やはり軍神の力には明星も美誇人も到底敵わない。また、節子の能力と神楽の能力が合わさったら三銃士で最も勝負強い美誇人でも100%勝ち目が無い。

 それが立証された対局でもあった。

 

 

 一方、5位決定戦は、起家が敬子、南家が美和、西家が和、北家が栄子で対局が開始された。

 一応、みかんジュースを期待する対局で、9位決定戦や13位決定戦よりも人気のある対局ではあったが、

『敬子と和のみかんジュースは見たいけど、二人とも不感症だし…。』

 と、視聴する側も、やや諦めムードではあった。

 

 東一局、敬子の親。

 対局と同時に、栄子は他家三人の力量を能力で測る。

 和は、二回戦でも見たが上限が分からない。これは、他人の能力が効かないことに起因する。

 これでは栄子の武器であるリラの鉄槌が打てない。

 まるで、世界大会で神楽が見せた蔵王権現のようだ。

 

 敬子も良く分からないが上限が見えない。測定不能である。

 どうやら敬子も和と同じマイペース属性のようだ。恐らく、和以上に他人の能力が効かないっぽい。

 

 そして、良く分からないのが美和。

 観測値は、一瞬16000点と出た。

 しかし、その後、カウンターが動き、>25000を示したり16000に戻ったりと、メーターの針が激しくブレているのだ。

 このような現象は初めてだ。

 三人とも力量をきちんと測れず、栄子の表情には不安の色が浮き出ていた。

 

 

 配牌の最中、敬子は毎度の如く綺亜羅高校応援歌を口ずさんでいた。

 これが聞こえてきた途端、栄子は、自分の身も心も敬子の中に吸い込まれてしまうような感覚に陥った。

 まるで人を好きにさせる催眠術にでもかけられているみたいだ。

「(何なの、これ?)」

 これも敬子の能力だ。

 こんな能力は初めてだ。このような相手に麻雀を打つのは、栄子としても初めてのことであった。

 

 いよいよ、東一局がスタートした。

 相変わらず、敬子の捨て牌は{東南西北}。

 そして、五巡目に

「リーチ!」

 敬子は{白}を切って先制リーチをかけた。

 

 栄子には理屈抜きで和了り牌が分かるので振り込むことは無いが、敬子を走らせると何処まで削られるかが分からない。

 何とかして敬子の和了りを阻止したいところだ。

 

 美和は、敬子の特性を知ってか、ここで字牌を切ってきた。

 和は、読むだけムダと開き直ったか、自分の手を進めて不要牌を切った。一先ずセーフ。

 次は栄子のツモ番だが、栄子が振り込むことは無い。

 

 そして、次は敬子の一発目のツモ番。

「(和了らないで!)」

 と栄子は祈ったが、基本的にKYな敬子の麻雀は他人の嫌な方向に物事を進める。

 当然、

「ツモ! 6000オール!」

 一発でハネ満ツモを決めてくれた。

 ただ、この瞬間、栄子の目には敬子の姿が麗しき人魚の姿に見えた。どうやら、これが敬子の能力の根源のようだ。

 

 東一局一本場、敬子の連荘。

 またもや敬子は、配牌の最中に綺亜羅高校応援歌を口ずさんでいた。

「(つまり、これは人魚の歌声ってことか。全ての人を魅了する歌声。だから、人を好きにさせる催眠術にでもかけられているように思えたんだ。)」

 栄子は、配牌に集中して敬子の歌声を意図的にシャットアウトした。

 

 この局は、

「ポン!」

 敬子が捨てた{西}を早々に和が鳴いた。

 さらに、

「チー!」

 和は美和が捨てた{1}を鳴いて{横123}と晒した。どうやら、敬子の親を流すために形振り構わずてを進めている感じだ。

 そして、

「ツモ。1100、2100。」

 西ドラ2を和了って、和は敬子の親を流した。

 栄子は、

「(あの歌声に惑わされずに、さっさと和了りに持って行けるところが凄いかも。)」

 と和の和了りに感心すると共に、能力キャンセル系の恐ろしさを改めて感じていた。

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