咲-Saki- 阿知賀編入   作:おこそとのほもよろを

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今回は、世界大会開始までのあらすじを、さくっと書かせていただきます。
この内容で余り話を引っ張りたくないもので…。
まこの時間軸超高速跳躍ほど酷くはないと思いますが、皆様の視点からは大同小異かもしれません。


百八十四本場:またまた国民麻雀大会4  結果・その後・世界大会スタート

 コクマの決勝戦は、南二局一本場、美和の連荘。

 ドラは{⑨}。

 ここに来て、とうとう咲のオーラが極限まで膨れ上がった。

 

 ワールドレコードホルダーの慕や、深山幽谷の化身と呼ばれる穏乃もそうだが、咲は前半よりも後半の方が強い。

 これは恐らく、咲が自分の点数をプラスマイナスゼロに調整する能力を得るのに必要不可欠であったためだろう。後半の支配力が強力でなければプラスマイナスゼロを達成することはできないからだ。

 

 一方の栄子は、前局、前々局と二連続で美和ワールドに連れて行かれ、触手を相手に乱れ捲くっていた。

 それもあって、今は完全に麻雀への集中力を欠いていた。アタマがピンク色から切り替わってくれないのだ。

 

 スーパーディフェンスを誇る栄子だが、能力が出せなければ凡人以下である。

 普段、能力で相手の聴牌気配や和了り牌を察知できていた分、能力に頼りきりになっている。そのため、能力が失われると何も分からなくなってしまうのだ。

 これは、昨年の世界大会で穏乃の生霊を相手に既に経験済みではある。

 とは言え、一年やそこらで能力封印時の力を世界大会レベルまで底上げしろと言う方がムリであろう。

 結局、栄子は咲の手牌から放たれる異様な雰囲気に、まるっきり気付かずにいた。そして、中盤に入ってすぐに初牌の{南}を捨てた。

 

 すると、

「カン!」

 咲が、これを大明槓した。

 そして、嶺上牌を引くと、

「ツモ!」

 当然の如く、咲は嶺上開花を決めた。

 

 開かれた手牌は、

 {①①①③⑦⑦⑧⑧⑨⑨}  明槓{南横南南南}  ツモ{②}  ドラ{⑨}

 

「ダブ南混一チャンタ嶺上開花ドラドラ。16300です。」

 倍満だった。

 

 これで、点数と順位は、

 1位:咲 159300

 2位:光 129500

 3位:美和 112100

 4位:栄子 -900

 これで、栄子のトビで終了した。

 

 ただ、今の栄子は咲の攻撃的なオーラも全然感じられない。なので、巨大湖の形成だけは免れたようだ。

 もっとも、美和ワールドに何回もつれて行かれたお陰で、それ以上に恥ずかしいことになっていたのだが………。

 

 

「「「「ありがとうございました。」」」」

 対局後の一礼を終えると、咲達は、一旦控室に戻された。この対局室で表彰を行いたいのだが、その前に換気と清掃が必要と判断されたためだ。

 まあ、被害者は栄子だけなので、そんなに時間はかからないだろう。

 …

 …

 …

 

 

 そして、30分後に改めて表彰式が行われた。

 4位の長野Aチームの選手達には賞状が授与され、3位の埼玉Aチームの各選手の首には銅メダルがかけられた。

 2位の東京A1チーム各選手の首には銀メダルが、そして、優勝した奈良Aチーム各選手の首には金メダルがかけられた。

 

 これで、咲達の学年にとっての、高校生活最後の国内大会が終わった。

 あとは世界大会を残すのみである。

 

 

 

 翌週、麻雀協会の会議室では世界大会メンバーの選考会議が開かれていた。

 そこには、協会の重鎮である熊倉トシ、ワールドレコードホルダーの白築慕、関西地区のトップ、愛宕雅恵と言った面々が集まっていた。

 

 今年の世界大会は、昨年とは異なりコンビ打ち、つまり先鋒、次鋒、中堅、副将、大将を二人ずつ選出し、2チームでの戦いになる。

 昨年までの4チームでの対局ではなくなる。

 開催国は日本。

 

 中堅選手となる二人の片方が先鋒選手か次鋒選手を、もう片方の選手が副将選手か大将選手を兼ねるのを基本とする。

 メンバーは補員を入れて9名とのこと。最低でも補員抜きで8名が必要となる。

 

 中堅選手を二人とも先鋒か次鋒に配置したり、二人とも副将か大将に配置したりはできない。必ず、片方を先鋒か次鋒、もう片方を副将か大将に配置することとする。

 ただし、9名全員の参加にしても良く、その場合は中堅の片方が先鋒、次鋒、副将、大将のいずれかを兼ねることになる。

 

 インターハイ個人戦の成績は、

 1位:宮永咲(阿知賀女子学院)

 2位:高鴨穏乃(阿知賀女子学院)

 2位:大星淡(白糸台高校)

 2位:宮永光(白糸台高校)

 5位:稲輪敬子(綺亜羅高校)

 6位:的井美和(綺亜羅高校)

 7位:原村和(白糸台高校)

 8位:園田栄子(風越女子高校)

 9位:神代蒔乃(永水女子高校)

 10位:石見神楽(粕渕高校)

 11位:石戸明星(永水女子高校)

 12位:鬼島美誇人(綺亜羅高校)

 13位:鷲尾静香(綺亜羅高校)

 14位:竜崎鳴海(綺亜羅高校)

 15位:椋真尋(千里山女子高校)

 16位:夢乃マホ(千里山女子高校)

 

 コクマの戦績からも、インターハイ個人戦の順位を大きく逸脱するものではないと判断され、17位以下の選手の中から選考対象として繰り上げるべき選手は、満場一致でいないと判断された。

 また、風越女子高校の園田栄子は、ドイツチームのメンバーとしての参加が決まっているとのこと。

 よって、インターハイ個人戦ベスト16のうち、栄子を除く15名の中から世界大会のメンバーを選出することになった。

 

 1位の咲から6位の美和までは、代表9名の枠に入れる選手としてスンナリ決まったのだが、7位の和の扱いが問題となった。

 昨年、慕が閑無達に言った、

『各校2名までの縛り』

 の暗黙のルールがあったためだ。

 そこで、一旦、9位以下の選手から2名を選出し、その後に和の扱いを決めることとして会議が続行された。

 …

 …

 …

 

 

 結局、現状の成績から蒔乃と神楽を選出し、残る1名をどうするかの議論となった。蒔乃と神楽を落として他の誰かを入れる理由が見当たらなかったためだ。

 

 残りの一枠に付いて、明星か真尋かマホから選出する方向で、話が進み始めた。

 すると、雅恵が、

「ちょっとイイですか?」

 この暗黙のルールに対する反対意見を述べ始めた。

 

 各校2名までであれば、たしかに和を降ろし、明星、真尋、マホのいずれかから9人目を選出することになるだろう。

 そうなれば、雅恵としては真尋かマホを押す。これは、千里山女子高校の監督としてのエゴが働くためである。

 

 勿論、そこには、でっち上げた理由もつける。

 例えば、昨年の神楽や一昨年の咲のように1年生でメンバー入りさせて次の世代の中心人物として教育するとか言えば、それで納得する人もいるだろう。

 

 ただ、今回問題となっている暗黙のルールは、元々は権力者が自分の高校から実力の無い選手を何人もムリヤリねじ込むのを防ぐために作られたものである。なので、実力がある選手を落とすルールにするのは筋違いではないか?

 

 今年の開催国である日本が前人未到の大会三連覇を賭けた大会でもある。

 なので、これを機会に暗黙ルールを見直すこととし、今回は実力主義で和を選出すべきである。

 

 それに、少なくとも今回に限っては白糸台高校の監督が実力のない選手をムリヤリねじ込んでいるわけではない。

 

 この雅恵の主張に対し、一部異論もあったが、最終的には賛成多数で和を代表選手とすることが認められた。

 

 その結果、メンバーは、咲、光、穏乃、淡、敬子、美和、和、神楽、蒔乃に決定した。

 

 

 そして、その翌日、各メンバーには協会から各校の監督を通じて各選手に日本代表になったことが通達され、来週の金曜夜から日曜まで強化合宿が行われることになった。

 今回は東京での開催になる。

 咲と穏乃の移動は大変であるが、今回は東京都が三人、埼玉県が二人と関東勢が多いため、このような措置となった。

 

 また、昨年同様に麻雀協会の主催で、同日に神楽と共に戦う能力者のための合宿も東京で行われる。

 そこには、明星、湧、優希、数絵、由暉子、美誇人、静香、鳴海、真尋、マホと言った能力者達に声がかかっていた。こちらも、関東勢が半数を占めていたので、東京での開催となった。

 

 

 その週の土日に県大会が行われた。

 もう、咲達は参加しない。1年生と2年生で編成したチームで優勝を目指す。

 阿知賀女子学院は、以下のメンバーで奈良県大会に臨んだ。

 

 レギュラー:

 小走ゆい(2年生:部長、小走やえ妹)

 宇野沢美由紀(2年生:副部長、宇野沢栞妹、かなりのオモチの娘)

 車井百子(2年生:車井百花妹、ややオモチの娘)

 藤白亜紀(1年生:藤白七実妹)

 椿野美咲(1年生:椿野美幸妹)

 

 補員:

 岬翼(2年生:サッカーが得意)

 水戸里美(1年生:上から読んでも下から読んでも『みとさとみ』)

 

 阿知賀女子学院は、圧倒的な強さで奈良県大会を優勝。咲達が抜けた後も、超強豪校としての地位を保守した。

 

 

 そして、翌週金曜日の夜、咲と穏乃は強化合宿参加のため東京に向かった。

 今回も世界大会メンバーは、トシ、慕、恭子の指導の下で行われた。

 それから、今回も特別ゲストとして『ステルスモモ』こと東横桃子が呼ばれていた。ドイツチームのメンバー、『殺し屋』との異名を誇る西野カナコ対策である。

 勿論、今回も桃子は神楽と共に戦うメンバーにも選ばれていた。今度こそは活躍してみせる。その意気込みも強く見えていた。

 

 

 今回はコンビ打ちのため、誰と誰を組ませるかも重要になる。ペア選びも今回の合宿の課題であった。

 当然のことながら、誰と誰を組ませるかの目処をつけるところまで行って、今回の合宿を終了した。

 

 

 さらに九日後の火曜日に、咲達は再び東京に入った。世界大会は、その翌日、水曜日から十日間………その翌週の金曜日まで行われる。

 基本的に、昨年と似たようなスケジュールであった。

 

 また、今回も監督は慕、コーチには昨年同様に恭子が選ばれた。昨年の優勝への貢献が評価されたと言って良いだろう。

 

 

 水曜の朝、開会式が会場に隣接する競技場で行われた。

 知った顔がチラホラ見える。

 

 その中でも、やはり咲達の目を一番引くのは日本チームと同様、優勝候補とされるドイツチームであろう。

 

 エースはフレデリカ・リヒター。

 現在、千里山女子高校に留学中。極一部の者しか知らないが、咲のクローンである。高校2年生。

 

 昨年からのメンバーの中で、世界中の女子高生選手達から、フレデリカの次に恐れられているのが、『殺し屋』と異名を取る西野カナコ。

 ステルスモモの進化版とも言える麻雀を打つ。高校3年生。

 

 百目鬼千里は、『アトランダムの支配者』と呼ばれ、全ての牌を見切った上で最善の打ち方を選択するとされる。

 こちらも、三元牌支配の玄に勝利した、かなりの強豪選手である。高校3年生。

 

 園田栄子は、最強の守備の麻雀を誇る。最後の一撃『リラの鉄槌』で一気に追い上げるパターンが定着している。高校3年生。

 

 ローザ・ニーマンはニーマンの姪。

 パワーヒッターと呼ばれ、高い手を和了りまくる。東場の優希と南場の数絵を足したような感じだ。高校3年生。

 

 そして、この五人の他に、今回はさらに以下の三人が参戦している。

 一人目は、ニーナ・ヴェントハイム。臨海女子高校監督アレクサンドラ・ヴェントハイムの遠い親戚。

 もともと、淡の家の近所に住んでおり、淡を慕って白糸台高校への入学を希望していたが、昨年末に急遽ドイツに渡ることになった。1年生。

 

 二人目は、エリーザ・バスラー。3年生。

 

 三人目は、クララ・ローゼンハイム。ドイツ人と日本人のハーフとのことだが、少し慕に似た顔立ちをしている。

 今大会では、フレデリカとクララがダブルエースとして中堅を任される。1年生。

 

 

 ルーマニアチームやロシアチームの選手は、相変わらず綺麗どころを揃えていた。

 彼女達が視界に入ると、咲は、

「(去年のことを思い出したよ。あの美人揃いの中に私一人放り込まれて最悪だったんだから。もう、あんな惨めな思いをするのはコリゴリだからね。)」

 突然ブルーになった。美貌対決での大敗を思い出したのだ。

 

 ただ、それ以上にルーマニアチームやロシアチームの選手達は、

「(今年こそは失禁したくない!)」

 咲と当たるのを恐れいていたのは言うまでもない。

 

 また、淡は、ロシアチームメンバーにガンを飛ばしながら、

「(今度こそ、あんなマネはさせない!)」

 と心の中で強く言い放っていた。

 昨年、淡はステラにトップになるのを妨害された。団体戦である以上、あれも戦略のうちなのだが、未だに淡は、それが納得できていないのだ。

 

 

 開会式を終えると、Aブロックの一回戦が開始された。

 ルールは、各自100000点持ちでコンビ合計点での星取り戦。

 先鋒、次鋒、中堅、副将、大将で、それぞれ二人の素点の合計点が高い方が勝ち星ゲットとなる。

 ウマもオカもつかない。

 

 一回戦から決勝戦までの全試合において、先鋒戦から大将戦まで、いずれも半荘二回の勝負とし、同点の場合は双方勝ち星0.5ずつとする。

 勝ち星を先に三つ取った方の勝ちとするが、双方の勝ち星が2.5ずつになった場合は全選手の得失点の合計点で順位を競う。

 合計点まで同じだった場合は、代表者を二名ずつ選出し、半荘一回のコンビ打ち勝負を行い、二人の素点の合計点が高い方が勝者となる。この対局のみ、勝負が着くまで西入も北入も有りとする。

 

 赤牌4枚入り。

 二家和(ダブロン)、三家和(トリロン)無しで、全てアタマハネとなる。

 大明槓からの嶺上開花は責任払いで、連槓からの嶺上開花の場合でも最初が大明槓であれば、それを鳴かせた者の責任払いとなる。

 また、同様に連槓からの包も本大会では採用されていた。むやみに大明槓させるなと言う意味であろう。

 ダブル役満以上ありだが、単一役満でのダブル役満は成立しない。

 そして、昨年同様に槓振が一翻和了り役として認められていた。

 

 

 また、トーナメント戦だが、コンビ打ちに変わったため、昨年とはトーナメント表のつくりが変わる。

 今年は、AブロックとBブロックの二つに分かれ、それぞれのブロックで優勝したチームで決勝戦が、各ブロック2位のチーム同士で3位決定戦が行われる。

 

 前回優勝の日本チームはAブロックの第一シードとなった。そして、前回2位のドイツチームがBブロックの第一シード、前回3位の中国チームがBブロックの第二シード、前回4位のアメリカチームがAブロックの第二シードになった。

 

 各ブロックの参加チームは90カ国に達する。

 一回戦が終わった段階で各ブロックは64チームまで減らされるが、意外と一回戦免除のチームは多い。

 二回戦に進出するのは、両ブロック併せて128チームである。

 

 日本チーム、ドイツチーム、中国チーム、アメリカチームは、いずれも一回戦は免除されていた。二回戦からの参戦である。

 

 大会初日は、開会式の後よりAブロックの一回戦が行われる。

 なお、今大会も昨年同様に、一回戦から決勝戦まで、全試合が先鋒戦から大将戦まで、いずれも半荘二回の勝負となる。

 

 大会二日目は、Bブロックの一回戦が行われる。

 

 大会三日目にAの二回戦が、大会四日目にBブロックの二回戦が行われる。三回戦に進出するのは、両ブロック併せて64チームになる。

 

 大会五日目は、両ブロックの三回戦が、大会六日目は、両ブロックの四回戦が行われる。ブロック準決勝戦に進出するのは全部で16チームになる。

 

 大会七日目は、両ブロックの準々決勝戦が行われ、大会八日目に両ブロックの準決勝戦が行われる。ここまで勝ち残れるのは、たった4チームである。

 

 大会九日目には、両ブロックの決勝が行われる。そして、大会十日目に、3位決定戦と決勝戦が平行して行われる。

 

 一回戦免除の日本チームメンバーは、開会式が終わると、一旦、ホテルへと移動した。

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