咲-Saki- 阿知賀編入   作:おこそとのほもよろを

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これまでと同様に連槓からでも大三元の包が成立するルールにしております。


百八十六本場:高校最後の世界大会2  史上最悪コンビ2

 日本チームとスウェーデンチームの試合は、先鋒前半戦。

 とうとう運命の東三局五本場がスタートした。

 

 七巡目に咲は、

「ポン!」

 アンネが捨てた{中}を鳴いた。

 その数巡後、ヒルデが初牌の{發}を捨てた。

 本来は捨てたくないのだが、点棒を全て奪われ、ノーテン罰符で箱割れする状態となった今、和了りが最優先である。それで、止むを得ず捨てた感じだ。

 ところが、これを狙っていたかのように、

「カン!」

 咲が、これを大明槓してきた。

 そして、嶺上牌をツモると、

「もいっこ、カン!」

 そのまま{白}を暗槓した。

 連槓のため、この{白}が副露されたのはヒルデの責任となる。本大会ルールでは、今回の場合はヒルデに大三元の包が適用されることになる。

 ただ、この時、ヒルデが思ったことは、

『しまった!』

 ではなく、

『怖くて漏れそう!』

 であった。

 二連続で咲の強大なオーラが槓子に乗ってヒルデの方に飛んできたのである。恐怖以外の何ものでもない。

 

 その次巡。

 今度はアンネが聴牌に向けて初牌の{①}を捨てた。

 これもノーテンなら罰符を支払って終了するゆえ、止むを得ずの捨て牌だ。

 すると、

「カン!」

 再び咲が、これを大明槓した。

 三枚目の嶺上牌をツモると、

「もいっこ、カン!」

 咲は、当然の如く{中}を加槓した。これで四槓子が確定し、しかも連槓のため、四槓子の包がアンネに適用される。

 つまり、アンネとヒルデで、それぞれ別の役満の包を抱えたことになる。

 

 またもや二連続で咲の強大なオーラがヒルデの方に飛んできた。

 距離的に近いアンネにも、その余波が飛んでくる。

 アンネもヒルデも、美和ワールドのお陰で既にスカートの表面まで水分が余裕で上がってきている状態なのだが、更に大放出を追加するのは避けたい。それで、二人とも股を両手で強く押さえていた。

 

 そのまま咲は、最後の嶺上牌を引くと、

「ツモ!」

 毎度の如く嶺上開花で和了った。

 

 咲の和了り手は、大三元四槓子。

 このうち大三元の責任の半分はヒルデに、残りの大三元の責任半分と四槓子の責任がアンネに行く。

 よって、

「アンネさんが五本付けで73500、ヒルデさんが24000でお願いします。」

 二人で咲に、それぞれの責任払いをし、さらに上家取りならぬ下家払いで芝棒分はアンネが支払うことになった。

 これで、スウェーデンチームの二人が派手に箱割れして終了した。

 

 先鋒前半戦の点数と順位は、

 1位:咲 267500

 2位:美和 230000

 3位:ヒルデ -24000

 4位:アンネ -73500

 

 そして、日本チームの合計点は497500、スウェーデンチームの合計点は-97500。

 日本チームの圧倒的な勝利であった。

 

 

「プシャ───!」

 アンネが派手に放出した。

 これに続いて、

「ジョボボボボボ………。」

 それに負けず劣らず、ヒルデが大放出し始めた。対局が一区切りついて緊張の糸が切れた途端、その時はやってくるのだ。

 しかも、全世界生中継。

 最悪だ。

 

 しかし、忘れてはいけない。

 まだ前半戦の終了である。これで終わりではないのだ。

 アンネとヒルデには、まだ悪夢のような後半戦が残されていた。

 

 

 休憩に入った。

 清掃作業のため、後半戦は三十分後とのこと。

 今、アンネとヒルデの頭の中にある言葉は、

『棄権したい』

 の一言であった。

 全世界生中継で何回もイかされ、大放出し、しかも超マイナス。このまま消えて無くなりたい。

 しかし、国を代表して出場しているのだ。それを言葉に出すわけには行かない。

 とりあえず今、二人に出来ることは頭を切り替えることだけだろう。

 

 

 この頃、某ネット掲示板では、

『放出してナンボ、放出してナンボですわ!』

『スゴイ出し方が激しかったッス!』

『洋モノは音が激しいし!』

『みかんとパインのブレンドだじぇい!』

『↑味も香りも良くならないと思』

『スウェーデンに友達ができたよモー!』

『まあ、この未来は見えとったで』

『↑誰でも見えていると思うぞ! 衣だって分かっていたからな!』

『↑身バレしとると!』

『ダル』

 何時ものメンバーで盛り上がっていた。期待通りの結果に、住民達は大変満足していたようだ。

 

 

 この頃、ドイツチームメンバーのカナコ、千里、ローザは、

「あれって、いったい何?」

 美和の能力に驚いていた。

 三人とも、咲の人間離れした麻雀のことは昨年の世界大会で痛感していた。今更、他国の選手が放出しようと驚きはしない。

 しかし、美和の能力パターンは初めてである。

 インターハイに出場していたフレデリカと栄子から聞かされていたが、まさか、本当にあんな風になるとは………。

 衝撃的であった。

 

 また、他のドイツチームのメンバー達………ニーナ、エリーザ、クララの三人は、咲の悪魔のような闘牌にも驚かされていた。

 三人とも、昨年の世界大会をテレビで見ていたが、基本的にドイツチームの試合しか見ていない。

 その一番の要因は、ドイツでは、ドイツチームの試合を中心に放送され、日本チームを余り大きく取り上げていなかったことであろう。

 それで、咲の対局は決勝でのカナコとの試合くらいしか見ていなかったのだ。

「本当にお漏らしするなんて………。」

 これはこれで、三人には衝撃映像だったようだ。

 

 

 スウェーデンチームの控室は、まるで通夜のようシーンと静まりかえっていた。

 アドバイスしようにも、アンネとヒルデに何を言ってあげて良いのかわからない。他のメンバーが思うところは、

『自分が先鋒で無くて良かった』

 くらいである。

 

 暫くして、控室の電話が鳴り響いた。

 それは、大会スタッフからの電話であった。

 監督が電話に出ると、清掃が終わり、五分後に後半戦が開始される旨が伝えられた。

 

 

 アンネとヒルデが重々しい足取りで対局室へと向かった。

 二人が対局室に入室した時、既に咲と美和の凶悪コンビは卓に付いて場決めの牌を引いて待っていた。

 咲が引いたのは{西}。美和が引いたのは{北}。

 残るは{東}と{南}。

 後半戦は、ヒルデが起家、アンネが南家、咲が西家、美和が北家でスタートした。

 

 序盤からいきなり、

「カン! もいっこカン!」

 咲が連続で暗槓した。

 ヒルデもアンネも、このまま咲が嶺上開花で和了ってしまうのではないかと思ったが、それは杞憂に終わった。

 咲は、嶺上牌を取り込むと不要牌を切った。

 この時、咲の手にはドラが無かった。毎回そうだが、咲は、自分の槓でドラを乗せることが無い。大抵、他の人にドラが乗る。

 そして、今回もドラが大量に乗ったのは美和だった。彼女は、今回はダマで待つ。

 ヒルデもアンネも、前半戦での超マイナスを少しでも多く取り返そうと、高い手を目指す。そして切った牌で、

「ロン!」

 ヒルデが美和にドラだらけの三倍満を振り込んだ。

 …

 …

 …

 

 東二局も、

「カン!」

 咲がドラを増やし、

「ロン!」

 またもや美和が、今度はアンネから三倍満を和了った。

 …

 …

 …

 

 東三局でも同じパターンが続く。

「カン! もいっこカン!」

 咲がドラを増やして、

「ロン。」

 美和がヒルデから三倍満を和了る。

 …

 …

 …

 

 そして、東四局も、

「カン!」

 咲の槓に続き、

「ロン!」

 美和がアンネから親倍を和了った。

 …

 …

 …

 

 

 これでヒルデとアンネは、美和に仲良く48000点ずつ削られたことになる。咲が美和の手の中にあるドラの数を上手に調整しているようだ。

 

 ヒルデもアンネも触手プレーを十分過ぎるほど楽しまされた。

 頭は真っ白。もう何も考えられない。

 

 そして、迎えた東四局一本場。美和の連荘。

 ようやく、ここで美和のスピードが落ちてきた。

 しかし、それを見越してパワーを溜め込んでいた者がいる。その者は、

「ロン。タンピンドラドラ。7700の一本場は8000。」

 頭が回らなくなったアンネから、六巡目で満貫級の手を直取りした。

 

 

 南入した。

 南一局、ヒルデの親。

 ここでも咲が、

「ロン! 8000。」

 今度はヒルデから満貫を直取りした。ただ、前局に続き今回もダマで、しかも槓をしない和了りだった。

 まさか、咲がシンボルとも言える槓を封印してきたとは………。

 こうなると初牌さえ止めれば良いと言うわけではなくなる。

 美和ワールドで楽しまされた後遺症で、アンネもヒルデも、まだ頭が回らない。だからこそのダマ聴なのだろう。

 

 

 南二局、アンネの親。

 ここに来て、ようやく、

「カン!」

 咲がアンネの捨てた{⑧}を大明槓した。ボーっとしていた頭が、一気に叩き起こされる。そんな感じだ。

 そして、

「もいっこカン! もいっこカン! ツモ!」

 そのまま咲は、連槓して嶺上開花で和了った。

 

 開かれた手牌は、

 {④④④⑤}  暗槓{裏南南裏}  暗槓{裏⑥⑥裏}  明槓{横⑧⑧⑧⑧}  ツモ{[⑤]}

 

「ダブ南混一対々三暗刻三槓子嶺上開花赤1。24000です。」

 三倍満だ。

 これで一気にアンネの持ち点は20000点まで落ち込んだ。

 

 

 南三局、咲の親。

 アンネもヒルデも、前局の咲の和了りで目が覚めた。

 とにかく初牌は極力切らないように心掛ける。

 

 中盤に入り、ヒルデが二枚切れの{中}を引いた。

 これは、二巡前に美和が切った牌だ。

 今のところ、咲は大明槓を仕掛けるか平和手を和了るか、それとも点数調整で安手を和了るか………と言った感じだ。

 

 今日の咲を見る限り、大丈夫そうな牌だ。しかも美和の現物なので、美和に和了られることもない。

 完全な安牌。

 そう思ってヒルデは{中}をツモ切りした。

 しかし、

「ロン!」

 まさかの地獄単騎で咲が和了った。

 

 開かれた手牌は、

 {一二三999白白白發發發中}  ロン{中}

 

「小三元チャンタ三暗刻。24000です。」

 まさかの親倍直撃だった。

 

 これで先鋒後半戦の点数と順位は、

 1位:美和 196000

 2位:咲 164500

 3位:ヒルデ 20000(席順による)

 4位:アンネ 20000(席順による)

 

 なんだかんだで、アンネとヒルデを均等に削っているとは………。

 やはり点数を調整して遊ばれている。

 アンネには、そうとしか思えなかった。

 

 

 南三局、咲の親。

 この局が始まってすぐ、アンネもヒルデも、この上ない寒気を感じた。その空気と言うかオーラの発生源は、言うまでもなく咲だった。

 

 アンネもヒルデも全然手が進まない。

 そのような中、

「ポン!」

 咲が美和の援護で{東}を鳴いた。

 さらに次巡、

「ポン!」

 またもや咲が美和から{南}を鳴いた。これで咲は場風と自風を揃えた。

 

 そのさらに二巡後、

「カン!」

 咲が美和の捨てた{白}を大明槓した。

 ただ、嶺上開花では和了らず、有効牌を手に入れただけで止まったようだ。

 

 しかし、その次巡、

「もいっこカン! もいっこカン!」

 再び咲の連槓が始まった。まず山からツモってきた{東}を加槓し、続いて王牌から引いてきた{南}の加槓したのだ。

 次の………三枚目の嶺上牌を引くと、

「もいっこカン!」

 咲は{西}を暗槓し、続いて最後の嶺上牌を引くと、

「ツモ!」

 {北}単騎で和了った。

 言うまでもない。これは小四喜字一色四槓子。親のトリプル役満だ。

「48100オールです。」

 

 これで先鋒後半戦の点数と順位は、

 1位:咲 308300

 2位:美和 147900

 3位:ヒルデ -28100(席順による)

 4位:アンネ -28100(席順による)

 アンネとヒルデが豪快にトンで後半戦を終了した。

 

 日本チームの後半戦の合計点は456200、スウェーデンチームの合計点は-56200。前半戦に続き、日本チームがとんでもない大量得点を叩き出した。

 そして、前後半戦の合計点は、日本チームが953700と百万点近い点数をマークした。

 一方のスウェーデンチームの前後半戦の合計点は-153700と無残な結果に終わった。

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