二百十一本場:六大学対抗戦-1 最悪コンビ再結成
「よろしくお願いします!」
今日から六大学対抗戦がスタートする。
毎週土曜日と日曜日を使って、計八日間に渡り行われる。団体戦が六日間、個人戦が二日間である。
宮永咲は、この4月にK大学に入学し、麻雀部に入部した。
麻雀推薦では、行きたい学部に進学できなかったため一般入試でチャレンジし、見事合格した。
他に指定校推薦やAO入試などの方法もあったが、咲は、それらの方法を選択肢とはしなかった。
学生の本分は勉学である以上、進学先のレベルと自分のレベルがキチンと合っているかも確かめたいとの気持ちもあったようだ。
つまり、推薦で入学しても大学のレベルに付いて行けずに留年するようでは拙いとの判断をしたのが本音のようだ。
K大学麻雀部には、総勢100名を越える部員が所属していた。
その筆頭となるのが3年生の宮永照、ナンバーツーが2年生の天江衣である。
そして、そこに咲が入部した。これだけでも他校を十分震え上がらせること間違いないだろう。
そこに咲の従姉妹の宮永光、綺亜羅高校の的井美和と稲輪敬子、ドイツチームメンバーだった風越女子高校の園田栄子と有名どころが新入生として名を連ねていた。
とんでもない強豪チームになることは間違いない。
また、朝酌女子高校出身の出雲弥呼(いずもみこ)も麻雀部に入部していた。咲と同じクラスの女性だ。
彼女は、高校時代には麻雀部には所属していなかったが、昨年の世界大会を見て感動し、麻雀を始めたらしい。
石見神楽の従姉妹で、神楽、小蒔、霞の持つ能力を使える。まさに化物級である。
これだけ多くの魔物が入部してきたのだ。
もはや、照と衣以外の上級生にはレギュラー枠に入る余裕などないことが容易に予想される。
六大学対抗戦は、コンビ麻雀対決である。
つまり、四校対決ではなく二校対決となる。
六校総当たり戦で行われ、各自100000点持ちの星取り戦となる。
先鋒、次鋒、中堅、副将、大将で、それぞれ二人の素点の合計点が高い方が勝ち星ゲットとなる。
ウマもオカもつかない。
ちなみに100000点持ちになったのは、25000点持ちでは照や衣の相手が簡単にトビ終了してしまうため、今年からルールが改定された。
全試合において、先鋒戦から大将戦まで、いずれも半荘一回の勝負とし、同点の場合は双方勝ち星0.5ずつとする。
どちらかが勝ち星を先に三つ取っても対局は終了せず、全て大将戦まで行う。
そして、全試合終了後の勝ち星トータルで順位を決める。
勿論、二校優勝も有り得る。
よって、勝ち星の取り扱い方は、昨年の女子高生世界大会とは一部異なっている。
赤牌4枚入り。
二家和(ダブロン)ありだが、三家和(トリロン)の場合は流局し、親の連荘とする。
大明槓からの嶺上開花は責任払いで、連槓からの嶺上開花の場合でも最初が大明槓であれば、それを鳴かせた者の責任払いとなる。
ダブル役満以上ありで、純正九連宝燈、国士無双十三面待ち、大四喜、四暗刻単騎、大七星、四槓子は単一役満でもダブル役満とし、他の役満はシングル役満とする。
また、国士無双は現物以外のフリテンは無し。
この役満の取決めも、今までの大会とは異なる。
また、本大会では槓振が一翻和了り役として認められていた。
咲のチームは、以下のオーダーで申請した。
先鋒:宮永咲・的井美和
次鋒:出雲弥呼・稲輪敬子
中堅:宮永照・宮永咲
副将:宮永光・園田栄子
大将:天江衣・宮永照
オーダーは基本的に変更無しで、レギュラー選手が出場できない場合に限り、補員との交代が認められる。
また、中堅選手として出場する二人の選手の片方は先鋒又は次鋒を兼任して良く、もう片方の選手は副将又は大将を兼任して良い。この辺は、昨年の女子高生世界選手権と同じであった。
但し、留学生を中堅に配置してはいけないことになっていた。
この六大学戦では、例年、団体戦最終日のK大学対W大学の試合が特に盛り上がるのだが、今年は最強軍団と称される咲達K大学が余りにも強過ぎるのでは無いかとの意見が多数であった。
それもあって、和達のW大学がどこまで食い下がれるかが争点とされた。
K大学の初戦の相手はT大学。最高学府だが………魔物率は例年少なく、ここ十年連続で六大学団体戦は最下位であった。
T大学のオーダーは、以下のとおりだった。
先鋒:小走やえ(3年)・新子憧(1年)
次鋒:船久保浩子(2年)・樫尾聖子(3年)
中堅:小走やえ(3年)・鷲尾静香(1年)
副将:蔭山桜(2年)・島岡豊貴子(2年)
大将:鷲尾静香(1年)・安福莉子(1年)
小走やえは、元晩成高校のエース。奈良県大会個人戦優勝の実力を有する。
新子憧は阿知賀女子学院出身で鳴き麻雀を主体とする。
船久保浩子は千里山女子高校出身で研究者タイプ。
安福莉子は劔谷高校出身。
鷲尾静香は綺亜羅高校出身で医学部在籍。
樫尾聖子、蔭山桜、島岡豊貴子は都内の超進学校出身である。
基本的に、静香以外はデジタル打ち主体である。
対局室に先鋒選手が入室した。
この時、咲は美和と手を繋いでいた。勿論、迷子対策である。
当然、和は、この様子をスマホで見ながら、
「ないないっ! そんなのっ!」
と大声を上げながら全身を大きく震わせていた。中味が初美に変わってしまうほどの衝撃を受けていたようだ。
場決めがされ、起家がやえ、南家が憧、西家が咲、北家が美和に決まった。
どうやら美和は、咲の下家になれる能力も手に入れていたようだ。
「三年ぶりだな。」
やえが咲に声をかけた。
三年前のインターハイ個人戦で、やえは咲に予選リーグで大敗していたが、今日は、その雪辱を目指す。
「この三年間でバージョンアップした新王者の打ち筋を見せてやろう!」
「では、私達は最悪コンビと呼ばれる麻雀を披露します。小走さんも憧ちゃんも覚悟してください。」
一方の咲は、珍しく不敵の笑みを見せていた。
もし、この場に一人でいたなら、恐らく咲は被食者側の小動物的な挙動しか取れなかっただろう。対局がスタートすれば恐怖の大王に変身するが、それまでは弱者のオーラしか出せない。
しかし、今は仲間───美和が一緒にいてくれる。このことが、咲を強気にさせていたようだ。
対局がスタートした。
東一局、やえの親。ドラは{④}。
やえの配牌は、
{二四七九③④[⑤]356東南白中}
ここから打{南}。
そして、ここから六巡で聴牌し、
「リーチ!」
やえは{横東}を切ってリーチをかけた。
この局、咲は様子見している感じだ。
咲は一発で{二}を切って通し。牌が見えている以上、何らかの形で能力を狂わされない限り振込むことは無い。
美和も咲に合わせて打{二}で凌いだ。これが、コンビ打ちでパートナーが咲の下家になった時の最大の利点であろう。
そして、
「ツモ!」
やえは一発で和了り牌を引き寄せた。
開かれた手牌は、
{二三四五六七③④[⑤]3356} ツモ{7} ドラ{④} 裏ドラ{七}
「メンタンピン一発ツモドラ3。8000オール!」
いきなり、やえが親倍をツモ和了りした。
これはT大チームにとって幸先の良いスタートである。
東一局一本場。ドラは{⑤}。
やえの配牌は、
{二四六九③④[⑤]⑤⑥[5]7南西發}
ここから打{西}。
そして、ここでも、やえは順調に手を伸ばし、
「リーチ!」
{横二}切りでリーチをかけた。
やえの手牌は、
{四[五]六九九③④⑤[⑤]⑥[5]55}
リーチドラ5の親ハネ手だ。
前局で親倍を和了っているし、今、やえは自分自身に勢いがあると実感していた。故のリーチでもあった。
しかし、
「カン!」
これを咲が大明槓した。
嶺上牌は{②}。咲は、これを引くと、
「もいっこ、カン!」
そのまま{②}を暗槓した。
続く嶺上牌は{2}。これを引いて咲は、
「もいっこ、カン!」
さらに連槓し、次の嶺上牌で、
「ツモ!」
嶺上開花を決めた。
開かれた手牌は、
{⑤⑦⑦⑦} 暗槓{裏22裏} 暗槓{裏②②裏} 明槓{二横二二二} ツモ{[⑤]} ドラ{⑤}
「タンヤオ対々三暗刻三槓子三色同刻嶺上開花ドラ3。32300。」
「えっ!?」
まさかの数え役満。
あっという間に、やえはラス転落。
咲に大逆転された。
一瞬、放心状態になる。
しかし、いきなり諦めるわけには行かない。
やえは気を取り直して、
「(次は取り返す!)」
次局に望む。
東二局、憧の親。ドラは{⑦}。
ここでは、
「チー!」
親の憧が、
「チー!」
やえのサポートで連荘を目指す。
得意の30符3翻の手でも、親なのでツモれば2000オール、直取りで5800になる。
さらに、ここにドラが一枚加われば、親満級の手になる。
当然、ここは攻めて行く。
狙うはドラ含みのタンヤオ三色同順。
手牌は、
{③③[⑤]5678} チー{横345} チー{横五三四}
しかし、
「チー!」
三つ目の面子………{横④③[⑤]}を副露して切った{③}で、
「ロン。1300。」
門前タンヤオのみの手で、憧は咲に親を流された。
開かれた手牌は、
{五六七③④⑤⑥222567} ロン{③}
ただ、咲の河にはドラの{⑦}が出ていた。
普通なら、{2}を切って{②⑤⑧}待ちの高目タンピン三色同順ドラ1の出和了り満貫。三面聴にとるだろう。
そこを敢えて{③⑥}待ちに受けたのは、明らかに憧が捨てる{③}を狙っていたと言って良いだろう。
完全に咲に読まれた感じである。
やはり咲の方が一枚上手と言ったところだ。
しかも、現在の点数は、
1位:咲 126600
2位:美和 92000
3位:やえ 90700(順位は席順による)
4位:憧 90700(順位は席順による)
やえと憧が同じ点数にされた。
当然、多くの視聴者は、
『調整だね、きっと』
既に咲が相手チームの二人を均等に削るべく、準備を始めたと考えていた。
東三局、咲の親。ドラは{8}。
ここで咲は、
「カン!」
「もいっこ、カン!」
美和から{①}を大明槓、{西}を暗槓して槓ドラを増やした。
そして咲が捨てた{白}を、
「ポン!」
さらに咲が捨てた{②}を、
「チー!」
美和が立て続けに鳴いた。これで聴牌。
しかも、咲の槓により、美和の手はドラが乗って白ドラ3の満貫級の手となっていた。完全に咲のサポートである。
そして、
「ツモ!」
このチャンスを、美和は見事にモノにした。
やえと憧を目掛けて、巨大な触手が襲い掛かった。美和の能力が発動したのだ。
既に二人の意識は、現実世界とは別の空間に飛ばされていた。俗に美和ワールドと呼ばれる淫猥なる世界だ。
ただ、二人は別々の場所にいるようで、互いの姿は見えない。
触手が、やえと憧の四肢に巻き付いて、二人とも身動きが取れなくなっていた。
さらに多数の触手が全身に絡みつき、分泌される粘性のある消化液で二人の衣服を溶かしてゆく。
しかも溶けるのは衣服だけであって二人の身体は消化されない。ご都合主義のエロエロ消化液だ。
二人は、あっという間に全裸にされた。
さらに二人は、全身を隈なく粘液だからの触手で刺激される。
…
…
…
体感時間として約一時間が過ぎた。
その間、ずっと二人は刺激され続けていた。もはや、頭の中は真っ白である。
そして、やえが、
「くっ………殺せ!」
と言葉を発した直後、
「タンヤオドラ3。2000、3900!」
美和の点数申告の声が聞こえてきた。
これと同時に、やえと憧の意識は現実世界に戻された。
ただ、やえも憧も、既に戦意を失っていた。美和ワールドをまともに経験した直後に頭を切り替えられるほうが、むしろ異常であろう。
既に二人とも、頭が回らなくなっていた。
東四局、美和の親。
やえと憧が麻雀に集中できなくなったためであろうか、美和の配牌が非常に良かった。前局の和了りで運を呼び込んだ感じである。
配牌二向聴(第一打牌を切って二向聴)。
ここからムダツモなく聴牌し、
「リーチ!」
三巡目でリーチをかけた。
そして、
「ツモ!」
美和は一発で和了り牌を引き当てた。
またもや、やえと憧の意識が幻の世界へと飛ばされた。
…
…
…
そして、二人が美和ワールド内で一時間近く触手プレイを堪能させられた頃、
「6000オール!」
美和の点数申告の声が聞こえてきた。
女子大生編は、やえの『くっころ』を書きたくてチャレンジしました。目標達成です。